特許第6203062号(P6203062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6203062通信ネットワーク監視装置、通信ネットワーク監視方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203062
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】通信ネットワーク監視装置、通信ネットワーク監視方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20170914BHJP
【FI】
   H04L12/70 100Z
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-7200(P2014-7200)
(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2015-136068(P2015-136068A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】新保 宏之
【審査官】 宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−266890(JP,A)
【文献】 特開2013−078011(JP,A)
【文献】 特開2006−165789(JP,A)
【文献】 特開2008−193482(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0230346(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0023638(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00−12/28,12/44−12/955
H04B1/60,3/46−3/493,7/24−7/26,17/00−17/70
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置間の接続を示す構成情報に基づいて、前記通信ネットワーク全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する構成情報把握部と、
前記通信ネットワーク内のトラヒック集約点で測定されたトラヒック情報に基づいて、前記トラヒック集約点を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成するトラヒック情報把握部と、
前記監視対象の通信ネットワークに含まれる移動通信ネットワークに接続する移動端末の接続位置を示す端末位置情報に基づいて、前記監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置と前記移動端末との間の接続関係を示すネットワーク端末位置情報を作成する端末位置情報把握部と、
前記ネットワーク構成情報、前記ネットワーク端末位置情報および前記解析トラヒック情報に基づいて、前記通信装置間の接続ごと且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに、通信サービス品質の劣化を判定するデータ解析部と、
を備えたことを特徴とする通信ネットワーク監視装置。
【請求項2】
前記通信サービス情報の種別は、前記トラヒックを発生させるアプリケーションの種別であることを特徴とする請求項1に記載の通信ネットワーク監視装置。
【請求項3】
前記通信サービス情報の種別は、前記トラヒックの送信または受信を行うサーバ装置のアドレス別であることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信ネットワーク監視装置。
【請求項4】
監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置間の接続を示す構成情報に基づいて、前記通信ネットワーク全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する構成情報把握部と、
前記通信ネットワーク内のトラヒック集約点で測定されたトラヒック情報に基づいて、前記トラヒック集約点を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成するトラヒック情報把握部と、
前記ネットワーク構成情報および前記解析トラヒック情報に基づいて、前記通信装置間の接続ごと且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに、通信サービス品質の劣化を判定するデータ解析部と、
を備え
前記通信サービス情報の種別は、前記トラヒックの送信または受信を行うサーバ装置のアドレス別であることを特徴とする通信ネットワーク監視装置。
【請求項5】
前記通信サービス情報の種別は、前記トラヒックに使用される通信プロトコルの種別であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の通信ネットワーク監視装置。
【請求項6】
構成情報把握部とトラヒック情報把握部と端末位置情報把握部とデータ解析部とを備えた通信ネットワーク監視装置の通信ネットワーク監視方法であり、
前記構成情報把握部が、監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置間の接続を示す構成情報に基づいて、前記通信ネットワーク全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する構成情報把握ステップと、
前記トラヒック情報把握部が、前記通信ネットワーク内のトラヒック集約点で測定されたトラヒック情報に基づいて、前記トラヒック集約点を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成するトラヒック情報把握ステップと、
前記端末位置情報把握部が、前記監視対象の通信ネットワークに含まれる移動通信ネットワークに接続する移動端末の接続位置を示す端末位置情報に基づいて、前記監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置と前記移動端末との間の接続関係を示すネットワーク端末位置情報を作成する端末位置情報把握ステップと、
前記データ解析部が、前記ネットワーク構成情報、前記ネットワーク端末位置情報および前記解析トラヒック情報に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに、通信サービス品質の劣化を判定するデータ解析ステップと、
を含むことを特徴とする通信ネットワーク監視方法。
【請求項7】
構成情報把握部とトラヒック情報把握部とデータ解析部とを備えた通信ネットワーク監視装置の通信ネットワーク監視方法であり、
前記構成情報把握部が、監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置間の接続を示す構成情報に基づいて、前記通信ネットワーク全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する構成情報把握ステップと、
前記トラヒック情報把握部が、前記通信ネットワーク内のトラヒック集約点で測定されたトラヒック情報に基づいて、前記トラヒック集約点を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成するトラヒック情報把握ステップと、
前記データ解析部が、前記ネットワーク構成情報および前記解析トラヒック情報に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに、通信サービス品質の劣化を判定するデータ解析ステップと、
を含み、
前記通信サービス情報の種別は、前記トラヒックの送信または受信を行うサーバ装置のアドレス別であることを特徴とする通信ネットワーク監視方法。
【請求項8】
コンピュータに、
監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置間の接続を示す構成情報に基づいて、前記通信ネットワーク全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する構成情報把握ステップと、
前記通信ネットワーク内のトラヒック集約点で測定されたトラヒック情報に基づいて、前記トラヒック集約点を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成するトラヒック情報把握ステップと、
前記監視対象の通信ネットワークに含まれる移動通信ネットワークに接続する移動端末の接続位置を示す端末位置情報に基づいて、前記監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置と前記移動端末との間の接続関係を示すネットワーク端末位置情報を作成する端末位置情報把握ステップと、
前記ネットワーク構成情報、前記ネットワーク端末位置情報および前記解析トラヒック情報に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに、通信サービス品質の劣化を判定するデータ解析ステップと、
を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置間の接続を示す構成情報に基づいて、前記通信ネットワーク全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する構成情報把握ステップと、
前記通信ネットワーク内のトラヒック集約点で測定されたトラヒック情報に基づいて、前記トラヒック集約点を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成するトラヒック情報把握ステップと、
前記ネットワーク構成情報および前記解析トラヒック情報に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに、通信サービス品質の劣化を判定するデータ解析ステップと、
を実行させ
前記通信サービス情報の種別は、前記トラヒックの送信または受信を行うサーバ装置のアドレス別であコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワーク監視装置、通信ネットワーク監視方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の端末で様々なアプリケーションを実行できるようになっていることから、通信事業者が提供する通信ネットワークの通信サービス品質(スループット、パケットエラー率、遅延時間など)を、端末で動作しているアプリケーション単位で確保することが重要になってきている。また、通信事業者は、自己の通信ネットワーク内で通信サービス品質に劣化が発生した際に、その発生個所を特定し、必要に応じて対処する必要がある。
【0003】
アプリケーションレベルでの通信サービス品質を監視するための従来技術として、例えば非特許文献1、2に記載の技術が知られている。非特許文献1、2に記載の従来技術では、通信ネットワーク上に流れるパケットをキャプチャし、そのキャプチャされたパケットに含まれるデータを解析している。
【0004】
図7は従来の通信ネットワーク監視技術を説明するための通信ネットワークの構成例を示す図である。図7において、通信事業者の通信ネットワークは、各種の通信装置(ファイヤーウォールF、ルータR、スイッチSW1、SW2、基地局BS1、BS2、BS3、端末MS1、MS2、MS3等)から構成されている。各端末MS1、MS2、MS3は、該通信ネットワークを介して、インターネット40に接続されるサーバSa等にアクセスできる。パケットキャプチャ装置20は、該通信ネットワーク内の各通信装置間の接続(リンク)の全箇所に設けられている。そして、各パケットキャプチャ装置20によりキャプチャされたパケットに含まれるデータを解析することによって、どのリンクで通信サービス品質の劣化が発生したのかを判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−065277号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】NetScout社、“nGeniusONE Platform”、インターネット<URL:http://www.netscout.com/products/enterprise/nGeniusONE/Pages/default.aspx>
【非特許文献2】Colasoft社、“Capsa”、インターネット<URL:http://www.colasoft.com/capsa/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した従来の通信ネットワーク監視技術では、通信サービス品質の劣化を監視したい箇所の全てにパケットキャプチャ装置を設けるので、その設置や維持にかかるコストが問題となる。また、通信ネットワーク内の各地点でパケットキャプチャ装置により取得された膨大なデータを集約して分析するために、各データを分析装置へ伝送するための広帯域ネットワークや高性能の分析装置が必要となる。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、通信ネットワークの通信サービス品質を監視する際に、パケットキャプチャ装置の削減によりコスト軽減を図ることができる通信ネットワーク監視装置、通信ネットワーク監視方法およびコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る通信ネットワーク監視装置は、監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置間の接続を示す構成情報に基づいて、前記通信ネットワーク全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する構成情報把握部と、前記通信ネットワーク内のトラヒック集約点で測定されたトラヒック情報に基づいて、前記トラヒック集約点を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成するトラヒック情報把握部と、前記監視対象の通信ネットワークに含まれる移動通信ネットワークに接続する移動端末の接続位置を示す端末位置情報に基づいて、前記監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置と前記移動端末との間の接続関係を示すネットワーク端末位置情報を作成する端末位置情報把握部と、前記ネットワーク構成情報、前記ネットワーク端末位置情報および前記解析トラヒック情報に基づいて、前記通信装置間の接続ごと且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに、通信サービス品質の劣化を判定するデータ解析部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
)本発明に係る通信ネットワーク監視装置は、上記(1)の通信ネットワーク監視装置において、前記通信サービス情報の種別は、前記トラヒックを発生させるアプリケーションの種別であることを特徴とする。
【0012】
)本発明に係る通信ネットワーク監視装置は、上記(1)又は(2)の通信ネットワーク監視装置において、前記通信サービス情報の種別は、前記トラヒックの送信または受信を行うサーバ装置のアドレス別であることを特徴とする。
【0013】
(4)上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信ネットワーク監視装置は、監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置間の接続を示す構成情報に基づいて、前記通信ネットワーク全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する構成情報把握部と、前記通信ネットワーク内のトラヒック集約点で測定されたトラヒック情報に基づいて、前記トラヒック集約点を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成するトラヒック情報把握部と、前記ネットワーク構成情報および前記解析トラヒック情報に基づいて、前記通信装置間の接続ごと且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに、通信サービス品質の劣化を判定するデータ解析部と、を備え、前記通信サービス情報の種別は、前記トラヒックの送信または受信を行うサーバ装置のアドレス別であることを特徴とする。
(5)本発明に係る通信ネットワーク監視装置は、上記(1)から(4)のいずれかの通信ネットワーク監視装置であって、前記通信サービス情報の種別は、前記トラヒックに使用される通信プロトコルの種別であることを特徴とする。
【0014】
(6)本発明に係る通信ネットワーク監視方法は、構成情報把握部とトラヒック情報把握部と端末位置情報把握部とデータ解析部とを備えた通信ネットワーク監視装置の通信ネットワーク監視方法であり、前記構成情報把握部が、監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置間の接続を示す構成情報に基づいて、前記通信ネットワーク全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する構成情報把握ステップと、前記トラヒック情報把握部が、前記通信ネットワーク内のトラヒック集約点で測定されたトラヒック情報に基づいて、前記トラヒック集約点を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成するトラヒック情報把握ステップと、前記端末位置情報把握部が、前記監視対象の通信ネットワークに含まれる移動通信ネットワークに接続する移動端末の接続位置を示す端末位置情報に基づいて、前記監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置と前記移動端末との間の接続関係を示すネットワーク端末位置情報を作成する端末位置情報把握ステップと、前記データ解析部が、前記ネットワーク構成情報、前記ネットワーク端末位置情報および前記解析トラヒック情報に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに、通信サービス品質の劣化を判定するデータ解析ステップと、を含むことを特徴とする。
(7)本発明に係る通信ネットワーク監視方法は、構成情報把握部とトラヒック情報把握部とデータ解析部とを備えた通信ネットワーク監視装置の通信ネットワーク監視方法であり、前記構成情報把握部が、監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置間の接続を示す構成情報に基づいて、前記通信ネットワーク全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する構成情報把握ステップと、前記トラヒック情報把握部が、前記通信ネットワーク内のトラヒック集約点で測定されたトラヒック情報に基づいて、前記トラヒック集約点を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成するトラヒック情報把握ステップと、前記データ解析部が、前記ネットワーク構成情報および前記解析トラヒック情報に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに、通信サービス品質の劣化を判定するデータ解析ステップと、を含み、前記通信サービス情報の種別は、前記トラヒックの送信または受信を行うサーバ装置のアドレス別であることを特徴とする。
【0015】
)本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置間の接続を示す構成情報に基づいて、前記通信ネットワーク全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する構成情報把握ステップと、前記通信ネットワーク内のトラヒック集約点で測定されたトラヒック情報に基づいて、前記トラヒック集約点を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成するトラヒック情報把握ステップと、前記監視対象の通信ネットワークに含まれる移動通信ネットワークに接続する移動端末の接続位置を示す端末位置情報に基づいて、前記監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置と前記移動端末との間の接続関係を示すネットワーク端末位置情報を作成する端末位置情報把握ステップと、前記ネットワーク構成情報、前記ネットワーク端末位置情報および前記解析トラヒック情報に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに、通信サービス品質の劣化を判定するデータ解析ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであることを特徴とする。
(9)本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、監視対象の通信ネットワークを構成する通信装置間の接続を示す構成情報に基づいて、前記通信ネットワーク全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する構成情報把握ステップと、前記通信ネットワーク内のトラヒック集約点で測定されたトラヒック情報に基づいて、前記トラヒック集約点を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成するトラヒック情報把握ステップと、前記ネットワーク構成情報および前記解析トラヒック情報に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、前記通信装置間の接続ごとに、通信サービス品質の劣化を判定するデータ解析ステップと、を実行させ、前記通信サービス情報の種別は、前記トラヒックの送信または受信を行うサーバ装置のアドレス別である、コンピュータプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、通信ネットワークの通信サービス品質を監視する際に、パケットキャプチャ装置の削減によりコスト軽減を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る通信ネットワーク監視装置1の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る監視対象の通信ネットワーク100の構成例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るネットワーク構成情報およびネットワーク端末位置情報の構成例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る解析トラヒック情報の構成例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る端末とリンクの関連付けデータの構成例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る通信サービス品質値の統計結果の構成例を示す図である。
図7】従来の通信ネットワーク監視技術を説明するための通信ネットワークの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る通信ネットワーク監視装置1の構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態に係る監視対象の通信ネットワーク100の構成例を示す図である。以下、図2に示される監視対象の通信ネットワーク100(以下、監視対象ネットワーク100と称する)を具体例として説明する。なお、図2の構成例は、説明の便宜上のために、実際の構成よりも簡略化しているが、実際の構成に対しても同様に適用可能である。
【0019】
図2において、監視対象ネットワーク100は、通信事業者が提供する通信ネットワークであり、移動通信ネットワークを含んで構成される。監視対象ネットワーク100は、各種の通信装置(ファイヤーウォールF、ルータR、スイッチSW1、基地局BS1、BS2、BS3、端末MS1、MS2、MS3、MS4、MS5等)から構成されている。各端末MS1、MS2、MS3、MS4、MS5は、監視対象ネットワーク100を介して、インターネット40に接続されるサーバSa、Sb、Sc、Sd等にアクセスできる。パケットキャプチャ装置20は、監視対象ネットワーク100内のトラヒック集約点30に設けられている。パケットキャプチャ装置20は、トラヒック集約点30を流れるパケットをキャプチャし、そのキャプチャされたパケットに含まれるデータを通信ネットワーク監視装置1へ送信する。図2の例では、トラヒック集約点30は、監視対象ネットワーク100とインターネット40との間で交換されるトラヒックが集約されるリンク上に在る。
【0020】
図1において、通信ネットワーク監視装置1は、構成情報把握部2と端末位置情報把握部3とトラヒック情報把握部4とデータ解析部5を備える。
【0021】
構成情報把握部2には、構成情報管理用データベース(構成情報管理用DB)11から構成情報が入力される。構成情報は、監視対象ネットワーク100を構成する通信装置間の接続を示す。構成情報の対象となる通信装置として、図2の例では、ファイヤーウォールF、ルータR、スイッチSW1、基地局BS1、BS2、BS3が挙げられる。また、図2には図示されないが、据置き型のパーソナルコンピュータ等の据置き型の端末も、構成情報の対象となる。なお、本実施形態では、監視対象ネットワーク100内の移動通信ネットワークに接続する移動端末(端末MS1、MS2、MS3、MS4、MS5)は、構成情報の対象にしない。
【0022】
構成情報把握部2は、構成情報に基づいて、監視対象ネットワーク100全体の通信装置間の接続関係を示すネットワーク構成情報を作成する。該ネットワーク構成情報はデータ解析部5へ出力される。
【0023】
端末位置情報把握部3には、端末位置情報管理用データベース(端末位置情報管理用DB)12から端末位置情報が入力される。端末位置情報は、監視対象ネットワーク100内の移動通信ネットワークに接続する移動端末の接続位置を示す。
【0024】
端末位置情報把握部3は、端末位置情報に基づいて、監視対象ネットワーク100を構成する通信装置と、監視対象ネットワーク100内の移動通信ネットワークに接続する移動端末との間の接続関係を示すネットワーク端末位置情報を作成する。該ネットワーク端末位置情報はデータ解析部5へ出力される。
【0025】
トラヒック情報把握部4には、トラヒック集約点30に設けられたパケットキャプチャ装置20から、トラヒック集約点30でキャプチャされたパケットに含まれるデータが入力される。該パケットキャプチャ装置20から入力されるデータは、トラヒック集約点30で測定されたトラヒック情報である。また、トラヒック情報把握部4には、監視対象ネットワーク100内の通信管理装置21から、ルータRやスイッチSW1における通信ログや、SNMP(simple network management protocol)による通信管理データなどのトラヒック情報が入力される。
【0026】
トラヒック情報把握部4は、入力されたトラヒック情報に基づいて、トラヒック集約点30を流れるトラヒックの解析情報を示す解析トラヒック情報を作成する。
【0027】
データ解析部5には、構成情報把握部2からネットワーク構成情報、端末位置情報把握部3からネットワーク端末位置情報、トラヒック情報把握部4から解析トラヒック情報が、それぞれ入力される。データ解析部5は、ネットワーク構成情報、ネットワーク端末位置情報および解析トラヒック情報に基づいて、監視対象ネットワーク100を構成する通信装置間のリンクごと且つ通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計し、該統計結果に基づいて、該通信装置間のリンクごとに、通信サービス品質の劣化を判定する。データ解析部5は、該判定の結果に基づいたサービス品質劣化情報を出力する。該サービス品質劣化情報は、監視対象ネットワーク100内の各リンクにおける通信サービス品質の劣化状態を示す。監視対象ネットワーク100の運用者は、該サービス品質劣化情報によって、どのリンクで通信サービス品質の劣化が発生しているのかを知ることができる。
【0028】
以下、具体例を挙げて本実施形態に係る通信ネットワーク監視装置1の動作を説明する。
【0029】
図3は、本実施形態に係るネットワーク構成情報およびネットワーク端末位置情報の構成例を示す図である。図3の例は、図2に示される監視対象ネットワーク100に対応する。図3には、監視対象ネットワーク100を構成する各通信装置間のリンクが示されている。図3において、ファイヤーウォールFから基地局BS1、BS2、BS3までのリンクA、B、C、D、Eの情報は、ネットワーク構成情報である。基地局BS1、BS2、BS3から端末MS1、MS2、MS3、MS4、MS5までのリンクF、G、H、I、Jの情報は、ネットワーク端末位置情報である。
【0030】
構成情報把握部2は、構成情報管理用DB11から受信した構成情報に基づいて、図3に示されるネットワーク構成情報を作成する。端末位置情報把握部3は、端末位置情報管理用DB12から受信した端末位置情報に基づいて、図3に示されるネットワーク端末位置情報を作成する。これらネットワーク構成情報およびネットワーク端末位置情報によって、監視対象ネットワーク100を構成する各通信装置間のリンクを把握することができる。
【0031】
図4は、本実施形態に係る解析トラヒック情報の構成例を示す図である。図4の例は、図2に示される監視対象ネットワーク100に対応する。図4には、トラヒック集約点30を流れるトラヒックの解析情報が示されている。図4において、各項(No.ア〜ク)には、それぞれIP(Internet Protocol)アドレスとポート番号で特定されるサーバSa、Sb、Sc、Sdと端末MS1、MS2、MS3、MS4、MS5の間の通信における、トラヒックに使用される通信プロトコルの種別、トラヒックを発生させるアプリケーションの種別、通信サービス品質値(スループット、パケットエラー率、遅延時間)が示されている。
【0032】
トラヒック情報把握部4は、トラヒック集約点30に設けられたパケットキャプチャ装置20から入力されたトラヒック情報に基づいて、図4に示される解析トラヒック情報を作成する。このとき、トラヒック情報把握部4は、通信管理装置21から入力されたトラヒック情報の中に、トラヒック集約点30を流れるトラヒックの解析に利用可能な情報がある場合には、該利用可能な情報を解析トラヒック情報の作成に使用する。例えば、SNMPによる通信管理データによればIP通信レベルでのトラヒック解析が可能である。また、パケットキャプチャ装置20によりキャプチャされたパケットに含まれるデータによれば、アプリケーションレベルでのトラヒック解析が可能である。
【0033】
図5は、本実施形態に係る端末とリンクの関連付けデータの構成例を示す図である。データ解析部5は、図3に示されるネットワーク構成情報およびネットワーク端末位置情報に基づいて、図5に示される端末とリンクの関連付けデータを作成する。図5には、各リンクA〜Jと端末MS1、MS2、MS3、MS4、MS5との関連付けが示されている。
【0034】
具体的には、リンクAに流れるトラヒックは、端末MS1、MS2、MS3、MS4、MS5のいずれかのトラヒックである。リンクBに流れるトラヒックは、端末MS1、MS2、MS3のいずれかのトラヒックである。リンクCに流れるトラヒックは、端末MS4、MS5のいずれかのトラヒックである。リンクDに流れるトラヒックは、端末MS1のトラヒックである。リンクEに流れるトラヒックは、端末MS2、MS3のいずれかのトラヒックである。リンクFに流れるトラヒックは、端末MS1のトラヒックである。リンクGに流れるトラヒックは、端末MS2のトラヒックである。リンクHに流れるトラヒックは、端末MS3のトラヒックである。リンクIに流れるトラヒックは、端末MS4のトラヒックである。リンクJに流れるトラヒックは、端末MS5のトラヒックである。
【0035】
図6は、本実施形態に係る通信サービス品質値の統計結果の構成例を示す図である。データ解析部5は、図4に示される解析トラヒック情報と、図5に示される端末とリンクの関連付けデータとに基づいて、リンクごと且つ通信サービス情報の種別ごとに、通信サービス品質値を統計する。ここで、通信サービス情報の種別ごとに通信サービス品質値を統計する理由は、通信サービス情報で示される同じ通信サービスにおいて通信サービス品質値は同等であると考えることができるからである。これにより、通信サービス品質値の統計値の時間変化に基づいた通信サービス品質値の劣化判定を行うようにする。
【0036】
図6の統計結果では、集計対象のリンクとしてリンクA、B、C、Eを使用している。また、通信サービス情報の種別として、トラヒックを発生させるアプリケーションの種別、トラヒックに使用される通信プロトコルの種別、トラヒックの送信または受信を行うサーバのアドレス別を使用している。通信サービス品質値として、スループット、遅延時間を使用している。通信サービス品質値の統計方法として、平均を使用している。
【0037】
データ解析部5は、図6に示される通信サービス品質値の統計結果を、定期的に算出する。そして、データ解析部5は、その通信サービス品質値の統計結果の時間変化に基づいて、リンクごとに、通信サービス品質の劣化を判定する。この通信サービス品質劣化判定方法の例を以下に示す。
【0038】
(通信サービス品質劣化判定方法の例1) あるリンクのある通信サービス品質値の平均値が、所定値以上または所定値以下になった場合に、当該リンクの通信サービス品質の劣化ありと判定する。例えば、リンクAのスループット平均値が所定値以下になった場合に、リンクAの通信サービス品質の劣化ありと判定する。また、例えば、リンクBの遅延時間平均値が所定値以上になった場合に、リンクBの通信サービス品質の劣化ありと判定する。
【0039】
(通信サービス品質劣化判定方法の例2) あるリンクのある通信サービス品質値の平均値の変動幅が所定値以上になった場合に、当該リンクの当該通信サービス品質値の分散を計算する。そして、該変動幅が分散の所定倍以上である場合に、当該リンクの通信サービス品質の劣化ありと判定する。
【0040】
(通信サービス品質劣化判定方法の例3) 特許文献1に記載されるネットワーク異常検知技術を利用する。このネットワーク異常検知技術では、端末単位の通信サービス品質値(例えばスループット)の統計値の分布を作り、その統計値域の変動に基づいてネットワーク異常(通信サービス品質の劣化あり)を判断する。
【0041】
データ解析部5は、各リンクに関する通信サービス品質の劣化の判定結果に基づいて、各リンクにおける通信サービス品質の劣化状態を示すサービス品質劣化情報を出力する。
【0042】
本実施形態によれば、監視対象ネットワーク100の通信サービス品質を監視する際に、監視対象ネットワーク100内の少なくともトラヒック集約点30にパケットキャプチャ装置20を設ければよいので、パケットキャプチャ装置20の削減によりコスト軽減を図ることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0044】
例えば、上述した実施形態では監視対象ネットワークが移動通信ネットワークを含む構成であるが、監視対象ネットワークが移動通信ネットワークを含まない構成である場合には端末位置情報把握部3は不要である。
【0045】
また、上述した実施形態では、通信サービス品質値の統計値として平均値を使用したが、他の統計値(例えば、標準偏差など)を使用してもよい。
【0046】
また、上述した通信ネットワーク監視装置1の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0047】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0048】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0049】
1…通信ネットワーク監視装置、2…構成情報把握部、3…端末位置情報把握部、4…トラヒック情報把握部、5…データ解析部、11…構成情報管理用DB、12…端末位置情報管理用DB、20…パケットキャプチャ装置、21…通信管理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7