特許第6203088号(P6203088)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203088
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】生体観察システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20170914BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   A61B1/00 513
   A61B1/045 617
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-50572(P2014-50572)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-173737(P2015-173737A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 誠
【審査官】 森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−200517(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/145407(WO,A1)
【文献】 特開2013−017769(JP,A)
【文献】 特開平06−285050(JP,A)
【文献】 特開2012−066065(JP,A)
【文献】 特開2012−139482(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02465431(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長帯域において血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて吸光係数が変化する第1の照明光と、前記所定の波長帯域において酸化ヘモグロビンの吸収係数と還元ヘモグロビンの吸収係数とが等しくなる波長である第1の等吸収点波長を含む第2の照明光と、前記所定の波長帯域よりも長波長の波長帯域において1以上の波長帯域を具備する第3の照明光と、を発生するように構成された照明部と、
前記照明部から発せられる照明光が照射された被写体からの戻り光を撮像するように構成された撮像部と、
所定の観察状態において、前記第1の照明光が照射された際の前記被写体の画像信号と前記第2の照明光が照射された際の前記被写体の画像信号との画像間演算により前記所定の波長帯域における前記被写体の酸素飽和度に関する情報を取得するように構成された情報取得部と、
前記所定の観察状態において、前記所定の波長帯域における前記被写体の酸素飽和度に関する情報を反映した画像情報を生成し、前記所定の観察状態よりも前記被写体を拡大して観察する場合に、前記第3の照明光が照射された際の前記被写体の画像信号に基づき画像情報を生成するように構成された画像情報生成部と、
を有することを特徴とする生体観察システム。
【請求項2】
前記照明部は、前記第3の照明光として、前記長波長の波長帯域において血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて吸光係数が変化する波長帯域の第4の照明光と、前記長波長の波長帯域において前記第4の照明光との比較に用いられる参照光である第5の照明光と、を発生し、
さらに、前記情報取得部は、前記所定の観察状態よりも前記被写体を拡大して観察する場合に、前記第4の照明光が照射された際の前記被写体の画像信号と前記第5の照明光が照射された際の前記被写体の画像信号との画像間演算により前記長波長の波長帯域における前記被写体の酸素飽和度に関する情報を取得し、
前記画像情報生成部は、前記所定の観察状態よりも前記被写体を拡大して観察する場合に、前記情報取得部により取得された前記長波長の波長帯域における前記被写体の酸素飽和度に関する情報を反映した画像情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体観察システム。
【請求項3】
前記照明部は、前記第2の照明光として、前記所定の波長帯域において前記第1の照明光のピーク波長よりも短波長側の酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンとの吸光係数が等しい前記第1の等吸収点波長を含む波長の光を発生し、前記第5の照明光として、前記長波長の波長帯域において前記第4の照明光のピーク波長よりも短波長側の酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンとの第2の等吸収点波長を含む波長の光を発生する
ことを特徴とする請求項2に記載の生体観察システム。
【請求項4】
前記所定の波長帯域が青色の波長帯域であり、
前記長波長の波長帯域が赤色の波長帯域であり、
前記撮像部は、前記青色の波長帯域に感度のピークを有する画素群と、前記赤色の波長帯域に感度のピークを有する画素群とを有し、
さらに、前記第1の照明光及び前記第4の照明光を同時に発生させるタイミングと、さらに前記第2の照明光及び前記第5の照明光を同時に発生させるタイミングと、を相互に異ならせるように前記照明部を制御するように構成された制御部をさらに有する
ことを特徴とする請求項2に記載の生体観察システム。
【請求項5】
前記画像情報は、前記被写体の画像を表示する表示装置に入力される赤、緑及び青の色成分を有する画像情報であって、
前記画像情報生成部は、前記所定の観察状態において、前記緑の色成分に前記所定の波長帯域における前記被写体の酸素飽和度に関する情報を反映した画像情報を生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の生体観察システム。
【請求項6】
前記画像情報生成部は、前記所定の観察状態よりも前記被写体を拡大して観察する場合に、前記緑の色成分とは異なる色成分に前記長波長の波長帯域における前記被写体の酸素飽和度に関する情報を反映した画像情報を生成する
ことを特徴とする請求項5に記載の生体観察システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体観察システムに関し、特に、生体組織の観察に用いられる生体観察システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野の内視鏡観察に係る技術として、例えば、生体粘膜を含む被写体に対して所定の波長帯域を具備する狭帯域光を照射し、当該狭帯域光が照射された当該被写体からの戻り光を撮像し、当該戻り光を撮像して得られた画像または信号に基づいて当該被写体に含まれる正常部位と病変部位とを識別可能とするための血管情報を取得し、当該取得した血管情報に基づいて生成した視覚情報を術者に提示するような技術が従来知られている。
【0003】
具体的には、例えば、特許文献1には、440±10nmの波長帯域に設定された第1の狭帯域光、470±10nmの波長帯域に設定された第2の狭帯域光、及び、400±10nmの波長帯域に設定された第3の狭帯域光を被写体組織に順次照射し、当該第1〜第3の狭帯域光が順次照射された当該被写体組織を撮像素子で撮像し、当該被写体組織を撮像して得られた3種類の撮像信号に基づいて酸素飽和度情報等の血管情報を取得し、当該取得した血管情報に基づいて生成した画像をモニタに表示するような技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内視鏡観察下における外科的処置の際には、体腔内に挿入される細長な挿入部の先端面を被写体の表面から(例えば10mm以上)離して観察する中景〜遠景観察により、当該被写体に含まれる病変部位のおおよその位置を特定した後、当該先端面を当該被写体の表面に(例えば4mm以下まで)接近させて観察する近接拡大観察により、当該病変部位に対して処置を施すような手技が行われる。
【0005】
しかし、特許文献1には、前述のような手技を考慮しつつ、内視鏡観察時の観察距離に応じて術者に提示する情報を変化させるための手法について特に開示等されていない。その結果、特許文献1に開示された構成によれば、例えば、術者の所望の観察対象とは異なる観察対象に関する情報がモニタに表示されてしまう場合があることに起因し、病変部位に対して外科的処置を施す際の効率が低下してしまう、という課題が生じている。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、病変部位に対して外科的処置を施す際の効率を向上させることが可能な生体観察システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の生体観察システムは、所定の波長帯域において血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて吸光係数が変化する第1の照明光と、前記所定の波長帯域において酸化ヘモグロビンの吸収係数と還元ヘモグロビンの吸収係数とが等しくなる波長である第1の等吸収点波長を含む第2の照明光と、前記所定の波長帯域よりも長波長の波長帯域において1以上の波長帯域を具備する第3の照明光と、を発生するように構成された照明部と、前記照明部から発せられる照明光が照射された被写体からの戻り光を撮像するように構成された撮像部と、所定の観察状態において、前記第1の照明光が照射された際の前記被写体の画像信号と前記第2の照明光が照射された際の前記被写体の画像信号との画像間演算により前記所定の波長帯域における前記被写体の酸素飽和度に関する情報を取得するように構成された情報取得部と、前記所定の観察状態において、前記所定の波長帯域における前記被写体の酸素飽和度に関する情報を反映した画像情報を生成し、前記所定の観察状態よりも前記被写体を拡大して観察する場合に、前記第3の照明光が照射された際の前記被写体の画像信号に基づき画像情報を生成するように構成された画像情報生成部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明における生体観察システムによれば、病変部位に対して外科的処置を施す際の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施例に係る生体観察システムの要部の構成を示す図。
図2】原色カラーフィルタの分光特性の一例を示す図。
図3】第1の実施例において、特殊光観察モード時に光源装置から発せられる光の波長の一例を説明するための図。
図4】第1の実施例において、特殊光観察モード時に光源装置から発せられるNB1光の波長帯域の具体例を説明するための図。
図5】第1の実施例において、特殊光観察モード時に光源装置から発せられるNR1光の波長帯域の具体例を説明するための図。
図6】第1の実施例において、第1の表示モード時に生成される観察画像に含まれる画素の輝度値の一例を説明するための図。
図7】第1の実施例において、第1の表示モード時に生成される観察画像に含まれる、図6とは異なる画素の輝度値の一例を説明するための図。
図8】第1の実施例において、第2の表示モード時に生成される観察画像に含まれる画素の輝度値の一例を説明するための図。
図9】第1の実施例において、第2の表示モード時に生成される観察画像に含まれる、図8とは異なる画素の輝度値の一例を説明するための図。
図10】第2の実施例に係る生体観察システムの要部の構成を示す図。
図11】第2の実施例において、特殊光観察モード時に光源装置から発せられる光の波長の一例を説明するための図。
図12】第2の実施例において、第1の表示モード時に生成される観察画像に含まれる画素の輝度値の一例を説明するための図。
図13】第2の実施例において、第1の表示モード時に生成される観察画像に含まれる、図12とは異なる画素の輝度値の一例を説明するための図。
図14】第2の実施例において、第2の表示モード時に生成される観察画像に含まれる画素の輝度値の一例を説明するための図。
図15】第2の実施例において、第2の表示モード時に生成される観察画像に含まれる、図14とは異なる画素の輝度値の一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0011】
(第1の実施例)
図1から図9は、本発明の第1の実施例に係るものである。図1は、第1の実施例に係る生体観察システムの要部の構成を示す図である。
【0012】
生体観察システム101は、図1に示すように、生体である被検体内に挿入可能な細長形状の挿入部を具備するとともに、当該被検体内の生体組織等の被写体を撮像して撮像信号を出力する内視鏡1と、内視鏡1の内部に挿通配置されたライトガイド6を介して当該被写体の観察に用いられる光を供給する光源装置2と、内視鏡1から出力される撮像信号に応じた観察画像等を生成して出力するプロセッサ3と、プロセッサ3から出力される観察画像等を表示する表示装置4と、ユーザの入力操作に応じた指示等をプロセッサ3に対して行うことが可能なスイッチ及び/またはボタン等を備えた入力装置5と、を有して構成されている。
【0013】
内視鏡1は、ライトガイド6により伝送された光を被写体へ照射する照明光学系11と、照明光学系11から照射された光に応じて当該被写体から発せられる反射光(戻り光)を撮像して得られた撮像信号を出力する撮像部12と、を挿入部の先端部に設けて構成されている。また、内視鏡1は、ユーザの操作に応じた種々の指示をプロセッサ3に対して行うことが可能なスコープスイッチ13を有して構成されている。
【0014】
撮像部12は、光源装置2から発せられる照明光により照明された被写体からの反射光(戻り光)を撮像して撮像信号を出力するように構成されている。具体的には、撮像部12は、被写体から発せられる反射光(戻り光)を結像する対物光学系12aと、原色カラーフィルタ121を備えた撮像面が対物光学系12aの結像位置に合わせて配置された撮像素子12bと、を有して構成されている。
【0015】
撮像素子12bは、例えば、CCD等を具備し、プロセッサ3から出力される撮像素子駆動信号に応じて駆動するとともに、撮像面に結像された被写体からの反射光(戻り光)を撮像して得られた撮像信号を出力するように構成されている。
【0016】
原色カラーフィルタ121は、赤色域、緑色域及び青色域の各波長帯域において、図2に例示するような分光感度を具備している。図2は、原色カラーフィルタの分光特性の一例を示す図である。
【0017】
すなわち、本実施例の撮像部12は、NR1光(後述)により照明された被写体及びNR2光(後述)により照明された被写体を赤色域に感度を有する画素群で撮像し、NB1光(後述)により照明された被写体及びNB2光(後述)により照明された被写体を青色域に感度を有する画素群で撮像するように構成されている。
【0018】
スコープスイッチ13は、観察モード切替スイッチ13aと、表示モード切替スイッチ13bと、を有して構成されている。
【0019】
観察モード切替スイッチ13aは、ユーザの操作に応じ、生体観察システム101の観察モードを白色光観察モードまたは特殊光観察モードのいずれかに設定する(切り替える)ための指示をプロセッサ3に対して行うことができるように構成されている。
【0020】
表示モード切替スイッチ13bは、ユーザの操作に応じ、特殊光観察モードにおいて、表示装置4に表示される観察画像の表示モードを第1の表示モードまたは第2の表示モードのいずれかに設定するための指示をプロセッサ3に対して行うことができるように構成されている。
【0021】
光源装置2は、照明制御部21と、白色光発生部22a及び特殊光発生部22bを備えた発光ユニット22と、を有して構成されている。
【0022】
照明制御部21は、例えば、制御回路等を具備して構成されている。また、照明制御部21は、プロセッサ3から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが白色光観察モードに設定されたことを検出した場合には、白色光発生部22aから白色光を発生させるとともに、特殊光発生部22bを消光させるための照明制御信号を生成し、当該生成した照明制御信号を発光ユニット22へ出力するように構成されている。
【0023】
照明制御部21は、プロセッサ3から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが特殊光観察モードに設定されたことを検出した場合には、白色光発生部22aを消光させるとともに、特殊光発生部22bから後述のNB1光、NB2光、NR1光及びNR2光を所定の順番で発生させるための照明制御信号を生成し、当該生成した照明制御信号を発光ユニット22へ出力するように構成されている。
【0024】
白色光発生部22aは、例えば、1以上のLED(発光ダイオード)を具備し、照明制御部21から出力される照明制御信号に基づき、赤色域、緑色域及び青色域を含む広帯域光である白色光を発生することができるように構成されている。
【0025】
特殊光発生部22bは、例えば、複数のLEDまたはLD(レーザーダイオード)を具備し、照明制御部21から出力される照明制御信号に基づき、相互に異なる波長帯域を具備するように設定されたNB1光、NB2光、NR1光、及び、NR2光を個別にまたは同時に発生することができるように構成されている。図3は、第1の実施例において、特殊光観察モード時に光源装置から発せられる光の波長の一例を説明するための図である。図4は、第1の実施例において、特殊光観察モード時に光源装置から発せられるNB1光の波長帯域の具体例を説明するための図である。図5は、第1の実施例において、特殊光観察モード時に光源装置から発せられるNR1光の波長帯域の具体例を説明するための図である。
【0026】
NB1光は、例えば、図3及び図4に示すように、酸化ヘモグロビンの吸収係数と還元ヘモグロビンの吸収係数とが等しくなる波長、すなわち、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの等吸収点波長をピーク波長λP1として具備するように設定されている。
【0027】
また、NB1光の波長帯域は、例えば、図3及び図4に示すように、ピーク波長λP1よりも短い波長λb1を示す線分Lb1、酸化ヘモグロビンの吸収スペクトルを示す線分LH1及び還元ヘモグロビンの吸収スペクトルを示す線分LH2の3つの線分により囲まれる領域Sb1の面積と、ピーク波長λP1よりも長い波長λb2を示す線分Lb2、線分LH1及び線分LH2の3つの線分により囲まれる領域Sb2の面積と、が略等しくなるような波長帯域として設定されている。また、NB1光の波長帯域は、NB2光の波長帯域よりも短波長側に設定されている。
【0028】
すなわち、NB1光の波長帯域は、可視域(青色域)における酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの等吸収点波長を含むとともに、NB2光の波長帯域に重複しないように設定されている。
【0029】
なお、本実施例においては、好適には、ピーク波長λP1が422nmとして設定され、波長λb1が408nmとして設定され、かつ、波長λb2が432nmとして設定される。
【0030】
NB2光は、例えば、図3に示すように、酸化ヘモグロビンの吸収係数が還元ヘモグロビンの吸収係数に比べて大きくなる波長をピーク波長λP2として具備するように設定されている。
【0031】
また、NB2光の波長帯域は、例えば、図3に示すように、青色域において、NB1光の波長帯域と重複せず、かつ、酸化ヘモグロビンの吸収係数が還元ヘモグロビンの吸収係数に比べて常に大きくなるような波長帯域として設定されている。
【0032】
すなわち、NB2光の波長帯域は、可視域(青色域)内において、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて吸収係数が変化するような波長帯域として設定されている。
【0033】
なお、本実施例においては、好適には、ピーク波長λP2が460nm〜470nmの所定の波長に設定される。
【0034】
NR1光は、例えば、図3及び図5に示すように、λP1よりも長波長側で酸化ヘモグロビンの吸収係数と還元ヘモグロビンの吸収係数とが等しくなる波長、すなわち、λP1よりも長波長側における酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの等吸収点波長をピーク波長λP3として具備するように設定されている。
【0035】
また、NR1光の波長帯域は、例えば、図3及び図5に示すように、ピーク波長λP3よりも短い波長λr1を示す線分Lr1、線分LH1及び線分LH2の3つの線分により囲まれる領域Sr1の面積と、ピーク波長λP3よりも長い波長λr2を示す線分Lr2、線分LH1及び線分LH2の3つの線分により囲まれる領域Sr2の面積と、が略等しくなるような波長帯域として設定されている。また、NR1光の波長帯域は、NR2光の波長帯域よりも短波長側に設定されている。
【0036】
すなわち、NR1光の波長帯域は、可視域(黄色域)における酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの等吸収点波長を含むとともに、NR2光の波長帯域に重複しないように設定されている。
【0037】
なお、本実施例においては、好適には、ピーク波長λP3が584nmとして設定され、波長λr1が576nmとして設定され、かつ、波長λr2が592nmとして設定される。
【0038】
NR2光は、例えば、図3に示すように、還元ヘモグロビンの吸収係数が酸化ヘモグロビンの吸収係数に比べて大きくなる波長をピーク波長λP4として具備するように設定されている。
【0039】
また、NB2光の波長帯域は、例えば、図3に示すように、赤色域において、NR1光の波長帯域と重複せず、かつ、還元ヘモグロビンの吸収係数が酸化ヘモグロビンの吸収係数に比べて常に大きくなるような波長帯域として設定されている。
【0040】
すなわち、NR2光の波長帯域は、可視域(赤色域)内において、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて吸収係数が変化するような波長帯域として設定されている。
【0041】
なお、本実施例においては、好適には、ピーク波長λP4が650nmまたは650nm付近の所定の波長のいずれかに設定される。
【0042】
プロセッサ3は、前処理部31と、画像信号処理部32と、観察画像生成部33と、制御部34と、を有して構成されている。
【0043】
前処理部31は、例えば、ノイズ低減回路及びA/D変換回路等を具備し、内視鏡1から出力される撮像信号に対してノイズ除去及びA/D変換等の処理を施すことによりデジタルな画像信号を生成し、当該生成した画像信号を画像信号処理部32へ出力するように構成されている。
【0044】
画像信号処理部32は、例えば、信号処理回路等を具備して構成されている。また、画像信号処理部32は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが白色光観察モードに設定されたことを検出した場合には、前処理部31から出力される画像信号を、白色光の反射光(戻り光)を撮像して得られるR(赤色)成分、G(緑色)成分及びB(青色)成分の色成分毎に分離して観察画像生成部33へ出力するように構成されている。
【0045】
画像信号処理部32は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが特殊光観察モードに設定されたことを検出した場合には、前処理部31から出力される画像信号を、NB1光の反射光(戻り光)を撮像して得られるNB1成分、NB2光の反射光(戻り光)を撮像して得られるNB2成分、NR1光の反射光(戻り光)を撮像して得られるNR1成分、及び、NR2光の反射光(戻り光)を撮像して得られるNR2成分の色成分毎に分離するための処理を行うように構成されている。
【0046】
そして、画像信号処理部32は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、第1の表示モードの観察画像を表示させる設定が行われたことを検出した場合には、前述のように分離された各色成分のうちのNB1成分及びNB2成分を用いて画像間演算を行うことにより係数C1を算出し、当該算出した係数C1をNR1成分に乗じて観察画像生成部33へ出力するように構成されている。
【0047】
また、画像信号処理部32は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、第2の表示モードの観察画像を表示させる設定が行われたことを検出した場合には、前述のように分離された各色成分のうちのNR1成分及びNR2成分を用いて画像間演算を行うことにより係数C2を算出し、当該算出した係数C2をNR2成分に乗じて観察画像生成部33へ出力するように構成されている。
【0048】
観察画像生成部33は、例えば、画像処理回路等を具備して構成されている。また、観察画像生成部33は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが白色光観察モードに設定されたことを検出した場合には、画像信号処理部32から出力されるR成分の輝度値を表示装置4の赤色に対応するRチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるG成分の輝度値を表示装置4の緑色に対応するGチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるB成分の輝度値を表示装置4の青色に対応するBチャンネルに割り当てることにより観察画像を生成し、当該生成した観察画像を表示装置4へ出力するように構成されている。
【0049】
観察画像生成部33は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが特殊光観察モードに設定された場合には、画像信号処理部32から出力されるNR2成分の輝度値をRチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNR1成分の輝度値をGチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNB1成分とNB2成分とを加算して得られる輝度値をBチャンネルに割り当てることにより観察画像を生成し、当該生成した観察画像を表示装置4へ出力するように構成されている。
【0050】
制御部34は、撮像素子12bを駆動するための撮像素子駆動信号を生成して出力するように構成されている。
【0051】
制御部34は、例えば、CPUまたは制御回路等を具備し、観察モード切替スイッチ13aにおいて設定された観察モードに対応する動作を行わせるためのシステム制御信号を生成して照明制御部21、画像信号処理部32及び観察画像生成部33へ出力するように構成されている。
【0052】
制御部34は、表示モード切替スイッチ13bにおいて設定された表示モードに応じた動作を行わせるためのシステム制御信号を生成して画像信号処理部32へ出力するように構成されている。すなわち、制御部34は、観察画像を表示装置4に表示させる際の表示モードを第1の表示モードまたは第2の表示モードに切り替えるための制御を画像信号処理部32に対して行うように構成されている。
【0053】
続いて、本実施例に係る生体観察システム101の作用について説明する。なお、以降においては、簡単のため、生体観察システム101の観察モードが白色光観察モードに設定された場合における具体的な動作の説明を省略する。また、以降においては、簡単のため、前処理部31からの画像信号を分離して得られた各色成分に対応するNB1画像、NB2画像、NR1画像及びNR2画像に基づく処理が画像信号処理部32において行われるものとして説明する。
【0054】
ユーザは、生体観察システム101の各部の電源を投入し、生体観察システム101の観察モードを白色光観察モードに設定した後、表示装置4に表示される観察画像(白色光画像)を確認しながら、内視鏡1の挿入部を被検体内に挿入してゆく。
【0055】
そして、ユーザは、内視鏡1の挿入部の先端部の先端面と、被写体である生体組織の表面と、の間の距離が中景〜遠景観察に相当する観察距離L1になるような位置に当該先端部を配置した状態において、観察モード切替スイッチ13a及び表示モード切替スイッチ13bを操作することにより、生体観察システム101の観察モードを特殊光観察モードに切り替えるとともに、第1の表示モードの観察画像を表示させるための指示を行う。なお、本実施例においては、好適には、観察距離L1が10mmとなるような位置に内視鏡1の先端部が配置される。
【0056】
制御部34は、生体観察システム101の観察モードが特殊光観察モードに設定されたことを検出すると、例えば、NB1光及びNR1光を同時に発生させるタイミングと、NB2光及びNR2光を同時に発生させるタイミングと、を相互に異なるタイミングに設定した後、当該設定した各タイミングをそれぞれ特定可能なシステム制御信号を生成して照明制御部21、画像信号処理部32及び観察画像生成部33へ出力する。また、制御部34は、第1の表示モードに応じた動作を行わせるためのシステム制御信号を生成して画像信号処理部32へ出力する。そして、このような制御部34の制御によれば、原色カラーフィルタ121が撮像素子12bに設けられている場合において、特殊光観察モード時に表示装置4に表示される観察画像のフレームレートを最適化することができる。
【0057】
なお、本実施例によれば、特殊光観察モードにおいて、NB1光、NB2光、NR1光及びNR2光に対応する撮像信号を個別に得ることが可能なタイミングである限りにおいては、前述のタイミングとは異なるタイミングでNB1光、NB2光、NR1光及びNR2光を発生させるようにしてもよい。
【0058】
照明制御部21は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、NB1光及びNR1光を同時に発生させるための制御と、NB2光及びNR2光を同時に発生させるための制御と、を特殊光発生部22bに対して順次繰り返し行うための照明制御信号を生成し、当該生成した照明制御信号を発光ユニット22へ出力する。そして、このような照明制御部21の制御に応じ、NB1光及びNR1光と、NB2光及びNR2光と、が照明光学系11を経て被写体に順次照射され、当該被写体からの反射光(戻り光)を撮像して得られた撮像信号が撮像素子12bから出力され、撮像素子12bからの撮像信号に基づいて生成された画像信号が前処理部31から出力される。
【0059】
画像信号処理部32は、前処理部31から出力される画像信号を、NB1画像、NB2画像、NR1画像及びNR2画像に分離し、当該分離したNB1画像及びNB2画像の輝度値を用いて画像間演算を行うことにより、NB1画像及びNB2画像の各画素位置に対応する係数C1を算出する。
【0060】
具体的には、画像信号処理部32は、例えば、NB2画像の輝度値からNB1画像の輝度値を除するような演算処理を行うことにより、NB1画像及びNB2画像の各画素位置に対応する係数C1を算出する。
【0061】
または、画像信号処理部32は、例えば、NB2画像の輝度値からNB1画像の輝度値を除して得られる値から1を減ずるような演算処理を行うことにより、NB1画像及びNB2画像の各画素位置に対応する係数C1を算出する。
【0062】
画像信号処理部32は、前処理部31から出力される画像信号を分離して得られたNB1画像、NB2画像及びNR2画像を観察画像生成部33へ出力する。また、画像信号処理部32は、前述の画像間演算により各画素位置毎に算出された係数C1を、NR1画像において対応する画素位置の輝度値に乗じて観察画像生成部33へ出力する。
【0063】
観察画像生成部33は、画像信号処理部32から出力されるNR2画像の輝度値をRチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNR1画像の輝度値をGチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNB1画像とNB2画像とを加算して得られる輝度値をBチャンネルに割り当てることにより観察画像を生成し、当該生成した観察画像を表示装置4へ出力する。
【0064】
ここで、前述の画像間演算により算出される係数C1の値は、血液中に含まれる還元ヘモグロビンの量が酸化ヘモグロビンの量に比べて多くなるに従って増加するとともに、血液中に含まれる酸化ヘモグロビンの量が還元ヘモグロビンの量に比べて多くなるに従って減少する。すなわち、係数C1は、血液中の酸素飽和度が低い場合には相対的に大きな値として算出されるとともに、血液中の酸素飽和度が高い場合には相対的に小さな値として算出される。
【0065】
そのため、本実施例における第1の表示モード時の処理によれば、血液中の酸素飽和度の大きさに応じて緑色の輝度値が変動するような観察画像が生成される。具体的には、本実施例における第1の表示モード時の処理によれば、例えば、血液中の酸素飽和度の大きさが低い画素における緑色の輝度値が相対的に大きくなる(図6参照)とともに、血液中の酸素飽和度の大きさが高い画素における緑色の輝度値が相対的に小さくなる(図7参照)ような観察画像が生成される。図6は、第1の実施例において、第1の表示モード時に生成される観察画像に含まれる画素の輝度値の一例を説明するための図である。図7は、第1の実施例において、第1の表示モード時に生成される観察画像に含まれる、図6とは異なる画素の輝度値の一例を説明するための図である。
【0066】
その結果、本実施例の第1の表示モードにおいては、例えば、細静脈または癌等の病変部位が存在する領域に属する画素の赤色の強度が相対的に低下され、かつ、細動脈が存在する領域に属する画素の赤色の強度が相対的に増加された観察画像が表示装置4に表示される。すなわち、本実施例の第1の表示モードにおいては、粘膜表層の毛細血管と病変部位とを赤色の強弱で識別することが可能な色調を具備する観察画像が表示装置4に表示される。
【0067】
なお、本実施例によれば、例えば、係数C1をNR1画像に直接乗じるものに限らず、例えば、酸素飽和度の増加に従って出力値が減少するように構成されたルックアップテーブルの中から係数C1に相当する一の出力値を抽出し、当該抽出した一の出力値をNR1画像に乗じるようにしてもよい。
【0068】
一方、ユーザは、例えば、内視鏡1の挿入部の先端部の先端面と、被写体である生体組織の表面と、の間の距離が近接拡大観察に相当する観察距離L2(<L1)になるような位置に当該先端部を配置した状態において、表示モード切替スイッチ13bを操作することにより、第2の表示モードの観察画像を表示させるための指示を行う。なお、本実施例においては、好適には、観察距離L2が2〜4mmとなるような位置に内視鏡1の先端部が配置される。
【0069】
制御部34は、第2の表示モードに応じた動作を行わせるためのシステム制御信号を生成して画像信号処理部32へ出力する。
【0070】
画像信号処理部32は、前処理部31から出力される画像信号を、NB1画像、NB2画像、NR1画像及びNR2画像に分離し、当該分離したNR1画像及びNR2画像の輝度値を用いて画像間演算を行うことにより、NR1画像及びNR2画像の各画素位置に対応する係数C2を算出する。
【0071】
具体的には、画像信号処理部32は、例えば、NR2画像の輝度値からNR1画像の輝度値を除するような演算処理を行うことにより、NR1画像及びNR2画像の各画素位置に対応する係数C2を算出する。
【0072】
または、画像信号処理部32は、例えば、NR2画像の輝度値からNR1画像の輝度値を除して得られる値から1を減ずるような演算処理を行うことにより、NR1画像及びNR2画像の各画素位置に対応する係数C2を算出する。
【0073】
画像信号処理部32は、前処理部31から出力される画像信号を分離して得られたNB1画像、NB2画像及びNR1画像を観察画像生成部33へ出力する。また、画像信号処理部32は、前述の画像間演算により各画素位置毎に算出された係数C2を、NR2画像において対応する画素位置の輝度値に乗じて観察画像生成部33へ出力する。
【0074】
観察画像生成部33は、画像信号処理部32から出力されるNR2画像の輝度値をRチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNR1画像の輝度値をGチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNB1画像とNB2画像とを加算して得られる輝度値をBチャンネルに割り当てることにより観察画像を生成し、当該生成した観察画像を表示装置4へ出力する。
【0075】
ここで、前述の画像間演算により算出される係数C2の値は、血液中に含まれる酸化ヘモグロビンの量が還元ヘモグロビンの量に比べて多くなるに従って増加するとともに、血液中に含まれる還元ヘモグロビンの量が酸化ヘモグロビンの量に比べて多くなるに従って減少する。すなわち、係数C2は、血液中の酸素飽和度が高い場合には相対的に大きな値として算出されるとともに、血液中の酸素飽和度が低い場合には相対的に小さな値として算出される。
【0076】
そのため、本実施例における第2の表示モード時の処理によれば、血液中の酸素飽和度の大きさに応じて赤色の輝度値が変動するような観察画像が生成される。具体的には、本実施例における第2の表示モード時の処理によれば、例えば、血液中の酸素飽和度の大きさが高い画素における赤色の輝度値が相対的に大きくなる(図8参照)とともに、血液中の酸素飽和度の大きさが低い画素における赤色の輝度値が相対的に小さくなる(図9参照)ような観察画像が生成される。図8は、第1の実施例において、第2の表示モード時に生成される観察画像に含まれる画素の輝度値の一例を説明するための図である。図9は、第1の実施例において、第2の表示モード時に生成される観察画像に含まれる、図8とは異なる画素の輝度値の一例を説明するための図である。
【0077】
その結果、本実施例の第2の表示モードにおいては、例えば、太径静脈が存在する領域に属する画素の赤色の強度が相対的に低下され、かつ、太径動脈が存在する領域に属する画素の赤色の強度が相対的に増加された観察画像が表示装置4に表示される。すなわち、本実施例の第2の表示モードにおいては、粘膜下層の太径動脈と太径静脈とを赤色〜青色の色域で視覚的に識別することが可能な色調を具備する観察画像が表示装置4に表示される。
【0078】
なお、本実施例によれば、例えば、係数C2をNR2画像に直接乗じるものに限らず、例えば、酸素飽和度の増加に従って出力値が増加するように構成されたルックアップテーブルの中から係数C2に相当する一の出力値を抽出し、当該抽出した一の出力値をNR2画像に乗じるようにしてもよい。
【0079】
以上に述べたように、本実施例によれば、第1の表示モードに設定された際に、粘膜表層における正常部位と病変部位との境界を視覚的に容易に識別可能な色調を具備する観察画像を表示装置4に表示させることができる。また、本実施例によれば、第2の表示モードに設定された際に、粘膜下層における太径静脈と太径動脈とを視覚的に容易に識別可能な色調を具備する観察画像を表示装置4に表示させることができる。従って、本実施例によれば、例えば、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)等のような外科的処置を病変部位に対して施す際の効率を向上させることができる。
【0080】
なお、本実施例によれば、表示モード切替スイッチ13bの操作に応じて第1の表示モードと第2の表示モードとが切り替わるような構成を具備するものに限らず、例えば、内視鏡1の挿入部の先端部の先端面と、被写体である生体組織の表面と、の間の距離を検出するように構成された測距センサを内視鏡1の挿入部に設け、当該測距センサの検出結果に基づき、観察画像を表示装置4に表示させる際の表示モードを第1の表示モードまたは第2の表示モードに切り替えるためのシステム制御信号が制御部34から出力されるようにしてもよい。
【0081】
また、本実施例によれば、例えば、第2の表示モードに設定された際に、NR2画像の輝度値に係数C2を乗じて観察画像生成部33へ出力するとともに、NB1画像及びNB2画像の輝度値にそれぞれ係数C2を乗じて観察画像生成部33へ出力するような処理が行われるようにしてもよい。そして、このような処理によれば、第1の表示モードに設定された際に表示装置4に表示される観察画像と、第2の表示モードに設定された際に表示装置4に表示される観察画像と、において、病変部位の色調を略同じにすることができる。
【0082】
また、本実施例によれば、第1の表示モードにおいて生成される観察画像と、第2の表示モードにおいて生成される観察画像と、を同時に表示装置4に表示させるための処理が行われるようにしてもよい。
【0083】
一方、本実施例によれば、前述のようなNB2光の代わりに、例えば、還元ヘモグロビンの吸収係数が酸化ヘモグロビンの吸収係数に比べて大きくなる波長である440nmをピーク波長λP2として具備するとともに、還元ヘモグロビンの吸収係数が酸化ヘモグロビンの吸収係数に比べて常に大きくなるような波長帯域を具備するNB2光を照射するような変形例が考えられる。そして、このような変形例に係るNB2光の照射に応じ、第1の表示モードにおいて、係数C1が乗じられたNR1画像の輝度値または係数C1が乗じられたNR2画像の輝度値をRチャンネルに割り当て、NB1画像とNB2画像とを加算して得られる輝度値をGチャンネルに割り当て、NB1画像とNB2画像とを加算して得られる輝度値をBチャンネルに割り当てることにより生成した観察画像を表示装置4に表示させるための処理が行われるようにしてもよい。
【0084】
ここで、本変形例の第1の表示モード時の処理において算出される係数C1の値は、前述の係数C2と同様の傾向で増加または減少する。
【0085】
そのため、本変形例の第1の表示モード時の処理によれば、血液中の酸素飽和度の大きさに応じて赤色の輝度値が変動するような観察画像が生成される。
【0086】
その結果、本変形例の第1の表示モードにおいては、例えば、細静脈または癌等の病変部位が存在する領域に属する画素の赤色の強度が相対的に低下され、かつ、細動脈が存在する領域に属する画素の赤色の強度が相対的に増加された観察画像が表示装置4に表示される。
【0087】
(第2の実施例)
図10から図15は、本発明の第2の実施例に係るものである。
【0088】
なお、本実施例においては、第1の実施例と同様の構成等を有する部分に関する詳細な説明を省略するとともに、第1の実施例と異なる構成等を有する部分に関して主に説明を行う。図10は、第2の実施例に係る生体観察システムの要部の構成を示す図である。
【0089】
生体観察システム101Aは、図10に示すように、内視鏡1と、内視鏡1の内部に挿通配置されたライトガイド6を介して当該被写体の観察に用いられる光を供給する光源装置2Aと、プロセッサ3と、表示装置4と、入力装置5と、を有して構成されている。
【0090】
光源装置2Aは、照明制御部21と、白色光発生部22a及び特殊光発生部22cを備えた発光ユニット22Aと、を有して構成されている。
【0091】
照明制御部21は、プロセッサ3から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが特殊光観察モードに設定されたことを検出した場合には、白色光発生部22aを消光させるとともに、特殊光発生部22cからNB1光、NB2光、NR1光、NR2光及びNG光(後述)を所定の順番で発生させるための照明制御信号を生成し、当該生成した照明制御信号を発光ユニット22へ出力するように構成されている。
【0092】
特殊光発生部22cは、例えば、複数のLEDを具備し、照明制御部21から出力される照明制御信号に基づき、NB1光、NB2光、NR1光、NR2光、及び、NG光を個別にまたは同時に発生することができるように構成されている。図11は、第2の実施例において、特殊光観察モード時に光源装置から発せられる光の波長の一例を説明するための図である。
【0093】
NG光は、例えば、図11に示すように、緑色域の波長をピーク波長λP5として具備するとともに、(緑色域において)NB2光及びNR1光と重複しないような波長帯域を具備している。なお、本実施例においては、好適には、ピーク波長λP5が540nmまたは540nm付近の所定の波長のいずれかに設定される。
【0094】
すなわち、本実施例の撮像部12は、NR1光により照明された被写体及びNR2光により照明された被写体を赤色域に感度を有する画素群で撮像し、NG光により照明された被写体を緑色域に感度を有する画素群で撮像し、NB1光により照明された被写体及びNB2光により照明された被写体を青色域に感度を有する画素群で撮像するように構成されている。
【0095】
画像信号処理部32は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが特殊光観察モードに設定されたことを検出した場合には、前処理部31から出力される画像信号を、NB1成分、NB2成分、NR1成分、NR2成分、及び、NG光の反射光(戻り光)を撮像して得られるNG成分の色成分毎に分離するための処理を行うように構成されている。
【0096】
そして、画像信号処理部32は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、第1の表示モードの観察画像を表示させる設定が行われたことを検出した場合には、前述のように分離された各色成分のうちのNB1成分及びNB2成分を用いて画像間演算を行うことにより係数C3を算出し、当該算出した係数C3をNG成分に乗じて観察画像生成部33へ出力するように構成されている。
【0097】
また、画像信号処理部32は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、第2の表示モードの観察画像を表示させる設定が行われたことを検出した場合には、前述のように分離された各色成分のうちのNR1成分及びNR2成分を用いて画像間演算を行うことにより係数C4を算出し、当該算出した係数C4をNR1成分及びNR2成分にそれぞれ乗じて観察画像生成部33へ出力するように構成されている。
【0098】
観察画像生成部33は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、例えば、生体観察システム101の観察モードが特殊光観察モードに設定された場合には、画像信号処理部32から出力されるNR1成分とNR2成分とを加算して得られる輝度値をRチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNG成分の輝度値をGチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNB1成分とNB2成分とを加算して得られる輝度値をBチャンネルに割り当てることにより観察画像を生成し、当該生成した観察画像を表示装置4へ出力するように構成されている。
【0099】
続いて、本実施例に係る生体観察システム101Aの作用について説明する。なお、以降においては、簡単のため、生体観察システム101Aの観察モードが白色光観察モードに設定された場合における具体的な動作の説明を省略する。また、以降においては、簡単のため、前処理部31からの画像信号を分離して得られた各色成分に対応するNB1画像、NB2画像、NR1画像、NR2画像及びNG画像に基づく処理が画像信号処理部32において行われるものとして説明する。
【0100】
ユーザは、生体観察システム101の各部の電源を投入し、生体観察システム101の観察モードを白色光観察モードに設定した後、表示装置4に表示される観察画像(白色光画像)を確認しながら、内視鏡1の挿入部を被検体内に挿入してゆく。
【0101】
そして、ユーザは、例えば、内視鏡1の挿入部の先端部の先端面と、被写体である生体組織の表面と、の間の距離が中景〜遠景観察に相当する観察距離L1になるような位置に当該先端部を配置した状態において、観察モード切替スイッチ13a及び表示モード切替スイッチ13bを操作することにより、生体観察システム101の観察モードを特殊光観察モードに切り替えるとともに、第1の表示モードの観察画像を表示させるための指示を行う。
【0102】
制御部34は、生体観察システム101Aの観察モードが特殊光観察モードに設定されたことを検出すると、例えば、NB1光、NR2光及びNG光を同時に発生させるタイミングと、NB2光及びNR1光を同時に発生させるタイミングと、を相互に異なるタイミングに設定した後、当該設定した各タイミングをそれぞれ特定可能なシステム制御信号を生成して照明制御部21、画像信号処理部32及び観察画像生成部33へ出力する。また、制御部34は、第1の表示モードに応じた動作を行わせるためのシステム制御信号を生成して画像信号処理部32へ出力する。そして、このような制御部34の制御によれば、原色カラーフィルタ121が撮像素子12bに設けられている場合において、特殊光観察モード時に表示装置4に表示される観察画像のフレームレートを最適化することができる。また、NB1光、NR2光及びNG光を同時に発生させるための制御が行われることにより、同一画素における混色を低減することができる。
【0103】
なお、本実施例によれば、特殊光観察モードにおいて、NB1光、NB2光、NR1光、NR2光及びNG光に対応する撮像信号を個別に得ることが可能なタイミングである限りにおいては、前述のタイミングとは異なるタイミングでNB1光、NB2光、NR1光、NR2光及びNG光を発生させるようにしてもよい。
【0104】
照明制御部21は、制御部34から出力されるシステム制御信号に基づき、NB1光、NR2光及びNG光を同時に発生させるための制御と、NB2光及びNR1光を同時に発生させるための制御と、を特殊光発生部22cに対して順次繰り返し行う。そして、このような照明制御部21の制御に応じ、NB1光、NR2光及びNG光と、NB2光及びNR1光と、が照明光学系11を経て順次照射され、当該被写体からの反射光(戻り光)を撮像して得られた撮像信号が撮像素子12bから出力され、撮像素子12bからの撮像信号に基づいて生成された画像信号が前処理部31から出力される。
【0105】
画像信号処理部32は、前処理部31から出力される画像信号を、NB1画像、NB2画像、NR1画像、NR2画像及びNG画像に分離し、当該分離したNB1画像及びNB2画像の輝度値を用いて画像間演算を行うことにより、NB1画像及びNB2画像の各画素位置に対応する係数C3を算出する。
【0106】
具体的には、画像信号処理部32は、例えば、NB2画像の輝度値からNB1画像の輝度値を除するような演算処理を行うことにより、NB1画像及びNB2画像の各画素位置に対応する係数C3を算出する。
【0107】
または、画像信号処理部32は、例えば、NB2画像の輝度値からNB1画像の輝度値を除して得られる値から1を減ずるような演算処理を行うことにより、NB1画像及びNB2画像の各画素位置に対応する係数C3を算出する。
【0108】
画像信号処理部32は、前処理部31から出力される画像信号を分離して得られたNB1画像、NB2画像、NR1画像及びNR2画像を観察画像生成部33へ出力する。また、画像信号処理部32は、前述の画像間演算により各画素位置毎に算出された係数C3を、NG画像において対応する画素位置の輝度値に乗じて観察画像生成部33へ出力する。
【0109】
観察画像生成部33は、画像信号処理部32から出力されるNR1画像とNR2画像とを加算して得られる輝度値をRチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNG画像の輝度値をGチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNB1画像とNB2画像とを加算して得られる輝度値をBチャンネルに割り当てることにより観察画像を生成し、当該生成した観察画像を表示装置4へ出力する。
【0110】
ここで、前述の画像間演算により算出される係数C3の値は、第1の実施例において説明した係数C1と同様の傾向で増加または減少する。
【0111】
そのため、本実施例における第1の表示モード時の処理によれば、血液中の酸素飽和度の大きさに応じて緑色の輝度値が変動するような観察画像が生成される。具体的には、本実施例における第1の表示モード時の処理によれば、例えば、血液中の酸素飽和度の大きさが低い画素における緑色の輝度値が相対的に大きくなる(図12参照)とともに、血液中の酸素飽和度の大きさが高い画素における緑色の輝度値が相対的に小さくなる(図13参照)ような観察画像が生成される。図12は、第2の実施例において、第1の表示モード時に生成される観察画像に含まれる画素の輝度値の一例を説明するための図である。図13は、第2の実施例において、第1の表示モード時に生成される観察画像に含まれる、図12とは異なる画素の輝度値の一例を説明するための図である。
【0112】
その結果、本実施例の第1の表示モードにおいては、例えば、細動脈が存在する領域に属する画素の赤色の強度が増加された観察画像が表示装置4に表示される。すなわち、本実施例の第1の表示モードにおいては、粘膜表層の毛細血管と病変部位とを赤色の強弱で識別することが可能な色調を具備する観察画像が表示装置4に表示される。
【0113】
なお、本実施例によれば、例えば、係数C3をNG画像に直接乗じるものに限らず、例えば、酸素飽和度の増加に従って出力値が減少するように構成されたルックアップテーブルの中から係数C3に相当する一の出力値を抽出し、当該抽出した一の出力値をNG画像に乗じるようにしてもよい。
【0114】
一方、ユーザは、例えば、内視鏡1の挿入部の先端部の先端面と、被写体である生体組織の表面と、の間の距離が近接拡大観察に相当する観察距離L2になるような位置に当該先端部を配置した状態において、表示モード切替スイッチ13bを操作することにより、第2の表示モードの観察画像を表示させるための指示を行う。
【0115】
制御部34は、第2の表示モードに応じた動作を行わせるためのシステム制御信号を生成して画像信号処理部32へ出力する。
【0116】
画像信号処理部32は、前処理部31から出力される画像信号を、NB1画像、NB2画像、NR1画像、NR2画像及びNG画像に分離し、当該分離したNR1画像及びNR2画像の輝度値を用いて画像間演算を行うことにより、NR1画像及びNR2画像の各画素位置に対応する係数C4を算出する。
【0117】
具体的には、画像信号処理部32は、例えば、NR2画像の輝度値からNR1画像の輝度値を除するような演算処理を行うことにより、NR1画像及びNR2画像の各画素位置に対応する係数C4を算出する。
【0118】
または、画像信号処理部32は、例えば、NR2画像の輝度値からNR1画像の輝度値を除して得られる値から1を減ずるような演算処理を行うことにより、NR1画像及びNR2画像の各画素位置に対応する係数C4を算出する。
【0119】
画像信号処理部32は、前処理部31から出力される画像信号を分離して得られたNB1画像、NB2画像及びNG画像を観察画像生成部33へ出力する。また、画像信号処理部32は、前述の画像間演算により各画素位置毎に算出された係数C4を、NR1画像及びNR2画像において対応する画素位置の輝度値に乗じて観察画像生成部33へ出力する。
【0120】
観察画像生成部33は、画像信号処理部32から出力されるNR1画像とNR2画像とを加算して得られる輝度値をRチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNG画像の輝度値をGチャンネルに割り当て、画像信号処理部32から出力されるNB1画像とNB2画像とを加算して得られる輝度値をBチャンネルに割り当てることにより観察画像を生成し、当該生成した観察画像を表示装置4へ出力する。
【0121】
ここで、前述の画像間演算により算出される係数C4の値は、第1の実施例において説明した係数C2と同様の傾向で増加または減少する。
【0122】
そのため、本実施例における第2の表示モード時の処理によれば、血液中の酸素飽和度の大きさに応じて赤色の輝度値が変動するような観察画像が生成される。具体的には、本実施例における第2の表示モード時の処理によれば、例えば、血液中の酸素飽和度の大きさが高い画素における赤色の輝度値が相対的に大きくなる(図14参照)とともに、血液中の酸素飽和度の大きさが低い画素における赤色の輝度値が相対的に小さくなる(図15参照)ような観察画像が生成される。図14は、第2の実施例において、第2の表示モード時に生成される観察画像に含まれる画素の輝度値の一例を説明するための図である。図15は、第2の実施例において、第2の表示モード時に生成される観察画像に含まれる、図14とは異なる画素の輝度値の一例を説明するための図である。
【0123】
その結果、本実施例の第2の表示モードにおいては、例えば、太径静脈が存在する領域に属する画素の青色の強度が増加された観察画像が表示装置4に表示される。すなわち、本実施例の第2の表示モードにおいては、粘膜下層の太径動脈と太径静脈とを赤色〜青色の色域で視覚的に識別することが可能な色調を具備する観察画像が表示装置4に表示される。
【0124】
なお、本実施例によれば、例えば、係数C4をNR1画像及びNR2画像に直接乗じるものに限らず、例えば、酸素飽和度の増加に従って出力値が増加するように構成されたルックアップテーブルの中から係数C4に相当する一の出力値を抽出し、当該抽出した一の出力値をNR1画像及びNR2画像に乗じるようにしてもよい。
【0125】
以上に述べたように、本実施例によれば、第1の表示モードに設定された際に、粘膜表層における正常部位と病変部位との境界を視覚的に容易に識別可能な色調を具備する観察画像を表示装置4に表示させることができる。また、本実施例によれば、第2の表示モードに設定された際に、粘膜下層における太径静脈と太径動脈とを視覚的に容易に識別可能な色調を具備する観察画像を表示装置4に表示させることができる。さらに、本実施例によれば、第1の表示モード及び第2の表示モードにおいて、画像全域の色調が白色光観察モードと類似するような観察画像を表示装置4に表示させることができる。
【0126】
従って、本実施例によれば、例えば、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)等のような外科的処置を病変部位に対して施す際の効率を向上させることができる。
【0127】
なお、本実施例によれば、第1の表示モードにおいて生成される観察画像と、第2の表示モードにおいて生成される観察画像と、を同時に表示装置4に表示させるための処理が行われるようにしてもよい。
【0128】
また、本実施例によれば、第1の表示モードにおいて、例えば、NG画像の輝度値をRチャンネルに割り当て、係数C3が乗じられたNB1画像と係数C3が乗じられたNB2画像とを加算して得られる輝度値をGチャンネルに割り当て、NB1画像とNB2画像とを加算して得られる輝度値をBチャンネルに割り当てることにより生成した観察画像を表示装置4に表示させるようにしてもよい。
【0129】
一方、本実施例によれば、前述のようなNB2光の代わりに、例えば、還元ヘモグロビンの吸収係数が酸化ヘモグロビンの吸収係数に比べて大きくなる波長である440nmをピーク波長λP2として具備するとともに、還元ヘモグロビンの吸収係数が酸化ヘモグロビンの吸収係数に比べて常に大きくなるような波長帯域を具備するNB2光を照射するような変形例が考えられる。そして、このような変形例に係るNB2光の照射に応じ、第1の表示モードにおいて、係数C3が乗じられたNR1画像の輝度値と係数C3が乗じられたNR2画像の輝度値とを加算して得られる輝度値をRチャンネルに割り当て、NG画像の輝度値をGチャンネルに割り当て、NB1画像とNB2画像とを加算して得られる輝度値をBチャンネルに割り当てることにより生成した観察画像を表示装置4に表示させるための処理が行われるようにしてもよい。
【0130】
ここで、本変形例の第1の表示モード時の処理において算出される係数C3の値は、第1の実施例において説明した係数C2と同様の傾向で増加または減少する。
【0131】
そのため、本変形例の第1の表示モード時の処理によれば、血液中の酸素飽和度の大きさに応じて赤色の輝度値が変動するような観察画像が生成される。
【0132】
その結果、本変形例の第1の表示モードにおいては、例えば、細静脈または癌等の病変部位が存在する領域に属する画素の赤色の強度が相対的に低下され、かつ、細動脈が存在する領域に属する画素の赤色の強度が相対的に増加された観察画像が表示装置4に表示される。
【0133】
本発明は、上述した各実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0134】
1 内視鏡
2,2A 光源装置
3 プロセッサ
4 表示装置
5 入力装置
6 ライトガイド
12 撮像部
13 スコープスイッチ
13a 観察モード切替スイッチ
13b 表示モード切替スイッチ
21 照明制御部
22,22A
22a 白色光発生部
22b,22c 特殊光発生部
32 画像信号処理部
33 観察画像生成部
34 制御部
101,101A 生体観察システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0135】
【特許文献1】日本国特開2012−66065号公報
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