(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ストラットの間に形成された前記燃焼ガス通路を通過し得る大きさで周方向において複数に分割されていることを特徴とする請求項1または2に記載の排気室入口側部材。
少なくとも前記最終段タービン動翼における翼根部の軸方向寸法よりも大きい軸方向寸法に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の排気室入口側部材。
軸方向下流側の端部において、径方向内側に突出して環状に形成された鍔部が設けられ、該鍔部の径方向内周端には前記ストラットの周方向位置に対応した位置に前記鍔部の周方向に沿った切欠き部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の排気室入口側部材。
軸方向上流側において径方向内側に突出して設けられて周方向に複数の開口穴が配列された調整板を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の排気室入口側部材。
回転軸廻りに複数設けられているとともに前記回転軸が延在する軸方向に複数段設けられて前記回転軸とともに回転するタービン動翼を備えるタービンに対し、当該タービンの下流側に隣接して配置されて前記回転軸の軸線を中心として円筒状に形成された車室壁と、
前記車室壁の内周面に沿って設けられて前記回転軸廻りに環状に形成された外側ディフューザと、
前記外側ディフューザの径方向の内側に配置されて前記外側ディフューザとの間で燃焼ガス通路を形成する環状の内側ディフューザと、
前記外側ディフューザと前記内側ディフューザの間で周方向に複数配置されて前記回転軸の軸受部を覆う環状の軸受カバーと前記車室壁の間を接続するストラットと、
請求項1〜8のいずれか一つに記載の排気室入口側部材と、
を備えることを特徴とする排気室。
圧縮機で圧縮した圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼させ、発生した燃焼ガスをタービンに送って回転軸の回転動力を得て、前記タービンの下流側に至る燃焼ガスを排気室から排出するガスタービンにおいて、
請求項9に記載の排気室が適用されることを特徴とするガスタービン。
前記排気室入口側部材は、径方向内側において前記内側ディフューザに対して軸方向で締結される軸方向締結手段と、径方向内側において周方向に分割された分割部材の相互間が周方向に締結される周方向締結手段と、径方向外側から各前記締結手段に通じるように形成された開口部と、を有しており、
前記排気室入口側部材を前記内側ディフューザから取り外す工程では、前記開口部を通して径方向外側から各前記締結手段を操作することを特徴とする請求項11または12に記載の最終段タービン動翼取出方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるガスタービンにおいて、最も軸方向下流側にある最終段タービン動翼は、その
先端部にチップシュラウドが備えられ、周方向に隣接するタービン動翼のチップシュラウド同士が互いに噛み合った構造として、翼振動を抑えている。また、タービン動翼は、その基端部においてタービンディスクに対して軸方向下流側から軸方向上流側に挿し込まれて取り付けられている。また、最終段タービン動翼をタービンから取り出す場合は、周方向に隣接する翼との間のクリアランスを拡げて、軸方向下流側に移動させることで、タービン動翼
が1枚ずつタービンディスクから取り外される。一方、最終段タービン動翼の軸方向下流側にある排気室は、内側ディフューザが最終段タービン動翼の基端部に対向して軸方向下流側に配置されているが、最終段タービン動翼と内側ディフューザとの間の軸方向のスペースは大きくない。そのため、内側ディフューザの軸方向上流側端の周方向に、一箇所だけ切欠き部を設け、その切欠き部を利用して翼を軸方向下流側に引き出して、最終段タービン動翼を1枚ずつ取り外している。
【0006】
ところで、近年では、最終段タービン動翼のチップシュラウドの形状によっては、上述のように最終段タービン動翼を1枚ずつ移動させてタービンディスクから取り外すことが困難な場合がある。このような場合、全ての最終段タービン動翼を少しずつ周方向および軸方向に同時に移動させて、最終段タービン動翼の全体を軸方向下流側に押し出すようにタービンディスクから取り外す必要がある。しかし、最終段タービン動翼が内側ディフューザの上流端と干渉して、最終段タービン動翼のタービンからの取り出しが出来ないという問題があった。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、最終段タービン動翼を容易に取り出すことのできる排気室入口側部材、排気室、ガスタービンおよび最終段タービン動翼取出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、第1の発明の排気室入口側部材は、回転軸廻りに複数設けられているとともに前記回転軸が延在する軸方向に複数段設けられて前記回転軸とともに回転するタービン動翼を備えるタービンに対し、当該タービンの下流側に隣接して配置されて前記回転軸の軸線を中心として円筒状に形成された車室壁と、前記車室壁の内周面に沿って設けられて前記回転軸廻りに環状に形成された外側ディフューザと、前記外側ディフューザの径方向の内側に配置されて前記外側ディフューザとの間で燃焼ガス通路を形成する環状の内側ディフューザと、前記外側ディフューザと前記内側ディフューザの間で周方向に複数配置されて前記回転軸の軸受部を覆う環状の軸受カバーと前記車室壁の間を接続するストラットと、を備え、周方向に上半部と下半部とに分割された排気室の入口側に設けられる排気室入口側部材であって、該排気室入口側部材は、軸方向の最も下流側に配置された最終段タービン動翼の基端部に対して軸方向下流側の対向する位置において前記内側ディフューザの一部を形成するように前記回転軸廻りに環状に形成され、かつ周方向に分割されて前記内側ディフューザに対して着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【0009】
この排気室入口側部材によれば、内側ディフューザから取り外されて各最終段タービン動翼における軸方向下流側を開放することで、周方向で相互に隣接する先端部同士が噛み合って配置されている最終段タービン動翼であっても、全ての最終段タービン動翼を少しずつ軸方向の下流側にスライド移動させて取り外すことができる。この結果、タービンから最終段タービン動翼を容易に取り出すことができる。
【0010】
また、第2の発明の排気室入口側部材は、第1の発明において、周方向において少なくとも上半部材と下半部材とに分割されていることを特徴とする。
【0011】
この排気室入口側部材によれば、少なくとも上半部材と下半部材とに分割されていることで、排気室入口側部材を取り外すことができる。この結果、少なくとも排気室入口側部材を取り外すことにより、取り外し部品点数を少なくして、最終段タービン動翼を取り出すための作業時間を減少することができる。
【0012】
また、第3の発明の排気室入口側部材は、第1または第2の発明において、前記ストラットの間に形成された前記燃焼ガス通路を通過し得る大きさで周方向において複数に分割されていることを特徴とする。
【0013】
この排気室入口側部材によれば、ストラットの間であって燃焼ガス通路を通過し得る大きさで周方向において複数に分割されていることで、排気室を開放することなく、燃焼ガス通路を通して排気室の軸方向下流側から取り出すことができる。すなわち、排気室を残して排気室入口側部材および最終段タービン動翼を取り出すことができる。この結果、取り外し部品の部品点数をさらに少なくして、最終段タービン動翼を取り出すための作業時間をさらに減少することができる。
【0014】
また、第4の発明の排気室入口側部材は、第1〜第3のいずれか一つの発明において、少なくとも前記最終段タービン動翼における翼根部の軸方向寸法よりも大きい軸方向寸法に形成されていることを特徴とする。
【0015】
この排気室入口側部材によれば、内側ディフューザから取り外されて各最終段タービン動翼における軸方向下流側を開放した場合、当該最終段タービン動翼を軸方向下流側にスライド移動させる領域を確保でき、最終段タービン動翼の取り出しを確実に行うことができる。
【0016】
また、第5の発明の排気室入口側部材は、第1〜第4のいずれか一つの発明において、径方向内側において前記内側ディフューザに対して軸方向で締結される軸方向締結手段と、径方向内側において周方向に分割された分割部材の相互間が周方向に締結される周方向締結手段と、径方向外側から各前記締結手段に通じるように形成された開口部と、を有することを特徴とする。
【0017】
この排気室入口側部材によれば、軸方向締結手段および周方向締結手段が径方向内側に配置されており、排気室入口側部材を取り外す場合は、開口部を介して径方向外側から各締結手段を操作する。この結果、外側ディフューザと内側ディフューザとの間の燃焼ガス通路側に突出する部材がないため、タービンの運転時に燃焼ガス流に悪影響を与える事態を防ぐことができる。
【0018】
また、第6の発明の排気室入口側部材は、第1〜第5のいずれか一つの発明において、軸方向下流側の端部において、径方向内側に突出して環状に形成され、軸方向締結手段を取付ける鍔部を有し、該鍔部の径方向内周端には前記ストラットの周方向位置に対応して切欠き部を有することを特徴とする。
【0019】
この排気室入口側部材によれば、ストラットカバー内を流れる冷却空気の流れが、排気室入口側部材に乱されることなく燃焼ガス通路に排出されるので、タービンの運転時に燃焼ガス流に悪影響を与える事態を防ぐことができる。
【0020】
また、第7の発明の排気室入口側部材は、第1〜第6のいずれか一つの発明において、軸方向上流側において径方向内側に突出して設けられて周方向に複数の開口穴が配列された調整板を有することを特徴とする。
【0021】
この排気室入口側部材によれば、調整板の開口穴により、ストラットカバー内を流れる冷却空気が、周方向に均一な流れを形成して燃焼ガス通路に排出されるので、燃焼ガス流を乱すことはない。
【0022】
また、第8の発明の排気室入口側部材は、第7の発明において、前記調整板の突出端に設けられて径方向内側の空間をシールする封止部を有することを特徴とする。
【0023】
この排気室入口側部材によれば、封止部により、燃焼ガス通路を流れる燃焼ガスの一部が軸受部側に侵入する事態を防止することで、軸受部への燃焼ガスの影響を防ぐことができる。
【0024】
上述の目的を達成するために、第9の発明の排気室は、回転軸廻りに複数設けられているとともに前記回転軸が延在する軸方向に複数段設けられて前記回転軸とともに回転するタービン動翼を備えるタービンに対し、当該タービンの下流側に隣接して配置されて前記回転軸の軸線を中心として円筒状に形成された車室壁と、前記車室壁の内周面に沿って設けられて前記回転軸廻りに環状に形成された外側ディフューザと、前記外側ディフューザの径方向の内側に配置されて前記外側ディフューザとの間で燃焼ガス通路を形成する環状の内側ディフューザと、前記外側ディフューザと前記内側ディフューザの間で周方向に複数配置されて前記回転軸の軸受部を覆う環状の軸受カバーと前記車室壁の間を接続するストラットと、第1〜第8のいずれか一つの発明の排気室入口側部材と、を備えることを特徴とする。
【0025】
この排気室によれば、排気室入口側部材を内側ディフューザから取り外して各最終段タービン動翼における軸方向下流側を開放することで、周方向で相互に隣接する先端部同士が噛み合って配置されている最終段タービン動翼であっても、全ての最終段タービン動翼を取り外すことができる。この結果、最終段タービン動翼をタービンから容易に取り出すことができる。
【0026】
上述の目的を達成するために、第10の発明のガスタービンは、圧縮機で圧縮した圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼させ、発生した燃焼ガスをタービンに送って回転軸の回転動力を得て、前記タービンの下流側に至る燃焼ガスを排気室から排出するガスタービンにおいて、第9の発明の排気室が適用されることを特徴とする。
【0027】
このガスタービンによれば、排気室入口側部材を内側ディフューザから取り外して各最終段タービン動翼における軸方向下流側を開放することで、周方向で相互に隣接する先端部同士が噛み合って配置されている最終段タービン動翼であっても、全ての最終段タービン動翼を軸方向の下流側に取り外すことができる。この結果、短期間で最終段タービン動翼を容易に取り出しまたは取付けることができる。このため、最終段タービン動翼を定期検査するための作業時間を減少することができ、ガスタービンの稼働停止時間を減少させることができる。
【0028】
上述の目的を達成するために、第11の発明の最終段タービン動翼取出方法は、回転軸廻りに複数設けられているとともに前記回転軸が延在する軸方向に複数段設けられて前記回転軸とともに回転するタービン動翼を備えるタービンに対し、当該タービンの下流側に隣接して配置されて前記回転軸の軸線を中心として円筒状に形成された車室壁と、前記車室壁の内周面に沿って設けられて前記回転軸廻りに環状に形成された外側ディフューザと、前記外側ディフューザの径方向の内側に配置されて前記外側ディフューザとの間で燃焼ガス通路を形成する環状の内側ディフューザと、前記外側ディフューザと前記内側ディフューザの間で周方向に複数配置されて前記回転軸の軸受部を覆う環状の軸受カバーと前記車室壁の間を接続するストラットと、を備え、周方向に上半部と下半部とに分割された排気室が設けられたガスタービンにおける軸方向の最も下流側に配置された最終段タービン動翼を取り出す最終段タービン動翼取出方法であって、前記排気室の上半部を取り外す工程と、最終段タービン動翼の基端部に軸方向下流側で対向する位置において前記内側ディフューザの一部を形成するように、前記回転軸廻りに環状に形成されて周方向において少なくとも上半部材と下半部材に分割された排気室入口側部材のうちの下半部材を、前記排気室の下半部における前記内側ディフューザから取り外す工程と、前記排気室入口側部材の前記下半部材を前記排気室の開放部分から取り出す工程と、前記排気室入口側部材を取り外すことで軸方向下流側が開放された全ての前記最終段タービン動翼のうちの周方向の所定位置にある前記最終段タービン動翼を軸方向にスライド移動させ、各前記最終段タービン動翼を取り外す工程と、取り外された前記最終段タービン動翼を前記排気室の上半部の開放部分から取り出す工程と、を含むことを特徴とする。
【0029】
この最終段タービン動翼取出方法によれば、排気室入口側部材を内側ディフューザから取り外して各最終段タービン動翼における軸方向下流側を開放することで、全ての最終段タービン動翼を取り外すことができる。この結果、最終段タービン動翼をタービンから容易に取り出すことができる。
【0030】
また、第12の発明の最終段タービン動翼取出方法は、回転軸廻りに複数設けられているとともに前記回転軸が延在する軸方向に複数段設けられて前記回転軸とともに回転するタービン動翼を備えるタービンに対し、当該タービンの下流側に隣接して配置されて前記回転軸の軸線を中心として円筒状に形成された車室壁と、前記車室壁の内周面に沿って設けられて前記回転軸廻りに環状に形成された外側ディフューザと、前記外側ディフューザの径方向の内側に配置されて前記外側ディフューザとの間で燃焼ガス通路を形成する環状の内側ディフューザと、前記外側ディフューザと前記内側ディフューザの間で周方向に複数配置されて前記回転軸の軸受部を覆う環状の軸受カバーと前記車室壁の間を接続するストラットと、を備え、周方向に上半部と下半部とに分割された排気室が設けられたガスタービンにおける軸方向の最も下流側に配置された最終段タービン動翼を取り出す最終段タービン動翼取出方法であって、最終段タービン動翼の基端部に対して軸方向下流側で対向する位置において前記内側ディフューザの一部を形成するように、前記回転軸廻りに環状に形成されて前記ストラットの間に形成された前記燃焼ガス通路を通過し得る大きさで周方向において複数に分割された排気室入口側部材を、前記内側ディフューザから取り外す工程と、前記複数に分割された排気室入口側部材を、前記ストラットの間の燃焼ガス通路を通じて取り外す工程と、前記最終段タービン動翼をスライド移動させ、各前記最終段タービン動翼を取り
出す工程と、取り外された前記最終段タービン動翼を前記ストラットの間であって前記燃焼ガス通路を通じて取り出す工程と、を含むことを特徴とする。
【0031】
この最終段タービン動翼取出方法によれば、排気室入口側部材を内側ディフューザから取り外して各最終段タービン動翼における軸方向下流側を開放することで、周方向で相互に隣接する先端部同士が噛み合って配置されている最終段タービン動翼であっても、全ての最終段タービン動翼を少しずつ軸方向の下流側にスライド移動させて取り外すことができる。しかも、この最終段タービン動翼取出方法によれば、ストラットの間に形成された燃焼ガス通路を通過し得る大きさで周方向において複数に分割された排気室入口側部材を、内側ディフューザから取り外し、取り外された最終段タービン動翼をストラットの間であって燃焼ガス通路を通じて取り出すことができる。この結果、排気室全体を開放せずに最終段タービン動翼を容易に取り出すことができる。
【0032】
また、第13の発明の最終段タービン動翼取出方法は、第11または第12の発明において、前記排気室入口側部材は、径方向内側において前記内側ディフューザに対して軸方向で締結される軸方向締結手段と、径方向内側において周方向に分割された分割部材の相互間が周方向に締結される周方向締結手段と、径方向外側から各前記締結手段に通じるように形成された開口部と、を有しており、前記排気室入口側部材を前記内側ディフューザから取り外す工程では、前記開口部を通して径方向外側から各前記締結手段を操作することを特徴とする。
【0033】
この最終段タービン動翼取出方法によれば、軸方向締結手段および周方向締結手段が径方向内側に配置されており、排気室入口側部材を取り外す場合は、開口部を介して径方向外側から各締結手段を操作する。この結果、外側ディフューザと内側ディフューザとの間の燃焼ガス通路側に突出する部材がないため、タービンの運転時に燃焼ガス流に悪影響を与える事態を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、最終段タービン動翼を容易に取り出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0037】
図1は、本実施形態に係るガスタービンの概略構成図である。
【0038】
ガスタービン100は、
図1に示すように、圧縮機101と燃焼器102とタービン103と排気室134と回転軸であるロータ104と、により構成されている。また、ガスタービン100は、冷却空気の流れ方向の上流側から下流側に向かって、ロータ104の中心である軸線Rに沿って、圧縮機101、燃焼器102、タービン103および排気室134の順番に配置されている。なお、以下の説明において、軸方向とは軸線Rに沿って延在して軸線Rに平行な方向をいい、径方向とは軸線Rに直交する方向をいい、周方向とは軸線Rを中心として径方向に直交する周方向を言う。
【0039】
圧縮機101は、空気を圧縮して圧縮空気を生成するものである。圧縮機101は、空気を取り込む空気取入口111を有した圧縮機ケーシング112内に圧縮機静翼113および圧縮機動翼114が設けられている。圧縮機静翼113は、圧縮機ケーシング112側に取り付けられて周方向に複数配置されている。また、圧縮機動翼114は、ロータ104側に取り付けられて周方向に複数配置されている。これら圧縮機静翼113と圧縮機動翼114とは、軸方向に交互に設けられている。
【0040】
燃焼器102は、圧縮機101で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給することで、高温・高圧の燃焼ガスを生成するものである。燃焼器102は、車室ケーシング124に配置され、回転軸であるロータ104廻りに環状に複数(例えば16個)配置されている。
【0041】
タービン103は、燃焼器102で生成した燃焼ガスにより回転動力を生じるものである。タービン103は、車室ケーシング131内にタービン静翼132およびタービン動翼133が設けられている。タービン静翼132は、車室ケーシング131側に取り付けられて周方向に複数配置されている。また、タービン動翼133は、ロータ104側に取り付けられて周方向に複数配置されている。これらタービン静翼132とタービン動翼133とは、軸方向に沿って交互に設けられている。
【0042】
ロータ104は、圧縮機101側の端部が軸受部141により支持され、排気室134側の端部が軸受部142により支持されて、軸線Rを中心として回転自在に設けられている。そして、ロータ104は、圧縮機101側の端部に発電機(図示せず)の駆動軸が連結されている。
【0043】
このようなガスタービン100は、圧縮機101の空気取入口111から取り込まれた空気が、複数の圧縮機静翼113と圧縮機動翼114とを通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となる。この圧縮空気に対し、燃焼器102において燃料が混合されて燃焼されることで高温・高圧の燃焼ガスが生成される。そして、この燃焼ガスがタービン103のタービン静翼132とタービン動翼133とを通過することでロータ104が回転駆動される。このロータ104に連結された発電機に回転動力を付与することで発電を行う。そして、ロータ104を回転駆動した後の燃焼ガスは、排気室134で排気ガスとして系外に排出される。
【0044】
図2は、本実施形態に係るガスタービンにおける排気室の断面図であり、
図3は、
図2におけるA−A矢視図である。
【0045】
図2および
図3に示すように、排気室134は、その外形をなす車室壁1を有する。排気室134は、車室壁1の径方向内側に配置される軸受カバー2と、車室壁1と軸受カバー2とを連結するストラット3と、を備えている。また、排気室134は、車室壁1の内周面に沿って設けられる外側ディフューザ4と、さらにその径方向内側に配置され、軸受カバー2の外周面に沿って設けられる内側ディフューザ5と、これら外側ディフューザ4と内側ディフューザ5とを連結するとともにストラット3の外周を覆うストラットカバー6と、を備えている。
【0046】
車室壁1は、軸線Rを中心としてロータ104廻りに環状に形成された円筒形状をなし、排気室134の外形を形成する部材である。車室壁1は、車室ケーシング131の下流側にて軸方向に隣接して配置されている。
【0047】
軸受カバー2は、車室壁1の径方向内側に配置され、軸線Rを中心としてロータ104廻りに環状に形成された円筒形状をなす部材である。軸受カバー2は、上記ロータ104の軸受部142を内部に収容して軸受部142を支持する。
【0048】
ストラット3は、その一端3Aが軸受カバー2の外周面に結合され、その他端3Bが車室壁1に結合されている。即ち、車室壁1と軸受カバー2とが、ストラット3によって連結されている。このストラット3は、一端3Aから他端3Bに径方向外側に向かうに従って軸線R回りの接線方向に傾くように延在しており、周方向に一定間隔をあけて複数(本実施形態では6個)設けられている。
【0049】
外側ディフューザ4は、車室壁1の径方向内側において、車室壁1の内周面に沿って設けられており、軸線Rを中心としてロータ104廻りに環状に形成された略円筒形状をなす部材である。また、外側ディフューザ4は、上記ストラット3が貫通されている。
【0050】
内側ディフューザ5は、軸受カバー2の径方向外側において、軸受カバー2の外周面に沿って設けられており、軸線Rを中心としてロータ104廻りに環状に形成された略円筒形状をなす部材である。また、内側ディフューザ5は、上記ストラット3が貫通されている。この内側ディフューザ5と、外側ディフューザ4で囲まれた円筒状の空間は、燃焼ガスを通過させる燃焼ガス通路Gを形成し、ディフューザとして、ロータ104を回転駆動した後の燃焼ガスの動圧を静圧に変換する機能を備える。
【0051】
ストラットカバー6は、ストラット3の外周を覆う部材であり、排気室134の外部から冷却空気を取り込んで、ストラット3の外周
に冷却空気を流して、ストラット3を冷却する機能を有する。ストラット3を冷却した冷却空気は、軸受カバー
2等の内部部材を冷却して、燃焼ガス通路Gへ排出される。なお、本実施形態においてストラット3は6個配置され、それぞれストラットカバー6により覆われて外側ディフューザ4と内側ディフューザ5とを連結する。このため、
図3に示すように、外側ディフューザ4と内側ディフューザ5との間の燃焼ガス通路Gは、隣接するストラットカバー6同士の間にもそれぞれ形成される。
【0052】
このように構成された排気室134は、軸線Rを基準として水平面で上半部134Aと下半部134Bとに2分割して形成されている(
図3参照)。また、タービン103において最も軸方向の下流側に配置された最終段タービン動翼133に対し、外側ディフューザ4の上流側端が最終段タービン動翼133の先端部のチップシュラウドに対向し、内側ディフューザ5の上流側端が最終段タービン動翼133の基端部(翼根部)に対向している。最終段タービン動翼133は、基端部の径方向内側の部材がロータ104に一体に形成されたタービンディスク104aに取り付けられている。以下においては、チップシュラウドを備えた最終段タービン動翼の取外しおよび取付け方法について、チップシュラウドの構造との関係で説明する。
【0053】
図4Aは、組み立てられた状態のチップシュラウドを示す概略図であり、
図4Bは、タービン動翼を取り外す過程でのタービン動翼の位置関係を示す図である。
図4Aに示すように、周方向に隣接するタービン動翼133は、翼先端部において、隣接するチップシュラウド133b同士が、周方向の隣接する分割面133cで、所定の隙間を設けてかぎ状に噛み合わされて取り付けられ、分割面133cの軸方向の中央部には、軸方向に対して傾きを有して、チップシュラウド133b同士が接触する当り面133dが形成されている。
【0054】
図4Aに示すように、最終段タービン動翼133によっては、当り面133dの接触長さを保持するため、周方向最大クリアランスCLより大きい当り面周方向長さLを設ける場合がある。なお、周方向最大クリアランスCLとは、隣接する翼の基端部(翼根部133a)同士を、周方向で互いに離間する方向に、翼根部133aのクリアランス分だけわずかに移動させ、隣接するチップシュラウド133bの分割面
133cに形成される最大クリアランスをいう。このような翼の場合、
図4Bに示すように、翼根部133aのクリアランスの調整により周方向最大クリアランスCLを保持できても、当り面133dの一部において隣接するチップシュラウド133b同士が干渉して、翼の取り出し方向に翼が抜けない場合がある。なお、翼の取り出し方向は、ロータ104の軸方向に対して一定の傾きを有している。
【0055】
このような場合、基準の最終段タービン動翼133に対して、基準の翼から周方向に離間する方向に、所定のタービン動翼133を当り面133dに沿って移動させる。この操作により、所定のタービン動翼133は、周方向に最大クリアランスCL分だけ移動し、軸方向下流側に軸方向移動距離LWだけ移動する。隣接するタービン動翼133を次々に同様の操作で移動させ、周方向の全周に配置されたタービン動翼133を移動させることにより、翼の基端部(翼根部133a)からの取り出しが可能となる。すなわち、タービン動翼133の軸方向移動距離LWの累積長さが、翼根部軸方向幅W(軸方向寸法)を越えるまで、タービン動翼133を次々に移動すれば、翼根部軸方向幅Wを越えて軸方向下流側に移動できるタービン動翼133は、最終段タービン動翼の基端部(翼根部133a)から取り外すことができる。従って、少なくとも周方向に配置された最終段タービン動翼133に関して、基準の翼から周方向に1周して隣接する最終
段タービン動翼
133の軸方向移動距離LWの累積長さが、翼根部軸方向幅W(軸方向寸法)を越えていれば、全ての最終段タービン動翼133の取り出しが可能となる。つまり、各タービン動翼133を当り面133dに沿って少しずつ軸方向および周方向に移動させ、タービン動翼133の全体を軸方向の下流側方向に押し出すように移動させれば、翼の取り出しが可能となる。このように、チップシュラウド133bの当り面133dに沿って、タービン動翼133を周方向および軸方向に移動する操作をスライド移動と呼ぶ。
【0056】
なお、各タービン動翼のスライド移動の際、ロータ(回転軸)104を回転させて所定位置(例えば、周方向で最も高くなる位置)に最終段タービン動翼を移動させ、所定位置でタービン動翼のスライド移動を行ってもよい。
【0057】
[実施形態1]
本実施形態では、タービンディスク104aから最終段タービン動翼133を取り外すための排気室入口側部材、排気室、ガスタービンおよび最終段タービン動翼の取外しおよび取出方法について説明する。
【0058】
まず、本実施形態の排気室入口側部材について説明する。
図5は、本実施形態に係るガスタービンにおける排気室入口側部材の斜視図である。
【0059】
排気室入口側部材10は、
図2に示すように、内側ディフューザ5の上流側端部として設けられ、内側ディフューザ5に対して着脱可能に構成されている。本実施形態において、排気室入口側部材10は、軸線Rを中心としてロータ104廻りに環状に形成された円筒形状をなす部材である。そして、排気室入口側部材10は、排気室134における燃焼ガス(排気ガス)の流れの入口であり、かつタービン103からの燃焼ガスの流れの出口となる部分で、環状に形成されていることから入口環ともいう。この排気室入口側部材10は、その軸方向寸法(幅)が、最終段タービン動翼133における翼根部133aの軸方向寸法よりも大きく形成されている。
【0060】
排気室134は、ロータ(回転軸)104の軸線Rを基準として環状に形成され、上半部134Aと下半部134Bとに水平面で2分割して形成されている(
図2および
図3参照)。また、
図5に示すように、排気室入口側部材10もロータ(回転軸)104の軸線Rを基準として環状に形成され、水平面で上半部材10Aと下半部材10Bとに2分割して形成されている。
【0061】
上半部材10Aおよび下半部材10Bは、
図5に示すように、相互の分割部分において周方向締結手段20により締結されている。周方向締結手段20は、上半部材10Aおよび下半部材10Bにおいて、軸方向に沿って延在し径方向内側に突出するリブ10aに対して周方向に沿って貫通するボルト、ナッ
トで構成される。そして、上半部材10Aおよび下半部材10Bは、周方向締結手段(ボルト、ナット)20により各リブ10aが締結されて環状に連結される。
【0062】
また、上半部材10Aおよび下半部材10Bは、
図2〜
図3、
図5に示すように、内側ディフューザ5に対して軸方向締結手段21により締結されている。すなわち、
図2および
図3に示すように、内側ディフューザ5側の軸方向上流側端において周方向に沿って径方向内側に突出するリブ(鍔部)5bが設けられ、排気室入口側部材10側の軸方向下流端においてリブ5bに軸方向で対向するように、周方向に沿って径方向内側に突出するリブ10bが設けられている。軸方向締結手段21は、ボルト、ナットで構成されている。リブ5b,10bに穿孔されたボルト孔に軸方向に沿って貫通するボルトを挿通して、ナットでリブ5b,10bを締結する。その結果、上半部材10Aおよび下半部材10Bは、軸方向締結手段(ボルト、ナット)21により内側ディフューザ5に連結される。
【0063】
また、上半部材10Aおよび下半部材10Bは、
図5に示すように、周方向締結手段20や軸方向締結手段21に径方向外側からアクセスできるように開口部10cが形成されている。この開口部10cは、ガスタービン100の運転時では蓋部材(図示せず)により閉塞される。
【0064】
また、
図3に示すように、内側ディフューザ5に取付けられたリブ(鍔部)5bの径方向内周端には、ストラット3の周方向の位置に対応して、リブ5bの周方向に沿って、径方向内周端から径方向外側に凹む切欠き部5hが形成されている。また、
図5に示すように、リブ5bの軸方向上流側に隣接するリブ10bには、径方向内周端で周方向に沿って、切欠き部5hの周方向の位置に対応する位置に、切欠き部10hが形成されている。リブ5bとリブ10bを軸方向締結手段21で締結した場合、切欠き部5hと切欠き部10hとは、ほぼ同じ大きさの軸方向に貫通する切欠きとなる。ストラット3の周方向の位置に対応して、切欠き部5hおよび切欠き部10hが設けられるので、ストラットカバー6内を流れる冷却空気が、排気室入口側部材10に向かって軸方向上流側に流れる過程で、リブ5bおよびリブ10bに妨げられることなく、切欠
き部5hおよび切欠き部10hを流れるので、冷却空気の流れが乱されることはない。
【0065】
このように、内側ディフューザ5に連結された排気室入口側部材10の上半部材10Aおよび下半部材10Bは、
図2に示すように内側ディフューザ5の一部として内側ディフューザ5の上流側端部を構成し、外側ディフューザ4とともに燃焼ガス通路Gを形成して、ガスタービン100の排気室134を構成する。
【0066】
また、排気室入口側部材10は、
図2および
図5に示すように、調整板10dを有する。調整板10dは、軸方向上流側において径方向内側に突出してロータ104廻りに環状に設けられ、周方向に複数の開口穴10eが配列されている。また、排気室入口側部材10は、封止部10fを有する。封止部10fは、調整板10dの突出端に設けられて、内側ディフューザ5の径方向内側に設けられた軸受カバー2に連結されているカバー部材2aに当接することで径方向内側の空間をシールするものである。調整板10dは、ストラット3の外周を流れる冷却空気が燃焼ガス通路Gに排出する際、冷却空気量を絞る機能を有する。これにより、燃焼ガス通路Gのガス圧が周方向に変動しても、開口穴10eから排出する冷却空気量がある程度絞られるので、燃焼ガス中に排出する冷却空気量が周方向で変動することはなく、燃焼ガスの流れが乱れるのを防止できる。また、封止部10fは、内側ディフューザ5の軸受部142側への燃焼ガスの侵入を防止する。
【0067】
次に、本実施形態の最終段タービン動翼取出方法について説明する。
図6は、本実施形態に係るガスタービンにおける最終段タービン動翼の取外し方法のフローチャートである。また、
図7〜
図9は、本実施形態に係るガスタービンにおける最終段タービン動翼の取外し方法の工程図である。
【0068】
上述した構成において、排気室入口側部材10は、最終段タービン動翼133を取り出す際に内側ディフューザ5から取り外される。
【0069】
最初に、周方向締結手段(ボルト、ナット)20を取り外し、排気室入口側部材10の上半部材10Aと下半部材10Bとの連結を切り離す(ステップS1)。
【0070】
続いて、排気室134の上半部134Aを下半部134Bから切り離し、排気室134の上半車室を開放する(ステップS2)。具体的には、
図2および
図7に示すように、排気室134の上半部134Aであって、
図2に示す状態から、上述した車室壁1、外側ディフューザ4、ストラット3、ストラットカバー6、内側ディフューザ5、軸受カバー2、および軸受部142を取り外す。
図7は、上半車室を開放した状態を示している。排気室入口側部材10の上半部材10Aは、内側ディフューザ5と一体に取り外されてもよく、軸方向締結手段21であるボルトを取り外して内側ディフューザ5から切り離してもよい。このとき、排気室134の下半車室が据え付けられている状態であり、下半車室の車室壁1、外側ディフューザ4、ストラット3、ストラットカバー6、内側ディフューザ5、軸受カバー2、および軸受部142は、下半部134Bに組み付けられたままの状態である。従って、ロータ104は回転可能に支持されている。
【0071】
続いて、
図7において、下半部材10Bを内側ディフューザ5に固定する
図5で示す軸方向締結手段(ボルト、ナット)21を取り外し、
図8に示すように、
図7に示す排気室入口側部材10の下半部材10Bを内側ディフューザ5から切り離して排気室134の下半部134Bから取り外す(ステップS3)。
図8の一点鎖線で囲った部分は、ステップS3の該当箇所を示す。内側ディフューザ5から切り離した排気室入口側部材10の下半部材10Bは、軸線Rを中心にして周方向に回転させ、開放した排気室134の上半車室から抜き出す。
【0072】
これにより、全ての最終段タービン動翼133および最終段タービン動翼133の翼根部133aの下流側が、当該翼根部133aの軸方向寸法よりも大きく開放されて最終段タービン動翼133を軸線Rに沿って軸方向下流側にスライド移動することが可能になる。従って、
図4A、
図4Bおよび
図9に示すように、
図8に示す状態から全ての最終段タービン動翼133を少しずつ軸線Rに沿って下流側にスライド移動させ、タービンディスク104aの基端部から取り外す(ステップS4)。
図9の一点鎖線で囲った部分は、ステップS4の該当箇所を示す。そして、最終段タービン動翼133を軸方向の下流側に取り外す(ステップS5)。引き抜かれた最終段タービン動翼133は、開放した排気室134の上半車室から取り出される。
【0073】
なお、最終段タービン動翼133を
タービンディスク104aに取り付ける場合は、上記工程を逆の順番に行えばよい。
【0074】
この排気室入口側部材10によれば、内側ディフューザ5から取り外されて各最終段タービン動翼133における軸方向下流側を開放することで、周方向で相互に隣接する先端部(チップシュラウド133b)同士が噛み合って配置されている最終段タービン動翼133であっても、全ての最終段タービン動翼133を少しずつ軸方向の下流側にスライド移動させ、タービンディスク104aの基端部から取り外すことができる。この結果、排気室134全体を取り外すことなく上半部134Aのみを取り外すことにより、最終段タービン動翼133を容易に取り出すことができる。
【0075】
また、本実施形態の排気室入口側部材10は、分解、組立が容易なように、周方向において少なくとも上半部材10Aと下半部材10Bとに分割されている。
【0076】
この排気室入口側部材10によれば、排気室134の上半部134Aを取り外す際、上半部材10Aを一体として取り外すことが可能である。この結果、排気室134の上半部134Aとともに排気室入口側部材10の上半部材10Aを取り外し、その後に残された排気室134の下半部134Bから排気室入口側部材10の下半部材10Bを取り外すことができる。従って、取り外し部品点数を少なくして、最終段タービン動翼133を取り出すための作業時間を減少することができる。
【0077】
また、本実施形態の排気室入口側部材10の軸方向幅は、少なくとも最終段タービン動翼133における翼根部133aの軸方向寸法(翼根部軸方向幅W)よりも大きい軸方向寸法に形成されている。
【0078】
この排気室入口側部材10によれば、内側ディフューザ5から取り外されて各最終段タービン動翼133の軸方向下流側を開放した場合、当該最終段タービン動翼133を軸方向下流側にスライド移動させる領域を確保でき、最終段タービン動翼133の取り出しを確実に行うことができる。
【0079】
また、本実施形態の排気室入口側部材10は、内側ディフューザ5の径方向内側において内側ディフューザ5に対して軸方向で締結される軸方向締結手段21と、径方向内側において周方向に分割された相互間が締結される周方向締結手段20と、径方向外側から各締結手段に通じるように(アクセスできるように)形成された開口部10cと、を有する。
【0080】
この排気室入口側部材10によれば、軸方向締結手段21および周方向締結手段20が内側ディフューザ5の径方向内側に配置されており、排気室入口側部材10を取り外す場合は、開口部10cを介して径方向外側から各締結手段を操作する。この結果、軸方向締結手段21および周方向締結手段20が、内側ディフューザ5より径方向内側に配置され、燃焼ガス通路G内に障害物が存在しないため、燃焼ガスの流れを乱すことはなく、タービン103の運転時に悪影響を与える事態を防ぐことができる。
【0081】
[実施形態2]
本実施形態は、上述した実施形態1に対し、最終段タービン動翼133を容易に取り出す効果をより顕著に得るためのものである。従って、本実施形態では、上述した実施形態1と同一の部分に同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1から改良された部分にのみ新たな符号を付して説明する。
【0082】
まず、本実施形態の排気室入口側部材について説明する。
図10は、本実施形態に係るガスタービンにおける排気室入口側部材の斜視図である。
【0083】
排気室入口側部材10は、ロータ104廻りに環状に形成され、ストラット3(ストラットカバー6)の間であって燃焼ガス通路Gを通過し得る大きさで周方向において複数に分割されている。本実施形態では、排気室入口側部材10は、回転軸の軸線Rを基準として水平面で上半部材10Aと下半部材10Bとに2分割して形成され、かつ上半部材10Aおよび下半部材10Bがそれぞれ3等分されて、周方向において6等分の分割部材10Aa,10Ab,10Ac,10Ba,10Bb,10Bcとして形成されている。
【0084】
分割部材10Aa,10Ab,10Ac,10Ba,10Bb,10Bcは、
図10に示すように、相互の分割部分において周方向締結手段20により締結されている。周方向締結手段20は、各分割部材において、軸方向に沿って延在し径方向内側に突出するリブ10aに対して周方向に沿って貫通するボルト、ナッ
トで構成される。そして、分割部材10Aa,10Ab,10Ac,10Ba,10Bb,10Bcは、周方向締結手段(ボルト、ナット)20により各リブ10aが締結されて環状に連結される。
【0085】
また、分割部材10Aa,10Ab,10Ac,10Ba,10Bb,10Bcは、
図2および
図10に示すように、内側ディフューザ5に対して軸方向締結手段21により締結されている。
図2に示すように、軸方向締結手段21は、ボルト、ナットで構成され、内側ディフューザ5側において周方向に沿って径方向内側に突出するリブ(鍔部)5bと、排気室入口側部材10側においてリブ5bに軸方向で対向するように、周方向に沿って径方向内側に突出するリブ10bに対して軸方向に沿って貫通する軸方向締結手段(ボルト、ナット)21により構成される。そして、分割部材10Aa,10Ab,10Ac,10Ba,10Bb,10Bcは、軸方向締結手段(ボルト、ナット)21によりリブ5bおよびリブ10bが締結されて内側ディフューザ5に連結される。また、分割部材10Aa,10Ab,10Ac,10Ba,10Bb,10Bcは、
図10に示すように、周方向締結手段20や軸方向締結手段21に対して径方向外側からアクセスできるように開口部10cが形成されている。この開口部10cは、ガスタービン100の運転時では蓋部材(図示せず)により閉塞される。
【0086】
このように、内側ディフューザ5に連結された排気室入口側部材10の分割部材10Aa,10Ab,10Ac,10Ba,10Bb,10Bcは、
図2に示すように内側ディフューザ5の一部として内側ディフューザ5の上流側端部を構成し、外側ディフューザ4とともに燃焼ガス通路Gを形成して、ガスタービン100の排気室134を構成する。
【0087】
なお、実施形態1と同様に、本実施形態の排気室入口側部材の場合でも、内側ディフューザ5の軸方向の上流端に設けられたリブ(鍔部)5bの軸方向上流側に隣接する排気室入口側部材10のリブ10bには、径方向内周端で周方向に沿って、切欠き部10hが形成されている。切欠き部10hの周方向の位置は、切欠き部5hの周方向の位置に対応すし、ストラット3の周方向の位置に対応するのは、実施形態1と同様である。
【0088】
次に、本実施形態の最終段タービン動翼取出方法について説明する。
図11は、本実施形態に係るガスタービンにおける最終段タービン動翼の取外し方法のフローチャートである。また、
図12および
図13は、本実施形態に係るガスタービンにおける最終段タービン動翼の取外し方法の工程図である。
【0089】
上述した構成において、排気室入口側部材10は、最終段タービン動翼133を取り出す際に内側ディフューザ5から取り外される。
【0090】
最初に、
図2および
図12に示すように、周方向締結手段(ボルト、ナット)20および軸方向締結手段(ボルト、ナット)21を取り外し、
図2に示す排気室入口側部材10である分割部材10Aa,10Ab,10Ac,10Ba,10Bb,10Bcを内側ディフューザ5から取り外し、ストラット3(ストラットカバー6)の間を通して排気室134の軸方向下流側から取り出す(ステップS21)。
図12の一点鎖線で囲った部分は、ステップS21の該当箇所を示す。この際、排気室134の車室を構成する車室壁1、外側ディフューザ4、ストラット3、ストラットカバー6、内側ディフューザ5、軸受カバー2、および軸受部142はそのまま排気室134内に残されており、車室は開放されない。このため、ロータ104を回転可能に支持した状態を維持することができる。
【0091】
これにより、全ての最終段タービン動翼133および最終段タービン動翼133の翼根部133aの下流側が、当該翼根部133aの軸方向寸法よりも大きく開放されて最終段タービン動翼133を軸線Rに沿って下流側にスライド移動することが可能になる。従って、
図13に示すように、
図12に示す状態から全ての最終段タービン動翼133を少しずつ軸線Rに沿って軸方向下流側にスライド移動させ(ステップS22)、少なくとも基準翼に対して周方向に一廻りした基準翼に隣接するタービン動翼133は、タービンディスク104aの基端部から取り外すことが出来る(ステップS23)。
図13の一点鎖線で囲った部分は、ステップS22の該当箇所を示す。この場合、前述したように、最終段タービン動翼133は、周方向で相互に隣接する先端部(チップシュラウド133b)同士が噛み合って配置されているが、翼根部133aのクリアランスを調整して、チップシュラウド133bの翼当り面133dに沿って翼を少しずつスライド移動させ、次々に隣接する翼のスライド移動を行うことにより、タービン動翼133の基端部からの取外しが出来る。引き抜かれた最終段タービン動翼133は、ストラット3(ストラットカバー6)の間の燃焼ガス通路
Gを通して排気室134の軸方向下流側から取り出される。
【0092】
なお、最終段タービン動翼133を
タービンディスク104aに取り付ける場合は、上記工程を逆の順番に行えばよい。
【0093】
この排気室入口側部材10によれば、内側ディフューザ5から取り外されて各最終段タービン動翼133における軸方向下流側を開放することで、周方向で相互に隣接する先端部(チップシュラウド133b)同士が噛み合って配置されている最終段タービン動翼133であっても、全ての最終段タービン動翼133を少しずつ軸方向の下流側にスライド移動させ、タービンディスク104aの基端部から取り外すことができる。この結果、排気室134を開放することなく最終段タービン動翼133を容易に取り出すことができる。
【0094】
また、本実施形態の排気室入口側部材10は、ロータ(回転軸)104廻りに環状に形成されてストラット3の間であって燃焼ガス通路Gを通過し得る大きさで
、周方向において複数に分割されている。
【0095】
この排気室入口側部材10によれば、ストラット3の間であって燃焼ガス通路Gを通過し得る大きさで
、周方向において複数に分割されていることで、排気室134を開放することなく、燃焼ガス通路Gを通して排気室134の軸方向下流側から取り出すことができる。すなわち、排気室134を残して排気室入口側部材10および最終段タービン動翼133を取り出すことができる。この結果、取り外し部品の部品点数を実施形態1よりもさらに少なくして、最終段タービン動翼133を取り出すための作業時間をさらに減少することができる。
【0096】
なお、上記の実施形態は、上半部材10Aおよび下半部材10Bをそれぞれ周方向に3分割、排気室入口側部材
10の全体で6分割した例で説明したが、この例に限られない。少なくとも排気室入口側部材
10の全体で周方向に3分割以上とする例であれば、同様な考え方が適用できる。また、排気室入口側部材10が、周方向に複数(3個以上)に分割する構造を除き、他の構造は、実施形態1と同様であり、作用、効果も実施形態1と同様である。