【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
リンクの通行止め情報を含む道路ネットワークから通行止めのリンクを検出する検出部と、
前記検出されたリンクについて、前記通行止めが予め定められた原因に依るものであるか否かを判定する判定部と、
前記判定の結果、前記通行止めが前記予め定められた原因に依るものであるとき、前記検出されたリンクに基づく所定領域内に含まれる他のリンクのコストを高く設定する設定部と、
を備える、コスト設定装置。
【0006】
このように規定される第1の局面のコスト設定装置によれば、通行止め情報が付与されたリンクについて、該通行止めとなった原因が予め定められた原因に起因するものであるとき、該リンクの周辺リンクへ所定のコストを設定する。すなわち、通行止めの原因が周辺リンクへ影響を及ぼすものである場合、該周辺リンクが迂回ルートとして選択される可能性が低減されるように該周辺リンクに高いコストを設定する。このようにして設定されたコストを用いて経路探索を行えば、より安全性に配慮した経路を探索することができる。
予め定められた原因は、被害が局所的でなく広域にわたる原因であり、例えば、自然災害や気象条件が挙げられる(第3の局面)。具体的には、台風、大雨、増水、強風、積雪、濃霧、土砂崩れ等を挙げることができる。
周辺リンクへの影響は、該検出されたリンクに近いほどより大きく影響を受ける。そこで、前記設定部は、前記検出されたリンクからの距離が近い前記他のリンクほど、より大きい変化度合いで前記コストを設定することとしても良い(第2の局面)。
【0007】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
第1〜第3のいずれかの局面に規定されるコスト設定装置において、前記設定の結果に基づいて、前記他のリンクに通行止め情報を付与する付与部と、
前記通行止め情報が付与されたリンクについて、現在のプローブ情報を参照して該付与された通行止め情報を解除する解除部と、を備える。
このように規定される第4の局面のコスト設定装置によれば、設定部によって設定されたコストに基づき一旦通行止め情報を付与したリンクであっても、現在のプローブ情報に基づき該通行止め情報を解除可能であると判断される場合に解除する。例えば、一旦通行止め情報を付与したリンクであっても、該リンク上に現在プローブ情報の位置情報が存在し、あるいは、所定の速度以上で走行していることが判断される場合には、該付与された通行止め情報を解除する。このようなリンクを経路探索から除外することはユーザにとって便宜でなく、また、迂回ルートして選択しても安全性が低下するおそれもないためである。
前記解除部は、前記通行止め情報を解除するに際して、前記プローブ情報に関連付けられた属性を参照することができる(第5の局面)。例えば、プローブ情報の属性が上記検出されたリンク周辺の住民であることを示す場合には、該プローブ情報の挙動は他のプローブ情報に比べて信頼性が高いからである。
【0008】
上記通行止めの原因の種別によっては、周辺リンクへの影響度合いも異なる。例えば、通行止めの原因が土砂崩れなどである場合、局所的な側面が強く周辺リンクへの影響は大きくない。また、該リンクからの距離が大きくなるほどその影響度合いはより低減する。一方、通行止めの原因が大雨など広域的に影響を及ぼすものである場合、周辺リンクへの影響は大きく、また、離れて位置する周辺リンクであってもその影響を比較的大きく受ける。このように通行止めの原因の種別によって、影響を及ぼす領域や、通行止めリンクと周辺リンクとの距離に応じた影響度合いは異なる。
そこで、この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
第2〜第5のいずれかの局面に規定されるコスト設定装置において、前記予め定められた原因の種別に応じて、前記所定領域の範囲及び/又は前記変化度合いの値を生成する生成部、を備え、
前記設定部は、前記生成の結果に基づいて、前記他のリンクのコストを設定する。
【0009】
また、この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、
検出部が、リンクの通行止め情報を含む道路ネットワークから通行止めのリンクを検出する検出ステップと、
判定部が、前記検出されたリンクについて、前記通行止めが予め定められた原因に依るものであるか否かを判定する判定ステップと、
設定部が、前記判定の結果、前記通行止めが前記予め定められた原因に依るものであるとき、前記検出されたリンクに基づく所定領域内に含まれる他のリンクのコストを高く設定する設定ステップと、
を備える、コスト設定方法。
このように規定される第7の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0010】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の方法において、前記設定ステップでは、前記検出されたリンクからの距離が近い前記他のリンクほど、より大きい変化度合いで前記コストを設定する。
このように規定される第8の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0011】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第7又は第8の局面に規定の方法において、前記予め定められた原因は、自然災害及び/又は気象条件に起因するものである。
このように規定される第9の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0012】
この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、
第7〜第9のいずれかの局面に規定の方法において、付与部が、前記設定の結果に基づいて、前記他のリンクに通行止め情報を付与する付与ステップと、
解除部が、前記通行止め情報が付与されたリンクについて、現在のプローブ情報を参照して該付与された通行止め情報を解除する解除ステップと、を備える。
このように規定される第10の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0013】
この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
第10の局面に規定の方法において、前記解除ステップでは、前記通行止め情報を解除するに際して、前記プローブ情報に関連付けられた属性を参照する。
このように規定される第11の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0014】
この発明の第12の局面は次のように規定される。即ち、
第8〜第11のいずれかの局面に規定の方法において、生成部が、前記予め定められた原因の種別に応じて、前記所定領域の範囲及び/又は前記変化度合いの値を生成する生成ステップ、を備え、
前記設定ステップでは、前記生成の結果に基づいて、前記他のリンクのコストを設定する。
このように規定される第12の局面の発明によれば、第6の局面と同等の効果を奏する。
【0015】
更に、この発明の第13の局面は次のように規定される。即ち、
コストを設定するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
リンクの通行止め情報を含む道路ネットワークから通行止めのリンクを検出する検出手段と、
前記検出されたリンクについて、前記通行止めが予め定められた原因に依るものであるか否かを判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記通行止めが前記予め定められた原因に依るものであるとき、前記検出されたリンクに基づく所定領域内に含まれる他のリンクのコストを高く設定する設定手段、
として機能させる、コンピュータプログラム。
このように規定される第13の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0016】
この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、
第13の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記設定手段は、前記検出されたリンクからの距離が近い前記他のリンクほど、より大きい変化度合いで前記コストを設定する。
このように規定される第14の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0017】
この発明の第15の局面は次のように規定される。即ち、
第13又は第14の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記予め定められた原因は、自然災害及び/又は気象条件に起因するものである。
このように規定される第15の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0018】
この発明の第16の局面は次のように規定される。即ち、
第13〜第15のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記設定の結果に基づいて、前記他のリンクに通行止め情報を付与する付与手段と、
前記通行止め情報が付与されたリンクについて、現在のプローブ情報を参照して該付与された通行止め情報を解除する解除手段、として機能させる。。
このように規定される第16の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0019】
この発明の第17の局面は次のように規定される。即ち、
第16の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記解除手段は、前記通行止め情報を解除するに際して、前記プローブ情報に関連付けられた属性を参照する。
このように規定される第17の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0020】
この発明の第18の局面は次のように規定される。即ち、
第14〜第17のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記予め定められた原因の種別に応じて、前記所定領域の範囲及び/又は前記変化度合いの値を生成する生成手段、として機能させ、
前記設定手段は、前記生成の結果に基づいて、前記他のリンクのコストを設定する。
このように規定される第18の局面の発明によれば、第6の局面と同等の効果を奏する。
【0021】
第13〜第18のいずれかの局面に規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第19の局面として規定される。