(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記複数本のノズルに前記基板の中心から周縁に向かう順序又は前記基板の周縁から中心に向かう順序で前記処理液を吐出させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記複数本のノズルから吐出する前記処理液の濃度は前記基板の中心から周縁に向かう順序又は前記基板の周縁から中心に向かう順序で高くされていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記処理液を吐出する工程では、前記基板の中心から周縁に向かう順序又は前記基板の周縁から中心に向かう順序で前記複数本のノズルから前記処理液を吐出することを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか一項に記載の基板処理方法。
前記処理液を吐出する工程では、前記処理液の温度を前記ノズルごとに変えて前記複数本のノズルから前記処理液を吐出することを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれか一項に記載の基板処理方法。
前記処理液を吐出する工程では、前記処理液の濃度を前記基板の中心から周縁に向かう順序又は前記基板の周縁から中心に向かう順序で高くして前記複数本のノズルから前記処理液を吐出することを特徴とする請求項7ないし請求項11のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について
図1乃至
図3を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置1は、処理室となる処理ボックス2と、その処理ボックス2内に設けられたカップ3と、そのカップ3内で基板Wを水平状態で支持する支持部4と、その支持部4を水平面内で回転させる回転機構5とを備えている。さらに、基板処理装置1は、支持部4上の基板Wの表面に処理液をそれぞれ供給する複数本のノズル6a、6b及び6cと、それらのノズル6a、6b及び6cを支持して処理位置と待機位置とに移動させる揺動機構7と、各ノズル6a、6b及び6cに処理液を供給する液供給部8と、各部を制御する制御部9とを備えている。
【0012】
カップ3は、円筒形状に形成されており、支持部4を周囲から囲んで内部に収容する。カップ3の周壁の上部は径方向の内側に向かって傾斜しており、支持部4上の基板Wが露出するように開口している。このカップ3は、回転する基板W上から流れ落ちたあるいは飛散した処理液を受け取る。なお、カップ3の底部には、受け取った処理液を排出するための排出管(図示せず)が設けられている。
【0013】
支持部4は、カップ3内の中央付近に位置付けられ、水平面内で回転可能に設けられている。この支持部4は、ピンなどの支持部材4aを複数有しており、これらの支持部材4aにより、ウェーハや液晶基板などの基板Wを着脱可能に保持する。
【0014】
回転機構5は、支持部4に連結された回転軸やその回転軸を回転させる駆動源となるモータ(いずれも図示せず)などを有しており、モータの駆動により回転軸を介して支持部4を回転させる。この回転機構5は制御部9に電気的に接続されており、その駆動が制御部9により制御される。
【0015】
各ノズル6a、6b及び6cは、支持部4上の基板Wの表面に沿ってその基板Wの中心から周縁に向かって並び、支持部4上の基板Wの表面上方に位置するように設けられている。これらのノズル6a、6b及び6cは、液供給部8から供給された処理液を支持部4上の基板Wの上方から回転中の基板Wの表面に向けて吐出して、その基板表面に供給する。なお、
図1では、ノズル本数は三本となっているが、この本数は例示であり、特に限定されるものではない。
【0016】
第1のノズルであるノズル6aは、支持部4上の基板Wの表面の中心付近に対向する位置に設けられており、第2のノズルであるノズル6bは、支持部4上の基板Wの表面における半径方向の中央付近に対向する位置に設けられている。また、第3のノズルであるノズル6cは、支持部4上の基板Wの表面の周縁付近に対向する位置に設けられている。
【0017】
ここで、各ノズル6a、6b及び6cは、支持部4上の基板Wの表面に沿って半径方向に延びる一直線上に配置されている。ただし、これらのノズル6a、6b及び6cの配置は一直線上に限るものではなく、例えば、その一直線を跨ぐように交互に配置されていても良く、基板Wの表面において直径が異なる三つの円の円周上にそれぞれ配置されていれば良い。
【0018】
なお、各ノズル6a、6b及び6cとしては、吐出口径の直径が1mm以上のノズルを用いることが望ましく(各ノズル6a、6b及び6cの吐出口径はそれぞれ同じでも異なっていても良い)、また、基板Wの表面に対する吐出角度は90度以下である。さらに、各ノズル6a、6b及び6cと基板Wの表面との離間距離は3mm以上とすることが望ましい。
【0019】
また、基板Wの裏面も処理する必要がある場合、すなわち基板Wの両面を処理する場合には、前述の各ノズル6a、6b及び6cに加え、例えば、支持部4上の基板Wの裏面に向かって処理液を吐出するノズルを支持部4内に設け、そのノズルから処理液を回転中の基板Wの裏面の中央に供給するようにしても良い。
【0020】
揺動機構7は、各ノズル6a、6b及び6cを保持する保持ヘッド7aと、その保持ヘッド7aと共に各ノズル6a、6b及び6cを支持部4上の基板Wの表面に沿って移動可能に支持するアーム7bと、そのアーム7bを水平面内で回転可能に支持する支柱7cとにより構成されている。この揺動機構7は制御部9に電気的に接続されており、その駆動が制御部9により制御される。
【0021】
ここで、各ノズル6a、6b及び6cは、前述の揺動機構7により、例えば、支持部4上の基板Wの表面に対向する処理位置と、その処理位置から退避して支持部4上の基板Wの設置及び搬出を可能とする待機位置とに移動する。
【0022】
液供給部8は、処理液を貯留するタンクや駆動源となるポンプ、供給量を調整する調整弁となるバルブ(いずれも図示せず)などを備えており、ポンプの駆動により各ノズル6a、6b及び6cに処理液を供給する。この液供給部8は制御部9に電気的に接続されており、その駆動が制御部9により制御される。
【0023】
ここで、処理液としては、例えば、オゾン水やフッ化水素酸(HF)、超純水(DIW)などを用いることが可能であり、その他にも処理内容に応じて各種の処理液を用いることができる。
【0024】
制御部9は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板処理に関する基板処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部とを備えている。この制御部9は、基板処理情報や各種プログラムに基づいて回転機構5や液供給部8などを制御し、回転中の支持部4上の基板Wの表面に対し、液供給部6から供給された処理液を各ノズル6a、6b及び6cから吐出して供給する基板処理の制御を行う。
【0025】
基板処理において、制御部9は、基板Wの中心から周縁に向かう順序で各ノズル6a、6b及び6cに処理液を吐出させる制御を行う。詳述すると、制御部9は、ノズル6aにつながる配管途中の開閉弁、ノズル6bにつながる配管途中の開閉弁及びノズル6cにつながる配管途中の開閉弁(いずれも図示せず)のそれぞれの開閉状態を制御し、基板Wの中心から周縁に向かう順序で各開閉弁を開状態にしていき、各ノズル6a、6b及び6cに処理液を吐出させる。
【0026】
ここで、
図2に示すように、第1のノズル6aであるノズル1が所定間隔でON(吐出)になる。このノズル1がONからOFFとなったタイミングで、第2のノズル6bであるノズル2がONになる。同じように、ノズル2がONからOFFとなったタイミングで、第3のノズル6cであるノズル3がONになる。このようにして、基板Wの中心から周縁に向かう順序、すなわちノズル1、ノズル2及びノズル3の順番で各ノズル6a、6b及び6cから処理液が吐出され、回転中の基板Wの表面に供給される。なお、各ノズル6a、6b及び6cは、前述のONになっている時間内において、予め設定した時間で処理液を間欠吐出する。
【0027】
このようにして、基板Wの中心から周縁に向かう順序で各ノズル6a、6b及び6cから処理液が間欠吐出され、回転する基板Wの表面に供給される。ノズル6aから基板中心付近に供給された処理液は遠心力によって基板周縁部へと流れていき、同様に、ノズル6bから基板半径中央付近に供給された処理液も遠心力によって基板周縁部へと流れていく。また、ノズル6cから基板周縁付近に供給された処理液も遠心力によって基板周縁部へと流れていく。これにより、基板Wの表面は基板処理中、処理液によって覆われることになる。
【0028】
このとき、基板中心付近に加え、基板半径中央付近や基板周縁付近にも、新しい処理液(新鮮な処理液)が供給される。処理液が基板中心付近のみに供給される場合、基板半径中央付近や基板周縁付近には、反応あるいは汚染が進行した処理液(古い処理液)が供給されることになる。ところが、処理液が基板中心付近に加え基板半径中央付近や基板周縁付近にも直接供給される場合には、基板半径中央付近や基板周縁付近にも新しい処理液(新鮮な処理液)が供給されることになる。これにより、基板中心部と基板周縁部において処理に差が生じることが抑止される。また、基板Wの表面における処理(例えば、エッチングや清浄度など)の均一性が向上することになる。
【0029】
ここで、
図3において、グラフA1はノズル6aのみから処理液が供給された場合の結果であり(白丸参照)、グラフA2は前述のような順序で各ノズル6a、6b及び6cから処理液が間欠供給された場合の結果である(黒丸参照)。グラフA2では、接触角(deg)がグラフA1に比べ小さくなっている(接触角が小さい程、処理が進行している)。特に、円形状の基板Wであるウェーハの半径位置が200mm付近で、接触角が1/2や2/3程度に小さくなっている。なお、ウェーハの直径は例えば450mmである。
【0030】
したがって、前述のように各ノズル6a、6b及び6cから処理液をそれぞれ間欠吐出して基板表面に供給した場合には、接触角の変化がグラフA1からグラフA2となって接触角の差(例えば、最大値と最小値の差)が小さくなるため、基板中心付近と基板周縁付近の処理差など、基板Wの表面における各位置での処理差が小さくなることがわかる。このように前述の処理液供給により、基板中心部と基板周縁部において処理に差が生じることを抑止することが可能である。
【0031】
なお、処理中には各ノズル6a、6b及び6cは揺動機構7により移動することは制限されている。これにより、各ノズル6a、6b及び6cの移動によりパーティクルが発生し、そのパーティクルによって処理中の基板Wが汚染されることを防止することができる。
【0032】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、回転している基板Wの表面に、その基板Wの中心から周縁に並ぶ複数本のノズル6a、6b及び6cから処理液をそれぞれ吐出することによって、基板Wの中心部と周縁部において処理に差が生じることが抑止される。これにより、その処理差を抑えるため、基板周縁部の処理が完了するまで処理液を供給し続ける必要が無くなるので、その分処理時間を短縮し、さらに、処理液の消費量も削減することができる。このようにして、処理時間の短縮及び処理液消費量の削減を実現することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について
図4乃至
図9を参照して説明する。
【0034】
第2の実施形態は基本的に第1の実施形態と同様である。第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(ノズルごとの吐出タイミング)について説明し、その他の説明は省略する。
【0035】
図4に示すように、第1のノズル6a(ノズル1)は液供給開始のタイミングでON(吐出)になり、そのONになるタイミングから時間t1後にOFFとなる。さらに、第1のノズル6aは、前述のOFFになるタイミングから時間t2後にONとなり、そのONになるタイミングから時間t3後にOFFとなる。その後、第1のノズル6aは、時間t2の間隔で時間t3だけONになることを液供給終了のタイミングまで繰り返す。
【0036】
第2のノズル6b(ノズル2)は、第1のノズル6aがONからOFFになるタイミングから時間t4後にONとなり、そのONになるタイミングから時間t3後にOFFとなる。その後、第2のノズル6bは、時間t2の間隔で時間t3だけONになることを繰り返す。また、第2のノズル6bがONからOFFになるタイミングから時間t5後に、第1のノズル6aがOFFからONになる。なお、
図4では、t1≧t3、t2=t3+t4+t5及び0≦t5≦t4という関係式が成り立っている。
【0037】
このような第1のノズル6a(内周ノズル)と第2のノズル6b(外周ノズル)との吐出タイミングの関係は、内周ノズルと外周ノズルとの吐出タイミングの関係である。このため、その吐出タイミングの関係は、第2のノズル6bと第3のノズル6cとの吐出タイミングの関係にも適用される。すなわち、第2のノズル6bが内周ノズルとされ、第3のノズル6cが外周ノズルとされ、前述と同様の吐出タイミングが用いられる。
【0038】
次に、前述の吐出タイミングに基づく第2のノズル6b(外周ノズル)の吐出タイミングについて基板Wの表面上での処理液の広がりと共に説明する。第1の実施形態と同様、処理液の供給時、基板Wは水平面内で回転している。なお、説明の簡略化のため、第1のノズル6a(内周ノズル)と第2のノズル6b(外周ノズル)との吐出について主に説明するが、その内容は第2のノズル6b(内周ノズル)と第3のノズル6c(外周ノズル)との吐出でも同様である。
【0039】
図5に示すように、第1のノズル6a(ノズル1)が時間t1だけONになると(
図4参照)、第1のノズル6aから処理液が基板Wの表面上に所定量供給される。その基板Wの表面上に供給された処理液は遠心力によって基板Wの外周に向かって広がっていく。このとき、
図6に示すように、基板W上の処理液は膜状にその内周部分よりも外周部分の方が厚くなるように広がっていく。
【0040】
第1のノズル6aがONからOFFとなると、そのタイミングから時間t4後に第2のノズル6b(ノズル2)がOFFからONとなる(
図4参照)。このとき、
図7及び
図8に示すように、第2のノズル6bの下方(直下付近)の処理液の膜厚は所定厚さT以下になっている。このタイミングで、第2のノズル6bは時間t3だけONになり、第2のノズル6bから処理液Lが基板Wの表面上に所定量供給される。なお、
図7及び
図8中の符号Lは、第2のノズル6bである外周ノズルから基板Wの表面上に供給される処理液を示している。
【0041】
次いで、第2のノズル6bがONからOFFとなると、そのタイミングから時間t5後に第1のノズル6aがOFFからONとなる(
図4参照)。この第1のノズル6aは時間t3だけONになり、第1のノズル6aから処理液が基板Wの表面上に所定量供給される。
【0042】
その後、第1のノズル6aでは、時間t3の液供給が時間t2の間隔で繰り返される(
図4参照)。同様に、第2のノズル6bでも、時間t3の液供給が時間t2の間隔で繰り返される。このときも、前述のように、第2のノズル6bの下方の処理液の膜厚が所定厚さT以下となるタイミングで(
図7及び
図8参照)、処理液Lが第2のノズル6bから基板Wの表面上に所定量供給される。
【0043】
制御部9は、前述のような吐出タイミングに基づく吐出制御を行うことで、第1のノズル(内周ノズル)6aから基板Wの表面に供給された処理液の液膜において第2のノズル(外周ノズル)6bの下方の膜厚が所定厚さT以下である場合に、第2のノズル6bに処理液を吐出させることになる。
【0044】
前述の所定厚さTは、第1のノズル(内周ノズル)6aから基板Wの表面に供給されて遠心力により基板Wの外周に向かって広がる処理液が、第2のノズル(外周ノズル)6bから基板Wの表面に供給された処理液Lによって滞留する液量を所定量以下とする厚さである。所定量とは、例えば、滞留した処理液が基板Wに対する処理に悪影響を生じさせない量であり、好ましくは0(ゼロ)である。なお、液膜厚の制御因子としては、基板Wの回転数や液流量、隣接するノズル間の距離、基板Wとノズルとの間の距離、液流速(例えばノズル径)などがある。
【0045】
ここで、例えば、所定厚さTは500μmであることが望ましい。この数値は
図9に示すグラフに基づいて求められる。
図9に示すように、外周ノズルの下方(下部)の液膜厚が500μm以下である場合には、残留パーティクル数(未処理パーティクル数)が0個である。ところが、外周ノズルの下方の液膜厚が500μmより大きくなると、すなわち600μmで残留パーティクル数が100個、700μmで1000個、800μm以上で2000個というように急激に増加する傾向にある。このため、所定厚さTは500μmであることが望ましい。
【0046】
液膜厚が500μm以下である場合には、第1のノズル6aから基板Wの表面に供給されて遠心力により基板Wの外周に向かって広がる処理液が、第2のノズル6bから基板Wの表面に供給された処理液Lによって滞留する液量が所定量以下となる。すなわち、基板Wの表面をその外周に向かって広がる処理液の膜厚が500μm以下で薄く、液量が少ない場合には、その液量が少ない処理液が第2のノズル6bから基板Wの表面に供給された処理液Lによって遮られても、滞留する液量は少なく所定量以下になる。この関係は第2のノズル6bと第3のノズル6cの間でも同様となる。このため、各ノズル6a、6b及び6cからそれぞれ供給された処理液が基板Wの表面上で干渉し、それらの処理液の流れが滞って(とどこおって)澱みが生じることが抑止されるので、確実に残留パーティクル数を少なくすることができる。
【0047】
一方、液膜厚が500μmより大きい場合には、第1のノズル6aから基板Wの表面に供給されて遠心力により基板Wの外周に向かって広がる処理液が、第2のノズル6bから基板Wの表面に供給された処理液Lによって滞留する液量が所定量より多くなる。すなわち、基板Wの表面をその外周に向かって広がる処理液の膜厚が500μmより厚く、液量が多い場合には、その液量が多い処理液が第2のノズル6bから基板Wの表面に供給された処理液Lによって遮られると、滞留する液量は多く所定量を超えてしまう。この関係は第2のノズル6bと第3のノズル6cの間でも同様である。このため、各ノズル6a、6b及び6cからそれぞれ供給された処理液が基板Wの表面上で干渉し、それらの処理液の流れが滞って澱みが生じることになるため、処理液による処理能力が低下してしまう。
【0048】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、基板Wの表面上の処理液の液膜の厚さに応じて、各ノズル6a、6b及び6cにそれぞれ異なる吐出タイミングで処理液を吐出させることによって、各ノズル6a、6b及び6cから個々に供給された処理液が基板Wの表面上で干渉することを抑えることが可能となる。このため、各ノズル6a、6b及び6cから個々に供給された処理液が基板Wの表面上で干渉し、それらの処理液の流れが滞って澱みが生じることを抑止することができる。したがって、処理液の澱みの発生による処理差を抑えるため、基板周縁部の処理が完了するまで処理液を供給し続ける必要が無くなるので、その分処理時間を短縮し、さらに、処理液の消費量も削減することができる。
【0049】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について
図10及び
図11を参照して説明する。
【0050】
第3の実施形態は基本的に第2の実施形態と同様である。第3の実施形態では、第2の実施形態との相違点(膜厚測定部及びノズル配置)について説明し、その他の説明は省略する。
【0051】
図10に示すように、第3の実施形態では、基板W上の処理液の膜厚(液膜の厚さ)を測定する膜厚測定部10が設けられている。膜厚測定部10は、第2のノズル6bよりも基板Wの内周側であってその近傍に位置付けられており、第1のノズル6aと第2のノズル6bとの間に設けられている。この膜厚測定部10は、制御部9に電気的に接続されており、ノズル6bの下方(直下付近)の基板W上の処理液の膜厚を測定し、その測定結果を制御部9に入力する。なお、
図10中の符号Lは、第2のノズル6bである外周ノズルから基板Wの表面上に供給される処理液を示している。
【0052】
膜厚測定部10としては、例えば、レーザ変位計やレーザ干渉計などを用いることが可能である。また、膜厚測定部10の個数も特に限定されるものではなく、膜厚測定部10を第3のノズル6cよりも基板Wの内周側であってその近傍に設け、第3のノズル6cの吐出タイミング用に用いるようにしても良い。
【0053】
制御部9は、膜厚測定部10の測定結果に基づき、第2のノズル6bから処理液を吐出させるタイミングを調整する。例えば、制御部9は、第1のノズル6aからの液供給開始後、膜厚測定部10により測定された処理液の膜厚が所定厚さT(例えば、500μm)以下になった場合に、第2のノズル6bに処理液を吐出させる。このときの吐出タイミングは膜厚の実測値に基づくタイミングとなり、吐出タイミングの精度を向上させることができる。
【0054】
図11に示すように、各ノズル6a、6b及び6cは、それらのノズルのうち一番内周側のノズル6aと外周側のノズル6cとの間に存在するノズル6bの吐出口が、一番内周側のノズル6aの吐出口と外周側のノズル6cの吐出口を通る仮想直線L1上からずらされ、その仮想直線L1上に位置しないように設けられている。さらに、ノズル6bは、仮想直線L1から回転方向L2に所定距離だけずらされて設けられている。これにより、各ノズル6a、6b及び6cからそれぞれ供給された処理液が基板Wの表面上で干渉することを抑えることが可能となり、それらの処理液の流れが滞って澱みが発生することを確実に抑止することができる。
【0055】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、基板Wの表面上の処理液の膜厚を測定することによって、測定した膜厚に応じて各ノズル6a、6b及び6cにそれぞれ異なる吐出タイミングで処理液を吐出させることができる。これにより、各ノズル6a、6b及び6cからそれぞれ供給された処理液が基板Wの表面上で干渉することを確実に抑えることが可能となり、それらの処理液の流れが滞って澱みが発生することを確実に抑止することができる。
【0056】
加えて、各ノズル6a、6b及び6cのうち、一番内周側のノズル6aと外周側のノズル6cとの間に存在するノズル6bの吐出口を、一番内周側のノズル6aの吐出口と外周側のノズル6cの吐出口を通る仮想直線L1上からずらし、各ノズル6a、6b及び6cを設けることによって、各ノズル6a、6b及び6cからそれぞれ供給された処理液が基板Wの表面上で干渉することをより確実に抑えることができる。
【0057】
また、ノズル6aを設けず、各ノズル6b及び6cのみが存在する場合には、それらのノズル6b及び6cのうち、基板中央と外周側のノズル6cとの間に存在するノズル6bの吐出口を、基板中央と外周側のノズル6cの吐出口を通る仮想直線上からずらし、各ノズル6b及び6cを設けることによって、各ノズル6b及び6cからそれぞれ供給された処理液が基板Wの表面上で干渉することをより確実に抑えることができる。
【0058】
(他の実施形態)
前述の第1又は第2の実施形態では、各ノズル6a、6b及び6cからそれぞれ異なる吐出タイミング、すなわち基板Wの中心から周縁に向かう順序で各ノズル6a、6b及び6cから処理液を吐出しているが、これに限るものではなく、例えば、その順序を変えることも可能であり、前述の逆の周縁から中心に向かう順序で各ノズル6a、6b及び6cから処理液を吐出するようにしても良く、また、処理途中にその順序を変更するようにしても良い。ただし、基板Wの表面が乾燥することを防止するためには、支持部4上の基板Wの表面の中心付近に対向するノズル6aから最初に処理液を吐出することが望ましい。
【0059】
例えば、HFによるエッチング処理が終わり、オゾン水を用いた親水化処理を行うステップでは、
図12に示すように、ノズル6a→ノズル6b→ノズル6c→ノズル6a→ノズル6b→ノズル6c・・・というように基板Wの内周側から外周側への順序を繰り返し、間欠吐出を行って基板Wの全面を親水化することが可能である。また、ノズル6a→ノズル6b→ノズル6c→ノズル6b→ノズル6a・・・というように基板Wの内周側から外周側へさらに外周側から内周側への順序を繰り返し、間欠吐出を行って基板Wの全面を親水化することも可能である。どちらの場合でも、内周及び外周に順序を繰り返すことで、常に新鮮なオゾン水を供給することが可能となるので、基板Wの全面を親水化することができる。なお、新鮮なオゾン水とは、オゾン水中に溶存しているオゾンガスが気化して抜けていない液体である。
【0060】
一方、例えば、HFにより基板Wの表面にある酸化膜をエッチングする時には、ノズル6c→ノズル6b→ノズル6a→ノズル6b→ノズル6c・・・というように基板Wの外周側から内周側へさらに内周側から外周側への順序を繰り返し、基板Wの外周部をエッチングしてから順次間欠吐出を行うことが可能である。あるいは、ノズル6a及びノズル6bをグループAとし、グループA→ノズル6c→グループA→ノズル6c・・・というように基板Wの中心部付近への間欠吐出を行い、その中心部のエッチング後に基板Wの外周部のみをエッチングすることが可能である。さらに、ノズル6b及びノズル6cをグループBとし、グループB→ノズル6a→グループB→ノズル6a・・・というように基板Wの外周側から内周側へさらに内周側から外周側への順序を繰り返し、基板Wの外周部をエッチングしてから順次間欠吐出を行うことが可能である。
【0061】
なお、グループAでは、ノズル6aとノズル6bの吐出切替が繰り返され、どちらのノズル6a及び6bでも間欠吐出が行われる。また、グループBでも、ノズル6bとノズル6cの吐出切替が繰り返され、どちらのノズル6b及び6cでも間欠吐出が行われる。ただし、必ずしも間欠吐出が行われる必要は無く、連続吐出が行われても良い。
【0062】
前述のように、基板Wの表面上の酸化膜、すなわち処理対象膜が存在する場合には、処理対象膜の厚さに応じて様々な順序を用いることが可能である。例えば、処理対象膜の外周部が内周部に比べて厚い場合には、外周部に積極的に処理液を供給する順序を用いる。一方、処理対象膜の内周部が外周部に比べて厚い場合には、内周部に積極的に処理液を供給する順序を用いる。
【0063】
また、前述の第1又は第2の実施形態においては、各ノズル6a、6b及び6cを基板Wの表面に対してほぼ垂直に設けているが、これに限るものではなく、基板Wの表面に対して傾けて設けるようにしても良く、例えば、基板Wの回転方向の上流側に倒して傾けるようにしても良い。
【0064】
また、前述の第1又は第2の実施形態においては、各ノズル6a、6b及び6cから吐出する処理液としては、同じ処理液を用いているが、これに限るものではなく、例えば、各ノズル6a、6b及び6cから吐出する処理液の濃度を基板Wの中心から周縁に向かう順序あるいはその逆の周縁から中心に向かう順序で高くするようにしても良い。また、基板Wの外周側にいくほど周速が速いため、各ノズル6a、6b及び6cから吐出する処理液の温度を基板Wの中心から周縁に向かう順序で高くするようにしても良い。すなわち、基板Wの外周側にいくほど周速が速くなるため、基板Wの温度は中心部に比べて外周の方が低いので、外周に供給する処理液の温度を高くすることが望ましい。このように処理液の濃度や温度を調整する場合には、前述の処理差をより抑えることが可能となるので、処理時間の短縮及び処理液消費量の削減を促進することができる。
【0065】
ここで、処理液の濃度を高くする手段としては、例えば、濃度が異なる処理液をそれぞれ異なるタンクに貯留しておき、それらのタンクから個別に各ノズル6a、6b及び6cに処理液を供給する手段がある。さらに、各ノズル6a、6b及び6cにつながる各配管の途中に純水などを供給する配管を接続し、その純水を処理液に混合することでそれぞれの処理液の濃度を変える手段もある。また、処理液の温度を変える手段としては、例えば、各ノズル6a、6b及び6cに温度が異なる処理液を供給する配管を接続する手段がある。
【0066】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、第1の処理液や第2の処理液などの供給は、それぞれの供給時間が重ならない実施形態で説明したが、一部重なっても構わない。また、上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。