特許第6203106号(P6203106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203106
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】給油口開閉装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   B60K15/05 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-82156(P2014-82156)
(22)【出願日】2014年4月11日
(65)【公開番号】特開2015-202745(P2015-202745A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100077241
【弁理士】
【氏名又は名称】桑原 稔
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 博志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英明
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−158215(JP,A)
【文献】 特開2004−190518(JP,A)
【文献】 特開2004−345636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油ノズルの導入により開き位置に回動されて給油口を開放させる閉鎖部材を備えてなる開閉装置であって、
前記閉鎖部材は、リング状のシール部材を備えたフラップ体と、このフラップ体を付勢により閉じ位置に位置づける付勢手段とを備えており、
前記シール部材は、その内周側と外周側とにそれぞれシール部分を備えると共に、
前記シール部分の一方を、前記給油ノズルの通過口の口縁部を縁取る突条に前記付勢により圧接される板状部分とし、
前記シール部分の他方を、前記フラップ体にそれぞれ圧接される内側周回突部と外側周回突部とから構成してなる、給油口開閉装置。
【請求項2】
前記フラップ体は、前記シール部材を介して組み合わされる外側部材と内側部材とからなると共に、
前記外側部材の外方に前記シール部材の板状部分が位置され、
前記内側部材と前記外側部材の間に前記シール部材の内側周回突部と外側周回突部とが位置されるようにしてなる、請求項1に記載の給油口開閉装置。
【請求項3】
前記内側部材に、前記内周側のシール部分と前記外周側のシール部分との間の空間をインレットパイプの奥側に連通させる連通孔を形成させてなる、請求項2に記載の給油口開閉装置。
【請求項4】
前記シール部材は、前記インレットパイプの軸方向に直交する部分と、前記インレットパイプの軸方向に沿った部分とを備えた断面略L字状を呈し、前記軸方向に直交する部分の一部を前記板状部分とし、前記軸方向に沿った部分の端末に前記内側周回突部と外側周回突部とを備えてなる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の給油口開閉装置。
【請求項5】
前記シール部材の板状部分は、前記インレットパイプの奥側が高圧のときに、前記通過口の口縁部を縁取る突条に対する密着性を高める向きに変形されるようになっている、請求項請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の給油口開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給油ノズルの挿入により給油口を開いてこの挿入を許容し、挿入された給油ノズルが抜き出されたときは給油口を自動的に閉鎖する給油口開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料注入パイプの上端に取り付けられる開閉装置として、特許文献1に示されるものがある。この開閉装置は、本体に対して回動自在に組み付けられた閉鎖体を有し、バネ手段の付勢により燃料注入パイプの奥側から開放部をかかる閉鎖体によって閉鎖するようになっている。閉鎖体は、その上面に備えたシール部材を座面に接しさせるようになっている。この特許文献1のものでは、シール部材は、断面Y字状を呈しており、この形状は燃料注入パイプの奥側、つまり、燃料タンク内が外部より低圧であるときはシール性を低くする。また、この種のシール部材は、弾性を持ち燃料により膨潤し易い材料からなるため、シール部材に燃料が付着した場合、前記膨潤により前記座面とシール部材とが接する位置に変化を生じさせてしまう。これはこの種の開閉装置の開弁圧に影響を及ぼす要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−522118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種の給油口開閉装置による給油口の閉鎖時のシール性を一層確実で優良なものにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、給油口開閉装置を、給油ノズルの導入により開き位置に回動されて給油口を開放させる閉鎖部材を備えてなる開閉装置であって、
前記閉鎖部材は、リング状のシール部材を備えたフラップ体と、このフラップ体を付勢により閉じ位置に位置づける付勢手段とを備えており、
前記シール部材は、その内周側と外周側とにそれぞれシール部分を備えると共に、前記シール部分の一方を、前記給油ノズルの通過口の口縁部を縁取る突条に前記付勢により圧接される板状部分とし、
前記シール部分の他方を、前記フラップ体にそれぞれ圧接される内側周回突部と外側周回突部とから構成してなる、ものとした。
【0006】
閉鎖部材を構成するフラップ体が閉じ位置にあるとき、前記シール部材の内外のシール部分の一方となる板状部分は、前記突条に前記付勢により圧接され、かかる付勢力は比較的狭い前記突条との圧接箇所に集中されることから、この板状部分のシール性は高く確保される。このような突条を設けない場合、燃料によりシール部材に膨潤が生じると前記通過口の口縁部に対しシール部材が接するシール箇所が変化する可能性があるが、前記突条によって前記シール箇所は前記膨潤などが生じても変化することがない。また、前記シール部材の内外のシール部分の他方は、前記内側周回突部と外側周回突部とから構成されていることから、インレットパイプの奥側が高圧であるときのみならず、インレットパイプの外部が高圧であるときも、前記内側周回突部と外側周回突部のうち高圧側に位置される方を圧力差によりフラップ体に圧接させてシール部材とフラップ体との間のシール性を高めることが可能となる。
【0007】
前記フラップ体を、前記シール部材を介して組み合わされる外側部材と内側部材とからなるものとすると共に、前記外側部材の外方に前記シール部材の板状部分を位置させ、前記内側部材と前記外側部材の間に前記シール部材の内側周回突部と外側周回突部とが位置されるようにしておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。
【0008】
また、前記内側部材に、前記内周側のシール部分と前記外周側のシール部分との間の空間をインレットパイプの奥側に連通させる連通孔を形成させておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。
【0009】
また、前記シール部材は、前記インレットパイプの軸方向に直交する部分と、前記インレットパイプの軸方向に沿った部分とを備えた断面略L字状を呈し、前記軸方向に直交する部分の一部を前記板状部分とし、前記軸方向に沿った部分の端末に前記内側周回突部と外側周回突部とを備えたものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。
【0010】
また、前記シール部材の板状部分は、前記インレットパイプの奥側が高圧のときに、前記通過口の口縁部を縁取る突条に対する密着性を高める向きに変形されるようにしておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、前記シール部材によって、給油口の閉鎖時のシール性を確実で優良なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、この発明の一実施の形態にかかる給油口開閉装置をインレットパイプの上端部に取り付けた状態を示した斜視図である。
図2図2は、図1の状態の平面図である。
図3図3は、図1の状態の底面図である。
図4図4は、図2におけるA−A線位置での断面図である。
図5図5は、給油ノズルの挿入状態を示した要部破断側面図であり、上側装置の閉鎖部材は開き位置にある。
図6図6は、上側装置の要部を断面にして示した要部破断側面図であり、上側装置のフラップ体の付勢手段の記載を省略して示している。
図7図7は、インレットパイプに下側装置を取り付けた状態を上側装置の記載を省略して示した斜視図である。
図8図8は、図7の状態の平面図である。
図9図9は、図8におけるB−B線位置での断面図である。
図10図10図8におけるC−C線位置での下側装置を構成するフラップ体の断面図であり、通過口を縁取る突条を想像線で示している。
図11図11は、下側装置を構成するフラップ体の斜視図である。
図12図12は、下側装置を構成するフラップ体の側面図である。
図13図13は、下側装置を構成するフラップ体の平面図である。
図14図14は、下側装置を構成するシール部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図14に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について説明する。この実施の形態にかかる給油口開閉装置は、給油ノズルNの挿入により給油口を開いてこの挿入を許容し、挿入された給油ノズルNが抜き出されたときは給油口を自動的に閉鎖するものである。
【0014】
すなわち、かかる給油口開閉装置は、給油ガン(図示は省略する。)の給油ノズルNが給油口に挿入されたときは、後述する閉鎖部材La、Uaを開き位置に回動させて給油口開閉装置より先への給油ノズルNの挿入を許容して給油を可能とし、挿入された給油ノズルNが抜き出されたときは後述する閉鎖部材La、Uaを閉じ位置に復動させて前記給油口を自動的に閉鎖するものである。これにより、かかる給油口開閉装置は、ねじ込み式の給油口のキャップを不要とするものである。
【0015】
図示の例では、給油口開閉装置は、インレットパイプP(燃料注入パイプ)の前記給油口を構成する上端部Paに取り付けられている。図示の例では、かかるインレットパイプPの上端部Paに、機能を異にする二種類の給油口開閉装置が取り付けられている。かかる二種類の給油口開閉装置の一方は、インレットパイプPの上端部Paの内側にはめ込まれている(以下、かかる一方の給油口開閉装置を下側装置Lと称する)。かかる二種類の給油口開閉装置の他方は、前記下側装置LをインレットパイプPの上端部Paにはめ込んだ状態からインレットパイプPの上端部Paの外側に嵌め付けられている(以下、かかる他方の給油口開閉装置を上側装置Uと称する)。これにより、前記下側装置Lの閉鎖部材Laの直上に上側装置Uの閉鎖部材Uaが位置するようになっている。給油ノズルNの挿入操作がなされると、給油ノズルNは上側装置Uの閉鎖部材Uaに当接してこの閉鎖部材Uaを開き位置に回動させて給油口内に進入し、次いで下側装置Lの閉鎖部材Laに当接してこの閉鎖部材Laを開き位置に回動させて給油口を完全に開放する。
【0016】
(下側装置L)
前記下側装置Lは、筒状主体Lbと、閉鎖部材Laとを備えてなる。筒状主体Lbは、上端及び下端を共に開放させると共に、実質的に円筒状を呈している。前記上端及び下端間において、筒状主体Lbの内部空間は隔壁12によって上下に区分されている。筒状主体Lbの外径は、インレットパイプPの上端部Paの内径と実質的に等しくなっている。図示の例では、筒状主体Lbの上端には、外鍔13が形成されていると共に、筒状主体Lbの外面部には係合突起14が形成されている。インレットパイプPの上端部Paには、このインレットパイプPの端末に前記外鍔13が当接する位置までこのインレットパイプPの上端部Paに下側装置Lをはめ込む過程で筒状主体Lbの前記係合突起14を受け入れはめ込み終了位置での弾性復帰によりこれに係合される係合穴Pbが形成されており、この係合によってインレットパイプPに対する下側装置Lのはめ込み状態が維持されるようになっている。前記隔壁12には、前記給油ノズルNの通過を許容する円形の通過口15が形成されている。前記閉鎖部材Laは、閉じ位置において前記隔壁12に下側から圧接して前記通過口15を閉鎖し、これにより前記給油ノズルNが挿入されない限り前記給油口の閉鎖状態を維持するようになっている(図4)。
【0017】
前記隔壁12の下面側において、前記通過口15の口縁部は突条16によって縁取られている。すなわち、前記隔壁12の下面には前記突条16により短寸の円筒状部が形成されている。前記閉鎖部材Laは、閉じ位置において、後述の付勢手段11の付勢により、後述のシール部材101の板状部分101bを前記突条16に圧接させて、前記通過口15を気密状態に塞ぐようになっている。すなわち、この実施の形態にあっては、前記突条16は弁座として機能するようになっている。
【0018】
一方、前記閉鎖部材Laは、リング状のシール部材101を備えたフラップ体10と、このフラップ体10を付勢により閉じ位置に位置づける付勢手段11とを備えている。
【0019】
前記フラップ体10は、前記シール部材101を介して組み合わされる外側部材102と内側部材103とから構成されている。外側部材102は、前記インレットパイプPの端末側に位置し、内側部材103はかかるインレットパイプPの奥側に位置する。
【0020】
内側部材103は、実質的に円盤状を呈している。内側部材103の表面側には、内側周回壁103aと、この内側周回壁103aを取り巻く外側周回壁103bと、外側周回壁103bを取り巻く周回溝103dとが形成されている。前記周回溝103dと内側部材103の外縁との間には、周回平坦面103eが形成されている。
【0021】
また、内側部材103の裏面側には、一対の軸受け部103f、103fが形成されている。一対の軸受け部103f、103fはそれぞれ、内側部材103の裏面側から突き出す腕状をなし、突き出し端を内側部材103の外縁よりも外方に位置させると共に、この突き出し端に軸穴103gを備えている。また、図示の例では、前記筒状主体Lbの前記隔壁12下に、一対の軸受け部17、17が形成されている。図示の例では、筒状主体Lbの一対の軸受け部17、17間に内側部材103の一対の軸受け部103f、103fを納めると共に、これらに形成された軸穴103gに軸体Lcを挿通することで、この軸体Lcを中心とした回動可能に筒状主体Lbに閉鎖部材Laが取り付けられている。
【0022】
外側部材102は、フラップ体10が閉じ位置にある状態において前記通過口15に納まる大きさを備え、外郭形状を円形としている。外側部材102の表面に給油ノズルNが当接される。外側部材102の裏面側には、周回挟持部102aが形成されている。また、外側部材102の側部であって、前記周回挟持部102aの上方には、外側部材102の直径方向両側においてそれぞれ、外方に突き出す係合爪102bが形成されている。
【0023】
図示の例では、外側部材102と内側部材103とは、外側部材102の周回挟持部102aを内側部材103の周回溝103dの直上に位置させると共に外側部材102の外縁の外方に内側部材103の周回平坦面103eを位置させた状態で、外側部材102の係合爪102bを内側部材103の外側周回壁103bに形成させた係合穴103cに係合させることで一体化されている。
【0024】
図示の例では、内側部材103の内側周回壁103aの内方に通気穴103hが形成されていると共に、内側部材103と外側部材102との間に圧縮コイルバネ105とこのバネ105の付勢により前記通気穴103hを塞ぐ弁体104とが納められており、燃料タンク側が所定値以上の高圧となったとき、かかる弁体104が前記バネ105の付勢に抗して上昇して通気穴103hが開弁されるようになっている。すなわち、図示の例では、前記フラップ体10はリリーフバルブを内蔵したものとなっている。
【0025】
一方、前記シール部材101は、内外にそれぞれシール部分101aを備えると共に、この内外のシール部分101a、101a間の空間S(図10)をインレットパイプPの奥側に連通させるように備えられている。典型的には、かかるシール部材101は、ゴム又はゴム状弾性を備えたプラスチックから構成される。
【0026】
また、かかるシール部材101は、前記内外のシール部分101a、101aの一方を、前記給油ノズルNの通過口15の口縁部を縁取る突条16に前記付勢により圧接される板状部分101bとし、前記内外のシール部分101a、101aの他方を、前記フラップ体10にそれぞれ圧接される内側周回突部101cと外側周回突部101dとから構成している。
【0027】
この実施の形態にあっては、前記シール部材101の外径は、前記内側部材103の外径と略等しく、前記シール部材101の内径は、前記外側周回壁103bの外径と略等しくなっている。そして、この実施の形態にあっては、前記シール部材101は、その外周側に前記板状部分101bを有し、その内周側に前記内側周回突部101cと外側周回突部101dとを備えている。
【0028】
具体的には、前記シール部材101は、前記インレットパイプPの軸方向x(図4図10参照)に直交する部分と、前記インレットパイプPの軸方向xに沿った部分とを備えた断面略L字状を呈し(図10参照)、前記軸方向に直交する部分の一部を前記板状部分101bとし、前記軸方向に沿った部分の端末に前記内側周回突部101cと外側周回突部101dとを備えてなる。
【0029】
図示の例では、前記シール部材101は短寸筒体101eの筒一端に前記板状部分101bとなる周回外鍔101fを形成すると共に、この短寸筒体101eの筒他端に周回溝101gを形成した構成となっており、かかる周回溝101gによって内外に区分される前記短寸筒体101eの筒他端によって前記外側周回突部101dと前記内側周回突部101cとが形成されている(図14)。
【0030】
また、前記シール部材101の短寸筒体101eの長さL1(図14)は、外側部材102の周回挟持部102aと内側部材103の周回溝103dの溝底との間の距離L2(図10)よりも大きくなっている。
【0031】
この実施の形態にあっては、内側部材103の周回溝103d内に短寸筒体101eを納め、周回平坦面103e上に外鍔13を位置させるように内側部材103にシール部材101を組み合わせた状態からこの内側部材103に外側部材102を前記のように組み合わせることで、かかる内側部材103と外側部材102との間でシール部材101を保持している。これにより、前記外側部材102の外方に前記シール部材101の板状部分101bが位置され、前記内側部材103と前記外側部材102の間に前記シール部材101の内側周回突部101cと外側周回突部101dとが位置されるようになっている。
【0032】
前記シール部材101の内側周回突部101cは内側にすぼんだ弾性変形状態で周回溝103dの溝底に圧接され、外側周回突部101dは外側に開いた弾性変形状態で周回溝103dの溝底に圧接され、板状部分101bは突条16によって上方を屈曲内側とするように屈曲された状態で突条16と周回平坦面103eとの間に挟持されるようになっている(図10)。
【0033】
前記付勢手段11は、図示の例では、ねじりコイルバネ11aとなっている。図示の例では、前記内側部材103の一対の軸受け部103f、103f間においてバネ巻回部11bに前記軸体Lcを通してこのバネ巻回部11bを保持されたねじりコイルバネ11aのバネ一端を内側部材103の裏面側に当接させると共に、このバネのバネ他端を前記隔壁12に当接させることで、前記フラップ体10に閉じ位置に向けた付勢力が常時作用されるようになっている。
【0034】
また、この実施の形態にあっては、前記内側部材103に、前記内外のシール部分101、101間の空間SをインレットパイプPの奥側に連通させる連通孔103iを形成させている。図示の例では、内側部材103の周回溝103dの外側の溝壁にかかる連通孔103iが形成されており(図10)、これにより、板状部分101bと外側周回突部101dとの間の空間SがインレットパイプPの奥側、つまり、燃料タンク側に連通した状態となっている。
【0035】
閉鎖部材Laを構成するフラップ体10が閉じ位置にあるとき、前記シール部材101の内外のシール部分101a、101aの一方となる板状部分101bは、前記突条16に前記付勢により圧接され、かかる付勢力は比較的狭い前記突条16との圧接箇所に集中されることから、この板状部分101bのシール性は高く確保される。このような突条16を設けない場合、燃料によりシール部材101に膨潤が生じると前記通過口15の口縁部に対しシール部材101が接するシール箇所が変化する可能性があるが、前記突条16によって前記シール箇所は前記膨潤などが生じても変化することがない。
【0036】
また、前記シール部材101の内外のシール部分101a、101aの他方は、前記内側周回突部101cと外側周回突部101dとから構成されていることから、インレットパイプPの奥側が高圧であるときのみならず、インレットパイプPの外部が高圧であるときも、前記内側周回突部101cと外側周回突部101dのうち高圧側に位置される方を圧力差によりフラップ体10に圧接させてシール部材101とフラップ体10との間のシール性を高めることが可能となる。
【0037】
図示の例では、前記シール部材101は前記内外のシール部分101a、101a間の空間をインレットパイプPの奥側に連通させており、また、外側周回突部101dは外側に開いた弾性変形状態で周回溝103dの溝底に圧接され、内側周回突部101cは内側にすぼんだ弾性変形状態で周回溝103dの溝底に圧接されていることから(図10)、インレットパイプPの奥側が高圧であるときはこの圧力により外側周回突部101dをフラップ体10(周回溝103dの溝底)に圧接させてシール部材101とフラップ体10との間のシール性を高め、これとは逆に、インレットパイプPの外部が高圧であるときはこの圧力により内側周回突部101cをフラップ体10(周回溝103dの溝底)に圧接させてシール部材101とフラップ体10との間のシール性を高めるようになっている。
【0038】
また、この実施の形態にあっては、前記板状部分101bは突条16によって上方を屈曲内側とするように屈曲された状態で突条16と周回平坦面103eとの間に挟持されるようになっており、インレットパイプPの奥側が高圧であるときは、図10において符号Fで示す力が板状部分101bに作用するようになっている。これにより、この実施の形態にあっては、前記シール部材101の板状部分101bは、前記インレットパイプPの奥側が高圧のときに、前記通過口15の口縁部を縁取る突条16に対する密着性を高める向きに変形されるようになっている。
【0039】
(上側装置U)
前記上側装置Uは、筒状主体Ubと、閉鎖部材Uaとを備えてなる。筒状主体Ubは、下端を開放させると共に、上端に周回状をなす内鍔20を備えており、この内鍔20によって給油ノズルNの通過口21となる上端開口を絞った形態となっている。すなわち、かかる筒状主体Ubは、実質的に円筒状を呈している。筒状主体Ubの内径は、インレットパイプPの上端部Paの外径と実質的に等しくなっている。図示の例では、筒状主体Ubの外面部には係合穴22が形成されている。インレットパイプPの上端部Paには、前記筒状主体Ub内にインレットパイプPの上端部Paを受入させてこのインレットパイプPの上端部Paに上側装置Uをはめ付けたときに弾性復帰により前記係合穴22に係合される係合突起Pcが形成されており、この係合によってインレットパイプPに対する上側装置Uのはめ込み状態が維持されるようになっている。前記閉鎖部材Uaは、閉じ位置において前記内鍔20に下側から圧接して前記通過口21を閉鎖し、これにより平常時においては前記給油口の閉鎖状態を維持するようになっている(図4)。
【0040】
一方、前記閉鎖部材Uaは、一対のフラップ体18、18と、各フラップ体18を付勢により閉じ位置に位置づける付勢手段19とを備えている。
【0041】
前記一対のフラップ体18、18はそれぞれ、前記回動の中心となる回動組み付け部18aと、対をなす他方のフラップ体18に対する当接部18bとを備えると共に、前記付勢によりその表面部を前記給油ノズルNの通過口21の口縁部21aに押しつけ且つ前記当接部18bを対をなす他方のフラップ体18の前記当接部18bに押しつけるようになっている。
【0042】
図示の例では、前記通過口21は円形を呈している。前記フラップ体18はそれぞれ、この通過口21の穴径よりも外径をやや大きくする仮想円(図示は省略する。)の180度分の円弧に沿った半円弧縁部18cと、前記仮想円を二分するこの仮想円の中心を通る仮想線分(図示は省略する。)に沿った直線縁部18dとを備えた平面視半円状の板状体となっている。一対のフラップ体18、18は、前記付勢により、下方から半円弧縁部18cを通過口21の口縁部21aに押し当てると共に、直線縁部18dを他方のフラップ体18の直線縁部18dに押し当てることで、他方のフラップ体18と協働して前記通過口21を閉鎖するようになっている(図4)。
【0043】
各フラップ体18には、一対の軸受け部18e、18eが形成されている。一対の軸受け部18e、18eはそれぞれ、前記直線縁部18dに直交する向きに前記半円弧縁部18cから外方に突き出す腕状をなし、突き出し端に軸穴18fを備えている。また、図示の例では、前記筒状主体Ubの前記内鍔20下に、一対の軸受け部23、23が形成されている。図示の例では、筒状主体Ubの一対の軸受け部23、23間にフラップ体18の一対の軸受け部18e、18eを納めると共に、これらに形成された軸穴18fに軸体Ucを挿通することで、この軸体Ucを中心とした回動可能に筒状主体Ubにフラップ体18が取り付けられている。かかる軸体Ucの軸中心線は前記直線縁部18dと平行をなしている。
【0044】
一方、前記付勢手段19は、バネ一端19bを前記フラップ体18の支持体側、つまり、前記筒状主体Ubに当接させると共に、バネ他端19cを前記フラップ体18の裏面部に形成され且つ前記当接部18bに近づくに連れて前記フラップ体18の厚さを漸増させる向きの傾斜面18gに当接させるねじりコイルバネ19aとしている。図示の例では、前記フラップ体18の一対の軸受け部18e、18e間においてバネ巻回部19dに前記軸体Ucを通してこのバネ巻回部19dを保持されたねじりコイルバネ19aのバネ他端19cをフラップ体18の裏面側に当接させると共に、このバネ19aのバネ一端19bを前記筒状主体Ubの内側壁に当接させることで、前記フラップ体18に閉じ位置に向けた付勢力が常時作用されるようになっている。
【0045】
また、この実施の形態にあっては、前記フラップ体18の表面部のうち前記半円弧縁部18cを除いた箇所は、おおむね、前記半円弧縁部18cの長さ方向中程の位置と前記直線縁部18dの長さ方向中程の位置とを結ぶ仮想の直線y(図2)上に位置される箇所を底とした凹状に成形されている。また、この表面部の形状に対応して、前記フラップ体18の裏面部のうち前記半円弧縁部18cを除いた箇所は、おおむね、前記半円弧縁部18cの長さ方向中程の位置と前記直線縁部18dの長さ方向中程の位置とを結ぶ仮想の直線y上に位置される箇所を頂きとした凸状に成形されている。そして、図示の例では、かかるフラップ体18の裏面部における前記仮想の直線上に位置される箇所に、前記傾斜面18gが形成されている。
【0046】
図示の例では、前記傾斜面18gは前記半円弧縁部18cから始まり前記仮想の直線yの長さ方向中程の位置で終了している(図4)。また、当接部18bは、インレットパイプPの軸方向xに沿った縦向きの面であり、前記直線縁部18dの全長に亘って形成されている。
【0047】
また、前記フラップ体18は、前記軸体Ucを、遊びをもってこのフラップ体18の軸受け部18eに設けた前記軸穴18fに納めて、前記支持体としての筒状主体Ubに回動可能に支持されている。すなわち、前記軸体Ucの外径よりも前記軸穴18fの内径が大きくなっている(図6)。
【0048】
前記ねじりコイルバネ19aのバネ他端19cは、前記傾斜面18gに当接されていることから、かかるバネ19aの付勢力を蒙って閉じ位置に復動されるフラップ体18にはその当接部18bを対をなす他方のフラップ体18の当接部18bに押しつける向きへの力も作用される。これにより、この実施の形態にあっては、閉じ位置において一対のフラップ体18、18の当接部18bを隙間少なく突き合わせるようになっている(図4)。
【0049】
また、この実施の形態にあっては、前記フラップ体18の裏面部に、前記一対のフラップ体18、18間に前記付勢による前記閉じ位置への復動のタイミングにズレが生じたときに、他方のフラップ体18の一部に接してこの他方のフラップ体18を前記閉じ位置に誘導する案内面18hが備えられている。図示の例では、前記当接部18bの下側に、前記直線縁部18dの略全長に亘って、当接部18bから離れるに従ってフラップ体18の肉厚を漸増させる向きに傾斜した案内面18hが形成されている。図示の例は、この案内面18hと、直線縁部18dと半円弧縁部18cとの間の隅部との間には山状のリブ18iが形成されており、このリブ18iの斜辺の一つは前記案内面18hに続く延長案内面18jとなっている。
【0050】
また、この実施の形態にあっては、前記フラップ体18の表面部は前記のように凹状に成形されて、この表面部に、前記回動の中心軸に平行な向きの断面形状を弧状とする溝状凹部18kが形成されている。図示の例では、かかる溝状凹部18kの底は当接部18bに近づくに連れて低まっている。これにより、この実施の形態にあっては、挿入される給油ノズルNの中心軸が給油口の中心軸、つまり、インレットパイプPの中心軸に一致するような向きで給油ノズルNが挿入されていないときに、前記溝状凹部18kにより前記向きをとるように前記給油ノズルNの先端を案内するようになっている。
【0051】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0052】
N 給油ノズル
La 閉鎖部材
10 フラップ体
101 シール部材
101b 板状部分
101c 内側周回突部
101d 外側周回突部
11 付勢手段
15 通過口
16 突条
図1
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