(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203175
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】電気装置の熱電ベースの熱管理
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6572 20140101AFI20170914BHJP
H01L 35/32 20060101ALI20170914BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20170914BHJP
H01M 10/6553 20140101ALI20170914BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20170914BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20170914BHJP
H01M 10/623 20140101ALI20170914BHJP
H01M 10/6552 20140101ALI20170914BHJP
【FI】
H01M10/6572
H01L35/32 Z
H01L35/32 A
H01M10/633
H01M10/6553
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/623
H01M10/6552
【請求項の数】43
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-520253(P2014-520253)
(86)(22)【出願日】2012年7月10日
(65)【公表番号】特表2014-527684(P2014-527684A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】US2012046086
(87)【国際公開番号】WO2013009759
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2015年6月24日
(31)【優先権主張番号】61/506,577
(32)【優先日】2011年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/545,017
(32)【優先日】2011年10月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/559,568
(32)【優先日】2011年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/617,002
(32)【優先日】2012年3月28日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511014862
【氏名又は名称】ジェンサーム インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Gentherm Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コサッコフスキー,ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】バーンハート,トッド ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ピゴット,アルフレッド
【審査官】
桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−57006(JP,A)
【文献】
特開2008−218352(JP,A)
【文献】
特開2010−108932(JP,A)
【文献】
特開2003−217735(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0239675(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/071463(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52 − 10/667
H01L 35/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気装置の温度に敏感な部分の温度を管理するように構成された熱管理システムであって、
電力の入力に対して、主面と浪費面との間で熱エネルギーを伝達し、前記主面は、導電体と実質的に熱的に接続されており、導電体は、前記電気装置の温度に敏感な部分との間で熱エネルギーを通すための導管として機能し、前記電気装置に/から電力を入れる/出すように構成された熱電装置を備え、
前記熱電装置の浪費面が、液体作動流体を介して前記浪費面へまたは前記浪費面から熱エネルギーを伝達するように構成された液体熱交換器と実質的に熱的に接続されていることを特徴とする熱管理システム。
【請求項2】
前記熱電装置に提供される電流の極性を制御し、電流の第1の極性は、システム動作の冷却モードにおいて提供され、電流の前記第1の極性と反対の第2の極性は、システム動作の加熱モードにおいて提供されるように構成されたコントローラを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項3】
前記コントローラは、バッテリパックに対する制御機能を管理するように構成されたバッテリ管理システムと集積されていることを特徴とする請求項2に記載の熱管理システム。
【請求項4】
前記電気装置と熱的に接続されており、前記コントローラと電気的に接続されている温度センサを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の熱管理システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記温度センサからの入力と、熱管理下の前記電気装置に/から入る/出る電流をモニタし、前記熱電装置に供給される電力を調整するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の熱管理システム。
【請求項6】
前記電気装置は、
複数の電気構成品と、
第1の電気構成品と電気的及び熱的に接続されている第1の導電体と、第2の電気構成品と電気的及び熱的に接続されている第2の導電体と、
前記第1の導電体と実質的に熱的に接続されている第1の熱電装置と、前記第2の導電体と実質的に熱的に接続されている第2の熱電装置と、
前記第1の電気構成品に熱管理を適用するように構成された第1の熱管理システムと、前記第2の電気構成品に熱管理を適用するように構成された第2の熱管理システムとを、
更に備え、前記第1及び第2の熱管理システムは、互いに独立に熱管理を適用するよう構成され、前記第1の熱管理システムに供給される電力は、前記第2の熱管理システムに供給される電力と独立に調整される、
ことを特徴とする請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項7】
前記電気装置は、
複数の電気構成品と、
複数の電気構成品のうちの第1の電気構成品と第2の電気構成品と電気的及び熱的に接続されている第1の導電体と、を更に備え、前記第1の電気構成品と前記第2の電気構成品は、電気的に接続されており、
前記第1の導電体と実質的に熱的に接続されている第1の熱電装置と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項8】
前記複数の電気構成品のうちの前記第2の電気構成品と第3の電気構成品と電気的及び熱的に接続されている第2の導電体と、前記第2の導電体と実質的に熱的に接続されている第2の熱電装置と、を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の熱管理システム。
【請求項9】
前記複数の電気構成品ののうちの前記第2の電気構成品と第3の電気構成品と電気的及び熱的に接続されている第2の導電体を更に備え、前記第1の熱電装置は、前記第2の導電体と熱的に接続されている、ことを特徴とする請求項7に記載の熱管理システム。
【請求項10】
前記熱電装置は、前記導電体と直接熱的に接触していることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項11】
前記熱電装置と前記導電体とに熱的に接続されている熱伝達装置を更に備え、前記熱電装置と前記導電体との間で、前記熱伝達装置を通って、熱が流れることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項12】
前記熱電装置は、2つの導電体の熱交換面と実質的に熱的に接続されていることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項13】
前記熱電装置は、前記導電体と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項14】
熱管理下にない外部電源が、前記熱電装置に電力を供給することを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項15】
前記導電体は、電極であることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項16】
前記電気装置は、1つの電極がバッテリの電極と電気的及び熱的に接続されるように構成されたバッテリチャージャを備えることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項17】
前記電気装置は、1つの電極をバッテリの電極と電気的に及び熱的に接続するように構成された電気回路を備えることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項18】
前記導電体と電気的に接続され、前記導電体と電気的に接続されている第2の電気装置から、前記熱電装置を実質的に熱的に隔離するよう構成された熱絶縁体を更に備えることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項19】
前記電気装置は、バッテリパックを備えることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項20】
前記電気装置は、バッテリモジュールを備えることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項21】
前記電気装置は、バッテリセルを備えることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項22】
前記電気装置は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタを備えることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項23】
前記電気装置は、電力増幅器を備えることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項24】
前記電気装置は、複数の電気構成品を備え、前記複数の電気構成品の少なくともいくつかは、バッテリセルを備えることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項25】
前記電気装置は、複数の電気構成品を備え、前記複数の電気構成品の少なくともいくつかは、電力増幅器の電気構成品を備えることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項26】
前記電気装置は、複数の電気構成品を備え、前記複数の電気構成品の少なくともいくつかは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタを備えることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項27】
複数の導電体を更に備え、前記液体熱交換器が、導電体の列の間で前記電気装置の表面の少なくとも一部に沿って延びていることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項28】
前記液体熱交換器が、前記電気装置の表面に直接接触していることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項29】
前記液体熱交換器が、前記電気装置の表面に接触していないことを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項30】
前記液体熱交換器が、導電性部分及び非導電性部分を含むことを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項31】
電力の入力に対して、主面と浪費面との間で熱エネルギーを伝達するように構成された別の熱電装置であって、前記別の熱電装置の主面が、別の導電体と実質的に熱的に接続されており、前記別の導電体が、前記電気装置に/から電力を入れる/出すように構成されている、別の熱電装置を更に備え、
前記別の熱電装置の浪費面が、別の液体熱交換器と実質的に熱的に接続され、
前記液体熱交換器及び前記別の液体熱交換器が、前記電気装置の異なる面に配置されることを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項32】
前記液体熱交換器及び前記別の液体熱交換器が、前記電気装置の異なる面に直接接触していることを特徴とする請求項31に記載の熱管理システム。
【請求項33】
電気装置を熱的に管理する方法であって、
導電性部分と非導電性部分を備える熱伝達装置を、電気装置の複数の導電体に接続し、
前記熱伝達装置と熱電装置の主面との間に実質的に熱的な接続を確立し、
液体作動流体を介して前記熱電装置の浪費面へまたは浪費面から熱エネルギーを伝達するように構成された液体熱交換器と、前記熱電装置の浪費面との間に実質的に熱的な接続を確立する、
ことを特徴とする方法。
【請求項34】
第1の熱電装置と、前記電気装置の第1の電気構成品と熱的及び電気的に接続されている第1の導電体との間に、実質的に熱的な接続を確立することと、
第2の熱電装置と、前記電気装置の第2の電気構成品と熱的及び電気的に接続された第2の導電体との間に、実質的に熱的な接続を確立すること、
を更に備えることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記電気装置は、バッテリパックを備えることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記電気装置は、バッテリモジュールを備えることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記電気装置は、バッテリセルを備えることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項38】
電気装置を熱的に管理する方法であって、
熱電装置と、前記電気装置と熱的及び電気的に接続されている導電体との間に、実質的に熱的な接続を確立し、
液体作動流体を介して前記熱電装置の浪費面へまたは浪費面から熱エネルギーを伝達するように構成された液体熱交換器と、前記熱電装置の浪費面との間に実質的に熱的な接続を確立し、
前記熱電装置に提供される電流の極性を調整することによって、前記電気装置を加熱あるいは冷却する、
ことを特徴とする方法。
【請求項39】
温度センサからの入力と、前記電気装置に入る/から出る電流をモニタし、前記入力に対応して、前記熱電装置に入る/から出る電流を調整する、
ことを更に含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
第1の熱電装置と、前記電気装置の第1の電気構成品と熱的及び電気的に接続されている第1の導電体との間に、実質的に熱的な接続を確立し、
第2の熱電装置と、前記電気装置の第2の電気構成品と熱的及び電気的に接続された第2の導電体との間に、実質的に熱的な接続を確立し、
前記第2の電気構成品に適用される熱管理とは独立に、前記第1の電気構成品に熱管理を適用する、
ことを更に備えることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記電気装置は、バッテリパックを備えることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記電気装置は、バッテリモジュールを備えることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記電気装置は、バッテリセルを備えることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
本出願は、2011年10月7日出願の米国仮出願番号61/545、017号、2011年7月11日出願の米国仮出願番号61/506、577号、2011年11月14日出願の米国仮出願番号61/559、568号、2012年3月28日出願の米国仮出願番号61/617、002号の優先権を主張する。上記各出願の全内容は、参照文献としてここに組み込み、本明細書の一部とする。
<背景>
<分野>
【0002】
本開示は、一般に、電気装置の熱電(TE)冷却及び加熱に関する。
【背景技術】
【0003】
バッテリなどの電力電子機器及び他の電気装置は、過熱、低温、極端な温度、及び、動作温度制限に敏感な傾向がある。そのような装置の性能は、装置が推奨温度範囲外で動作するとき、ときにはかなり劣化するかもしれない。半導体装置では、集積回路ダイは、過熱し、誤動作するかもしれない。例えば、電気自動車などの自動車への応用に用いられるバッテリを含むバッテリでは、バッテリセルなどの構成品は、過熱や過冷却されると劣化する。そのような劣化は、バッテリの蓄電量の減少、及び/または、複数のデューティサイクルに渡ってのバッテリの充電における能力の減退となって現れるかもしれない。
【発明の概要】
【0004】
電力電子機器及び他の電気装置の熱的状態を管理することは有効である。熱管理は、過熱、過冷却、及び電気装置の劣化の可能性を減らすことができる。ここに説明する、いくつかの実施形態は、大電力を扱う、及び/あるいは、大電流と高い効率を必要とする装置(例えば、電力増幅器、トランジスタ、変圧器、電力インバータ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、電気モータ、高出力レーザ、発光ダイオード、バッテリあるいは、他のもの)の熱管理を提供する。そのような装置の熱管理に使うことができる広範囲の解決策は、対流空気・液体冷却、伝導冷却(conductive cooling)、液体ジェットによるスプレー冷却、ボードとチップケースの熱電冷却などを含む。ここに説明される、少なくともいくつかの実施形態は、電気装置を加熱あるいは冷却する既存の技術と比較し、以下の利点の少なくとも1つを提供する。それらは、高電力効率、低いか、あるいは零の維持コスト、より高い信頼性、長寿命、少数の構成品、少数の、あるいはまったく存在しない可動部品、加熱及び冷却動作モード、他の利点、あるいは、利点の組み合わせである。
【0005】
電気装置においては、典型的には、装置の電気的に活性な部分及び/あるいは、温度に敏感な領域は、例えば、導電体によって、外部回路あるいは装置などの外部世界に接続されている。例えば、バッテリセルの電極は、大きな損失なしに(例えば、ジュールの法則に従って、電流の2乗に比例する熱損失)、大電力を扱うように設計されることができる。そのような電極に使われる導電体のワイヤゲージは、そのような装置に、典型的に流れる大電流に耐えられるようになっている。バッテリのサイズが大きくなると、外部回路と接続するための電極端子も大きくなる。
【0006】
電極と多くの他の種類の導電体の高い導電率は、また、そのような導電体が、典型的に、高い熱伝導率を有することを意味する。高い熱伝導率は、電極を加熱及び/あるいは冷却し、装置の熱に鈍感な素子をバイパスすることによって、所望の熱パワー(例えば、冷却、加熱など)を、直接、装置の敏感な素子に伝えることができる、という熱管理の問題の解決に用いることができる。人体の内部深くに熱を伝えるために、輸血の間、熱的に調整された血液を用いるのと同様に、電極を介して熱を送り込むことは、電気装置の内部深くに所望の熱環境を効率的に伝えるために用いることが出来る。例として、高等な自動車用バッテリの電極を冷却することは、バッテリの熱管理の最も利益のある技術の一つであることが分かっている。例えば、電極は、固体、液体、あるいは、空気冷却技術を用いて冷却することが出来る。ある意味では、電極は、そのような熱管理配置では、冷たい指(コールドフィンガ)として働く。
【0007】
ここに開示される実施形態は、電力構成品、電子機器、及び、他の電気装置の電流を流す導電体(例えば、電極)に、直接あるいは間接に、熱電(TE)冷却及び/あるいは、加熱を加えることにより、電気装置を熱的に管理することが可能なシステムと方法を含む。そのような装置は、しばしば、熱管理により利益を受けることが出来る。いくつかの実施形態が、例えば、バッテリなどの特定の電気装置を参照して説明される。しかし、ここに開示する少なくともいくつかの実施形態は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、他の電気装置、あるいは、装置の組み合わせなどの他の電気装置に対して熱管理を提供することが出来る。少なくともいくつかのそのような装置は、大電流を流す能力があり、好適温度範囲外の動作によって悪影響を受けるかもしれない。いくつかの実施形態の動作が、冷却動作モードを参照して説明される。しかし、ここに開示される、いくつかの、あるいは、全ての実施形態は、加熱動作モードも有することが出来る。ある状況では、加熱動作モードは、それ以下では、電気装置が劣化する、あるいは、劣化した動作しかしないような閾値温度以上に、電気装置の温度を維持するのに用いられることができる。TE装置は、システムアーキテクチャの複雑化を最小限にしつつ、加熱と冷却の機能の両方を提供するのに特に向いている。
【0008】
ここに開示される実施形態は、熱電ベースの熱管理システム及び方法を含む。いくつかの実施形態では、熱管理システムは、電気装置の温度に敏感な部分の温度を管理するように構成されている。熱管理システムは、電力を熱電装置に印加したとき、主面と浪費面との間で熱エネルギーを伝達するように構成された熱電装置を含むことが出来る。いくつかの実施形態では、熱電装置の主面は、導電体の熱交換面と実質的に熱的に通じている。導電体は、電力を電気装置とやり取りし、導電体が、電気装置の温度に敏感な部分と熱電装置間で熱エネルギーを伝達する導管として働くように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、電気装置を熱管理する方法は、導電部と非導電部を有する熱伝達装置を、電気装置の複数の導電体に接続することを含む。この方法は、熱伝達装置と熱電装置の主面との間で、実質的に直接に熱エネルギーを交換させることを含むことが出来る。
【0010】
いくつかの実施形態においては、電気装置を熱管理する方法は、熱電装置と、電気装置と熱的かつ電気的に接続されている導電体の熱交換面との間に、実質的な熱伝達を確立することを含む。この方法は、熱電装置に/から、入る/出る電流を調整することにより、電気装置を加熱する、あるいは、冷却することを含むことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
さまざまな実施形態が、図示目的の添付の図面に記載されるが、ここに説明する熱電組み立て品あるいはシステムの範囲を限定するものと解釈されるべきではない。更に、異なる、開示された実施形態のさまざまな特徴は、相互に結合して、更なる実施形態を形成することができ、これは、本開示の一部である。任意の特徴あるいは構造が、取り除かれ、変形され、除去されることが出来る。図面全体に渡って、参照番号は、参照要素間の対応を示すために再利用されるだろう。
【
図1A】それぞれが、電気装置の導電体と熱的に繋がっている、複数のTE装置を有する熱管理システムの例を模式的に示す。
【
図1B】それぞれが、電気装置の導電体と熱的に繋がっている、複数のTE装置を有する熱管理システムの例を模式的に示す。
【
図2】電気装置の2つの導電体と熱的に繋がっているTE装置を有する熱管理システムの例を模式的に示す。
【
図3】バッテリの電極と、熱伝達装置を介して、熱的に繋がっている、TE装置を有する熱管理システムの例を模式的に示す。
【
図4】電気装置に対する加熱及び/あるいは冷却を制御するように構成された電子制御ユニット(ECU)を有する熱管理システムの例を模式的に示す。
【
図5】外部電源を有する、熱管理システムの例を模式的に示す。
【
図6】電気装置に対する、加熱及び/あるいは冷却を熱管理システムによって制御するための例示的方法を示す。
【
図7A】熱管理システムの例示的電気的構成を模式的に示す。
【
図7B】熱管理システムの他の例示的電気的構成を模式的に示す。
【
図8A】電力を受ける電気装置に接続された例示的熱管理システムを模式的に示す。
【
図8B】電力を負荷に与える電気装置に接続された例示的熱管理システムを模式的に示す。
【
図9】TE装置と熱的に繋がる導電体の断面透視図である。
【
図10A】熱濃縮器を有する熱管理システムの断面図である。
【
図10B】熱拡散器を有する熱管理システムの断面図である。
【
図11】屈曲したTE装置を有する熱管理システムの断面図である。
【
図12】屈曲したTE装置を有する熱管理システムの他の断面図である。
【
図13】外部リードにインラインで電気的に接続される熱絶縁器を有する例示的熱管理システムを模式的に示す。
【
図14】直列に、電気的に接続されるセルを含む、例示的バッテリパックを模式的に示す。
【
図15】
図14のバッテリパックの隣接セルを接続する例示的熱管理システムを模式的に示す。
【
図16】他の例示的熱管理システムを模式的に示す。
【
図17】電気装置を加熱及び/あるいは冷却する例示的方法を模式的に示す。
【
図19】ヒートシンクを有する例示的熱管理システムを模式的に示す。
【
図22】他の例示的熱管理システムの透視図である。
【
図24】他の例示的熱管理システムの透視図である。
【
図26】他の例示的熱管理システムの透視図である。
【0012】
いくつかの実施形態と例がここに説明されるが、本主題は、特に開示された実施形態における例を超えて、別の実施形態及び/あるいは使用、及び、変形とその均等物にまで延長される。従って、添付の請求項の範囲は、以下に説明される特定の実施形態のいずれにも限定されない。例えば、ここに説明される任意の方法あるいはプロセスにおいて、この方法あるいはプロセスの働き、あるいは、動作は、任意の適切な順番で実行でき、任意の特定の開示された順番に必ずしも限定されるものではない。さまざまな動作が、いくつかの実施形態を理解するのに有用なように、複数の個別の動作として、順番に説明される。しかし、説明の順番は、これらの動作が順番に依存することを意味すると解釈されるべきではない。更に、ここに説明する構造、システム及び/あるいは装置は、集積された構成品あるいは個別の構成品として実装されるだろう。さまざまな実施形態を比較する目的で、これらの実施形態のある側面と利点が説明される。必ずしも、すべてのそれらの側面あるいは利点が、任意の特定の実施形態によって達成されるとは限らない。従って、例えば、さまざまな実施形態は、ここに教示され、あるいは、示唆されるだろう他の側面あるいは利点を達成することなく、ここに説明されるように、一利点あるいは利点のグループを達成し、あるいは、最適化するように、実現される。
【0013】
電子機器及び電気装置の熱状態を管理することは利点のあることであろう。そのような熱管理は、過熱、過冷却、及び、電気装置の劣化の機会を減らすことが出来る。ここに説明される、いくつかの実施形態は、大電力を扱い、及び/あるいは、大電流及び高効率を必要とする装置(例えば、電力増幅器、トランジスタ、変圧器、電力インバータ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、電気モータ、高出力レーザ及び発光ダイオード、バッテリ、及び他の装置)の熱管理を提供する。解決策の多くは、そのような装置の熱管理を行なうのに使用でき、対流空気及び液体冷却、伝導冷却(conductive cooling)、液体ジェットを使ったスプレー冷却、ボード及びチップケースの熱電冷却及び他の解決策を含む。ここで開示する、少なくともいくつかの実施形態においては、電気装置を加熱あるいは冷却するための既存の技術に比較して、以下の利点の少なくとも1つを提供する。それらは、高い電力効率、低いか、あるいは、零の維持コスト、より大きい信頼性、より長い寿命、少ない構成品、少ないか、あるいは、まったく存在しない可動部品、加熱及び冷却動作モード、他の利点、あるいは、利点の組み合わせである。
【0014】
電気装置において、装置の典型的な電気的活性部分及び/あるいは、温度に敏感な部分は、例えば、導電体によって、外部回路あるいは装置などの外部世界に接続される。例えば、バッテリセルの電極は、大きな損失(例えば、ジュールの法則に従って、電流の2乗に比例する熱損失)なしに、大電力を扱うように設計されることが出来る。そのような電極に用いられる導電体のワイヤゲージは、そのような装置に典型的に流れる大電流に耐えられるようになっている。バッテリのサイズが大きくなると、外部回路と接続するための電極端子は大きくなる。
【0015】
電極及び多くの種類の導電体の高い導電率は、また、そのような導電体が典型的に高い熱伝導率を有していることも意味している。高い熱伝導率は、電極を加熱及び/あるいは冷却し、装置の熱に鈍感な要素をバイパスして、装置の熱に敏感な要素に直接に、所望の熱パワー(例えば、冷却、加熱など)を伝達することを可能にし、さまざまな熱管理問題の解決策に用いることができる。人体の内部深くに熱を伝達するために、輸血の間、熱的に調整された血液を用いるのと同様に、熱を、電極を介して送り込むことは、電気装置内の深くに、所望の熱状態を効率的に伝達するのに使うことが出来る。例として、高等な自動車バッテリの電極冷却は、バッテリの熱管理のための最も有効な技術の一つであることが分かっている。例えば、電極は、固体、液体、あるいは、空気冷却技術を用いて冷却することができる。ある意味では、電極は、そのような熱管理配置において、冷たい指(コールドフィンガ)として働く。
【0016】
ここに開示する実施形態は、電流を運ぶ導電体に、直接に、あるいは、間接に、熱電(TE)冷却及び/あるいは加熱を加えることにより、電気装置を熱管理することができるシステムと方法を含む。そのような装置は、熱管理から、しばしば利益を得ることが出来る。いくつかの実施形態が、例えば、バッテリなどの特定の電気装置を参照して説明される。しかし、ここに開示される、少なくともいくつかの実施形態は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、他の電気装置、あるいは、装置の組み合わせなどの他の電気装置に対して熱管理を提供することができる。少なくとも、いくつかのそのような装置は、大電流を流す能力を持ち、好適な温度範囲外の動作によって悪影響を受けるだろう。いくつかの実施形態の動作が、冷却動作モードを参照して説明される。しかし、ここに開示される実施形態のいくつか、あるいは、全ては、加熱動作モードも有することができる。ある状況では、加熱動作モードは、それ以下では電気装置が劣化する、あるいは、劣化した動作しかしないような閾値温度以上に、電気装置の温度を維持するのに使用されることが出来る。TE装置は、システムアーキテクチャに対する複雑化を最小にしながら、加熱及び冷却の両方の機能を提供するのに特に適している。
【0017】
TE装置を、導電体を冷却及び/あるいは加熱するために使用するさまざまな方法がある。ここに説明するように、TE装置は、1つ以上のTE素子、TE組み立て品、及び/あるいは、TEモジュールを含むことが出来る。いくつかの実施形態では、TEシステムは、第1の側面と、第1の側面と反対側の第2の側面を有するTE装置を含むことが出来る。いくつかの実施形態では、第1の側面と第2の側面は、主面と浪費面、あるいは、加熱面と冷却面とすることができる。TE装置は、電源と、動作可能なように結合されることができる。電源は、TE装置に電圧を印加するように構成されることができる。電圧が一方向に印加されると、一側面(例えば、第1の側面)は、熱を発生し、他の側面(例えば、第2の側面)は、熱を吸収する。回路の極性を切り替えることにより、反対の効果が発生する。典型的な配置では、TE装置は、類似していない材料を含む閉回路を含む。DC電圧が閉回路に印加されると、類似していない材料の接合部分に温度差が生成される。電流の方向に依存して、熱は、特定の接合部分において放射され、あるいは、吸収される。いくつかの実施形態では、TE装置は、直列に接続された、いくつかの固体P及びN型半導体素子を含む。いくつかの実施形態では、接合部分は、TE装置の冷たい側面と熱い側面を形成する2つの電気隔離部材(例えば、セラミックス板)の間に挟まれる。冷たい側面は、冷却されるべき物体(例えば、導電体、熱管理下の電気装置など)に熱的に結合され、熱い側面は、熱を環境に発散するヒートシンクに熱的に結合されることができる。いくつかの実施形態では、熱い側面は、加熱されるべき物体(例えば、導電体、熱管理下の電気装置など)に結合されることができる。ある非限定的実施形態が以下に説明される。
【0018】
図1A−1Bは、例示的熱管理システムの模式図を示す。いくつかの実施形態では、熱管理システム1は、電気構成品あるいは装置2(例えば、電力増幅器、トランジスタ、変圧器、電力インバータ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、電気モータ、高出力レーザと発光ダイオード、バッテリなど)の少なくとも1つの導電体4a、4b(例えば、電流を流すコネクタ、電極、セルの一部、端子ワイヤ、電極とセルの一部との間の配線、リードなど)の熱交換面と実質的に熱的に接続されている、少なくとも1つのTE装置6a、6bを含むことが出来る。「実質的に熱的に接続」と言う語句は、ここでは、広い、通常の意味で用いられており、例えば、熱結合境界での面間のちょうど良い接触、熱接続している面間の1以上の熱伝達材料あるいは装置、パッド、熱グリース、ペースト、1以上の作業流体、あるいは、面間に高い熱伝導率を有する他の構造を含む、熱伝導材料システムを用いた固体面間の接続、他の適切な構造あるいは構造の組み合わせを含む。実質的熱接続は、1以上の境界材料を介して、直接接続される、あるいは、間接に接続される面間に発生する。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのTE装置は、熱管理下にある電気装置に接続されることが出来る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのTE装置は、熱管理下にある電気構成品、部品、部分、あるいは、装置と実質的に熱的に接続される(例えば、接触、取り付け、など)ことが出来る。ある例では、導電体は、電気装置の熱的に敏感な部分と、1以上の外部装置との間で、電気エネルギーと熱エネルギーの両方を伝達することができる。冷却モードで動作するとき、熱Qは、
図1Aの矢印8a、8bで示されるように、導電体4a、4bから(及び電気装置2から)送られ、空気、液体、他の固体構成品あるいは構成品の組み合わせである外部環境に発散される。冷却モードで動作するとき、熱パワーは、反対方向に送られ、
図1Bの矢印8a、8bで示されるように、導電体4a、4bを介して、熱が電気装置2に伝達される。
【0020】
図1A−1Bは、それぞれ、別個の導電体4a、4bに熱Qを注入する、あるいは、4a、4bから熱Qを取り除く別個のTE装置6a、6bを示す。いくつかの実施形態では、単一のTE装置6が、
図2に示される2つ以上の導電体4a、4bを制御する(例えば、実質的に熱的に接続される)ために使用されることが出来る。いくつかの実施形態では、1以上の導電体は、いずれのTE装置とも、実質的に熱的に接続されないこともできる。いくつかの実施形態では、TE装置は、導電体と実質的に熱的に接続される。いくつかの実施形態では、この実質的な熱的な接続は、
図3に示されるように、TE装置を直接導電体に取り付けることにより、あるいは、熱管理下の電気装置2と、TE装置6の面12との間に配置される、熱効率の高い装置、あるいは、熱の伝達装置10あるいは、熱伝導性装置(例えば、熱交換器の面、熱パイプ、分路あるいは熱面)を用いることにより、達成することができる。いくつかの実施形態では、熱伝達装置10は、少なくとも1つ以上の導電体4a、4b及び/あるいは、少なくとも1つのTE装置6に取り付けられ、直接あるいは間接的に接触することができる。
【0021】
図1A、1B及び2に示されるように、いくつかの実施形態では、熱管理システム1は、少なくとも1つのTE装置6、6a、6bを含むことが出来る。TE装置6、6a、6bの面12a、12bは、少なくとも1つの導電体4a、4bの固体面14a、14bと直接、あるいは、間接的に接触することができる。導電体4a、4bは、導電体4a、4bが、また、電気装置2の温度に敏感な領域(例えば、熱Q)とTE装置6、6a、6bとの間で熱エネルギーを伝達するための導管として働くように、電気装置2に電力を供給するように構成されることが出来る。いくつかの実施形態では、TE装置6、6a、6bの面12a、12bと、固体面14a、14bとの間の境界は、面間の実質的に熱的な接続が容易になるように構成された、熱伝導材料系(不図示)を含むことが出来る。例えば、熱伝導材料系は、グリース、ペースト、パッド、高熱伝導率の材料、約100W/(m×K)以上の熱伝導率の材料、他の適した材料、あるいは、材料の組み合わせを含むことが出来る。いくつかの実施形態では、熱伝導性材料系は、熱伝達装置の1以上の面と、TE装置及び/あるいは、導電体の面との間に配置されることが可能である。
【0022】
いくつかの実施形態においては、流体接続は、TE装置6、6a、6bと、電気装置2に/から電力を入れる/出すことを容易にさせるように用いられる、少なくとも1つの導電体4a、4bとの間で、これらの周囲で、及び/あるいは、これらを通って構成されることができる。いくつかの実施形態においては、作動流体は、電気装置2とTE装置6、6a、6bとの間の熱エネルギーの伝達を容易にするように用いることができる。
【0023】
コントローラは、過熱あるいは冷却機能のいずれかを行ない、及び/あるいは、TE装置に供給される電力を調整するようにTE装置を制御するために設けることができる。TE装置には、熱管理下にある装置とインラインで電力が供給されるか、あるいは、外部電源によって電力が供給されることができる。いくつかの実施形態では、TE装置は、熱管理下にある装置に熱を出し入れする機能を行なえるように、電力が供給され、制御される。電力供給及び制御機能は、別個の制御ユニットECU40によって行われる。ECU40は、装置46のTE管理に関連して、TE装置44へ供給される電力を調整することができる。いくつかの実施形態では、ECU40は、直接に、あるいは、導電体(不図示)によって、装置46の熱状態を検知する1つ以上の温度センサ42からの入力を受け、その入力をアルゴリズムと比較し、
図4に示されるように、加熱あるいは冷却機能のいずれかを行なうために、TE装置44に対する制御信号を発行する。いくつかの実施形態では、ECU40は、他のセンサ(不図示)から、温度以外(例えば、TE装置44及び/あるいは装置46などに/から入れる/出す電流)の入力を受け、装置46への冷却及び/あるいは加熱を調整するように構成されることが可能である。コントローラは、熱管理下にある装置を支援する電子機器の残り部分と集積されるだろう。例えば、そのような装置がバッテリパックである場合、典型的には、バッテリの健康をモニタし、及び/あるいは、内部及び/あるいは外部の変化に応じて制御機能を管理するように構成されたバッテリマネージメントシステムあるいはBMSと共にコントローラが設けられる。TEコントローラ機能は、BMS内に集積でき、同じプリント回路ボード上に、あるいは、BMS機能を実行する、同じチップセットを用いて、一緒に配置することができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、例示的熱管理システムが、電気装置を能動的に熱管理するために行なうステップが
図6に示されている。第1のステップ60aにおいて、センサは、熱管理下の装置の熱状態と、出入りする電流をモニタするように配置される。第2のステップ60bは、装置の熱管理に関連してTE装置に供給される電力を調整することを含む。第3のステップ60cにおいて、導電体の電流と温度の変化がモニタされる。ステップ60a−60cを繰り返すことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、そのような温度制御を容易にするため、周囲の温度、TE装置の側面の少なくとも1つの温度、及び/あるいは、TE装置内の温度を決定することは有用であるだろう。従って、TEシステムのいくつかの実施形態は、以下の1以上のもの、あるいは、組み合わせを含むか、含まない。それらは、周囲温度センサ、TE装置及び/あるいはそのようなものの内部、隣接域、近く、あるいは、そうでなくてもとても近いところに配置されたTE装置温度センサ(サーミスタなど)である。
【0026】
しかし、1以上のTE装置温度センサを含む、いくつかの実施形態は、例えば、センサのコスト、更なる製造ステップ、システムにセンサを配置することに関連した複雑さ、センサの故障の可能性、熱の遅れ、及び/あるいは1以上の他の理由や考慮事項のために、あまり望ましくないだろう。いくつかの実施形態では、熱管理システムは、第1と第2の側面を有するTE装置と動作可能に結合される電源を含み、TE装置及び/あるいは熱管理下にある装置の側面の一つの温度を決定する温度センサを含まない。むしろ、熱管理システムは、ゼーベック効果によって誘導される電位によって、第1と第2の側面の一つの温度(あるいは、TE装置にかかる温度差)を決定するように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態においては、電源は、オフできる(例えば、TE装置にゼロボルトを供給できる)。そのような場合、第1と第2の側面間の温度差は、第1と第2の側面間に電位差を誘導できる。この電位差の誘導は、ゼーベック効果として知られている。生成される電位差は、一般に、第1と第2の側面間の温度差に比例し、以下の式で表すことができる。
【数1】
ここで、Vは、第1と第2の側面間の電位差、αは、ゼーベック係数、(Th-Tc)あるいはΔTは、第1と第2の側面間の温度差である。このように、与えられたTE装置のゼーベック係数は、第1と第2の側面間の温度差に対する電位の比として説明することが出来る。
【0028】
ある場合には、ゼーベック係数αは、実験的に求めることができる。ある構成においては、既知のゼーベック係数αを有するTEシステムに対し、第1と第2の側面間の温度差は、電圧ポテンシャルに基づいて決定することができる。そのような構成は、例えば、別個の温度センサの必要なしに、TE装置の温度差をモニタすることを可能とする。上記したように、そのような温度センサが不要となることは、製造を容易にし(例えば、処理ステップを減らす)、製造時間を減らし、コストを減らし、装置の寿命を延ばし、及び/あるいは、1以上の他の利点あるいは利益を提供する。更に、そのようなセンサを含まないことは、例えば、センサのための配線の通過のためのTE装置を通った通路を不要とすることによって、TE装置の設計を容易にすることができる。更に、そのようなセンサを含まないことにより、故障する構成品の全数を減らし、システムの信頼性を向上させることが出来る。
【0029】
いくつかの実施形態では、熱管理システムは、TE装置の側面の少なくとも1つの絶対温度を決定するよう構成されている。いくつかの実施形態においては、ECUは、周囲温度センサと通信し、電位を決定するよう構成されている。例えば、ECUのアナログ入力は、負温度係数装置あるいは他の装置と通信し、これらからの信号は、周囲温度を決定(例えば、計算により)するために使用することが出来る。そのような構成は、例えば、TE装置の第1と第2の側面の少なくとも1つの絶対温度を決定することを可能にする。例えば、絶対温度は、計算により、あるいは、電位を、第1と第2の側面の少なくとも1つの既知の絶対温度(例えば、経験的測定による)と相関を取ることにより決定することができる。
【0030】
いくつかの実施形態においては、温度差及び/あるいは側面の少なくとも1つの絶対温度は、フィードバック制御に用いられ、これは、例えば、別個の温度センサを用いるシステムに比べ、温度フィードバックに対する、より速い応答時間及び/あるいは、少ない熱遅れを提供する。
【0031】
いくつかの実施形態においては、温度差及び/あるいは、側面の少なくとも1つの絶対温度は、故障を監視するために用いられる。例えば、温度差及び/あるいは、側面の少なくとも1つの絶対温度は、TE装置の効率を減少させ、あるいは、さもなくば、装置及び/あるいは熱管理システムの他の構成品を損傷させる、TE装置の過熱を検出するのに使うことが出来る。
【0032】
いくつかの実施形態においては、TE装置のそれぞれは、各装置に電力を選択的に供給する電源によって電力供給されることができる。いくつかの実施形態においては、TE装置は、共通の電源を共用する。他の配置では、TE装置それぞれは、専用の電源を有している。
【0033】
図4に示されているように、いくつかの実施形態においては、TE装置44への電力は、熱管理下の装置46への電力とは切り離されている。
図5に示されているように、いくつかの実施形態では、TE管理下にない外部電源48(例えば、外部バッテリ等)は、ECU40及び/あるいはTE装置44への電力供給のために配置されることが出来る。しかし、いくつかの実施形態では、TE装置76は、熱管理下の装置72の導電体74a、74bによって、インラインで電力供給される。いくつかの実施形態では、熱管理下の装置72を通って流れる電流の何分の一(≦100%)かは、
図7A−7Bのいくつかの実施形態において示されているTE装置76を直接通っても流れる。いくつかの実施形態では、TE装置76は、それぞれ、
図7Aと7Bに示されるように、回路の残りの部分に対し、装置42と電気的に並列に、あるいは、直列に接続されることができる。
【0034】
いくつかの実施形態、例えば、
図7Aに示されるような並列接続では、電流の何分の一かのみが、TE装置76を流れる(その値は、TE装置と負荷の抵抗の比に依存する)。いくつかの実施形態、例えば、
図7Bに示されるような直列接続では、全電流は、TE装置76を通って流れる。
【0035】
いくつかの実施形態では、このようなTE電力のインライン配置の利点は、制御回路の単純化(及びコスト減)である。TE装置76には、電力が供給され、装置76は電力が装置72を通って流れるときはいつも、装置72から熱を奪い去る(か、装置72へ送り込む)。従って、適切に、及び、可能な動作条件の範囲に対して、TE装置76の熱を移動させる能力を調整することにより、管理下の装置72の熱状態に対してそのような「組み込み」の制御を用いることが可能である。バッテリ状態の熱検知を別個に行なう必要がない。
【0036】
インライン接続と制御の方法は、TE動作の1つのモードが必要なとき(例えば、冷却)に用いることができる。そのような配置においては、電流は一方向に流れる。インライン接続と制御の方法は、動作のモード(例えば、加熱あるいは冷却)が、電流の流れ方向と矛盾がないときも、使用することができる。これは、多くの電力電子機器あるいは装置の場合であるが、バッテリの場合は異なるだろう。バッテリにおいては、周囲の条件によって、加熱と冷却の両方がしばしば必要であり、また、電流の方向は、バッテリが充電モードあるいは放電モードのいずれで動作しているかに依存する。
【0037】
いくつかの実施形態では、1以上のダイオードあるいは他の電流制御装置は、電極とTE装置間の導電体に沿って配置できる。そのような電流制御装置は、熱管理下の装置の充電あるいは放電の間、不適切な動作モードが起こらないように配置されることができる。あるそのような実施形態においては、熱管理システムは、電気装置への電流(例えば充電または放電)の方向に関係なく、冷却動作モードのみ、あるいは、加熱動作モードのみを実行するように構成することができる。そのような実施形態は、例えば、環境伝導(environmental conductions)、装置の特性あるいは、他の因子が、一つの動作モードのみを好ましくする場合に、有益であろう。
【0038】
TE装置は、応用に応じて、熱管理下の装置の近く、あるいは、遠くに配置することができる。いくつかの実施形態においては、熱管理の観点から、熱管理される装置の出来るだけ近くに、ヒートポンプ(例えば、TE装置)を配置することが有利である。そのような配置により、最も効率の良い熱管理の使用が達成され、不要な熱及び電気的損失を避けられる。例えば、電力電子機器の場合、熱管理システムを熱源(例えば、半導体接合部)に出来るだけ近く配置することが望まれる。
【0039】
しかし、ある場合には、TE装置は、システムロジスティックを改善して有利にするために、装置をより遠くに配置することができる。そのような場合、TE装置は、電力リードを冷却する能力をまだ持っている。そのようなトレードオフの例は、上記したような、充電あるいは放電状態で動作するバッテリ82と、インライン方式で接続されるTE装置である。電流の方向は、バッテリの2つの動作モード間で反対である。この応用においては、1以上のTE装置86は、バッテリチャージャのチャージャ側88aと、バッテリコネクタ84の負荷側88bに組み込み可能である。そのような接続方法は、
図8A−8Bに示されている。
図8A−8Bに示される2つの接続間の差は、TE装置86の極性である。2つのモード間で極性を切り替えることにより、電流の方向とは独立に、充電と放電モードの両方で、バッテリ82が冷却されることを常に保証することができる。
【0040】
同様な極性切り替え機能は、単一のTE装置86と、バッテリ82の電流方向の変更に応答して、TE装置を通る電流の極性を変えるリレーあるいはスイッチ(不図示)によって、達成することができる。しかし、ある応用においては、例えば、高速充電において、バッテリ82の継続的な冷却が望ましい。いくつかの実施形態においては、TE装置は、バッテリチャージャのケーブル側のコネクタ84に組み込むことができる。この場合、TE装置の極性は、充電中、リードを冷却するのに適切であるべきである。
【0041】
TE装置あるいはモジュールは、さまざまな幾何形状、形、サイズに構成可能である。典型的なTE装置は、2つの平行な面を持った、平坦あるいは平面モジュールである。そのようなモジュールの最もよくあるサイズのひとつは、厚さがミリメータ以下から数ミリメータの範囲の、40×40mmである。熱は、一つの面から奪われ、他方に移動させられる。装置の極性の変化は、熱流の方向を変える。他の数限りないサイズの装置は、市場で買うことができる。典型的には、装置のサイズは、応用に特徴的で、システムの電気的及び熱的インピーダンスにマッチしている。
【0042】
そのような平坦なモジュールは、電極が適切なサイズの平坦な部分を有しているなら、直接、冷却の必要な電極に取り付けることができる。
図9は、例えば、平坦な面96を有する電極94などの導電体と実質的に熱的に接続される、平坦なTEモジュール92を有する、例示的熱管理システムの構成を示す。
【0043】
あるいは、
図10A−10Bに示されるように、高い熱伝導率の材料(例えば、銅、アルミニウム、など)で作られた、少なくとも1つの中間的な熱拡散器98aあるいは、熱濃縮器98bが、TE装置92と電極94との間に配置され、幾何的サイズの差をマッチングさせるようにしても良い。
【0044】
いくつかの実施形態では、
図11に示されるように、TE装置と、電極あるいは他の導電体をマッチングさせるための他のオプションは、TE装置92の形状を、平坦から、電極94を囲むか、本質的に同心の円筒型に変更することである。この場合には、熱は、潜在的により最適な熱管理経路を通るように、電極から放射状に移動させられるだろう。円筒型に限定されない他の平坦でない形状も使用可能である。
【0045】
そのような円筒形TE装置は、さまざまな方法で実装されるだろう。一解決策は、ここに参照文献として、その全体が組み込まれる、米国特許番号6,959,555号に記載されるように、高電力密度Tシャントアーキテクチャを実装することである。いくつかの実施形態では、個別のp−及びn−型熱電素子120a、120bを、
図12に示されるように、電極124の周りにリングパターンで配置することが出来る。あるいは、p及びn半導体は、小型の小球ではなく、全周リングとして作られても良い。内部の、小さい直径のシャント126は、冷却された電極124と通じる熱交換器として動作する。外部の、大きい直径のシャント128は、冷却電極の周りの空気に、余分な熱を放出するフィンとして動作する。
【0046】
絶縁体は、熱管理下の電気装置を熱的に絶縁することに使うことが出来、外部リードを通って、熱が残りの回路を通ることを阻止することが出来るようにする。いくつかの実施形態では、導電体(例えば、端子)が冷却されるならば、冷却のいくらかは、熱管理下の装置に行かず、回路の残りの部分へ、ワイヤあるいはリードをとおってリークするので、電気装置の熱管理は、寄生損失の問題から悪影響を受ける。言い換えれば、外部リードは、TE装置との関連で、熱管理下の装置に並列な熱負荷として働く熱導体として働く。
【0047】
そのようなリークの寄生効果を最小限にするために、TE装置132と回路の残りの部分との間に配置される熱絶縁体を、
図13に示されるように導入する事が出来る。そのような熱絶縁体130(あるいは、複数の絶縁体、例えば、リードごとに1以上の)は、外部リード134と電気的にインラインで接続することができる。いくつかの実施形態では、電流は、そのような絶縁体130を通って、自由に、あるいは、最小の損失で流れることができる。しかし、熱的には、絶縁体は、非常に低い熱伝導率を持っており、熱は、効果的には、それを通らない。「Q」は、熱管理下の装置及び/あるいはリードに/から流入/流出する熱の量である。大きなQは、加熱及び/あるいは冷却パワーの流れを示す。
【0048】
熱絶縁体の可能な物理的実装方法はいくつかある。いくつかの実施形態では、熱的に絶縁性の材料は、高い電気伝導率と低い熱伝導率を持っている。これらの条件を満たす材料の1つの良い種類は、熱電材料である。例えば、熱電材料は、Yu. Ivanov et al., Proceedings of International Conference on Thermoelectrics, Shanghai, 2010に記載されているような、超伝導磁石のための、電力供給の応用における熱絶縁体として用いることが出来る。しかし、絶縁体は、この応用のように、熱電材料からなっていなくても良く、絶縁材料のゼーベック性能は、必ずしも重要ではない。他の例は、電気伝導セラミック、伝導性フォームあるいは他の材料とすることができる。
【0049】
互いに電気的に接続されている複数の電気装置あるいは構成品の冷却と加熱は、熱管理システムによって提供されることができる。熱管理が必要な個別の電気構成品のいくつかは、電気的に直列あるいは並列に接続可能である。例えば、バッテリパックは、複数の個別のセルを電気的に直列に接続することによって組み立てることができる。以下に説明する例は、バッテリパックを、熱管理下のシステムの例として用いる。しかし、ここに説明する特徴は、バッテリの熱管理のみに限定されるものではなく、他の電気構成品あるいは電気装置の熱管理に応用可能である。
【0050】
いくつかの実施形態では、熱管理システムは、
図14に示されるように、直列に接続されたN個のセル140a―140cを含むバッテリパックを含むことが出来る。個別のセルは、円筒形の、プリズム形の、ポーチ形の、あるいは、他のセル収容タイプなどの、異なる形状及び内部構成を有する事が出来る。
【0051】
少なくとも1つのTE装置146a、146bによる個別のセル140a―140cの熱管理は、バッテリパックに電流を出入りさせる端子ワイヤを使っての熱管理と異なり、隣接セルを接続する電気リードあるいは、内部ワイヤに適用されたとき、特に効果的となりうる。
図15は、個別のセル140a―140cを接続するそのような内部ワイヤ148に直接に接続あるいは接触されるTE装置146a、146bの一実施形態を示す。
【0052】
いくつかの実施形態のこの構成においては、TE装置146a、146bが、隣接セル140a―140cを接続する内部ワイヤ148に熱的に接続されるとき、実質的に、熱エネルギーの全てを、セルとの間で出入りさせる。これは、TE装置186が、端子あるいは、バッテリ182を他の素子と接続する外部ワイヤ180に熱的に接続される配置とはまったく異なっている。後者の場合、熱エネルギー184の一部は、ワイヤ180を通してバッテリ182から逃げ、全体システムレベルの熱管理効率は、減少してしまうだろう。そのような悪影響が
図18に示されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、熱管理システムは、バッテリパックあるいは他の電気装置の内部の接続のみを熱的に管理するように構成されている。例えば、実施形態がここに開示する、直列に接続されたセルを有するバッテリパックは、この構成を有することが出来る。この熱管理のアプローチは、内部ワイヤのみを熱的に管理するならば、パック内の個別の要素の任意の配置に適用可能である。熱管理は、実質的に、パック内で出て、終端される電気的接続のみに適用されることができ、パックをシステムの残りに接続する接続には適用できない。
【0054】
個別の要素は、直列、並列に接続されるか、あるいは、独立な電気回路に属することができる。更に、いくつかの実施形態では、単一のTE装置は、隣接セルを接続する単一のケーブル、あるいは、複数のそのようなケーブルと実質的に熱的に接続されており、従って、熱管理をいくつかのセルに渡って拡散させることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、全ての導電体は、少なくとも1つのTE装置に接続されることが可能である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの導電体あるいは構成品は、TE装置に接続されていない。例えば、
図15に示されるように、セル140aのみが、TE装置146aに接続された1つの内部ワイヤ148を有している。他の内部ワイヤは、TE装置に接続されていない。いくつかの実施形態では、セルあるいは電気構成品の全ての内部ワイヤは、TE装置に接続されていない、あるいは、熱的に接続されていない。いくつかの実施形態では、1つ以上の全体のセル、内部ワイヤ、あるいは、導電体は、いかなるTE装置にも接続されていない。例えば、いくつかの実施形態においては、バッテリの中央により近いセルは、少なくとも1つのTE装置に接続され、これに対して、バッテリの外側のセルは、少なくとも1つのTE装置にも接続されていない。個別の導電体は、TE装置と独立な熱結合を有することが出来る。
【0056】
いくつかの実施形態では、熱管理システムは、個別のセルあるいはセルのグループを制御、あるいは、熱管理することができる。そのような実施形態では、熱管理コントローラに、電気装置の他の導電体あるいは構成品とは独立に、導電体あるいは構成品の温度を制御させることができる。あるそのような実施形態では、熱制御は、セルレベルに局所化することが可能である。いくつかのそのような実施形態では、熱管理システムは、セル間の偏差を最小化あるいは減少させ、セル劣化を回避あるいは減少させ、及び/あるいは、独立な熱管理チューニングを可能とさせるように構成されている。
【0057】
図16に示されるように、いくつかの実施形態では、熱管理システムは、コントローラ142を含むことが出来る。コントローラは、TE装置146a―146cに接続されることが可能である。いくつかの実施形態では、TE装置146a―146cのそれぞれは、セル140a―140cの導電体148a―148cの少なくとも1つに接続することが可能である。セル140a―140cのそれぞれは、相互に独立に、システムによって熱的に制御されることが可能である。セル140a―140cを加熱及び/あるいは冷却するために各TE装置146a―146cとの間で出し入れされる電力は、他のTE装置及び/あるいはセルと独立に、各TE装置及び/あるいはセルに対し、変更され、変化され、あるいは、調整されることができる。
【0058】
図17は、電気装置の温度に敏感な複数の部分(例えば、バッテリセル)の温度を独立に制御する例示的方法を示す。この方法は、独立な電流を通す2以上の導電体(170a)の熱管理状況を決定することを含むことが出来る。独立な熱管理は、熱管理システム(170b)を用いて、各セルに適用可能である。少なくとも1つの熱管理システムに供給される電力は、他の熱管理システム(170c)に供給される電力とは独立に調整可能である。
【0059】
いくつかの実施形態においては、熱パイプを、廃棄熱伝達機構として設けることが出来る。TE装置からの廃棄熱は、ヒートシンクで発散されることができる。ヒートシンクの例は、熱交換器、廃水流(waste streams )、熱を発散するための他の構造、及び、構造の組み合わせを含む。ヒートシンクは、廃熱側あるいはTE装置の面に取り付けることが出来る。ヒートシンクは、空気、液体によって冷却される。あるいは、それは、バッテリケース、車体あるいは、熱を効果的に発散する他の構造要素などの、より大きい固体のヒートシンクとTE装置を接続する固体部品とすることができる。しかし、例えば、バッテリ熱管理システムなどの実際の応用においては、冷却媒体をTE装置の廃熱側近くに配置する可能性を限定するようなパッケージングにおける制限があるだろう。あるいは、熱あるいは熱伝達装置は、TE装置の廃熱側から、熱発散を効果的に実現できる他の位置に熱を移動させるのに使われるだろう。
【0060】
いくつかの実施形態においては、熱伝達装置198は、
図19に図示したように、廃熱側あるいはTE装置196の面を、例えば、空気、液体あるいは固体によって熱を究極的に廃棄するヒートシンク194に接続するのに使用されることができる。そのようなヒートシンクは、例えば、車の液体冷却回路、ラジエターあるいは、空気冷却ヒートシンク、周囲の空気、作動液体、液体槽あるいは固体(例えば、バッテリケースあるいは車体)とすることができる。
【0061】
図20−28は、電気、電子、電力装置及び/あるいは、例えば、バッテリあるいはバッテリパックなどの構成品を冷却及び/あるいは加熱するための熱管理システム構成の他の実施形態を示す。これらの実施形態は、上記した任意の特徴及び実施形態の1以上と組み合わせられるか、あるいは、これらを含むことが出来る。上記したように、バッテリパックは、直列及び/あるいは並列に接続された1以上のセルを含むことが出来る。熱管理システムは、バッテリの導電体を直接あるいは間接に冷却及び/あるいは加熱するために用いることができる。
【0062】
図20−21は、単一の機能的バッテリパックを提供するために、相互に電気的に接続された複数のセルを有するバッテリパックを含む熱管理システムの実施形態を示す。いくつかの実施形態においては、バッテリ202の個別のセルは、電気伝導バーあるいは他のコネクタによって、直列に電気的に接続されている。いくつかの実施形態においては、熱管理システムは、バッテリ202の1以上のセル204の1以上の端子212と集積されている、あるいは、接続されている(例えば、実質的に熱的に接続されている)1以上の熱電装置206を含むことができる。
図20に示されるように、一実施形態では、直列に接続されたセル204は、バッテリ202の上面に沿って伸びる端子212の2つの平行な列を有することが出来る。いくつかの実施形態においては、端子212は、正と負の端子(例えば、アノードとカソード)を含んでいる。あるそのような実施形態においては、正と負端子は、空間的に、交互の位置に配置されている。熱電装置206は、セラミック基板210上に積層された銅基板208、あるいは、他の適切な構成を有することができる。いくつかの実施形態においては、各熱電装置206の一端あるいは一部は、直列に接続される2つの隣接するセル204の少なくとも1つの端子212と接続、あるいは、集積されることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの端子212は、少なくとも1つのTE装置206とは、実質的に熱的に接続の状態にないか、あるいは、接続されている。各熱電装置206の他端あるいは他の一部は、熱伝達装置214に対して、接続、クリップ止め、粘着、接着、クランプ止め、あるいは、他の取り付けがされることができる。熱伝達装置214は、例えば、液体管熱交換器(liquid tube heat exchanger)とすることが出来る。いくつかの実施形態においては、1つの熱伝達装置214は、各熱電装置206あるいは、全てのTE装置に取り付けられることができる。他の実施形態においては、複数の熱伝達装置214が、各熱電装置206に取り付けられるか、あるいは、実質的に熱的に接続されることができる。
【0063】
図20−21に示されているように、いくつかの実施形態では、熱伝達装置214は、端子212の2つの平行な列の間でバッテリ202の上面の少なくとも一部に沿って伸びている。ある実施形態では、端子は、平行な列とはなっていない。
図21は、いくつかの実施形態において、熱伝達装置214は、バッテリ202の面に直接には接触あるいはタッチしないように配置されていることを示している。ある実施形態においては、熱伝達装置214は、バッテリ、あるいは、バッテリ202の面と直接接触することができる。いくつかの実施形態では、セラミック基板210は、熱伝達装置214との境界にあり、支持あるいは堅固さを提供する。銅基板208は、バッテリ202の電流を運ぶことができる。いくつかの実施形態においては、熱伝達装置214は、導電性の部分と、非導電性の部分の両方を含むことができる。いくつかの実施形態においては、導電性の部分は、相互に相手に向かって伸びている。
【0064】
図22−23は、バッテリのような電気装置を冷却及び/あるいは加熱する熱管理システムの他の構成を示す。一実施形態では、熱管理システムは、それぞれ、端子232a、232bの2つの一般に平行な列に接続された熱電装置(不図示)の上面に沿って伸びる、2つの熱伝達装置234a、234bを有する。熱伝達装置234aと234bは、それぞれ、端子232a、232bの1つの列に沿って伸びることが出来る。いくつかの実施形態においては、熱伝達装置234aと234bあるいは、他の熱伝達装置は、端子232a、232bとTE装置との間に配置されることが出来る。
【0065】
図24−28は、バッテリのような電力装置を冷却及び/あるいは加熱する熱管理システムの他の構成を示す。いくつかの実施形態では、1以上の熱伝達装置は、導電体、熱伝達装置及び/あるいは、熱管理下の装置の幾何学的形状に基づいて、出来る限り、互いに離して配置、あるいは、隙間開けされることができる。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの熱伝達装置は、導電体の突出面とは異なる電気装置の面上に配置されることが可能である。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの熱伝達装置は、電気装置の導電体と同じ面には配置されない。熱伝達は、導電体の突出面とは、直交する、垂直な、平面内ではない、及び/あるいは、平行でない面上で起こるだろう。いくつかの実施形態では、1以上の熱伝達装置254aと254bは、バッテリ242の2つの対向する面上に配置される。熱伝達装置254aと254bは、バッテリ242の実質的に全長あるいは全側面に沿って伸びている。熱電装置246の一端は、直列に接続される2つの隣接するセル244の少なくとも1つの端子252と実質的に熱的に接続されることが出来る。
【0066】
いくつかの実施形態においては、熱電装置246の端部は、
図24−25及び27に示される端子252の上部に接続あるいは搭載されることができる。いくつかの実施形態においては、熱電装置の一部は、
図26及び28に示されるように、導電体の外周を囲む、あるいは、側面に搭載されることができる。いくつかの実施形態では、熱電装置の一部は、実質的に平面で、電極の上面と接触することができる。いくつかの実施形態においては、導電体あるいは電気装置の面あるいは既存の面に、実質的に平面となるように、熱管理システムの構造を方向付け、あるいは、接続することによって、バッテリモジュールあるいは他の電気装置の全体の高さ、あるいは、足跡(フットプリント)は、実質的に均一に維持あるいは保持されることができる。
【0067】
いくつかの実施形態においては、各熱電装置246の他端は、熱伝達装置254aあるいは254bに接続、クリップ止め、及び/あるいは、クランプ止めされることができる。いくつかの実施形態においては、そのような熱管理システムの構成では、端子252及び/あるいはバッテリ242の側面に/から熱を入れる/出すことが出来る。
【0068】
いくつかの実施形態においては、ここに説明した少なくともいくつかの熱管理システムは、以下の特徴の1以上を含むことが可能である。
1.TE装置によって、装置のリードを熱的に管理することによる、電力電子機器あるいは電気装置の直接の熱管理
2.TE装置に接続された熱伝達装置を用いた間接的なリードの冷却
3.TE装置毎の、少なくとも1つの冷却された電力リード
4.単一のTE装置による複数の冷却されたリード
5.熱管理された装置を用いて、並列あるいは直列に電力供給されたTE装置
6.余分な電子機器の必要を最小限とし、バッテリに所望の量の冷却を提供する、バッテリに直接接続するために最適化されたTE電圧−電流設計
7.非接続のバッテリ側のTE装置
8.非接続のチャージャケーブル側のTE装置
9.充電あるいは放電のいずれかによらず、バッテリが常に冷却されるように、チャージャケーブル側とバッテリ側の使用との間で極性を相違させるTE装置
10.熱管理された装置の外部の電気回路の一部に向かう熱/冷気の寄生流れを防ぐ熱絶縁体
11.直列に接続された少なくとも2つのユニットを含む熱管理下の装置。TE装置は、2つのユニットを直列に接続する導電体に熱的に接続される。
12.互いに電気的に接続された複数の要素。少なくとも1つのTE装置は、要素を接続する複数の導電体に熱的に接続される事が出来る。
13.上記した1以上の技術を用いたバッテリパックの熱管理
14.上記した1以上の技術を用いたIGBTの熱管理
15.上記した1以上の技術を用いた電力増幅器の熱管理
【0069】
ここでのさまざまな実施形態の説明は、一般に、図に模式的に示された実施形態を追ってきた。しかし、ここで説明した任意の実施形態の特定の特徴、構造、あるいは、特性は、明示的に図示や説明しなかった1以上の個別の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わされる事が出来るだろうと考えられる。多くの場合、一体、あるいは、隣接しているとして説明あるいは図示された構造は、離れていることが出来、それでも、一体構造の機能を実行する。多くの場合、離れているとして説明され、図示された構造は、結合され、あるいは、組み合わせることができ、それでも、離れた構造の機能を実行する。
【0070】
上に、さまざまな実施形態を説明した。本発明は、これらの特定の実施形態を参照して説明されたが、説明は、図示目的のものであり、限定することを意図するものではない。さまざまな変形や応用が、ここに説明された本発明の精神と範囲から離れることなく、当業者によってなされるだろう。