特許第6203187号(P6203187)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203187
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】X線強度の周期変調
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/10 20060101AFI20170914BHJP
   H01J 35/14 20060101ALI20170914BHJP
   H05G 1/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01J35/10 H
   H01J35/14
   H05G1/00 H
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-542957(P2014-542957)
(86)(22)【出願日】2012年10月24日
(65)【公表番号】特表2015-503190(P2015-503190A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】IB2012055841
(87)【国際公開番号】WO2013076598
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2015年10月21日
(31)【優先権主張番号】61/563,157
(32)【優先日】2011年11月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ベーリング,ロルフ カルル オット
【審査官】 佐藤 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−005950(JP,A)
【文献】 特開2007−073297(JP,A)
【文献】 特表2009−517828(JP,A)
【文献】 特開昭62−186449(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0020938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 35/00−35/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成されたX線ビームを変調するX線管内の回転アノード用のアノードディスクであって、
標的表面領域、焦点軌道中心線、及びビームダンプ表面領域を有する円周方向の標的領域を備え、
前記標的表面領域は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のためのX線が生成され得るように設けられ、
前記ビームダンプ表面領域は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のための有用なX線が生成され得ないように設けられ、
前記標的表面領域は複数の標的部分を有し、前記ビームダンプ表面領域は複数のビームダンプ部分を有し、
前記標的部分及び前記ビームダンプ部分は、X線放射が生成される焦点の中心が前記焦点軌道中心線上にあるように前記標的表面領域及び前記ビームダンプ表面領域が前記焦点軌道中心線に対して対称に配置されるように該焦点軌道中心線に沿って配置され、前記焦点軌道中心線の両側における構造は、同質の電子ビームに衝突される場合に同じ線強度が前記両側において与えられるように配置され、
前記標的表面領域の少なくとも一部は、前記焦点軌道中心線の方向において前記標的部分及び前記ビームダンプ部分を交互に有する、
アノードディスク。
【請求項2】
前記標的部分は、異なる半径方向幅を有して及び/又は異なる半径方向長さを有して設けられる、
請求項1に記載のアノードディスク。
【請求項3】
連続した標的中心部が設けられ、前記ビームダンプ表面領域は、前記標的中心部の対向する側に配置される第1の複数の溝及び第2の複数の溝を有する、
請求項1又は2に記載のアノードディスク。
【請求項4】
前記焦点軌道中心線に沿って、標的部分及びビームダンプ部分が交互に設けられる、
請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のアノードディスク。
【請求項5】
生成されたX線ビームを変調するX線管内の回転アノード用のアノードディスクであって、
標的表面領域、焦点軌道中心線、及びビームダンプ表面領域を有する円周方向の標的領域を備え、
前記標的表面領域は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のためのX線が生成され得るように設けられ、
前記ビームダンプ表面領域は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のための有用なX線が生成され得ないように設けられ、
前記標的表面領域は複数の標的部分を有し、前記ビームダンプ表面領域は複数のビームダンプ部分を有し、
前記標的部分及び前記ビームダンプ部分は、X線放射が生成される焦点の中心が前記焦点軌道中心線上にあるように該焦点軌道中心線に沿って配置され、前記焦点軌道中心線の両側における構造は、同質の電子ビームに衝突される場合に同じ線強度が前記両側において与えられるように配置され、
前記標的表面領域の少なくとも一部は、前記焦点軌道中心線の方向において前記標的部分及び前記ビームダンプ部分を交互に有し、
前記標的部分の少なくとも一部は、第1の数の第1のサブ部分及び第2の数の第2のサブ部分を有し、
前記第1のサブ部分は、第1の半径方向長さを有して設けられ、前記第2のサブ部分は、第2の半径方向長さを有して設けられ、
前記第1の半径方向長さは、前記第2の半径方向長さよりも長い、
ノードディスク。
【請求項6】
前記第1のサブ部分は、標的プラトーとして設けられ、
前記第2のサブ部分は、前記第1のサブ部分に隣接する遷移プラトーとして設けられ、
前記遷移プラトーは、前記第1のサブ部分から前記ビームダンプ部分へ向かって次第に狭まる半径方向幅を有する、
請求項5に記載のアノードディスク。
【請求項7】
カソードと、
請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載のアノードディスクと、
X線窓を備える管筐体と
を有し、
前記カソードは、前記焦点軌道に向かって焦点を有する電子ビームとして電子を放射するよう構成され、
前記ビームダンプ部分は、前記電子ビームに衝突される位置で、前記ビームダンプ部分の底面が前記X線窓への視野方向を有さないように設けられる、
X線強度の周期変調を生成するX線管。
【請求項8】
集束手段が前記焦点のサイズ及び形を成形するよう設けられる、
請求項7に記載のX線管。
【請求項9】
次第に広がり次第に狭まる半径方向幅を有するビームダンプ部分は、半径方向外側へ向けられた開口角度を形成する2つの辺を設けられ、前記開口角度は、前記X線窓を通じて放射されるX線ビームのファン角度よりも大きい、
請求項7又は8に記載のX線管。
【請求項10】
X線源と、
X線検出器と
を有し、
前記X線源は、請求項7乃至9うちいずれか一項に記載のX線管として設けられる、
X線撮像システム。
【請求項11】
アノード回転の位相は、前記X線検出器の積分期間との同期に適応される、
請求項10に記載のX線撮像システム。
【請求項12】
a)標的表面領域、焦点軌道中心線、及びビームダンプ表面領域を有する円周方向の標的領域を備える回転アノードへ電子ビームを放射するステップであって、前記標的表面領域は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のためのX線が生成され得るように設けられ、前記ビームダンプ表面領域は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のための有用なX線が生成され得ないように設けられ、前記標的表面領域は複数の標的部分を有し、前記ビームダンプ表面領域は複数のビームダンプ部分を有し、前記標的部分及び前記ビームダンプ部分は、X線放射が生成される焦点の中心が前記焦点軌道中心線上にあるように前記標的表面領域及び前記ビームダンプ表面領域が前記焦点軌道中心線に対して対称に配置されるように該焦点軌道中心線に沿って配置され、前記焦点軌道中心線の両側における構造は、同質の電子ビームに衝突される場合に同じ線強度が前記両側において与えられるように配置され、前記標的表面領域の少なくとも一部は、前記焦点軌道中心線の方向において前記標的部分及び前記ビームダンプ部分を交互に有する、ステップと、
b)アノードディスクを回転させ、変調されたX線放射を生成するステップと
を有するX線ビーム変調方法。
【請求項13】
前記ステップb)の間、前記電子ビームは、半径方向長さが変化する焦点を有する少なくとも2つの異なるビーム形状を与えられる、
請求項12に記載のX線ビーム変調方法。
【請求項14】
プロセッシングユニットによって実行される場合に、請求項12又は13に記載の方法を実行するよう適応される請求項1乃至11のうちいずれか一項記載の装置を制御するためのコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生成されるX線ビームを変調するX線管内の回転アノード用のアノードディスク、X線強度の周期変調を生成するX線管、X線撮像システム、及びX線ビーム変調方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
X線撮像は、例えば、CT撮像において使用される。放射されるX線の変調は、例えば、偏向手段によるような、電子ビームの変調によって、又は電子ビームの生成のために可変な電気エネルギを供給することによっても、提供される。米国特許出願公開第2010/0020938(A1)号明細書(特許文献1)は、検出ユニットによって検出される迷走電子の数を変調可能なマークを備えたアノードディスクについて記載する。マークのパターンは、焦点の所望の軌道の傍らに設けられ、それにより、信号における対応するパターンは、焦点が所望の軌道から外れる場合にのみ現れる。よって、焦点位置が最適な経路から離れるかどうかが検出可能である。しかし、CT撮像においてX線放射を適用する場合に、例えば、信号積分検出器の即時較正のために、線源によって発せられるX線束を、X線フレーム毎に少なくとも1以上の変調周期を有して、よって、およそ200マイクロ秒内で変調することは有益である。米国特許出願公開第2010/0172475(A1)号明細書(特許文献2)は、ビームダンプへの電子ビームの偏位による線量変調のための手段について記載する。しかし、X線ビームの変調のためのこれらの例は、例えば、焦点位置のようなシステムの撮像能力が十分に保たれる一方で、十分に速い周期変調を提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0020938(A1)号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0172475(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、X線強度の増大された、すなわち、より速い周期変調を提供する必要性が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、独立請求項の対象によって解消され、更なる実施形態は、従属請求項において組み込まれる。
【0006】
本発明の以下に記載される態様は、アノードディスク、X線管、X線撮像システム、コンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体にも当てはまることが留意されるべきである。
【0007】
本発明の第1の態様に従って、生成されたX線ビームを変調するX線管内の回転アノード用のアノードディスクであって、標的表面領域、焦点軌道中心線、及びビームダンプ表面領域を有する円周標的領域を備えるアノードディスクが提供される。前記標的表面領域は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のためのX線が生成され得るように設けられる。前記ビームダンプ表面領域は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のための有用なX線が生成され得ないように設けられる。前記標的表面領域は複数の標的部分を有し、前記ビームダンプ表面領域は複数のビームダンプ部分を有する。前記標的部分及び前記ビームダンプ部分は、X線放射が生成される焦点の中心が前記焦点軌道中心線上にあるように該焦点軌道中心線に沿って配置される。前記焦点軌道中心線の両側における構造は、同質の電子ビームに衝突される場合に同じ線強度が前記両側において与えられるように配置される。前記標的表面領域の少なくとも一部は、前記焦点軌跡中心線の方向において前記標的部分及び前記ビームダンプ部分を交互に有する。
【0008】
語“円周標的領域(circumferential target area)”は、例えば、アノードディスクの外縁の近くに配置された線形な焦点軌道を指す。円形の標的領域として設けられることに加えて、アノードの端に沿って複数の湾曲部を備えた曲線の形で標的領域を設けることも可能である。よって、“線形な標的領域(linear target area)”は、連続した輪状線において、しかしながら、例えば、複数の波状曲線を備えた小湾曲パターンによって(スネーク状の形において)、小さな変位を有する標的領域に使用されてよい。
【0009】
回転の間、線形な標的領域のような前記標的領域は、変化する実効標的を有する。焦点の中心は、空間的に一定のままであるか、あるいは、例えば、スネーク状の焦点軌道の場合には、スネーク状の焦点軌道の中心線上に位置づけられる。
【0010】
例えば、チューブ表面領域及びビームダンプ表面領域は、焦点軌道中心線に対して対称に前記焦点軌道中心線に沿って配置される。語“対称(symmetric)”は、放射状の直線沿いの対称を指す。輪状線の場合に、語“対称”は、よって、円の夫々の部分に垂直な線、すなわち、放射状の直線に係る。しかし、例えば、複数の波状曲線構造を有する曲線状の円周標的領域の場合に、語“対称”は、標的領域のそれぞれの部分に垂直な線、すなわち、言い換えると、曲線の夫々の部分に正接する線に垂直な線を参照する。
【0011】
前記標的表面領域及び前記ビームダンプ表面領域は、半径方向に配置された縁部を備えた構造として設けられてよい。一定の放射線強度を提供する前記標的表面領域の部分は同心円状に設けられてよい。一定の放射線強度を提供する前記標的表面領域の部分はまた、前記焦点軌道中心線の両側にある接線方向の境界線によって定義されてよく、該境界線は、前記焦点軌道中心線まで同じ距離を有して設けられる。
【0012】
前記標的表面領域は、ビームダンプ部分によって囲まれた標的プラトー領域として設けられてよい。
【0013】
実施例に従って、連続した標的中心部が設けられる。前記ビームダンプ表面領域は、前記標的中心部の対向する側に配置される第1の複数の溝及び第2の複数の溝を有する。よって、前記標的表面領域は、連続的な標的中心部及び断続的な側部を有する。
【0014】
更なる実施例に従って、前記焦点軌道中心線に沿って、標的部分及びビームダンプ部分が交互に設けられる。
【0015】
前記標的部分及び前記ビームダンプ部分は夫々、円周標的領域の全部にわたって延在してよい。
【0016】
更なる実施例に従って、前記標的部分の少なくとも一部は、第1の数の第1のサブ部分及び第2の数の第2のサブ部分を有する。前記第1のサブ部分は、第1の半径方向長さを有して設けられ、前記第2のサブ部分は、第2の半径方向長さを有して設けられる。前記第1の半径方向長さは、前記第2の半径方向長さよりも長い。
【0017】
本発明の第2の態様に従って、X線強度の周期変調を生成するX線管であって、カソードと、アノードディスクと、X線窓を備える管筐体とを有するX線管が提供される。前記アノードディスクは、上記の例のうちの1つに従うアノードディスクとして設けられる。前記カソードは、前記焦点軌跡に向かって焦点を有する電子ビームとして電子を放射するよう構成される。前記ビームダンプは、前記電子ビームに衝突される位置で、前記ビームダンプの底面が前記X線窓への視野方向を有さないように設けられる。
【0018】
実施例に従って、集束手段が前記焦点のサイズ及び形を成形するよう設けられる。
【0019】
本発明の第3の態様に従って、X線源と、X線検出器とを有するX線撮像システムが提供される。前記X線源は、上記の例のうちの1つに従うX線源として設けられる。
【0020】
実施例に従って、アノード回転の位相は、前記X線検出器の積分周期との同期に適応される。
【0021】
本発明の更なる態様に従って、a)標的表面領域、焦点軌道中心線、及びビームダンプ表面領域を有する円周標的領域を備える回転アノードへ電子ビームを放射するステップを有するX線ビーム変調方法が提供される。前記標的表面領域は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のためのX線が生成され得るように設けられる。前記ビームダンプ表面領域は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のための有用なX線が生成され得ないように設けられる。前記標的表面領域は複数の標的部分を有し、前記ビームダンプ表面領域は複数のビームダンプ部分を有する。前記標的部分及び前記ビームダンプ部分は、X線放射が生成される焦点の中心が前記焦点軌道中心線上にあるように該焦点軌道中心線に沿って配置される。前記標的表面領域の少なくとも一部は、前記焦点軌跡中心線の方向において前記標的部分及び前記ビームダンプ部分を交互に有する。当該X線ビーム変調方法は、b)アノードディスクを回転させ、変調されたX線放射を生成するステップを更に有する。
【0022】
実施例に従って、前記電子ビームは、前記ステップb)において、半径方向長さが変化する焦点を有する少なくとも2つの異なるビーム形状を与えられる。
【0023】
本発明の態様に従って、前記アノードディスクは、焦点軌道上の構造、すなわち、前記円周標的領域を設けられ、該構造は、X線放射の生成に使用される部分とともに、有用なX線が放射されない部分を設けることによって、変調の形でX線ビームの生成を達成する。前記構造は、実効焦点の重力の中心が焦点軌道中心線に対して動かずむしろ、前記アノードディスクの回転中に焦点軌道中心線に対してとどまるように配置される。実効焦点、すなわ、有用なX線放射を生成する面を実際に設けられる焦点軌道の部分又は領域の変化は、生成されるX線ビームが、中心点の周りに同心円状に配置される異なるサイズからであっても、同じ点から生じることを確かにするために、焦点軌道中心線の両側に関して同様に行われる。つまり、X線ビームは検出器との空間関係に関して動かず、強度に関してのみ変調されることが提供される。
【0024】
本発明の上記及び他の態様は、以下で記載される実施形態から明らかとなり、それらを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例に従うX線撮像システムを示す。
図2】平面図において本発明の実施例に従うアノードディスクを概略的に示す。
図3】平面図において本発明に従うアノードディスクの更なる例を示す。
図4図3に従うアノードディスクの断面を示す。
図5a】詳細な平面図において本発明に従うアノードディスクの更なる例を示す。
図5b】平面図において本発明に従うアノードディスクの更なる例を示す。
図6】平面図において詳細に本発明に従うアノードディスクの更なる例を示す(部分のみ)。
図7】本発明に従うX線管の例を示す。
図8】垂直断面において本発明に従うアノードディスクを備えたX線管の更なる例を示す。
図9】詳細な平面図において本発明に従うアノードディスクの更なる例を示す(部分のみ)。
図10】本発明に従うX線ビーム変調方法の基本ステップを示す。
図11】本発明に従う方法の更なる例を示す。
図12】本発明の実施例に従う検出器の非線形性に関して2つのダイアグラムを示す。
図13】本発明に従う光子束の測定、同期化、及びデータ処理に係るダイアグラムを示す。
図14】本発明に従って光子検出の期間を選択することに係るダイアグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施例は、図面を参照して以下で記載される。
【0027】
図1は、X線源12及びX線検出器14を備えるX線撮像システム10を示す。例えば、X線撮像システム10は、X線源12及びX線検出器14が互いに向かい合わせに取り付けられているガントリ16を備えるCT撮像システムであり、X線源12及びX線検出器14が共通の動きにおいてガントリ16上で回転され得る。更に、検査台18が示されており、その上に対象、例えば患者20が配置される。また更に、プロセッシングユニット22、インターフェースユニット24及びディスプレイユニット26が設けられる。
【0028】
図1はCTシステムを示すが、例えば、Cアーム型撮像システムのような、他のX線撮像システムも本発明によって提供されることが留意されるべきである。
【0029】
X線源12は、X線源の後述される実施形態のうちの1つに従うX線源として設けられる。
【0030】
例えば、図7で断面において示されるX線管の形でX線源12を記載する前に、X線管における回転アノードのためのアノードディスク28を示す図2以下が参照される。回転の供給は、中心点32の周りの回転矢印30により示される。
【0031】
アノードディスク28は、例えば円周線形標的領域として、生成されるX線ビームを変調するための円周標的領域34を有する。標的領域34は、標的表面領域36、焦点軌道中心線38、及びビームダンプ表面領域40を有する。
【0032】
標的表面領域36は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のためのX線が生成され得るように設けられる。これは以下で更に説明される。ビームダンプ表面領域40は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のための有用なX線が生成され得ないように設けられる。標的表面領域36は複数の標的部分42を有し、ビームダンプ表面領域40は複数のビームダンプ部分44を有する。
【0033】
図2は、標的部分42及びビームダンプ部分44の特定の配置を示すことが分かる。なお、以下の図で示されるもののように、他の配置も提供されてよい。
【0034】
標的部分42及びビームダンプ部分44は、X線放射が生成される焦点の中心が焦点軌道中心線38上にあるように、焦点軌道中心線38に沿って配置される。焦点軌道中心線38の両側における構造は、同質の電子ビームに衝突される場合に同じ線強度がそれら両側において与えられるように配置される。例えば、円46は図2において焦点の位置を示す。なお、焦点の位置は、カソードと組み合わせてしか決定され得ない。これは図7を参照して説明される。
【0035】
標的表面領域36の少なくとも一部は、焦点軌跡中心線38の方向において交互に標的部分42及びビームダンプ部分44を有する。
【0036】
図2は、線形な円周、すなわち、輪状構造として焦点軌道中心線38を示す。なお、曲線状の焦点軌道中心線も提供され、あるいは、曲線上の円周標的領域もアノードディスク28上に配置される。
【0037】
回転の間、標的領域34は可変な実効標的を有する。焦点の中心は空間的に一定のままである。
【0038】
よって、図2は、100%から0%の間の変調を提供する。100%から0%の間の変調は、理論上、代替の方法として電子ビームのスイッチングによって提供されてよい。しかし、本発明に従う変調は、100%から0%の遷移の間、焦点が電子ビームのスイッチングの場合のように変形されないという利点を提供する。
【0039】
更に、他の変調も本発明の更なる例に従って提供されることが分かる。
【0040】
図3は、標的領域34を有するアノードディスク28の更なる例を示す。楕円構造48は焦点位置を示す。標的領域34は、アノードディスク28の上に線形な態様で示されており、例えば、アノードディスクの中心に対する円周配置及びビームダンプ部分44の夫々の整列に代えて、ビームダンプ部分44は直線構成において設けられている。なお、当業者であれば、この線形投影は説明のためにのみ与えられていると理解される。
【0041】
標的表面領域36及びビームダンプ表面領域40は、破線38により示される焦点軌道中心線に沿って、焦点軌道中心線38に対して対称に配置される。語“対称”は、放射状の直線における対称を指し、焦点軌道中心線との交点は鏡又は対称軸である。曲線上の焦点軌道(円周である。)のために、実質の対称性は、対称なビーム生成部分を有する焦点軌道上の点のみを除いて、当然にここでは焦点軌道の長さにわたって提供されない。標的表面領域及びビームダンプ表面領域、すなわち、標的部分42及びビームダンプ部分44は、半径方向に配置される縁部を備えた構造として設けられる。これらは、図3における線形投影により互いに平行であるよう示されている。
【0042】
例えば、連続的な標的中心部50が図3に示されるように設けられる。ビームダンプ表面領域は、標的中心部50の対向する側に配置される第1の複数の溝52及び第2の複数の溝54を有する。図示されるように、溝は、焦点軌道中心線38の内側及び外側に設けられる。従って、連続的な標的中心部50に隣接して、断続的な側部が設けられる。
【0043】
焦点48に関して、これは、線形投影において図3では3つの異なる例となる構成として示され、よって、大きい焦点サイズのための参照符号48、中サイズの焦点のための参照符号48、及び小さい焦点のための参照符号48により示される。異なる焦点サイズが一緒に示されているが、それらは焦点軌道中心線38に対して同じ位置に与えられる。それらの区別は説明のためにのみ与えられている。円周標的領域34の線形投影の上において、夫々のアイコン様のダイアグラム56、56及び56は、夫々の結果として得られるビーム変調を示す。図示されるように、大きい焦点48は両方の溝パターンにわたって延在するので、強いビーム変調が提供される。中程度の焦点48は影響されない部分、すなわち、連続的な標的中心部50をより多く有するので、変調は大きい焦点48と比べて小さい。小さい焦点48は連続的な標的中心部50にしか及ばないので、変調は起こらない。
【0044】
図4は、アノードディスク28の断面を示し、2つの矢印58は、標的部分42に衝突することによってX線ビーム60を生成するのに使用されるX線の部分を示す。2つの更なる矢印62は、破線によって示されたビームダンプ部分44に衝突するX線を示す。更に、矢印64は半径方向を示す。
【0045】
X線管の構造に属するが、偏向手段66及びX線管筐体68の一部並びにX線窓70が示されている。
【0046】
例えば、ビーム偏向手段66は磁界集束又は容量集束として設けられてよい。変調振幅は、図3で示されるように、焦点長さを調整することによって調整可能である。焦点幅の調整は、変調のレベル間の遷移時間を調整するために使用されてよい。図3において、焦点長さは、第1の両矢印72により示されており、Fとも呼ばれ、焦点幅は、第2の両矢印74により示されており、Fとも呼ばれる。
【0047】
単なる一例として、アノードは180Hzで回転してよく、軌道直径は180mmである。このとき、軌道速度は102m/sである。
【0048】
100m/sの焦点軌道を考えると、1mm周期の溝ピッチは100kHz変調を提供する。よって、“積分周期(integration periods)”は100msecよりも長い。溝は、1mm周期で0.5mmピッチにより設けられてよく、焦点幅は十分に小さく、例えば、0.5mmよりも小さくてよい。
【0049】
更なる例に従って、標的部分42は、Rとも呼ばれる、異なる半径方向幅76(図5a)を与えられる。標的部分42はまた、代替的に、又は追加的に、Rと呼ばれる、異なる半径方向長さ78(図5a)を与えられてよい。語“半径方向幅(radial width)”は半径方向における部分の直径に関し、語“半径方向長さ(radial length)”は焦点軌道中心線の方向における部分の直径に関する。
【0050】
例えば、図5aは、円周標的領域34の更なる線形投影を示す。連続的な標的中心部に代えて、標的部分の少なくとも一部は、第1の数の第1のサブ部分80及び第2の数の第2のサブ部分82を有する。第1のサブ部分80は、第1の半径方向長さ84を有して設けられ、第2のサブ部分82は、第2の半径方向長さ86を有して設けられる。第1の半径方向長さ84は第2の半径方向長さ86よりも長い。
【0051】
図2に関連して上述されたように、本発明に従う変調は、遷移の間に焦点が変形されないという利点を提供する。よって、10%の安定した強度値が達成される。そのような、10%の安定した“中間”値は、電子ビームスイッチングによってはほとんど達成され得ない。
【0052】
図5bは、第1及び第2のサブ部分80、82を有する図5aの標的部分の配置を備えたアノードの平面図を示す。焦点位置は、簡単のために、参照符号94のみにより示される。当然、図5aに関連して記載された特徴は図5bにも提供される。
【0053】
更なる例に従って(図示せず。)、第3の、又は更なる複数の第3の、又は更なるサブ部分が設けられる。
【0054】
例えば、図5a(及び図5b)で示されるように、標的パターンは、ビームダンプサブ部分88が後に続く、焦点軌道中心線に沿って隣接して設けられた第1のサブ部分及び第2のサブ部分を設けられる。
【0055】
第1のサブ部分80は、標的プラトー90として設けられてよい。第2のサブ部分82は、第1のサブ部分80に隣接する遷移プラトー92として設けられてよい。遷移部分は、図6で示されるように、第1のサブ部分からビームダンプ部分へ向かって次第に狭まる半径方向幅を有する。例えば、焦点の移動方向において、第2のサブ部分は、逓減的な半径方向幅を有して設けられ、ビームダンプサブ部分が後に続く。第2のサブ部分は、本質的に三角形形状を有して設けられ、この三角形形状は焦点軌道中心線の円形に適応される。
【0056】
第2のサブ部分はまた、双曲線、階段又は三角形のような中心対称形状を有して設けられてよい。
【0057】
焦点軌道及びビームダンプのプラトーを示すことによって、生成される使用される光子束は周期的に変調される。
【0058】
図5a、図5b及び更に図6に関して、3段階の束変調が提供されてよい。例えば、図5図5a及び図5b)は100%/10%/0%の束変調を示す。
【0059】
例えば、第1のサブ部分80は、楕円形の焦点インジケータ94により示されるように十分に電子ビームを調節する“100%プラトー”である。“10%プラトー”としての第2のサブ部分82は、電子ビームが言わばプラトーダンプ(plateau-dump)の部分、すなわち、第2のサブ部分82を囲むダンプサブ部分88にも及ぶので、全光子束のうちの10%のみを生成する。更なる焦点インジケータ96により示されるように、移動矢印98により示されるアノードディスクの移動時に、10%プラトーに対する焦点のこの位置が示される。更なる焦点インジケータ100により示される更なる移動時に、言わば0%プラトー、又はダンプが提供され、電子ビームは完全にダンプされて、光子束はここでは生成されない。
【0060】
より良い説明のために、ダイアグラム102が、曲線104により夫々の光子束を示すよう標的領域34の真下に示されている(図5a)。接続矢印106は、焦点位置の標的領域34における夫々の位置と、関連する生成される光子束変調とを示す。
【0061】
焦点の楕円形状のために、曲線104の遷移部分105が100%レベルから10%レベルの間、10%レベルから0%レベルの間、及び0%レベルから100%レベルの間に現れることが分かる。よって、例えば、短いCTフレームの周期による階段状の周期変調が提供される。
【0062】
更なる例となる特徴に従って、100%プラトー、すなわち、例えば第1のサブ部分80の周りの部分はまた、周囲の又は切り出されたビームダンプ部分108として設けられてよい。
【0063】
図6は、遷移部分92を備えた例と、その下の図において、結果として得られる光子束変調とを示す。更に、複数の焦点位置110が、曲線104における夫々の点を参照する接続矢印111と組み合わされて示されている。
【0064】
様々な形状のプラトーを用いることによって、X線束の時間的プロファイルは柔軟に形作られ得る。遷移プラトーは、例えば、図示されるような、言わば三角形形状を有してよい。
【0065】
図9で示される更なる例に従って、焦点の移動方向において、ビームダンプ部分44は、次第に広くなり次いで次第に狭くなる半径方向幅を有して設けられてよい。例えば、図9で示されるように、ビームダンプ部分は菱形のビームダンプ112として設けられる。
【0066】
図9で示される更なる特徴を説明する前に、本発明に従ってX線強度の周期変調を生成するX線管114を示す図7が参照される。X線管114は、カソード116と、先に及び以下で記載される例のうちの1つに従うアノードディスク28と、X線窓120を備えた管筐体118とを有する。
【0067】
カソード116は、焦点軌跡に向かって焦点を有する電子ビームとして電子122を放射するよう構成される。ビームダンプ(図7では図示されず。)は、電子ビーム122に衝突される位置で、そのビームダンプの底面がX線窓120への視野方向を有さないように設けられる。
【0068】
アノードディスク28の回転は回転軸124により示される。更に、支持及び駆動手段126が極めて概略的にのみ示されている。更なる選択肢として、集束手段128が、電子ビーム122、すなわち、焦点のサイズ及び形を成形するよう設けられる。例えば、集束手段は磁界集束手段である。電子ビーム122は、よって、接線方向において偏向可能であってよい。焦点は、更なる例に従って、アノードディスクの半径方向において少なくとも適応可能なサイズを有する。代替的に、又は追加的に、焦点は、アノードディスク28の接線方向において少なくとも適応可能なサイズを有する。
【0069】
図8は、ビームダンプ、すなわち、ビームダンプ部分44の機能を概略的に示す。縦方向の矢印130は、ビームダンプ部分44の底面132に衝突する可能な電子ビーム部分又は太い電子ビームを示す。底面132からは、X線窓120への視野方向が提供されない。しかし、小さな曲線矢印134により示される一部の後方散乱電子がビームダンプ部分44の側壁部分に衝突することがある。更に、検出器138が図8では概略的に示されているが、当然に、実寸通りに配置が表されているわけではない。なお、一部の検出器セルは離焦点放射を見ることがある。これは、2つのビームダンプ部分44の間に配置された標的部分42から生成される、生成されたX線ビームを示す第1のX線ビーム扇構造140によって示される。第2の扇構造142は、後方散乱電子によって生成される可能なX線ビームを示す。更に、他のビームダンプ部分についても同様に示され、可能な第3の扇ビーム構造144が提供される。
【0070】
これは、例えば、ビームダンプを適切に成型すること、例えば、閉じ込め構造及び同種のものによって回避され得、あるいは、この効果は最小限とされ得る。これは、図9を参照して一例として示される。
【0071】
図9で示されるように、次第に広がり次第に狭まる半径方向幅を有するビームダンプ部分は、半径方向外側へ向けられた開口角度を形成する2つの辺を設けられる。開口角度は、X線窓(図9では図示されず。)を通じて放射されるX線ビーム150のファン角度148よりも大きい。なお、検出器152は概略的に示されている。
【0072】
後方散乱電子に関する問題を回避するために、菱形角度の夫々の側壁部分154及び156は、後方散乱電子からの離焦点放射を回避するよう低Z材料により設けられてよい。当然に、後方散乱電子を回避するための低Z材料の設置はまた、ビームダンプ部分の他の形状に対して提供されてよい。
【0073】
図9を参照して、複数の焦点位置が更なる楕円構造158により示されている。上述されたように、位置、すなわち、構造は、アノードディスクの回転動作によって生じる中心線に対する位置を示す。
【0074】
上述されたように、一次電子の垂直衝突によってさえ、遷移プラトーの周縁は、ビームダンプの底面から後方散乱される電子に衝突されることがある。このような、非対称なX線検出器の照射及び離焦点放射を最小限とするよう、遷移プラトーのプロファイルは、わずかの検出器セルのみがそのような周縁の視野方向にあるように閉じ込められて、例えば、菱形形状であってよい。なお、非ゼロのアノード角度に起因して、依然として視野方向には幾つかの検出器セルが存在し得る。
【0075】
菱形角度は、検出器のファン角度よりも大きくなければならない。
【0076】
他の閉じ込め形状は、それらが上記の要件に従う限り、違った方法でビーム束を変調するために使用可能である。
【0077】
遷移の間、低束に関し、焦点は、更なる例に従って、長さ方向において2つの部分に分けられる。全体の長さが十分に短い限り、これはシステムの撮像性能を脅かさない。
【0078】
図10は、次のステップを有するX線ビーム変調方法200を示す。ステップa)とも呼ばれる第1のステップ210で、電子ビームが、標的表面、焦点軌道中心線、及びビームダンプ表面を有する円周標的領域を備える回転アノードに向かって放射される。標的表面は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のためのX線が生成され得るように設けられる。ビームダンプ表面は、電子ビームに衝突される場合に、X線撮像のための有用なX線が生成され得ないように設けられる。標的表面領域は複数の標的部分を有し、ビームダンプ表面領域は複数のビームダンプ部分を有する。標的部分及びビームダンプ部分は、X線放射が生成される焦点の中心が前記焦点軌道中心線上にあるように焦点軌道中心線に沿って配置される。標的表面領域の少なくとも一部は、焦点軌跡中心線の方向において標的部分及びビームダンプ部分を交互に有する。ステップb)とも呼ばれる第2のステップ220で、アノードディスクは回転され、変調されたX線放射が生成される。よって、ステップa)及びb)は同時に実行される。
【0079】
図11で示される更なる例に従って、参照符号230により示されるように、ステップb)の間、電子ビームは、半径方向長さが変化する焦点を有する少なくとも2つの異なるビーム形状を与えられる。
【0080】
更なる例に従って(図示せず。)、接線方向における、すなわち、x方向における電子ビームの偏向は、例えば、ゼロ束から全束へ移る場合に、遷移を加速させるよう提供される。
【0081】
グリッドスイッチとの組み合わせを提供することも可能である。
【0082】
更なる例に従って、アノード回転の位相は、検出器の積分周期との同期に適応される。
【0083】
束パターンは、異なるCTビュー毎に異なってよい。再構成アルゴリズムは、異なる品質の異なるビューを整列させる必要がある。
【0084】
電子ビームの偏向によって選択可能な、ビームダンプによらない別個の“不かく乱(undisturbed)”焦点軌道を備えたアノードディスクを有することが、更に提供される。
【0085】
光子束の測定及び光子検出の期間の選択について記載する図13及び14を参照する前に、縦軸における検出器読出162と横軸における一次X線束164とに関する第1のダイアグラム160を示す図12が参照される。図示されるように、CTに使用される検出器は、高光子束で、第1の曲線166により示される非線形性によって大幅に制限される。破線態様168における直線は仮想的な線形応答を示す。
【0086】
下の第2のダイアグラム170で示されるように、本発明に従って、エネルギ分離曲線172は、例えば、光子束が低減されている期間中にのみ信号を積分し且つ過度の光子束の期間からの信号を捨てることによって、飽和を回避するよう提供される。
【0087】
図13は、第3のダイアグラム300において光子束の測定、同期化及びデータ処理を示す。X線管310は一次X線扇ビーム312を供給する。対象314は、X線扇ビーム312の中に配置され、X線不透過の部分対象316を有する。更に、検出器アレイ318は、夫々の示されている信号320とともに示されている。破線322は境界線を示し、その上では非線形応答が提供され、その下では十分な線形応答が提供される。よって、信号320は3つの部分324、326及び328に分けられてよい。第1の部分324は、信号が低束期間から捕捉され得る部分に関する。第2の部分326は、よって、高束期間からの信号を捕捉するために使用され得る。第3の部分328は、よって、部分324と同様に、低束期間からの信号を捕捉するために更に使用され得る。光子束のダイアグラムの夫々の部分は、サブダイアグラム330及び夫々の接続線332により下に示されている。
【0088】
更に、リファレンスビーム334が一次束モニタ336へ供給される。夫々の信号はダイアグラム338により示されている。よって、同期化信号340が、信号構造342を有して供給される。更なるステップとして、ゲート制御信号処理343が、矢印346により示されるように供給される夫々の信号と同期化信号340との結合によってエネルギビン毎の実際のサイノグラム(sinogram)344に到達するために配置される。夫々の検出器ピクセルは、X線信号の適切な期間の間にのみ読み出される。適切な期間は、“積分周期”とも呼ばれる投影フレームの終わりに回顧的に決定される。ゼロ束期間は結晶偏光の検出のために使用される。変調期間の長さが最短の“積分周期”よりも短いと、適切なタイミングは投影毎に個々に決定可能である。
【0089】
図14は、第4のダイアグラム400において光子検出の期間の選択を示す。第1のステップ410で、光子信号が積分される。次に、信号は、更なるステップ412で、決定された限界を下回るかどうかを評価される。限界を下回る場合(“y”)、更なるステップ414で、例えばエネルギ毎に、信号を評価することが提供される。限界を下回らない場合(“n”)、更なるステップ416が提供され、ステップ416で結果は無視され、低束期間が選択される。次いで、以上のステップは、矢印418で示されるように、繰り返される。下で、更なるサブダイアグラム420は、水平方向における時間に沿って、垂直方向においてX線管からの光子束を示す。参照符号422により示される、その下の行では、特定のCTビューが示されている。更に下では、ソース束シーケンス424が、一番上の行426で100%束期間に関して、真ん中の行428で10%束に関して、一番下の行430において0%束期間に関して示されている。十分に低い光子束の期間では、全ての入来する光子が検出器ピクセル毎に検出される。念のため、瞬間的な検出器信号は検出器ピクセルの線形応答の制限を超えるべきである。高束期間中に測定されたそのようなデータは無視される。低束期間中に到来する光子束のみが評価される。この信号は、対象の減衰がこの設定においては低いので、十分に大きい信号対雑音比を提供する。変調周期はCT投影周期よりも短くてよい。
【0090】
本発明の他の実施例においては、適切なシステムにおいて上記の実施形態のうちの1つに従う方法の方法ステップを実行するよう適応されることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0091】
コンピュータプログラム要素は、従って、やはり本発明の実施形態の部分であってよいコンピュータユニットにおいて記憶されてよい。このコンピュータユニットは、上述された方法のステップを実行するか又は該実行を引き起こすよう適応されてよい。更に、それは、上述された装置の構成要素を動作させるよう適応されてよい。コンピュータユニットは、自動的に動作するよう及び/又はユーザの命令を実行するよう適応され得る。コンピュータプログラムはデータプロセッサの作業メモリにロードされてよい。データプロセッサは、よって、本発明の方法を実行するよう装備されてよい。
【0092】
本発明のこの実施例は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、更新によって既存のプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとを両方とも対象とする。
【0093】
これより先、コンピュータプログラム要素は、上記の方法の実施例のプロシージャを満たす全ての必須のステップを提供することが可能であってよい。
【0094】
本発明の更なる実施例に従って、CD−ROMのようなコンピュータ可読媒体であって、先の段落で記載されるようなコンピュータプログラム要素を記憶したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0095】
コンピュータプログラムは、一緒に又は他のハードウェアの部分として提供される光記憶媒体又は固体状態媒体のような適切な媒体において記憶及び/又は分配されてよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線の電気通信システムを介するような、他の形態においても分配されてよい。
【0096】
なお、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブ(WWW)のようなネットワーク上で提供されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされ得る。本発明の更なる実施例に従って、コンピュータプログラム要素をダウンロードに利用可能とするための手段が提供され、コンピュータプログラム要素は、本発明の上記の実施形態のうちの1つに従う方法を実行するよう配置される。
【0097】
留意すべきは、本発明の実施形態は、異なる主題を参照して記載される点である。特に、幾つかの実施形態は、方法タイプの請求項を参照して記載され、一方、他の実施形態は、装置タイプの請求項を参照して記載される。なお、当業者は、先の及び以下の説明から、別なふうに示されない限り、1つのタイプの主題に属する特徴のあらゆる組み合わせに加えて、異なる手段に関連する特徴の間の如何なる組み合わせも本願により開示されていると見なされると察するであろう。なお、全ての特徴は、それらの特徴の単純な足し合わせよりも大きい相乗効果を提供するよう組み合わされ得る。
【0098】
本発明は図面及び上記の記載において詳細に図示及び記載されてきたが、そのような図示及び記載は単なる例示及び説明であり限定でない。本発明は、開示される実施形態に制限されない。開示される実施形態に対する他の変形は、図面、本開示及び特許請求の範囲から、請求される発明を実施する際に当業者によって理解及び達成され得る。
【0099】
特許請求の範囲において、語“有する(comprising)”及び“含む(including)”等は、他の要素又はステップを除外せず、単称(a又はan)は複数個を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲において挙げられている複数の事項の機能を満たしてよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項においてあげられているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すわけではない。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、適用範囲を制限するよう解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14