(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の部材連結部及び前記第2の部材連結部が、前記第1の軸及び前記第2の軸を通る想像線の相反する側に位置決めされる、請求項1に記載のアクチュエータ・システム。
前記第1の要素連結部及び前記第2の要素連結部が、前記第1の軸及び前記第2の軸を通る想像線の同じ側に位置決めされる、請求項1に記載のアクチュエータ・システム。
前記共有リンクは、前記第2のアクチュエータが前記共有リンクに対する前記第4の軸の周りの前記第2の部材の回転を動作的にロックしているときに、前記基準構造体に対する前記第3の軸の周りの前記第1の部材の回転の回転方向と反対の回転方向に前記第1の軸の周りで回転するように構成及び配置されている、請求項1に記載のアクチュエータ・システム。
前記共有リンクは、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータが前記共有リンクに対する前記第3の軸の周りの前記第1の部材の回転及び第4の軸の周りの前記第2の部材の回転をそれぞれ動作的にロックしていないときに、前記基準構造体に対して前記第1の軸の周りで回転しないように構成及び配置されている、請求項1に記載のアクチュエータ・システム。
前記第1のアクチュエータが、モータ出力軸を含み、さらに、前記モータ出力軸と前記第1の部材との間に遊星歯車段を含む、請求項1に記載のアクチュエータ・システム。
【発明の概要】
【0003】
単に例示の目的にすぎず、またそれらに限定されないが、開示された実施例の対応する部品、部分、又は表面に対して括弧付き附記を用いると、本発明は、基準構造体(120)に対して第1の軸(131)の周りで枢動するように構成及び配置された共有リンク(121)と、基準構造体(120)に対して第2の軸(126)の周りで枢動するように構成及び配置された被制御要素(125)と、共有リンクに対して第3の軸(134)の周りで枢動するように構成及び配置され、且つ被制御要素に対して第4の軸(136)の周りで枢動するように構成及び配置された第1の部材と、を備えるアクチュエータ・システムであって、第3の軸(134)及び第4の軸(136)が、第1の可変距離(L1)だけオフセットし、アクチュエータ・システムがさらに、第1の可変距離を制御するように構成及び配置された第1のアクチュエータ(140)と、共有リンクに対して第5の軸(133)の周りで枢動するように構成及び配置され、且つ被制御要素に対して第6の軸の周りで枢動するように構成及び配置された第2の部材と、を備え、第5の軸(133)及び第6の軸(135)が、第2の可変距離(L2)だけオフセットし、アクチュエータ・システムがさらに、第2の可変距離を制御するように構成及び配置された第2のアクチュエータ(141)を備え、第2の可変距離が一定であるときに第1の可変距離が変化することにより被制御要素(125)が第2の軸の周りで回転され、また、第1の可変距離が一定であるときに第2の可変距離が変化することにより被制御要素(125)が第2の軸の周りで回転されるように、アクチュエータ、共有リンク、第1の部材、第2の部材、及び被制御要素が動作的に構成及び配置される、アクチュエータ・システムを提供する。
【0004】
第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の各軸は、実質的に互いに平行にすることができる。第4の軸及び第6の軸は、第3の軸及び第2の軸を通る想像線の相反する側に位置決めすることができる。第4の軸(536)及び第6の軸(535)は、第3の軸及び第2の軸を通る想像線の同じ側に位置決めすることができる。第3の軸は、第5の軸と一致していてもよい。第1の軸は、第3の軸と一致していてもよい。第1の軸は、第5の軸と一致していてもよい。
【0005】
システムはさらに、第1の軸の周りでの共有リンクの回転を制限するように構成及び配置されたブレーキ(381)を備えることができる。アクチュエータ・システムはさらに、第1の可変距離又は第2の可変距離を一定に保つように構成及び配置されたブレーキを備えることができる。システムはさらに、第1の軸の周りでの共有リンクの回転を付勢するように構成及び配置されたばね(382)を備えることができる。システムはさらに、第2の軸の周りでの被制御要素の回転を付勢するように構成及び配置されたばねを備えることができる。システムはさらに、第1の軸の周りでの共有リンクの回転を抑制するように構成及び配置されたダンパ(383)を備えることができる。第1の部材は、線形スピンドル(296)を含むことができる。
【0006】
第1の部材は、第1のリンク(152)及び第2のリンク(146)を含むことができ、第1のリンク(152)は、第3の軸(134)の周りで枢動するように構成及び配置され、第2のリンク(146)は、第4の軸(136)の周りで枢動するように構成及び配置され、また、第1のリンク(152)は、第2のリンク(146)に対して第7の軸(194)の周りで枢動するように構成及び配置される。第1のアクチュエータは、共有リンク(121)に取り付けられ且つ共有リンク(121)と第1のリンク(152)との間の回転運動を制御するように構成及び配置された、回転式アクチュエータ(140)を含むことができる。第2の部材は、第3のリンク(153)及び第4のリンク(147)を含むことができ、第3のリンク(153)は、第5の軸(133)の周りで枢動するように構成及び配置され、第4のリンク(147)は、第6の軸(135)の周りで枢動するように構成及び配置され、また、第3のリンク(153)は、第4のリンク(147)に対して第8の軸(193)の周りで枢動するように構成及び配置される。第2のアクチュエータは、共有リンク(121)に取り付けられ且つ共有リンク(121)と第3のリンク(153)との間の回転運動を制御するように構成及び配置された、回転式アクチュエータ(141)を含むことができる。
【0007】
第7の軸(494)及び第8の軸(493)は、第3の軸及び第2の軸を通る想像線の同じ側に位置することができる。第7の軸(194)及び第8の軸(193)は、第3の軸及び第2の軸を通る想像線の相反する側に位置することができる。ばねは、トーションばね、線形ばね、及びフレキシャから成る群から選択することができる。ダンパは、線形ダンパ及び回転式ダンパから成る群から選択することができる。第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータは、ステッパ・モータ、又は永久磁石モータを含むことができる。第1のアクチュエータは、モータ出力軸を含むことができ、さらに、モータ出力軸と第1の部材との間に遊星歯車段を含むことができる。被制御要素は、軸又は航空機操縦舵面とすることができる。被制御要素は、翼スポイラ、フラップ、フラッペロン、及びエルロンから成る群から選択することができる。基準構造体は、アクチュエータ・フレーム、アクチュエータ・ハウジング、及び機体から成る群から選択することができる。
【0008】
別の態様では、本発明は、基準構造体(120)に対して第1の軸(126)の周りで回転するように構成された要素(125)と、要素(125)及び基準構造体(120)に連結されたリンケージ・システムと、を備えるアクチュエータ・システムであって、リンケージ・システムが、基準構造体に対して第2の軸(131)の周りで回転するように構成されたリンク(121)を有し、第1の軸及び第2の軸が、実質的に平行であり且つ実質的に一定の距離を動作的にオフセットし、リンケージ・システムが、要素と基準構造体との間の第1の回転角(161)がリンク(121)と基準構造体(120)との間の第2の回転角(162)とは無関係に駆動されうるように構成及び配置され、アクチュエータ・システムがさらに、リンケージ・システムに連結され且つリンケージ・システムの第1の自由度(164)に関して動かすように配置された第1のアクチュエータ(140)と、リンケージ・システムに結合され且つリンケージ・システムの第2の自由度(163)に関して動かすように配置された第2のアクチュエータと、を備え、第1の自由度及び第2の自由度が独立した自由度であり、第1のアクチュエータ(140)が、第2の自由度が動作的にロックされうるときに要素を第1の軸の周りで回転させるように構成及び配置されうる、アクチュエータ・システムを提供する。
【0009】
要素は、軸受を介して基準構造体に連結することができる。リンクは、軸受を介して基準に連結することができる。リンケージ・システムは、5つのリンク(152、153、146、147、及び121)を含むことができる。リンケージ・システムは、枢動継手を介して要素に連結することができる。第1のアクチュエータ(140)は、リンケージ・システム内の連結された2つのリンク(121/152)間の角度(164)を動かすことができる。第1のアクチュエータは、リンケージ・システム内の2つの継手(134/136)間の距離を動かすことができる。第1のアクチュエータは、回転式アクチュエータを含むことができ、この回転式アクチュエータは、第2の軸と実質的に同一の回転軸を有することができる。第1のアクチュエータは、回転式モータ又は電気モータを含むことができる。第1のアクチュエータは、遊星歯車を含むことができる。第1のアクチュエータは、リンクに取り付けることができる。第1のアクチュエータは、枢動連結部を介して基準に連結することができる。システムはさらに、第2の軸の周りでのリンクの回転を制限するように構成及び配置されたブレーキを備えることができる。システムはさらに、リンケージ・システムの1つの自由度を一定に保つように構成及び配置されたブレーキを備えることができる。システムはさらに、第2の軸の周りでのリンクの回転を付勢するように構成及び配置されたばねを備えることができる。システムはさらに、第1の軸の周りでの要素の回転を付勢するように構成及び配置されたばねを備えることができる。システムはさらに、第2の軸の周りでのリンクの回転を抑制するように構成及び配置されたダンパを備えることができる。リンケージ・システムは、線形スピンドルを含むことができる。ばねは、トーションばね、線形ばね、及びフレキシャから成る群から選択することができる。ダンパは、線形ダンパ及び回転式ダンパから成る群から選択することができる。第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータは、ステッパ・モータ又は永久磁石モータを含むことができる。要素は、軸及び航空機操縦舵面から成る群から選択することができる。要素は、翼スポイラ、フラップ、フラッペロン、及びエルロンから成る群から選択することができる。基準構造体は、アクチュエータ・フレーム、アクチュエータ・ハウジング、及び機体から成る群から選択することができる。
【0010】
別の態様では、本発明は、基準構造体(120)に対して第1のピボット(126)の周りで回転するように構成された要素(125)と、第1のピボット(126)からオフセットした第1の要素連結部(136)において要素に連結され、且つ第1の要素連結部(136)から第1のピボット(126)からオフセットした基準の第1の基準連結部(131)まで延在する、第1のリンケージ(146、152、121)と、第1のピボット(126)からオフセットした第2の要素連結部(135)において要素に連結され、且つ第2の要素連結部(135)から第1のピボット(126)からオフセットした基準の第2の基準連結部(131)まで延在する、第2のリンケージ(147、153、121)と、を備えるアクチュエータ・システムであって、要素(125)及び第1のリンケージが、少なくとも2つの独立した自由度を有する第1のシステム・リンケージを形成し、要素(125)及び第2のリンケージが、第2のシステム・リンケージを形成し且つ少なくとも2つの独立した自由度を有し、アクチュエータ・システムがさらに、第1のリンケージに連結された第1のモータ(140)と、第2のリンケージに連結され且つ第1のモータとは無関係に動かせる第2のモータ(141)と、を備え、第1のリンケージ及び第2のリンケージが、自由度を共有するように結合され、第1のモータ(140)が、第1のリンケージ内の自由度に関して動かすように構成及び配置され、第2のモータ(141)が、第2のリンケージ内の自由度に関して動かすように構成及び配置され、モータのうちの一方(140)が、モータのうちの他方(141)が動かされる自由度を動作的にロックしているときに、要素(125)を基準(120)に対して動かすように構成及び配置される、アクチュエータ・システムを提供する。
【0011】
別の態様では、本発明は、基準構造体(120)に枢動可能に連結された(131)共有リンク(121)と、基準構造体(120)に枢動可能に連結された(126)被制御要素(125)と、上部リンク(46)の近位端部に結合された駆動軸(152)を有する、共有リンク(121)に取り付けられた第1の電気モータ(140)と、下部リンク(147)の近位端部に結合された駆動軸(153)を有する、共有リンク(121)に取り付けられた第2の電気モータ(141)と、を備えるアクチュエータであって、上部リンク(146)が、被制御要素(125)に枢動可能に連結された(136)遠位端部を有し、下部リンクが、被制御要素(125)に枢動可能に連結された(135)遠位端部を有し、それにより、モータのうちの一方を静止状態に保持しながらモータのうちの他方を作動させると、被制御リンク(125)が基準構造体(120)に対して回転する、アクチュエータを提供する。
【0012】
別の態様では、本発明は、アクチュエータ・システムを制御する方法であって、アクチュエータ・システムを用意するステップであって、アクチュエータ・システムが、基準構造体(120)に対して第1の軸(131)の周りで枢動するように構成及び配置された共有リンク(121)と、基準構造体(120)に対して第2の軸(126)の周りで枢動するように構成及び配置された被制御要素(125)と、共有リンクに対して第3の軸(134)の周りで枢動するように構成及び配置され、且つ被制御要素に対して第4の軸(136)の周りで枢動するように構成及び配置された第1の部材と、を備え、第3の軸(134)及び第4の軸(136)が、第1の可変距離(L1)だけオフセットし、アクチュエータ・システムがさらに、第1の可変距離を制御するように構成及び配置された第1のアクチュエータ(140)と、共有リンクに対して第5の軸(133)の周りで枢動するように構成及び配置され、且つ被制御要素に対して第6の軸(135)の周りで枢動するように構成及び配置された第2の部材と、を備え、第5の軸(133)及び第6の軸(135)が、第2の可変距離(L2)だけオフセットし、アクチュエータ・システムがさらに、第2の可変距離を制御するように構成及び配置された第2のアクチュエータ(141)を備え、第2の可変距離が一定とされうるときに第1の可変距離が変化することにより被制御要素(125)が第2の軸の周りで回転され、また、第1の可変距離が一定であるときに第2の可変距離が変化することにより被制御要素(125)が第2の軸の周りで回転されるように、アクチュエータ、共有リンク、第1の部材、第2の部材、及び被制御要素が動作的に構成及び配置される、アクチュエータ・システムを用意するステップと、被制御要素(125)が第2の軸の周りで回転され、また、共有リンク(121)が第1の軸の周りで動かずに保持されるように、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータに同時に動力を与えるステップとを含む方法を提供する。第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータは、互いに向かい合って動力を与えられることができ、それによりアクチュエータ・システムにおけるバックラッシが最小限に抑えられる。
【0013】
別の態様では、本発明は、アクチュエータ・システムを制御する方法であって、アクチュエータ・システムを用意するステップであって、アクチュエータ・システムが、基準構造体(120)に対して第1の軸(131)の周りで枢動するように構成及び配置された共有リンク(121)と、基準構造体(120)に対して第2の軸(126)の周りで枢動するように構成及び配置された被制御要素(125)と、共有リンクに対して第3の軸(134)の周りで枢動するように構成及び配置され且つ被制御要素に対して第4の軸(136)の周りで枢動するように構成及び配置された第1の部材と、を備え、第3の軸(134)及び第4の軸(136)が、第1の可変距離(L1)だけオフセットし、アクチュエータ・システムがさらに、第1の可変距離を制御するように構成及び配置された第1のアクチュエータ(140)と、共有リンクに対して第5の軸(133)の周りで枢動するように構成及び配置され、且つ被制御要素に対して第6の軸(135)の周りで枢動するように構成及び配置された第2の部材と、を備え、第5の軸(133)及び第6の軸(135)が、第2の可変距離(L2)だけオフセットし、アクチュエータ・システムがさらに、第2の可変距離を制御するように構成及び配置された第2のアクチュエータ(141)を備え、第2の可変距離が一定とされうるときに第1の可変距離が変化することにより被制御要素(125)が第2の軸の周りで回転され、また、第1の可変距離が一定であるときに第2の可変距離が変化することにより被制御要素(125)が第2の軸の周りで回転されるように、アクチュエータ、共有リンク、第1の部材、第2の部材、及び被制御要素が動作的に構成される、アクチュエータ・システムを用意するステップと、共有リンク(121)が第1の軸の周りで回転されるように、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータに同時に動力を与えるステップと、を含み、それにより第1のアクチュエータと共有リンクの回転との間の力学機械的倍率が調整される、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
最初に、要素、部分、又は表面についてこの詳細な説明が不可欠な部分である明細書全体によってさらに論述又は説明することができるように、同様の参照番号が幾つかの図面にわたって一貫して同一の構造要素、部分、又は表面を特定するように意図されていることが、明白に理解されるべきである。特に指示されていない限り、各図面は、明細書と併せて読まれる(例えば、断面線、部品配置、比率、度合い等)ように意図されており、また、本発明の明細書全体の一部分と見なされるべきである。以下の説明において、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上」、及び「下」という用語、並びにそれらの形容詞及び副詞(例えば、「水平に」、「右方向に」、「上方に」等)は、特定の図面を見た場合の、図示された構造の向きを意味するにすぎない。同様に、「内方に」及び「外方に」という用語は一般に、長手軸又は必要に応じて回転軸に対する表面の向きを意味するものである。
【0016】
ここで各図面を参照すると、また、より詳細には各図面のうちの
図1及び
図2を参照すると、本発明は、改良されたアクチュエータ・システムを提供し、その第1の実施例が、全体として110で示されている。システム110は、
図1及び
図2では水平配置で示されている。図示のように、システム110は一般に、主要な要素として、航空機フレーム120、共有リンク121、右アクチュエータ141、左アクチュエータ140、右駆動アーム153、左駆動アーム152、上部連結ロッド146、下部連結ロッド147、及びフラップ125を含む。
【0017】
航空機フレーム120は、枢動継手131を介して共有リンク121が回転的に取り付けられる基準構造体として機能する。右回転式アクチュエータ141及び左回転式アクチュエータ142が、共有リンク121に取り付けられる。回転式アクチュエータ141及び142は、それらの駆動軸が同軸であり且つ軸144に沿って整列した状態で取り付けられる。この実施例では、回転式アクチュエータ141及び142は、遊星歯車減速ユニットを含む永久磁石電気サーボ・モータである。しかし、ステッパ・モータ又は回転油圧アクチュエータなどの他の回転式アクチュエータを、代わりとして使用することもできる。
【0018】
右アクチュエータ141は、その出力駆動軸143とともに枢動継手133を形成し、出力駆動軸143は、右アクチュエータ駆動アーム153の一方の端部に堅固に結合される。右アクチュエータ駆動アーム153の他方の端部は、枢動継手193を介して下部連結ロッド147の一方の端部に連結される。連結ロッド147の他方の端部は、枢動継手135を介してフラップ125に連結される。
【0019】
同様に、左アクチュエータ140は、その出力駆動軸142とともに枢動継手134を形成し、出力駆動軸142は、左アクチュエータ駆動アーム152の一方の端部に堅固に結合される。左アクチュエータ駆動アーム152の他方の端部は、枢動継手194を介して上部連結ロッド146の一方の端部に連結される。連結ロッド146の他方の端部は、枢動継手136を介してフラップ125に連結される。
【0020】
フラップ125は、枢動継手126を介して航空機フレーム120に回転的に結合される。
図1及び
図2は、フラップ125を水平配置で示しており、この水平配置では、フラップ125の中心線127は機体120に対して水平であり、したがって機体120の水平基準線130に対して概ね平行である。この水平配置では、左駆動アーム152及び右駆動アーム153は、機体120の垂直軸129に対して概ね平行に位置合わせされる。右駆動アーム中心線158は、共有リンク中心線122とともに角度163を形成し、この角度163はまた、左駆動アーム152の中心線159と共有リンク中心線122との間の角度164に等しい。共有リンク121の中心線122は、機体120の水平基準線130とともに角度162を形成する。
【0021】
システム110は、6つの可動剛体リンク(121、152、153、146、147、及び125)、8つの枢動継手(131、133、134、193、194、135、136、及び126)、並びに2つの固定基準点120a及び120bを含む、リンケージ・システムを提供する。左右のアクチュエータ140、141は、それらの出力軸がこの実施例では共通の回転軸144である回転軸の周りで枢動するので、リンケージ・システムという観点では枢動継手133、134として分類されることに留意されたい。全ての枢動継手は、軸144に対して概ね平行に配向される。
【0022】
第1の固定基準点120aと第2の固定基準点120bとの間には、2つのリンケージ経路が形成されており、これらは一緒にリンケージ・システムを形成する。第1のリンケージ経路は、機体基準120aから右の機体基準120bまで、枢動継手131、共有リンク121、枢動継手134として作用する左アクチュエータ140、駆動アーム152、枢動継手194、上部連結ロッド146、枢動継手136、フラップ125、及び枢動継手126として画定される。そのようなリンケージ経路は、4つの剛体部材が存在するため、一般に4部材リンケージと呼ばれる。同様に、第2のリンケージ経路は、左の機体基準から右の機体基準120bまで、枢動継手131、共有リンク121、枢動継手133として作用する右アクチュエータ141、駆動アーム153、枢動継手193、下部連結ロッド147、枢動継手135、フラップ125、及び枢動継手126として画定される。第2のリンケージ経路もまた、4部材リンケージである。両方のリンケージ経路において共有される要素があり、枢動継手131、共有リンク121、フラップ125、及び共有枢動継手126が含まれる。言い換えれば、各4部材リンケージにおける剛体部材のうちの3つの剛体部材が共有される。
【0023】
リンケージ・システムは、2つの独立した自由度を含む。より具体的には、基準(機体120)に対する全てのリンク及び継手の位置は、2つの数字によって画定することができる。左アクチュエータ140が共有リンク121と一緒に作る枢動継手角度164、及び右アクチュエータ141が共有リンク121と一緒に作る枢動継手角度163を制御することにより、リンケージ・システムの2つの自由度を独立して制御することができる。リンケージ・システム及び各リンケージ経路の自由度は、様々な作動配置におけるシステム110について論ずる以下の節において、より明らかになるであろう。
【0024】
図3は、動作のデュアルモータ作動モードにおいて左右両方のアクチュエータ140及び141が協調することによりシステムが作動された配置におけるシステム110を示している。フラップ125は、
図1に示された配置から角度161だけ反時計方向に回転されている。共有リンク121が機体水平基準130と一緒に作る角度162は、
図1及び
図2に示された水平配置におけるその角度から変更されていない。枢動継手136とピボット134との間の距離L1は、L1’へとdL1だけ減少されており、枢動継手135とピボット133との間の距離L2は、L2’へとdL2だけ増大されている。
【0025】
右アクチュエータ141は、右駆動アーム153を共有リンク121に対して角度166だけ反時計方向に回転させて、右駆動アーム153と共有リンク中心線122との間の角度163を減少させ、且つ、距離L2をL2’へとdL2だけ増大させている。同様に、左アクチュエータ140は、左駆動アーム152を共有リンク121に対して角度167(これは、この第2の配置における角度166に等しい)だけ反時計方向に回転させて、右駆動アーム152と共有リンク中心線122との間の角度164を減少させ、且つ、距離L1をL1’へとdL1だけ減少させている。左駆動アーム152と共有リンク121との間の角度164は、角度163が角度164に等しいままであるように、角度167だけ減少されている。右駆動アーム153の右駆動アーム中心線158、及び左駆動アーム152の左駆動アーム中心線159は、互いに整列したままであるが、基準垂直軸129とはもはや整列していない。
【0026】
右アクチュエータ141が右駆動アーム153を反時計方向に回転させるにつれて、下部制御ロッド147が右方向に付勢される。制御ロッド147が右方向に付勢されるにつれて、フラップ125が継手135において右方向に押されて、フラップ125は反時計方向に回転するように付勢される。同様に、左アクチュエータ140が左駆動アーム152を反時計方向に回転させるにつれて、上部制御ロッド146が左方向に付勢される。制御ロッド146が左方向に付勢されるにつれて、フラップ125が継手136において左方向に引っ張られて、フラップ125はやはり反時計方向に回転するように付勢される。
【0027】
両方のアクチュエータがこのデュアルモータ作動モードにおいて正常に動作している場合、右駆動アーム153は、左駆動アーム152が反時計方向167に回転するのとほぼ同じ量だけ反時計方向166に回転し、各駆動アームは依然として概ね平行とされる。同様に、枢動継手136とピボット134との間の距離L1における減少量dL1は、枢動継手135とピボット133との間の距離L2における増大量dL2とほぼ同じ量である。上部連結ロッド146は下部連結ロッド147が右へ移動するのと同じ量だけ左へ移動するので、共有リンク121は、実質的に機体120に対する回転位置に固定されたままである。
【0028】
デュアルモータ作動モードは、一方の連結ロッドが押しているのと同時に他方の連結ロッドが引っ張って、押し引きの両方を同時に行うことにより、リンケージ・システムをフラップ125に効率的に作用させる。アクチュエータ141が共有リンク121を左方向に押している間、アクチュエータ140が共有リンク121を右方向に引っ張る。左アクチュエータ140のトルク出力及び右アクチュエータ141のトルク出力はどちらも、連結ロッド146及び147により、可動フラップ125に作用するように伝達される。リンケージ・システムは、左右のアクチュエータ140、141がフラップ125におおよそ同等のトルクを与えるように構成及び配置される。しかし、以下の節で論じられる、同等でない又は相反するトルクを各アクチュエータが提供する他の動作モードが存在する。
【0029】
図4は、
図1に示された配置からフラップ125が角度161だけ時計方向に回転された配置におけるシステム110を示している。駆動アーム152は、角度167だけ時計方向に回転されていて、そのため、駆動アーム152は、ここでは共有リンク中心線122と一緒に角度164を形成している。駆動アーム153は、角度166だけ時計方向に回転されていて、そのため、駆動アーム153は、ここでは共有リンク中心線122と一緒に角度163を形成している。角度167及び角度166は実質的に等しく、そのため、駆動アーム153及び駆動アーム152は、平行したままである。共有リンク121は移動されておらず、引き続き基準水平130と一緒に角度162を形成する。枢動継手136とピボット134との間の距離L1は、L1’へとdL1だけ増大されており、枢動継手135とピボット133との間の距離L2は、L2’へとdL2だけ減少されている。
【0030】
システム110は、動作不能故障作動モードにおいて、アクチュエータのうちの一方が動かなくなった後で、動作し続けることができる。この動作不能故障配置は、
図5に示されている。この配置では、右アクチュエータ141は、出力軸がロックされて(すなわち、閉塞故障又は動作不能)故障したものとして扱われ、また、システム110は、左アクチュエータ140により、
図1に示された水平配置から作動されている。
【0031】
右アクチュエータ141は動かなくなっているので、出力軸143は共有リンク121に事実上堅固に結合され、また、駆動アーム153と共有リンク中心線122との間の角度163は、変わらない。ここで、共有リンク121、アクチュエータ141、及び駆動アーム153は、単一の堅固な部材又はリンクを形成する。アクチュエータ141を通る第2のリンケージ経路は、もともとは5つの枢動継手を含む4剛体部材リンクであったが、今や4つの枢動継手を含む3部材リンクである。左アクチュエータ140を通る第1のリンケージ経路は、その経路内のアクチュエータが動かなくなっていないので、4部材リンクのままである。全リンケージ・システムは、今や1つの自由度だけによって画定される。この単一の自由度は、依然として動作している左アクチュエータ140によって制御することができる。
【0032】
図5に示すように、右駆動アーム153の右駆動アーム中心線158、及び左駆動アーム152の左駆動アーム中心線159は、もはや一直線になっていない。右アクチュエータ141が動かなくなっているので、右駆動アーム153と共有リンク中心線122との間の角度163は、共有リンク中心線122に対して
図1及び
図2に示された水平配置と同じ角度でロックされる又は動かなくされる。しかし、左駆動アーム152は、共有リンク122に対して角度167だけ時計方向に移動されていて、左駆動アーム152の中心線159と共有リンク中心線122との間の角度164を増大させている。
【0033】
左アクチュエータ140が左駆動アーム152を時計方向に駆動するにつれて、上部連結ロッド146が右方向に押される。上部連結ロッド146が右方向に押されるにつれて、フラップ125が継手136を介して右方向に押される。これにより、フラップ125は、機体120に対して時計方向に回転するように付勢される。下部連結ロッド147は、フラップ125が時計方向に回転するにつれて、左方向に移動することになる。右アクチュエータ141が動かなくなっているので、右駆動アーム153及び共有リンク121は、単一の剛体として機能し、また、下部連結ロッド147が左方向に移動するので、共有リンクもまた左方向に移動(131の周りで時計方向に回転)せざるを得ない。共有リンク121は、その以前の中心線位置172からその現在の中心線位置122へと、角度168だけ時計方向に回転される。
図5に示すように、この配置では、水平基準130と共有リンク中心線122との間の角度162は、
図4に示された配置における角度162から増大されている。
【0034】
したがって、たとえ右アクチュエータ141が動かなくなっていても、左アクチュエータは、フラップ125を時計方向及び反時計方向に作動させることが可能である。
図4に示されたデュアル作動モードのように、共有リンク121を静止状態に保つ、互いを押しやる2つのアクチュエータを有するのではなく、1つのアクチュエータが共有リンク121を押しやり、対応する共有リンク121の回転に応じて、フラップ125にトルクが印加される。
【0035】
この実例では、フラップ125は、左アクチュエータ140の所与の回転量に対して、左アクチュエータ140及び右アクチュエータ141の両方が回転するデュアル作動モードにおいてフラップ125が回転するのよりも、少なく回転することになる。例えば、
図4と
図5を比較すると、フラップ125が角度161だけ等しく回転した場合、駆動アーム152が共有リンク中心線122とともに作る角度164は、
図4に比べて
図5のほうが著しく大きいことが分かる。
【0036】
システム110はまた、最小バックラッシ・モードで動作させることができ、このモードでは、右アクチュエータ141及び左アクチュエータ140は、作動中のフラップ125が受けるバックラッシを最小限にするために、互いに反対に一定のトルクを印加するように指示される。言い換えれば、両方のアクチュエータ140及び141は、それぞれの連結ロッド146、147を常に押すか又は常に引っ張るように構成することができ、また、フラップ125は、どちらかのアクチュエータをより多く動作させるように制御することによって動かされる。
【0037】
例えば、両方のアクチュエータ駆動アーム152、153がそれらの対応する連結ロッド146、147をそれぞれ押すように構成された最小バックラッシ・モードで動作する場合、右アクチュエータ141は、駆動アーム153をわずかな最小限のトルクで反時計方向に移動させるように指示され、一方で、左アクチュエータ140は、駆動アーム152を同等の最小限のトルクで時計方向に移動させるように指示される。この場合、連結ロッド146及び147は、絶えず右方向に駆動されることになる。これにより、全ての継手の内部接触界面を片側に追いやる張力がリンケージ・システム内に生じて、その結果、バックラッシが最小限に抑えられる。フラップ125を動かすためには、アクチュエータ140又はアクチュエータ141のどちらかが、その連結ロッドをより強く押すために、フラップ125の所望の回転方向に応じて、増大したトルクを印加する。このモードでは、どちらのアクチュエータも(取り上げられている故障状態がない限り)、その対応する連結ロッドを引っ張るようには作動されない。或いは、最小バックラッシ・モードは、同じ方法であるがアクチュエータがそれらの対応する連結ロッドを押すのではなく常に引っ張るように指示することによって、実装することもできる。最小バックラッシ・モードは、摩擦又は用力の増加をもたらす可能性があるが、事実上バックラッシの無いシステム110の動作方法を提供する。
【0038】
修正パフォーマンスモードでシステム110を動作させるための配置が、
図6に示されている。修正パフォーマンスモードは、システムのアクチュエータ140、141とフラップ125との間の力学機械的倍率を変化させる方法を提供する。
図6に示された配置と
図1とを比較すると、どちらの配置においてもフラップ125が水平に位置しているにもかかわらず、
図6に示された配置では、駆動アーム152、153及び共有リンク121は調整されている。より具体的には、共有リンク121は、角度168だけ時計方向に回転されており、駆動アーム152は、角度167だけ時計方向に回転されており、駆動アーム153は、角度166だけ反時計方向に回転されている。
【0039】
この調整により、アクチュエータ140、141とフラップ125との間の力学機械的倍率が高められている。このことは、駆動アーム152の所与の時計方向回転に対して制御ロッド146が右へ移動する量を考えたときに、最も容易に認められるであろう。
図1では、駆動アーム152は駆動連結ロッド146に対して垂直であるので、駆動ロッド152が時計方向に回転すると、連結ロッド146が最大量右に動くことになる。枢動継手194は、水平方向の成分だけで動くことになる。
図1を
図6と比較すると、
図6の配置では、駆動アーム152は連結ロッド146とともに斜角を作るので、駆動アーム152の回転は、枢動継手136の右方向及び下方向の両方の運動をもたらすことになる。運動は、水平方向の成分と垂直方向の成分とに「分割」されるので、連結ロッド146は、
図1に示された配置と比較すると、駆動アーム152の所与の回転角に対してそれほど右へは動かない。事実上、リンケージ・システムにおける力学機械的倍率は、共有リンク121が機体120の水平基準130とともに作る角度162を変化させることによって調整される。力学機械的倍率を調整可能にすることにより、フラップ125の最大運動速度、フラップ125の最大角変位、バックラッシ、フラップ125に印加できる最大トルク、及びシステムの固有共鳴振動数などの飛行特性を修正することができる。
【0040】
図1〜
図6に示すように、システム110は、2つの独立した自由度を有する。言い換えれば、固定された基準機体120が与えられると、他の全ての要素及び枢動継手の位置は、2つの独立した変数X及びYによって画定することができ、このX及びYは、互いに無関係に変更することができる。例えば、フラップ125の中心線127と水平基準128との間の角度161、及び水平基準130と共有リンク中心線122との間の角度162は、システムにおける2つの自由度を特定する2つの独立した変数を画定する。
図3における配置に示されるように、フラップ角度161は、共有リンク角度162とは無関係に変更することができる。或いは、
図6における配置に示されるように、共有リンク角度162は、フラップ角度161が一定に保持されるように調整することができる。したがって、フラップ角度161及び共有リンク角度162は、独立した変数である。フラップ角度161及び共有リンク角度162が与えられた場合、駆動アーム152及び153の角度163及び164は一定とされる。システムには2つの自由度しかないため、2つの角度(角度161及び162)が一定に保持されると、システム全体が固定される。或いは、角度163及び164を画定することもできる。角度163及び角度164が与えられた場合、フラップ角度161及び共有リンク角度162は一定とされる。左アクチュエータ140は、角度164を直接制御するように配置される。同様に、右アクチュエータ141は、角度163を制御する。アクチュエータ角度140及び141をしたがってアクチュエータ角度163及び164を制御できるようにすることによって、フラップ角度161及び共有リンク角度162を制御することができる。2つの自由度が存在するので、たとえ一方のアクチュエータがロックして、システムが1自由度システムにされたとしても、他方のアクチュエータは、引き続きフラップ角度161を変化させることができる。
【0041】
一般に、システム110は、部分的に依存した2つのリンケージ経路から構成された機械的リンケージを有する。各リンケージ経路は、2つの自由度を有する。リンケージ経路は、1つの自由度(角度121)を共有する。各リンケージ経路は、その経路沿いに、その自由度のうちの1つを制御するアクチュエータを有する。両方のアクチュエータを制御することにより、システムの全ての自由度が画定される。自由度のうちの1つがロックされた場合、システムにおける他の自由度を、フラップの角度を変えるために使用することができる。これにより、動かなくなることに対する抵抗力がもたらされる。また、第2の自由度を有することにより、フラップ角度に無関係な自由度を使用して、フラップ角度を調節することなしに、システムの力学機械的倍率を調整するか、又は使用中のシステムを試験することができる。
【0042】
システムの第2の実施例210が、
図7及び
図8に示されている。この実施例では、システム110における駆動アーム152、153、及び連結ロッド146、147は、線形スピンドル296及び297に置き換えられている。第1の実施例110と同様に、システム210は、基準220上の2つの位置220a、220bの間に2つのリンケージ経路を有する機械的リンケージによって画定される。第1のリンケージ経路は、基準220aから基準220bまでで画定され、且つ、枢動継手231、共有リンク221、枢動継手233、線形スピンドル297、枢動継手235、フラップ225、及び枢動継手226を含む。第2のリンケージ経路もまた、基準220aから基準220bまでで画定されるが、枢動継手231、共有リンク221、枢動継手234、線形スピンドル296、枢動継手236、フラップ225、及び枢動継手226を含む。線形スピンドル296により、継手234と枢動継手236との間の距離L1を調整することが可能になる。同様に、線形スピンドル297により、枢動継手233と枢動継手235との間の距離L2を調整することが可能になる。各線形スピンドルは、実施例210の機械的リンケージにおける独立した自由度として機能する。
【0043】
システム210は、システム110に関して説明されたデュアルモータ作動モードで動作させることができる。例えば、線形スピンドル296が短縮される一方で線形スピンドル297が伸長される場合、共有リンク221が静止したままで、フラップ225が時計方向に回転される。
【0044】
さらに、システム210は、システム110に関して説明された動作不能故障作動モードで動作し続ける。例えば、線形スピンドル297が動かなくなった場合でも、共有リンク221が回転することにより枢動継手235の位置を変化させることが可能になるので、線形スピンドル296を調整することにより、フラップ225の角度が引き続き変化される。
【0045】
システムの第3の実施例310が、
図9に示されている。システム310は、システム110と同一であるが、ばね382、ダンパ383、及びブレーキ381が追加されている。ばね382は、共有リンク321と機体基準320cとの間に位置する。
図9に示された水平配置では、ばね382は、未圧縮状態である。しかし、共有リンク321が
図9におけるその位置から少しでも動くことにより、ばね382に復元力又は復元トルクを印加させることになる。ばね382は、枢動継手331の周囲に配置された線形コイルばね、フレキシャ、又はトーションばねとすることができる。或いは、ばね382は、枢動継手326の周囲に配置してもよい。ダンパ383は、基準構造体320に対する共有リンク321の回転を抑制するように配置される。ばね382及びダンパ383は、バックラッシや振動を減少させることなど、システムの動作力学(operating dynamics)を変更するのに有用である。
【0046】
ブレーキ381は、基準320に対する共有リンク321の位置をロックするように配置される。システム310がデュアルモータ作動モードで動作している場合、システム310の動作は、実質的にシステム110の動作と同等である。ばね382、ダンパ383、及びブレーキ381の効果は、一方のアクチュエータにオープン故障が発生した場合に重要である。オープン故障とは、アクチュエータがもはやその出力軸にトルクを印加することができない場合のことであり、また、
図5を参照して上述した動作不能アクチュエータ故障とは異なる。システム110においては、ブレーキ381が無く、残りの動作するアクチュエータの作用に関係なくフラップ125が自由に上下動するので、オープン故障は問題となる。これは、システムが2自由度システムであり、また、1つの自由度が制御されない場合(即ち、オープン・アクチュエータ故障)にシステムの全面的な運動学的状態を制御することができないという事実に起因する。しかし、システム310においてはブレーキ381のため、オープン故障に対処することができる。オープン故障が発生した場合、共有リンク321をロックするためにブレーキ381が作動されて、リンケージ・システムを実質的に1自由度システムに変換する。次いで、1自由度システムは、
図5を参照して説明したように、フラップ325を制御するために、残りの動作するアクチュエータによって作動されうる。
【0047】
第4の実施例410が、
図10に示されている。この実施例では、駆動アームの配置が反転されている。より具体的には、駆動アーム452及び駆動アーム453は、アクチュエータ441の回転軸443及び枢動継手426を通って延びる水平基準線の同じ側に配置されている。この配置では、アクチュエータ441が駆動アーム453に印加するトルクは、前述の配置と比較すると逆である。例えば、
図10を参照すると、駆動アーム453が連結ロッド447を右方向に押す場合、対抗する反時計方向のトルクが共有リンク421に印加される。それに対し、
図9を参照すると、駆動アーム353が連結ロッド347を右方向に押すにつれて、対抗する時計方向のトルクが共有リンク321に印加される。駆動アーム453が、説明されたように連結ロッド447を右方向に押して共有リンク421に反時計方向のトルクを印加するにつれて、駆動アーム452が連結ロッド446を左方向に引っ張って、対抗する時計方向のトルクを共有リンク421に印加する。駆動アーム453により共有リンク421に印加された反時計方向のトルクは、駆動アーム452により印加された時計方向のトルクによって相殺される。これにより、機械的歪みを機械的リンケージ・システムに再配分することが可能になる。
【0048】
第5の実施例510が、
図11〜
図13に示されている。システム510は、ライン交換可能ユニットとして容易に運搬及び交換することができる独立型パッケージとして最適化されている。より具体的には、システム510は、機体などの外部基準に固定するだけでよい、それ自体の基準520を含む。リンケージ・システムの複数のポイントを外部基準に取り付ける必要は、もはや無い。また、システム510における共有リンク521には、アクチュエータ540及び541の回転軸と一致した回転軸が設けられている。また、システム510は、反転した連結ロッド構造を有する。
【0049】
システム510の基準フレーム520は、リンケージ・システム基準構造体として機能する。共有リンク521は、左回転式アクチュエータ540及び右回転式アクチュエータ541が取り付けられる小さな円板である。右アクチュエータ出力軸543が、フレーム520の軸受継手531を貫通する。したがって、右出力軸543は、フレーム520に対して軸544の周りで回転するように配置される。同様に、左出力軸542が、フレーム520の軸受継手532を貫通し、且つ、フレーム520に対して軸544の周りで回転するように配置される。共有リンク521は、アクチュエータ540及び541の固定子と一緒に軸544の周りで回転するように構成されうる。言い換えれば、出力軸542及び543は、フレーム520に対して固定して保持されうるが、共有リンク521、アクチュエータ540、及びアクチュエータ541は全て、関連したフレーム520と一緒に回転する。
【0050】
駆動アーム553が、出力軸543に堅固に取り付けられ、駆動アーム552が、出力軸542に堅固に取り付けられる。駆動アーム553は、枢動継手593を介して連結ロッド547に連結する。同様に、駆動アーム552は、枢動継手594を介して連結ロッド546に連結する。連結ロッド546は、枢動継手536を介して受入アーム556に連結する。同様に、連結ロッド547は、枢動継手535を介して受入アーム555に連結する。受入アーム555及び受入アーム556は、どちらもシステム出力軸525に堅固に取り付けられる。言い換えれば、アーム555及び556は、軸525と別々に回転することはない。出力軸525は、航空機のフラップなどの外部荷重を駆動するように構成される。
【0051】
反転した連結ロッドにおける相似性のため、システム510の動作は、システム410と同様である。例えば、
図12を参照すると、システム出力軸525を時計方向に駆動するためには、駆動アーム553は、連結ロッド547を右方向に押さなければならず、駆動アーム552もまた、連結ロッド546を右方向に押さなければならない。右アクチュエータ541により駆動アーム553に印加されるトルクは、左アクチュエータ540により駆動アーム552に印加されるトルクに等しく、且つその反対である。アクチュエータ540及び541によって印加されるトルクは互いに相殺するので、共有リンク521は、出力軸525が時計方向に回転されるときに、フレーム520に対して回転しない。
【0052】
アクチュエータのうちの一方が動作不能故障した場合、他方のアクチュエータは、システム110におけるように、また、
図5を参照して説明されたように、動作し続ける。しかし、出力軸525が回転するにつれて、共有リンク521は(アクチュエータ540及び541と一緒に)フレーム520に対して回転することになる。オープン・アクチュエータ故障に対処するために、システム410で説明されたように、ブレーキ、ばね、又はダンパが、共有リンク521と基準フレーム520との間に配置される。
【0053】
第6の実施例610が、
図14〜
図17に示されている。この実施例では、共有リンク621は、フレーム620と摺動係合するように構成されている。図示のように、フレーム620は、摺動係合で共有リンク621を受け入れるように構成された開口部609を有する。共有リンク621は、フレーム620に対して回転しない。デュアルモータ作動モードでの動作中、共有リンク621は、フレーム620に対して摺動しない。しかし、動作不能故障動作モードでは、共有リンク621がフレーム620に対して左右に動くことにより、動作不能故障の間動作し続けるのに必要とされる自由度が、リンケージ・システムに提供される。
【0054】
第7の実施例のシステム710が、
図18〜
図24に示されている。システム710は、全体的な構造及び動作が、
図11〜
図13に示された第5の実施例のシステム510と非常に似ている。しかし、システム710は、フレーム720と回転係合してシステム出力軸725を支持する、より大きな軸受726a及び726bを有する。同様に、軸受733及び734が、フレーム720との枢動関係において、アクチュエータ740及び741並びに共有リンク721を支持する。システム710は、平均故障間隔が長い、コンパクトで且つライン交換可能なユニットを提供する。
【0055】
図18及び
図19に示されるように、アクチュエータ・システム710は、主要な要素として、フレーム720、システム出力軸725、右アクチュエータ740、左アクチュエータ741、共有リンク721、駆動アーム752、駆動アーム753、連結ロッド746、及び連結747を含む。
【0056】
フレーム720は、ハウジングとして、また、アクチュエータ・システムの軸受が相互に作用する基準構造体として機能する。例えば、共有リンク210が、フレーム720に対して軸744の周りで回転運動するように、軸受733及び734によって取り付けられる。アクチュエータ740及び741は、共有リンク721上に取り付けられ、また、軸744に一致したそれぞれの出力軸回転軸を有する。アクチュエータ740及び741は、出力遊星歯車段を含む回転モータである。右アクチュエータ740の出力軸742は、スプラインが付けられ、且つ駆動アーム752に堅固に結合される。右駆動アーム752は、枢動継手794を介して連結ロッド746の左側に連結される。連結ロッド746の右側は、枢動継手736を介して駆動アーム756に結合される。駆動アーム756は、システム出力軸726に堅固に結合される。システム出力軸726は、軸726の周りで回転運動するように、軸受726a及び726bを介してフレーム720に取り付けられる。アクチュエータ741の出力軸743は、スプラインが付けられ、且つ駆動アーム753に堅固に連結される。駆動アーム753は、枢動継手793を介して連結ロッド747に連結される。連結ロッド747は、枢動継手793を介して駆動アーム755に連結される。駆動アーム755は、システム出力軸725に堅固に結合される。
【0057】
システム710の動作は、他の実施例の動作に似ている。各アクチュエータは、2自由度システムにおいて単一の自由度を制御する。システム710では、アクチュエータ740及び741は、両方が連結ロッド746及び747に押す力をもたらすか、又は両方が連結ロッド746及び747に引っ張る力をもたらすために、共有リンク721をはさんで互いにトルクをかけ合う。言い換えれば、アクチュエータ740は、アクチュエータ741によって印加されるトルクと等しく且つ正反対のトルクを共有リンク721に印加するように駆動される。
図18の斜視図で見られるように、アクチュエータ740によって印加されるトルクが、共有リンク721に時計方向のトルクをもたらす(これにより、連結ロッド746が右方向に押される)と、アクチュエータ741は、共有リンク721に反時計方向のトルクをもたらすように駆動される(これにより、連結ロッド747を右方向に押す力がもたらされる)。したがって、システム出力軸725は時計方向に駆動されるが、共有リンク721は正味トルクを受けない。
【0058】
システム710の軸受構造が、
図20に示されている。外側シース701が、フレーム720との一体部材として機能する。軸受702により、シリンダ703がフレーム720に対して軸744の周りで回転することが可能になる。シリンダ704によって所定の位置に保持された軸受705により、内側シリンダ706もまたフレーム720に対して軸744の周りで回転することが可能になる。遊星歯車707が、内側706と歯車受708との間で動作する。
【0059】
システム710は、システム710の全体的なサイズに対して比較的大きな軸受を持った非常にコンパクトな形状要素を有する。比較的大きな軸受を有することは、著しく長い推定平均故障間隔を持つシステムを製造するのに役立つ。
【0060】
開示されたアクチュエータ・システム及び方法は、幾つかの目覚ましい利点をもたらした。開示されたアクチュエータ・システムは、現在の油圧アクチュエータよりも小さく、軽く、且つ高速である。開示されたアクチュエータ・システムは、必要なときにしか電力を使用せず、また、高い油圧を維持することと油圧弁の漏れを補償することとに関連する、継続的な浪費が無い。さらに、電子式アクチュエータ制御は、油圧弁で可能とされるのよりも高い帯域幅の制御を提供する。さらに、開示されたアクチュエータ・システム及び方法では、油圧アクチュエータで必要とされる複雑なシールが必要とされない。
【0061】
開示されたアクチュエータ・システム及び方法は、その新規且つ特有の構造のため、動作不能故障の間中、動作し続ける。開示されたシステムでは、動作不能故障への対処は、解放クラッチを必要とすることなく本質的に機能する。さらに、開示されたアクチュエータ・システムは、どちらか一方のアクチュエータでのオープン・アクチュエータ故障に対処すること可能な単一のブレーキで構成することができる。現在の電気機械式冗長アクチュエータは、どちらか一方のシステムでのオープン故障に対処するために、2つのブレーキを必要とする。
【0062】
さらに、開示されたアクチュエータ・システム及び方法は、各アクチュエータが通常、アクチュエータ・システムによって提供される動作のうちの半分しか提供しないので、本質的にアクチュエータの寿命を延長する。開示されたアクチュエータ・システムは、アクチュエータ動作不能故障又はアクチュエータ・オープン故障の間じゅう動作し続け、また、さらなる動作の後、しばらく経ってから、動作不良のアクチュエータを容易に交換することができる。開示されたアクチュエータ・システムはまた、動作中のシステムの力学機械的倍率の調整を可能とする新規な機能を提供する。さらに、開示されたシステムでは、バックラッシを最小限に抑えることができる動作モードが提供される。システムの2自由度特性により、アクチュエータの出力を変えることを必要とせずに動作中のシステムの自己テストを行うための機能が可能とされる。これらの利点及び多様な動作モードの全ては、開示されたシステムにおいて実時間で利用可能である。即ち、システムは、再構成のためにシャットダウン及び停止される必要が無い。
【0063】
開示されたアクチュエータ・システム及び方法の様々な代替的な実施例もまた、利用可能である。例えば、モータは、発電制動又は回生で動作するように構成することができる。モータ駆動装置、発電制動抵抗器、及び回生蓄電器を、開示された実施例と併用することができる。さらに、完全なサーボ・システムを形成するために、エンコーダ又はレゾルバなどの位置センサを、サーボ制御装置と一緒に枢動継手のうちの幾つかに追加することができる。軸受及び/又はモータの機能不全の検出及び診断を助長するために、熱センサを追加することができる。さらなる動作監視及びフィードバック信号を提供するために、出力軸又は駆動軸にトルク・センサを追加することができる。
【0064】
したがって、アクチュエータ・システム及び方法の目下好ましい形態について図示及び説明し、また、幾つかの修正について論じてきたが、本発明の範囲から逸脱することなしに様々な追加的な変更がなされうることを、当業者は容易に理解するであろう。