【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の一実施例に係るエンジン駆動作業機の吸気ダクト部を示す図である。
図1において、1は第1の吸気ダクト、2は第2の吸気ダクト、3は作業機のドア、4は作業機本体としての発電機、5は電装部品としてのバッテリーである。
【0026】
第1の吸気ダクト1は、
図2に示すように、天板1bと背板1cと底板1dと両側の側板1e,1eとで箱形のダクトを形成しており、背板1cの下部には、連通口1aが形成されている。そして、底板1dは、背板1c側からダクトの開口側に向かって低くなるように傾斜している。また、底板1dと側板1e,1eの開口側端縁には、第1の吸気ダクト1をドア3の内面に取り付けるための当接板1f,1f,1fが設けられている。
【0027】
そのような第1の吸気ダクト1を、ドア3の内面に取り付ける。ドア3の下部には、吸気口3aが設けられており、第1の吸気ダクト1は、その上部内側をドア3の吸気口3aに対向させて取り付けている。そのようにして、ドア3の吸気口3aと第1の吸気ダクト1の連通口1aとは段違いになって、上下方向に重ならないようにしている。
【0028】
図4は、エンジン駆動作業機のドアに第1の吸気ダクトを取り付けた状態を示す図である。符号1,3,3aは
図1,
図2のものに対応しており、3bは雨水溜り部、3cは排水口、3dは排水孔、3eはドア3のヒンジである。吸気口3aから雨水が浸入してきても、第1の吸気ダクト1の背板1cに当たって下に落ち、傾斜している底板1dにより、底板1dとドア3の内面との間に溜まり、排水口3cから外部に排出される。
【0029】
第2の吸気ダクト2は、
図3に示すように、載置台2bと背板2cと底板2dと両側の側板2e,2eとで箱形のダクトを形成しており、背板2cの上部には、空気導入口2aが形成されている。そして、底板2dは、背板2c側からダクトの開口側に向かって低くなるように傾斜している。また、底板2dと側板2e,2eの開口側端縁には、当接板2f,2f,2fが設けられていて、該当接板2f,2f,2fには、ドア3の内面に気密に当接するようにシール材2g,2g,2gが設けられている。そして、下側のシール材2gの左右両端部は切り取られていて、第2の吸気ダクト2の中に浸入して下部に溜まった雨水を下に排出させるための排水路2h,2hを設けている。
【0030】
また、側板2e,2eの下部には、この第2の吸気ダクト2を作業機のベース6に取り付けるための取付部2iが、左右両側に設けられている。さらに、載置台2bの周囲にはバッテリー5のような電装部品を安定的に設置するための周壁2jが設けられ、その左右両側には、バッテリー5をしっかり固定するためのバッテリー締付ボルト5aを係止する係止孔2k,2kを設けている。
【0031】
図5は、第2の吸気ダクトを取り付けた状態を示す図である。第2の吸気ダクト2は、その取付部2iを作業機のベース6にボルトで締め付けて取り付ける。載置台2bの上には電装部品としてのバッテリー5が載置され、バッテリー締付ボルト5aとバッテリー締付金具5bにより固定される。このようにして、吸気ダクト部の上に載せて配置することにより、電装部品を機内の空きスペースに無駄なく収納することができ、その分、作業機の小型化が可能になる。
【0032】
第2の吸気ダクト2は、作業機のドア3を開けているときは、
図5に示すように、取付
部2iにより支持されて、開口側とシール材2gをドア3側に向けて立っている。その際、左右両側の取付部2i,2iだけで支えられているが、強度不足になるおそれがある場合は、周壁2jと作業機内の適当な場所との間に支持材を設けて補強してもよい。
【0033】
この状態で、第1の吸気ダクト1が取り付けられたドア3を閉じると、
図1に示したように、第2の吸気ダクト2の中に第1の吸気ダクト1が配置された構造になる。そして、ドア3の吸気口3aと、第1の吸気ダクト1の連通口1aと、第2の吸気ダクト2の空気導入口2aとが、上下に互い違いの位置関係になる。
【0034】
この吸気ダクト部における冷却空気の流れは、
図6(A)に矢印で示すようになる。すなわち、吸気口3aから吸い込まれた空気は、第1の吸気ダクト1の連通口1aに向かって第1の吸気ダクト1内を下に向かい、連通口1aから第2の吸気ダクト2内に流れ込み、第2の吸気ダクト2の空気導入口2aに向かって第2の吸気ダクト2内を上に向かう。そして、空気導入口2aから作業機内に導入される。
【0035】
なお、この吸気ダクト部では、第2の吸気ダクト2の空気導入口2aの面積をドア3の吸気口3aの面積より大きくしている。その結果、空気導入口2aにおける空気の流速が落ちるため、空気の中に雨水が混じることがあっても、それらは第2の吸気ダクト2の中で下に落下していき、雨水が機内に吸い込まれるのを防ぐことができる。
【0036】
一方、作業機内から機外に漏れ出る騒音の流れは、
図6(B)に矢印で示すようになる。すなわち、機内で発生する騒音は、第2の吸気ダクト2の空気導入口2aから第2の吸気ダクト2内に入り、第1の吸気ダクト1の背板1cに当たって、第1の吸気ダクト1内には直接は通り抜けない。そして、第1の吸気ダクト1の背板1cに当たっ騒音は、減衰しながら第2の吸気ダクト2内で反射し、第1の吸気ダクト1の連通口1aから第1の吸気ダクト1内に入る。
【0037】
連通口1aから第1の吸気ダクト1内に入った騒音は、ドア3に当たって、機外には直接は通り抜けない。そして、ドア3に当たった騒音は、減衰しながら第1の吸気ダクト1内で反射し、ドア3の吸気口3aから機外に出る。このように、作業機の機内で発生する騒音は、第2の吸気ダクト2と第1の吸気ダクト1の中で何回も反射しながら減衰してから機外に出るので、機外に漏れ出る騒音は非常に小さくなる。
【0038】
次に、ドア3の吸気口3aから浸入する雨水の流れを説明する。
図7は、吸気ダクト部における雨水の流れを示す図である。
図7中、点線矢印で示すように、ドア3の吸気口3aに降り注ぐ雨水は、第1の吸気ダクト1に浸入するが、第1の吸気ダクト1の背板1cがあるため、ほとんどは第1の吸気ダクト1内を落下していく。そして、傾斜している底板1dにより、底板1dとドア3の内面との間に溜まり、ドア3に設けられた排水口3cから機外に排出される。
【0039】
第1の吸気ダクト1に浸入した雨水の一部は、連通口1aを通って第2の吸気ダクト2内に浸入するが、機内に開口している空気導入口2aは背板2cの上部にあるため、背板2cで機内への浸入は阻止され、ほとんど全てが第2の吸気ダクト2内を下に落下し、傾斜している底板2dにより、ドア3側に流れていき、下縁のシール材2gに形成された排水路2hを通ってドア3内面を下に流れ、ドア3下端部の雨水溜り部3bに溜まった後、雨水溜り部3bの底部に形成された排水孔3dから機外に排出される。このように、吸気ダクト部からの雨水の浸入を防止できるので、機内の各部、就中、電装部品に雨水がかかることがなくなる。
【0040】
なお、上記実施例では、第1の吸気ダクト1と第2の吸気ダクト2をドア3の内側に設
けたが、必ずしもそれに限定されず、ドア3以外の壁面に吸気口を設けて、そこに、第1の吸気ダクト1と第2の吸気ダクト2を設けてもよい。その際には、それらの下側に樋状の雨水溜り部を別途設ける必要がある。また、上記実施例では、第2の吸気ダクト2の上に載置台2bと周壁2jを設けて、そこに電装部品を載せるようにしたが、必ずしもそれに限定されず、第2の吸気ダクト2の上に載置台2bと周壁2jを設けずに、単なる天板として、そこに電装部品を載せないようにしてもよい。