特許第6203216号(P6203216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203216
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】エンジン駆動作業機の吸気ダクト部
(51)【国際特許分類】
   F02B 63/00 20060101AFI20170914BHJP
   F02B 77/13 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   F02B63/00 D
   F02B63/00 B
   F02B63/00 C
   F02B77/13 M
   F02B77/13 P
   F02B77/13 R
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-100838(P2015-100838)
(22)【出願日】2015年5月18日
(65)【公開番号】特開2016-217205(P2016-217205A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109819
【氏名又は名称】デンヨー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100963
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 陽男
(72)【発明者】
【氏名】尾鷲 真一
(72)【発明者】
【氏名】木村 匡宏
(72)【発明者】
【氏名】李 聖規
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−17504(JP,A)
【文献】 実開昭61−102368(JP,U)
【文献】 実開昭56−34026(JP,U)
【文献】 特開平3−258923(JP,A)
【文献】 特開平9−203326(JP,A)
【文献】 特開2012−57516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 5/06
F02B 63/00,77/13
H02K 5/10
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、該エンジンにより駆動される作業機本体とを筐体内に収納したエンジン駆動作業機の前記筐体内に冷却用の空気を取り入れるための吸気ダクト部であって、
前記筐体の壁面に設けた吸気口を内側から覆うように設けた第1の吸気ダクトと、該第1の吸気ダクトを覆うように設けた第2の吸気ダクトとを備え、前記第1の吸気ダクトは、箱形をしていて、その上端部内側を上記吸気口に対向させて設け、下端部には連通口を有し、前記第2の吸気ダクトは、箱形をしていて、その下端部内側を上記連通口に対向させて設け、上端部には作業機の機内側に開口する空気導入口を有することを特徴とするエンジン駆動作業機の吸気ダクト部。
【請求項2】
前記前記第2の吸気ダクトの上に電装部品を設置可能な載置台を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジン駆動作業機の吸気ダクト部。
【請求項3】
前記第1の吸気ダクトの底面が、前記筐体の壁面側が低くなるように傾斜しており、前記筐体の壁面の、前記底面が当接する部分に排水口を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン駆動作業機の吸気ダクト部。
【請求項4】
前記第2の吸気ダクトの底面が、前記筐体の壁面側が低くなるように傾斜しており、前記筐体の壁面と前記底面が当接する部分に、下側に開口する排水路を設け、その下方にある前記筐体の壁面に雨水溜り部を横方向に設け、該雨水溜り部の底面に排水孔を設けたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載のエンジン駆動作業機の吸気ダクト部。
【請求項5】
前記筐体の壁面がドア面であり、前記第2の吸気ダクトは、該ドアが閉じられたときに前記ドア面に対向する位置に取り付けられ、前記ドアと対向する周縁部にシール材を設けたことを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載のエンジン駆動作業機の吸気ダクト部。
【請求項6】
前記空気導入口の面積を、前記吸気口の面積より大きくしたことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載のエンジン駆動作業機の吸気ダクト部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外の工事現場等において使用される、エンジン駆動式の発電機,溶接機,コンプレッサのようなエンジン駆動作業機の吸気ダクト部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来のエンジン駆動作業機の外観図である。内部にはエンジン及び該エンジンにより駆動される発電機等の作業機本体が収納されている。そして、その筐体の側面には、エンジンや作業機本体の点検やメインテナンス等を行うためのドア10が設けられている。また、ドア10には、エンジンや作業機本体の冷却用空気を外部から取り入れるための吸気口11が設けられている。吸気口11から取り入れられた空気は、作業機内部を通りながらエンジンや作業機本体を冷却した後、排気口12から外部に排気される。
【0003】
このようなエンジン駆動作業機の筐体は、内部にエンジンが収納されているため、できるだけエンジンの騒音が外部に漏れ出ないようにする必要がある。また、降雨時に、雨水が吸気口11や排気口12から機内に浸入しないようにする必要がある。
【0004】
また、エンジン駆動作業機の機内には、DCリアクタやバッテリーのような各種電装部品が収納されているが、それらの冷却も必要であり、例えば、特許文献1には、エンジン駆動作業機内の電装部品を効率よく冷却する技術が示されている。
【0005】
図9は、電装部品を効率よく冷却するようにした従来のエンジン駆動作業機を示す図である。このエンジン駆動作業機は、エンジン駆動溶接機の場合で示しており、作業機本体としての溶接用発電機13と、それを駆動するエンジン14と、制御装置15とで主要部が構成されている。
【0006】
エンジン14の前端には、当該エンジン14により駆動されるエンジンファン16が設けられており、エンジン14が運転されると、エンジンファン16が回転して外部から冷却用の空気を吸い込んで、エンジン14及び溶接用発電機13の周囲に流し、それらの冷却を行う。冷却用の空気は、フロントパネルに設けた上部吸入口17と下部吸入口18から吸い込み、上部吸入口17から吸い込んだ空気は、上部ダクト19を通ってエンジン14の方に流れていく。また、下部吸入口18から吸い込んだ空気は、下部ダクト20及びベースカバー21に設けられた連通孔22を通って、上部ダクト19内に流れ込み、その後エンジン14の方に流れていく。
【0007】
そのような上部ダクト19内に、DCリアクタやバッテリーのような電装部品23を収納している。そのようにすることにより、上部ダクト19内に吸入される、エンジン14及び溶接用発電機13を冷却する前の、温度が上昇していない空気で電装部品23を冷却できるため、電装部品23の冷却を効率よく行うことができる。また、下部ダクト20にも冷却用の空気を吸い込むようにしているため、電装部品23を下面を含めて全体的に冷却できて、電装部品23の冷却をさらに効率よく行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】登録実用新案第3065852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来のエンジン駆動作業機の吸気ダクト部には、図8のものにおける吸気口11や、図9のものにおける上部吸入口17、下部吸入口18に雨が降り注ぐと、雨水が機内に浸入してしまい、特に、図9のものでは、電装部品23が雨水に濡れて故障の原因になるという問題点があった。また、図8のものにおける吸気口11や、図9のものにおける上部吸入口17、下部吸入口18は、機内から外部に直接開口しているため、エンジン音等、機内で発生する騒音が外部に漏れやすいという問題点もあった。
【0010】
本発明は、そのような問題点に鑑み、エンジン駆動作業機の吸気ダクト部から雨水の浸入を防止するとともに、漏れ出る騒音を少なくすることを目的とするものである。また、吸気ダクト部を利用して、電装部品を機内の空きスペースに無駄なく収納することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本願の請求項1にかかる発明は、エンジンと、該エンジンにより駆動される作業機本体とを筐体内に収納したエンジン駆動作業機の前記筐体内に冷却用の空気を取り入れるための吸気ダクト部であって、前記筐体の壁面に設けた吸気口を内側から覆うように設けた第1の吸気ダクトと、該第1の吸気ダクトを覆うように設けた第2の吸気ダクトとを備え、前記第1の吸気ダクトは、箱形をしていて、その上端部内側を上記吸気口に対向させて設け、下端部には連通口を有し、前記第2の吸気ダクトは、箱形をしていて、その下端部内側を上記連通口に対向させて設け、上端部には作業機の機内側に開口する空気導入口を有することを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記第2の吸気ダクトの上に電装部品を設置可能な載置台を設けたことを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1又は2にかかる発明において、前記第1の吸気ダクトの底面が、前記筐体の壁面側が低くなるように傾斜しており、前記筐体の壁面の、前記底面が当接する部分に排水口を設けたことを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1,2又は3にかかる発明において、前記第2の吸気ダクトの底面が、前記筐体の壁面側が低くなるように傾斜しており、前記筐体の壁面と前記底面が当接する部分に、下側に開口する排水路を設け、その下方にある前記筐体の壁面に雨水溜り部を横方向に設け、該雨水溜り部の底面に排水孔を設けたことを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1,2,3又は4にかかる発明において、前記筐体の壁面がドア面であり、前記第2の吸気ダクトは、該ドアが閉じられたときに前記ドア面に対向する位置に取り付けられ、前記ドアと対向する周縁部にシール材を設けたことを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1,2,3,4又は5にかかる発明において、前記空気導入口の面積を、前記吸気口の面積より大きくしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1にかかる発明においては、作業機の筐体の壁面に設けた吸気口を内側から覆うように第1の吸気ダクトを設け、さらに、該第1の吸気ダクトを覆うように第2の吸気ダクトを設け、前記第1の吸気ダクトは、箱形をしていて、その上端部内側を上記吸気口に対向させて設け、下端部には連通口を設け、また、前記第2の吸気ダクトは、箱形をしていて、その下端部内側を上記連通口に対向させて設け、上端部には作業機の機
内側に開口する空気導入口を設けた。その結果、作業機の筐体の壁面に設けた吸気口と、第1の吸気ダクト1の連通口と、第2の吸気ダクト2の空気導入口とが、上下に互い違いの位置関係になって、エンジン駆動作業機の吸気ダクト部から雨水の浸入を防止するとともに、漏れ出る騒音を少なくすることができる。
【0018】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるエンジン駆動作業機の吸気ダクト部において、前記第2の吸気ダクトの上に電装部品を設置可能な載置台を設けたので、上記のことに加えて、吸気ダクト部を利用して、電装部品を機内の空きスペースに無駄なく収納することができる。
【0019】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項1又は2にかかるエンジン駆動作業機の吸気ダクト部において、前記第1の吸気ダクトの底面が、前記筐体の壁面側が低くなるように傾斜しており、前記筐体の壁面の、前記底面が当接する部分に排水口を設けたので、上記のことに加えて、作業機の筐体の壁面に設けた吸気口から第1の吸気ダクトに浸入した雨水を、上記排水口から容易に排出させることができる。
【0020】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項1,2又は3にかかるエンジン駆動作業機の吸気ダクト部において、前記第2の吸気ダクトの底面が、前記筐体の壁面側が低くなるように傾斜しており、前記筐体の壁面と前記底面が当接する部分に、下側に開口する排水路を設け、その下方にある前記筐体の壁面に雨水溜り部を横方向に設け、該雨水溜り部の底面に排水孔を設けた。その結果、上記のことに加えて、作業機の筐体の壁面に設けた吸気口から第1の吸気ダクトの連通口を通って、雨水が第2の吸気ダクト内に浸入してきても、その雨水を、上記排水路,雨水溜り部,排水孔を通して、外部に容易に排出させることができる。
【0021】
また、請求項5にかかる発明においては、請求項1,2,3又は4にかかるエンジン駆動作業機の吸気ダクト部において、前記筐体の壁面がドア面であり、前記第2の吸気ダクトは、該ドアが閉じられたときに前記ドア面に対向する位置に取り付けられ、前記ドアと対向する周縁部にシール材を設けたので、上記のことに加えて、第1の吸気ダクトの取り付けと、第2の吸気ダクトの取り付けを個別に行うことができ、複雑な構造物を製作する必要がなくなる。
【0022】
また、請求項6にかかる発明においては、請求項1,2,3,4又は5にかかるエンジン駆動作業機の吸気ダクト部において、前記空気導入口の面積を、前記吸気口の面積より大きくしたので、空気導入口における空気の流速が落ちるため、上記のことに加えて、空気の中に雨水が混じることがあっても、それらは第2の吸気ダクト2の中で下に落下していき、雨水が機内に吸い込まれるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例に係るエンジン駆動作業機の吸気ダクト部を示す図である。
図2】第1の吸気ダクトを示す図である。
図3】第2の吸気ダクトを示す図である。
図4】エンジン駆動作業機のドアに第1の吸気ダクトを取り付けた状態を示す図である。
図5】第2の吸気ダクトを取り付けた状態を示す図である。
図6】吸気ダクト部における空気の流れ、及び騒音の伝わり方を示す図である。
図7】吸気ダクト部における雨水の流れを示す図である。
図8】従来のエンジン駆動作業機の外観図である。
図9】電装部品を効率よく冷却するようにした従来のエンジン駆動作業機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の一実施例に係るエンジン駆動作業機の吸気ダクト部を示す図である。図1において、1は第1の吸気ダクト、2は第2の吸気ダクト、3は作業機のドア、4は作業機本体としての発電機、5は電装部品としてのバッテリーである。
【0026】
第1の吸気ダクト1は、図2に示すように、天板1bと背板1cと底板1dと両側の側板1e,1eとで箱形のダクトを形成しており、背板1cの下部には、連通口1aが形成されている。そして、底板1dは、背板1c側からダクトの開口側に向かって低くなるように傾斜している。また、底板1dと側板1e,1eの開口側端縁には、第1の吸気ダクト1をドア3の内面に取り付けるための当接板1f,1f,1fが設けられている。
【0027】
そのような第1の吸気ダクト1を、ドア3の内面に取り付ける。ドア3の下部には、吸気口3aが設けられており、第1の吸気ダクト1は、その上部内側をドア3の吸気口3aに対向させて取り付けている。そのようにして、ドア3の吸気口3aと第1の吸気ダクト1の連通口1aとは段違いになって、上下方向に重ならないようにしている。
【0028】
図4は、エンジン駆動作業機のドアに第1の吸気ダクトを取り付けた状態を示す図である。符号1,3,3aは図1図2のものに対応しており、3bは雨水溜り部、3cは排水口、3dは排水孔、3eはドア3のヒンジである。吸気口3aから雨水が浸入してきても、第1の吸気ダクト1の背板1cに当たって下に落ち、傾斜している底板1dにより、底板1dとドア3の内面との間に溜まり、排水口3cから外部に排出される。
【0029】
第2の吸気ダクト2は、図3に示すように、載置台2bと背板2cと底板2dと両側の側板2e,2eとで箱形のダクトを形成しており、背板2cの上部には、空気導入口2aが形成されている。そして、底板2dは、背板2c側からダクトの開口側に向かって低くなるように傾斜している。また、底板2dと側板2e,2eの開口側端縁には、当接板2f,2f,2fが設けられていて、該当接板2f,2f,2fには、ドア3の内面に気密に当接するようにシール材2g,2g,2gが設けられている。そして、下側のシール材2gの左右両端部は切り取られていて、第2の吸気ダクト2の中に浸入して下部に溜まった雨水を下に排出させるための排水路2h,2hを設けている。
【0030】
また、側板2e,2eの下部には、この第2の吸気ダクト2を作業機のベース6に取り付けるための取付部2iが、左右両側に設けられている。さらに、載置台2bの周囲にはバッテリー5のような電装部品を安定的に設置するための周壁2jが設けられ、その左右両側には、バッテリー5をしっかり固定するためのバッテリー締付ボルト5aを係止する係止孔2k,2kを設けている。
【0031】
図5は、第2の吸気ダクトを取り付けた状態を示す図である。第2の吸気ダクト2は、その取付部2iを作業機のベース6にボルトで締め付けて取り付ける。載置台2bの上には電装部品としてのバッテリー5が載置され、バッテリー締付ボルト5aとバッテリー締付金具5bにより固定される。このようにして、吸気ダクト部の上に載せて配置することにより、電装部品を機内の空きスペースに無駄なく収納することができ、その分、作業機の小型化が可能になる。
【0032】
第2の吸気ダクト2は、作業機のドア3を開けているときは、図5に示すように、取付
部2iにより支持されて、開口側とシール材2gをドア3側に向けて立っている。その際、左右両側の取付部2i,2iだけで支えられているが、強度不足になるおそれがある場合は、周壁2jと作業機内の適当な場所との間に支持材を設けて補強してもよい。
【0033】
この状態で、第1の吸気ダクト1が取り付けられたドア3を閉じると、図1に示したように、第2の吸気ダクト2の中に第1の吸気ダクト1が配置された構造になる。そして、ドア3の吸気口3aと、第1の吸気ダクト1の連通口1aと、第2の吸気ダクト2の空気導入口2aとが、上下に互い違いの位置関係になる。
【0034】
この吸気ダクト部における冷却空気の流れは、図6(A)に矢印で示すようになる。すなわち、吸気口3aから吸い込まれた空気は、第1の吸気ダクト1の連通口1aに向かって第1の吸気ダクト1内を下に向かい、連通口1aから第2の吸気ダクト2内に流れ込み、第2の吸気ダクト2の空気導入口2aに向かって第2の吸気ダクト2内を上に向かう。そして、空気導入口2aから作業機内に導入される。
【0035】
なお、この吸気ダクト部では、第2の吸気ダクト2の空気導入口2aの面積をドア3の吸気口3aの面積より大きくしている。その結果、空気導入口2aにおける空気の流速が落ちるため、空気の中に雨水が混じることがあっても、それらは第2の吸気ダクト2の中で下に落下していき、雨水が機内に吸い込まれるのを防ぐことができる。
【0036】
一方、作業機内から機外に漏れ出る騒音の流れは、図6(B)に矢印で示すようになる。すなわち、機内で発生する騒音は、第2の吸気ダクト2の空気導入口2aから第2の吸気ダクト2内に入り、第1の吸気ダクト1の背板1cに当たって、第1の吸気ダクト1内には直接は通り抜けない。そして、第1の吸気ダクト1の背板1cに当たっ騒音は、減衰しながら第2の吸気ダクト2内で反射し、第1の吸気ダクト1の連通口1aから第1の吸気ダクト1内に入る。
【0037】
連通口1aから第1の吸気ダクト1内に入った騒音は、ドア3に当たって、機外には直接は通り抜けない。そして、ドア3に当たった騒音は、減衰しながら第1の吸気ダクト1内で反射し、ドア3の吸気口3aから機外に出る。このように、作業機の機内で発生する騒音は、第2の吸気ダクト2と第1の吸気ダクト1の中で何回も反射しながら減衰してから機外に出るので、機外に漏れ出る騒音は非常に小さくなる。
【0038】
次に、ドア3の吸気口3aから浸入する雨水の流れを説明する。図7は、吸気ダクト部における雨水の流れを示す図である。図7中、点線矢印で示すように、ドア3の吸気口3aに降り注ぐ雨水は、第1の吸気ダクト1に浸入するが、第1の吸気ダクト1の背板1cがあるため、ほとんどは第1の吸気ダクト1内を落下していく。そして、傾斜している底板1dにより、底板1dとドア3の内面との間に溜まり、ドア3に設けられた排水口3cから機外に排出される。
【0039】
第1の吸気ダクト1に浸入した雨水の一部は、連通口1aを通って第2の吸気ダクト2内に浸入するが、機内に開口している空気導入口2aは背板2cの上部にあるため、背板2cで機内への浸入は阻止され、ほとんど全てが第2の吸気ダクト2内を下に落下し、傾斜している底板2dにより、ドア3側に流れていき、下縁のシール材2gに形成された排水路2hを通ってドア3内面を下に流れ、ドア3下端部の雨水溜り部3bに溜まった後、雨水溜り部3bの底部に形成された排水孔3dから機外に排出される。このように、吸気ダクト部からの雨水の浸入を防止できるので、機内の各部、就中、電装部品に雨水がかかることがなくなる。
【0040】
なお、上記実施例では、第1の吸気ダクト1と第2の吸気ダクト2をドア3の内側に設
けたが、必ずしもそれに限定されず、ドア3以外の壁面に吸気口を設けて、そこに、第1の吸気ダクト1と第2の吸気ダクト2を設けてもよい。その際には、それらの下側に樋状の雨水溜り部を別途設ける必要がある。また、上記実施例では、第2の吸気ダクト2の上に載置台2bと周壁2jを設けて、そこに電装部品を載せるようにしたが、必ずしもそれに限定されず、第2の吸気ダクト2の上に載置台2bと周壁2jを設けずに、単なる天板として、そこに電装部品を載せないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 第1の吸気ダクト
1a 連通口
1b 天板
1c 背板
1d 底板
1e 側板
1f 当接板
2 第2の吸気ダクト
2a 空気導入口
2b 載置台
2c 背板
2d 底板
2e 側板
2f 当接板
2g シール材
2h 排水路
2i 取付部
2k 係止孔
3 ドア
3a 吸気口
3b 雨水溜り部
3c 排水口
3d 排水孔
4 発電機
5 バッテリー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9