特許第6203243号(P6203243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203243
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】採光用小窓部材
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/56 20060101AFI20170914BHJP
   E06B 3/54 20060101ALI20170914BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   E06B3/56
   E06B3/54 Z
   E06B5/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-255793(P2015-255793)
(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-119950(P2017-119950A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】小澤 忠司
【審査官】 村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−188844(JP,A)
【文献】 特開2006−257773(JP,A)
【文献】 特開平9−235956(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2339105(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0259971(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54−3/88
E06B 5/00
E06B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具の化粧板に接着剤を介して接着される接着部と、前記接着部に前記接着部よりも突出して設けられ、前記化粧板の採光窓に嵌め込まれる採光部とを有する採光用小窓部材であって、
前記接着部には、開始端側が幅狭で終端側に向かうにしたがって幅広となり、終端側の先端が採光用小窓部材の外周縁と連通して外部に開口している溝が複数形成されていることを特徴とする採光用小窓部材。
【請求項2】
建具の化粧板に接着剤を介して接着される接着部と、前記接着部に前記接着部よりも突出して設けられ、前記化粧板の採光窓に嵌め込まれる採光部とを有する採光用小窓部材であって、
前記接着部には、開始端側が浅く終端側に向かうにしたがって深くなり、終端側の先端が採光用小窓部材の外周縁と連通して外部に開口している溝が複数形成されていることを特徴とする採光用小窓部材。
【請求項3】
建具の化粧板に接着剤を介して接着される接着部と、前記接着部に前記接着部よりも突出して設けられ、前記化粧板の採光窓に嵌め込まれる複数の採光部とを有する採光用小窓部材であって、
前記接着部には、前記複数の採光部の間にて表面側と裏面側とを連通する1または複数の接着剤逃がし孔と、開始端側が幅狭で終端側に向かうにしたがって幅広となり、終端側の先端が採光用小窓部材の外周縁または前記接着剤逃がし孔と連通して外部に開口している複数の溝とが形成されていることを特徴とする採光用小窓部材。
【請求項4】
建具の化粧板に接着剤を介して接着される接着部と、前記接着部に前記接着部よりも突出して設けられ、前記化粧板の採光窓に嵌め込まれる複数の採光部とを有する採光用小窓部材であって、
前記接着部には、前記複数の採光部の間にて表面側と裏面側とを連通する1または複数の接着剤逃がし孔と、開始端側が浅く終端側に向かうにしたがって深くなり、終端側の先端が採光用小窓部材の外周縁または前記接着剤逃がし孔と連通して外部に開口している複数の溝とが形成されていることを特徴とする採光用小窓部材。
【請求項5】
前記各溝は、前記採光部を中心として放射状に延びていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の採光用小窓部材。
【請求項6】
前記採光部、前記接着部および前記溝が採光用小窓部材の表裏両面に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の採光用小窓部材。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に設けられた採光用の小窓に取り付けて用いられる採光用小窓部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建具の彩光用の小窓(採光窓)に採光用小窓部材を取り付ける場合のように、一の部材と他の部材とを固着させる際には、接着剤が用いられる。その際に使用する接着剤の量が少なすぎると、十分な接着力を得ることができず、被接着対象物に接着したはずの接着物が接着面から落下するといった問題がある。逆に、接着剤の量が多すぎると、接着剤が接着部位から食み出してしまい、外観上見苦しいという問題がある。
【0003】
そこで、このような問題を防止することを目的として、接着部に接着剤が食み出るのを防止するための溝を設けることが従来から行われている(例えば、特許文献1〜2参照)。このように接着面に溝を設ければ、接着面に塗布した接着剤の量が多すぎた場合でも、余分な接着剤を溝に逃がすことができるので、接着剤が接着部位から食み出すことを防止でき、外観不良を招くといった問題が生じることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−30332号公報(第4頁、図2
【特許文献2】特開2012−188844号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接着面に従来技術のような溝を予め設けておけば、接着剤の量が多すぎた場合であっても上述したように余分な接着剤を溝に逃がすことが出来るが、溝内に流入した接着剤が逃げる方向まで特定することはできなかった。そのため、特に光を透過するような採光用小窓部材を採光窓に接着する場合、溝内に流入した余分な接着剤が採光窓に向かって流れると、採光窓と採光用小窓部材との間の隙間から接着剤が食み出すおそれがあり、製品の外観が劣るだけでなく、商品価値も下げてしまう恐れがあった。
【0006】
本発明はかかる問題を解決すべくなされたものであり、接着剤の使用量が多過ぎた場合であっても、溝に流入した余分な接着剤を逃がす方向を決めることができ、採光窓から接着剤が外に食み出すのを防止できる採光用小窓部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明は、「建具1の化粧板3に接着剤Aを介して接着される接着部14と、接着部14に接着部14よりも突出して設けられ、化粧板3の採光窓4に嵌め込まれる採光部12とを有する採光用小窓部材10(10A)であって、接着部14には、開始端側が幅狭で終端側に向かうにしたがって幅広となり、終端側の先端が採光用小窓部材10(10A)の外周縁と連通して外部に開口している溝16が複数形成されている」ことを特徴とする採光用小窓部材10(10A)である。
【0008】
請求項2に記載した発明は、「建具1の化粧板3に接着剤Aを介して接着される接着部14と、接着部14に接着部14よりも突出して設けられ、化粧板3の採光窓4に嵌め込まれる採光部12とを有する採光用小窓部材10(10A)であって、接着部14には、開始端側が浅く終端側に向かうにしたがって深くなり、終端側の先端が採光用小窓部材10(10A)の外周縁と連通して外部に開口している溝16が複数形成されている」ことを特徴とする採光用小窓部材10(10A)である。
【0009】
請求項3に記載した発明は、複数の採光部12(12a,12b,12c・・・)が形成されている場合で「建具1の化粧板3に接着剤Aを介して接着される接着部14と、接着部14に接着部14よりも突出して設けられ、化粧板3の採光窓4に嵌め込まれる複数の採光部12(12a,12b,12c・・・)とを有する採光用小窓部材10(10B)であって、接着部14には、複数の採光部12(12a,12b,12c・・・)の間にて表面側と裏面側とを連通する1または複数の接着剤逃がし孔18と、開始端側が幅狭で終端側に向かうにしたがって幅広となり、終端側の先端が採光用小窓部材10(10B)の外周縁または接着剤逃がし孔18と連通して外部に開口している複数の溝16とが形成されている」ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載した発明は、「建具1の化粧板3に接着剤Aを介して接着される接着部14と、接着部14に接着部14よりも突出して設けられ、化粧板3の採光窓4に嵌め込まれる複数の採光部12(12a,12b,12c・・・)とを有する採光用小窓部材10(10B)であって、接着部14には、複数の採光部12(12a,12b,12c・・・)の間にて表面側と裏面側とを連通する1または複数の接着剤逃がし孔18と、開始端側が浅く終端側に向かうにしたがって深くなり、終端側の先端が採光用小窓部材10(10B)の外周縁または接着剤逃がし孔18と連通して外部に開口している複数の溝16とが形成されている」ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載した発明は、「各溝16は、採光部12を中心として放射状に延びている」ことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載した発明は、「採光部12、接着部14および溝16が採光用小窓部材10Cの表裏両面に形成されている」ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1または請求項2に記載の採光用小窓部材10(10A)によれば、各溝16の開始端側が幅狭で終端側が幅広となるように、或いは、各溝16の開始端側が浅く終端側が深くなるように形成されているので、接着部14に塗布した接着剤Aの量が多過ぎて溝16内に多量の接着剤Aが流れ込んだとしても、溝16内の接着剤Aは開始端側から終端側へと向かって一方向に流れ、溝16の終端側の先端開口(採光用小窓部材10(10A)の外周縁)から食み出ることとなる。
【0014】
ここで、採光用小窓部材10(10A)の外周縁は、化粧板3に隠れているので、溝16の先端開口から食み出た接着剤Aが外から見えるようなことはなく、製品の外観を損ねて商品価値が低下するようなこともない。
【0015】
請求項3または請求項4に記載の採光用小窓部材10(10B)によれば、各溝16の開始端側が幅狭で終端側が幅広となるように、或いは、各溝16の開始端側が浅く終端側が深くなるように形成されているので、接着部14に塗布した接着剤Aの量が多過ぎて溝16内に多量の接着剤Aが流れ込んだとしても、溝16内の接着剤Aは開始端側から終端側へと向かって一方向に流れることとなる。
【0016】
ここで、溝16の先端は、採光用小窓部材10(10B)の外周縁または接着剤逃がし孔18と連通して外方に開口しているので、溝16内を流れた余分な接着剤Aは、採光用小窓部材10(10B)の外周縁或いは接着剤逃がし孔18から外方に食み出すこととなる。
【0017】
ここで、採光用小窓部材10(10B)の外周縁や採光部12(12a,12b,12c・・・)間に形成した接着剤逃がし孔18は、化粧板3に隠れて外からは見えないので、採光用小窓部材10(10B)の外周縁或るいは接着剤逃がし孔18から食み出た接着剤Aが外から見えるようなことはなく、製品の外観を損ねて商品価値が低下するようなこともない。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、各溝16が採光部12を中心として放射状に延びているので、溝16内に流れ込んだ接着剤Aが溝16の上流側に位置する採光部12と採光窓4との間の隙間から食み出すようなことはない。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、建具1の採光窓4の形状が左右対称で、これに合わせて採光部12の意匠が左右対称であったとしても、1種類の採光用小窓部材10で表裏両方の化粧板3に取り付けることができるので、在庫管理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の一実施例の採光用小窓部材を示す斜視図である。
図2】(A)接着剤塗布前の採光用小窓部材を示す図である。(B)接着剤塗布後の採光用小窓部材を示す図である。
図3】採光用小窓部材を化粧板の背面側から取り付ける様子を示した図である。
図4】化粧板の背面側に採光用小窓部材を接着した状態を示す図である。
図5】第2実施例の採光用小窓部材を示す図である。
図6】建具の分解斜視図である。
図7】第3実施例の採光用小窓部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図面に従って説明する。図1は、本発明にかかる第1実施例の採光用小窓部材10を示す図である。
【0022】
本発明の採光用小窓部材10は、図2に示すような建具1の採光窓4に取り付けて使用されるものである。そこで、まず最初に建具1の構造について簡単に説明し、然る後、採光用小窓部材10について説明する。
【0023】
建具1は、矩形枠状の枠体2と、枠体2の表裏両面にそれぞれ設けられた矩形薄板状の化粧板3と、採光用小窓部材10とで大略構成されている。化粧板3には、採光窓4が形成されており、この採光窓4に採光用小窓部材10がその裏面側から接着剤Aで接着される。採光窓4の形状や大きさは、任意のものとすることができ、第1実施例(図1)では円形状、第2実施例(図4)では、動物の足型が採用されている。
【0024】
採光用小窓部材10(10A)は、全体がアクリルなどの透光性材料により形成された板状の部材で、その表面中央部分には、採光部12が設けられている。
【0025】
採光部12は、その外周形状が採光窓4の内周形状に合わせて形成されており、採光窓4に嵌めこむことができるよう、その周辺部分よりも表面側に突出して形成されている(換言すれば、後述する接着部14に接着部14よりも表面側に突出した採光部12が形成されていることになる)。
【0026】
採光部12の周囲には、接着部14が形成されている。接着部14は、化粧板3への接着面となる部分で、その表面が平滑面にて形成されている。
【0027】
接着部14には、採光部12を中心として放射状に延びる溝16が複数形成されている。各溝16の開始端(採光部12に近い側の端部)は、採光部12から隙間を開けて開始されており、溝16の終端(採光部12から遠い側の端部であり、採光用小窓部材10Aの外周側)は、採光用小窓部材10(10A)の外周縁と連通して外部に開口している。
【0028】
各溝16の幅は、図2に示すように、採光部12に近い開始端側が幅狭で、終端側に向かうにしたがって(採光部12から遠くなるにしたがって)幅広となるように形成されている。したがって、溝16の開始端側(採光部12に近い側)の幅x1と、終端側(採光部12から遠い採光用小窓部材10Aの外周縁側)の幅x2との間には、x1<x2の関係が成立している。これにより、後述するように溝16内に流入した接着剤Aが開始端側(採光部12に近い側)から終端側(採光用小窓部材10Aの外周側)へと一方向に流れることとなる。
【0029】
なお、溝16の形状は、溝16内に流入した接着剤Aが開始端側から終端側へと一方向に流れることができればどのようなものであってもよく、例えば、図3に示すように、各溝16の深さについて開始端側である採光部12に近い側が浅く、採光部12から遠ざかるにしたがって(終端側である採光用小窓部材10Aの外周側へ向かうにしたがって)深くなるように形成してもよい。この場合、開始端側(採光部12側)の深さy1と、終端側(採光部12から遠い側)の深さy2との間には、y1<y2の関係が成立している。もちろん、各溝16の幅と深さの両方を上述した関係に規定するようにしてもよい。
【0030】
以上のように構成された採光用小窓部材10Aを建具1に取り付ける際には、接着部14のうち、溝16が形成されていない部分に接着剤Aを塗布する(図2(B)参照)。そして、採光部12が採光窓4に嵌まり込むように採光用小窓部材10Aの位置決めを行い(図3参照)、採光用小窓部材10Aを化粧板3にその背面側から押し当てる。
【0031】
化粧板3に採光用小窓部材10Aを強く押し付けると、接着部14に塗布されている接着剤Aは、その押圧力により化粧板3と接着部14との間の隙間を縫うように接着部14の周辺に向かって押し広げられる。
【0032】
各接着部14の周辺に向かって押し広げられた接着剤Aが溝16に到達すると、そのまま溝16内に流れ込む。
【0033】
ここで、溝16は、その幅について開始端側(採光部12側)が幅狭で、採光部12から遠ざかるにしたがって幅広となるように形成されており、或いは、その深さについて、開始端側(採光部12側)が浅く、採光部12から遠ざかるにしたがって深くなるように形成されている。
【0034】
したがって、溝16内に大量の接着剤Aが流入したとしても、溝16内に流入した接着剤Aは、上流である開始端側(採光部12側)から下流である溝16の終端側(採光用小窓部材10Aの外周側)に向けて一方向に流れることとなる。
【0035】
溝16の先端(終端である採光用小窓部材10Aの外周側)は採光用小窓部材10Aの外周縁と連通して外部に開口しているので、溝16内に流入した大量の接着剤Aは、溝16の先端開口部から外に食み出ることとなる。
【0036】
ここで、採光用小窓部材10Aの外周縁は、化粧板3に隠れて外から見えることはない。したがって、溝16の先端開口部から外に食み出た接着剤Aが外観上視認されるようなことはない。
【0037】
また、溝16は採光部14を中心として放射状に形成されており、上述したように溝16内に流入した接着剤Aは、上流側である採光部12側(開始端側)から下流側である溝16の先端側(採光用小窓部材10Aの外周側。終端側)に向けて一方向に流れることから、その上流側である採光部12と採光窓4との間の隙間から接着剤Aが食み出るようなこともない。
【0038】
このように、本実施例の採光用小窓部材10Aによれば、溝16内に流れ込んだ余分な接着剤Aが上流側である採光部12側(開始端側)から下流側である溝16の先端(採光用小窓部材10Aの外周側。終端側)に向けて一方向に流れることが出来るため、化粧板3の表面側に接着剤Aが食み出て外部から視認できるようなことはなく、建具1の外観を損ねたり、商品価値を低下させるようなことがない。
【0039】
上述した実施例では、接着部14の中央に1つの採光部12を形成した例について説明したが、図5に示す第2実施例の採光用小窓部材10(10B)のように、複数の採光部12(12a,12b,12c・・・)を形成するようにしてもよい。
【0040】
図5に示す第2実施例では、採光用小窓部材10Bの表面側右下部分に第1の採光部12aが設けられており、第1の採光部12aの周囲に第2の採光部12b、第3の採光部12c、第4の採光部12dならびに第5の採光部12eが所定間隔を隔てて配置されており、全体として動物の足型を模した形状を呈している(建具1の化粧板3には、採光部12a〜12eに対応する形状の採光窓4が形成されている)。
【0041】
接着部14における複数の採光部12(12a,12b,12c・・・)の間には、採光用小窓部材10Bの表面側と裏面側とを連通する接着剤逃がし孔18が複数(本実施例では3つ)形成されている。なお、接着剤逃がし孔18の数は特に限定されるものではなく、1つでもいいし、2つでもいいし、4つ以上設けるようにしてもよく、必要に応じて適宜設定すればよい。
【0042】
また、接着部14には、複数の溝16が各採光部12a〜12eを中心として放射状に延びるように形成されている。各溝16の開始端(採光部12に近い側)は、採光部12(12a〜12e)から隙間を開けて開始されており、採光部12a〜12eから遠い側の終端は、採光用小窓部材10Bの外部と連通しているか、或いは、上記接着剤逃がし孔18と連通して外方に開口している。
【0043】
各溝16の幅は、開始端側(採光部12a〜12eに近い側)が幅狭で、採光部12a〜12eから遠ざかるにしたがって幅狭となっている(もちろん、第1実施例と同様、各溝16の深さを、開始端側(採光部12a〜12eに近い側)が浅く、採光部12a〜12eから遠ざかるにしたがって深くなるように形成してもよいし、両方を採用するようにしてもよい)。
【0044】
本実施例の採光用小窓部材10Bにおいても、第1実施例の場合と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、各接着部14の周辺に向かって押し広げられた接着剤Aが溝16内に流入すると、溝16内に流入した余分な接着剤Aは、上流である開始端側(採光部12(12a,12b,12c・・・)に近い側)から、下流側である終端側(溝16の先端開口側)に向けて一方向に流れることとなるので、各溝16の上流側である採光部12(12a,12b,12c・・・)と採光窓4との間の隙間から接着剤Aが食み出るようなことはない。
【0045】
また、各溝16の終端は、採光用小窓部材10Bの外周縁、或いは、接着剤逃がし孔18と連通して外部に開口しているので、採光用小窓部材10Bの外周縁或いは接着剤逃がし孔18から外に食み出た接着剤Aは化粧板3に隠れて外から見えることがない。
【0046】
なお、上述した第1実施例および第2実施例では、各溝16が採光部12を中心として放射状に形成されており、その始点が採光部12の近傍に位置するように設定されていたが、その終端が採光用小窓部材10(10A,10B)の外周縁或いは接着剤逃がし孔18と連通して外部に開口しておれば始点の位置は特に限定されるものではない。例えば、図示しないが、各溝16を接着部14の表面に縦横に形成するようにしてもよい。
【0047】
また、上述した第1実施例および第2実施例では、採光用小窓部材10(10A,10B)の片面に採光部12、接着部14ならびに溝16を形成するようにしたが、図5に示す第3実施例の採光用小窓部材10Cのように、採光用小窓部材10Cの表裏両面に採光部12、接着部14ならびに溝16を形成するようにしてもよい。この場合、表裏両面に形成される採光部12、接着部14ならびに溝16が、表裏で鏡像関係となるように設定される。
【0048】
本実施例の場合、採光部12の形状が左右対称の場合であっても、左右非対称の場合であっても、1種類の採光用小窓部材10Cを用意しておくだけで表裏両側の化粧板3に取り付けることが可能となり、在庫管理が簡単になるという利点がある。
【符号の説明】
【0049】
1:建具、2:枠体、3:化粧板、4:採光窓、10:採光用小窓部材、12:採光部、12a:第1の採光部、12b:第2の採光部、12c:第3の採光部、12d:第4の採光部、12e:第5の採光部、14:接着部、16:溝、18:接着剤逃がし孔、A:接着剤、x1:溝の開始端側の幅、x2:溝の終端側の幅、y1:溝の開始端側の深さ、y2:溝の終端側の深さ


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7