特許第6203248号(P6203248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アモーレパシフィックの特許一覧

特許6203248化粧料組成物と化粧料組成物用容器とを有する化粧品
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203248
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】化粧料組成物と化粧料組成物用容器とを有する化粧品
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20170914BHJP
   A45D 34/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   A45D34/04 535C
   A45D34/00 510Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-505653(P2015-505653)
(86)(22)【出願日】2013年4月12日
(65)【公表番号】特表2015-512742(P2015-512742A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】KR2013003110
(87)【国際公開番号】WO2013154399
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年3月25日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0038615
(32)【優先日】2012年4月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】株式会社アモーレパシフィック
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, ジョン サン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, キョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム, キョン ナム
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−509110(JP,A)
【文献】 特開2001−161436(JP,A)
【文献】 特表2007−508086(JP,A)
【文献】 特表2006−512957(JP,A)
【文献】 特開2002−253337(JP,A)
【文献】 特開2003−231197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料組成物と化粧料組成物用容器とを有する化粧品であって、
前記化粧料組成物用容器は、
化粧料組成物貯蔵用フォーム;および
前記フォームに隣接する化粧料組成物排出調節用フォームを含み、
前記化粧料組成物排出調節用フォームは、化粧料組成物貯蔵用フォームよりも容器の入口側に位置しており、
前記化粧料組成物貯蔵用フォームは、アスカー(ASKER)硬度計F型(Type F)基準で10〜60の硬度および30〜1000μmのセルサイズ(cell size)を有し、フォームの1インチあたりのポア数が65〜130(ppi)であり、
前記化粧料組成物貯蔵用フォームは、アスカー(ASKER)硬度計F型(Type F)基準で65〜110の硬度および1100〜2500μmのセルサイズ(cell size)を有し、フォームの1インチあたりのポア数が10〜60(ppi)である、化粧品
【請求項2】
前記化粧料組成物貯蔵用フォームおよび前記化粧料組成物排出調節用フォームのうち一つ以上は、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン‐ビニルアセテートブチルゴム(EVA)、ラテックス、シリコン、スチレン‐イソプレン‐スチレン(SIS)、スチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレン(SEBS)、ポリビニルアルコール(PVA)、ニトリルゴム、ブチルゴムおよびクロロプレンゴムからなる群より選択された一つ以上から製造されたフォームを含む、請求項1に記載の化粧
【請求項3】
前記化粧料組成物貯蔵用フォームおよび前記化粧料組成物排出調節用フォームは、被膜加工フォームまたはフロック(flock)加工フォームを含む、請求項1または2に記載の化粧
【請求項4】
前記フロック加工フォームは、コットン、アクリル、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル、シルクおよびレーヨンからなる群より選択された一つ以上によりフロック加工したフォームを含む、請求項に記載の化粧
【請求項5】
前記化粧料組成物は、10,000cps以下の粘度を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の化粧
【請求項6】
前記化粧料組成物は、乳液(fluid)である、請求項1〜のいずれか1項に記載の化粧
【請求項7】
前記化粧料組成物容器は、ポンプ、チューブ、スティックまたはスタンプ型容器を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の化粧
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォームを含む化粧料組成物容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、化粧料組成物にさっぱりとした使用感と優れた広がり性を付与しようとする場合、その粘度を低く調節する。しかし、低粘度化粧料組成物は、流通中あるいは長期保管中に容器内で分離が起こり、安定性が低いという問題点がある。そこで、低粘度化粧料組成物をチューブまたはポンプ容器に提供し、分離が起こった際には、使用者が直接振って混合して使用するようにした。
【0003】
しかし、振って使用することは煩わしく、容器内の化粧料組成物をすべて使用しきれない場合が多く、実用的な解決策と言えない。また、既存の化粧料組成物容器は、低粘度化粧料組成物の排出量調節が容易でなく、排出方向を予測しにくいという問題点があった。
【0004】
既存の貯蔵用フォームと排出調整用フォームの使用例を見ると、貯蔵用フォームの場合、内容物を吸湿、担持、排出させる目的でインクカートリッジに使用しており、化粧品貯蔵用フォームとして使用される。排出調節用フォームは、ポアサイズが大きく、空気あるいは水の透過を目的として使用され、自動車、エアコン、水パイプ内部の水浄化システム、アウトドア用品のクッション製品などに活用されている。従来、排出調節用フォームの化粧品への適用事例はなかった。
【0005】
一般的に、化粧料組成物が含浸された含浸材から化粧料組成物を一定量取って使用するためには、塗布具(たとえば、パフ)が必ず必要であった。すなわち、含浸材と塗布具がそれぞれ必要であり、一体化されて使用されていなかった。しかし、本発明者らは、含浸材と塗布具(パフ)の一体化を通じた使用感強化のための研究を進めていた中で、フォームの用途を排出調節用フォームと貯蔵用フォームとに区分し、このような用途を有する材質および物性に関する研究を継続的に進め、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許公開第10−2009−0100643号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、低粘度化粧料組成物も安定的に保管することができ、便利に使用できるようにする化粧料組成物容器、および前記化粧料組成物容器を含む化粧品を提供しようとする。本発明においては、貯蔵用フォームと排出調節用フォームの技術を化粧品に適用しようとしたものである。本発明において、貯蔵用フォームは内容物を吸湿、担持、放出する機能を有することができ、排出調節用フォームは低粘度の液状化粧料の排出をコントロールする機能を有することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記のような目的を解決するために、本発明は、化粧料組成物貯蔵用フォーム;および、化粧料組成物排出調節用フォームを含み、前記化粧料組成物貯蔵用フォームは、アスカー(ASKER)硬度計F型(Type F)基準で10〜60の硬度および30〜1000μmのセルサイズ(cell size)を有し、フォーム1インチあたりのポア数が65〜130(ppi)であり、前記化粧料組成物排出調節用フォームは、アスカー(ASKER)硬度計F型(Type F)基準で65〜110の硬度および1100〜2500μmのセルサイズ(cell size)を有し、フォーム1インチあたりのポア数が10〜60(ppi)である化粧料組成物容器を提供する。
【0009】
本発明の他の一側面は、化粧料組成物;および、前記化粧料組成物容器を含む化粧品を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る化粧料組成物容器は、低粘度化粧料組成物も安定的に担持および充填することができ、化粧料組成物を容易に排出することができるだけでなく、その排出方向も容易に予測することができ、化粧料組成物の便利な使用を可能にする。本発明に係る化粧品は、低粘度化粧料組成物および化粧料組成物容器を含むことにより、さっぱりとした使用感と優れた広がり性を有する化粧料組成物を使用することができるようにする。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、「フォーム(foam)」とは、ゴム、ビニル、ポリウレタンなどを発泡させた後に固化したもので、一般的にスポンジ形状を有する。
【0012】
本明細書において、「担体」とは、組成物を例として挙げることができる任意の物質または成分を担持することができるものを意味し、「媒介体」または「運搬体」とも表現されることがある。本明細書において、「担持能」とは、任意の物質または成分を入れて保持することができる能力を意味する。
【0013】
本明細書において、「充填能」とは、ウレタンフォームが化粧料組成物を充填することのできる能力を意味するもので、ウレタンフォームに一定量の化粧料組成物が充填されるのに所要される時間で表すことができる。本明細書において、「排出能」とは、化粧料組成物を担持したウレタンフォームから化粧料組成物を取るときに排出される化粧料組成物の量を意味し、多くも少なくもない、適切な量の化粧料組成物が排出されることが好ましい。
【0014】
本発明の一側面は、本発明は、化粧料組成物貯蔵用フォーム;および、化粧料組成物排出調節用フォームを含み、前記化粧料組成物貯蔵用フォームは、アスカー(ASKER)硬度計F型(Type F)基準で10〜60の硬度および30〜1000μmのセルサイズ(cell size)を有し、フォーム1インチあたりのポア数が65〜130(ppi)であり、前記化粧料組成物排出調節用フォームは、アスカー(ASKER)硬度計F型(Type F)基準で65〜110の硬度および1100〜2500μmのセルサイズ(cell size)を有し、フォーム1インチあたりのポア数が10〜60(ppi)である化粧料組成物容器を提供する。
【0015】
本発明に係る化粧料組成物容器は、貯蔵用フォームと排出調節用フォームを併せて含むことにより、化粧料組成物の使用感を低下させる過度な量の乳化剤を含まない低粘度化粧料組成物も安定的に担持および充填することができ、化粧料組成物を容易に排出することができるだけでなく、その排出方向も容易に予測することができ、化粧料組成物の便利な使用を可能にする。
【0016】
本発明において、貯蔵用フォームは、液状内容物を長期間担持し、その後、適切な力によって排出させる機能をし、排出調節用フォームは、内容物が円滑に透過、循環されるようにすることを目的とする。
【0017】
本発明において、排出調節用フォームを適用することに伴い、圧力で排出される内容物が適当な量および適当な速度で出されてよい。本発明の化粧料組成物排出調節用フォームは、それ自体が皮膚に直接触れて、化粧料組成物を塗布道具の役割をしてよい。本発明において、化粧料組成物排出調節用フォームは、耐候性、耐油性、耐光性、耐熱性、紫外線吸収剤など、化粧料組成物に対して膨張があまりされないスウェリング(swelling)防止の性質を有するものが好ましい。耐候性は、光、風雨、湿気、空気中の気体など自然環境の作用に耐え得る程度、耐光性は光に耐える程度、耐熱性は高温に耐える程度、を言う。本発明において、排出調節用フォームは、化粧料組成物を担持したウレタンフォームから、化粧料組成物を取るときに排出される化粧料組成物の量が適切に調節されるように排出能をコントロールする。
【0018】
本発明において、貯蔵用フォームは、耐久性を有するものが好ましい。「耐久性」とは、ウレタンフォームに化粧料組成物を担持させ、一定の温度下で一定時間放置したときに、ウレタンフォームが溶けたり裂けたり膨張したりせずに、その状態を維持することができる程度を意味する。
【0019】
本発明において、排出調節用フォームおよび貯蔵用フォームの形態は、特に限定されるものではないが、たとえば、円柱、三角柱、四角柱、菱形柱、星形柱、半円柱、半三角柱、反射角柱であってよく、排出調節用フォームおよび貯蔵用フォームの形態が同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0020】
本発明の一側面において、化粧料組成物容器は、ポンプ、チューブ、スティック(棒型)またはスタンプ型容器を含む。本発明の他の一側面において、ポンプ型容器は、内部が真空状態であるエアレスポンプ型容器を含む。
【0021】
本発明において、排出調節用フォームおよび貯蔵用フォームのサイズは、特に限定されるものではない。面積は、排出調節用フォームと貯蔵用フォームが同一であってもよく、排出調節用フォームが小さくても大きくてもよい。横の長さまたは縦の長さも、排出調節用フォームと貯蔵用フォームが同一であってもよく、排出調節用フォームが小さくても大きくてもよい。
【0022】
本発明において、排出調節用フォームおよび貯蔵用フォームは、収容される容器に適合した形態であってよい。
【0023】
本発明において、排出調節用フォームおよび貯蔵用フォームは、全部または一部が接しているのであれば、両フォームの位置について特に制限されない。たとえば、貯蔵用フォームの一側または両側の面に排出調節用フォームが載せられる形態で位置していてもよく、または、貯蔵用フォームの境界面から貯蔵用フォームの内部方向に5cm以下である貯蔵用フォームの内部側に、排出調節用フォームが陥入された形で配置していてもよい。また、これとは逆に、排出調節用フォームの境界面から排出調節フォームの内部方向に5cm以下である排出調節用フォームの内部側に、貯蔵用フォームが陥入された形態で位置してもよい。
【0024】
本発明の一側面において、フォームは、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン‐ビニルアセテートブチルゴム(EVA)、ラテックス、シリコン、スチレン‐イソプレン‐スチレン(SIS)、スチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレン(SEBS)、ポリビニルアルコール(PVA)、ニトリルゴム、ブチルゴムおよびクロロプレンゴム(ネオプレン:登録商標)からなる群より選択された1つ以上から製造されたフォームを含む。本発明の他の一側面において、シリコンフォームは、シリコン系エルラストモ(elastomer)から製造されたフォームを含む。
【0025】
本発明の一側面において、フォームは、被膜加工またはフロック(flock)加工したフォームを含む。本発明の他の一側面において、被膜加工フォームは、ゴム、ポリビニルまたはポリウレタンといった高分子フォームに膜処理したものであって、被膜加工前のフォームに比べて、一般的にセルのサイズが小さい。本発明の他の一側面において、フロック加工フォームは、高分子フォームに繊維を付着させたものである。前記繊維は、コットン、アクリル、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル、シルクおよびレーヨンからなる群より選択された一つ以上であってよく、具体的に、コットン、アクリル、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル、シルク、コットンとアクリル、コットンとレーヨン、ナイロンとポリエステルおよびコットン、アクリルとポリエステルを含む。
【0026】
本発明において、貯蔵用フォームは、エアレス、チューブ、スティック、スタンプ容器の構造に適用されるので、貯蔵用フォームの嵩が大きくなる。したがって、既存の硬度よりは低い硬度でなければならず、一定の圧力あるいはシェアによってスクイーズが容易であり、かつ排出がうまくなされる物性を有する。
【0027】
本発明の一側面において、化粧料組成物貯蔵用フォームは、アスカー(ASKER)硬度計F型(Type F)基準で、含浸前に10〜60、具体的には25〜60、より具体的には50〜60の硬度を有するフォームを含む。このとき、硬度は、化粧料組成物含浸前の硬度である。フォームの硬度が10未満で柔らかすぎると、化粧料組成物の耐久性に影響を与えることがあり、60を超えて硬すぎると、化粧料組成物が円滑に透過、循環されず、問題となることがある。
【0028】
本発明の一側面において、化粧料組成物排出調節用フォームは、アスカー(ASKER)硬度計F型(Type F)基準で、含浸前に65〜110、具体的には65〜90、より具体的には65〜75の硬度を有するフォームを含む。このとき、硬度は、化粧料組成物含浸前の硬度である。フォームの硬度が65未満で柔らかすぎると、化粧料組成物が過度に排出され、110を超えて硬すぎると、化粧料組成物が排出されにくくなる。
【0029】
本発明の一側面において、化粧料組成物貯蔵用フォームは、1インチあたりのポア数が65〜130、具体的には65〜100、より具体的には70〜80(ppi(pore per inch))であるフォームを含む。本明細書において、ポア数は、WI‐QA‐14(ASTM基準)を利用して、縦、横1インチの線上にあるポア数を正確に測定して平均を出した数値であってよい。1インチあたりのポア数が65未満であるフォームは、ポア数が少ないため低粘度化粧料組成物の流動性を制御することが難しく、適正量の低粘度化粧料組成物を含浸させることが困難であることがあり、1インチあたりのポア数が130を超えるフォームは、低粘度化粧料組成物を効果的に担持することができないため化粧料組成物を沈殿または分離させることがあり、組成物の排出を制御することが難しい。
【0030】
本発明の一側面において、化粧料組成物排出調節用フォームは、その1インチあたりのポア数が10〜60、具体的には50〜60(ppi(pore per inch))のフォームを含む。排出調節用フォームは、60ppiを超えると透過および循環が円滑でないため内容物がフォーム内部に留まる時間が多い。60ppi以下の排出調節用フォームを適用することにより、圧力により排出させる内容物が適当量、適正速度で排出され得る。
【0031】
本発明の一側面において、化粧料組成物貯蔵用フォームは、30〜1000μm、具体的には80μm〜1,000μm、より具体的には80μm〜500μmのセルサイズ(cell size)を有するフォームを含む。本発明の一側面において、「セルサイズ」は、光学顕微鏡(NIKON ECLIPSE 80i)で測定した数値であってよい。フォームが前記範囲のセルサイズを有する場合、発明の意図した効果を発現するのに適切であるだけでなく、化粧料組成物の安定性および安全性を維持させるにあたって効果的であり、また費用対効果の側面においても適切であり得る。
【0032】
本発明の一側面において、化粧料組成物排出調節用フォームは、1100〜2500μm、具体的には1600μm〜2,500μm、より具体的には2000μm〜2500μmのセルサイズ(cell size)を有するフォームを含む。
【0033】
本発明の一側面において、フォームはオープンセル(open cell)構造を有してよい。フォームがクローズドセル(closed cell)構造を有する場合、気泡がフォーム内に閉じ込められるため化粧料組成物が容易に含浸されないことがあり得るため、オープンセル(open cell)構造を有することが好ましい。
【0034】
本発明において、オープンセルは網目構造を言い、クローズドセルは気泡状に風船のようなフォームを有するものである。
【0035】
本発明の一側面に係る化粧料組成物容器は、内部の圧縮されていない貯蔵用フォームが化粧料組成物を貯蔵し、その後、外部から圧力が加わると貯蔵用フォームが圧縮されつつ化粧料組成物を排出する原理で作動してよい。このとき、化粧料組成物排出調節用フォームが化粧料組成物貯蔵用フォームよりも容器の入口側に位置して、貯蔵用フォームから排出される化粧料組成物の排出程度を調節することになる。すなわち、本発明の一側面に係る化粧料組成物容器は、貯蔵用フォームと排出調節用フォームをともに含むことにより、化粧料組成物の排出程度および排出方向を容易に調節することができる。本発明の他の一側面において、化粧料組成物容器は、必要に応じて2つ以上のフォーム、具体的に2つ〜5つのフォームを含んでよい。
【0036】
本発明の一側面に係る化粧料組成物容器は、低粘度の化粧料組成物、具体的には10,000cps以下、より具体的には5,000〜10,000cpsまたは1〜5,000cps、さらに具体的には6,000〜9,000cpsまたは1〜3,000cpsの粘度を有する化粧料組成物用として使用される場合に、既存の化粧料組成物容器に比べて高い安定性および優れた操作性を具現することができるという点で、その特徴がより明確に発現され得る。本明細書において、粘度は、粘度測定機器で測定してよく、たとえば、本明細書において、粘度はLVDVII+PROまたはRVDV III ULTRA、スピンドルNO.63またはスピンドルNO.64、速度5RPMまたは12RPMで測定した数値であるが、これに限定されない。
【0037】
本発明の一側面に係る化粧料組成物容器は、乳液(fluid)型のように流動性のある化粧料組成物も安定的に保管することができ、便利に使用できるようにする。本発明の他の一側面において、乳液型化粧料組成物は、乳液として存在する化粧料組成物をすべて含み、具体的には、ローション、エッセンス、液体メイクアップベース、液体ファンデーション、液体ブレミッシュバーム(Blemish Balm,BB)または液体の紫外線遮断剤を含むが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本発明の一側面は、化粧料組成物;および、前記化粧料組成物容器を含む化粧品を提供する。前記化粧品は、低粘度化粧料組成物、ならびにこれを安定的に担持することができるだけでなく適切に排出することができる化粧料組成物容器を含むことにより、さっぱりとした使用感と優れた広がり性を有する化粧料組成物を便利に使用できるようにする。
【0039】
以下、製造例、実施例、比較例および実験例を挙げつつ、本発明の構成および効果についてより具体的に説明する。しかし、以下の製造例、実施例、比較例および実験例は、本発明の理解を助けるために例示の目的としてのみ提供されたものであるにすぎず、本発明の範疇および範囲がそれらによって限定されるものではない。
【0040】
[製造例]化粧料組成物の製造
下記表1の組成のとおりに、5,000〜10,000cpsの粘度を有する化粧料組成物を製造した。具体的には、油相成分を溶かし、これにピグメントを投入して分散させた。別途に水相成分を混合してから、これを準備した油相成分に投入する方法で、5000〜10,000cpsの粘度を有する化粧料組成物を製造し、これを製造例とした。
【0041】
【表1】
【0042】
[実験例1]類型による化粧料組成物容器の効果評価
フォームを含む複数の容器に、前記製造例において製造した化粧料組成物を入れ、それぞれについて使い易さと組成物安定性、充填能、担持能および排出能を評価した。下記表から見られるように、実施例1〜4はいずれも貯蔵用フォームと排出調節用フォームを含むポンプ、チューブ、スティックおよびスタンプ型容器であり、比較例1は、フォームを含まないポンプ型容器であり、比較例2は、貯蔵用フォームのみを含むポンプ型容器である。実施例1〜4および比較例2は、貯蔵用フォームに化粧料組成物を担持させた。各容器に含まれている貯蔵用フォームの物性は下記表2のとおりであり、排出調節用フォームの物性は下記表3のとおりである。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
評価結果は、下記表4のとおりである。1インチあたりのポア数は、WI‐QA‐14(ASTM基準)を利用して、縦、横1インチ線上にあるポア数を正確に測定して平均値を出す方法で測定し、セルサイズは、光学顕微鏡(NIKON ECLIPSE 80i)で測定した。使い易さは、化粧品使用者20人を対象に使用させた後、設問により評価した。安定性は、温度40℃で1ヶ月保存時における分離の有無で判断した。充填能は、化粧料組成物30gを吸湿するのにかかる時間で測定した。担持能は、温度40℃での保管時における貯蔵用フォームからの分離の有無を観察した。排出能は、それぞれの容器に対する一般的な使用法での使用時における問題の有無を観察した。
【0046】
【表4】
【0047】
前記の結果から見られるように、比較例と比べて、実施例1〜4は、使い易さと組成物安定性、充填能、担持能および排出能に優れる。特に、実施例1〜4の容器は、排出調節用フォームを含むことにより、比較例に比べて排出能が顕著に優れる。すなわち、本発明に係る化粧料組成物容器は、従来の化粧料組成物容器と異なり、貯蔵用フォームと排出調節用フォームをともに含めることにより、低粘度化粧料組成物も安定的に担持および充填することができ、化粧料組成物を容易に排出することができるだけでなく、方向も容易に予測することができ、便利な使用を可能にすることが分かる。
【0048】
[実験例2]
粘度5,000〜10,000cpsの粘度を有する化粧料組成物を、一般チューブ容器と貯蔵用フォームと排出調節用フォームとを適用した容器に充填した後、15日後に排出程度を確認した。直径3φ、50mlのチューブ容器を使用し、貯蔵用フォームはアスカーF型硬度45、ポア数80ppi、排出調節用フォームはアスカーF型硬度80、ポア数45ppiを使用して、下記比較例3〜5および実施例5の化粧料組成物容器を準備した。前記貯蔵用フォームおよび排出調節用フォーム単独それぞれに圧力30パスカルをチューブに加えた時の排出量を測定した結果を、表5および表6に示した。圧力30パスカルで押されたとき、1回の排出量は0.15〜0.25が適当であり、それ未満の場合には使用可能な排出量が少なすぎ、それを超過する場合には多すぎて使用が不便である。比較例3〜5および実施例5の結果は、表7に示した。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
貯蔵用フォームと排出調節用フォームを適用しない場合(比較例3)、低粘度の内容物が外れた観察、排出時に一定量での排出調節が難しく、継続的に内容物が排出された。貯蔵用フォームのみを適用した場合(比較例4)、圧力30パスカルで圧力を加えても排出がなされなかった。排出調節用フォームのみを適用した場合(比較例5)、低粘度の内容物が分離して排出されることが観察され、貯蔵用フォームと排出調節用フォームを適用した実施例5では、適正量が排出されることを確認することができた。