(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記治療装置は、前記治療装置の前記本体部から遠位側の前記ガントリの端部に設けられる回転可能なコリメータをさらに含み、該回転可能なコリメータは、前記ガントリの軸方向範囲に垂直な軸を中心に回転するように動作可能であり、
前記装置位置特定モジュールが、前記立体画像のうちの患者の表面の前記3Dワイヤーメッシュコンピュータモデルの生成に利用されていない部分内における前記マーカーの位置に基づいて前記コリメータの相対回転を特定する動作ができるように前記マーカーのうちの少なくとも一部が前記治療装置の表面上に設けられている、請求項2に記載の治療システム。
前記装置位置特定モジュールは、患者に対する前記治療装置の相対位置を、所定の治療計画に基づく予測相対位置と比較するように動作可能である、請求項8に記載の治療システム。
前記装置位置特定モジュールは、患者に対する前記治療装置の相対位置を特定し、前記治療装置が前記患者又は前記機械式寝台と衝突する可能性がある場合は警告を発するように動作可能である、請求項2乃至9のいずれか一項に記載の治療システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
治療装置には複数の又は浮動の(floating)アイソセンターがあるため、放射線療法の利用のための治療計画(treatment plans)は増々複雑になっている。そのような複雑性の高まりにより治療ミスの可能性が高まる。従って、エラーが起きた場合はそれを検出し、そのようなエラーが検出された場合には治療を中断できるモニタリングシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、放射線療法を受けている患者をモニタリングするための患者モニタリングシステムが提供される。当該患者モニタリングシステムは、放射線療法を受けている患者の立体画像を得るように動作可能な立体カメラシステムと、患者の立体画像を処理し、モニタリングされている患者の表面のモデルを前記立体カメラシステムにより得られた前記立体画像の一部に対応する前記患者の外観に基づいて生成するように動作可能なモデリングユニットと、を含む。当該患者モニタリングシステムは、前記立体画像のうちのモニタリングされている患者の表面のモデルの生成に利用されていない部分に対応する画像データを処理して、前記患者の治療に関するさらなる情報を特定するように構成されている。
【0009】
前記患者モニタリングシステムは、前記立体カメラシステムによって得られた立体画像を処理し、該立体画像のうちのモニタリングされている患者の表面のモデルの生成に利用されていない部分を利用して、患者に対する治療装置の相対位置(relative positioning)を特定するように動作可能な装置位置特定モジュールを含み得る。
【0010】
前記患者モニタリングシステムは治療システムに組み込まれ得る。当該治療システムは、患者を治療するための治療装置と、前記治療装置に対して患者を配置するための機械式寝台とを含む。そのようなシステムでは、前記治療装置の表面に複数のマーカーが取り付けられ、前記患者モニタリングシステムは、前記立体画像のうちの患者の表面のモデルの生成に利用されていない部分に含まれる前記マーカーの画像を処理して、患者に対する前記治療装置の相対位置を特定するように構成され得る。
【0011】
前記治療装置は、前記治療装置の本体部に対して軸を中心に回転するように動作可能なガントリを含み得る。そのようなシステムでは、前記装置位置特定モジュールが、前記立体画像のうちの患者の表面のモデルの生成に利用されていない部分内における前記マーカーの位置に基づいて前記軸を中心とした前記ガントリの相対回転を特定する動作ができるように前記マーカーのうちの少なくとも一部が前記治療装置の表面上に設けられ得る。
【0012】
一部のシステムでは、前記治療装置は、前記治療装置の前記本体部から遠位側の前記ガントリの端部に設けられた回転可能なコリメータをさらに含み得る。該回転可能なコリメータは、前記ガントリの軸方向範囲に垂直な軸を中心に回転するように動作可能である。そのようなシステムでは、前記装置位置特定モジュールが、前記立体画像のうちの患者の表面のモデルの生成に利用されていない部分内における前記マーカーの位置に基づいて前記コリメータの相対回転を特定する動作ができるように前記マーカーのうちの少なくとも一部が前記治療装置の表面上に設けられ得る。一部の実施形態では、前記治療装置の表面上に複数のグループで設けられたマーカーによって実現され得る。前記装置位置特定モジュールは、前記立体画像のうちの患者の表面のモデルの生成に利用されていない部分内における前記マーカーの1つ以上のグループの存在に基づいて回転の程度を特定するように動作可能であり得る。
【0013】
一部の実施形態では、1つ以上のマーカーが前記機械式寝台に取り付けられ、前記装置位置特定モジュールは、前記立体画像のうちの患者の表面のモデルの生成に利用されていない部分内における前記機械式寝台に取り付けられた前記1つ以上のマーカーの位置に基づいて前記治療装置の位置に対する前記機械式寝台の相対位置を特定するように動作可能であり得る。
【0014】
マーカーが前記治療装置又は前記機械式寝台に取り付けられている場合、前記マーカーは逆反射マーカーを含み、前記立体カメラシステムは前記マーカーを照らすための光源を含み得る。そのような実施形態では、前記装置位置特定モジュールは、閾値化動作を行うことにより、前記立体画像のうちの患者の表面のモデルの生成に利用されておらず且つ前記マーカーに対応する部分を特定するように構成され得る。
【0015】
一部の実施形態では、利用されるマーカーは球状のマーカーを含み、前記装置位置特定モジュールは、前記立体画像内の前記マーカーの円形の表示を特定することにより、前記立体画像のうちの患者の表面のモデルの生成に利用されておらず且つ前記マーカーに対応する部分を特定するように構成され得る。
【0016】
前記立体カメラシステムは、前記機械式寝台上に横たわり放射線療法を受けている患者の一連の画像を得るように動作可能であり得る。そのようなシステムでは、前記装置位置特定モジュールは、前記一連の画像内における前記マーカーの検出位置を利用して患者に対する前記治療装置の相対位置を追跡するように構成され得る。
【0017】
患者に対する治療装置の相対位置を特定した後、前記モニタリングシステムは、患者に対する前記治療装置の相対位置を、所定の治療計画に基づく予測相対位置と比較し、治療装置の検出位置が治療計画に基づく予測位置と合致しない場合は警告を発するか又は治療を中断し得る。
【0018】
治療装置及び患者の位置が治療計画に対応するか確認することに加えて、前記システムはさらに患者に対する前記治療装置の相対位置を特定し、前記治療装置が前記患者又は前記機械式寝台と衝突する可能性がある場合は警告を発し得る。
【0019】
一部の実施形態では、患者によって着用され、機械式寝台に取り付けられるフェイスマスクを用いることで患者の配置が容易になり得る。そのような実施形態では、特徴的なマーキングを有するフェイスマスクを提供することで正しいフェイスマスクの使用が判断され得る。その後、患者モニタリングシステムは、前記立体画像のうちの患者の表面のモデルの生成に利用されていない部分に対応する画像データを処理して、フェイスマスク上の特徴的なマーキングの存在を検出し、該マーキングが治療を受けている患者について予測されるマーキングと対応しない場合は警告を発し得る。
【0020】
マーカーが取り付けられた治療装置及び機械式寝台の提供により、所定の治療計画が順守されているかのチェック及び確認が容易になることに加えて、立体カメラシステムのキャリブレーションも容易になる。特定のモニタリングでは、治療装置に取り付けられたマーカーの位置により、治療装置の回転の面を確立できるため、治療装置の動きの軸に対する患者の位置をモデリングするための適切な座標系を確立できる。それに加えて、機械式寝台上のマーカーの動きをモニタリングすることにより、患者をモニタリングする関心領域のための座標を設計できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る患者モニタ装置の概略斜視図である。この実施形態によれば、配線(図示せず)を介してコンピュータ14に接続された一式の立体カメラ10が設けられている。コンピュータ14は、放射線治療を行うための線形加速器等の治療装置16にも接続されている。機械式寝台(mechanical couch)18が治療装置の一部として設けられている。患者20は治療の間に機械式寝台18の上に横たわる。治療装置16及び機械式寝台18は、コンピュータ14の制御の下で機械式寝台18と治療装置16との相対位置が図中の寝台近くの矢印で示すように水平方向、垂直方向、縦方向に、また回転的に変更され得るように構成されている。
【0023】
治療装置16は本体部22を含み、本体部22からガントリ24が延びている。治療装置16の本体部22から遠位側のガントリ24の端部にコリメータ26が設けられている。患者20に対して照射される放射線の角度を変更するために、ガントリ24は、コンピュータ14の制御の下で、治療装置16の本体部22の中心を通る軸を中心に回転するように構成されている。それに加えて、治療装置による照射の位置も、ガントリ24の端部にあるコリメータ26を回転させることで変更され得る。
【0024】
使用時、立体カメラ10は機械式寝台18の上に横たわる患者20のビデオ画像を得る。これらのビデオ画像は配線を介してコンピュータ14に送られる。そして、コンピュータ14は患者20のこれらの画像を処理して、患者の表面のモデルを生成する。このモデルは、以前の治療セッションの間に生成された患者のモデルと比較される。患者を配置する際に、現在のモデル表面と以前のセッションで得られたターゲットモデル表面との差異が特定され、それらの表面をマッチングさせるのに必要な配置指示(positioning instructions)を決定し、それらの指示が機械式寝台18に送られる。その後、初期設定からずれがあれば治療の間にそれを特定することができ、係るずれが閾値よりも大きい場合、コンピュータ14は治療装置16に指示を送り、患者20が再配置されるまで治療を中断させる。
【0025】
出願人は、一式の立体カメラシステム10の視野のうちで該カメラシステムを使用してモニタリング可能な患者20の表面が占める割合は比較的わずかでしかないと認識している。そのため、例えば患者をモニタリングする場合、患者の上部胴体の一部のみ又は全体がモニタリングされ得る。何故なら、患者の配置や患者の動き又は不規則呼吸等の検出には係る領域のマッチング及びモニタリングを行うことで十分だからである。実際に、処理を限定して、限られた表面領域のみを表す表面データを生成するようにすることが好ましい。何故なら、モニタリングする表面領域を限定することで、画像データを表面モデルに変換するのに必要な処理の量が少なくなるからである。
【0026】
また、患者の配置のモニタリングには、立体カメラで撮像した画像データの全てを必要しないため、画像データの他の部分を他の目的のために使うことができることも出願人は認識している。
【0027】
より具体的には、
図1において破線で示すように、患者20のモニタリングされている部分に加えて、治療装置16及び機械式寝台18の一部がカメラシステム10の視野内にある。その認識に基づき、立体カメラシステム10が撮像した画像データを、治療の間の治療装置16及び機械式寝台18の位置に関するリアルタイム情報の収集に利用でき得ることが出願人には分かった。そして、そのようなデータ収集は、治療装置16及び機械式寝台18が患者20に対して相対的に配置されているかを確認するのに利用することができるため、プログラム化した照射プログラムに従って患者20が放射線で照射される。
【0028】
後でより詳細に説明するように、治療装置の本体部、ガントリ24、コリメータ26及び寝台18の表面のそれぞれに取り付けられた複数のマーカー30〜40は、治療装置16と患者20との相対位置のモニタリングを容易にする。適切な光源と共に立体カメラシステム10を設け、マーカーを反射性にすることで、閾値化動作(thresholding operation)を行うことにより、画像のうちのマーカー30〜40に対応する部分を特定することができるようになる。これにより、画像のうちのマーカー30〜40に対応する部分を迅速に特定することが可能になる。画像のうちのマーカー30〜40に対応する部分を特定するための画像処理は、治療装置16及び機械式寝台18の予測位置又はモニタ位置を用いて、マーカー30〜40が見えることが予想される画像の予測部分を特定することによってさらに容易にできる。
【0029】
治療装置16と機械式寝台18との相対位置や機械式寝台18上の患者20の位置によって、治療装置16及び機械式寝台18の様々な部分が異なる時に見えなくなることを考慮に入れてマーカー30〜40の配置及び構成を選択する必要がある。それに加えて、反射マーカーを利用する場合、立体カメラ10とマーカー30〜40との相対位置を考慮に入れる必要がある。
【0030】
マーカー30〜40の好適な構成の1つは、マーカー30〜40を下記のように設置することである。
【0031】
治療装置の本体部に対するガントリ24の回転を追跡するために、マーカー30〜33のうち2つのマーカー30、31(マーカー31は
図1には図示していないが、ガントリ24の遠位側の、マーカー30に対応する対称位置にある)をガントリヘッドに配置し、2つのマーカー32、33を装置16の本体部22の近くの治療装置のボディーに配置することにより、正方形又は長方形の4つの角が特定される。この4つのマーカー30〜33の構成により、
図1に図示するような治療装置16の反対側に設置された立体カメラシステム10の視野内に3つ以上のマーカーが常に存在することが確実になる。立体カメラシステム10のカメラのカメラ面がガントリ24の回転の面と実質的に整合している
図1に図示のような構成では、ガントリ24の回転を追跡するのに使用されるマーカー30〜33は、カメラシステム10が観察する治療装置の表面に張り付けられた反射材の一部であり得る。立体カメラシステム10のカメラのカメラ面とガントリ24の回転の面とが整合している場合、ガントリ24の回転によって変化するのはマーカー30〜33の見かけ位置のみであり、マーカー30〜33の見かけの大きさ又は形状は変わらないため、追跡が簡素化される。
【0032】
ガントリ24の回転をモニタリングする際の精度を最大限高めるためには、マーカー30〜33は、立体カメラシステム10により得られる画像内にマーカー30〜33が現れた際にマーカー30〜33の中心を容易に求めることができるような形状及び外観を好ましくは有するべきである。これは、本実施形態では円形のマーカーを利用し、画像データを処理して、撮像したマーカー30〜33の中心を特定することにより実現される。
【0033】
コリメータ26については、立体カメラシステム10のカメラのカメラ面がガントリ24の回転の面と実質的に整合している場合、コリメータ26は、立体カメラシステム10のカメラのカメラ面に対して直角な面内で回転するように構成される。これは、コリメータ26の回転に伴って、コリメータ26の様々な部分が立体カメラシステム10の視野内に示されることを意味する。そのため、コリメータ26の回転を追跡するためには、コリメータ26上に存在するマーカー34〜38を特徴的なパターン(distinctive patterns)のグループに分けて、特定のパターン又はマーカー34〜38の有無によってコリメータ26の回転位置を推測できるようにするのが好ましい。そのため、例えばマーカー34〜38を、コリメータ26の外周の周りに等間隔に配置された、僅かにパターンが異なる4つのグループに分けて、例えば、1つのグループは1つのマーカー38で構成され(
図1には図示していないが
図5A及び
図5Bには図示)、1つのグループは互いに直接隣接した2つのマーカー36、37で構成され、別のグループは相隔たった2つのマーカー34、35で構成され、第3のグループは、別のグループのうちの1つに対してコリメータ26の反対側にある3つのマーカー(図示せず)で構成されるというように配置され得る。図示の実施形態では、前記反対側はコリメータ26の相隔たったマーカー34、35の対から遠位の反対側であり得る。このように、マーカーのうちの2つのグループが見えていればいつでもグループの特性(identity)を特定でき、見えているマーカーの見かけ位置及び見えているグループの特性からコリメータの回転位置が推測される。
【0034】
ガントリ24の回転を追跡するためのマーカー30〜33と同様に、マーカー34〜38も、コリメータ26の回転を追跡するためのマーカー34〜38の中心を容易に求めることができるような形状及び外観を好ましくは有するべきである。コリメータ26の回転により、立体カメラシステム10のカメラのカメラ面に対するコリメータ26上のマーカー34〜38の位置、距離及び向きが変化するだけでなく、コリメータ26の回転に伴ってマーカー34〜38の形状及び外観が変化する。この変化は球状のマーカーを利用することで低減できる。何故なら、変化するのはマーカーの見かけの大きさだけで見かけの形状は変化しないため、マーカーの中心の位置の特定が簡素化される。
【0035】
患者20のうちの立体カメラシステム10により撮像される部分の近く又は付近に位置する一対のマーカー39、40を用いて機械式寝台18の位置及び向きを追跡することができる。一般的な治療システムには、治療目的のために機械式寝台18に付加的な器具を取り付ける能力があるのが一般的であり、好適な追跡マーカー39、40を同じように取り付けることができる。好適な位置としては、機械式寝台18のベッドの表面の患者の頭が置かれる部分の近傍を含む(40)。あるいは、マーカーは、患者20の撮像されている部分の近くの寝台のベッドの端部に取り付けられ得る(39)。
【0036】
コリメータ26の回転を追跡するためのマーカーの場合と同様に、機械式寝台18の位置及び向きを追跡するのに球状のマーカーを利用することが好ましい。何故なら、寝台18の位置及び向きが変化するとマーカー39、40と立体カメラシステム10のカメラのカメラ面との相対向き及び距離が変化するからである。
【0037】
患者20の位置並びに治療装置16及び機械式寝台18の向き及び動きを同じ立体カメラ10を使ってモニタリングすることにより数多くの利点が得られる。
【0038】
先ず、治療の間に患者20の位置及び治療装置16の位置の双方をモニタリングすることにより、放射線の適用を治療計画とリアルタイムで比較することができる。治療計画に従った治療装置16のタイミング及び動きは、治療装置のアイソセンター(即ち、治療装置16により照射される固定点であり、そこを中心に治療装置16が回転すると考えらえる点)に関連して決定されることが多い。理論的には機械式寝台18によって患者20内の腫瘍がそのアイソセンターに配置され、治療により腫瘍が治療の過程で様々な角度で照射される。しかしながら、最終的には、アイソセンターの照射よりも腫瘍の照射が最終的には重要であり、患者20の表面及び治療装置16の動きをモニタリングすることにより、腫瘍部位の実際の照射をモニタリングすることができる。
【0039】
患者20の検出された表面に対する位置の観点で腫瘍部位の照射の実際の履歴を確認できることに加えて、上述したシステムは品質管理の向上及び立体カメラシステム10の精度の確認も容易にする。そのため、例えばシステムのキャリブレーションを行う場合にマーカー39、40を機械式寝台18に取り付けるように構成することで、機械式寝台18を、ひいては取り付けたマーカー39、40を所定の方向に所定の距離動かすことができる。これにより、モニタリングされている患者20の表面を後で含む可能性がある広い領域に亘って立体カメラシステム10のキャリブレーションを行うことができるため、この関心の領域全体に亘って立体カメラシステム10を正確にキャリブレーションできる。
【0040】
立体カメラ10のキャリブレーションを行う場合、立体カメラ10の座標系が、治療装置16及び機械式寝台18用に治療計画が用いる座標系と合致することも望ましい。1つの方法として、これは機械式寝台18の表面上の既知の範囲のキャリブレーションモデルをモニタリングし、次いで横方向、水平方向及び垂直方向に寝台を動かして寝台の動きの軸に対応する軸を決定することによって実現される。治療装置16の動きのモニタリング自体は、治療装置が動作するよう配置された座標系のさらなる確認を提供する。機械式寝台18とは対照的に、治療装置16は通常固定点を中心に回転するようにしか構成されていない。これは、治療装置に取り付けられたマーカーの位置のモニタリングにより、マーカー30〜33を含む回転の面(ひいては寝台の動作のための座標系に対応)が特定されるはずであることを意味する。この追加の情報は、立体カメラ10のための座標系のキャリブレーションにも重ねて利用することができ、測定したマーカーの動きの面の変化を検出及び調査できる。機械式寝台18の動作をモニタリングする場合と同様に、そのようなキャリブレーション及び確認は比較的大きな領域について判断できるため、キャリブレーションの信頼性を高めることができる。
【0041】
図2は、
図1の患者モニタ装置のカメラシステム10の前面斜視図である。
【0042】
この実施形態では、カメラシステム10は筐体41を含む。筐体41はヒンジ44を介してブラケット42に連結されている。ブラケット42は、カメラシステム10の治療室の天井の固定位置への取り付けを可能にし、他方でヒンジ44は、カメラシステム10を機械式寝台18上の患者20を観察するように構成するために、ブラケット42に対するカメラシステム10の向きの方向付けを可能にする。
【0043】
筐体41の前面48の両側に一対のレンズ46が設置されている。これらのレンズ46は、筐体41内に収容されたCMOSアクティブピクセルセンサ又は電荷結合素子等の画像検出器(図示せず)の前に位置している。画像検出器はレンズ46を用いて患者20の画像を撮像するためにレンズ46の後ろ側に配置されている。
【0044】
一式のLEDライト50が各レンズ46の外周の外側の周りに配置されている。LEDライト50は、カメラシステム10の視界、とりわけ治療装置16及び機械式寝台18に取り付けられた逆反射マーカー30〜40を照らすように方向付けられている。
【0045】
2つのレンズ46の間の筐体41の前面48の真ん中にスペックル投射器(speckle projector)52が設けられている。スペックル投射器52は、2つの画像検出器によって患者20の画像が撮像された場合に撮像された画像の対応部分を区別できるように、非反復の赤外光のスペックルパターン(speckled pattern)で患者20を照らすように構成されている。そのために、スペックル投射器はLED等の光源及びランダムなスペックルパターンが印刷されたフィルムを含む。使用時、光源からの光がフィルムを介して投射され、その結果、明暗領域からなるパターンが患者20の表面上に投射される。投射されたスペックルパターンの画像がカメラシステム10によって撮像されると、それらの画像を処理して患者の表面上の一式の点の位置を求めることができるため、患者の配置をモニタリングすることができる。
【0046】
図3は、
図1の患者モニタ装置のコンピュータ14の概略ブロック図である。
【0047】
コンピュータ14は立体カメラ10から受信した画像を処理するために、ディスク54上で提供されるソフトウエアにより又は通信ネットワークを通じて電子信号55を受信することのいずれかにより複数の機能モジュール56〜66に分かれるように構成されている。
図3に図示の機能モジュール56〜66は、本発明の作用の理解を助けるために例示したに過ぎず、特定の実施形態ではソフトウエアのソースコードのコードのブロックに直接対応しない場合がある。他の実施形態では、図示の機能モジュール56〜66によって行われる機能は異なるモジュールの間で分かれるか又は同じモジュールを異なる機能のために再利用することで行われ得る。
【0048】
この実施形態では、機能モジュール56〜66は、立体カメラ10から受信した画像を処理するための3D位置特定モジュール(3D position determination module)56、3D位置特定モジュール56により生成されたデータを処理し、該データを撮像したコンピュータ表面の3Dワイヤーメッシュモデルに変換するためのモデル生成モジュール58、撮像した表面の3Dワイヤーメッシュモデルを保存するための生成モデル格納部60、以前に生成した3Dワイヤーメッシュモデルを保存するためのターゲットモデル格納部62、生成したモデルをターゲットモデルに整合するのに必要な回転と並進(rotations and translations)を求めるためのマッチングモジュール64及び装置位置特定モジュール66を含む。
【0049】
使用時、立体カメラ10によって画像が得られると、これらの画像は3D位置特定モジュール56によって処理される。この処理によって、3D位置特定モジュールは患者20の表面上の画像対で対応する点の3D位置を特定することができる。これは、3D位置特定モジュール56が立体カメラシステム10によって得られた画像対で対応する点を特定し、そしてそれらの点の3D位置を、得られた画像対で対応する点の相対位置と、画像を得るカメラの相対位置を特定する保存データとに基づいて特定することにより実現され得る。
【0050】
一般に、対応する点の特定は、約16×16ピクセルの画像パッチ(image patches)の分析に基づく。前で説明したように、立体カメラシステム10は、対応するパッチの特定及びマッチングを支援するために、撮像される患者20にランダム又は疑似ランダムなスペックルパターンを投射して患者20の表面の様々な部分をより簡単に区別できるように構成されたスペックル投射器52を含む。見えるパターンが画像パッチで異なるようにスペックルパターンの大きさが選択される。
【0051】
そして、3D位置特定モジュール56により生成された位置データはモデル生成モジュール58に渡される。モデル生成モジュール58はその位置データを処理して、立体カメラ10が撮像した患者20の表面の3Dワイヤーメッシュモデルを生成する。この実施形態では、3Dモデルは、モデルの頂点が3D位置特定モジュール56により特定された3D位置に対応する三角形ワイヤーメッシュモデル(triangulated wire mesh model)を含む。そのようなモデルが決定された場合、それは生成モデル格納部60に保存される。
【0052】
患者20の表面のワイヤーメッシュモデルが保存されている場合、マッチングモジュール64が次に呼び出され、立体カメラ10により得られた現在の画像に基づき生成されたモデルと、ターゲットモデル格納部62に保存されている以前生成された患者のモデル表面との間で合致する並進と回転を特定する。そして、特定した並進と回転を機械式寝台18に指示として送信して、寝台に患者が以前治療を受けたときと同じ治療装置16に対する位置に患者20を配置させる。
【0053】
その後、立体カメラ10は患者20のモニタリングを継続することができ、さらなるモデル表面を生成し、生成したそれらの表面をターゲットモデル格納部62に保存されているターゲットモデルと比較することにより位置の変動を特定できる。患者が動いたと判断された場合、治療装置16を止めて患者20を再配置できるため、患者20の誤った部分への照射が回避される。
【0054】
患者20の位置のモニタリングに加えて、コンピュータ14は装置位置特定モジュール66も含む。後で説明するように、装置位置特定モジュール66は、立体カメラシステム10が撮像した画像を処理し、画像のうちの治療装置16及び機械式寝台18に取り付けられたマーカー30〜40に対応する部分を特定ように構成されている。そして、装置位置特定モジュール66は、画像の特定した部分を用いて治療装置16及び機械式寝台18の位置を特定する。これにより、患者20の位置のモニタリングと同時に、治療装置16及び機械式寝台18の位置をリアルタイムでモニタリングすることができる。そして、治療装置16及び機械式寝台18の位置を所定の治療計画と比較して、患者の正しい部分が照射されているかを確認できる。
【0055】
患者20の現在の位置及び向きをさらに特定し、治療装置16及び機械式寝台18は、コンピュータシステム14に衝突が発生する可能性が高いかを判断させ、必要に応じてそのような衝突が起こる前に警告を発させるか又は治療を中断させることができる。
【0056】
図4を参照しながら、装置位置特定モジュール66の処理を以下で説明する。
図4は、装置位置特定モジュール66並びに
図5A及び
図5Bによって行われる処理のフロー図である。
【0057】
この実施形態では、装置位置特定モジュール66は3D位置特定モジュール56及びモデル生成モジュール58と同時に動作して、治療装置16及び機械式寝台18の現在の位置及び向きを特定する一方、3D位置特定モジュール56及びモデル生成モジュール58はモニタリングされている患者20の表面のワイヤーメッシュモデルを生成する。
【0058】
装置位置特定モジュール66は、立体カメラシステム10から一対の画像を受信した場合に呼び出される(s1)。これらの画像は、立体カメラシステム10のレンズ46の後ろ側の画像検出器から得られた画像を含むため、これらの画像は、僅かに異なった視点から得られた立体カメラシステム10の視野の画像である。
【0059】
異なる時点、異なる向きの機械式寝台18及び治療装置16の画像の例を
図5A及び
図5Bに示す。より具体的には、
図5A及び
図5Bは機械式寝台18及び治療装置16の図を示す。
図5Bでは、
図5Aの位置と比較して治療装置のガントリ24が本体部22に対して回転されている。
図5A及び
図5Bでは、治療装置16及び機械式寝台18に加えて、モニタリングされている患者20の一部に対応する表面70を破線で示す。
【0060】
図5A及び
図5Bから分かるように、マーカー30〜40の表示(representations)が画像内に見られ、マーカー30〜40の位置及び場所は治療装置16及び機械式寝台18の位置及び向きを示す。また、
図5A及び
図5Bを見れば分かるように、治療装置16及び機械式寝台18の場所及び向き及び画像のうちのモニタリングされている患者20によって占有される部分によって特定のマーカーが図から見えなくなっている。
【0061】
立体カメラ10から画像を受信した後、装置位置特定モジュール66は得られた画像内のマーカー30〜40の表示の特定へと進む(s2)。
【0062】
本実施形態では、これは2ステッププロセスで実現される。先ず、装置位置特定モジュール66は画像に対して閾値化動作を行って、画像のうちの特に明るい部分を特定する。前で説明したように、マーカーは逆反射性であり且つカメラシステム10のレンズ46の周囲の周りに位置するLEDライト50によって照らされるように構成されているため、画像の特に明るい部分はマーカー30〜40の位置に対応するはずである。
【0063】
閾値化動作を行った後、本実施形態では、画像のうちの特定された明るい部分が略円形かどうか、つまり治療装置16及び機械式寝台18上の円形又は球状のマーカー30〜40に対応するかどうか画像の候補部分を確認する。画像のうちの特定の閾値を超える明度の値を有する領域内で特定されたピクセルの数を、その領域の周辺におけるピクセルの数と比較して比を算出することで好適に求めることができる。
【0064】
それに加えて、装置位置特定モジュール66は、マーカーがあり得ると予測される画像内の位置に、画像の特定した明るい領域があるかどうかも確認することができる。装置位置特定モジュール66が一連の画像を処理している場合、これは以前の画像でマーカーであると前に特定された領域の近傍に特定した明るい領域があるかどうかを確認することで実現される。装置位置特定モジュール66が、治療装置16及び機械式寝台18の予測される外観を、治療計画を特定するデータに基づきモデリングし、特定した明るい領域が予測される場所に出現しているかどうかを確認することによりさらなる確認を実現できる。
【0065】
画像中の最も明るい領域を特定し、候補をフィルタリングして、画像のうちのマーカー30〜40の形状又は予測位置に対応しない部分を除いた後、装置位置特定モジュール66は特定した領域を用いて撮像したマーカー30〜40の中心の3D位置の計算へと進む(s3)。
【0066】
撮像したマーカー30〜40の中心の3D位置は、画像のうちのマーカーに対応する部分の中心の座標を求め、次いで立体カメラシステム10の2つのカメラによって撮られた一対の画像の間で該マーカーの場所を比較することにより特定することができる。閾値を超える明度を有する座標の加重平均を求めることでマーカーの表示の中心を特定することができる。そして、これらの座標が、2つの画像で対応する点の相対位置及び立体カメラシステム10内に含まれる2つの画像検出器のカメラ面の場所に基づき3D座標へと処理される。
【0067】
一部の実施形態では、マーカーに対応する点の2D座標を求める際の精度の向上は、画像の一部のために元のグレースケール画像データを利用し、マーカーに対応する画像の一部のための加重平均座標値を求めることにより得られ、その場合、加重平均座標値はグレースケールレベルにより加重される。これは、得られた画像内で逆反射マーカーは通常明るい白として表示されるが、その周囲では(ピクセルの一部のみがマーカー30〜40の表面に対応する)ピクセルはグレーとして表示され得るからである。
【0068】
一対の画像を処理して撮像したマーカー30〜40の3D位置を特定した後、係る3D位置を利用して治療装置16及び機械式寝台18の位置及び向きが特定される(s4)。そのような特定を行う際、装置位置特定モジュール66は、特定されたマーカー30〜40の相対位置に基づき治療装置16及び機械式寝台18の相対位置及び向きを特定し得る。そのため、例えば上述したように、治療装置16に取り付けられたマーカー30〜33の位置を利用して、治療装置16の本体部22に対するガントリ24の回転向きを特定することができる。同様に、コリメータ24の回転位置を、コリメータ24に取り付けたマーカー34〜38の位置及びグループ等から推測することができる。
【0069】
立体カメラ10により得られた画像に基づき治療装置16及び機械式寝台18の位置及び向きを特定した後、装置位置特定モジュール66は、治療計画に基づいて、測定した位置及び向きを治療装置16及び機械式寝台18があると予測される位置及び向きと比較することができる(s5)。より具体的には、装置位置特定モジュール66は、治療を受けている患者の表面の表面モデルに基づいて、治療装置のアイソセンター及び治療されている腫瘍の予測位置の双方に対して治療装置16及び機械式寝台18の予測位置を比較できる。従って、装置位置特定モジュール66はこのように治療計画からのずれをリアルタイムで測定でき、そのずれが閾値よりも大きい場合は警告を発することができる。
【0070】
最後に、治療計画からのずれをモニタリング及び検出することに加えて、装置位置特定モジュール66は、治療装置16及び機械式寝台18の測定した向き及び位置並びに患者20の表面の測定を利用して、治療装置16のどこかの部分が患者20又は機械式寝台18のいずれかと衝突する危険性が生じる寸前かどうかを判断し、そのような衝突が起こりそうな場合には警告を発するか又は治療を中断することができる。
【0071】
上で詳述した実施形態では、立体カメラシステム10が撮像した画像のうちの患者20の表面のモデルの生成に利用されていない部分が、治療装置16及び機械式寝台18の向き及び位置をモニタリングに利用されると説明したが、他の実施形態では、他の追加の形態のモニタリングが行われ得ることが分かる。
【0072】
特に、放射線療法を行う場合、とりわけ脳腫瘍等では、患者は治療の間に自身の頭を固定位置で保持するために剛性のフェイスマスクを着用する必要がある場合が多い。誤ったフェイスマスクの着用は非常に危険であり得る。何故なら、フェイスマスクは個々のユーザーに対して個別に作られており、誤ったマスクを使用すると患者が適切に固定されず、動く可能性につながるため、患者20の誤った部分が照射される。脳の隣接領域へのダメージは非常に深刻な問題をもたらし得る脳腫瘍の場合、これは特に問題になる。患者の配置のために立体カメラシステム10を利用する場合、画像のうちのフェイスマスクの部分に対応する周辺の部分を利用して、正しいマスクが使われているかどうかを確認することができ得ると出願人は認識してきた。そのようなシステムでは、画像のそのような部分を患者のモニタリングに用いる代わりに、フェイスマスクを特徴的な形で、例えばバーコード等を付し、患者を撮像するときにバーコードの存在を検出して、正しいマスクが使用されているかが確認され得る。
【0073】
上記のシステムでは、患者の表面へのスペックルパターンの投射並びに治療装置16及び機械式寝台18に取り付けられたマーカー30〜40の追跡に基づくモニタリングシステムを説明してきたが、他のモニタリングシステムも利用でき得ることが分かる。そのため、例えば、スペックルパターンの投射を用いて患者の表面のモデルを生成するよりも、構造化光の使用等の他のアプローチが使用され得る。また、マーカーの位置をモニタリングするよりも、一部の実施形態では治療装置16及び機械式寝台の表面のモデルを生成し、それを用いて治療装置に対する患者の配置がモニタリングされ得る。しかしながら、マーカー30〜40を使用して治療装置16及び機械式寝台18の動きをモニタリングすることが好ましい。何故なら、これは、限られた処理で実現できるため、過剰なリソースを必要とせずに患者20の表面のモデリングと同時にリアルタイムで行うことができる。それに加えて、装置の位置を特定するためにマーカー30〜40を用いることは、装置の表面のモデルの生成に基づいて装置の向きの推測を試みるよりも信頼性が高い。何故なら、装置の殆どは自己相似であるため、装置の位置及び向きを確立するためには広い視野で装置をモニタリングする必要があり得るからである。
【0074】
図面を参照しながら説明した本発明の実施形態は、コンピュータ装置及びコンピュータ装置で行われるプロセスを含むが、本発明はコンピュータプログラム、特に本発明を実現するように適合された、担体上の又は担体内のコンピュータプログラムにも及ぶ。係るプログラムは、ソースコード若しくはオブジェクトコードの形態又は本発明に係るプロセスの実施に用いるのに好適な任意の他の形態であり得る。担体は任意の実在物又はプログラムを運ぶことが可能な装置であり得る。
【0075】
例えば、上記の担体は、例えばCD−ROM若しくは半導体ROM等のROM又は例えばフロッピーディスク(登録商標)若しくはハードディスク等の磁気記録媒体等の記憶媒体を含み得る。また、担体は、電気ケーブル若しくは光ケーブルにより又は無線若しくは他の手段により搬送され得る電気又は光学信号等の搬送可能な担体であり得る。ケーブル又は他の装置若しくは他の手段により直接搬送され得る信号においてプログラムが実施される場合、担体はそのようなケーブル又は他の装置若しくは他の手段により構成され得る。あるいは、上記の担体は、プログラムが組み込まれ、関連するプロセスを行うか又は関連するプロセスを行うのに用いられるように適合された集積回路であり得る。