(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203276
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】水を排出するための手段を備えるフィルタカートリッジおよび関連するフィルタ群
(51)【国際特許分類】
F02M 37/22 20060101AFI20170914BHJP
B01D 27/06 20060101ALI20170914BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20170914BHJP
B01D 17/022 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
F02M37/22 A
B01D27/06
B01D35/02 E
B01D17/022 501
F02M37/22 G
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-536228(P2015-536228)
(86)(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公表番号】特表2015-537140(P2015-537140A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】IB2013002118
(87)【国際公開番号】WO2014057323
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年6月17日
(31)【優先権主張番号】RE2012A000066
(32)【優先日】2012年10月11日
(33)【優先権主張国】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511259142
【氏名又は名称】ユーエフアイ フィルターズ エッセ.ピ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジョ ジロンディ
【審査官】
中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/104698(WO,A1)
【文献】
特開平10−071307(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0218295(US,A1)
【文献】
実開昭60−041569(JP,U)
【文献】
特開昭64−056110(JP,A)
【文献】
米国特許第05462658(US,A)
【文献】
米国特許第05951862(US,A)
【文献】
特表2006−509145(JP,A)
【文献】
特表2008−540915(JP,A)
【文献】
特開2009−297712(JP,A)
【文献】
特開2009−297713(JP,A)
【文献】
米国特許第7731845(US,B2)
【文献】
国際公開第2012/095124(WO,A1)
【文献】
特表2014−508877(JP,A)
【文献】
特表2014−509255(JP,A)
【文献】
実開平05−057346(JP,U)
【文献】
実開平05−057347(JP,U)
【文献】
実開平07−007701(JP,U)
【文献】
特開2004−036391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 17/00−17/12
B01D 27/00−27/12
B01D 29/00−29/48
B01D 33/00−33/40
B01D 35/00−35/04
B01D 35/08−35/30
B01D 36/00−37/08
F02M 37/00−37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を濾過するためのフィルタカートリッジ(30)であって、
管形状を有するフィルタ壁(31)と、
前記フィルタ壁(31)の一端部に直接的に固定された第1の支持板(32)と、
前記フィルタ壁(31)の反対側の端部に直接的に固定された第2の支持板(33)と、
前記燃料の濾過中に前記燃料から分離する水を排出するための、前記第1の支持板(32)により実現される第1の排出導管(324,325)および、前記第2の支持板(33)により実現される第2の排出導管(335,336)と、
を備え、
前記第1の排出導管(324,325)は、その自由端に、流入口(327)および、流出口(326)を備えるとともに、
前記第2の排出導管(335,336)は、その自由端に、流入口(337)および、流出口(338)を備え、
前記第1の排出導管(324,325)を前記第2の排出導管(335,336)に接続するために、前記フィルタ壁(31)の外側に配置される接続カニューレ(50)をさらに備え、
該接続カニューレ(50)は、前記第2の排出導管(335,336)の前記流出口(338)に封止されて挿入される第1端(51)と、前記第1の排出導管(324,325)の前記流入口(327)に封止されて挿入される第2端(52)と、を備えることを特徴とする、フィルタカートリッジ(30)。
【請求項2】
前記第1の排出導管(324,325)が、
前記フィルタ壁(31)の軸(A)に平行である略軸方向部(324)と、
前記フィルタ壁(31)に略直交する側部(325)と、を備え、
前記第2の排出導管(335,336)が、前記フィルタ壁(31)の軸(A)に平行である略軸方向部(335)と、前記フィルタ壁(31)の軸に略直交する側部(336)と、を備え、
前記接続カニューレ(50)が、前記第1の排出導管(324,325)の前記側部(325)と、前記第2の排出導管(335,336)の前記側部(336)とが連通するように設置する、請求項1に記載のフィルタカートリッジ(30)。
【請求項3】
前記接続カニューレ(50)の長さの調整手段(53)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のフィルタカートリッジ(30)。
【請求項4】
前記調整手段が、少なくとも前記接続カニューレ(50)の蛇腹ゾーン(53)を含む、請求項3に記載のフィルタカートリッジ(30)。
【請求項5】
前記第1の支持板(32)が、前記第1の排出導管(324,325)の前記流入口(327)と前記流出口(326)との間に軸方向に介在するシール手段(322)を備え、
前記第2の支持板(33)が、前記第2の排出導管(335,336)の前記流入口(337)と前記流出口(338)との間に軸方向に介在するシール手段(333)を備える、請求項2に記載のフィルタカートリッジ(30)。
【請求項6】
管形状を有し、前記フィルタ壁(31)の内側に同軸に配置される疎水性ネット(43)を少なくとも備えることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタカートリッジ(30)。
【請求項7】
前記フィルタ壁(31)の内側に同軸に挿入され、燃料通路のための放射状開口部(41)を備える支持芯(40)を含み、前記支持芯(40)には少なくとも、前記支持芯の外部マントルから生じる螺旋展開を有するリブ(42)が設けられ、前記フィルタ壁(31)に内側で軽く接触することができることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタカートリッジ(30)。
【請求項8】
前記支持芯(40)の前記放射状開口部(41)を通過する前記燃料を遮断するような方法で、前記疎水性ネット(43)が前記支持芯(40)に固定されている、請求項6または7に記載のフィルタカートリッジ(30)。
【請求項9】
濾過される燃料用の入口(23)と、前記濾過された燃料用の出口(24)と、筐体の底で回収される水の出口導管(25)とが設けられる外部筐体(20)と、
前記筐体(20)の内部容積を、前記入口(23)と連通する第1の環境(B)と前記出口(24)と連通する第2の環境(C)に分割する請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のフィルタカートリッジ(30)とを備え、
前記フィルタカートリッジ(30)の前記第1の導管(324,325)が前記出口導管(25)と接続されている、フィルタ群(10)。
【請求項10】
前記筐体(20)が、実質的にビーカ形状で蓋(22)によって上方が閉じられている本体(21)と、前記入口(23)と、前記出口(24)と、前記蓋(22)で実現されている前記出口導管(25)とを含む、請求項9に記載のフィルタ群(10)。
【請求項11】
前記フィルタカートリッジ(30)の前記シール手段(322,333)が前記筐体(20)と連携して、前記濾過された流体の前記第2のチャンバから、前記濾過される流体の前記第1のチャンバを分離する、請求項9に記載のフィルタ群(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を濾過するためのフィルタカートリッジおよび関連するフィルタ群に関する。
【0002】
一般に、本発明は、ディーゼル油等の燃料の濾過のためのモータ領域に関連する、濾過される流体に含まれる水を排出するための手段を備えるフィルタカートリッジおよび関連するフィルタ群に関する。
【背景技術】
【0003】
周知の通り、モータ領域での燃料の濾過は、一般に、実質的にビーカ形状の本体を備えた外部筐体を含むフィルタ群の手段によって得られ、その開放端は、濾過される液体の入口および濾過された液体の出口に設けられた蓋によって閉じられている。また、筐体は少なくとも、交換可能なフィルタカートリッジを内部に含み、このフィルタカートリッジは、筐体の内部容積を、入口に連通する第1のチャンバおよび出口に連通する第2のチャンバの、2つの別個のチャンバに細分する。
【0004】
このように、フィルタ群の入口から出口に向かって流れる燃料はフィルタ壁を通過させられる。フィルタ壁は、燃料中に存在する可能性のある不純物を保持し、燃料中に存在する水を分離する。
【0005】
典型的なフィルタカートリッジは、例えば、プリーツ状のフィルタ壁または奥行きのある壁である管状のフィルタ壁と、このフィルタ壁の両端に固定された2つの支持板とを備える。
【0006】
フィルタ壁の高い剛性および機械抵抗を保証する目的で、カートリッジは、一般に管状のフィルタ壁中に挿入される芯として知られている、穴の開いた支持管を含む場合もある。
【0007】
このように、支持芯は、流体の圧力ピークや、振動、衝撃および他の同様のストレスに起因するフィルタ壁の変形を妨ぐことができる。
【0008】
処理される燃料(例えば、ディーゼル)の重量よりも大きい特定の重量を有するにつれて、濾過される液体中に存在する水は、ビーカ本体の底に溜まる傾向がある。したがって、フィルタ群が機能している間に排出されなければならない。
【0009】
従来技術においては、燃料からの水の分離を容易にするために、一般にフィルタ壁が使用され、このフィルタ壁は、水が筐体の底に重力によって回収されるように、燃料からおよび/または燃料から水を分離しておく疎水性ネットから、コアレッセンスによって、水を分離することができる。
【0010】
また、フィルタ群の筐体に関連付けられ、筐体の下部と連通するように設置される、排出導管の使用も知られており、溜まった水が常に筐体から排出されるように、水の吸引手段によって、水を回収する傾向がある。
【0011】
排出導管が直接ビーカ体の底から下方に分岐していない場合、この排出導管は、その自由端がちょうどビーカ体に軽く接触するように、筐体の内部で軸方向に延びている成形カニューレ(cannula)により蓋に接続される。
【0012】
フィルタ群の第1のタイプでは、カニューレが蓋から分岐し、外部からフィルタカートリッジを通過する。しかし、この第1のタイプは、実質的にフレキシブルな排出導管が、筐体の内部で実質的に自由に動くという欠点があり、排出の効果の点で明らかに不利である。
【0013】
これらの欠点を解消するために、蓋から引き出されたカニューレが支持板とフィルタカートリッジのフィルタ壁を通過し、自由端により、ビーカ本体の底で開口するという解決法が提案されている。
【0014】
しかし、これらの既知の解決策は、フィルタ群のさまざまな構成要素の組み立て費用をかなり増大させるという欠点があり、生産やメンテナンスの時間及び費用の点で明らかに相関して不利である。
【0015】
他の採用されている解決策では、排出導管は支持体とフィルタ壁の内側に配置される支持体とで部分的に実現されるが、この解決策は、濾過された流体の流路表面を制限するため、全体の流体力学的抵抗が、フィルタ群によって燃料に提供されることになり、同様に、疎水性ネットの寸法も制限する必要がある。
【0016】
本発明の目的は、単純で合理的であり比較的安価な解決策で上記の欠点を解消すると同時に、従来技術の上記システムに対する有利な代替策を提供することである。
【0017】
これらの目的は、独立請求項に示す本発明の特徴によって達成される。従属請求項は、本発明の好ましいおよび/または特に有利な態様を示す。
【発明の概要】
【0018】
特に、本発明は、管形状を有するフィルタ壁と、前記フィルタ壁の一端部に固定された第1の支持板と、前記フィルタ壁の反対側の端部に固定された第2の支持板を開示しており、各支持板は、燃料の濾過中に前記燃料から分離する水の排出導管の各部分を画定し、前記部分を接続しフィルタ壁の外側に配置することができる接続カニューレを備えることを特徴とする。
【0019】
この解決策によって、フィルタ群から水を回収し排出するための手段がフィルタカートリッジと一体に画成され、明らかな構造上の利点を有し、フィルタカートリッジの製品毎の補償を可能にする。同時に、効果的かつ単純に繰り返し可能に、フィルタ群における水の回収および排出手段の位置決めをすることができる。
【0020】
さらに、フィルタ壁に対して外側の位置にある接続カニューレの位置決めは、フィルタカートリッジの他の構成要素を制限せず、燃料に対する非常に抑制された流体力学的障害を構成する。
【0021】
本発明の一態様では、前記部分の各々が、前記フィルタ壁の軸に平行である略軸方向部と、前記フィルタ壁の軸及び前記接続カニューレに略直交する側部とを備え、前記部分の前記側部と連通するように設置することができる。
【0022】
このように、接続カニューレの配置が特に簡単かつ合理的であり、組み立ておよび交換が容易であるので、フィルタカートリッジの製造および保全の周期が改善される。
【0023】
本発明のフィルタカートリッジは、有利には、前記接続カニューレの長さの調整手段を備える。
【0024】
特に、接続カニューレには要求に応じて収縮または拡張することができる蛇腹ゾーン(bellows zone)が設けられ、接続カニューレの長さを変化させることによって、横方向のアクセス開口間での軸間の構造上の変化を補償することができる。
【0025】
このように、フィルタカートリッジを構成する構成要素は、例えば、さまざまな構成要素の組み立てに起因する領域内の任意のばらつきや公差を吸収することができる一定の柔軟性を維持して、標準化され得る。
【0026】
本発明のさらなる態様では、前記支持板の各々は、前記部分の各々の流入口と流出口との間に軸方向に介在するシール手段を備える。
【0027】
この解決策によって、水が除去される軸端部が、側壁が配置される環境と区別されたフィルタ群の環境(したがって接続カニューレ)内に配置され、濾過された燃料側から水が回収されることを可能にし、非濾過側を通過して、フィルタ群の両側間の分離を維持する。
【0028】
さらに、フィルタカートリッジは、管形状を有し、前記フィルタ壁の内側に同軸に配置される疎水性ネットを含むことができる。
【0029】
このようにして、燃料の出口と連通するフィルタ群のゾーンを、水が溜まる中間ゾーンから分離して保持することができる。
【0030】
フィルタカートリッジは、有利には、前記フィルタ壁の内側に同軸に挿入され、燃料通路のための放射状開口部を備える支持芯を含み、前記支持芯には少なくとも、前記支持芯の外部マントルから生じる螺旋展開を有するリブが設けられ、前記フィルタ壁に内側で軽く接触することができる。
【0031】
さらに、前記疎水性ネットは、この放射状開口部を通過する燃料を遮断するような方法で、前記支持芯に固定されている。
【0032】
この解決策によって、水分子の凝集効果、燃料からの水の分離、及び、フィルタ群の筐体の底への水の沈降が向上および改善される。
【0033】
本発明のさらなる態様において、濾過される燃料用の入口と、前記濾過された燃料用の出口と、筐体の底で回収される水の出口導管とが設けられる外部筐体と、前記筐体の内部容積を、前記入口と連通する第1のチャンバと前記出口と連通する第2のチャンバに分割することができる上記のフィルタカートリッジとを備え、前記排出導管の前記部分の少なくとも1つが前記出口導管と関連しているフィルタ群が提供される。
【0034】
本発明は、さらなるフィルタカートリッジをさらに開示し、また、このフィルタカートリッジを上述のフィルタカートリッジに対して独立して保護することができる。このフィルタカートリッジは、管形状を有するフィルタ壁と、フィルタ壁の端部に固定された第1の支持板およびフィルタ壁の反対側の端部に固定された第2の支持板と、管形状を有しフィルタ壁に対し同軸に配置される疎水性ネットとを含み、フィルタ壁に対して同軸であり燃料のみを通過させるための疎水性ネットによって遮断される放射状開口部が設けられる支持芯を備える特徴があり、この支持芯は少なくとも、フィルタ壁に面する支持芯のマントルから螺旋展開するリブが設けられ、フィルタ壁に内側で軽く接触することができる。
【0035】
実際には、流体が外側から内側へフィルタ壁を通過する場合に、疎水性ネットおよび芯がフィルタ壁の内側に挿入されるが、燃料の流れが内側から外側へフィルタ壁を通過する場合、疎水性ネットおよび芯はフィルタ壁の外側に配置され得る。
【0036】
本発明のさらなる特徴および利点は、図面の別表に示されている数値を用いて、非限定的な例として提供される以下の説明により明らかにされよう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明によるフィルタ組立体の等角図である。
【
図4】
図3のフィルタ組立体の単一のフィルタカートリッジの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面の図を特に参照すると、参照符号10が、自動車のディーゼルエンジン用ディーゼル燃料のフィルタ組立体を全体的に示している。
【0039】
フィルタ組立体10は、参照符号20でその全体を示す外部筐体を備え、この外部筐体は、ビーカ形状の本体21と、この筐体20を閉じるのに適した上蓋22によって形成されている。
【0040】
蓋22は、濾過されるディーゼル油用の入口導管23と、濾過されたディーゼル燃料用の出口導管24と、ビーカ形状の本体21の底に溜まる水用の排出導管25とを含み、この分野の専門家には公知であるような適切な接続キャップを有する。
【0041】
ステム26がビーカ形状の本体21の底から隆起しており、このステム26は、ディーゼル燃料の濾過中にビーカ形状の本体21の底に溜まる水の水位を検出することができるレベルセンサ27を支えている。
【0042】
この分野の専門家に公知のように、レベルセンサ27は、車両の電子制御装置(不図示)に関連している。
【0043】
参照符号30で示すフィルタカートリッジは、筐体20の内部に収容されている。
【0044】
フィルタカートリッジ30は、このケースではプリーツ状である管状のフィルタ壁31を含む。このフィルタ壁31は、支持芯40が挿入される内部貫通空洞を画定し、この支持芯40には、ディーゼル燃料の通過のための放射状開口部41が設けられている。
【0045】
外部容積は、フィルタ壁31とビーカ形状の本体21との間に画成され、濾過される燃料の入口導管23と連通して配置され得る。
【0046】
支持芯40は、フィルタ壁31の内面と支持芯40の外面との間に隙間が画成されるように、フィルタ壁31の内径よりも実質的に小さい外径を有する。
【0047】
リブ42は、螺旋展開を有する支持芯40の外部マントル上に作られ、その頂部はフィルタ壁31の内面に対して軽く接触する。
【0048】
さらに、支持芯40は、疎水性ネット43を支持することが可能であり、疎水性ネット43は、この例では管形状を呈するフィルタ壁31の内側に同軸上に挿入され、支持芯40の放射状開口部41上に重ねられることができ、そこを通る燃料の流れを妨げることになる。
【0049】
実際には、支持芯40の各放射状開口部41を遮断するように、疎水性ネット43が接着または別の締結技術によって支持体40の支持芯40に固定されている。
【0050】
リブ42は、フィルタ壁31によって濾過された燃料と燃料から分離された水とに螺旋運動をさせることができる。これにより、燃料からの水の分離と水分子の凝集が向上するため、疎水性ネット43の仕事を容易にする。
【0051】
フィルタカートリッジ30は、一般にプラスチックで作られた2つの円板状の支持板を備える。この2つの支持板は上部支持板32と下部支持板33であり、フィルタ壁31の両端部に同軸に固定されている。
【0052】
下部支持板33は、フィルタ壁31の下端を閉じ、仮想の外周に沿って配列され、フィルタ壁31と支持芯40の外部マントルとの間に画成される隙間に平面図で重なることができる、軸方向の開口部330が設けられる。
【0053】
また、下部支持板33は、第1の環状ガスケット333が含まれる環状座部332を画定することができる下側の端部331を備える。
【0054】
下部支持板33とビーカ形状の本体21との間を確実に密封し、フィルタ壁31の外側の容積を下方に画定するように、第1の環状ガスケット333は、環状座部332とビーカ形状の本体21の内壁との間で、例えば、底部の近傍に位置するそのテーパ領域で圧縮することができる。
【0055】
実際には、第1の環状シール333は、筐体20の内部容積を、入口導管23から出口導管24への燃料の流れ方向においてフィルタ壁31の上流に位置する第1の環境(濾過され水から分離される燃料はまだその中に含まれるので、フィルタ組立体10のダーティサイドとも呼ばれる)と、フィルタ壁自体の下流に位置する第2の環境(フィルタ組立体10のクリーンサイドとも呼ばれ、燃料がフィルタ壁31を通じて濾過されている)とに細分する。
【0056】
以下で明らかになるように、フィルタ組立体10の第1の環境は、入口導管23とだけ連通するように配置される。
【0057】
第2の環境は、その後、疎水性ネット43によって2つの副環境に細分され、そのうちの1つ目は、フィルタ壁31の内面と疎水性ネットとの間に含まれる容積及び下部支持板33の下方に位置する容積(軸方向の開口部330を介して連通する容積)で構成され、水の出口導管25と連通するように設けられている。
【0058】
2つ目の副環境は、疎水性ネット43の内部容積によって画成され、濾過された燃料の出口導管24と直接連通するように配置されている。
【0059】
オフセット位置にある中空カニューレ334は下部支持板33から分岐し、その自由端はビーカ形状の本体21の底部に軽く接触する。この例では、中空カニューレ334は、例えば共押出によって作られ、下部支持板33と一体である。
【0060】
中空カニューレ334の内部空洞が長手方向導管(335,336)を画定する。長手方向導管は、中空カニューレ334の自由端で第1の入口孔337を介して開口し、第1の横方向の出口338を介して下部支持板33の横方向の側面で開口する。
【0061】
中空カニューレ334の自由端は、有利には、実質的に斜めに成形される。すなわち、フィルタ壁31の長手方向軸に対して約45°傾斜した前壁を有する。
【0062】
第1の環状ガスケット333は、第1の流入口337と第1の流出口338との間に軸方向に介在するのに適している。
【0063】
実際には、長手方向の導管は、実質的に軸方向の第1の部分335(フィルタ壁31の長手方向軸に平行)と、この第1の部分に対して横方向に直交する第2の部分336(例えば、半径方向)とを含む。
【0064】
上部支持板32は、第2の環状ガスケット321を介在させることにより、筐体20内に突出する出口導管24に結合するための中心孔320と、第3の環状ガスケット322が緊密に結合されている僅かに高くなっている外周縁とを含む。
【0065】
フィルタ組立体10の筐体20のシール性を確保するために、第3の環状シール322は、蓋22とビーカ形状の本体21との間に画定された座部の内部に受け入れられ圧縮される。
【0066】
上部支持板32は、オフセットした中空シャンク部323をさらに含み、この中空シャンク部323は、出口導管25の広がった部分に、シールリングを介在して挿入されている。
【0067】
この例では、中空シャンク部323は、上部支持板32と一体である。
【0068】
中空シャンク部323の内部空洞が長手方向導管(324,325)を画定する。長手方向導管は、中空シャンク部323の自由端で第2の流出口326を介して開口し、上部支持板32の横方向の側面で第2の横方向の流入口327を介して開口する。
【0069】
第3の環状ガスケット322は、第2の流出口326と第2の流入口327との間に軸方向に介在することができる。
【0070】
実際には、長手方向導管は、実質的に軸方向の第1の部分324(フィルタ壁31の長手方向軸に平行)と、第1の部分自体に対して横方向、すなわち直交する、第2の部分325(例えば、半径方向)とを含む。
【0071】
上部支持板32の第2の流入口327と下部支持板33の第1の流出口338とは、有利には、実質的に平面に配列されている。
【0072】
狭いチャンバが、上部支持板32と蓋22との間に画成され、このチャンバは濾過されるディーゼル燃料の入口導管23と連通する。
【0073】
さらに、複数の開口部328が、上部支持板32の高くなっている端部に画成され、この開口部は、フィルタ壁31とビーカ形状の本体21との間に画成された外部容積と連通する入口導管23を設ける。
【0074】
特に、フィルタカートリッジ30は接続カニューレ50を含み、この接続カニューレ50は、下部支持板33の長手方向導管335,336を上部支持板32の長手方向導管324,325と接続する。
【0075】
実際には、接続カニューレ50は、下部支持板33の(第2の側部336側の)第1の流出口338に(例えば、摩擦干渉によって)封止されて挿入するのに適した下端51と、上部支持板32の(第2の側部325の)第2の流入口327に(例えば、摩擦干渉によって)封止されて挿入するのに適した上端52とを含む。
【0076】
長手方向の導管335,336および324,325とともに、燃料濾過中にビーカ形状の本体21の底部に溜まった水の単一の出口導管と共に画定されるように、接続カニューレ50は、フィルタ壁31の長手方向軸に対して平行かつフィルタ壁31の外側に配列される中央部分と、実質的に中央部分に直交し、(上述したように)各支持板の第2の流入口327および第1の流出口338に(上述のように)挿入される2つの端部とを有する。
【0077】
実際には、水の流出口は以下によって画定される。
・中空カニューレ334(長手方向導管の第1の部分335および第2の部分336)から成る、下部支持板33と一体の第1の部分
・接続カニューレ50から構成される第2の部分、および、
・中空シャンク部323(長手方向導管の第1の部分324および第2の部分325)から成る、上部支持板32と一体の第3の部分
【0078】
接続カニューレ50は、例えば、取り外し可能に、下部支持板33および上部支持板32に関連付けられる。
【0079】
接続カニューレ50の中央部分は、有利には、接続カニューレの長さを変化させることができ、従ってフィルタカートリッジ10の製造工程に伴い、第2の流入口327と第1の出口338との間の距離が任意に変化することを補償することができる蛇腹ゾーン53を含む。
【0080】
前述の説明を考慮すると、フィルタ組立体10の動作は以下の通りである。
【0081】
濾過される燃料は、入口導管23を介して筐体20に入り、(例えば、コアレッセンスの結果として)水の分離ならびに燃料の濾過を可能にするフィルタ壁31に向かって搬送される。
【0082】
分離された水とフィルタ壁31によって濾過された燃料は、リブによって下向きに筐体20の中心に向かう旋回運動が与えられ、疎水性ネット43の方向に押圧される。
【0083】
分離された水は、その後、疎水性ネット43によって遮断される。その特定の重量が燃料の重量よりも大きくなるにつれて、軸方向の開口部330を通過して、ビーカ形状の本体21の底部に堆積する傾向がある。
【0084】
濾過され水から分離された燃料は、疎水性ネット43を通過し、燃料の出口導管24に向けて搬送される。
【0085】
レベルセンサ27によって検出されるビーカ形状の本体21の底に沈降した水は、十分に高い水位に達すると、排出導管を介して出口導管25に向けて排出される。
【0086】
実際には、水は中空カニューレ334の第1の流入口337を介して回収され、出口導管25に向かって吸引される。
【0087】
水は、下部支持板33内に画定された長手方向導管335,336と、接続カニューレ50と、上部支持板32内に画定された長手方向導管324,325を順に通過し、その後、第2の流出口326から出て出口導管25に到達し、そこからフィルタ組立体10の外に排出される。
【0088】
本明細書に想到されるような発明は、本発明の概念の範囲での多くの変更および変形が可能である。
さらに、すべての詳細を、他の技術的に同等な要素に置き換えることができる。
【0089】
実際には、使用される材料ならびに付随する形状および寸法は、以下の特許請求の保護範囲を放棄することなく、必要に応じて任意であってよい。