【実施例】
【0025】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0026】
参考例1
イソプロパノール50ml中に、
CF
3(CF
2)
3(CH
2)
2OCOCH=CH
2〔FAAC-4〕 3.00g
CH
2=CHCON(CH
3)
2〔DMAA〕 27.37g
を仕込み、これらのイソプロパノール溶液を攪拌しながら、開始剤である
2,2′-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル) 3.04g
(和光純薬製品V-65)
を添加し、窒素をバブリングして溶存酸素を置換した後、内温が50℃になる迄加熱し、この温度を保ちながら5時間反応させた。
【0027】
反応混合物をn-ヘキサン中に投入し、生成した含フッ素オリゴマーをロ過して分離し、白色粉末の含フッ素オリゴマー30g(収率90.0%)を得た。この含フッ素オリゴマーの分子量をGPCによって測定すると、数平均分子量Mnが801、分子量分布を示すMn/Mwが1.74という結果が得られた。また、得られた含フッ素オリゴマーの共重合割合を
1H-NMRで測定すると、FAAC-4:DMAA=2:98(モル%)という結果が得られた。
【0028】
参考例2〜6、参考例
11〜
16
参考例1において、含フッ素モノマー〔I〕およびそのコモノマー〔II〕の種類および使用量(単位:g)、重合開始剤(V-65)の使用量(単位:g)を種々変更し、下記表1(
参考例1〜6)および表2(参考例
11〜16)に示されるような結果を得た。なお、表1には、
参考例1の結果も併記されている。また、PDE 100を共重合させた含フッ素オリゴマーは、GPC移動相に不溶性のため、Mnの測定ができない。
(含フッ素モノマー)
FAAC-6:CF
3(CF
2)
5(CH
2)
2OCOCH=CH
2
FAAC-8:CF
3(CF
2)
7(CH
2)
2OCOCH=CH
2
DTFAC:CF
3(CF
2)
3CH
2(CF
2)
5(CH
2)
2OCOCH=CH
2
DTFMAC:CF
3(CF
2)
3CH
2(CF
2)
5(CH
2)
2OCOC(CH
3)=CH
2
(コモノマー)
PDE 100:ジエチレングリコールジメタクリレート
ACA:アクリル酸
【0029】
また、表1〜2には、生成した含フッ素オリゴマー白色
微粉末について、動的光散乱法で測定した粒子径(単位:nm)およびその分布、各種溶媒に1重量%で分散させたときの分散性を目視で観察し、下記評価基準にしたがって評価した。なお、溶媒分散性は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシドに対してはいずれも○、トルエン、n-ヘキサンについてはいずれも×であるので、その記載を省略している。
○:均一に分散して、分散液は透明である
△:やや分散して、分散液は白濁である
×:分散せず、分散媒中に沈殿する
表1
参考例 1 2 3 4 5 6
〔モノマー、開始剤〕
含フッ素モノマー
FAAC-4 3.00 − − − − −
FAAC-6 − 3.02 − 3.05 − −
FAAC-8 − − 3.08 − 3.07 3.17
コモノマー
DMAA 27.37 27.07 27.01 27.05 − −
PDE 100 − − − 5.0 − 5.07
ACA − − − − 27.12 27.04
重合開始剤
V-65 3.04 3.11 3.27 3.00 3.33 3.20
〔含Fオリゴマー〕
収率 (%) 90.0 87.3 77.8 71.0 106.5 97.1
Mn 801 2078 2202 − 1032 −
Mn/Mw 1.74 1.01 1.03 − 1.02 −
共重合割合 (モル%)
含フッ素モノマー 2 13 6 3 3 5
DMAA 98 87 94 93 − −
PDE100 − − − 4 − 12
ACA − − − − 97 83
粒子径
平均値 64.5 87.0 106 17.2 41.9 76.7
平均値± 9.8 11.4 17.6 2.4 4.2 9.8
溶媒分散性
アセトン ○ ○ ○ ○ △ ○
テトラヒドロフラン ○ ○ ○ ○ ○ ○
酢酸エチル ○ ○ ○ ○ × △
クロロホルム ○ ○ ○ ○ × ×
ClCH
2CH
2Cl ○ ○ ○ ○ △ ×
AK-225 ○ △ ○ ○ × △
表2
参考例 11 12 13 14 15 16
〔モノマー、開始剤〕
含フッ素モノマー
DTFAC 3.10 3.02 3.31 − 3.27 −
DTFMAC − − − 3.21 − 3.04
コモノマー
DMAA 27.22 27.14 − − − −
PDE 100 − 5.04 − − 5.21 5.04
ACA − − 27.45 27.09 27.06 27.04
重合開始剤
V-65 3.07 3.06 3.02 3.01 3.06 3.04
〔含Fオリゴマー〕
収率 (%) 99.3 107.5 112.7 93.8 105.8 95.2
Mn 2107 − 1142 667 − −
Mn/Mw 1.09 − 1.00 1.82 − −
共重合割合 (モル%)
含フッ素モノマー 7 3 1 16 1 4
DMAA 93 93 − − − −
PDE100 − 4 − − 5 2
ACA − − 99 84 94 94
粒子径
平均値 35.4 41.1 41.8 126 54.6 33.0
平均値± 8.0 11.7 3.8 13.1 12.4 9.7
溶媒分散性
アセトン ○ ○ △ △ ○ △
テトラヒドロフラン ○ ○ ○ ○ ○ ○
酢酸エチル ○ ○ △ △ × △
クロロホルム ○ ○ △ △ × △
ClCH
2CH
2Cl ○ ○ △ △ × △
AK-225 ○ ○ △ △ × △
注1)AK-225:AGC社製品:1,1-ジクロロ-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパ
ンと1,3-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプ
ロパンとの等量混合物
注2)収率100%以上のものには、溶媒が含有されていると考えられる
【0030】
実施例
参考例3で得られた含フッ素オリゴマー(FAAC-8-DMAA共重合体)0.25gに、シリカゾル(日産化学製品メタノールシリカゾル;30重量%ナノシリカ含有、平均粒子径11nm)1.67g(ナノシリカとして0.50g)およびメタノール20mlを加え、さらにテトラエトキシシラン(東京化成製品;密度0.93g/ml)0.25mlおよび25重量%アンモニウム水0.25mlを攪拌条件下で加えて、5時間反応させた。
【0031】
白色の溶液である反応混合物からエパポレータを用いてメタノールおよびアンモニウム水を除去し、取り出された白色粉末をメタノール10mlを加えて一夜再分散させ、これを遠心分離した後メタノールでリンスを行い、得られた粉末を70℃のオーブン中で乾燥させ、次いで50℃で真空乾燥した。ナノシリカコンポジット粒子である白色粉末0.507g(収率62%)が得られた。
【0032】
得られた白色
微粉末について、白色
微粉末1gを1Lのメタノールに分散させた状態で、動的光散乱(DLS)法により粒子径を測定すると共に、重量減を次のような方法で測定した。すなわち、TGA(ブルカー・AXS社製TG-DTA2000SA)により、昇温速度10℃/分で800℃迄加熱した際の重量減少率(初期重量に対する減少重量の百分比)を測定した。
【0033】
比較例
実施例において、含フッ素オリゴマーとして参考例5で得られた含フッ素オリゴマー(FAAC-8-ACA共重合体オリゴマー)が同量(0.25g)用いられた。
【0034】
参考例21
実施例において、含フッ素オリゴマーとして参考例11で得られた含フッ素オリゴマー(DTFAC-DMAA共重合体オリゴマー)が同量(0.25g)用いられた。
【0035】
参考例22
実施例において、含フッ素オリゴマーとして参考例13で得られた含フッ素オリゴマー(DTFAC-ACA共重合体オリゴマー)が同量(0.25g)用いられた。
【0036】
参考例23
実施例において、含フッ素オリゴマーとして参考例14で得られた含フッ素オリゴマー(DTFMAC-ACA共重合体オリゴマー)が同量(0.25g)用いられた。
【0037】
以上の
実施例、比較例および参考例21〜23で得られた測定結果は、ナノシリカコンポジット粒子の生成量および収率と共に、次の表3に示される。
表3
ナノシリカコンポジット粒子
例 生成量(g) 収率(%) 粒子径(nm) 重量減(%)
実施例 0.507 62 49.6±12.4 19
比較例 0.572 70 45.3±10.4 8
参考例21 0.646 79 51.9±14.4 10
〃 22 0.507 62 30.9± 6.4 20
〃 23 0.580 71 41.2±18.0 13