特許第6203338号(P6203338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6203338
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】押出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 47/66 20060101AFI20170914BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20170914BHJP
   B30B 9/28 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B29C47/66ZAB
   B09B3/00 301W
   B09B3/00 301Z
   B30B9/28 K
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-139406(P2016-139406)
(22)【出願日】2016年7月14日
【審査請求日】2016年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591119624
【氏名又は名称】株式会社御池鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 由和
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀匡
(72)【発明者】
【氏名】相方 昭夫
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−514050(JP,A)
【文献】 特開平07−205142(JP,A)
【文献】 特開2009−241074(JP,A)
【文献】 特開2010−280128(JP,A)
【文献】 実開平02−068116(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 47/66
B09B 3/00
B30B 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物が投入される投入口と、
上記投入口に連なり、投入された上記被処理物が導かれる処理室と、
上記処理室内に配置され、上記被処理物を混練及び圧縮する螺旋羽根を有する螺旋軸と、
上記処理室の端面に上記螺旋軸の先端に対向して設置され、上記螺旋軸により被処理物が導かれて成形を行う成形ノズルとを備え、溶融物と非溶融物とを含む廃棄物を減容及び成型して固形物を製造する押出成形機であって、
上記処理室の壁面に、上記螺旋軸の螺旋羽根に対して傾斜した方向に延在し、矩形断面を有する尾根又は溝が形成されていることを特徴とする押出成形機。
【請求項2】
請求項1に記載の押出成形機において、
上記処理室の壁面の溝又は尾根は、上記螺旋軸の中心を通る平面に関して螺旋羽根が傾斜する側と反対側に傾斜していることを特徴とする押出成形機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の押出成形機において、
上記処理室の壁面に、上記螺旋軸の螺旋羽根に対して傾斜した方向に延在し、頂部が平坦な矩形断面を有する尾根が形成されていることを特徴とする押出成形機。
【請求項4】
請求項2に記載の押出成形機において、
上記溝又は尾根が、上記螺旋軸の中心を通る平面に関して10°以上80°以下の傾斜角度を成すことを特徴とする押出成形機。
【請求項5】
請求項1に記載の押出成形機において、
上記処理室の壁面部分は、取り外し可能な複数の壁面部材で形成され、
上記壁面部材の内側面に、上記溝又は尾根が形成されていることを特徴とする押出成形機。
【請求項6】
請求項5に記載の押出成形機において、
上記壁面部材は、楔により上記処理室に固定されていることを特徴とする押出成形機。
【請求項7】
請求項5に記載の押出成形機において、
上記壁面部材は、ネジにより上記処理室に固定されていることを特徴とする押出成形機。
【請求項8】
請求項1に記載の押出成形機において、
上記螺旋軸を2個備え、これらの2個の螺旋軸は互いに平行に配列されて互いに逆方向に回転駆動され、
上記処理室の一方の螺旋軸に対向する壁面に設けられた溝又は尾根と、他方の螺旋軸に対向する壁面に設けられた溝又は尾根は、互いに逆向きに傾斜して形成されていることを特徴とする押出成形機。
【請求項9】
請求項1に記載の押出成形機において、
上記廃棄物の溶融物はプラスチックを含み、上記廃棄物の非溶融物は紙屑又は木屑を含むことを特徴とする押出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば廃プラスチック、古紙及び木屑等を押し出し成型して燃料等の固形物を作製する押出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、廃プラスチック、古紙及び木屑等を材料に用いて固形燃料を作製する押出成形機として、材料の投入口に連なる混合室と、この混合室に連なる圧縮室と、上記混合室と圧縮室に延在して互いに平行に配列された2つの螺旋軸と、螺旋軸の先端に対向して設置されて押し出し孔が設けられた端面板を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の押出成形機は、螺旋軸のピッチが、先端に向かうにつれて狭くなるように形成されて、螺旋軸と圧縮室の間に形成される圧縮空間が、先端に向かうほど小さく形成されている。これにより、投入口に投入された被処理物を、螺旋軸で先端側に送るにつれて上昇する圧縮力で圧縮しながら混練し、摩擦による温度上昇で廃プラスチック等の溶融物を効果的に溶融すると共に、古紙や木屑等の非溶融物と効果的に混合するように形成されている。こうして溶融物と非溶融物が混合された被処理物を、端面板の押し出し孔から押し出して、成型物を製造するように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−241074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の押出成形機は、螺旋軸の先端側に導かれた被処理物が移動し難くなり、螺旋軸による被処理物の送り量が低下する問題がある。最悪の場合、被処理物が螺旋軸の軸方向に移動することなく螺旋軸と共に周方向に回転する供回りが生じ、押し出し孔から成型物を押し出す能力が著しく低下する恐れがある。
【0006】
また、上記従来の押出成形機は、被処理物が、合成樹脂製の粒状体等のように流動性が比較的高いものである場合、螺旋軸の先端側に導かれて高い圧縮力を受けると、螺旋軸と圧縮室との間の隙間を通って投入口側へ逆流し、成型物の生産量が低下する問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、螺旋軸による被処理物の送り量の低下を防止でき、また、被処理物の逆流を防止できる押出成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の押出成形機は、被処理物が投入される投入口と、
上記投入口に連なり、投入された上記被処理物が導かれる処理室と、
上記処理室内に配置され、上記被処理物を混練及び圧縮する螺旋羽根を有する螺旋軸と、
上記処理室の端面に上記螺旋軸の先端に対向して設置され、上記螺旋軸により被処理物が導かれて成形を行う成形ノズルとを備えた押出成形機であって、
上記処理室の壁面に、上記螺旋軸の螺旋羽根に対して傾斜した方向に延在する溝又は尾根が形成されていることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、投入口から投入された被処理物が処理室へ導かれ、この処理室内に配置された螺旋軸によって上記被処理物が混練及び圧縮される。螺旋軸で混練及び圧縮された被処理物は、上記処理室の端面に上記螺旋軸の先端に対向して設置された成形ノズルに導かれ、この成形ノズルで成型されて排出され、被処理物の成型物が製造される。上記螺旋軸で被処理物が圧縮されるとき、被処理物が螺旋軸に付着して軸方向へ移動し難くなる場合がある。ここで、上記処理室の壁面に、上記螺旋軸の螺旋羽根に対して傾斜した方向に延在する溝又は尾根が形成されているので、この溝又は尾根により、被処理物の軸方向への移動が促進される。したがって、螺旋軸による軸方向への被処理物の送り量の低下や被処理物の逆流を防止でき、また、被処理物が螺旋軸と共に周方向に回転する供回りを防止できる。また、被処理物が流動性の比較的高いものであっても、上記処理室の壁面に形成された溝又は尾根により、被処理物を軸方向の先端側へ移動することが促進されるので、螺旋軸と処理室との間の隙間を通って投入口側へ逆流する不都合を防止できる。
【0010】
一実施形態の押出成形機は、上記処理室の壁面の溝又は尾根は、上記螺旋軸の中心を通る平面に関して螺旋羽根が傾斜する側と反対側に傾斜している。
【0011】
上記実施形態によれば、螺旋軸で被処理物が圧縮される際に、処理室の壁面に形成され、螺旋軸の中心を通る平面に関して螺旋羽根が傾斜する側と反対側に傾斜した溝又は尾根により、被処理物を効果的に軸方向の先端側へ移動させることができる。
【0012】
一実施形態の押出成形機は、上記処理室の壁面に、上記螺旋軸の螺旋羽根に対して傾斜した方向に延在し、頂部が平坦な矩形断面を有する尾根が形成されている。
【0013】
上記実施形態によれば、処理室の壁面に形成されたのが、頂部が平坦な矩形断面を有する尾根であるので、尾根と螺旋軸の螺旋羽根の周縁部とが近接する部分の長さを比較的長く確保できる。したがって、被処理物に効果的に軸方向の力を与えて、軸方向の先端側へ移動させることができるので、被処理物の送り量の低下を防止でき、被処理物の逆流を効果的に防止できる。
【0014】
一実施形態の押出成形機は、上記溝又は尾根が、上記螺旋軸の中心を通る平面に関して10°以上80°以下の傾斜角度を成す。
【0015】
上記実施形態によれば、処理室の壁面に形成された溝又は尾根が、螺旋軸の中心を通る平面に関して10°以上80°以下の傾斜角度を成すので、螺旋軸の螺旋羽根が回転するに伴い、この螺旋羽根と共に回転する被処理物に、効果的に軸方向の力を与えることができる。
【0016】
一実施形態の押出成形機は、上記処理室の壁面部分は、取り外し可能な複数の壁面部材で形成され、
上記壁面部材の内側面に、上記溝又は尾根が形成されている。
【0017】
上記実施形態によれば、処理室の壁面は、螺旋軸で圧縮された状態で回転及び移動する被処理物と接するので、摩耗が進みやすい。ここで、処理室の壁面部分が取り外し可能な複数の壁面部材で形成され、この壁面部材の内側面に溝又は尾根が形成されているので、溝や尾根が摩耗しても、容易に交換して補修することができる。また、特に摩耗が進行した溝や尾根の部分の壁面部材を交換すればよいので、処理室の壁面を全て交換するよりも、補修の手間と費用を削減することができる。
【0018】
一実施形態の押出成形機は、上記壁面部材は、楔により上記処理室に固定されている。
【0019】
上記実施形態によれば、楔を用いることにより、壁面部材を処理室に容易に着脱できる。
【0020】
一実施形態の押出成形機は、上記壁面部材は、ネジにより上記処理室に固定されている。
【0021】
上記実施形態によれば、ネジを用いることにより、壁面部材を処理室に強固に固定することができる。
【0022】
一実施形態の押出成形機は、上記螺旋軸を2個備え、これらの2個の螺旋軸は互いに平行に配列されて互いに逆方向に回転駆動され、
上記処理室の一方の螺旋軸に対向する壁面に設けられた溝又は尾根と、他方の螺旋軸に対向する壁面に設けられた溝又は尾根は、互いに逆向きに傾斜して形成されている。
【0023】
上記実施形態によれば、処理室内へ投入される被処理物が、互いに平行に配列されて互いに逆方向に回転駆動される2個の螺旋軸により、効果的に混練され、圧縮される。一方の螺旋軸に対向する処理室の壁面に形成された溝又は尾根と、他方の螺旋軸に対向する処理室の壁面に形成された溝又は尾根が、互いに逆向きに傾斜して形成されているので、螺旋軸の回転方向に応じて被処理物を効果的に軸方向の先端側へ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態の押出成形機の主要部を示す縦断面図である。
図2】実施形態の押出成形機を示す平面図である。
図3】処理室の端面に設置された端面板を示す正面図である。
図4】処理室の内部を示す横断面図である。
図5A】処理室の壁面部分を形成する第1壁面部材の正面図である。
図5B】第1壁面部材の内側面を引き延ばして示した平面図である。
図6A】処理室の壁面部分を形成する第2壁面部材の正面図である。
図6B】第2壁面部材の内側面を引き延ばして示した平面図である。
図7】処理室の壁面の一部を展開して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態の押出成形機の主要部を示す縦断面であり、図2は、実施形態の押出成形機を示す平面図である。本実施形態の固形化処理装置は、被処理物として、溶融物としての例えばプラスチックと非溶融物としての例えば古紙や木屑等を含む廃棄物を、減容及び成形して固形燃料を製造するものである。
【0027】
本実施形態の押出成形機1は、被処理物を混練及び圧縮する2個の螺旋軸2,3と、これらの螺旋軸2,3に各々連結された回転駆動軸6,7と、一方の回転駆動軸6にカップリング4を介して連結された減速機R、伝動装置T及びモータMを備える。
【0028】
上記螺旋軸2,3は、上端に被処理物の投入口12が形成された混合ケーシング11と、この混合ケーシング11の前端部に連なる圧縮ケーシング13の内側に収容されている。混合ケーシング11の内側面及び圧縮ケーシング13の内側面と、螺旋軸2,3の外側面との間には、投入口12から投入された被処理物を混練及び圧縮する処理室が形成されている。詳しくは、上端に投入口12が形成された混合ケーシング11は、上部が概ね矩形状である一方、下部の内側面が、螺旋軸2,3の後側部分の両側と下側を取り囲む形状に形成されている。この混合ケーシング11の内側面と螺旋軸2,3の外側面との間に、主に被処理物の混練を行う処理室が形成される。また、圧縮ケーシング13は、断面が幅広の八角形を有し、内側に、螺旋軸2,3の前側部分を取り囲む壁面が形成されている。この圧縮ケーシング13の内側面と螺旋軸2,3の外側面との間に、主に被処理物の圧縮を行う処理室が形成される。圧縮ケーシング13の前端にはフランジ14が形成され、このフランジ14に端面板5がボルトで固定されている。この端面板5には、処理後の廃棄物を成形しながら排出する複数の成形ノズル57が取り付けられている。この端面板5の側面と、フランジ14の縁部とがリンクヒンジ装置50で接続されており、上記ボルトを外した状態で、上記リンクヒンジ装置50によって端面板5が回動可能になっている。
【0029】
混合ケーシング11の後側の壁面には軸挿通口11aが形成され、この軸挿通口11aに、一対の回転駆動軸6,7が挿通されている。回転駆動軸6,7の後側部分は、ギヤボックス16内に収容され、軸受17により回転自在に支持されている。回転駆動軸6,7の前側部分は六角形断面に形成された嵌合部6aに形成され、一対の上記嵌合部6aは、端面板5の内側面の近傍まで互いに平行に延びている。なお、図1には一方の回転駆動軸6の嵌合部6aのみを示している。以下、図示された一方の嵌合部6aのみの符号を引用するが、他方の回転駆動軸7の嵌合部も同様の構成を有する。上記一対の回転駆動軸6,7の嵌合部6aに、上記螺旋軸2,3が外嵌して取り付けられている。なお、本実施形態において、螺旋軸2,3及び回転駆動軸6,7の延在する方向において、端面板5に向かう側を前側といい、減速機Rに向かう側を後側という。
【0030】
螺旋軸2,3は、上記回転駆動軸6,7の嵌合部6aに取り付けられる軸部と、この軸部の周面に形成された螺旋羽根とを有する。一対の回転駆動軸6,7の嵌合部6aに取り付けられた一対の螺旋軸2,3は、螺旋羽根が互いに逆回りに形成されており、軸部の延在方向から見て螺旋羽根が重なり合うように配置されている。一対の回転駆動軸6,7は、図2の矢印R1,R2で示すように、互いに逆向きに回転駆動される。これにより、螺旋軸2,3は、互いの重なり合う部分において、螺旋羽根が上から下に向かって回転駆動されて、投入口12から投入された被処理物の廃棄物を挟み込み、混練及び圧縮しながら端面板5側に移送するように形成されている。
【0031】
上記一対の螺旋軸2,3は、混合ケーシング11内の後側から前側に向かって順に、第1螺旋軸部21と、第2螺旋軸部22と、第3螺旋軸部23とで形成されている。なお、図1には一方の螺旋軸2の第1乃至第3螺旋軸部21,22,23のみを示しているが、他方の螺旋軸3も同様に、第1乃至第3螺旋軸部で形成されている。以下、一方の螺旋軸2のみの符号を引用するが、他方の螺旋軸3も同様の構成を有する。第1乃至第3螺旋軸部21,22,23は、軸部21a,22a,23aと、螺旋羽根21b,22b,23bとで形成されている。第1及び第2螺旋軸の軸部21a,22aは、嵌合部6aに挿通される断面六角形の貫通孔21c,22cが中心軸と同軸に形成されている。一方、第3螺旋軸の軸部23aは、嵌合部6aの先端部に嵌合する断面六角形の有底孔23cが中心軸と同軸に形成されている。この第3螺旋軸の軸部23aの端面には、上記有底孔23cに連なるボルト孔が設けられている。上記回転駆動軸6,7の嵌合部6aに、上記貫通孔21c,22cが挿通されて螺旋軸6,7が取り付けられ、上記有底孔23cが嵌合して第3螺旋軸部23が取り付けられる。この第3螺旋軸部23の端面のボルト孔にボルト25を挿通し、このボルト25を回転駆動軸6,7の嵌合部6aに螺着して、第1乃至第3螺旋軸部21,22,23を回転駆動軸6,7に固定する。なお、一方の螺旋軸6の第1乃至第3螺旋軸部21,22,23の螺旋羽根21b,22b,23bと、他方の螺旋軸7の第1乃至第3螺旋軸の螺旋羽根は、互いに反対方向巻きに形成されている。
【0032】
上記螺旋軸2,3は、第1螺旋軸部21の軸部21aの径と第2螺旋軸部22の軸部22aの径を、この順に大きく形成している。一方、第2螺旋軸部22と第3螺旋軸部23は、軸部22a,23aの径を同一に形成している。また、上記螺旋軸2,3は、螺旋羽根21b,22b,23bの軸方向の間隔であるピッチを、この順に小さく形成している。さらに、第1乃至第3螺旋軸部21,22,23の螺旋羽根21b,22b,23bの厚みを、この順に大きく形成している。これにより、各螺旋軸部21,22,23の外周に接する円筒と、各螺旋軸部21,22,23の外側面との間に形成される室の容積を、上記第1螺旋軸部21と、第2螺旋軸部22と、第3螺旋軸部23との順で小さく形成している。これにより、上記第1螺旋軸部21、第2螺旋軸部22及び第3螺旋軸部23は、被処理物に、順次大きい圧縮力を作用するように形成されている。上記第1螺旋軸部21に対応する室の容積に対して、上記第3螺旋軸部23に対応する室の容積を、1/2から1/3の間の比(以下、減容比という)となるように形成している。このような減容比を有する螺旋軸2,3を用いることにより、投入時にカサ比重が0.025の被処理物である廃棄物を、端面板の成形ノズル57の排出時には、カサ比重が概ね0.45から0.5の間となる程度に圧縮できる。また、投入時にカサ比重が0.025の廃棄物を、成形ノズル57からの排出時には、真比重が概ね0.6から1.2の間となる程度に圧縮できる。
【0033】
上記螺旋軸2,3は、第2螺旋軸の軸部22aの第1螺旋軸側21の端部が、テーパー状に形成されている。これにより、被処理物を第1螺旋軸部21から第2螺旋軸部22へ移送するとき、軸部21a,22aの径が大きくなっても、被処理物に与える抵抗が少なくなるようにしている。
【0034】
また、上記螺旋軸2,3は、上記第1螺旋軸部21と、第2螺旋軸部22と、第3螺旋軸部23を、いずれも、螺旋羽根21b,22b,23bの巻き数を1巻きに形成している。すなわち、各螺旋軸の螺旋羽根21b,22b,23bの一端が、軸方向から見て、その螺旋羽根21b,22b,23bの他端と略同じ周方向位置にある。これにより、第1乃至第3螺旋軸部21,22,23の製造を容易にし、また、第1乃至第3螺旋軸部21,22,23の修理及び交換等の保守作業を行い易くしている。
【0035】
上記第3螺旋軸部23は、螺旋羽根23bの端に連なり、軸部23aの中心軸と略直角に形成された平面部23dを有する。この平面部23dを端面板5の内側面に近接させて回転駆動することにより、高密度に圧縮された廃棄物を端面板5の成形ノズル57から確実に押し出すようにしている。この第3螺旋軸部23は、廃棄物に各螺旋軸部21,22,23が与える圧縮力のうち最大の圧縮力を与えるので、磨耗量が他の螺旋軸よりも多く、また、廃棄物に混入する金属片等によって欠けが生じやすい。そこで、第3螺旋軸部23を、クロム鋼で形成した基部と、この基部の表面に溶接によって形成された肉盛部とで構成している。この肉盛部は、例えばタングステンカーバイド系材料等のような耐磨耗材料を用いて形成するのが好ましい。
【0036】
また、第3螺旋軸部23は、軸部23aに、径方向に延びる油孔が形成され、この油孔を通して軸部23aの有底孔23cと回転駆動軸6,7の嵌合部6aとの間に潤滑油が供給される。潤滑油としては、黒鉛グリスを用いるのが好ましい。これにより、廃棄物に与える圧縮力が大きいにもかかわらず、第3螺旋軸の軸部23aと嵌合部6aの間に、応力腐食や、固着や、廃棄物の微粒子の噛み込み等の不都合が生じることを防止できる。また、第3螺旋軸部23と同様に、第1及び第2螺旋軸部21,22についても、各螺旋軸に形成した油孔を通して各螺旋軸と嵌合部6aとの間に潤滑油を供給する。
【0037】
また、第3螺旋軸部23は、軸部23aの端面に4つのジャッキネジ孔27を有する。このジャッキネジ孔27にジャッキネジを螺合し、このジャッキネジで嵌合部6aの端面に力を与えることにより、第3螺旋軸部23を嵌合部6aから容易に引き抜くことができる。
【0038】
混合ケーシング11の後側に位置するギヤボックス16内には、上記一対の回転駆動軸6,7に各々設けられて互いに噛み合う平歯車61,71が収容されている。一方の回転駆動軸6は、ギヤボックス16に隣接して設けられたカップリング4に接続されている。上記カップリング4は減速機Rに接続されており、モータMから伝動機Tを介して伝達された回転力が、この減速機Rで減速され、カップリング4を介して上記一方の回転駆動軸6に伝達される。この一方の回転駆動軸6の平歯車61を介して他方の回転駆動軸7に回転力が伝達されて、上記一対の回転駆動軸6,7が互いに反対方向に等速で回転するように形成されている。
【0039】
図3は、端面板5を、圧縮ケーシング13の側から視た様子を示す正面図である。この端面板5は、鋼板で形成され、圧縮ケーシング13側である一方の面に形成された矩形の凹部51aを有する端面板本体51と、この端面板本体51の凹部51aに嵌合されて耐摩耗鋼で形成された矩形の板状の耐摩耗板52と、端面板本体51に取り付けられた複数の成形ノズル57,57,・・・と、端面板本体51の上端面に設けられた端子ケース53を有する。
【0040】
耐摩耗板52は、端面板本体51よりも高い硬度を有し、ロックウェル硬さが50以上の耐摩耗鋼で形成されている。このような耐摩耗鋼として、例えばスウェーデンスティール株式会社製のハルドックス500を用いることができる。耐摩耗板52には、第3螺旋軸部23の先端の平面部23dが近接して通過する8の字状の領域に、複数の材料供給孔52c,52c,・・・が形成されている。材料供給孔52cの混合ケーシング11内を臨む側の開口には、加圧された材料を導入するために、円錐台形状の面取り部52dが設けられている。耐摩耗板52の四隅の角部には、正面視において直線状の面取り部52aが設けられている。耐摩耗板52の四隅と各辺の中央には、端面板本体51に固定するための複数のボルト穴52b,52b,・・・が設けられている。
【0041】
端面板本体51の凹部51aは、正面視において略矩形状に形成され、隅部に、平面視において弧状の面取りが形成されている。端面板本体51の凹部51aの底面には、上記耐摩耗板52の複数の材料供給孔52c,52c,・・・と同じ位置に形成された複数のノズル孔51cが形成されている。このノズル孔51cの凹部51aの底面側の開口には、段部51dが形成されている。この段部51dに、成形ノズル57の端部に設けられたフランジ57aを係止させて、ノズル孔51cに成形ノズル57を取り付けている。
【0042】
上記成形ノズル57は、内壁が円筒形状に形成されており、材料供給孔52cと連通する一端の開口は、軸方向断面において、直角に形成されている。成形ノズル57は、ノズル孔51cに挿通されて端面板本体51の他方の面から突出している。
【0043】
上記端面板本体51には、耐摩耗板52の材料供給孔52c及び成形ノズル57内を通る被処理物を加熱するための複数のヒータ54が内蔵されている。このヒータ54は、抵抗加熱式のヒータである。このヒータ54は、幅方向に6列配置されている。また、このヒータ54は、端面板5の厚み方向に、1列又は2列設けられている。なお、ヒータ54の幅方向の配列数は、6以外であってもよい。
【0044】
上記端面板本体51には、複数のノズル孔51cのうちの1つに、温度センサ55が内蔵されている。この温度センサ55によって、ノズル孔51cに嵌合された成形ノズル57を通る材料の温度を検出し、検出温度が予め設定された値となるように、図示しない制御装置によってヒータ54のオンオフの制御が行われる。上記混合ケーシング11には、図示しないポンプによって水が供給される注水ノズルが設けられており、上記ポンプは制御装置によって動作が制御される。温度センサ55の検出温度が異常に高い場合に、制御装置による制御のもと、上記ポンプが作動して注水ノズルを通じて混合ケーシング11内に注水を行い、被処理物の温度を低下させるようになっている。上記制御装置、ポンプ及び注水ノズルにより、注水装置が形成されている。
【0045】
端面板本体51の上端に取り付けられた端子ケース53は、上記6本のヒータ54に接続された電力配線54aを収容しており、この電力配線54aに連なるコネクタが他方の面に設けられている。また、端子ケース53は、上記温度センサ55に接続された信号配線を収容しており、この信号配線に連なるコネクタ55aが上端に設けられている。上記端子ケース53は、図示しないボルトで端面板本体51の上端に連結されており、端子ケース53の上端面に固定されたアイボルト56によって、端面板5を吊り下げ可能になっている。
【0046】
端面板本体51の周縁部には、複数のボルト穴51b,51b,・・・が設けられており、このボルト穴51b,51b,・・・に挿通されたボルトにより、端面板本体51が圧縮ケーシング13の端面のフランジ14に固定される。
【0047】
端面板5の前面には、図示しない切断機が取り付けられており、この切断機によって、上記端面板5の成形ノズル57から排出されて成形された被処理物を切断するようになっている。切断機は、圧縮ケーシング13のフランジ14に、幅方向においてリンクヒンジ装置50が設けられた側と反対側にヒンジで支持されるのが好ましい。
【0048】
図4は、圧縮ケーシング13を図1のA−A線で切断し、内部を視た様子を示す断面図である。なお、図4において、第1乃至第8壁面部材31,32,33,34,35,36,37,38と螺旋軸2,3は、断面ではなく、正面の様子を示している。図4に示すように、圧縮ケーシング13内には、螺旋軸2,3の第2螺旋軸部22と第3螺旋軸部23,26を取り囲む8個の壁面部材31,32,33,34,35,36,37,38が配置されている。この第1乃至第8壁面部材31乃至38の内側面と、第2及び第3螺旋軸部22,23,26の外側面との間に、廃棄物の処理室を形成している。
【0049】
上記第1乃至第8壁面部材31乃至38は、図4に示すように、幅広の八角形断面を有する圧縮ケーシング13の内側面に沿うように配列される。第1壁面部材31に関して、第4壁面部材34が、螺旋軸2,3の互いの中心線を通る面に関して対称に形成されている。また、第1壁面部材31に関して、第5壁面部材35が、螺旋軸2,3の互いの中心線に対して直角を成す面に関して対称に形成されている。また、第2壁面部材32に関して、第3壁面部材33が、螺旋軸2,3の互いの中心線を通る面に関して対称に形成されている。また、第2壁面部材32に関して、第6壁面部材36が、螺旋軸2,3の互いの中心線に対して直角を成す面に関して対称に形成されている。更に、また、第5壁面部材35及び第6壁面部材36に関して、第8壁面部材38及び第7壁面部材37が、螺旋軸2,3の互いの中心線を通る面に関して対称に形成されている。このように、第1壁面部材31と第2壁面部材32を線対称に形成してなる第3乃至第8壁面部材33乃至38により、第2及び第3螺旋軸部22,23,26を取り囲む壁面を形成している。これらの第1乃至第8壁面部材31乃至38には、第2及び第3螺旋軸部22,23,26に臨む面に、第2及び第3螺旋軸部22,23,26の螺旋羽根22b,23b,26bに対して傾斜した方向に延在する複数の尾根としての突起が形成されている。したがって、一方の螺旋軸2を取り囲む第1乃至第4壁面部材31乃至34の突起と、他方の螺旋軸3を取り囲む第5乃至第8壁面部材35乃至38の突起は、互いに反対方向に傾斜している。
【0050】
図5Aは、第1壁面部材31を示す正面図であり、図5Bは、第1壁面部材31の湾曲した内側面を引き延ばして示した平面図である。第1壁面部材31は、一方の螺旋軸2の上側から他方の螺旋軸3寄りの側にかけて配置される。図5Aに示すように、第1壁面部材31は、部材本体310と、部材本体310の圧縮ケーシング13の内側面に接する面に、法線方向に突出した突出部312と、この突出部312の先端近傍に設けられた楔孔313を有する。部材本体310の突出部312と反対側には、一方の螺旋軸2の第2及び第3螺旋軸部22,23に臨むように曲面で形成され、壁面の一部を形成する内側面310aが形成されている。この内側面310aに、螺旋軸2の中心を通る平面に関して螺旋羽根22b,23bが傾斜する側と反対側に傾斜した複数の突起315,315が設けられている。この突起315,315は、矩形の横断面形状を有し、螺旋軸2の延在方向において、第2及び第3螺旋軸部22,23のピッチの平均値の88%の間隔L1をおいて配置されている。
【0051】
図6Aは、第2壁面部材32を示す正面図であり、図6Bは、第2壁面部材32の湾曲した内側面を引き延ばして示した平面図である。第2壁面部材32は、一方の螺旋軸2の上側から他方の螺旋軸3と反対の側部にかけて配置される。図6Aに示すように、第2壁面部材32は、部材本体320と、部材本体320の圧縮ケーシング13の内側面に接する面に、法線方向に突出した突出部322と、この突出部322の先端近傍に設けられた楔孔323を有する。部材本体320の突出部322と反対側には、一方の螺旋軸2の第2及び第3螺旋軸部22,23に臨むように曲面で形成され、壁面の一部を形成する内側面320aが形成されている。この内側面320aに、螺旋軸2の中心を通る平面に関して螺旋羽根22b,23bが傾斜する側と反対側に傾斜した複数の突起325,325が設けられている。この突起325,325は、矩形の横断面形状を有し、螺旋軸2の延在方向において、第2及び第3螺旋軸部22,23のピッチの平均値の88%の間隔L2をおいて配置されている。
【0052】
上記第1及び第2壁面部材31,32に設けた突起315,325の間隔L1,L2は、第2及び第3螺旋軸部22,23のピッチの平均値の10%以上150%以下の範囲に設定でき、好ましくは、第2及び第3螺旋軸部22,23のピッチの平均値の50%以上100%以下である。また、突起315,325の幅は、突起315,325の間隔L1,L2の50%以下となるように設定する。
【0053】
上記第1及び第2壁面部材31,32に設けた突起315,325の高さは、螺旋軸2の螺旋羽根22b,23bの周縁に対して、所定のクリアランスを成す高さに設定されている。突起315,325と螺旋羽根22b,23bの間のクリアランスは、3mm程度に設定することができる。また、第1及び第2壁面部材31,32の内側面310a,320aと、螺旋軸2の螺旋羽根22b,23bの周縁との間のクリアランスは、11mm程度に設定することができる。この場合、突起315,325の高さは8mm程度に設定することができる。なお、第1及び第2壁面部材31,32の内側面310a,320a及び突起315,325と、螺旋羽根22b,23bの周縁との間のクリアランスは、螺旋軸2の径等に応じて適宜設定できる。
【0054】
上記第1乃至第8壁面部材31乃至38は、図4に示すように、幅広の八角形断面を有する圧縮ケーシング13の内側面に沿うように配列される。第1壁面部材31に関して、第4壁面部材34が、螺旋軸2,3の互いの中心線を通る面に関して対称に形成されている。また、第1壁面部材31に関して、第5壁面部材35が、螺旋軸2,3の互いの中心線に対して直角を成す面に関して対称に形成されている。また、第2壁面部材32に関して、第3壁面部材33が、螺旋軸2,3の互いの中心線を通る面に関して対称に形成されている。また、第2壁面部材32に関して、第6壁面部材36が、螺旋軸2,3の互いの中心線に対して直角を成す面に関して対称に形成されている。更に、また、第5壁面部材35及び第6壁面部材36に関して、第8壁面部材38及び第7壁面部材37が、螺旋軸2,3の互いの中心線を通る面に関して対称に形成されている。このように、第1壁面部材31と第2壁面部材32を線対称に形成してなる第3乃至第8壁面部材33乃至38により、第2及び第3螺旋軸部22,23,26を取り囲む壁面を形成している。これらの第1乃至第8壁面部材31乃至38には、第2及び第3螺旋軸部22,23,26に臨む面に、第2及び第3螺旋軸部22,23,26の螺旋羽根22b,23b,26bに対して傾斜した方向に延在する複数の尾根としての突起が形成されている。したがって、一方の螺旋軸2を取り囲む第1乃至第4壁面部材31乃至34の突起と、他方の螺旋軸3を取り囲む第5乃至第8壁面部材35乃至38の突起は、互いに反対方向に傾斜している。
【0055】
図7は、第1乃至第4壁面部材31乃至34の内側面によって形成される処理室の壁面の一部を展開して示した図である。図7には、第1乃至第4壁面部材31乃至34に取り囲まれる螺旋軸2の断面を併せて示している。図7に示すように、第1壁面部材31の突起315,315と、第2壁面部材32の突起325,325と、第3壁面部材33の突起335,335と、第4壁面部材34の突起345,345は、螺旋軸2の中心を通る平面に関して互いに同じ方向に傾斜し、螺旋状を成している。これにより、第1乃至第4壁面部材の突起315乃至345は、図7において破線で示すように対向する螺旋軸2の螺旋羽根22b,23bに対して、反対方向に傾斜している。上記第1乃至第4壁面部材の突起315乃至345は、螺旋軸2の中心を通る平面に対する角度αが、55°以上65°以下の範囲内に設定されている。ここで、突起315乃至345の角度は、10°以上80°以下の範囲に設定でき、好ましくは、20°以上70°以下である。
【0056】
他方の螺旋軸3を取り囲む第5乃至第8壁面部材35乃至38についても、一方の螺旋軸2を取り囲む第1乃至第4壁面部材31乃至34と同様に、内側面に、他方の螺旋軸の螺旋羽根26bに対して反対方向に傾斜した突起が設けられている。これにより、第1乃至第4壁面部材31乃至34の突起315乃至345と、第5乃至第8壁面部材35乃至38の突起は、互いに反対方向に傾斜している。
【0057】
上記第1乃至第8壁面部材31乃至38の内側面部分及び突起315乃至345は、耐磨耗鋼で形成している。耐摩耗鋼は、ロックウェル硬さが50以上であるのが好ましく、例えばスウェーデンスティール株式会社製のハルドックス500等を用いることができる。上記第1乃至第8壁面部材31乃至38は、圧縮ケーシング13に形成された貫通孔から第1乃至第8壁面部材31乃至38の突出部312,322を外側に突出させて、圧縮ケーシング13の内側に配置される。上記突出部312,322の圧縮ケーシング13の外側に突出した楔孔313,323に、圧縮ケーシング13の外側から楔39を挿入して、第1乃至第8壁面部材31乃至38を圧縮ケーシング13に固定している。これにより、簡易な構成で第1乃至第8壁面部材31乃至38を圧縮ケーシング13内に容易に着脱でき、容易に補修や交換等の保守作業を行うことができる。なお、第1乃至第8壁面部材31乃至34は、突出部312乃至322に雄螺子を設け、圧縮ケーシング13の貫通孔から突出させた突出部312乃至322に、雌螺子を有するナットを螺着して固定してもよい。
【0058】
上記構成の押出成形機1が作動すると、モータMの回転力が、伝動機T、減速機R及びカップリング4を介して回転駆動軸6に伝達され、この回転駆動軸6に伝達された回転力が平歯車61,71によって他方の回転駆動軸7に伝達されて、一対の回転駆動軸6,7が互いに逆向きに回転駆動される。回転駆動軸6,7の嵌合部6aに取り付けられた一対の螺旋軸2,3が、混合ケーシング11及び圧縮ケーシング13内で互いに逆向きに回転する。一対の螺旋軸2,3は、平面視において幅方向の内側に向かうと共に、正面視において、図4の矢印R3及びR4で示すように、上から下に向かう方向に回転駆動される。螺旋軸2は30rpm(回転毎分)以上60rpm以下の比較的低速度で回転するのが好ましい。
【0059】
混合ケーシング11の投入口12には、被処理物である廃棄物が投入される。廃棄物は、プラスチック等の溶融物と、紙屑や木屑等の非溶融物との混合物が好ましい。特に、廃棄物は、その構成物の割合が、溶融物と非溶融物の合計が100wt%であって、溶融物が20wt%(質量パーセント)以上80wt%以下の間であり、かつ、非溶融物が20wt%以上80wt%以下であるのが好ましい。
【0060】
混合ケーシング11内では、投入された被処理物を、一対の第1螺旋軸部21によって挟み込み、混練し、第2螺旋軸部22側に移送する。一対の第2螺旋軸部22は、この第2螺旋軸部22と第1乃至第8壁面部材31乃至38との間に形成された処理室内に被処理物を導いて、被処理物の混練及び圧縮を行う。続いて、一対の第3螺旋軸部23,26が、この第3螺旋軸部23と第1乃至第8壁面部材31乃至38との間に形成された処理室内に被処理物を導いて、更なる混練と圧縮を行う。
【0061】
上記第1及び第2螺旋軸部21,22は、この順に、軸部21a,22aの径が大きく形成されている。また、上記第1螺旋軸部21と第2螺旋軸部22と第3螺旋軸部23,26は、この順に、螺旋羽根21b,22b,23b,26bのピッチが小さく形成され、螺旋羽根21b,22b,23b,26bの厚みが大きく形成されている。これらにより、第1螺旋軸部21から第3螺旋軸部23側に向かうにつれて、順次大きい圧縮力を被処理物に与えて混練を行うことができる。したがって、被処理物に圧縮熱と摩擦熱を効果的に生じさせることができる。その結果、被処理物に含まれる例えばプラスチック等の溶融物を効果的に溶融させることができる。この圧縮熱や摩擦熱は、被処理物に含まれる溶融物と非溶融物の合計が100wt%であって、溶融物が20wt%以上80wt%以下の間であり、かつ、非溶融物が20wt%以上80wt%以下の場合に、効果的に生成することができる。このように、被処理物の圧縮熱や摩擦熱によって十分に溶融物を融解できるので、端面板5のヒータ54の発熱量を比較的低く抑えても、被処理物の溶融物を十分に溶解することができる。
【0062】
上記螺旋軸2,3の第3螺旋軸部23,26に導かれて高圧力で圧縮された廃棄物は、溶融した溶融物と非溶融物が混合した状態で、端面板5の成形ノズル57から棒状に押し出される。押し出された棒状の廃棄物は、切断機によって所定長さに切断され、下方に配置された容器内に落下して回収される。所定長さに切断された棒状の廃棄物は、温度が降下するに伴って溶融物が固化して、固形再生燃料となる。このようにして得られた固形再生燃料は、5000〜6000cal/gの発熱量を有し、燃料としての利用が可能である。
【0063】
上記螺旋軸2,3と圧縮ケーシング13の間の処理室内で被処理物が混練及び圧縮される際、被処理物の密度の上昇や、螺旋軸2,3の表面への被処理物の付着等に起因して、従来、被処理物の端面板5側への送り量が低下する問題があった。ここで、本実施形態によれば、螺旋軸2,3を取り囲む第1乃至第8壁面部材31,32,33,34,35,36,37,38の内側面に、螺旋軸2,3の螺旋羽根22b,23b,26bに対して傾斜した突起315,325,335,345を備えるので、この突起315,325,335,345に沿って、螺旋軸2,3と第1乃至第8壁面部材31,32,33,34,35,36,37,38の間の被処理物が移動する。これにより、螺旋軸2,3と第1乃至第8壁面部材31,32,33,34,35,36,37,38の間の被処理物が、螺旋軸2,3の中心軸方向において前向きの力を受けるので、端面板5側へ送られる。その結果、被処理物の送り量が低下する不都合を防止でき、また、被処理物が螺旋軸2,3と共に周方向に回転する供回りを防止できる。
【0064】
また、被処理物に、合成樹脂製の粒状体等のような流動性の比較的高いものが含まれていても、上記第1乃至第8壁面部材31,32,33,34,35,36,37,38の内側面に形成された突起315,325,335,345により、被処理物を螺旋軸2,3の先端側へ移動することが促進される。したがって、螺旋軸2,3と第1乃至第8壁面部材31,32,33,34,35,36,37,38との間の隙間を通って投入口12側へ被処理物が逆流する不都合を、効果的に防止できる。
【0065】
また、混合ケーシング11及び圧縮ケーシング13内の被処理物は、第1、第2及び第3螺旋軸部21,22,23により順次大きい圧縮力が与えられて混練が行われることにより、圧縮熱と摩擦熱が生じて100〜150℃程度の高温となる。ここで、被処理物の水分量が多い場合、被処理物の温度上昇に伴って水蒸気が生成される。また、被処理物が150℃を超える異常高温となった場合、注水装置によってケーシング11内に注水が行われ、異常高温の被処理物に水が接触して水蒸気が生成される。これらの状況において、圧縮ケーシング13内の第1乃至第8壁面部材31乃至38に、螺旋軸2,3の螺旋羽根22b,23b,26bに対して傾斜した突起315,325,335,345を備えるので、ケーシング11,13内に生じた水蒸気や、この水蒸気に混入する被処理物の細粒分の逆流を、効果的に防止できる。
【0066】
上記実施形態において、処理室の壁面を形成する第1乃至第8壁面部材31,32,33,34,35,36,37,38の内側面に、尾根としての突起315,325,335,345を設けたが、溝を設けてもよい。また、混合ケーシング11の螺旋軸2,3に近接する壁面に、溝又は尾根を設けてもよい。
【0067】
また、処理室の壁面に形成した尾根としての突起315,325,335,345の断面形状は矩形であったが、三角形や、半円形又は半楕円形の断面でもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 押出成形機
2,3 螺旋軸
4 カップリング
5 端面板
6,7 回転駆動軸
6a 回転駆動軸の嵌合部
11 混合ケーシング
13 圧縮ケーシング
16 ギヤボックス
21 第1螺旋軸部
22 第2螺旋軸部
23,26 第3螺旋軸部
21a,22a,23a 軸部
21b,22b,23b,26b 螺旋羽根
31,32,33,34,35,36,37,38 壁面部材
315,325,335,345 突起
57 成形ノズル
61,71 平歯車
M モータ
R 減速機
T 伝達装置
【要約】
【課題】螺旋軸による被処理物の送り量の低下を防止でき、また、被処理物の逆流を防止できる押出成形機を提供する。
【解決手段】
押出成形機1は、混合ケーシング11と圧縮ケーシング13の内側に、被処理物を混練及び圧縮する螺旋軸2を備える。圧縮ケーシング13の内側に、螺旋軸2を取り囲むように配置された複数の壁面部材31,34を有する。壁面部材31,34の内側面には、螺旋軸2の中心を通る平面に関して螺旋羽根22b,23bが傾斜する側と反対側に傾斜した複数の突起が形成されている。回転駆動軸6で螺旋軸2が回転駆動されると、螺旋軸2の螺旋羽根22b,23bにより、圧縮ケーシング13内の被処理物が圧縮される。螺旋羽根22b,23bと反対向きに傾斜した壁面部材31,34の突起により、被処理物が螺旋軸2の先端側に送られて、送り量の低下や供回りが防止される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7