(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203364
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】5−アミノレブリン酸塩酸塩用の経皮治療システム
(51)【国際特許分類】
A61K 31/197 20060101AFI20170914BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20170914BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20170914BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20170914BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
A61K31/197
A61P17/00
A61P35/00
A61K9/70 401
A61K47/32
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-211246(P2016-211246)
(22)【出願日】2016年10月28日
(62)【分割の表示】特願2014-527607(P2014-527607)の分割
【原出願日】2012年8月24日
(65)【公開番号】特開2017-61489(P2017-61489A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】102011111865.2
(32)【優先日】2011年8月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ユング
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ホルストマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト・ホフマン
【審査官】
伊藤 清子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−503591(JP,A)
【文献】
国際公開第1996/006602(WO,A1)
【文献】
特表2004−506005(JP,A)
【文献】
特表2001−514243(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0182790(US,A1)
【文献】
特表2005−519054(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/080199(WO,A1)
【文献】
特表2000−513347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/197
A61K 9/70
A61K 47/32
A61P 17/00
A61P 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分非透過性の裏側層、活性成分含有ポリマーマトリックス及び剥ぎ取ることのできる保護層を含んでなる、例えば光線角化症のような皮膚癌の前段階、及び腫瘍学的皮膚疾患を診断及び処置するための経皮治療システムであって、活性成分が5−アミノレブリン酸塩酸塩であり、ポリマーマトリックスのベースポリマーが接着性ポリアクリレートであり、そしてポリアクリレートが架橋剤なしで得られたものであることを特徴とする、上記経皮治療システム。
【請求項2】
経皮治療システムがモノリシック活性成分含有接着剤システムであることを特徴とする、請求項1に記載の経皮治療システム。
【請求項3】
5−アミノレブリン酸塩酸塩が結晶性5−アミノレブリン酸塩酸塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の経皮治療システム。
【請求項4】
結晶性5−アミノレブリン酸塩酸塩の結晶の50%がポリマーマトリックスの層の厚さよりも大きいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項5】
結晶性5−アミノレブリン酸塩酸塩の99.9%を超す結晶が約250μmより小さい、粒子径を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項6】
ポリマーマトリックスが、ポリアクリレートに基づいて30質量%未満の可塑剤を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項7】
ポリアクリレートが酸性官能基を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項8】
ポリアクリレートが、アクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル及び酢酸ビニルをベースとするか、又はアクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル及び
アクリル酸メチルをベースとするポリアクリレートであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項9】
ポリマーマトリックスが、10質量%を超す5−アミノレブリン酸塩酸塩を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項10】
ポリマーマトリックスが、60質量%を超すポリアクリレートを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項11】
経皮治療システムが、モノリシック活性成分含有接着剤システムであること、及びポリマーマトリックスが、約28質量%の結晶性5−アミノレブリン酸塩酸塩、並びにアクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル及びアクリル酸メチルをベースとする、架橋剤無しで得られた、約72質量%のポリアクリレートを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項12】
治療剤として使用するための、請求項1〜11の少なくともいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−アミノレブリン酸塩酸塩用の経皮治療システム及び経皮活性成分含有絆プラスター剤(plaster)に関する。それはまた、光線力学的診断及び治療におけるこの
タイプのシステムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮治療システムは、従来の投与形態と比較して一定の利点を示すので、今日では多くの病気を処置するための投与形態として広く知られるようになった。従って、経皮治療システムは、活性成分の一定の投薬を確実にするので、活性成分の治療的価値を高めることができる。経皮治療システムの利点はまた、軟膏又はクリームと比較して、正確な範囲にそしてそれ故、正確な投与量で適用できる。さらにその上、不注意に軟膏を拭き取る及び皮膚の他の位置を汚染する危険が無い。
【0003】
5−アミノレブリン酸を放出するための経皮治療システムは、特許文献1から知られる。5−アミノレブリン酸は、腫瘍組織によって選択的に吸収されそして濃縮され、従ってそれはそこにだけポルフィリン形成の増加と濃縮をもたらすが、一方健康な組織は実質的に影響を受けないままである。5−アミノレブリン酸の作用は、身体自身のポルフィリン形成の刺激に基づく。ポルフィリンは、X線照射時に強い蛍光を発するので、5−アミノレブリン酸又はポルフィリンの濃縮は、罹患組織において前癌性及び癌性病変を診断するため、及びそれらのプロトダイナミック(protodynamic)療法のために使用できる。同様のシステムはまた、特許文献2から知られる。2つのシステムは、5−アミノレブリン酸が比較的不十分にしかヒト皮膚に浸透しないという欠点を有する。
【0004】
光線角化症(actinic keratosis)は、症例の10%台後半が10年以内に皮膚の扁平
上皮細胞癌(棘細胞癌)に発展することがあるので、白色皮膚癌の初期形態と呼ばれる。それは、多年にわたる直射日光(UV照射)の強烈な作用によってもたらされた角質表皮に対する慢性的損傷である。光線角化症に対する重要な治療法は、いわゆる光線力学療法である。初めに活性成分が、ここで罹患した皮膚の領域に適用され、そして特定の光感受性物質、いわゆるポルフィリンが次第に罹患皮膚細胞内に形成される。その結果、細胞は光による次の処置に対して敏感にされ、そして活性酸素が産生され(光力学作用)、それは最終的に対応する細胞の死をもたらす。優れた美容効果は、一般に光線力学療法を用いて達成される。光線力学療法はさらに、もしも光線角化症が再発したら、必要に応じて実質的に何度でも繰り返すことができる。治療的効果以外に、光線力学療法はまた診断的利用も提案する。特別の光を用いて、光線角化症に罹患した、そして相当する物質で前処理された範囲を、標的化した方法で可視化できる。従って、早期に光線角化症を確認し、罹患した場所の大きさを正確に決めること(光力学的診断)が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1467706A1号
【特許文献2】欧州特許第1303267A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、その次に照射による光線力学療法を行うために、物質の適切な量を可能な限り迅速に前癌性及び癌性病変内に放出する経皮治療システムを提供することである。経皮治療システムは、皮膚による耐容性が良好であり、可撓性でありそして鼻骨又は外
耳のようなあまりアクセスし易くない部位に対してでも、適度に粘着性であるべきである。さらに、経皮治療システムは安定であり、視覚的に目立たなく、適用及び再取り外しが容易であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、経皮治療システム又は経皮活性成分含有プラスターによって対処され、それは活性成分非透明性の裏側層、活性成分含有ポリマーマトリックス及び剥ぎ取ることのできる保護層を含み、活性成分として5−アミノレブリン酸塩酸塩が使用されること及びポリマーマトリックスのベースポリマー(basic polymer)が接着性ポリアクリレート
であることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0008】
活性成分として5−アミノレブリン酸塩酸塩及びポリマーマトリックスのベースポリマーとして接着性ポリアクリレートを備えた本発明に記載の経皮治療システムは、適切に大量の懸濁した医薬品、即ち5−アミノレブリン酸塩酸塩を吸収することができる。用いた接着性ポリアクリレートと5−アミノレブリン酸塩酸塩の間には良好な適合性がある。適用期間中の5−アミノレブリン酸塩酸塩の放出率は、驚異的に速い。さらに、本発明に記載の経皮治療システムは、適切に皮膚に付着するが、皮膚を刺激しない。本発明に記載の経皮治療システムは、特に、前頭部、外耳又は鼻など小さな皮膚の部位、に対しても容易に適用できる。
【0009】
好ましい実施態様によると、本発明に記載の経皮治療システムは、少なくとも3mgの5−アミノレブリン酸塩酸塩の量を約4時間以内に、好ましくは約1時間以内に、そして特に好ましくは約30分以内に放出することができることを特徴とする(European Pharmacopoeia 6.0, 2.9.4 “dissolution test for transdermal patches”, 01/2008:20904
に記載のいわゆる「パドルオーバーディスク」法で5−アミノレブリン酸として測定;実施例4も参照)。
【0010】
本発明に記載の経皮治療システムは、好ましくはモノリシック活性成分含有接着剤システム(monolithic active ingredient-in-adhesive system)(モノリシック薬物含有接
着剤システム)である。5−アミノレブリン酸塩酸塩は、本明細書では、直接ポリマーマトリックスに懸濁又は分散される。ポリマーマトリックスは、この場合、活性成分リザーバ、制御要素及び接着剤層の3つの機能を果たす。このタイプのシステムは、活性成分非透明性の裏側層(back layer)、活性成分含有ポリマーマトリックス及び剥ぎ取ることができる保護層だけで構成される。ポリマーマトリックスは、皮膚への接着、5−アミノレブリン酸塩酸塩の保存及びその放出に影響を与える。このタイプのシステムは、5−アミノレブリン酸塩酸塩のような親水性物質を放出する間に、複数の利点をもたらす。このように、さらなる親水性マトリックス素材を避けることができ、従って微生物学的安定性が改善される。化学的に不活性化されているので、活性成分の安定性もまた増加する。その上、粒子径によって活性成分の放出を制御することが可能である。
【0011】
活性成分非透明性の裏側層は、好ましくは不活性でありそして可能な限り可撓性である、従って経皮治療システムが不規則な皮膚部位に適用できる。例えば、ポリエチレン・テレフタレート、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリエステルなどの任意の好適な素材が、裏側層用に使用できる。活性成分非透明性の裏側層は、好ましくは任意にアルミメッキされたポリエステルフィルム、特に好ましくは着色したポリエチレンとアルミニウム蒸気被覆ポリエステルで出来たラミネートであり、それは光照射に対する保護(をもたらし)、そしてそれ故、実際の光線力学療法の前の光感作(photosensitisation)を阻止する。
【0012】
剥ぎ取ることができる保護層は、例えば、ポリエチレン・テレフタレート、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのさまざまな素材から製造することができ、活性成分含有ポリマーマトリックスと接触する側の上に、そこから取り除くことを出来るだけ容易にするために、特別に処理される。剥ぎ取ることができる保護層は、ポリエチレン・テレフタレート層をベースにするのが有利である。
【0013】
好ましい実施態様では、活性成分の5−アミノレブリン酸塩酸塩は、結晶性5−アミノレブリン酸塩酸塩として存在する。これは、マトリックス中の活性成分の溶解性を調整する必要が無いという利点を有する。その上、過飽和及び一定の拡散圧がそれによって得られる。
【0014】
好ましい実施態様では、結晶性5−アミノレブリン酸塩酸塩の結晶又は粒子の約50%は、ポリマーマトリックスの層の厚さよりも大きい。活性成分は、言わば、マトリックスから突出しており、それは、皮膚、特に汗と接触した際、突出している結晶が非常に急速に溶解し、そしてそれ故、容易に且つ急速に経皮的に吸収され得るという利点を有する。
【0015】
結晶性5−アミノレブリン酸塩酸塩の99.9%を超す結晶は、好ましくは約250μmより小さい。結晶サイズが大きくなるにつれて表皮流れは増加するけれども、あまりに大きな結晶、即ち約250μmを超える結晶サイズは凝集及び線条形成を起こす。
【0016】
一方、90μmより小さい結晶の量を活性成分の質量の高々50%で作ること、及び50μmより小さい結晶の量を活性成分の質量の高々25%で作ることは、これが高い活性成分流れを確保するので好ましい。
【0017】
粒子径が90〜160μmの5−アミノレブリン酸塩酸塩結晶を持つ経皮治療システムは、90μmより小さい粒子径を有する粒子を持つシステムと比較して、明らかに改善した経皮流れを示した。これは、おそらくより多くの活性成分が放出される所為であり、従って浸透用に利用できる。90〜160μmの範囲の粒子径は、従って特に好ましい。
【0018】
本発明に記載の経皮治療システムのポリマーマトリックスは、ポリアクリレートに対して30質量%未満、好ましくは20質量%未満、そして特に好ましくは5質量%未満の可塑剤、例えば、クエン酸アセチルトリブチルのようなクエン酸エステル、を含むことが好ましい。
【0019】
本発明に記載の経皮治療システムの可塑剤含量は、5000ppm未満であることが極めて特に好ましい。
【0020】
いわゆるエンハンサー又は浸透促進剤もまた、一緒に投薬(dispense)できることが好ましい。
【0021】
接着性ポリアクリレートは、例えば、アルミニウムアセチルアセトナート、ポリブチルチタナート又はt−アミルペルオキシピロラートなどのような架橋剤(架橋剤)の有り及び有利には架橋剤(架橋剤)無し、を得ることができる。
【0022】
接着性ポリアクリレートは、好ましくは接着に関して有利な複数の酸性官能基(カルボキシル基)を有する。それらは、結晶性5−アミノレブリン酸塩酸塩の結晶がポリマーマトリックスの層の厚さよりも大きな場合、経皮治療システムと皮膚の間の全面積接触が次に確保されないので、特に重要である。例えば、酸性官能基を持つ接着性ポリアクリレートは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸又はマレイン酸などの不飽和カルボン酸を含むモノマー混合物の重合によって得ることができる。
【0023】
接着性ポリアクリレートを製造するために使用されるモノマー混合物は、例えば、グリシジル・(メタ)アクリル酸塩のようなエポキシ基を持つアクリル酸誘導体を含むこともできる。
【0024】
ポリアクリレートは、好ましくは、例えばアクリル酸2−エチルヘキシルのようなアクリル酸エステルをベースにする。これは、好ましくは、ポリアクリレートをベースに50質量%を超える量で、特に60質量%を超える量で、そして特に好ましくは70質量%を超える量で使用される。
【0025】
ポリアクリレートの粘度は、25℃で、好ましくは500〜25,000mPa・sの範囲、特に好ましくは1,000〜20,000mPa・sの範囲、そしてきわめて特に好ましくは1,500〜12,000mPa・sの範囲である。
【0026】
好ましい実施態様では、接着性ポリアクリレートは、アクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル及び酢酸ビニルをベースとするポリアクリレート;アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル及び酢酸ビニルをベースとするポリアクリレート;アクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル及びアクリル酸メチルをベースとするポリアクリレート;アクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル及び酢酸ビニルをベースとするポリアクリレート;アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル塩及びアクリル酸メチルをベースとするポリアクリレート;アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル及びアクリル酸メチルをベースとするポリアクリレート;アクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、酢酸ビニル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸メチルをベースとするポリアクリレート;アクリル酸2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸メチルをベースとするポリアクリレート;アクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、酢酸ビニル、t−オクチルアクリルアミド及び酢酸ビニルをベースとするポリアクリレート;並びにアクリル酸2−エチルヘキシル及び酢酸ビニルをベースとするポリアクリレートである。
【0027】
アクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル及び酢酸ビニルをベースとする接着性アクリル酸塩並びにアクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル及びアクリル酸メチルをベースとする接着性ポリアクリレートは特に好ましく、後者は最良の結果を提供する。
【0028】
最初に述べたアクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル及び酢酸ビニルをベースとする接着性ポリアクリレートは、好ましくは、1〜10質量%、好ましくは3〜7質量%、そして特に好ましくは約5質量%のアクリル酸;5〜25質量%、好ましくは10〜20質量%、そして特に好ましくは約15質量%のアクリル酸ブチル;60〜80質量%、好ましくは70〜78質量%、そして特に好ましくは約75質量%のアクリル酸2−エチルヘキシル;及び1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%、そして特に好ましくは約5質量%の酢酸ビニルを含むモノマー混合物から製造される。
【0029】
アクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル及びアクリル酸メチルをベースとする接着性ポリアクリレートは、好ましくは、1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%、そして特に好ましくは約5.7質量%のアクリル酸;50〜70質量%、好ましくは55〜65質量%、そして特に好ましくは約62.2質量%のアクリル酸2−エチルヘキシル;及び20〜40質量%、好ましくは30〜35質量%、そして特に好ましくは約32質量%のアクリル酸メチルを含むモノマー混合物から製造される。後者の場合、少量のグリシジル・メタクリレート、例えば1質量%未満、好ましくは0.05質量%未満、そして特に好
ましくは約0.03質量%のグリシジル・メタクリレートもまた存在することができる。
【0030】
好ましい実施態様では、本発明に記載の経皮治療システムのポリマーマトリックスは、10質量%を超す、そして特に好ましくは20質量%を超す5−アミノレブリン酸塩酸塩を含む。5−アミノレブリン酸塩酸塩の1時間以内の放出は、活性成分量が20質量%から30質量%に増加することによって、6倍に増加することが実験的に確証されている。
【0031】
一方、あまりに大きい5−アミノレブリン酸塩酸塩の量は、皮膚に対する接着能力の低下及び被覆の問題を引き起こす。従って、35質量%未満そして特に30質量%未満の5−アミノレブリン酸塩酸塩が存在する場合が好ましい。25質量%と30質量%の間の範囲が最適である。
【0032】
本発明に記載の経皮治療システムで使用されるポリアクリレートの量は、好ましくは60質量%を超し、そして特に好ましくは70質量%を超す。
【0033】
好ましい実施態様では、経皮治療システムは、モノリシック活性成分含有接着剤システムであり、結晶性5−アミノレブリン酸塩酸塩の99.9%を超す結晶は250μmより小さく、接着性ポリアクリレートはアクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル及び酢酸ビニルに基づき、そして特に好ましくはアクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル及びアクリル酸メチルに基づき、そしてポリマーマトリックスは25〜30質量%、好ましくは約28質量%の5−アミノレブリン酸塩酸塩を含み、そして70質量%又はそれ以上の、好ましくは約72質量%のポリアクリレートである。このタイプのシステムは、大量の活性成分の非常に急速な放出を示し、そして加工性が優れている。
【0034】
本発明に記載の経皮治療システムは、既知の方法で製造される。ポリアクリレートをベースとする活性成分含有接着剤の塊(mass)が最初に作られる。エタノール、エチル・アセテート、ヘプタン、ヘキサン、イソプロピルアルコール、メタノール、トルエン、2,4−ペンタンジエン及びそれらの混合物は、好ましく可能性のある溶媒である。エチル・アセテート及びヘキサンは特に好ましい。従来の被覆、乾燥及び積層法並びに切断が次に続く。溶媒は、乾燥工程中にほぼ完全に除去される。打ち抜き及び梱包が最後に来る。
【0035】
本発明はまた、光線角化症のような皮膚癌の前段階及び皮膚癌並びに腫瘍学的皮膚疾患の診断及び治療のための、本発明に記載の経皮治療システムの使用に関する。経皮治療システムの外部適用は、病変組織に活性成分の浸透及び濃縮をもたらす。5−アミノレブリン酸塩酸塩は内因性の化合物であり、例えばヘモグロビン及びシトクロームサイクルの構成要素であるポルフィリンの生合成の前駆体である。5−アミノレブリン酸塩酸塩は、実際の光線感作物質、プロトポルフィリンIX(PPIX)に変換される。濃縮後、適切な光線で、例えばさまざまな波長で、例えば408mm、506mm、532mm、580mm及び635mmなどで照射を行う。この場合、反応性酸素化合物が生成され、それは診断する間標的組織を視覚化する、又は治療する間に標的組織にアポトーシス及び壊死をもたらす。
【0036】
本発明はまた、上記のように、治療薬としての経皮治療システムに関する。
【0037】
その上、本発明は、上記のように、例えば光線角化症のような皮膚癌の前段階及び腫瘍学的皮膚疾患を処置するための経皮治療システムに関する。経皮治療システムは、好ましくは光線角化症を処置するために使用される。
【実施例】
【0038】
〔実施例1〕
製造された経皮治療システムは、以下の構成要素を含む:
【表1】
【0039】
ポリマーマトリックスに対して28質量%の5−アミノレブリン酸塩酸塩及び72質量%のDURO-TAK 387-2353(架橋剤のないポリアクリレート)が結果的に存在する。
【0040】
〔実施例2〕
この例の組成は、DURO-TAK 387-2353の代わりに同量のDURO-TAK 387-2052(架橋剤の付いたポリアクリレート)が使用されたこと以外は、実施例1に対応する。
【0041】
〔比較例3〕
この例の組成は、DURO-TAK 387-2353の代わりに同量のBio-PSA 4301(シリコーンポリ
マー)が使用されたこと以外は、実施例1に対応する。
【0042】
〔実施例4〕
放出率は、European Pharmacopoeia 6.0, 2.9.4. “dissolution test for transdermal patches”, 01/2008 : 20904に記載のいわゆる「パドルオーバーディスク」法を用いて、以下の条件下で測定した:
使用器具: パドルオーバーディスク
放出媒体: クエン酸緩衝液、pH3.0
放出媒体の量: 300mL
温度: 32℃±0.5℃
回転数: 50/分
サンプル抜き取り時間:0.5時間、2時間及び7時間
サンプル量: 10.0mL。
【0043】
結果は
図1に示される。
【0044】
実施例1による経皮治療システムの放出率は、実施例2によるそれよりも高い。実施例1及び実施例2の両者は、比較例3と比較して明らかに速い放出を示す。さらに、1か月及び3か月後の実施例1による5−アミノレブリン酸塩酸塩の安定性は、実施例2による5−アミノレブリン酸塩酸塩の安定性よりも高く、実施例2ではより速く分解される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】実施例1〜3の経皮治療システムからの5−アミノレブリン酸塩酸塩の経時的な放出量を示すグラフである。