(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シンチレーション検出器を製造するための方法であって、前記方法は、光学導波路と、前記光学導波路の周囲に共押出成形されたシンチレーション材料のシェルとを押出成形することを含む、方法。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
放射線および粒子のファイバ結合シンチレーション検出器は、過去30年にわたって採用されている。ある場合には、シンチレータは、空間分解能を提供するために、画素化され、離散シンチレータ素子から成り、他の場合には、他の方式が、採用される(直交に交差した結合ファイバ等)。ファイバ結合シンチレーション検出器の実施例は、米国特許第6,078,052号(DiFilippo)および第7,326,9933号(Katagiri et al.)(両方とも、参照することによって本明細書に組み込まれる)によって提供されている。DiFilippoおよびKatagiri et al.によって説明される両検出器は、ファイバのコア材料によって再放出される光が、低減衰を伴って、多くの場合、シンチレータ自体から離された便宜的場所に配置される光検出器に伝導され得るように、波長シフトファイバ(WSF)を採用する。空間分解能は、中性子撮像等の用途において、特に重要である。空間分解能はまた、高効率のセグメント化シンチレーション検出器が、Moiseev, et al., High efficiency plastic scintillator detector with wavelength−shifting fiber readout for the GLAST Large Area Telescope, Nucl. Instr. Meth. Phys. Res. A, vol. 583, pp. 372−81(2007)(参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるように、高エネルギー宇宙線の検出のためにWSF読取装置を採用する、フェルミ大面積望遠鏡(以前は、GLAST)においては最も重要である。
【0004】
ファイバ結合シンチレータ検出器がこれまで採用されている状況から、全ての公知のファイバ結合シンチレータ検出器は、シンチレータとの粒子(光子または有質量粒子)の個々の相互作用によって産生されるパルスをカウントし、それによって、シンチレータによって再放出される光の累積光束に基づいて、入射粒子によって蓄えられたエネルギーが確認されることを可能にする。
【0005】
しかしながら、X線後方散乱検査システムの検出要件は、既存のファイバ結合シンチレーション検出器によって対処される要件と全く異なる。後方散乱X線検査システムは、手荷物、貨物コンテナ、車両、および人に隠された有機材料を検出するために、25年以上、使用されている。バルク中の有機材料は、X線を吸収するのではなく、それらを優先的に散乱させる(コンプトン散乱によって)ため、これらの材料は、後方散乱画像中において、より明るい物体として現れる。入射X線が、全方向に散乱される場合、感度が、要件として、空間分解能よりはるかに優位に立つが、ほとんどの散乱用途では、検出器空間分解能は、分解能が、検出によってではなく、入射ビームによって左右されるため、全く懸念されない。
【0006】
X線散乱システムによって課される広面積および高感度の特殊検出要件は、特に、
図1Aにおける側面断面および
図1Bにおける正面断面に示されるタイプの「従来の」シンチレーション検出器100の場合、厄介である。そのような検出器の実施例は、米国特許第5,302,817号(Yokota)に説明され、参照することによって本明細書に組み込まれる。典型的には、遮光ボックス102は、シンチレーションスクリーン103で覆われ、入射X線放射101は、典型的には、UV、可視、またはより長い波長、電磁(EM)スペクトルの一部内のシンチレーション光に変換される。広光電陰極面積光電子増倍管(PMT)105が、丸窓108を介して、シンチレーション光を受光するために結合される。問題の1つは、スクリーン内から生じるシンチレーション光の一部が、スクリーンから封入された体積内に透過されることである。残りのシンチレーション光は、スクリーン材料内で損失される。シンチレーションスクリーン103は、放出される光の割合を最大限にするように設計され、これは、スクリーン103と検出器体積を充填する媒体(典型的には、空気)との間の界面に対して、高透過係数Tを保証することになる。しかしながら、
図1Aおよび1Bに描写される種類の従来の後方散乱検出器では、シンチレーションスクリーン103はまた、シンチレーション光が、ボックス102の体積内に放出されると、典型的には、光検出器105に到達するまで、複数回の反射を必要とするため、良好な反射体としての役割を果たすべきである。したがって、スクリーン表面の反射係数Rもまた、高くあるべきであるが、しかしながら、TおよびRの和は、1であるように制約されるため、TおよびRは両方とも、同時に最大限にされることができず、妥協しなければならない。その結果、従来の後方散乱検出器の光収集効率は、本質的に低く、発生されたシンチレーション光の数パーセントのみ、光検出器内に収集される。
【0007】
撮像検出器の場合、光子統計雑音は、検出器によって吸収される光子の観点から計算され、画像を作成するために使用される。吸収されずに検出器を通過するいかなる光子も、または画像情報を作成せずに吸収される光子さえ、無駄にされ、画像内の雑音低減に寄与しない。光子は、細分類されることができないため、システムの基本量子レベルを表す。撮像工程に沿った任意の点における画像を表すために使用される、最小数の量子の観点から統計雑音を計算することが一般的な方法である。最小数の量子が画像を表すために使用される、撮像工程に沿った点は、「量子的落ち込み」と呼ばれる。量子的落ち込み時の雑音レベルは、撮像システムの雑音限界を判定する。量子的落ち込み時の情報担体(すなわち、量子)の数を増加させずに、システム雑音限界は、改良されることができない。低光収集は、可能性として、二次的量子的落ち込みをもたらし得、これは、PMT電流をもたらす入射X線の割合を制限すると言える。さらに、画像雑音を増加させるであろう。光収集効率は、光検出器の敏感面積を増加させることによって改良されることができるが、しかしながら、効率への道は、コストがかかる。
【0008】
ここで、典型的には、先行技術のX線シンチレーション検出器において採用される、シンチレーションスクリーンの構造が、
図2を参照して説明される。複合シンチレータ層202が、構造支持のための裏材料シート204と、例えば、ポリエステルから成る、薄型の透明保護フィルム206との間に狭入される。複合シンチレータは、典型的には、有機マトリクスまたは樹脂内のミクロンサイズの無機結晶から成る。結晶は、実際のシンチレーション材料である。希土類元素でドープされたバリウムフルオロクロライド(BaFClまたは「BFC」)またはガドリニウムオキシサルファイド(Gd
20
2Sまたは「Gadox」)は、これらのための一般的選択肢である。スクリーンの阻止能は、典型的には、単位面積あたりのシンチレータ結晶(ミリグラム)として測定される、複合シンチレータ層202の厚さによって判定される。無機シンチレータ(BFCまたはGadox等)は、高自己吸収率を被るため、複合シンチレータ層は、シンチレーション光の至適割合を抽出するために、かなり薄く保たれる必要がある。これは、スクリーンの有用阻止能を制限し、最大約100keVのエネルギーを伴うX線の検出のためのみに好適にする。
【0009】
したがって、シンチレーション光のより効率的抽出、収集、および検出を提供する、X線散乱検出用途のためのシンチレーション検出器を有することが有利となるであろう。
【0010】
冒頭で簡単に前述されたように、波長シフトファイバ(WSF)は、長年、シンチレーション検出のために採用されている。波長シフトファイバは、比較的に高屈折率を伴うコアから成り、より低い屈折率の1つ以上のクラッディング層によって囲繞される。コアは、染料とも称される、波長シフト材料を含有する。ファイバに入射する、シンチレーション光は、染料によって吸収され、順に、より長い波長を伴う光を放出する。より長い波長光は、ファイバ材料内で等方的に放出される。全内部反射は、その光の一部を捕らえ、比較的に低損失を伴って、長距離にわたって、それを伝導させる。これは、
図3を参照して説明されるように、染料の吸収304および放出302波長範囲が、波長シフト光が再吸収されないように、効果的に重複しないため、可能である。捕捉された割合は、ファイバの表面における屈折率の比率によって判定される。WSFの付加的利点は、波長シフトが、シンチレーション光306を光検出器(PMT、シリコン光電子増倍管(SiPM)、または多画素光子検出器(MPPC)、またはその他)の敏感波長範囲内にもたらすことができることである。
【0011】
シンチレータ構造は、例えば、ダイキャスト、射出成形(Yoshimura et al., Plastic scintillator produced by the injection−molding technique, Nucl. Instr. Meth. Phys. Res. A, vol. 406, pp. 435−41(1998)に説明されるように)、および押出成形(Bross, et al.の米国特許第7,067,079号に説明されるように)(両参考文献とも、参照することによって本明細書に組み込まれる)を含む、多くの製造技術を使用して生産されている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(本発明の実施形態の詳細な説明)
本発明の実施形態によると、シンチレータ材料と、光学導波路、より具体的には、波長シフトファイバとの光学結合は、有利には、X線散乱検出の需要に特有のものを含む、目的を可能にする。
【0033】
定義:
用語「画像」は、有形、または別様に知覚可能な形態、またはその他であるかどうかにかかわらず、任意の1次元または多次元表現を指すものとし、それによって、いくつかの特性値(X線透過撮像の場合、入射ビームが横断する、被検査物体列を通る部分透過強度等)が、物理的空間内の物体の次元座標に対応する複数の場所(または、ユークリッド空間内のベクトル、典型的には、R
2)のそれぞれと関連付けられるが、必ずしも、その上に1対1でマップされるわけではない。画像は、コンピュータメモリまたはホログラフィック媒体内に、数のアレイを含み得る。同様に、「撮像」は、1つ以上の画像の観点から述べられる物理的特性のレンダリングを指す。
【0034】
「上方」、「下方」、「上側」、「下側」、および同等物等の空間関係の用語は、図に示されるように、1つの素子と別の素子との関係を記述するための説明の容易性のために、本明細書では使用され得る。そのような空間関係の用語は、図に説明および/または描写される配向に加え、使用または動作時の装置の異なる配向を包含するように意図されることを理解されるであろう。
【0035】
ある素子が、別の素子の「上にある」、「それに接続されている」、または「それに結合されている」として説明される場合、別様に規定されない限り、直接、他の素子の上にある、それに接続される、またはそれに結合されてもよく、あるいは代替として、1つ以上の介在素子が、存在してもよい。
【0036】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのものであって、限定を意図するものではない。単数形「a」、「an」、および「the」は、複数形も同様に含むものと意図される。
【0037】
WSF検出器
最初に、
図4を参照すると、本発明の一実施形態では、緊密に離間された平行波長シフトファイバ層400が、複合シンチレーションスクリーンの2つの層403間に狭入される。好ましいシンチレータ材料は、ユウロピウムでドープされたバリウムフルオロクロライド(BaFCl:Eu)であるが、BaFI:Euまたは他のランタニドでドープされたバリウム混合ハロゲン化物等の他のシンチレータ(さらなる実施例として、BaBrI:EuおよびBaCsI:Euを含む)も、本発明の範囲内で使用されてもよい。X線検出のために採用されるシンチレータ材料は、典型的には、シンチレーション光子の非常に強い自己吸収性を呈するため、本発明による実施形態は、有利には、依然として、出力シンチレーション信号を効率的に結合しながら、非常に大きい体積のシンチレータ403が採用されることを可能にする。
【0038】
本願における複合シンチレーションスクリーンの使用の利点の1つは、ファイバ結合シンチレーション検出器の押出成形によって、加工を可能にすることである。
【0039】
複合シンチレータ403は、機械的支持を提供する、プラスチックまたは他の材料の外部層404によって構造的に支持される。ファイバクラッディング401と複合シンチレータ403との間の光学接触は、シンチレーション光に透明である、好適な屈折率の屈折率整合材料405で隙間を充填することによって確立される。充填材料の屈折率は、WSF内への一次光光子の収集およびファイバ内の波長シフト光子の捕捉を最適化するように選定される。充填材料405は、例えば、光学グリースまたは光学エポキシであってもよいが、任意の材料が、本発明の範囲内である。
【0040】
X線光子の入射に応じて、シンチレータ403によって放出されるシンチレーション光は、クラッディング401を介して、個別のファイバのコア407内に結合され、周波数が下方シフト(すなわち、赤方シフト)され、1つ以上の光検出器805(例えば、
図8に示される)に伝搬される。ファイバコア407からの光は、光検出器805を介して、電流に変換され、電流は、典型的には、1〜12μsの範囲内の時間間隔で積分され、画素毎の信号強度を求める。検出器信号の積分は、例えば、積分前置増幅器等の積分回路(図示せず)によって行なわれてもよい。
【0041】
次に、
図5を参照すると、波長シフトファイバ400は、シンチレーションスクリーン503のマトリクス内に埋入される。シンチレーション媒体内へのWSFの埋入は、最良光学接触をもたらす。
【0042】
ここで、
図6Aを参照して説明される、本発明のさらに別の実施形態では、複合シンチレータ材料603は、コア602を伴うWSF601の周囲に、クラッディングまたはシェルのように適用される。本願は、押出成形式製造プロセスに役立ち、コストがかかるシンチレータ材料603のより効果的使用を可能にする。シンチレータ材料603は、シンチレーション光に対する反射体としても作用する、保護層604で密閉される。本発明の範囲内では、クラッディングは、シンチレータがファイバより低い屈折率を有し、シンチレータ−ファイバ接合が、必要な平滑性およびロバスト性を有するとき、省略されてもよい。
【0043】
波長シフトポリマー光ファイバは、ここで、
図6Bに描写されるシステム概略を参照して説明される、本発明のある実施形態に従って製造されてもよい。WSFポリマー融液源606、低屈折率クラッディングポリマー融液608、およびリンが埋入された光学的に透明なポリマー融液610が全て、圧力下、押出成形ゾーン614内の共押出成形ダイ612内に送給され、共押出成形される。例えば、乾燥空気または窒素等の乾燥ガス611が、冷却のために、押出成形されたファイバ上に噴霧される。光反射顔料(例えば、TiO
2等)を伴うポリマー融液616が、圧力下、シンチレータでコーティングされたWSF613を覆う光反射外被のために、押出成形ダイ618内に送給される。得られたシンチレータ装填WSF620は、巻取機622によって、格納のために巻き取られる。
図6Cは、シンチレータでコーティングされたWSFの製造のために、本発明の実施形態に従って使用するための共押出成形システムの断面図を示す。WSFポリマー融液606が、低屈折率クラッディングポリマー融液608およびリンが埋入された光学的に透明なポリマー融液610とともに、共押出成形ダイ612内に注入される。光反射顔料を伴うポリマー融液616が、圧力下、押出成形ダイ618内に送給される。完成したファイバは、WSFコア602、低屈折率クラッディング601、シンチレータ装填クラッディング603、および反射コーティング604を有する。
【0044】
本発明によるシンチレーション検出器の全実施形態に対して、シンチレータ材料の厚さは、放射線のエネルギーが検出されるように最適化されることに有利である。設計は、二次的量子的落ち込みを回避するために十分な光収集を保証すべきである。特に、本明細書に説明される本発明の実施形態は、その面積に対して非常に薄い検出器を提供する。
【0045】
定義:本説明の目的のために、添付のいずれかの請求項では、シンチレーション検出器に適用される、用語「厚さ」は、検出器の視野の重心に沿った、またはそれに平行な寸法における、検出器の平均範囲を表すものとする。検出器に適用される、用語「面積」、または同等に、用語「作用面積」は、検出器の視野内の放射線の全伝搬ベクトルの重心を横断する平面において測定される、検出器のサイズを指すものとする。
【0046】
本発明の実施形態は、8WSF層程度のものであっても、0.001未満の検出器厚の二乗と作用検出器面積の比率を有する。例えば、面積48インチ×12インチを伴う8層検出器は、厚さの二乗と検出器面積の比率が、0.0005であるように、厚さわずか0.5インチを有する。本厚さの二乗対面積の比率は、典型的には、シンチレータ光が、直接、光検出器によって検出される、後方散乱検出器の匹敵する比率より1桁分以上小さい。
【0047】
図7に描写される本発明のさらなる実施形態によると、検出器の有用阻止能は、WSF400の複数の層701、702(または、他の光学導波路)を組み合わせ、それによって、入射放射線の経路に沿ったシンチレータ材料403の深度を増加させることによって、増加されることができる。
【0048】
本発明による、波長シフトシンチレータ検出器の実施形態は、
図8に示される。波長シフトファイバ801は、シンチレータ材料803内に埋入され、光を結合し、光電子増倍管805による検出のために、周波数が下方シフトされる。
【0049】
前述の種々の実施形態によると、WSFの端部は、束化され、少なくとも1つの光検出器に光学的に結合される。好適な光検出器の実施例として、PMTおよびシリコン光電子増倍管(SiPM)が挙げられる。
【0050】
本明細書に説明される本発明の検出器の利点として、検出の効率および実装の薄型幾何学プロファイルが挙げられる。これは、検出システムを設計する際、より自由度をもたらし、全く新しい空間制約用途を可能にする。検出器構造の機械的柔軟性は、撮像された物体が検出器体積によって囲繞される実装等の用途に準拠するように、検出器表面を成形することを可能にする。薄型プロファイルもまた、近傍X線撮像システムからの望ましくない散乱放射線(クロストーク)の検出を最小限にするように、検出器面積を配向および遮蔽するのを比較的に容易にする。
【0051】
広シンチレータ範囲にわたるシンチレーション光の抽出は、大きな幅対深度の縦横比の検出器を可能にする。特に、空間角度0.1sr以上に対する検出器が、本発明の実施形態によって促進される。
【0052】
典型的後方散乱X線撮像システムでは、X線ペンシルビームが、線形運動において、撮像される標的を走査する一方、伸長放射線検出器が、X線源の出口開口の両側に配置される。ペンシルビームが移動するにつれて、ビームに最も近い検出器面積は、典型的には、最強信号を受信し、ビームからより遠い検出器面積は、ほとんど受信しないであろう。検出器面積が、個々に読取可能なセクションにセグメント化される場合、検出システムの信号対雑音比は、良好な信号対雑音比を伴うセグメントのみを読み取り、主に雑音を総和信号に寄与するであろうセグメントを無視することによって、改良されることができる。寄与検出器セグメントの選択は、実際に検出された信号に基づいて、またはペンシルビームの既知の位置に基づいて、行なわれることができる。
【0053】
押出成形によるシンチレータ加工の利点
図6A−6Cを参照して前述の押出成形、すなわち、「自動コーティング」プロセスは、BaFCl(Eu)等の多結晶シンチレーション材料を平坦な裏材上に配設する典型的方法とは全く対照的である。前述のように、均一厚のシンチレータでコーティングされた個々の波長シフトファイバを加工する押出成形方法は、Sc−WSF検出器の形状に関する制限が、主に、全内部反射によるファイバ内の全捕捉要件によって左右されるように輪郭形成され得る、ファイバを生産する。均一にコーティングされた結合ファイバの概念は、空間が重要視される、後方散乱(BX)検出器、特に、携帯式およびロボット搭載検出器の設計により自由度をもたらす。
【0054】
散乱X線の幾何学的効率を増加させるための展開可能検出器
例えば、Swift, et al.の米国特許第5,764,683号およびChalmers et al.の第7,099,434号(両方とも、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるもの等のいくつかの移動式X線システムは、片側から車およびトラックを検査するために、後方散乱X線(BX)法を使用する。前者は、動作の間、搬送装置の外側に展開された検出器を使用する一方、後者は、封入体、すなわち、搬送装置の外装内に完全に含有された検出器面積を使用する。両方とも、散乱X線を検出する効率を最大限にするために、広面積の検出器を使用する。面積式後方散乱検出器の被覆率は、Chalmersの第‘434号特許の教示による製品の場合、標的に面する封入体の内部表面の約20平方フィートを網羅する。このように覆われた検出器面積は、高いまたは低い標的から散乱放射線を収集するためには、比較的に低い幾何学的効率を有する。光電子増倍管によるシンチレーション光の直接捕捉のために必要である、そのような検出器の本質的に奥行がある幾何学的プロファイルは、小型トラックの外側での展開には好ましくない。
【0055】
定義:本明細書および添付の請求項のいずれかで使用されるように、用語「広面積検出器」は、少なくともπステラジアンの空間角度によって特徴付けられる、同等に、検査を受ける物体上の点から見て、2つの直交する横方向のそれぞれにおいて、少なくとも30°の開放角に対する、任意の単一検出器または任意の検出器モジュールを指すものとする。
【0056】
「搬送装置」は、ある場所から別の場所に機器を搬送するために使用される、車輪、トラック、トレッド、スキッド等の地面接触部材によって支承されるプラットフォームによって特徴付けられる、任意のデバイスであるものとする。
【0057】
本発明の実施形態による、Sc−WSF検出器は、小型トラックの外側において定位置に迅速に展開され得る、広面積検出器の目立たない格納を実用化し、実質的に、検出効率を向上させる。
【0058】
ここで、
図9を参照すると、広面積Sc−WSFオーニング型検出器1101は、後方散乱検査小型トラック1103の屋根の上に格納された収納位置に示され、および薄型スカート型検出器1105は、後方散乱検査小型トラックの車輪の上方の収納位置に示される。
図10では、屋根型およびスカート型検出器は両方とも、それぞれ、より高いおよびより低い標的を検出するために、立体角を増加させるように展開されて示される。オーニング型検出器は、検査の過程の間、被検査物体の上方に展開される一方、スカート型検出器は、少なくとも部分的に、搬送装置のプラットフォームの真下に展開される。
図11を参照して説明される、本発明の別の実施形態では、オーニング型検出器1301は、車1303のトランクまたは裏側内の禁制品の検出のため等、低位の近接標的のために展開されてもよい。オーニング型検出器1301は、検査動作に先立って、搬送装置の屋根からスライドしてもよい。
図11はまた、近接車両のタイヤ、車輪格納部、および内部を効率的に検査するために使用される、Sc−WSFスカート型検出器1105の展開を示す。
【0059】
走査X線ペンシルビームの透過検出のための二重および多エネルギー検出器
X線の走査ペンシルビームは、後方散乱放射線を分析することによって、内部物体を露顕させるだけではなく、いくつかの用途では、透過(TX)および前方散乱(FX)放射線の同時分析によって、付加的情報を得ることができる。TXおよびFX検出器は、ペンシルビームの断面積が、信号の積分時間とともに、画素サイズを画定するため、セグメント化される必要がない。さらに、TXおよびFX検出器は、ほとんどの用途において、TXまたはFX X線束が、パルスカウントのためには高過ぎるため、総エネルギー検出器である必要のみある。シンチレーションスクリーンは、そのような走査ビーム用途のための従来の検出器である。Sc−WSF検出器は、実質的に、以下の実施例によって明確となるように、本TXおよびFXシンチレーション検出器の用途の範囲を拡張させる。
【0060】
最大少なくとも250keVのX線ビームのためのTX
例えば、BaFCl(Eu)またはGadoxから作製される、従来のシンチレーションスクリーンの吸収効率は、約80keVを上回るX線エネルギーの場合、50%を下回って降下する。2つの層の場合の50%点は、約100keVである。違いとして、Sc−WSF検出器は、検出器のプロファイルを実質的に増加させずに、3つ以上の層のシンチレータとともに作製されることができる。費用効果的Sc−WSF検出器は、4層を伴うものであって、標準的140keVX線管によって発生される走査X線ビームを用いて、TXのために使用されることができる。
図12に示され、概して、番号1400によって指定されるような9層検出器等の多層検出器は、入口を通した車両のX線検査において使用されるもの等、標準的225keVX線管(図示せず)によって放出されるX線1402を検出するために非常に効果的であり得る。シンチレータ材料の層1404が示され、WSFファイバ1406が、光検出器1408に結合される。
【0061】
3面入口検査におけるトップダウン型撮像機のための可搬式TX検出器
多層透過(TX)検出器の薄型プロファイルは、道路上透過(TX)検出器を実用化する。
図13Aおよび13Bは、いっぱいに積載されたトラクタトレーラーを支持するために十分に強固であって、かつ展開のために地面の掘削を要求しない、2インチの高さの減速バンプ1131の内側のそのような検出器を示す。透過性放射線源1132は、減速バンプ1131または下層表面の上方の類似突出部のフレーム1136内の線形検出器アセンブリ1135に入射するファンビーム1134を放出する。検出器アセンブリ1135は、高原子番号のベーン1138によって分離されたシンチレータ材料1137のセグメントを含む。例えば、
図4を参照して、前述のように、シンチレーション光は、波長シフト光ファイバ1139によって、光検出器に結合される。
【0062】
走査ビーム強度プロファイルを判定するためのセグメント化されたTX検出器
次に、
図14Aおよび14Bを参照すると、概して、番号1141によって指定される、入射X線1143の走査ビーム強度プロファイルを測定するためのセグメント化された透過検出器が、示される。Sc−WSF検出器1141(透過の際に使用される)と走査ペンシルビームの平面の整合は、TX検出器が、移動式セキュリティシステムのために展開されるとき、有意な課題を呈する。
図14Bは、垂直Sc−WSF検出器1141(別様に、本明細書では、適切な場合、「透過検出器」または「TX検出器」と称される)の断面を示し、WSFのファイバ1145の独立読取装置は、同時に、各画素の透過強度およびビーム幅を横断する線形分布の両方を測定し、その重心位置を判定する手段を提供する。ファイバ1145は、PMT等の個々の光検出器1149に束1147として配線される。強度の分布は、散乱材料に関する有用情報を含有し、透過強度としてカウントされる散乱内放射線の測定値を与える、前方散乱強度を求めるように拡張される。
【0063】
検出器平面および走査X線の平面の相対的位置は、自動的に、制御されることができる。本概念の検出器は、
図14Aに図式的に示される。反射表面1148は、光検出器1149の遠位の検出器1141の端部に提供されてもよい。
【0064】
透過信号のための単一データチャネルによって、通行方向に沿った(ファン形状の照射X線ビームに横断する)空間分解能が、2つの寸法、すなわち、高感度検出器面積の幅またはTX検出器を横断するビームサイズのうちの小さい方によって判定される。(実用目的のために、アンダーサンプリングの場合は、本説明では考慮されない。)しかしながら、空間分解能は、ここで、
図14Cを参照して説明されるように、高感度検出器面積を狭めることによって改良され得る。本発明の実施形態によると、通行方向を横断する(検出器線に沿った)空間分解能は、複数のチャネル(
図14CにおけるA、B、C)と関連付けられた検出器アレイ1450の複数の検出器を採用し、その高感度面積をインタレースすることによって、向上される。インタレースパターンのピッチは、検出器に沿ったビーム幅に依存する。理想的には、ピッチ(すなわち、単一チャネル「A」と関連付けられた2つの検出器1451と1454との間の間隔)は、同一の検出チャネルの2つの検出器セグメントが、同時に、ビームから直接放射線を受信しないように十分に大きくある必要がある。ビーム強度プロファイルは、番号1456によって描写される。実践目的のために、要件は、ある程度の画素間のクロストークは、容認可能であるため、要件は、それほど厳格ではない。複数の結果として生じる画像は、当技術分野において既知の方法を含む、任意の方法を採用して、インタレースされ、1つのより高い解像度の画像を作成する必要がある。検出器における空間分解能の改良は、流束を犠牲にして成り立ち、したがって、信号対雑音の考慮によって制限されることに留意されたい。
【0065】
本発明の範囲内の別の構成として、有利には、容易に設定および整合される、L形状検出器を形成する、
図14Aに示される垂直検出器1141と、
図13Bの水平道路用検出器1135の組み合わせが挙げられる。
【0066】
本発明のさらに別の実施形態では、透過検出器アレイ1450(垂直、水平、L形状等である幾何学的配向にかかわらず)は、
図14CのB、C、およびA等、複数のユニットにセグメント化される。示されるように、ビームプロファイル1456は、測定された強度の割合が1となるように、BおよびAに対して対称である。何らかの理由から、整合が変化する場合、その比率は、著しく変化する。照射X線ペンシルビームが、上下に走査するにつれて、整合が歪曲する場合、B/A比の変化は、歪度および側方シフトの両方を測定する。収集されたデータは、次いで、ライン毎にそのようなシフトが補正されることができる。
【0067】
材料識別のための二重エネルギーおよび多エネルギーTX検出器
シンチレータの正面および背面層からの信号を分離することによって、正面層は、各画素の低エネルギー成分の測定値を与える一方、背面層は、高エネルギー成分の測定値を与える。正面シンチレータと背面シンチレータとの間に吸収材料の層を置くことは、低エネルギー成分と高エネルギー成分との間の差異を向上させる標準的方法であって、これは、Sc−WSF検出器を用いて容易に行なわれる。
【0068】
Sc−WSF検出器は、プラスチックシンチレータ検出器上のBaFCl−WSF等のSc−WSFの層から成る、二重エネルギー検出器を実用化する。BaFClは、低エネルギーX線には高感度であって、高エネルギーX線にはそうではない一方、プラスチック検出器は、高エネルギーX線には高感度であって、低エネルギーX線には非常に低感度である。
【0069】
代替かつ潜在的により効果的材料判別器は、層毎に別個の読取装置を伴う、3つ以上のSc−WSFの独立層を使用することによって作製されることができる。適切な厚さの銅等の受動的吸収体が、上部Sc−WSF後に挿入され、セグメント化された検出器とともに実践されるため、二重エネルギー用途を向上させることができる。代替として、中間シンチレータは、能動的吸収層として使用されることができる。3つの独立パラメータの測定は、横断材料の平均原子番号およびビーム硬化の程度の両方の測定値も同様に求めることを可能にする。Sc−WSFはさらに、画素毎に4つ以上のエネルギー値を求め、構成素子の数に伴って増加する、統計的不確実性を制限するように拡張されることができる。
図12に示される検出器1400は、そのような検出器の極端な実施例である。
【0070】
二重エネルギーTXの重要な用途は、空港のターミナルにおけるX線対人スキャナである。TX画像に同時にBXを提供することは、検査のために有用であることが証明されている。二重エネルギーをTX画像に追加することは、主に、従来の検出器によって課されるサイズ制約のため、これまで、非実践的であった。Sc−WSFは、二重(または、多)エネルギー検出器1500が、より高いエネルギーX線に高感度である、プラスチックシンチレータ1502のスラブの正面に位置付けられる、入射X線1501のより低いエネルギー成分に高感度である、Sc−WSF検出器1508を含む、固有のエネルギー感度を伴う、複数の検出器が、
図15に示されるように、積層され得るため、それらの制約を排除し、有意に性能を改良する見込みがある。Sc−WSF検出器1508は、WSファイバ1506の2つの層によって読み取られる、シンチレータ1504を含有する。
【0071】
ガンマおよび中性子放射線のコンパクトな放射線検出器
Sc−WSF方法は、中性子およびガンマ線の小型の軽量かつ安価なモニタ1601を実用化する。BaFCl(Eu)−WSFは、ガンマ放射線に対して非常に高感度である一方、中性子に対しては低感度であって、Li
6F:ZnS(Ag)−WSFは、ガンマ線に対して低感度であって、熱中性子の検出に非常に高感度である。
図16は、光ファイバ1604を介して、単一光検出器(図示せず)によって読み取られる、BaFCl(Eu)の1つ以上の層1602と、第2の独立光検出器(図示せず)によって読み取られる、Li
6F:ZnS(Ag)−WSFの1つ以上の層1606とから成る、多層「ダグウッド」サンドイッチを示し、能動的素子は、わずか1〜2センチメートルの厚さを占有する。ポリエチレン等の適切な中性子減速体層1612が、Li
6F:ZnS(Ag)−WSFの両側に置かれ、中性子を検出するための効率を向上させてもよい。アルミニウム箔等の光学的に反射する箔1608は、個別の検出器領域へのシンチレーションを閉じ込める。
【0072】
米国特許出願第13/163,854号(Rothschild)「Detector with Active Collimators」(参照することによって本明細書に組み込まれる)は、
図17に描写されるように、被検査物体の近距離場および遠距離場からの散乱を区別することによって、検査の奥行を増加させる、後方散乱検出器モジュール30について説明している。一式の能動的コリメートベーン31の角度は、工場で1回、調節されるか、あるいは走査される物体のタイプおよび/または距離に応じて、それらを動的に調節するために提供される任意の種類の電気機械的デバイスに取り付けられるかのいずれかであってもよい。コリメートベーンからのシンチレーション光は、1つ以上の光検出器(例えば、検出器の正面区画の上部および底部に位置するPMT32)によって検出される。検出器の後方区画36は、光バッフル34によって、正面区画35から光学的に隔離され、後方区画36内で検出されるX線からのシンチレーション光は、第2のセットの1つ以上の光検出器(例えば、検出器の後方面上に搭載されるPMT37)によって収集される。後方区画は、例えば、シンチレーション蛍光スクリーンで覆われてもよく、または本発明の他の実施形態では、プラスチックまたは液体シンチレータを含有してもよい。
【0073】
標準的後方散乱ユニットへの有用な追加は、シンチレータから作製される、「ベネチアンブラインド」様コリメータであろう。スラットが、ボックス検出器が、優先的に、より深部の内部物体を検出するように、直接、スラット間の間隙を通して入射しない放射線を遮断する。能動的コリメータは、除外された放射線を記録する。能動的コリメータからの光は、PMTによって検出され、その収集効率は、コリメータ間の間隙が減少するにつれて、迅速に低下する。PMTおよびシンチレータベーンをSc−WSF検出器から成るベーンと交換することによって、主要な欠点を解決し、ベネチアンブラインド様コリメータを実用化する。第1に、光収集は、ベーン間の間隙幅から独立する。第2に、能動的コリメータからの光を収集するために使用される、PMTまたはシリコン光電子増倍管の作用面積は、概して、必要とされる、光検出器のコストがかからないように、PMTの作用面積よりはるかに小さい。第3に、WSF束の端部における光検出器の設置は、光収集の効率に重要ではない。第4に、各スラットからのWSFからの信号は、独立して処理され、被検査物体の内部に関する情報を最大限にするための広範囲をもたらすことができる。第5に、各ベーンの正面および背面上の薄型シンチレータスクリーンからの光は、独立WSFによって収集されることができ、深度判別を有意に改良し得る。
【0074】
図18Cおよび18Dは、シンチレータの両側から衝突するX線に対して高感度の能動的WSFコリメータ181を描写する(それぞれ、斜視および断面)。両シンチレータ領域182からのシンチレーション光は、波長シフト光ファイバ183を介して、光検出器に結合される。
図18Aおよび18Bは、遮光X線吸収体189によって分離され、各面に衝突する放射線を区別する、独立読取装置187を伴う、能動的WSFコリメータ185を示す(それぞれ、斜視および断面)。例えば、各コリメータ185は、一実施形態では、Sc−WSF検出器182の2つの層から成ってもよく、それぞれ、60mg BaFCl:Eu/cm
2の面積密度を含有する。遮光X線吸収体189は、スズの薄層から成ってもよく、これはまた、構造支持を提供する。
【0075】
小型後方散乱検査システムのための検出器
Sc−WSF検出器の薄さは、低軽量かつ低電力が重要な用途のための独特の潜在性を提供する。
図19Aおよび19Bを参照すると、携帯式撮像システム193が、そのような用途の実施例である。電力要件、検査時間、および画質は全て、検出の立体角によって影響される。例えば、断面10cm×10cm(100cm
2)を伴う、従来の検出器は、重さ約500グラムである。重さわずか2倍である10−cm
3のSc−WSFは、それぞれ5mm厚未満の個々のSc−WSF10cm×10cm検出器から作製され、少なくとも2,000cm
2の後方散乱検出面積を呈するように広げられ得、本実施例では、20倍の増加となる。付加的検出被覆率は、携帯式システムの性能に1桁分の改良をもたらし得る。
【0076】
本明細書に説明されるSc−WSF検出器の薄型プロファイルは、狭小空間内に輪郭形成された検出器を適合させることを提供する。例えば、検出器は、制約された空港検査空間内に適合するように制約される、対人スキャナのために適応されてもよい。
【0077】
図19は、4つの検出器191が、携帯式スキャナ193から広げられる、またはスライドされ、特に、検査される物体内のより深部に隠されたアイテムに対する検出効率を実質的に増加させる、実施例を示す。後方散乱検出器195は、照射ビーム197に跨架する。
【0078】
定常車両の下側の後方散乱検査
ポータブルX線後方散乱システムによる車両の下側の検査は、特殊な問題を呈する。車の地上高は、8インチに満たず、6インチ程度であり得る。入口等の固定検査システムは、検出器を地面に置くことができる、または前述のように、Sc−WSFを使用して、地面に置かれることができる。しかしながら、多くの地域でセキュリティのために必要とされる、移動式車両下検査システムは、未だ開発されていない。検査者は、鏡およびカメラ等の受動的検査ツールに依拠し、ガスタンク内や、または気付かないようにカモフラージュされた禁制品を見逃すことになる。
【0079】
Sc−WSF検出器は、高さ6インチに満たないX線後方散乱システムを実用化する。ここで、実践的システムの略図が、
図20Aおよび20Bを参照して説明される。X線源は、アノードを横断する電子ビームの電磁スキャナ221から成る。電磁スキャナ221は、電子機器モジュール223によって駆動される。X線は、例えば、1回の通過で下側30インチに及ぶ、開口225の線形アレイによってコリメートされる。Sc−WSF検出器227は、車両229から後方散乱されるX線236を検出するように、X線管の両側に搭載される。電源、パルス、および画像プロセッサも、適切に搭載され得る。車輪232上の検査ユニット230のシャーシ234は、モータまたは手動制御によって、車両229下で操作されるように適応されてもよい。
【0080】
L形状検出器アレイセグメントを伴う、移動式透過検査
本発明の別の側面によると、概して、番号240によって指定される、移動式検査システムが、ここで、
図21Aおよび21Bを参照して説明される。透過性放射線源(図示されないが、本明細書では、限定ではないが、X線の観点から説明される)は、移動式検査ユニット241内で搬送され、典型的には、その独自の電力下で移動可能であるが、また、牽引または別様に輸送されてもよく、これも、本発明の範囲内である。透過性放射線のビーム242は、掃引ペンシルビームまたはファンビームのいずれかとして、移動式検査ユニット241から放出され、いずれの場合も、
図21Aに代表的ビーム242として指定される平面において放出される。示されるように車両またはその他(可搬型貨物等)であり得る、被検査物体244は、検査の過程の間、ビーム242を横断し、横断の過程において、ここでさらに説明されるように、一体型L形状検出器ユニット245を通過する。検出器ユニット245は、
図21Bに示されるように、水平セグメント246および直立型セグメント247を有する。
【0081】
L形状検出器ユニット245の水平および直立型セグメント246および247はそれぞれ、複数の平行層249から成り、
図12を参照して前述のように、材料識別を提供するように、検出されたX線の二重、またはより一般的には、多重エネルギー分解能を提供し得る。加えて、直立型検出器アレイセグメント247は、
図14A−14Cを参照して前述のように、ビームに対する検出器の歪度または側方シフトの指標を提供するように、ビーム242の方向に横断し、かつ被検査物体244とビーム242との間の相対的移動方向に実質的に沿った方向に、複数の検出器セグメント248を有してもよい。一体型L形状検出器ユニット245は、移動式検査ユニット241あるいは牽引または別様に付随するトレーラ250に積載して、検査場に搬送されてもよく、検査場における展開に応じて、部分的に組み立てられてもよい。整合レーザ251等の補完的整合補助が、移動式検査ユニット241およびビーム242に対する検出器ユニット245の適切な位置および配向を確立するために採用されてもよい。
【0082】
本明細書に提示される実施例は、方法作用またはシステム素子の具体的組み合わせを伴うが、それらの作用およびそれらの素子は、X線検出の同一の目的を達成するための他の方法で組み合わせられてもよいことを理解されたい。加えて、単一デバイス特徴も、請求項の別個に列挙された素子の要件を充足し得る。本明細書に説明される本発明の実施形態は、単に、例示であることが意図される。変形例および修正例が、当業者に明白となるであろう。そのような変形例および修正例は全て、添付のいずれかの請求項に定義される本発明の範囲内であると意図される。
【0083】
(項目1)
厚さおよび面積によって特徴付けられる透過性放射線の検出器であって、上記検出器は、
a.入射透過性放射線のエネルギーをシンチレーション光に変化するための非画素化シンチレーション媒体体積と、
b.上記シンチレーション光から導出された光を誘導するために、上記非画素化シンチレーション媒体体積と連続するシンチレーション光抽出領域にわたって、相互に実質的に平行に整合された複数の光学導波路と、
c.上記複数の導波路によって誘導される光子を検出するため、および検出器信号を発生させるための光検出器と
を備える、検出器。
(項目2)
規定された持続時間にわたって、上記検出器信号を積分するための積分回路をさらに備える、項目1に記載の検出器。
(項目3)
厚さおよび面積によって特徴付けられる透過性放射線の検出器であって、上記検出器は、
a.入射透過性放射線のエネルギーをシンチレーション光に変換するためのシンチレーション媒体体積と、
b.上記シンチレーション光から導出された光を誘導するために、上記体積のシンチレーション媒体と連続するシンチレーション光抽出領域にわたって、相互に実質的に平行に整合された複数の光学導波路と、
c.上記複数の導波路によって誘導される光子を検出するため、および検出器信号を発生させるための光検出器と、
d.規定された持続時間にわたって、上記検出器信号を積分するための積分回路と
を備える、検出器。
(項目4)
上記複数の光学導波路は、上記シンチレーション光の波長シフトに対して適応される、項目1または項目3に記載の検出器。
(項目5)
上記複数の光学導波路は、波長シフト光ファイバである、項目1または項目3に記載の検出器。
(項目6)
上記シンチレーション媒体は、ランタニドでドープされたバリウム混合ハロゲン化物を含む、項目1または項目3に記載の検出器。
(項目7)
上記シンチレーション媒体は、バリウムフルオロクロライドを含む、項目1または項目3に記載の検出器。
(項目8)
上記光検出器は、光電子増倍管を含む、項目1または項目3に記載の検出器。
(項目9)
上記検出器の面積で除算した上記検出器の厚さの二乗は、0.001未満である、項目1または項目3に記載の検出器。
(項目10)
上記複数の導波路のうちの少なくとも1つは、クラッディングを欠いており、上記シンチレーション媒体は、上記導波路を特徴付ける屈折率より低い値の屈折率によって特徴付けられる、項目1または項目3に記載の検出器。
(項目11)
上記複数の光学導波路は、複数の平行平面に配置され、上記平行平面のそれぞれは、上記複数の光学導波路のサブセットを含有する、項目1または項目3に記載の検出器。
(項目12)
入射ビームによって連続的に衝突される複数のシンチレータ媒体層をさらに備える、項目1または項目3に記載の検出器。
(項目13)
上記複数のシンチレータ媒体層は、上記入射ビームに対する固有のスペクトル感度によって特徴付けられる、項目12に記載の検出器。
(項目14)
交互するシンチレータ層は、ファイバ結合BaFCl(Eu)およびファイバ結合BaFI(Eu)のうちの少なくとも1つと交互するLi
6F:ZnS(Ag)を含む、項目12に記載の検出器。
(項目15)
上記複数のシンチレータ媒体層の第1の層は、優先的に、より低いエネルギーのX線に敏感である波長シフトファイバ結合検出器であり、上記複数のシンチレータ媒体層の最後の層は、プラスチックシンチレータである、項目12に記載の検出器。
(項目16)
入射ビームの伝搬方向に横断する平面に配置される複数のシンチレータ媒体セグメントをさらに備える、項目1に記載の検出器。
(項目17)
上記複数のシンチレータ媒体セグメントは、光ファイバを介して、光検出器に固有に結合される、項目16に記載の検出器。
(項目18)
シンチレーション検出器を製造するための方法であって、上記方法は、シンチレーション材料のシェルを光学導波路の周囲に押出成形することを含む、方法。
(項目19)
上記光学導波路は、波長シフト光ファイバである、項目18に記載の方法。
(項目20)
散乱X線放射を検出するための方法であって、上記方法は、
a.複数の個々に読取装置を行なうセグメントによって特徴付けられる検出器を提供することと、
b.上記個々に読取装置を行なうセグメントのサブセットからの信号を加算することであって、上記サブセットは、相対的信号対雑音に基づいて選択される、ことと
を含む、方法。
(項目21)
散乱X線放射を検出するための方法であって、上記方法は、
a.複数の個々に読取装置を行なうセグメントによって特徴付けられる検出器を提供することと、
b.上記個々に読取装置を行なうセグメントのサブセットからの信号を加算することであって、上記サブセットは、一次照射ビームの既知の位置に基づいて選択される、ことと
を含む、方法。
(項目22)
被検査物体を検査するための移動式X線検査システムであって、上記移動式X線検査システムは、
a.プラットフォームおよび地面接触部材を有する搬送装置上に配置されたX線放射源と、
b.上記被検査物体と相互作用するX線を検出するために、検査動作の間、上記搬送装置外に展開されたファイバ結合シンチレーション検出器と
を備える、移動式X線検査システム。
(項目23)
検査の過程の間、上記被検査物体の上方に展開されたファイバ結合シンチレーションオーニング型検出器をさらに備える、項目22に記載の移動式X線検査システム。
(項目24)
上記オーニング型検出器は、検査動作に先立って、上記搬送装置の屋根からスライドする、項目23に記載の移動式X線検査システム。
(項目25)
上記搬送装置のプラットフォームの真下に展開されたスカート型検出器をさらに備える、項目22に記載の移動式X線検査システム。
(項目26)
上記搬送装置より高い空間の検出のための屋根型検出器をさらに備える、項目22に記載の移動式X線検査システム。
(項目27)
実質的に水平であって、かつ実質的に直立型のファイバ結合シンチレータ検出器セグメントをさらに備える、項目22に記載の移動式X線検査システム。
(項目28)
上記実質的に水平であって、かつ実質的に直立型のファイバ結合シンチレータ検出器セグメントは、一体型構造に形成される、項目27に記載の移動式X線検査システム。
(項目29)
装置であって、上記装置は、上記装置に入射する放射線を検出し、上記装置は、
a.少なくとも第1の検出信号を発生させるために、上記放射線に高感度な波長シフトファイバ結合シンチレーション検出器を備える、複数の実質的に平行な能動的コリメーションベーンと、
b.上記複数の能動的コリメータベーンの実質的に平行な能動的コリメーションベーン間を通過する放射線を検出し、第2の検出信号を発生させるための後方の広面積検出器と、
c.上記第1および第2の検出信号を受信および処理するためのプロセッサと
を備える、装置。
(項目30)
下層表面上に配置される物体を検査するためのトップダウン型撮像検査システムであって、上記トップダウン型撮像検査システムは、
a.実質的に下向きに指向するX線源と、
b.上記下層表面の上方の突出部内に配置された線形検出器アレイと
を備える、トップダウン型撮像検査システム。
(項目31)
上記線形検出器アレイは、波長シフトファイバ結合シンチレーション検出器を含む、項目30に記載のトップダウン型撮像検査システム。
(項目32)
車両の下側を検査するためのX線検査システムであって、上記X線検査システムは、
a.シャーシに結合された実質的に上向きに指向するX線源と、
b.上記車両によって、および上記車両の下または内に隠された物体によって、散乱されるX線を検出するために、上記シャーシ上に配置された波長シフトファイバ結合シンチレータ検出器と
を備える、X線検査システム。
(項目33)
上記シャーシは、モータおよび手動制御のうちの少なくとも1つによって、上記車両下で操作されるように適応される、項目32に記載のX線検査システム。