特許第6203372号(P6203372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リサーチ コーポレーション テクノロジーズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6203372サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子
<>
  • 特許6203372-サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子 図000019
  • 特許6203372-サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子 図000020
  • 特許6203372-サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子 図000021
  • 特許6203372-サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子 図000022
  • 特許6203372-サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子 図000023
  • 特許6203372-サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子 図000024
  • 特許6203372-サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子 図000025
  • 特許6203372-サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子 図000026
  • 特許6203372-サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子 図000027
  • 特許6203372-サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子 図000028
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203372
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/38 20060101AFI20170914BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20170914BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20170914BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20170914BHJP
【FI】
   C07K14/38
   C12N15/00 AZNA
   C07K19/00
   C07K16/00
   A61K38/16
   A61K39/395 C
   A61K39/395 L
   A61K47/68
【請求項の数】28
【全頁数】70
(21)【出願番号】特願2016-500564(P2016-500564)
(86)(22)【出願日】2014年3月3日
(65)【公表番号】特表2016-512251(P2016-512251A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】US2014020035
(87)【国際公開番号】WO2014158770
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年3月2日
(31)【優先権主張番号】61/902,972
(32)【優先日】2013年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/783,589
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512208040
【氏名又は名称】リサーチ コーポレーション テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲールセン カート アール.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ ティモシー デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】カー フランシス ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ハーン アーロン
【審査官】 白井 美香保
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−292960(JP,A)
【文献】 THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,2002年,vol.277 no.21,pp.18632-18639
【文献】 BMC Biochemistry,2009年,vol.10 no.9,pp.1-11,doi:10.1186/1471-2091-10-9
【文献】 第69回日本生化学会大会、第19回日本分子生物学会年会、合同年会講演要旨集,1996年,p.399, 3-P-0100
【文献】 FEMS Microbiol Rev,2007年,vol.31,pp.212-237
【文献】 三共生命科学研究振興財団研究報告集,1998年,vol.12,pp.46-56
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CA/MEDLINE/BIOSIS(STN)
PubMed
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型α−サルシンポリペプチドと比較して少なくとも1つの突然変異を含む修飾サルシンポリペプチドであって、前記少なくとも1つの突然変異が、前記野生型α−サルシンポリペプチドのアミノ酸D9、Q10、P13、T15、N16、又はY18の1又は複数にあり、かつ前記野生型α−サルシンポリペプチドの第1のT細胞エピトープ内にあり、及び/又は前記野生型α−サルシンポリペプチドの
アミノ酸K139、E140、又はQ142の1又は複数にあり、かつ前記野生型α−サルシンポリペプチドの第2のT細胞エピトープ内にあり、また前記第1のT細胞エピトープが配列番号6のアミノ酸配列からなり、前記第2のT細胞エピトープが配列番号4のアミノ酸配列からなり、さらに前記修飾サルシンポリペプチドがタンパク質合成を阻害するとともに、前記野生型α−サルシンポリペプチドと比較してT細胞応答の低減を引き起こし、タンパク質合成の阻害がin vitro転写翻訳アッセイ(IVTT)を使用して測定される、修飾サルシンポリペプチド。
【請求項2】
前記少なくとも1つの突然変異が前記第1のT細胞エピトープ内にあり、かつ前記野生型α−サルシンのアミノ酸D9、Q10、P13、T15、N16、又はY18の1又は複数にある、請求項1に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項3】
前記修飾サルシンポリペプチドが、タンパク質合成の阻害により測定されるように前記野生型α−サルシンよりも毒性があり、タンパク質合成がin vitro転写翻訳アッセイ(IVTT)を使用して測定される、請求項1に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項4】
前記少なくとも1つの突然変異が前記第2のT細胞エピトープ内にあり、該第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの突然変異が前記野生型α−サルシンのアミノ酸K139、E140、又はQ142の1又は複数にある、請求項1に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項5】
前記第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの突然変異が前記野生型α−サルシンポリペプチドのアミノ酸K139、E140、又はQ142の1又は複数にある、請求項4に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項6】
前記第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの突然変異がK139D、K139E、Q142N、又はQ142Tである、請求項5に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項7】
少なくとも1つの第1の突然変異が前記第1のT細胞エピトープ内にあり、少なくとも1つの第2の突然変異が前記第2のT細胞エピトープ内にあり、前記第1のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第1の突然変異が前記野生型α−サルシンのアミノ酸D9、Q10、P13、T15、N16、又はY18の1又は複数にあり、前記第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第2の突然変異が前記野生型α−サルシンポリペプチドのアミノ酸K139、E140、又はQ142の1又は複数にある、請求項1に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項8】
前記第1のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第1の突然変異が前記野生型α−サルシンポリペプチドのアミノ酸Q10又はN16の第1の突然変異を含み、前記第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第2の突然変異が前記野生型α−サルシンポリペプチドのアミノ酸K139の第2の突然変異と、前記野生型α−サルシンポリペプチドのアミノ酸Q142の第3の突然変異とを含む、請求項7に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項9】
請求項1に記載の修飾サルシンポリペプチドと、薬学的に許容可能な賦形剤又は担体とを含む組成物。
【請求項10】
標的分子に接合された又は融合された請求項1に記載の修飾サルシンポリペプチドを含む融合タンパク質。
【請求項11】
前記標的分子が抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項10に記載の融合タ
ンパク質。
【請求項12】
配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型α−サルシンポリペプチドと比較して少なくとも1つの突然変異を含む修飾サルシンポリペプチドであって、前記少なくとも1つの突然変異が前記野生型α−サルシンポリペプチドの第1のT細胞エピトープ及び/又は第2のT細胞エピトープ内にあり、前記第1のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの突然変異がD9A、D9T、Q10K、Q10R、Q10A、P13I、T15G、T15Q、T15H、N16R、N16K、N16A、Y18H、Y18K、又はY18Rの1又は複数であり、前記第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの突然変異がK139D、K139E、K139G、K139Q、K139H、K139N、E140D、Q142D、Q142N、Q142T、Q142E、Q142R、又はQ142Gの1又は複数であり、前記第1のT細胞エピトープが配列番号6のアミノ酸配列からなり、前記第2のT細胞エピトープが配列番号4のアミノ酸配列からなさらに前記修飾サルシンポリペプチドがタンパク質合成を阻害するとともに、少なくとも前記野生型α−サルシンポリペプチドと同程度に細胞毒性であり、且つ前記野生型α−サルシンポリペプチドと比較してT細胞応答の低減を引き起こす、修飾サルシンポリペプチド。
【請求項13】
前記少なくとも1つの突然変異が、前記第1のT細胞エピトープ内にあり、かつD9A、D9T、Q10K、Q10R、Q10A、P13I、T15G、T15Q、T15H、N16R、N16K、N16A、Y18H、Y18K、又はY18Rの1又は複数である、請求項12に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項14】
前記少なくとも1つの突然変異が、前記第2のT細胞エピトープ内にあり、かつK139D、K139E、K139G、K139Q、K139H、K139N、E140D、Q142D、Q142N、Q142T、Q142E、Q142R、又はQ142Gの1又は複数である、請求項12に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項15】
前記第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの突然変異がK139D、K139E、Q142N、又はQ142Tである、請求項12に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項16】
少なくとも1つの第1の突然変異が前記第1のT細胞エピトープ内にあり、少なくとも1つの第2の突然変異が前記第2のT細胞エピトープ内にあり、前記第1のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第1の突然変異がD9A、D9T、Q10K、Q10R、Q10A、P13I、T15G、T15Q、T15H、N16R、N16K、N16A、Y18H、Y18K、又はY18Rの1又は複数であり、前記第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第2の突然変異がK139D、K139E、K139G、K139Q、K139H、K139N、E140D、Q142D、Q142N、Q142T、Q142E、Q142R、又はQ142Gの1又は複数である、請求項12に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項17】
前記第1のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第1の突然変異が、Q10K、N16R、N16K、Y18K、又はY18Rの1又は複数であり、前記第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第2の突然変異が、K139D、K139E、Q142N、又はQ142Tの1又は複数である、請求項16に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項18】
前記第1のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第1の突然変異がQ10K又はN16Rであり、前記第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第2の突然変異が第2の突然変異と第3の突然変異とを含み、該第2の突然変異がK139D又はK139Eであり、該第3の突然変異がQ142Tである、請求項17に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項19】
前記第1のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの突然変異がD9T又はP13Iであ
る、請求項13に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項20】
前記第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの突然変異がQ142Tである、請求項14に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項21】
前記第1のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第1の突然変異がD9Tであり、前記第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第2の突然変異がQ142Tである、請求項16に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項22】
前記第1のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第1の突然変異がP13Iであり、前記第2のT細胞エピトープ内の少なくとも1つの第2の突然変異がQ142Tである、請求項16に記載の修飾サルシンポリペプチド。
【請求項23】
標的分子に接合された又は融合された請求項19〜22のいずれか一項に記載の修飾サルシンポリペプチドを含む融合タンパク質。
【請求項24】
前記標的分子が抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項23に記載の融合タンパク質。
【請求項25】
請求項19に記載の修飾サルシンポリペプチドと薬学的に許容可能な賦形剤又は担体とを含む組成物。
【請求項26】
請求項20に記載の修飾サルシンポリペプチドと薬学的に許容可能な賦形剤又は担体とを含む組成物。
【請求項27】
請求項21に記載の修飾サルシンポリペプチドと薬学的に許容可能な賦形剤又は担体とを含む組成物。
【請求項28】
請求項22に記載の修飾サルシンポリペプチドと薬学的に許容可能な賦形剤又は担体とを含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サルシン及び他の関連する真菌リボトキシンに由来するリボトキシン分子に関する。
【背景技術】
【0002】
α−サルシンは、糸状菌であるアスペルギルス・ギガンテウム(Aspergillus giganteum)MDH18894の生成物として1965年に発見された最初のリボトキシンの一つである。或る特定の肉腫細胞株に対するその毒性により命名された。この毒性は、後に1970年代中ごろ、動物界全体で保存されるリボソームRNA(サルシン−リシンループ)の或る特定のセグメントの毒素による特異的な切断に起因すると特定された。上記毒素によるそのリボソームRNAの切断は、細胞によるタンパク質産生を阻害する。上記毒素は毒性が高く、アポトーシス機構により細胞を殺傷する。
【0003】
α−サルシンは、150アミノ酸タンパク質である(非特許文献1)。α−サルシンの構造について多くが知られている。Tyr48、His50、Glu96、Arg121、His137及びLeu145は、RNAse活性の活性部位に重要なアミノ酸である。5本鎖ベータシート及び単一のα−へリックスが上記分子の3D構造に重要である。上記タンパク質は2つのジスルフィド結合を含む。α−サルシンと関連する生物に由来する分子との間の大半の自然変異は、これらの構造的要素間のループ中にある。アミノ酸7〜22の欠失は、タンパク質の高次構造に影響を及ぼさないようである。(しかしながら、膜相互作用には影響を及ぼす)。上記分子は高い等電点を伴って非常に高い負電荷を帯びる。アミノ酸116〜139は、細胞膜の通過等の細胞膜相互作用に関与する可能性がある。Asn54は、基質に対する結合ポケットに関与する可能性がある。Arg121は、脂質膜との相互作用に重要な可能性がある。サルシンの免疫原性は十分に研究されていない。
【0004】
他の真菌リボトキシンは、α−サルシンと同じファミリーに属し、他のアスペルギルス種によって産生され、例えば、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、及びレストリクトシンを含む。このファミリーのリボトキシンのメンバーは、一般に85%超の高いアミノ酸同一性を共有し(非特許文献1)、同じ機構、すなわち、リボソームRNAの保存されたサルシンリッチループ中のホスホジエステル結合を切断することにより、毒性を媒介する。クラビン及びギガンチンは150アミノ酸長であるのに対し、A.レストリクタス(A. restrictus)から単離された同じポリペプチドの変異体であるレストリクトシン及びマイトギリンは149アミノ酸長である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Lacadena et al., 2007, FEMS Microbiol Rev 31, 212-237
【発明の概要】
【0006】
簡潔には、本開示は、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、及びレストリクトシンを含む真菌リボトキシンの修飾リボトキシンエピトープ、例えば「修飾リボトキシンエピトープ」を特徴とする。いかなる理論又は機構にも束縛されることを意図するものではないが、本出願に開示される修飾リボトキシンエピトープは、対応する野生型リボトキシンエピトープと比較して、ヒトMHCクラスIIに対する減少した結合を有し、及び/又は減少したT細胞応答を誘発すると考えられる。
【0007】
或る一つの例示的な実施の形態では、上記修飾T細胞エピトープは、XKNPKTNKY(配列番号44)(ここで、XはQ又はDQである)のアミノ酸配列を有する野生型T細胞エピトープの1又は複数のアミノ酸修飾を含む。別の例示的な実施の形態では、修飾T細胞エピトープは、IIAHTKENQ(配列番号4)のアミノ酸配列を有する野生型T細胞エピトープの1又は複数のアミノ酸修飾を含む。
【0008】
また、本開示は、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、及びレストリクトシンを含む真菌リボトキシンの構造に基づく修飾分子、例えば、「修飾リボトキシン分子」を特徴とする。いかなる理論又は機構にも束縛されることを意図するものではないが、本発明の修飾リボトキシン分子は、野生型リボトキシンと比較して、ヒトに対して免疫原性が低いと考えられる。分子の有効性は、特に、その分子が治療又は予防の状況で使用される場合に望ましくない免疫応答によって制限される場合がある。したがって、或る特定の例では、分子の免疫原性を低減することが望ましい場合がある。
【0009】
或る一つの例示的な実施の形態では、修飾サルシンポリペプチドは野生型α−サルシンポリペプチド(配列番号1)と比較して少なくとも1つの突然変異を含み、少なくとも1つの突然変異が野生型α−サルシンポリペプチドの第1のT細胞エピトープ及び/又は第2のT細胞エピトープ内にあり、第1のT細胞エピトープがアミノ酸配列XKNPKTNKY(配列番号44)(ここで、XはQ又はDQである)からなり、第2のT細胞エピトープがアミノ酸配列IIAHTKENQ(配列番号4)からなる。
【0010】
また、本開示は、修飾リボトキシン分子(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、及びレストリクトシン)及び標的分子を含む融合タンパクを特徴とする。標的分子として、限定されないが、抗体、Fabフラグメント、単鎖可変フラグメント(scFvs)、VHドメイン、改変されたCH2ドメイン、ペプチド、サイトカイン、ホルモン、他のタンパク質スキャフォルド等を挙げることができる。上記融合タンパク質は、治療剤として使用されてもよい。例えば、或る実施の形態では、上記融合タンパクは、望ましくない病原体又は癌細胞を標的とする。そのため、或る特定の実施の形態は、疾患又は状態を治療又は管理するため修飾リボトキシン分子を含む融合タンパク質を使用する方法に関する。
【0011】
別の態様は、上記修飾リボトキシン分子(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、及びレストリクトシン)又はそれらを含む融合タンパク質をコードする核酸コンストラクトに関する。上記核酸コンストラクトを、例えば、宿主細胞における上記核酸コンストラクトの発現、及び上記修飾リボトキシン分子又は融合タンパク質を単離することによって上記修飾リボトキシン分子又は融合タンパク質を産生する方法に使用することができる。
【0012】
本明細書に記載される特徴又は特徴の組合せはいずれも、任意のかかる組合せに含まれる特徴が、文脈、本明細書、及び当業者の知識から明らかなように、相互に矛盾しない限り、本発明の範囲に含まれる。本発明の追加の利点及び態様は、以下の詳細な説明において明らかである。
【0013】
本発明の更なる理解を提供するため含まれ、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の態様を解説し、本発明の説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】RCT02研究コホート(n=52)、並びに世界、欧州及び北米の集団において発現されるドナーアロタイプの頻度の比較を示す図である。
図2】サルシン配列にかかる12アミノ酸が重複する46個の15−merペプチド、並びにヌル突然変異体E96Q及びH137Qにかかる2セットの5ペプチドを試験するEpiScreen(商標)アッセイの結果を示す図である。各エピトープを6つ組(sextuplicate)の培養で試験し、図2Aにおいて非調整(全ての複製物)又は図2Bにおいて調整(異常値を除外)としてデータを表した。応答するドナーの数(SI>2)が完全なデータセットプラス2×SD(両方のデータセットで6.6%)に対する平均応答よりも大きい場合にペプチドを陽性とした。
図3】α−サルシン毒素及び単一アミノ酸変異体のEpiScreen(商標)T細胞エピトープマッピングによって同定されたエピトープを示す。A)エピトープ1(残基10〜18)及び(図3Aは、それぞれ表示順に、配列番号51及び配列番号53、並びにそれらの対応する突然変異体配列を配列番号52及び配列番号54として、それぞれ開示する)B)エピトープ2(残基134〜142)(図3Bは、それぞれ表示順に、配列番号55及び配列番号57、並びにそれらの対応する突然変異体配列を配列番号56及び配列番号58として、それぞれ開示する)。
図4】B−Per抽出の後の可溶性(S)画分及び不溶性(I)画分の抗Hisウェスタンブロットによるα−サルシン二重エピトープ変異体の発現の分析を示す図である。サイズマーカーは、予め染色されたタンパク質スタンダードFermentas PageRuler Plus(カタログ番号SM1811)である。
図5】野生型α−サルシン、α−サルシンヌル突然変異体H137Q、及び様々なα−サルシン二重変異体を含む可溶性抽出物を使用するIVTTアッセイの結果を示す図である。
図6】野生型α−サルシン、α−サルシンヌル突然変異体(H137Q)、及びα−サルシンの三重/四重変異体をコードするプラスミドを使用するIVTTアッセイの結果を示す図である。
図7】α−サルシン三重変異体のタンパク質発現の分析を示す図である。図7Aは、B−Per抽出後の可溶性(S)画分及び不溶性(I)の画分の抗Hisウェスタンブロットである。図7Bは、His精製変異体のクーマシーブルー染色SDS−PAGEゲルである。
図8】野生型α−サルシン、α−サルシンヌル突然変異体(H137Q)、及びα−サルシンの三重変異体の精製タンパク質を使用するIVTTアッセイの結果を示す図である。
図9】野生型α−サルシン、α−サルシンヌル突然変異体(H137Q)、及びα−サルシンの三重変異体を使用する細胞(Jurkat)の細胞毒性アッセイの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年11月12日付で出願された米国仮特許出願第61/902,972号、及び2013年3月14日付で出願された米国仮特許出願第61/783,589号の利益を主張し、その出願日に依拠し、その開示全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0016】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする。2014年2月27日付けで作製された上記ASCIIコピーの名前は0185.0001−PCT_SL.txtであり、42413バイトのサイズである。
【0017】
定義
本発明の様々な実施形態の検討を容易にするため、以下の具体的な用語の説明を提供する。
【0018】
分子生物学、細胞生物学、及び免疫学における共通の用語の定義は、Kuby Immunology, Thomas J. Kindt, Richard A. Goldsby, Barbara Anne Osborne, Janis Kuby, published by W.H. Freeman, 2007 (ISBN 1429202114)、及びGenes IX, Benjamin Lewin, published by Jones & Bartlett Publishers, 2007 (ISBN-10: 0763740632)に見出され得る。
【0019】
抗体:免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子のフラグメントによって実質的にコードされる1又は複数のポリペプチドを含むタンパク質(又は複合体)。免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、及びミューの定常領域遺伝子、並びに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含み得る。軽鎖は、カッパ又はラムダのいずれかとして分類され得る。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロンとして分類され、それぞれ、順に免疫グロブリンIgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEのクラスを定義し得る。
【0020】
本明細書で使用される、「抗体」の用語は、インタクト免疫グロブリン、また同じくフラグメント(例えば、約10kDa〜100kDaの分子量を有する)を含む。抗体フラグメントは、(1)Fab、パパイン酵素による抗体全体の消化によって産生されてインタクトの軽鎖及び1つの重鎖の一部を生じる、抗体分子の一価の抗原結合フラグメントを含むフラグメント;(2)Fab’、ペプシン酵素によって抗体全体を処理した後、還元してインタクトな軽鎖及び重鎖の一部を生じることによって得られる抗体分子のフラグメント;1つの抗体分子当たり2つのFab’フグメントが得られる;(3)(Fab’)2、その後の還元を行わずに抗体全体をペプシン酵素で処理することによって得られる抗体のフラグメント;(4)F(ab’)2、2つのジスルフィド結合によって共に保持される2つのFab’フラグメントの二量体;(5)Fv、2本の鎖として発現される軽鎖の可変領域及び重鎖の可変領域を含む遺伝子改変されたフラグメント;並びに(6)scFv、遺伝子融合された単鎖分子として好適なポリペプチドリンカーにより連結された、単鎖抗体、軽鎖の可変領域を含む遺伝子改変された分子、重鎖の可変領域、を含んでもよい。抗体フラグメントを作製する方法は通例となっている(例えば、Harlow and Lane, Using Antibodies: A Laboratory Manual, CSHL, New York, 1999を参照されたい)。抗体フラグメントは上述の例に限定されない、例えば、抗体フラグメントはV、V等を含み得る。
【0021】
抗体はモノクローナルであってもポリクローナルであってもよい。モノクローナル抗体は、様々な方法、例えば、ファージディスプレイ及びヒト抗体ライブラリを含む方法から調製され得る。モノクローナル抗体産生に関する手順の例は、Longberg及びHuzar (Int Rev Immunol., 1995, 13:65-93)、Kellermann及びGreen (Curr Opin Biotechnol., 2002, 13:593-7)、並びにHarlow及びLane (Using Antibodies: A Laboratory Manual, CSHL, New York, 1999)に記載される。齧歯類ハイブリッドーマを調製する古典的な方法はKohler及びMilstein (Nature 256:495-97, 1975)において検討されている。
【0022】
ヒト化抗体等の標準的な「ヒト化」免疫グロブリンは、ヒトフレームワーク領域、及び非ヒト(例えば、マウス、ラット、合成等)免疫グロブリンに由来する1又は複数のCDRを含む免疫グロブリンである。ヒト化抗体は、CDRを供給するドナー抗体と同じ又は類似の抗原に結合する。上記分子は、遺伝子工学によって構築され得る(例えば、米国特許第5,585,089号を参照されたい)。
【0023】
抗原:抗体の産生又はT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物、又は物質であり、注射される又は吸収される組成物を含む。抗原(Ag)は、特異的な液性免疫又は細胞性免疫の生成物と反応する。或る実施形態では、抗原は、かかる相互作用が免疫応答を生じるか否かに関わらず、修飾サルシン分子及び/又はリボトキシン融合タンパク質(例えば、結合部分)の特異的な結合標的の場合もある。
【0024】
結合活性:多重結合形態へと編成され得るように、それ自体が多重結合であるか、又は細胞若しくはウイルスの表面に存在するかのいずれかである多価の標的抗原又は受容体に同時に結合し得る、二価又は多価の結合部位による結果としての(例えば、増加した)結合親和性。例えば、免疫グロブリンの2つのFabアームは、いずれの部位も免疫グロブリンが解離するように非結合でなくてはならないことから、単一のFabアームの結合と比較して、抗原に対してかかる結合活性の増加を提供することができる。
【0025】
結合親和性:結合部位とリガンドとの間(例えば、結合部分、例えば抗体と抗原又はエピトープとの間)の結合の強度。結合部位XのリガンドYに対する親和性は、溶液中に存在するXの結合部位の半分を占めるのに必要なYの濃度である、解離定数(Kd)によって表される。より低い(Kd)は、より強い又はより高い親和性のXとYとの間の相互作用を示し、より低い濃度のリガンドがその部位を占めるのに必要とされる。一般に、結合親和性は、パラトープ(エピトープを認識する分子の部分)によって認識されるエピトープ中の1又は複数のアミノ酸の変更、修飾、及び/又は置換によって影響を受ける可能性がある。また、結合親和性は、パラトープ中の1又は複数のアミノ酸の変更、修飾及び/又は置換によって影響を受ける場合がある。結合親和性は、抗原を結合する抗体の親和性であってもよい。
【0026】
或る一つの例では、Ag−ELISAアッセイにおいてエンドポイント滴定によって結合親和性を測定することができる。結合親和性は、修飾された/置換されたエピトープについて特異的な抗体のエンドポイント力価が、変更されていないエピトープと比較して、少なくとも4倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍以上等異なる場合、抗体パラトープによって認識されるエピトープ中の1又は複数のアミノ酸の修飾及び/又は置換によって実質的に低下(又は測定可能な程度に減少)され得る。
【0027】
CH2又はCH3ドメイン分子:免疫グロブリンのCH2ドメイン又はCH3ドメインに由来するポリペプチド(又はポリペプチドをコードする核酸)。別段の指示がない限り、免疫グロブリンは、IgG、IgA、IgD、IgE又はIgMであってもよい。CH2又はCH3分子は、構造化されていないアミノ酸配列のループによって接続されるいくつかの平行なβストランドで構成される。CH2又はCH3ドメイン分子は、完全な超可変ループ等の追加のアミノ酸配列(複数の場合がある)を更に含むことができる。或る実施形態では、CH2又はCH3ドメインは、その分子のループ領域に1又は複数の突然変異を含む。或る実施形態では、CH2ドメイン又はCH3ドメインは、スキャフォルド領域中に(例えば、安定化等のため)1又は複数の突然変異を含む。CH2又はCH3ドメインの「ループ領域」は、βシートの領域の間に位置するタンパク質の部分を指す(例えば、各CH2ドメインは、N末端からC末端に向けて7つのβシートA〜Gを含む)。CH2ドメインは6つのループ領域、すなわちループ1、ループ2、ループ3、ループA−B、ループC−D、及びループE−Fを含む。ループA−B、ループC−D、及びループE−Fは、βシートのAとB、CとD、及びEとFの間にそれぞれ位置する。ループ1、ループ2、及びループ3は、βシートのBとC、DとE、及びFとGの間にそれぞれ位置する。天然のCH2ドメイン中のこれらのループは、構造ループと呼ばれることが多い。CH2ドメイン分子の非限定的な例は、国際公開第2009/099961号に見ることができる。
【0028】
天然のCH2ドメイン分子及びCH3ドメイン分子は、サイズが小さく、通常15kD未満である。改変されたCH2ドメイン分子及びCH3ドメイン分子は、ループ領域に挿入されたドナーループの長さ、いくつのドナーループが挿入されたか、別の分子(結合部分、エフェクタ分子、又は標識等)がCH2又はCH3ドメインに接合又は連結されたかどうかに応じてサイズが変化し得る。CH2ドメインは、IgG、IgA、又はIgDに由来してもよい。CH2ドメインは、IgG、IgA、又はIgDのCH2ドメインに相同なIgE又はIgMのCH3ドメインに由来してもよい。
【0029】
CH2D:CH2ドメイン分子又はCH3ドメイン分子。CH2ドメイン分子又はCH3ドメイン分子は、その分子が抗原を特異的に結合するように改変されてもよい。抗原に結合するように改変されたCH2ドメイン分子及びCH3ドメイン分子は、Fc受容体結合を維持することができる既知の抗原特異的結合抗体ドメインに基づく分子のうち最も小さい。
【0030】
接触する:固体及び液体の形態の両方を含む、直接的な物理的関連の配置。
【0031】
変性ポリヌクレオチド:本明細書で使用される「変性ポリヌクレオチド」は、遺伝暗号における重複性の結果として変性される配列を含むタンパク質(例えば、修飾サルシン分子、融合タンパク質)をコードするポリヌクレオチドである。20の天然アミノ酸が存在し、その大半は1より多いコドンによって特定されている。したがって、そのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質(例えば、修飾サルシン分子、融合タンパク質)のアミノ酸配列が変化されない限り、全ての変性ヌクレオチド配列が包含される。
【0032】
上記コドンは、選択された宿主生物において良好に発現されることが好ましい。変性種のコーディング核酸の使用は、異なる発現系において発現を最適化する場合がある(「コドン最適化」)。例えば、E.コリ(E. coli)発現系は或る1つのアミノ酸に対して1つのコドンを好むのに対し、ピキアタンパク質発現系はタンパク質のその位置の同じアミノ酸に対して異なるコドンを好む場合がある。
【0033】
ドメイン:残りのタンパク質から独立してその三次構造を維持するタンパク質構造。或る場合には、ドメインは、別々の機能特性を有し、機能を失わずに付加、除去又は別のタンパク質に輸送され得る。
【0034】
エフェクタ分子:分子又はキメラ分子が標的とされる細胞に対して所望の効果を有することが意図される分子又はキメラ分子の部分。エフェクタ分子は、エフェクタ部分(EM)、治療剤若しくは診断剤、又は類似の用語としても知られている。エフェクタ分子の例として、限定されないが、検出可能な標識、生物学的に活性なタンパク質、薬物、細胞毒素分子、又は毒素(細胞毒素分子)が挙げられる。
【0035】
エピトープ:抗原決定基。これらは、抗原性である分子上の特定の化学基、又は連続若しくは不連続なペプチド配列であり、すなわち、それらは特異的な免疫応答を誘発する。抗体は、抗体及び一致する(又は同族の)エピトープの三次元構造に基づいて特定の抗原性エピトープを結合する。
【0036】
発現:タンパク質への核酸配列の翻訳。タンパク質は発現され、細胞内に残り、細胞表面膜の構成要素となるか、又は細胞外基質若しくは培地中に分泌され得る。
【0037】
発現制御配列:制御可能に連結される異種の核酸配列の発現を調節する核酸配列。発現制御配列が転写、必要に応じて核酸配列の翻訳を制御及び調節する場合に、発現制御配列は核酸配列に制御可能に連結される。そのため、発現制御配列は、タンパク質コーディング遺伝子の前に適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、開始コドン(例えば、ATG)、イントロンに対するスプライシングシグナル、遺伝子にmRNAの適切な転写を可能とする正確なリーディングフレームの維持、及び停止コドンを含むことができる。「制御配列」の用語は、少なくともその存在が発現に影響を与え得る構成要素を含むことが意図され、また、その存在が有利である追加の構成要素、例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列を含んでもよい。発現制御配列はプロモーターを含んでもよい。
【0038】
プロモーターは、核酸の転写を指示する核酸制御配列のアレイである。プロモーターは、ポリメラーゼII型プロモーターの場合、TATA要素等の転写の開始部位に近い必要な核酸配列を含む。また、プロモーターは、転写開始部位から数千塩基対も遠くに位置し得る遠位のエンハンサー要素又はリプレッサー要素を含んでもよい。構成型プロモーター及び誘導性プロモーターの両方が含まれる(例えば、Bitter et al. (1987) Methods in Enzymology 153:516-544を参照されたい)。
【0039】
また、細胞型特異的、組織特異的に制御可能なプロモーター依存性遺伝子発現を与えるのに十分な、又は外部シグナル若しくは物質によって誘導可能なプロモーター要素も含まれ、かかる要素は、遺伝子の5’領域又は3’領域に位置してもよい。構成型プロモーター及び誘導性プロモーターの両方が含まれる(例えば、Bitter et al. (1987) Methods in Enzymology 153:516-544を参照されたい)。例えば、細菌系においてクローニングする場合、バクテリオファージラムダのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター)等の誘導性プロモーターを使用してもよい。或る実施形態では、哺乳動物細胞系においてクローニングする場合、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(メタロチオネインプロモーター等)又は哺乳動物ウイルス(レトロウイルスの長末端反復配列、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター等)を使用することができる。また、組換えDNA又は合成技術によって産生されるプロモーターは、核酸配列の転写を提供するため使用され得る。
【0040】
ポリヌクレオチドは、挿入された宿主の遺伝子配列の効率的な転写を促進するプロモーター配列を含む発現ベクターへと挿入され得る。発現ベクターは、典型的には複製起点、プロモーター、また、形質転換された細胞の表現型選択を可能とする特異的な核酸配列を含む。
【0041】
発現系:遺伝子産物、例えば、タンパク質を発現する系。発現系は、細胞系であってもよく、無細胞系であってもよい。発現系の例として、限定されないが、細菌系(例えば、E.コリ、B.サチリス(B. subtilis))、酵母系(例えば、ピキア、S.セレビジエ(S. cerevisiae))、昆虫系、真核生物細胞系、ウイルス系(例えば、バキュロウイルス、ラムダ、レトロウイルス)等が挙げられる。
【0042】
Fc結合領域:CH2領域のFcRn結合領域は、アミノ酸残基M252、I253、S254、T256、V259、V308、H310、Q311(IgGのKabatナンバリング)を含むことが知られている。これらのアミノ酸残基は、全長IgG分子及び/又はFcフラグメントをFcRnとの相互作用に直接影響するCH2ドメインの残基に配置する研究により同定されてきた。これらの一連の調査は、特に、(a)Fcに結合したFcRn複合体の結晶学の研究、(b)様々なヒトアイソタイプ(IgG、IgG2、IgG3及びIgG4)と互い、並びにFcRn結合及び血漿半減期において相違を呈する他の種に由来するIgGとを比較し、具体的なアミノ酸残基の相違に対して特性の変化を関連付けること、並びに(c)突然変異分析、特に、FcRnに対する増強された結合を示しながら、FcRn相互作用のpH依存性を維持する突然変異の単離を解明してきた。これらの3つのアプローチは全て、FcRnとの相互作用にCH2領域の同じ領域が重要であることを強調する。また、IgGのCH3ドメインは、FcRnとの相互作用に貢献するが、H310のプロトン付加/脱プロトンは、上記相互作用のpH依存性の主な原因であり、十分であると考えられている。本発明では、リボトキシン融合タンパク質は、融合タンパク質分子の半減期を増すため機能性FcRn結合部位(又は追加の結合部位)を有するCH2ドメインを含んでもよい。
【0043】
異種性:異種性のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、異なる起源又は種に由来するポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。
【0044】
免疫応答:B細胞、T細胞、マクロファージ、又は多核球等の免疫系細胞の抗原等の刺激に対する応答。免疫応答は、宿主の防御応答に関与する身体の任意の細胞、例えば、インターフェロン又はサイトカインを分泌する上皮細胞を含み得る。免疫応答は、限定されないが、生得の免疫応答又は炎症を含む。
【0045】
免疫複合体:エフェクタ分子の標的分子への共有結合。エフェクタ分子は、検出可能な標識、生物学的に活性なタンパク質、薬物、細胞特性分子、又は毒素(細胞毒性分子)であってもよい。
【0046】
毒素の具体的で非限定的な例として、限定されないが、アブリン、リシン、緑膿菌外毒素(PE35、PE37、PE38、及びPE40等のPE)、ジフテリア毒素(DT)、ボツリヌス毒素、低分子毒素、サポリン、レストリクトシン又はゲロニン、サルシン、リシン、それらのフラグメント又はそれらの修飾毒素が挙げられる。他の細胞毒素物質として、オーリスタチン、マイタンシノイド、及び細胞溶解性ペプチドが挙げられる。他の免疫複合体は、薬物分子(ADC、すなわち「抗体薬物複合体」;Ducry and Stump, Bioconj Chem 21: 5-13, 2010;Erikson et al., Bioconj Chem 21: 84-92, 2010)に連結された結合タンパク質(例えば、結合部分を有する標的分子)で構成され得る。これらの毒素/免疫毒素は、直接又は間接に細胞成長を阻害するか、又は細胞を殺傷する。例えば、PE及びDTは典型的には肝毒性により死をもたらす非常に毒性の化合物である。しかしながら、PE及びDTは、毒素の生来の標的成分(PEのドメインIa、及びDTのB鎖等)を除去し、それを異なる標的部分と置き換えることにより免疫毒素としての用途の形態へと修飾され得る。或る実施形態では、本発明の修飾サルシン分子又は融合タンパク質は、エフェクタ分子(EM)につなげられる。抗体(又はそのフラグメント)に接合された薬物(例えば、細胞毒性物質)である抗体薬物複合体(ADC)は、それらの複合体結合パートナーへと治療分子を送達する。エフェクタ分子は、低分子薬物、又はエリスロポエチン等の生物学的に活性なタンパク質であってもよい。或る実施形態では、エフェクタ分子は、VH又はCH1ドメイン等の免疫グロブリンドメインであってもよい。或る実施形態では、エフェクタ分子につなげられた修飾サルシン分子又は融合タンパク質は、その半減期を増加するため、脂質又は他の分子、タンパク質若しくはペプチドに更につなげられてもよい。結合は、化学的手段又は組換え手段のいずれかであってもよい。「化学的手段」は、2つの分子の間に形成されて1つの分子を形成する共有結合が存在するような、修飾サルシン分子又は融合タンパク質とエフェクタ分子との間の反応を指す。ペプチドリンカー(短鎖ペプチド配列)が修飾サルシン分子又は融合タンパク質とエフェクタ分子との間に含まれてもよい。かかるリンカーは、所望の作用部位においてエフェクタ分子を放出するため内因性又は外因性のリンカーによるタンパク質加水分解に供され得る。免疫複合体は、本来は、抗体及びエフェクタ分子等の別々の機能性を有する2つの分子から調製されることから、免疫複合体は「キメラ分子」と呼ばれることもある。したがって、本明細書で使用される「キメラ分子」の用語は、エフェクタ分子に接合(カップリングされた)リガンド、抗体、又はそれらのフラグメント若しくはドメイン等の標的部分を指す。
【0047】
「接合すること」、「つなぐこと」、「結合すること」、又は「連結すること」の用語は、2つのポリペプチドを1つの連続するポリペプチド分子とすること、又は放射性ヌクレオチド又は他の分子をポリペプチドに共有結合により付着することを指す。具体的な内容において、上記用語は、或る実施形態では、抗体部分等のリガンドをエフェクタ分子(「EM」)につなぐことを指す場合がある。また、「接合すること」、「つなぐこと」、「結合すること」、又は「連結すること」の用語は、ペプチドを毒素(例えば、サルシン、修飾サルシン分子等)に付着することを指す。
【0048】
免疫原:適切な条件下で、動物における抗体産生又はT細胞応答等の免疫応答を刺激することができる化合物、組成物、又は物質であり、動物に注射又は吸収される組成物を含む。
【0049】
本明細書で使用される「免疫原性」の用語は、免疫応答を誘発する免疫原の能力である。免疫応答は、液性応答であってもよく、細胞応答であってもよい。免疫応答は、T細胞応答であることが好ましい。免疫応答の活性化を測定することは、当該技術分野でよく知られている幾つかの方法によって行われ得る。
【0050】
本明細書で使用される「減少した免疫原性」の用語は、修飾リボトキシン又は修飾リボトキシン融合タンパク質が対応する非修飾リボトキシン又は非修飾リボトキシン融合タンパク質よりも免疫原性が少ないことを意味する。修飾リボトキシン又は修飾リボトキシン融合タンパク質は、対応する非修飾リボトキシン又は非修飾リボトキシン融合タンパク質と比較して減少したT細胞応答を誘発することが好ましい。
【0051】
本明細書で使用される「減少したT細胞応答」の用語は、修飾リボトキシン又は修飾リボトキシン融合タンパク質が、対応する非修飾リボトキシン又は非修飾リボトキシン融合タンパク質よりも、CD8+枯渇ヒト末梢血単核細胞を使用するin vitro T細胞増殖({H}−チミジン取り込み)アッセイによって測定されるより少ないT細胞活性化を誘導することを意味する。或る一つの実施形態では、修飾リボトキシン又は修飾リボトキシン融合タンパク質の刺激指数(SI)は2.0未満、より好ましくは1.5未満である。本明細書で使用される「刺激指数」の用語は、修飾リボトキシン又は修飾リボトキシン融合タンパク質のT細胞を活性化する能力を指す。SIは、従来通り1試験試料当たりの平均cpm/1対照試料(試験ペプチドを全く含まない)当たりの平均cpmとして提供される。
【0052】
単離された:それから、他の染色体又は染色体外DNA及びRNA並びに他の抗体を含むタンパク質等の上記成分が天然に生じる(例えば、細胞の他の生体成分)他の生体成分から実質的に分離され精製された「単離された」生体成分(核酸分子又はタンパク質等)。「単離された」核酸及びタンパク質は、標準的な精製方法によって精製された核酸及びタンパク質を含む。「単離された抗体」は、その抗原特異性が維持されるように他のタンパク質又は生体成分から実質的に分離されるか、又は精製された抗体である。また、上記用語は、宿主細胞において組換え発現により調製された核酸及びタンパク質、また同じく化学的に合成された核酸若しくはタンパク質、又はそれらのフラグメントを包含する。
【0053】
標識:直接又は間接に別の分子(例えば、修飾サルシン分子、標的分子、リボトキシン融合タンパク質等)に接合されてその分子の検出を容易にする検出可能な化合物又は組成物。標識の具体的で非限定的な例として、蛍光タグ、酵素結合、及び放射性同位体が挙げられる。SARCIN TO RIBOTOXIN?
【0054】
リガンド接触残基(Ligand contact residue)又は特異性決定残基(SDR):リガンド又は抗原との接触に参加する分子内のアミノ酸残基。リガンド接触残基は、特異性決定残基(SDR)としても知られている。
【0055】
リンカー:共有結合又は非常に密接な非共有結合、すなわち、特に、グリシン、セリン、プロリン、アラニンに富む様々なアミノ酸配列、若しくは免疫グロブリンドメインを接続する天然の結合アミノ酸配列の変異体の化学接合又は直接遺伝子融合、及び/又は例えば、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、例えば、分離したPEG(dPEG)を含む糖。典型的な長さは、2〜20以上のアミノ酸の範囲であってもよいが、本発明はこれらの長さ(例えば、リンカーは1〜20アミノ酸のペプチドであってもよい)に限定されない。最適な長さは、具体的な標的抗原(複数の場合がある)のスペーシング及び方向と一致するように変化して、エントロピーを最小化するが、複数の抗原の効果的な結合を可能とし得る。
【0056】
修飾:タンパク質の配列、構造等に対する変化、又は核酸配列等に対する変化。本明細書で使用される「修飾された(修飾した)」又は「修飾」の用語は、1又は複数の突然変異、欠失、置換、物理的変更(例えば、架橋修飾、構成成分の共有結合、翻訳後修飾、例えば、アセチル化、グリコシル化等、又はそれらの組合せ)等、又はそれらの組合せを含み得る。修飾、例えば、突然変異は、無作為の修飾(例えば、ランダム変異誘発)に限定されず、合理的設計も含む。
【0057】
多量体化ドメイン:タンパク質内の多くのドメインが非常に密接な非共有結合二量体、又は他のタンパク質ドメイン(複数の場合がある)との会合による多量体を形成することが知られている。最も小さい例の幾つかは、いわゆるロイシンジッパーモチーフであり、自己会合してホモ二量体(例えば、GCN4)を形成し得る7アミノ酸繰返しを含む小型のドメインであるか、代替的には、ロイシンジッパーモチーフは優先的に別のロイシンジッパーと会合してヘテロ二量体(例えば、myc/max二量体)、又はより複雑な四量体を形成し得るいずれかである(Chem Biol. 2008 Sep 22;15(9):908-19. A heterospecific leucine zipper tetramer. Deng Y, Liu J, Zheng Q, Li Q, Kallenbach NR, Lu M.)。7アミノ酸繰返しにおいてロイシンに代えてイソロイシンを有する密接に関係するドメインは、三量体「コイルドコイル」の集合(例えば、HIV gp41)を形成する。二量体の7アミノ酸繰返しにおけるイソロイシンのロイシンへの置換は、有利な構造を三量体に変更し得る。小さいドメインは製造に有利であり、全タンパク質分子に対して小さいサイズを維持するが、より大きなドメインは多量体形成に有用な場合がある。非共有結合多量体を形成する任意のドメインが採用され得る。例えば、IgGのCH3ドメインはホモ二量体を形成するのに対し、IgGのCH1ドメイン及びCLドメインはヘテロ二量体を形成する。
【0058】
核酸:ホスホジエステル結合を介して、関連する天然の構造変異体、及びその合成非天然類縁体に連結されるヌクレオチド単位(リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、関連する天然の構造変異体、及びその合成非天然類縁体)で構成されるポリマー。そのため、上記用語は、ヌクレオチド及びそれらの間の結合が非天然合成類縁体、例えば、限定されないが、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2’−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)等を含むヌクレオチドポリマーを含む。かかるポリヌクレオチドを、例えば、自動化DNA合成装置を使用して合成することができる。「オリゴヌクレオチド」の用語は、典型的には、一般的には約50ヌクレオチド以下の短いポリヌクレオチドを指す。ヌクレオチド配列がDNA配列(すなわち、A、T、G、C)によって表される場合、これは、「U」が「T」に置き換わる相補的なRNA配列(すなわち、A、U、G、C)も含むと理解される。
【0059】
ヌクレオチド配列を説明するため、本明細書において従来の表記法、すなわち、1本鎖ヌクレオチド配列の左側の末端を5’末端とし、2本鎖ヌクレオチド配列の左側方向を5’方向と呼ぶ表記法を使用する。新生RNA転写産物へのヌクレオチドの5’から3’方向の付加は、転写方向と呼ばれる。mRNAと同じ配列を有するDNA鎖は「コーディング鎖」と呼ばれ、そのDNAから転写されたmRNAと同じ配列であって、RNA転写産物の5’から5’末端に位置する配列を有するDNA鎖上の配列は、「上流配列」と呼ばれ、RNAと同じ配列を有するDNA鎖上の配列であって、コーディングRNA転写産物の3’から3’末端である配列は「下流配列」と呼ばれる。
【0060】
cDNAは、mRNAに対して相補的又は同一である1本鎖又は2本鎖のいずれかの形態のDNAを指す。「コードしている」は、他のポリマー及び規定されたヌクレオチドの配列(すなわち、rRNA、tRNA及びmRNA)又は規定されたアミノ酸の配列及びそれから生じる生物学的特性のいずれかを有する生物学的なプロセスにおける巨大分子の合成用のテンプレートの役割を果たす、遺伝子、cDNA、又はmRNA等のポリヌクレオチド中のヌクレオチドの具体的な配列の生得的な特性を指す。そのため、遺伝子は、その遺伝子によって産生されたmRNAの転写及び翻訳が細胞又は他の生物系においてタンパク質を産生する場合、そのタンパク質をコードする。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、通常配列表に提供されるコーディング鎖、及び遺伝子又はcDNAの転写用のテンプレートとして使用される非コーディング鎖の両方が、タンパク質又はその遺伝子若しくはcDNAの他の生成物をコードするとされる場合がある。別段の明示がない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いに変性種であり、同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチオ配列を含む。タンパク質及びRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含む場合がある。
【0061】
組換え核酸は、本来結合していないヌクレオチド配列を有する核酸を指し、そうでなければ分離された配列の2つのセグメントを人工的に合わせることによって作製され得る。この人工的な結合は、化学合成、又はより一般的には、核酸の単離されたセグメントの人工的な操作によって、例えば、遺伝子工学の技術によって完成されることが多い。組換え核酸は、好適な宿主細胞を形質転換又は形質移入するために使用することができる増幅した又は会合した核酸を含む核酸ベクターを含む。組換え核酸を含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」と呼ばれる。遺伝子は、その後、組換え宿主細胞において発現されて「組換えポリペプチド」を産生する。また、組換え核酸は、非コーディング機能(例えば、プロモーター、複製起点、リボソーム結合部位等)の役目をする場合がある。
【0062】
制御可能に連結された;第1の核酸配列は、その第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係で配置される場合に、第2の核酸配列に制御可能に連結される。例えば、プロモーターは、そのプロモーターがコーディング配列の転写又は発現に影響を及ぼす場合、コーディング配列に制御可能に連結される。一般に、制御可能に連結されたDNA配列は連続しており、2つのタンパク質コーディング領域を結びつける必要がある場合、同じリーディングフレーム内に存在する。
【0063】
薬学的に許容可能なビヒクル:本開示において有用な薬学的に許容可能な担体(ビヒクル)は、従来のものであってもよいが、従来のビヒクルに限定されない。例えば、E. W. Martin, Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA, 15th Edition (1975)、及びD. B. Troy, ed. Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore MD and Philadelphia, PA, 21st Edition (2006)は、1又は複数の抗体等の1又は複数の治療用化合物又は分子と、追加の薬剤との薬学的な送達に適した組成物及び製剤を記載する。
【0064】
一般に、担体の性質は、採用される投与の特定の様式に依存する。例えば、非経口製剤は、通常、水、生理学的食塩水、平衡塩類溶液、デキストロース水溶液、グリセロール等のビヒクルとしての薬学的及び生理学的に許容可能な流体を含む、注射用の流体を含む。非限定的な例として、注射用トラスツズマブに対する製剤は、注射前に滅菌水で再構成される、L−ヒスチジンHCl、L−ヒスチジン、トレハロース二水和物、及びポリソルベート20を乾燥粉末としてガラス容器中に含む。非経口又は皮下の用途のための抗体及びタンパク質の他の製剤は当該技術分野でよく知られている。固体組成物(例えば、粉末、丸剤、錠剤、又はカプセルの形態)に対しては、従来の非毒性固体担体は、例えば、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、又はステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中立な担体に加えて、投与される医薬組成物は、湿潤剤又は乳化剤、保存剤、及び、例えば酢酸ナトリウム又はソルビタンモノラウレート等のpH緩衝剤等の少量の非毒性の助剤物質を含有してもよい。
【0065】
ポリペプチド:単量体がアミド結合によってつながったアミノ酸残基であるポリマー。アミノ酸がα−アミノ酸である場合、L−光学異性体又はD−光学異性体のいずれかを使用することができる。本明細書で使用される「ポリペプチド」又は「タンパク質」の用語は、任意のアミノ酸配列を包含することが意図され、糖タンパク質等の修飾配列を含む。「ポリペプチド」の用語は、その内容に応じて天然タンパク質、また同じく組換えにより又は合成により生成されたタンパク質を含んでもよい。「残基」又は「アミノ酸残基」の用語は、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドに組み込まれるアミノ酸に対する参照を含む。
【0066】
「保存的」アミノ酸置換は、ポリペプチドの活性又は抗原性に実質的に影響しないか又はそれらを減少しない置換である。例えば、ポリペプチドは、最大で約1、最大で約2、最大で約5、最大で約10、又は最大で約15の保存的置換を有することができ、元のポリペプチドに結合する抗体を特異的に結合することができる。また、保存的変化の用語は、置換したポリペプチドへと産生された抗体もまた非置換のポリペプチドと免疫反応する限り、非置換の親アミノ酸に代えて置換したアミノ酸の使用を含む。保存的置換の例としては、(i)Ala−Ser;(ii)Arg−Lys;(iii)Asn−Gin又はHis;(iv)Asp−Glu;(v)Cys−Ser;(vi)Gin−Asn;(vii)Glu−Asp;(viii)His−Asn又はGln;(ix)Ile−Leu又はVal;(x)Leu−Ile又はVal;(xi)Lys−Arg、Gln、又はGlu;(xii)Met−Leu又はIle;(xiii)Phe−Met、Leu、又はTyr;(xiv)Ser−Thr;(xv)Thr−Ser;(xvi)Trp−Tyr;(xvii)Tyr−Trp又はPhe;(xviii)Val−Ile又はLeuが挙げられる。
【0067】
保存的置換は、一般的に、(a)置換の範囲におけるポリペプチド骨格、例えばシート又はヘリックスの立体配置としての構造、(b)標的部位における分子の電荷又は疎水性及び/又は(c)側鎖の大きさを維持する。一般にタンパク質特性において最も大きな変化をもたらすと予想される置換は非保存的であり、例えば、(a)親水性残基、例えば、セリン若しくはスレオニンを疎水性残基、例えばロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリン、若しくはアラニンに(又はそれによって)置換する、(b)システイン若しくはプロリンを任意の他の残基に(又はそれによって)置換する、(c)正電荷を持つ側鎖を有する残基、例えば、リシン、アルギニン、若しくはヒスチジンを、負電荷を持つ残基、例えば、グルタミン酸若しくはアスパラギン酸に(又はそれによって)置換する、又は(d)嵩高い側鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニンを、側鎖を有しないもの、例えば、グリシンに(又はそれによって)置換する、変化である。
【0068】
疾患を予防すること、治療すること、管理すること又は改善すること:疾患を「予防すること」は、疾患の全面的な発症を阻害することを指す。「治療すること」は、疾患が発症し始めた後に疾患の兆候若しくは症状、又は病理学的状態を改善する治療的介入を指す。「管理すること」は、疾患の兆候又は症状を悪化させない治療的介入を指す。「改善すること」は、疾患の兆候又は症状の数又は重症度の減少を指す。
【0069】
プローブ及びプライマー:プローブは、検出可能な標識又はレポーター分子に付着した単離された核酸を含む。プライマーは短い核酸であり、例えば、15ヌクレオチド長以上のDNAオリゴヌクレオチドであってもよい。プライマーは、核酸ハイブリダイゼーションによって相補的な標的DNA鎖にアニールしてプライマーと標的DNA鎖との間でハイブリッドを形成し、その後、DNAポリメラーゼ酵素によって標的DNA鎖に沿って伸長する。プライマー対は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又は当該技術分野で既知の他の核酸増幅方法によって核酸配列の増幅に使用され得る。当業者は、特定のプローブ又はプライマーの特異性はその長さに伴って増加することを理解するであろう。そのため、例えば、20の連続するヌクレオチドを含むプライマーは、わずか15ヌクレオチドの対応するプライマーよりも高い特異性で標的にアニールする。よって、より大きな特異性を得るため、プローブ及びプライマーは、20、25、30、35、40、50以上の連続するヌクレオチドを含むものを選択してもよい。
【0070】
精製された(精製した):精製された(精製した)の用語は絶対的な純粋さを必要とするものではなく、むしろ相対的な用語として意図される。そのため、例えば、精製した分子は、分子がその天然の状態と比較して、例えば、細胞抽出物又は生体液内のその純度と比較して測定可能な程度まで精製される、天然に関連するタンパク質及び他の汚染物質から全体又は一部が単離されるものである。
【0071】
「精製された(精製した)」の用語は、類縁体若しくは模倣物、又は他の生物学的に活性な化合物としてのかかる所望の生成物を含み、他の化合物の付着を可能とするため、及び/又は治療的処置又は診断手順において有用な製剤に対して提供するため、追加の化合物又は部分がその分子に結合される。
【0072】
一般的に、実質的に精製された分子は、治療用投与のための完全な医薬製剤において各化合物と追加の原料との混合又は製剤化の前に、調製物中に全ての巨大分子種の80%超を含む。追加の原料は、薬学的な担体、賦形剤、緩衝液、吸収促進剤、安定化剤、保存剤、アジュバント又は他のそのような共同原料(co-ingredients)を含んでもよい。より典型的には、上記分子は、他の製剤原料と混合する前に精製された調製物中に存在する全ての巨大分子種の90%超、しばしば95%超となるように精製される。他の場合では、精製された調製物は、本質的に均質であり、他の巨大分子種は1%未満である。
【0073】
組換えタンパク質:組換え核酸に関しては上記の「組換え核酸」を参照されたい。組換えタンパク質又はポリペプチドは、天然ではない配列を有するか、又はそうでなければ分離された配列の2つのセグメントの人工的な結合によって作製された配列を有するものである。この人工的な結合は、化学合成、又はより一般的には、核酸の単離されたセグメントの人工操作によって、例えば、遺伝子工学の技術によってなされることが多い。組換えタンパク質は、異種性のタンパク質の合成を指示する遺伝要素によって形質導入された、形質移入された、又は形質転換された細胞において作製され得る。また、組換えタンパク質は、無細胞系においても作製され得る。特に有用な宿主細胞として、CHO及びHEK 293等の哺乳動物細胞、昆虫細胞、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)若しくはサッカロミセス等の酵母、又はE.コリ若しくはシュードモナス等の細菌細胞が挙げられる。
【0074】
試料:全体を代表する部分、一片又は区分。この用語は、例えば、被験体から得られた試料を含む任意の材料を包含する。
【0075】
「生体試料」は、限定されないが、細胞、組織、及び体液を含む被験体から得られる試料である。体液として、例えば、唾液、痰、脳脊髄液、尿、血液、並びに血清及びリンパ球(B細胞、T細胞及びそれらのサブフラクション等)を含む血液の派生物及び画分が挙げられる。組織として、例えば、非固定、凍結、ホルマリン固定及び/又はパラフィン包埋された組織を含む、生検、剖検によるもの、及び病理標本、また同じく生検された又は外科的に摘除された組織が挙げられる。
【0076】
或る実施形態では、血液又は血清等の生体試料は、被験体から得られる。生体試料は、典型的にはラット、マウス、ウシ、イヌ、モルモット、ウサギ又は霊長類等の哺乳動物から得られる。或る実施形態では、霊長類は、マカク、チンパンジー、又はヒトである。
【0077】
スキャフォルド:他のドメイン、ループ、突然変異等の導入に使用されることが多いプラットフォーム分子。例として、CH2又はCH3ドメインスキャフォルドは、CH2ドメイン又はCH3ドメインに対して抗原結合を与えるためドナーループ及び/又は突然変異(ループ領域等への)を導入するため使用され得るCH2ドメイン又はCH3ドメインである。或る実施形態では、スキャフォルドは、本来の分子と比べて増加した安定性を呈するように変更されてもよい。例えば、スキャフォルドにシステイン残基対を導入するため突然変異を行って、1又は複数の非天然ジスルフィド結合の形成を可能としてもよい。スキャフォルドはこれらの定義に限定されない。別の例では、スキャフォルドは、フィブロネクチンIII型ドメイン、セントリン、アフィボディ、DARPINS、環状ペプチド、ナノ抗体(ラマ由来のVHHドメイン)、シャークドメイン(shark domains)等であってもよい。
【0078】
配列同一性:ヌクレオチド配列間又はアミノ酸配列間の類似性は、配列間の類似性に関して表現され、別名で配列同一性と呼ばれる。配列同一性は、パーセント同一性(又は類似性若しくは相同性)に関してしばしば測定され、その割合が高くなると2つの配列はより類似している。ホモログ又は変異体は、標準的な方法を使用して整列した場合に全体又は特定の領域で比較的高い程度の配列同一性を持つ。
【0079】
比較のための配列のアライメント方法は、当該技術分野でよく知られている。様々なプログラム及びアラインメトアルゴリズムがSmith and Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482, 1981;Needleman and Wunsch, Journal of Molecular Biol. 48:443, 1970;Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:2444, 1988;Higgins and Sharp, Gene 73:237-244, 1988;Higgins and Sharp, CABIOS 5:151-153, 1989;Corpet et al., Nucleic Acids Research 16:10881-10890, 1988;及びPearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:2444, 1988. Altschul et al., Nature Genetics 6:119-129, 1994に記載されている。
【0080】
NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST(商標))(Altschul et al., Journal of MoIecular Biology 215:403-410, 1990.)は、配列分析プログラムであるblastp、blastn、blastx、tblastn、及びtblastxに関連する使用に対し、National Center for Biotechnology Information(メリーランド州ベセスダのNCBI)を含む幾つかの供給元より、及びインターネット上で利用可能である。
【0081】
特異的結合物質:実質的に規定の標的にのみ結合する物質。そのため、抗原特異的結合物質は、抗原性のポリペプチド又はその抗原性のフラグメントに実質的に結合する物質である。或る一つの実施形態では、特異的結合物質は、抗原性のポリペプチド若しくはその抗原性のフラグメントに特異的に結合するモノクローナル若しくはポリクローナルの抗体、又はペプチド若しくはスキャフォルド分子である。
【0082】
「特異的に結合する」の用語は、非標的(例えば、検出可能な量のその標的を欠く細胞又は組織)ではなく、標的(例えば、その結合物質の標的を有する細胞又は組織)と結合物質又は標的部分(ホルモン、ペプチド、ペプチドフラグメント、ドメイン、サイトカイン、他のリガンド及び受容体、スキャフォルド等)の全体又は一部における選択的会合を指す。もちろん、ある程度の非特異的な相互作用は分子と非標的細胞又は組織との間で生じ得ると認識されている。それにも関わらず、特異的結合は、抗原の特異的な認識によって媒介されて区別され得る。特定のタンパク質と特異的反応性の分子の選択に対して、様々な免疫アッセイフォーマットがふさわしい。例えば、固相ELISA免疫アッセイが日常的に使用される。
【0083】
被験体:ヒト及び非ヒト哺乳動物の両方を含む部類の脊椎動物を含む、多細胞の生体。
【0084】
治療剤は、核酸、タンパク質、ペプチド、アミノ酸又はその誘導体、糖タンパク質、放射性同位体、脂質、糖、低分子、組換えウイルス等のような化合物を含む。核酸治療部分及び診断部分として、アンチセンス核酸、一本鎖又は二重鎖のDNAとの共有結合架橋のための誘導オリゴヌクレオチド、及びトリプレックス形成オリゴヌクレオチドが挙げられる。代替的には、標的部分に連結された分子は、薬物、核酸(アンチセンス核酸等)、又は循環系への直接暴露から保護することができる別の治療用部分等の治療用組成物を含有するリポソーム又はミセル等の封入系であってもよい。抗体に付着したリポソームを調製する手段は、当業者によく知られている。例えば、米国特許第4,957,735号、及びConnor et al. 1985, Pharm. Ther. 28:341-365を参照されたい。診断剤又は診断部分は、放射性同位体及び他の検出可能な標識を含む。かかる目的に有用な検出可能な標識は当該技術分野でよく知られており、Tc99m、In11132P、125I、及び131I等の放射性同位体、フルオロフォア、化学発光剤、及び酵素が挙げられる。
【0085】
治療的有効量:その薬剤によって治療されている被験体において所望の効果を達成するのに十分な指定の薬剤の量。かかる薬剤は、本明細書に記載される修飾リボトキシン分子(例えば、修飾したサルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン分子)及び融合タンパク質を含む。例えば、これは、癌等の疾患又は状態の予防、治療、又は改善に有用な修飾サルシン分子を含む融合タンパク質の量であってもよい。理想的には、修飾リボトキシン分子(例えば、修飾したサルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン分子)又は融合タンパク質の治療的有効量は、被験体において実質的な細胞毒性効果を引き起こさずに被験体において状態又は疾患を予防、治療、又は改善するのに十分な量である。被験体を予防、改善、及び/又は治療するのに有用な治療的有効量の薬剤は、治療される被験体、病気の種類及び重症度、並びに治療用組成物の投与方式に依存する。
【0086】
毒素:免疫複合体を参照されたい。
【0087】
形質導入された(形質導入した):形質導入された(形質導入した)細胞は、分子生物学の技術によってそこに核酸分子が導入された細胞である。本明細書で使用される形質導入の用語は、ウイルスベクターによる形質移入、プラスミドベクターによる形質転換、及び電子穿孔法によるネイキッドDNAの導入、リポフェクション、及びパーティクルガン加速を含む、それによってかかる細胞へと核酸分子を導入し得る全ての技術を包含する。かかる細胞は形質転換細胞と呼ばれることがある。
【0088】
ベクター:宿主細胞に導入され、それにより形質転換宿主細胞を産生する核酸分子。ベクターは、宿主細胞においてその複製を可能とする複製起点等の核酸配列を含んでもよい。また、ベクターは、1又は複数の選択可能なマーカー遺伝子及び当該技術で知られている他の遺伝要素を含んでもよい。
【0089】
詳細な説明
本開示は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子を提供し、ここで、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシン(例えば、野生型のα−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)と比較してより免疫原性が少ないか、非免疫原性である。野生型リボトキシン(例えば、野生型のα−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子を修飾して「修飾リボトキシン分子」を作製し、ここで、野生型リボトキシン分子の修飾は、その免疫原性を減少する、例えば、(以下に記載されるように)T細胞エピトープの数を減少するか、又は排除する。本明細書で使用される「修飾された(修飾した)」の用語は、1又は複数の突然変異、欠失、付加、置換、切断、物理的変更(例えば、架橋修飾、構成要素の共有結合、翻訳後修飾、例えば、アセチル化、グリコシル化)等を含んでもよい。
【0090】
T細胞エピトープ
免疫系の抗原提示細胞がタンパク質を取り込む場合、タンパク質はペプチドへとタンパク質分解性消化に供され(「プロセスされ(processed)」)、その一部はMHCクラスII分子に結合してT細胞に対して抗原提示細胞の表面上に提示される。MHCクラスIIに対するペプチドの結合は、ペプチドのアミノ酸側鎖とMHC溝内の特異的結合「ポケット」、例えば、34のヒトMHCクラスIIアレルの自由(open-ended)結合溝内の位置p1、p4、p6、p7、及びp9のポケットとの相互作用に起因すると考えられる。クラスIIMHC分子のp1、p4、p6、p7、及びp9のポケット位置と相互作用するペプチドのアミノ酸は、アンカー残基(例えば、P1、P4、P6、P7、及びP9クラスIIMHCアンカー残基)と呼ばれる。
【0091】
かかる提示されたペプチドがCD4+(ヘルパー)T細胞を活性化する状況では、これらのペプチドはCD4+T細胞エピトープと規定され、これは、ペプチドとMHCクラスIIとの複合体がT細胞受容体によって結合される場合に生じ、同時刺激シグナルと併せて、T細胞活性化をもたらす。そのような場合、これらのペプチドはMHCクラスII分子内の溝内で結合し、MHCクラスIIにおけるアロタイプ変異はかかるタンパク質の結合に影響を与える場合があり、或る場合では少数のアロタイプへの結合を限定し得る(「アロタイプ制限された」)。他の場合では、ペプチドは種々のMHCアロタイプに幅広く結合することができ、かかる非制限結合は「乱交雑(promiscuous)」又は「変性」結合と呼ばれる。
【0092】
修飾サルシン分子
表1は、野生型α−サルシン(配列番号1)に対応する配列を示す。本発明の修飾サルシン分子は、「親」α−サルシン、例えば、野生型α−サルシン又は野生型α−サルシンのフラグメントに由来する。
【0093】
【表1】
【0094】
2013年3月15日付で出願された米国仮出願第61/783,589号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)は、可能性のあるT細胞エピトープを同定するための野生型α−サルシンタンパク質のin silico分析を記載する。簡潔には、野生型α−サルシン配列に由来する全ての重複する9merペプチドを34のヒトMHCクラスIIDRアロタイプのデータベースに通し、各々のMHCクラスII分子との一致及び相互作用に基づいて個別に採点した。
【0095】
この研究による結果は、野生型αサルシンが、残基24(L/ロイシン)にp1アンカーを有する単一の乱交雑な高親和性MHC結合ペプチド、並びに残基122(V/バリン)及び残基134(I/イソロイシン)にp1アンカーを有する2つの乱交雑な中程度の親和性MHC結合ペプチドを含む、少なくとも3つの可能性のあるT細胞エピトープを含むことを示唆する(表2を参照されたい)。他の可能性のある低い〜非常に低い免疫原性のT細胞エピトープも同定された。
【0096】
【表2】
【0097】
野生型α−サルシンをEpiScreen(商標)(イギリス、ケンブリッジ)免疫原性アッセイによって更に分析し、野生型α−サルシン内のT細胞エピトープの存在及び可能性を同定した。簡潔には、12アミノ酸によって重複し、野生型α−サルシンにかかる46の15merペプチドを、集団においてHLA−DRアレルの広がりを最もよく代表するように選択された50の健康なPBMCドナーに対する増殖について試験した。この分析から、表3に示されるように、野生型α−サルシン内に2つのT細胞エピトープが同定された。
【0098】
【表3】
【0099】
サルシンエピトープ1は、膜及び相互作用、並びにリボソームへのα−サルシンの結合に関与するN末端22アミノ酸領域内の野生型α−サルシンのアミノ酸残基10〜18に対応する。サルシンエピトープ1は、N末端すぐ隣のアミノ酸(P−1アンカー残基)を含んでもよく、そのため、野生型α−サルシンのアミノ酸9〜18に対応するアミノ酸配列DQKNPKTNKY(配列番号6)を含んでもよい。
【0100】
サルシンエピトープ1は、ヒトMHCクラスII結合を減少するか、又は排除するように修飾され得る。或る1つの実施形態では、修飾サルシンエピトープ1は、サルシンエピトープ1の1又は複数のP−1、P1、P4、P6、P7、又はP9のMHCクラスIIアンカー残基において1又は複数の突然変異を有し、ここで、P−1アンカー残基は、野生型α−サルシンにおいてサルシンエピトープ1のすぐN末端のアミノ酸(D)に対応する。別の実施形態では、修飾サルシンエピトープ1は、1又は複数の以下の置換、すなわち、P−1の残基D9においてD9T若しくはD9A、P1アンカーの残基Q10において、Q10K、Q10R、若しくはQ10A、P4アンカーの残基P13においてP13I、P6アンカーの残基T15においてT15G、T15Q、若しくはT15H、P7アンカー残基のN16においてN16R、N16K、N16A、及び/又はP9アンカーの残基Y18においてY18H、Y18K、若しくはY18Rを有する。言い換えれば、修飾サルシンエピトープ1は、XKNXKXKX(ここで、XはD、A、又はT、XはQ、K、R、又はA、XはP又はI、XはT、G、Q、又はH、XはN、R、K、又はA、及びXはY、H、K、又はR)(配列番号7)のアミノ酸配列を有する。
【0101】
1又は複数のアンカー残基の修飾に加えて、修飾されたエピトープが野生型αサルシンと比較して減少したMHCクラスII結合を維持する限り、サルシンエピトープ1において1又は複数の非アンカー残基を修飾することも可能である。サルシンエピトープ1と、他の関連する真菌リボトキシンにおける対応するエピトープの整列は、非アンカー残基の置換を可能とする手引きを提供する。当業者は、従来の方法及び技術を使用して、他の非アンカー残基置換を容易に同定することができるであろう。
【0102】
別の実施形態では、修飾サルシンエピトープ1は、XNXKXKX(ここで、XはQ、K、R、又はA、XはK、又はL、XはP、又はI、XはT、G、Q、又はH、XはN、R、K又はA、及びXはY、H、K、R、又はW)(配列番号8)のアミノ酸配列を有する。更に別の実施形態では、修飾サルシンエピトープ1は、XNXKXKX(ここで、XはD、A、又はT、XはQ、K、R、又はA、XはK又はL、XはP又はI、XはT、G、Q、又はH、XはN、R、K又はA、及びXはY、H、K、R、又はW)(配列番号9)のアミノ酸配列を有する。
【0103】
サルシンエピトープ2は、野生型α−サルシンのアミノ酸残基134〜142に対応し、そのため、触媒三残基の一部であるH137にかかる。サルシンエピトープ2は、ヒトMHCクラスII結合を減少するか、又は排除するように修飾され得る。或る1つの実施形態では、修飾サルシンエピトープ2は、サルシンエピトープ2の1又は複数のP1、P6、P7、又はP9のMHCクラスIIアンカー残基において1又は複数の突然変異を有する。別の実施形態では、修飾サルシンエピトープ2は、1又は複数の以下の置換、すなわち、P1アンカーの残基I134においてI134A、P6アンカーの残基K139においてK139D、K139E、K139G、K139Q、K139H、若しくはK139N、P7アンカー残基のE140においてE140D、及び/又はP9アンカーの残基Q142においてQ142D、Q142N、Q142T、Q142E、Q142R、若しくはQ142Gを有する。言い換えれば、修飾サルシンエピトープ2は、XIAHTXNX(ここで、XはI、又はA、XはK、D、E、G、Q、H、又はN、XはE、又はD;及びXはQ、D、N、T、E、R、又はG)(配列番号10)のアミノ酸配列を有する。
【0104】
1又は複数のアンカー残基の修飾に加えて、修飾されたエピトープが野生型αサルシンと比較して減少したMHCクラスII結合を維持する限り、サルシンエピトープ2において1又は複数の非アンカー残基を修飾することも可能である。サルシンエピトープ2と、他の関連する真菌リボトキシンにおける対応するエピトープの整列は、非アンカー残基の置換を可能とする手引きを提供する。当業者は、従来の方法及び技術を使用して、他の非アンカー残基置換を容易に同定することができるであろう。
【0105】
別の実施形態では、修飾サルシンエピトープ2は、XAHXNX(ここで、XはI、又はA、XはI、又はV、XはT、又はQ、XはK、D、E、G、Q、H、又はN、XはE、又はD、及びXはQ、D、N、T、E、R、又はG)(配列番号11)のアミノ酸配列を有する。
【0106】
いかなる理論又は機構にも束縛されることを意図するものではないが、本明細書に記載されるヒトMHCクラスII結合を減少又は排除する突然変異は、ヒトにおいて野生型α−サルシンの免疫原性を減少又は排除に役立つ可能性があると考えられる(例えば、T細胞エピトープの数及び/又は免疫原性を減少することにより)。
【0107】
或る実施形態では、修飾サルシン分子は、野生型α−サルシンと比較して少なくとも1つ少ないT細胞エピトープ(又は、少なくとも2つ少ないT細胞エピトープ、少なくとも3つ少ないT細胞エピトープ等)を含む。例えば、野生型α−サルシンが2つのT細胞エピトープを含む場合、或る実施形態では、修飾サルシン分子は、1つのT細胞エピトープ又は0のT細胞エピトープを含む。或いは、野生型α−サルシンが3つのT細胞エピトープを含む場合、或る実施形態では、修飾サルシン分子は2つのT細胞エピトープ、1つのT細胞エピトープ、又は0のT細胞エピトープを含む。或いは、野生型α−サルシンが10のT細胞エピトープを含む場合、或る実施形態では、修飾サルシン分子は、9つのT細胞エピトープ、8つのT細胞エピトープ、7つのT細胞エピトープ、6つのT細胞エピトープ、5つのT細胞エピトープ、4つのT細胞エピトープ、3つのT細胞エピトープ、2つのT細胞エピトープ、1つのT細胞エピトープ、又は0のT細胞エピトープを含む。或いは、野生型α−サルシンが8つのT細胞エピトープを含む場合、或る実施形態では、修飾サルシン分子は、7つのT細胞エピトープ、6つのT細胞エピトープ、5つのT細胞エピトープ、4つのT細胞エピトープ、3つのT細胞エピトープ、2つのT細胞エピトープ、1つのT細胞エピトープ、又は0のT細胞エピトープを含む。或いは、野生型α−サルシンが6つのT細胞エピトープを含む場合、或る実施形態では、修飾サルシン分子は、5つのT細胞エピトープ、4つのT細胞エピトープ、3つのT細胞エピトープ、2つのT細胞エピトープ、1つのT細胞エピトープ、又は0のT細胞エピトープを含む。或いは、野生型α−サルシンが4つのT細胞エピトープを含む場合、或る実施形態では、修飾サルシン分子は、3つのT細胞エピトープ、2つのT細胞エピトープ、1つのT細胞エピトープ、又は0のT細胞エピトープを含む。
【0108】
より具体的には、修飾サルシン分子は、「親」α−サルシンと比較して、少なくとも1つの突然変異を含んでもよく、親α−サルシンは少なくとも野生型α−サルシンの一部(例えば、野生型α−サルシン、野生型α−サルシンのフラグメント等)である。或る1つの実施形態では、少なくとも1つの突然変異は、例えば、MHCクラスII分子に対して減少した結合能力を有する、若しくはMHCクラスII分子に対して結合能力を有しないエピトープを生じるか、又は対応する野生型α−サルシンと比較して減少したT細胞応答を誘発する修飾サルシン分子を生じる、T細胞エピトープの突然変異を含む。例えば、少なくとも1つの突然変異は、サルシンT細胞エピトープ1(配列番号5又は配列番号6)内、及び/又はサルシンT細胞エピトープ2(配列番号4)内にあってもよい。
【0109】
或る実施形態では、修飾サルシン分子は、「親」α−サルシン(例えば、野生型α−サルシン、野生型α−サルシンのフラグメント等)と比較して、少なくとも1つの突然変異を含み、ここで、少なくとも1つの突然変異は、(野生型α−サルシンの)アミノ酸D9、Q10、P13、T15、N16、又はY18の少なくとも1つの突然変異を含む。
【0110】
例えば、或る実施形態では、修飾サルシン分子は、「親」α−サルシン(例えば、野生型α−サルシン、野生型α−サルシンのフラグメント等)と比較して、1又は複数の以下の突然変異、すなわちD9T、D9A、Q10K、Q10R、Q10A、P13I、T15G、T15Q、T15H、N16R、N16K、N16A、Y18H、Y18K、又はY18Rを含む。
【0111】
或る実施形態では、修飾サルシン分子は、「親」α−サルシン(例えば、野生型α−サルシン、野生型α−サルシンのフラグメント等)と比較して、少なくとも1つの突然変異を含み、ここで、少なくとも1つの突然変異は、アミノ酸I134、K139、E140、又はQ142の少なくとも1つの突然変異を含む。
【0112】
例えば、或る実施形態では、修飾サルシン分子は、「親」α−サルシン(例えば、野生型α−サルシン、野生型α−サルシンのフラグメント等)と比較して、1又は複数の以下の突然変異、すなわちI134A、K139D、K139E、K139G、K139Q、K139H、K139N、E140D、Q142D、Q142N、Q142T、Q142E、Q142R、又はQ142Gを含む。
【0113】
他の実施形態では、修飾サルシン分子は、「親」α−サルシン(例えば、野生型α−サルシン、野生型α−サルシンのフラグメント等)と比較して、第1及び第2の突然変異を含み、ここで、第1の突然変異は(野生型α−サルシンの)アミノ酸D9、Q10、P13、T15、N16、又はY18の少なくとも1つの突然変異を含み、第2の突然変異は(野生型α−サルシンの)アミノ酸I134、K139、E140、又はQ142の少なくとも1つの突然変異を含む。例えば、或る特定の実施形態では、修飾サルシン分子は、「親」α−サルシン(例えば、野生型α−サルシン、野生型α−サルシンのフラグメント等)と比較して1又は複数の以下の突然変異、すなわち、Q10における第1の突然変異及びK139若しくはQ142における第2の突然変異、N16における第1の突然変異及びK139若しくはQ142における第2の突然変異、又はY18における第1の突然変異及びK139若しくはQ142における第2の突然変異を含む。
【0114】
例えば、或る実施形態では、修飾サルシン分子は、野生型α−サルシン(配列番号1)と比較して第1の突然変異を含み(ここで、第1の突然変異はD9T、D9A、Q10K、Q10R、Q10A、P13I、T15G、T15Q、T15H、N16R、N16K、N16A、Y18H、Y18K、又はY18Rから選択される)、また野生型α−サルシンと比較して第2の突然変異を含む(ここで、第2の突然変異はI134A、K139D、K139E、K139G、K139Q、K139H、K139N、E140D、Q142D、Q142N、Q142T、Q142E、Q142R、又はQ142Gから選択される)。
【0115】
他の実施形態では、修飾サルシン分子は、「親」α−サルシン(例えば、野生型α−サルシン、野生型α−サルシンのフラグメント等)と比較して1又は複数の以下の突然変異、すなわち、Q10Kを含む第1の突然変異及びK139D、K139E、Q142N、若しくはQ142Tを含む第2の突然変異、N16Rを含む第1の突然変異及びK139D、K139E、Q142N、若しくはQ142Tを含む第2の突然変異、N16Rを含む第1の突然変異及びK139D、K139E、Q142N、若しくはQ142Tを含む第2の突然変異、N16Kを含む第1の突然変異及びK139D、K139E、Q142N、若しくはQ142Tを含む第2の突然変異、Y18Kを含む第1の突然変異及びK139D、K139E、Q142N、若しくはQ142Tを含む第2の突然変異、又はY18Rを含む第1の突然変異及びK139D、K139E、Q142N、若しくはQ142Tを含む第2の突然変異を含む。
【0116】
他の実施形態では、修飾サルシン分子は、「親」α−サルシン(例えば、野生型α−サルシン、野生型α−サルシンのフラグメント等)と比較して3つの突然変異を含む。例えば、修飾サルシン分子は、サルシンT細胞エピトープ1(配列番号5又は配列番号6)内の第1及び第2の突然変異、並びにサルシンT細胞エピトープ2(配列番号4)内の第3の突然変異を含んでもよい。代替的には、修飾サルシン分子は、サルシンT細胞エピトープ1(配列番号5又は配列番号6)内の第1の突然変異、並びにサルシンT細胞エピトープ2(配列番号4)内の第2及び第3の突然変異を含んでもよい。
【0117】
或る特定の実施形態では、修飾サルシン分子は、「親」α−サルシン(例えば、野生型α−サルシン、野生型α−サルシンのフラグメント等)と比較して1又は複数の以下の突然変異、すなわち、アミノ酸Q10又はN16における第1の突然変異、K139における第2の突然変異、及びQ142における第3の突然変異を含む。或る1つの実施形態ではQ10又はN16における第1の突然変異は、Q10K、Q10R、若しくはQ10A、又はN16R、N16K、若しくはN16A(好ましくはQ10K又はN16R)から選択される。別の実施形態では、K139における第2の突然変異は、K139D、K139E、K139G、K139Q、K139H、又はK139N(好ましくはK139D又はK139E)から選択される。別の実施形態では、Q142における第3の突然変異は、Q142D、Q142N、Q142T、Q142E、Q142R、又はQ142G(好ましくは、Q142T)から選択される。
【0118】
更に別の実施形態では、第1の突然変異はQ10K又はN16Rであり、第2の突然変異はK139E又はK139Dであり、第3の突然変異はQ142Tである。別の実施形態では、第1の突然変異はQ10Kであり、第2の突然変異はK139Eであり、第3の突然変異はQ142Tである。別の実施形態では、第1の突然変異はQ10Kであり、第2の突然変異はK139Dであり、第3の突然変異はQ142Tである。別の実施形態では、第1の突然変異はN16Rであり、第2の突然変異はK139Eであり、第3の突然変異はQ142Tである。別の実施形態では、第1の突然変異はN16Rであり、第2の突然変異はK139Dであり、第3の突然変異はQ142Tである。
【0119】
他の実施形態では、修飾サルシン分子は、「親」α−サルシン(例えば、野生型α−サルシン、野生型α−サルシンのフラグメント等)と比較して4つの突然変異を含む。例えば、修飾サルシン分子は、サルシンT細胞エピトープ1(配列番号5又は配列番号6)内に2つの突然変異、及びサルシンT細胞エピトープ2(配列番号4)内に2つの突然変異、サルシンT細胞エピトープ1(配列番号5又は配列番号6)内に1つの突然変異、及びサルシンT細胞エピトープ2(配列番号4)内に3つの突然変異、又はサルシンT細胞エピトープ1(配列番号5又は配列番号6)内に3つの突然変異、及びサルシンT細胞エピトープ2(配列番号4)内に1つの突然変異を含んでもよい。
【0120】
更に別の実施形態では、修飾サルシンポリペプチドは、野生型α−サルシンポリペプチド(配列番号1)と比較して少なくとも1つの突然変異を含み、その修飾サルシンポリペプチドのアミノ酸配列は、
AVTWTCLNX KNXKXKXET KRLLYNQNKA ESNSHHAPLS DGKTGSSYPH WFTNGYDGDG KLPKGRTPIK FGKSDCDRPP KHSKDGNGKT DHYLLEFPTF PDGHDYKFDS KKPKENPGPA RVIYTYPNKV FCGXIAHTX NX10GELKLCSH
(ここで、上記修飾サルシンポリペプチドが野生型α−サルシンポリペプチド(配列番号1)と同一でない限り、X〜X10は任意のアミノ酸であってもよい)(配列番号12)を含む。
【0121】
別の実施形態では、XはD、A、又はTであり、XはQ、K、R、又はAであり、XはP又はIであり、XはT、G、Q、又はHであり、XはN、R、K又はAであり、XはY、H、K、又はRであり、XはI又はAであり、XはK、D、E、G、Q、H、又はNであり、XはE又はDであり、X10はQ、D、N、T、E、R、又はG(配列番号13)である。
【0122】
表4は、修飾サルシン分子の非限定的な例を記載する。表4における修飾サルシン分子は、上述の1又は複数のアミノ酸置換を含む。
【0123】
【表4】
【0124】
野生型α−サルシンの修飾は、上述のようなアミノ酸置換を含んでもよい。或る実施形態では、アミノ酸置換は、1アミノ酸置換(例えば、Q10A)、2アミノ酸置換(例えば、Q10A及びQ142G)、3アミノ酸置換(例えば、Q10A、N16A、Q142G)、4アミノ酸置換、5アミノ酸置換、6アミノ酸置換、7アミノ酸置換、8アミノ酸置換、9アミノ酸置換、10アミノ酸置換、又は10超のアミノ酸置換である。
【0125】
野生型α−サルシンの修飾は、アミノ酸置換に限定されない。例えば、修飾は、アミノ酸欠失又はアミノ酸付加を含んでもよい。或る実施形態では、アミノ酸欠失は、1アミノ酸欠失、2アミノ酸欠失、3アミノ酸欠失、4アミノ酸欠失、5アミノ酸欠失、6アミノ酸欠失、7アミノ酸欠失、8アミノ酸欠失、9アミノ酸欠失、10アミノ酸欠失、又は10超のアミノ酸欠失である。或る実施形態では、アミノ酸付加は、1アミノ酸付加、2アミノ酸付加、3アミノ酸付加、4アミノ酸付加、5アミノ酸付加、6アミノ酸付加、7アミノ酸付加、8アミノ酸付加、9アミノ酸付加、10アミノ酸付加、又は10超のアミノ酸付加である。欠失及び/又は付加は、T細胞エピトープ領域以外の分子の領域における欠失に対応してもよい。
【0126】
野生型α−サルシンは、2つのジスルフィド結合(アミノ酸Cys6とCys148との間、及びアミノ酸Cys76とCys132との間)を有する。或る実施形態では、修飾サルシン分子は、追加のジスルフィド結合を含む。或る実施形態では、追加のジスルフィド結合は、野生型のジスルフィド結合部位に隣接する部位に付加されてもよい。或る実施形態では、追加のジスルフィド結合は、アミノ酸の付加により分子中に組み込まれてもよい。或る実施形態では、ジスルフィド結合はアミノ酸の置換により分子中に組み込まれてもよい。或る実施形態では、修飾サルシン分子はジスルフィド結合を有しない。
【0127】
野生型α−サルシンの修飾は、(上述のような)アミノ酸置換、及び追加の修飾、例えば、欠失、付加、切断(例えば、N末端切断、C末端切断)、又はそれらの組合せを含んでもよい。
【0128】
他の修飾真菌リボトキシン分子
先に述べたように、α−サルシンに加えて、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、及びレストリクトシンを含む他のアスペルギルス種によって産生される他の関連するリボトキシンファミリーのメンバーが存在する。表5は、野生型のクラビン(配列番号24)、ギガンチン(配列番号25)、マイトギリン(配列番号26)、及びレストリクトシン(配列番号45)に対応する配列を示す。本発明の修飾されたクラビン、ギガンチン、マイトギリン、及びレストリクトシンの分子は、「親」のクラビン、ギガンチン、マイトギリン、及びレストリクトシン、例えば、野生型のクラビン、ギガンチン、マイトギリン、若しくはストリクトシン、又は野生型のクラビン、ギガンチン、マイトギリン、若しくはレストリクトシンのフラグメントにそれぞれ由来する。
【0129】
【表5】
【0130】
タンパク質分子の免疫原性の分析のための迅速な方法の例は、ヒトMHCクラスII分子へのペプチド結合の予測を含む。MHCクラスIIに結合するごく一部のペプチドが実際のT細胞エピトープであるが、MHCクラスIIへのペプチド結合の分析は、CD4+T細胞エピトープがMHCクラスIIを結合することから、タンパク質配列の免疫原性の可能性の迅速な分析を提供することができる。さらに、乱交雑な高親和性MHCクラスII結合ペプチドは、T細胞エピトープの存在と相関することが示され(Hill et al., 2003, Arthritis Res Ther, 1:R40-R48)、それにより、かかる乱交雑な結合ペプチドの分析は「可能性のある」T細胞エピトープの分析の根拠を提供する。
【0131】
かかる相互作用をモデル化するため、ペプチドスレッディングソフトウェア(国際公開第02/069232号、国際公開第98/59244号)に基づく、iTope(Perry et al., 2008, Drugs in R&D, 9(6) 385-396)等のコンピュータ法が開発されてきた。iTopeでは、目的の配列に由来する重複する9merを34の異なるヒトMHCクラスII DRアロタイプとの相互作用について個別に試験し、MHCクラスII分子の各々とのそれらの一致及び相互作用に基づいて個別に採点する。各MHCアロタイプについて、相互作用の合わせた強度は、各9merのペプチドの物理的な結合強度の予測、及び高親和性結合のペプチドの指定を提供し得る。34のMHCクラスIIアロタイプの全てに対する9merの結合の収集分析により、乱交雑な又は制限された結合の程度を決定することができる。これは、それによりT細胞エピトープ活性を有する可能性が高いと考えられる、乱交雑な高親和性MHCクラスII結合ペプチドの同定を可能とする。
【0132】
非自己ヒトMHCクラスIIバインダーについてクラビン、ギガンチン、マイトギリン、及びレストリクトシンの野生型アミノ酸配列を分析した。野生型リボトキシン配列に由来する全ての重複する9merを34のヒトMHCクラスII DRアロタイプのデータベースに通し、MHCクラスII分子の各々との一致及び相互作用に基づいて個別に採点した。MHCクラスIIアロタイプ(「p1アンカー」)に対する9merペプチド結合の第1の残基の位置である、MHCクラスIIに対する予測される結合は、0.55〜0.6の結合スコアを有するか、又は結合スコアは0.6超であった。免疫原性の可能性があるペプチドを含む領域は「乱交雑な高い」及び「乱交雑な中程度の」と示される。「乱交雑な高」MHC結合ペプチドは、MHCクラスIIに対する全アレル結合の50%であり、また高親和性アレル結合の50%と規定される。「乱交雑な中程度の」MHC結合ペプチドは、MHCクラスIIに対する全アレル結合の50%であるが、MHCクラスIIに対する高親和性アレル結合の50%未満と規定される。
【0133】
この研究の結果は、野生型クラビンが、残基134(I/イソロイシン)にp1アンカーを有する乱交雑な高親和性MHC結合ペプチドを含む幾つかの可能性あるT細胞エピトープ、並びに残基63(L/ロイシン)、122(V/バリン)、及び130(V/バリン)にp1アンカーを有する3つの乱交雑な中程度の親和性のMHC結合ペプチドを含むことを示唆する(表6を参照されたい)。可能性のある低〜非常に低い免疫原性のT細胞エピトープも同定された。
【0134】
【表6】
【0135】
さらに、α−サルシンのEpiScreen(商標)(イギリス、ケンブリッジ)免疫原性分析は、クラビンがQ10のp1アンカー残基を有する以下のT細胞エピトープ、QKNPKTNKY(配列番号5)を含むことを示唆する。
【0136】
また、in silicoの研究も、野生型ギガンチンが、残基63(L/ロイシン)及び残基122(V/バリン)においてp1アンカーを有する2つの乱交雑な高親和性MHC結合ペプチドを含む、幾つかの可能性のあるT細胞エピトープを含むことを示唆する(表7を参照されたい)。可能性のある低〜非常に低い免疫原性のT細胞エピトープも同定された。
【0137】
【表7】
【0138】
さらに、α−サルシンのEpiScreen(商標)(イギリス、ケンブリッジ)免疫原性分析は、ギガンチンが、それぞれ、Q10及びI134のp1アンカー残基を有する以下の2つのT細胞エピトープ、QKNIKTNKY(配列番号31)及びIIAHTRENQ(配列番号32)を含むことを示唆する。
【0139】
また、in silicoの研究も、アスペルギルス・レストリクタス(Aspergillus restrictus)から単離された同じタンパク質の変異体である野生型のマイトギリン及びレストリクトシンが、残基62(I/イソロイシン)、残基129(V/バリン)、及び残基133(I/イソロイシン)にp1アンカーを有する3つの乱交雑な高親和性のMHC結合ペプチド、並びに残基121(V/バリン)にp1アンカーを有する単一の乱交雑な中程度の親和性のMHC結合ペプチドを含む、幾つかの可能性のあるT細胞エピトープを含むことを示唆する(表8を参照されたい)。可能性のある低〜非常に低い免疫原性のT細胞エピトープも同定された。
【0140】
【表8】
【0141】
さらに、α−サルシンのEpiScreen(商標)(イギリス、ケンブリッジ)免疫原性分析は、マイトギリン及びレストリクトシンが、Q10のp1アンカー残基を有する以下のT細胞エピトープ、QLNPKTNKW(配列番号36)を含むことを示唆する。
【0142】
上記で同定されたクラビン、ギガンチン、マイトギリン、及びレストリクトシンのT細胞エピトープは、ヒトMHCクラスII結合を減少又は排除するように修飾され得る。或る1つの実施形態では修飾されたクラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシンのT細胞エピトープは、1又は複数のP1、P4、P6、P7、又はP9のMHCクラスIIアンカー残基において1又は複数の突然変異を有する。
【0143】
或る1つの実施形態では、p1アンカーQ10を有する修飾されたクラビン又はギガンチンのエピトープは、1又は複数の以下の置換、すなわち、P1の残基Q10においてQ10K、Q10R、若しくはQ10A、P4アンカーの残基P13において(クラビンについてのみ)P13I、P6アンカーの残基T15においてT15G、T15Q、若しくはT15H、P7アンカーの残基N16においてN16R、N16K、若しくはN16A、及び/又はP9アンカーの残基Y18においてY18H、Y18K、若しくはY18Rを有する。
【0144】
別の実施形態では、p1アンカーQ9を有する修飾されたマイトギリン又はレストリクトシンのエピトープは、1又は複数の以下の置換、すなわち、P1アンカーの残基Q9においてQ9K、Q9R、若しくはQ9A、P4アンカーの残基P12においてP12I、P6アンカーの残基T14においてT14G、T14Q、若しくはT14H、P7アンカーの残基N15においてN15R、N15K、若しくはN15A、及び/又はP9アンカーの残基Y17においてY17H、Y17K、若しくはY17Rを有する。
【0145】
別の実施形態では、p1アンカーL63を有する修飾クラビンエピトープは、1又は複数の以下の置換、すなわちP1アンカーの残基L63においてL63A若しくはL63D、P4アンカーの残基R66においてR66G、R66Q、R66H、R66N、R66D、R66E、P7アンカーの残基I69においてI69A、若しくはI69D、及び/又はP9アンカーの残基W71においてW71G、W71A、W71D、若しくはW71Eを有する。
【0146】
別の実施形態では、p1アンカーL63を有する修飾ギガンチンエピトープは、1又は複数の以下の置換、すなわちP1アンカーの残基L63においてL63A若しくはL63D、P4アンカーの残基R66においてR66G、R66Q、R66H、R66N、R66D、R66E、P7アンカーの残基I69においてI69A、若しくはI69D、及び/又はP9アンカーの残基F71においてF71G、F71A、F71D、若しくはF71Eを有する。
【0147】
別の実施形態では、p1アンカーI62を有する修飾されたマイトギリン又はレストリクトシンのエピトープは、1又は複数の以下の置換、すなわちP1アンカーの残基I62においてI62A若しくはI62D、P4アンカーの残基R65においてR65G、R65Q、R65H、R65N、R65D、R65E、P7アンカーの残基I68においてI68A、若しくはI68D、及び/又はP9アンカーの残基F70においてF70G、F70A、F70D、若しくはF70Eを有する。
【0148】
別の実施形態では、p1アンカーV122を有する修飾されたクラビン又はギガンチンのエピトープは、1又は複数の以下の置換、すなわちP1アンカーの残基V122においてV122A、V122K、若しくはV122R、P4アンカーの残基T125においてT125G、T125Q、若しくはT125H、P6アンカーの残基P127においてP127I、P7アンカーの残基N128においてN128R、N128K、若しくはN128A、及び/又はP9アンカーの残基V130においてV130A、V130K、若しくはV130Rを有する。
【0149】
別の実施形態では、p1アンカーV121を有する修飾されたマイトギリン又はレストリクトシンのエピトープは、1又は複数の以下の置換、すなわちP1アンカーの残基V121においてV121A、V121K、若しくはV121R、P4アンカーの残基T124においてT124G、T124Q、若しくはT124H、P6アンカーの残基P126においてP126I、P7アンカーの残基N127においてN127R、N127K、若しくはN127A、及び/又はP9アンカーの残基V129においてV129A、V129K、若しくはV129Rを有する。
【0150】
別の実施形態では、p1アンカーV130を有する修飾クラビンエピトープは、1又は複数の以下の置換、すなわち、P1アンカーの残基V130においてV130A、V130K、若しくはV130R、P4アンカーの残基G133において、G133A、G133D、G133E、若しくはG133K、P7アンカーの残基A136において、A136R、A136K、若しくはA136D、及び/又はP9アンカーの残基T138において、T138G若しくはT138Hを有する。
【0151】
別の実施形態では、p1アンカーV129を有する修飾されたマイトギリン又はレストリクトシンのエピトープは、1又は複数の以下の置換、すなわち、P1アンカーの残基V129においてV129A、V129K、若しくはV129R、P4アンカーの残基G132において、G132A、G132D、G132E、若しくはG132K、P7アンカーの残基A135において、A135R、A135K、若しくはA135D、及び/又はP9アンカーの残基Q137において、Q137G若しくはQ137Hを有する。
【0152】
別の実施形態では、p1アンカーI134を有する修飾クラビンエピトープは、1又は複数の以下の置換、すなわち、P1アンカーの残基I134においてI134A、P6アンカーの残基R139において、R139D、R139E、R139G、R139Q、R139H、若しくはR139N、P7アンカーの残基E140において、E140D、及び/又はP9アンカーの残基Q142において、Q142D、Q142N、Q142T、Q142E、Q142R若しくはQ142Gを有する。
【0153】
別の実施形態では、p1アンカーI133を有する修飾されたマイトギリン又はレストリクトシンのエピトープは、1又は複数の以下の置換、すなわち、P1アンカーの残基I133においてI133A、P6アンカーの残基R138において、R138D、R138E、R138G、R138Q、R138H、若しくはR138N、P7アンカーの残基G139において、G139D、及び/又はP9アンカーの残基Q141において、Q141D、Q141N、Q141T、Q141E、Q141R、若しくはQ141Gを有する。
【0154】
1又は複数のアンカー残基を修飾することに加えて、その修飾エピトープが対応する野生型リボトキシンと比較して減少したMHCクラスII結合を維持する限り、上記に特定されるクラビン、ギガンチン、マイトギリン、及びレストリクトシンのT細胞エピトープにおいて1又は複数の非アンカー残基を修飾することもできる。
【0155】
或る実施形態では、修飾T細胞エピトープは、修飾リボトキシン分子(例えば、修飾されたクラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシンの分子)の一部であり、修飾リボトキシン分子は、対応する野生型リボトキシンと比較して少なくとも1つ少ないT細胞エピトープ(又は、少なくとも2つ少ないT細胞エピトープ、少なくとも3つ少ないT細胞エピトープ等)を含む。例えば、野生型リボトキシンが2つのT細胞エピトープを含む場合、或る実施形態では、修飾リボトキシン分子は、1つのT細胞エピトープ、又は0のT細胞エピトープを含む。或いは、野生型リボトキシンが3つのT細胞エピトープを含む場合、或る実施形態では、修飾リボトキシン分子は、2つのT細胞エピトープ、1つのT細胞エピトープ、又は0のT細胞エピトープを含む。或いは、野生型リボトキシンが10のT細胞エピトープを含む場合、或る実施形態では、修飾リボトキシン分子は9つのT細胞エピトープ、8つのT細胞エピトープ、7つのT細胞エピトープ、6つのT細胞エピトープ、5つのT細胞エピトープ、4つのT細胞エピトープ、3つのT細胞エピトープ、2つのT細胞エピトープ、1つのT細胞エピトープ、又は0のT細胞エピトープを含む。或いは、野生型リボトキシンが8つのT細胞エピトープを含む場合、或る実施形態では、修飾リボトキシン分子は7つのT細胞エピトープ、6つのT細胞エピトープ、5つのT細胞エピトープ、4つのT細胞エピトープ、3つのT細胞エピトープ、2つのT細胞エピトープ、1つのT細胞エピトープ、又は0のT細胞エピトープを含む。或いは、野生型リボトキシンが6つのT細胞エピトープを含む場合、或る実施形態では、修飾リボトキシン分子は5つのT細胞エピトープ、4つのT細胞エピトープ、3つのT細胞エピトープ、2つのT細胞エピトープ、1つのT細胞エピトープ、又は0のT細胞エピトープを含む。或いは、野生型リボトキシンが4つのT細胞エピトープを含む場合、或る実施形態では、修飾リボトキシン分子は、3つのT細胞エピトープ、2つのT細胞エピトープ、1つのT細胞エピトープ、又は0のT細胞エピトープを含む。
【0156】
より具体的には、修飾リボトキシン分子(例えば、修飾されたクラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシンの分子)は、「親」リボトキシンと比較して少なくとも1つの突然変異を含んでもよく、親リボトキシンは野生型リボトキシン(例えば、野生型のクラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン、野生型のクラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシンのフラグメント等)の少なくとも一部である。或る1つの実施形態では、少なくとも1つの突然変異は、例えば、MHCクラスII分子に対して減少した結合能力を有する、又はMHCクラスII分子に対して結合能力を有しないエピトープを生じる、T細胞エピトープの突然変異を含む。
【0157】
より具体的には、修飾リボトキシン分子は、「親」リボトキシンと比較して、少なくとも1つの突然変異を含んでもよく、親リボトキシンは野生型リボトキシン(例えば、野生型のクラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン、野生型のクラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシンのフラグメント等)の少なくとも一部である。或る1つの実施形態では、少なくとも1つの突然変異は、例えば、MHCクラスII分子に対して減少した結合能力を有する、又はMHCクラスII分子に対して結合能力を有しないエピトープを生じる、T細胞エピトープの突然変異を含む。例えば、少なくとも1つの突然変異は、1若しくは複数の以下のクラビンT細胞エピトープ(配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号3、及び/又は配列番号5)内、1若しくは複数の以下のギガンチンT細胞エピトープ(配列番号30、配列番号31、配列番号32、及び/又は配列番号3)内、又は1若しくは複数の以下のマイトギリン若しくはレストリクトシンのT細胞エピトープ(配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、及び/又は配列番号3)内であってもよい。
【0158】
或る実施形態では、修飾クラビン分子は、「親」クラビン(例えば、野生型クラビン、野生型クラビンのフラグメント等)と比較して少なくとも1つの突然変異を含み、ここで、少なくとも1つの突然変異は、(野生型クラビンの)少なくとも1つのアミノ酸Q10、P13、T15、N16、Y18、L63、R66、I69、W71、V122、T125、P127、N128、V130、G133、I134、A136、T138、R139、E140、又はQ142の突然変異を含む。
【0159】
或る実施形態では、修飾ギガンチン分子は、「親」ギガンチン(例えば、野生型ギガンチン、野生型ギガンチンのフラグメント等)と比較して少なくとも1つの突然変異を含み、ここで、少なくとも1つの突然変異は、(野生型ギガンチンの)少なくとも1つのアミノ酸Q10、T15、N16、Y18、L63、R66、I69、F71、V122、T125、P127、N128、V130の突然変異を含む。
【0160】
他の実施形態では、修飾されたマイトギリン又はレストリクトシンの分子は、「親」のマイトギリン又はレストリクトシン(例えば、野生型のマイトギリン又はレストリクトシン、野生型のマイトギリン又はレストリクトシンのフラグメント等)と比較して、少なくとも1つの突然変異を含み、ここで、少なくとも1つの突然変異は、(野生型のマイトギリン又はレストリクトシンの)少なくとも1つのアミノ酸Q9、P12、T14、N15、Y17、I62、R65、I68、F70、V121、T124、P126、N127、V129、G132、I133、A135、Q137、R138、G139、又はQ141の突然変異を含む。
【0161】
野生型のクラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシンの修飾は、上述のアミノ酸置換を含んでもよい。或る実施形態では、アミノ酸置換は、1アミノ酸置換(例えば、Q10A)、2アミノ酸置換(例えば、Q10A及びQ142G)、3アミノ酸置換(例えば、Q10A、N16A、Q142G)、4アミノ酸置換、5アミノ酸置換、6アミノ酸置換、7アミノ酸置換、8アミノ酸置換、9アミノ酸置換、10アミノ酸置換、又は10超のアミノ酸置換である。
【0162】
野生型のクラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシンの修飾は、アミノ酸置換に限定されない。例えば、上記修飾は、アミノ酸欠失又はアミノ酸付加を含んでもよい。或る実施形態では、アミノ酸欠失は、1アミノ酸欠失、2アミノ酸欠失、3アミノ酸欠失、4アミノ酸欠失、5アミノ酸欠失、6アミノ酸欠失、7アミノ酸欠失、8アミノ酸欠失、9アミノ酸欠失、10アミノ酸欠失、又は10超のアミノ酸欠失である。或る実施形態では、アミノ酸付加は、1アミノ酸付加、2アミノ酸付加、3アミノ酸付加、4アミノ酸付加、5アミノ酸付加、6アミノ酸付加、7アミノ酸付加、8アミノ酸付加、9アミノ酸付加、10アミノ酸付加、又は10超のアミノ酸付加である。欠失及び/又は付加は、T細胞エピトープ領域以外の分子の領域における欠失に対応してもよい。
【0163】
リボ毒性(RIBOTOXICITY)及び細胞毒性
修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンの細胞毒性を維持し得る。細胞毒性は、具体的な基質、例えば、オリゴヌクレオチド基質(例えば、リボソーム)に対するリボ核酸分解活性、細胞系アッセイにおいてタンパク質合成を干渉する能力、又は特定の細胞型に対する細胞殺傷活性を指す場合がある。例えば、細胞毒性アッセイは、毒素がリボソームを分解する能力を測定してもよい。細胞毒性は上述の定義に限定されない。
【0164】
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンと同程度に細胞毒性であってもよい。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、少なくとも対応する野生型リボトキシンと同程度に細胞毒性である。或る特定の実施形態において、驚くべきことに、修飾サルシン分子が、野生型α−サルシンよりも細胞毒性であることを発見した。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンよりも低細胞毒性である。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンのわずか10%未満の低細胞毒性である。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンのわずか15%未満の低細胞毒性である。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンのわずか20%未満の低毒性である。
【0165】
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンのコアリボトキシン構造を維持する。本明細書で使用される「コアリボトキシン構造」の用語は、野生型リボトキシンのアルファへリックス及びベータシートの配置を指す。例えば、或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンと同じアルファへリックス配置を有し、例えば、アルファへリックスの一般的な構造を同じように維持する。或る実施形態では、アルファへリックスのアミノ酸は、野生型リボトキシンと同じままである。アルファへリックスアミノ酸は、マイトギリン又はレストリクトシンについてGlu27〜Ala37(Perez-Canadilas et al., J Mol Biol 2009, 299:1061-73)又はGlu26〜Ala36を指す場合がある。或る実施形態では、アルファへリックスにおける1又は複数のアミノ酸が修飾され得るが、アルファへリックスの構造は維持されたままである。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンと同じベータシート構造を有し、例えば、ベータシートの一般的な構造を同じように維持する。或る実施形態では、ベータシートのアミノ酸は野生型リボトキシンと同じままである。或る実施形態では、アルファへリックスの1又は複数のアミノ酸が修飾され得るが、アルファへリックスの構造は維持されたままである。ベータシートのアミノ酸は、マイトギリン又はレストリクトシンにおいてHis50〜Phe52及び/又はLeu94〜Phe97及び/又はAla120〜Tyr124及び/又はGly133〜Thr138及び/又はGlu144〜Leu146(Perez-Canadilas et al., J Mol Biol 2009, 299:1061-73)、又はHis49〜Phe51及び/又はLeu93〜Phe96及び/又はAla119〜Tyr123及び/又はGly132〜Gln138及び/又はAsp143〜Leu146を指す場合がある。或る実施形態では、活性部位の1又は複数のアミノ酸、例えば、His50及び/又はGlu96及び/又はArg121及び/又はHis137(又は、マイトギリン若しくはレストリクトシンにおいてHis49、Glu95、Arg120、及び/又はHis136)は修飾リボトキシン分子において変化されない。或る実施形態では、活性部位の1又は複数のアミノ酸が修飾される。
【0166】
修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンのリボ毒性を維持し得る。リボ毒性は、具体的な基質、例えば、オリゴヌクレオチド基質(例えば、リボソーム)に対するリボ毒性(例えば、核酸分解)活性を指す場合があり、又は細胞系アッセイにおけるタンパク質合成を干渉する能力を指す場合がある。リボ毒性は、上述の定義に限定されない。
【0167】
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンと同程度にリボ毒性であってもよい。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンと少なくとも同程度にリボ毒性である。或る特定の実施形態において、驚くべきことに、修飾サルシン分子が野生型α−サルシンよりもリボ毒性であることを発見した。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンよりもリボ毒性が低い。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンのわずか10%未満の低いリボ毒性である。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンのわずか15%未満の低いリボ毒性である。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンのわずか20%未満の低いリボ毒性である。
【0168】
サルシンのリボ毒性及び細胞毒性に対するアッセイは当該技術分野でよく知られており、Carreras-Sangra et al., 2012, PEDS 25, 425-35に記載される。従来のリボ毒性及び細胞毒性のアッセイとして、本出願の実施例に記載されるin vitro転写翻訳(IVTT)アッセイが挙げられる。
【0169】
安定性及び溶解性
タンパク質の安定性は、保存条件又は輸送条件に耐えるタンパク質の能力を決定し得る。また、安定性は、投与後(例えば、血清中での)そのタンパク質の半減期に影響し得る。タンパク質の融解温度、又はタンパク質がその三次構造を喪失する温度は、タンパク質の物理的安定性の測定の非限定的な例である。
【0170】
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンの融解温度を維持する(「融解温度を維持する」の用語は、プラス又はマイナス2%、プラス又はマイナス5%、プラス又はマイナス10%を指す場合がある)。例えば、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、その融解温度が対応する野生型リボトキシンの融解温度のプラス又はマイナス5%以内である場合に、対応する野生型リボトキシンの融解温度を維持する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンよりも高い融解温度を有する。
【0171】
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンよりも低い融解温度を有する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンの融解温度よりも2度超低い融解温度を有する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンの融解温度よりも5度超低い融解温度を有する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンの融解温度よりも10度超低い融解温度を有する。
【0172】
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は少なくとも40℃の融解温度を有する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は少なくとも50℃の融解温度を有する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は少なくとも60℃の融解温度を有する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は少なくとも65℃の融解温度を有する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は少なくとも70℃の融解温度を有する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は少なくとも80℃の融解温度を有する。かかるタンパク質の融解温度を決定する方法は、当業者によく知られている(例えば、Gong et al., 2009, JBC 284:21, pp 14203-14210、及び国際公開第2009/099961号を参照されたい)。
【0173】
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンの溶解性を維持する(「溶解性を維持する」の用語は、プラス又はマイナス2%、プラス又はマイナス5%、プラス又はマイナス10%を指す場合がある)。例えば、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、その溶解性が野生型リボトキシンの溶解性のプラス又はマイナス5%以内である場合に野生型リボトキシンの溶解性を維持する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンよりも高い溶解性を有する。
【0174】
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンよりも低い溶解性を有する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンの溶解性のわずか10%未満の溶解性を有する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンの溶解性のわずか15%未満の溶解性を有する。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンの溶解性のわずか20%未満の溶解性を有する。
【0175】
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子又は融合タンパク質は、タグを含む。タグとして、限定されないが、Hisタグ、flagタグ等を挙げることができる。
【0176】
いかなる理論又は機構にも束縛されることを意図するものではないが、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、及びレストリクトシンは、血清プロテアーゼによって分解されないと考えられる。また、それらは、リソソーム又は細胞質のプロテアーゼに対して比較的抵抗性であると考えられる。或る実施形態では、修飾リボトキシン分子を作製するための野生型リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子に対する修飾(複数の場合がある)は、野生型リボトキシンのプロテアーゼ耐性特性に影響しない。例えば、或る実施形態では、修飾(複数の場合がある)は、プロテアーゼ切断部位を付加しない。
【0177】
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンのプロテアーゼ耐性特性を保持する(例えば、血清プロテアーゼ及び/又はリソソームプロテアーゼ及び/又は細胞質プロテアーゼに供された場合)。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンと比較して、わずか10%未満のプロテアーゼ耐性である(例えば、血清プロテアーゼ及び/又はリソソームプロテアーゼ及び/又は細胞質プロテアーゼに供された場合)。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンと比較して、わずか20%未満のプロテアーゼ耐性である(例えば、血清プロテアーゼ及び/又はリソソームプロテアーゼ及び/又は細胞質プロテアーゼに供された場合)。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンと比較して、わずか30%未満のプロテアーゼ耐性である(例えば、血清プロテアーゼ及び/又はリソソームプロテアーゼ及び/又は細胞質プロテアーゼに供された場合)。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンと比較して、わずか40%未満のプロテアーゼ耐性である(例えば、血清プロテアーゼ及び/又はリソソームプロテアーゼ及び/又は細胞質プロテアーゼに供された場合)。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、対応する野生型リボトキシンと比較して、わずか50%未満のプロテアーゼ耐性である(例えば、血清プロテアーゼ及び/又はリソソームプロテアーゼ及び/又は細胞質プロテアーゼに供された場合)。
【0178】
リボトキシン融合タンパク質
また、本発明は、リボトキシン融合タンパク質、例えば、上述の修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子を含むリボトキシン融合タンパク質を特徴とする。或る実施形態では、リボトキシン融合タンパク質は、対応する野生型リボトキシンと比較してヒトにおいて減少した免疫原性を有し、標的の結合に有効な標的分子を有する、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子を含む。
【0179】
標的分子は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子に連結されてもよい。或る実施形態では、標的分子は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子に組み込まれてもよい。
【0180】
或る実施形態では、標的分子は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のN末端に連結される。或る実施形態では、標的分子は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のC末端に連結される。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、標的分子のN末端に連結される。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、標的分子のC末端に連結される。或る実施形態では、標的分子のN末端は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のC末端に連結される。或る実施形態では、標的分子のN末端は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のN末端に連結される。或る実施形態では、標的分子のC末端は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のC末端に連結される。或る実施形態では、標的分子のC末端は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のN末端に連結される。
【0181】
リンカー
修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子と標的分子を融合タンパク質において共に連結するため、リンカーを使用してもよい。或る実施形態では、標的分子は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のC末端にリンカーを介して連結される。或る実施形態では、標的分子は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のN末端にリンカーを介して連結される。或る実施形態では、融合タンパク質は修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子と標的分子とのオリゴマーである。例えば、或る実施形態では、融合タンパク質は、2つの標的分子と、1つの修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子とを含む。或る実施形態では、融合タンパク質は2つの修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子と、1つの標的分子とを含む。融合タンパク質を連結して共にオリゴマーを形成するため、又は融合タンパク質内の構成要素を共に連結するため、1又は複数のリンカーを使用してもよい。
【0182】
リンカーは融合タンパク質の全体構造、及び融合タンパク質の構成要素の機能性領域の近接性に影響する場合がある。例えば、プロリン残基は、タンパク質の構造を曲げるか、又は捻れさせることが知られており、そのため、1又は複数のプロリン残基を含むリンカーは融合タンパク質の構造を曲げるか、又は捻れさせる可能性がある。
【0183】
リンカーは、例えば、限定されないが、様々なアミノ酸長及び/又は配列のペプチドを含んでもよい。或る実施形態では、リンカーは、0アミノ酸長〜10アミノ酸長のものである。或る実施形態では、リンカーは、0アミノ酸長〜15アミノ酸長のものである。或る実施形態では、リンカーは、0アミノ酸長〜20アミノ酸長のものである。或る実施形態では、リンカーは、1アミノ酸長〜10アミノ酸長のものである。或る実施形態では、リンカーは、1アミノ酸長〜15アミノ酸長のものである。或る実施形態では、リンカーは、1アミノ酸長〜20アミノ酸長のものである。或る実施形態では、リンカーは、2アミノ酸長〜20アミノ酸長のものである。或る実施形態では、リンカーは、3アミノ酸長〜20アミノ酸長のものである。或る実施形態では、リンカーは、4アミノ酸長〜20アミノ酸長のものである。或る実施形態では、リンカーは、5アミノ酸長〜10アミノ酸長のものである。或る実施形態では、リンカーは、10アミノ酸長〜15アミノ酸長のものである。或る実施形態では、リンカーは、15アミノ酸長〜20アミノ酸長のものである。或る実施形態では、リンカーは、20超のアミノ酸長のものである。最適な長さは、具体的な標的(複数の場合がある)のスペーシング及び方向に一致するように変化し得る。
【0184】
リンカーは、融合タンパク質をコードする遺伝子にコードされてもよい。或る実施形態では、リンカーは融合タンパク質の一部に共有結合(例えば、架橋)されてもよい。リンカーは共有結合、又は非常に緊密な非共有結合、すなわち、様々なアミノ酸配列、例えば、(a)グリシン、セリン、プロリン、アラニンに富むもの、若しくは(b)免疫グロブリンドメインを接続する天然連結アミノ酸配列の変異体の化学的結合又は直接的な遺伝子融合であってもよい。
【0185】
或る実施形態では、リンカーは、非ペプチド構成要素(例えば、糖残基、重金属イオン、治療用化学物質、ポリエチレングリコール(PEG)、例えば、分離したPEG等の化学物質)を含む。
【0186】
或る実施形態では、dPEGは、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のセリン、チロシン、システイン、又はリシンのいずれか1つにおいて、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子に連結される。或る実施形態では、dPEGは、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のグリコシル化部位に連結される。或る実施形態では、dPEGは、標的分子のセリン、チロシン、システイン、又はリシンのいずれか1つにおいて標的分子に連結される。或る実施形態では、dPEGは、標的分子のグリコシル化部位に連結される。或る実施形態では、dPEGは約200ダルトン〜10000ダルトンである。
【0187】
或る実施形態では、リンカーはヒンジ構成要素である。例えば、標的分子は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子上の後半ヒンジ構成要素を結合することができる前半ヒンジ構成要素を含んでもよい。或る実施形態では、ヒンジ構成要素は、1又は複数の多量体化ドメインを含む。多量体化ドメインは、ヒンジ構成要素からタンパク質分解によって結果的に切断され得るように構成されてもよい。リンカー中にその特定の設計された認識配列に対して十分な特異性を呈するが、融合タンパク質の任意の他の配列を切断しない、任意のプロテアーゼを使用してもよい。切断は、最終融合タンパク質分子がプロテアーゼ認識部位の一部であるいかなる追加のアミノ酸残基も維持しないように、認識モチーフの最末端で生じ得る。プロテアーゼは、微量のプロテアーゼが精製(例えば、第X因子、トロンビン)の後に持ち越されても、患者にわずかな影響を有するか、又は何らの影響も有しない酵素であってもよい。
【0188】
切断可能なリンカー(又はアダプター)の例は、Heisler et al., 2003, Int. J. Cancer 103 277-282、及びKeller et al., 2001, J Control Release 74, 259-261に見ることができる。例えば、リンカー(アダプター)は、細胞質切断可能ペプチド(cytosolic cleavable peptide:CCP)、膜輸送ペプチド(membrane transfer peptide:MTP)及びエンドソーム切断可能ペプチド(endosomal cleavable peptide:ECP)を含む。融合タンパク質のエンドサイト―シスの際、酵素切断がMTPを露出するリガンドを放出して、CCPの酵素切断によってMTPが毒素(例えば、サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)から放出されるサイトゾル中への移行を可能とする。本明細書に記載されるリボトキシン融合タンパク質は、類似の切断可能なリンカー、又は上記の参照文献に記載されるようなリンカーの様々な構成要素を使用してもよい。
【0189】
先に述べたように、融合タンパク質はオリゴマーであってもよく、例えば、融合タンパク質は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子に連結された標的分子二量体(又は複数の標的分子)を含んでもよい。或る実施形態では、標的分子は二量体である。或る実施形態では、標的分子は三量体である。或る実施形態では、標的分子は四量体である。或る実施形態では、標的分子は五量体である。或る実施形態では、融合タンパク質は5より多いサブユニットを含む。或る実施形態では、融合タンパク質はオリゴマーであってもよく、例えば、融合タンパク質は、標的分子に連結された修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子の二量体(又は複数の修飾リボトキシン分子)を含んでもよい。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は二量体である。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は三量体である。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は四量体である。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は五量体である。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は5より多いサブユニットを含む。
【0190】
2若しくは複数の標的分子、又は2若しくは複数の修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子をリンカーによって連結してもよく、ここで、リンカーは任意の適切な場所で個々の標的分子又は修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子に付着され得る。リンカーが標的分子上に付着され得る場所の例として、CH2ドメインのC末端、N末端、システインが先行する又はシステインが続くC末端又はN末端が挙げられる。或る実施形態では、(例えば、二量体、三量体等を形成するための)2以上の標的分子又は修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子の連結は、システイン間のジスルフィド結合の形成によって制御される。
【0191】
或る実施形態では、リンカーは、2−イミノチオラン、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン(SMPT)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ビス−ジアゾベンジジン及びグルタルアルデヒドからなる群から選択され得る。或る実施形態では、リンカーをアミノ酸基のアミノ基、カルボン酸基、スルフヒドリル基又はヒドロキシル基に付着させてもよい。リンカーが付着し得るアミノ基としては、例えば、アラニン、リシン、又はプロリンを挙げることができる。リンカーが付着し得るカルボン酸基は、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸であってもよい。リンカーが付着し得るスルフヒドリル基は、例えば、システインであってもよい。リンカーが付着し得るヒドロキシル基は、例えば、セリン、トレオニン、又はチロシンであってもよい。標的分子を別の標的分子に(又は、標的分子を修飾リボトキシン分子に)化学的に付着することが可能な当業者に知られている任意のカップリング化学を使用することができる。
【0192】
標的分子及び標的
融合タンパク質は、標的を結合するのに有効な標的分子を含む。或る実施形態では、標的分子はペプチドを含む。或る実施形態では、標的分子は、抗体、抗体フラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、ナノボディ、アブジュリン(abdurin)、CH2ドメイン分子、CH2ドメインフラグメント、CH3ドメイン分子、CH3ドメインフラグメント、タンパク質スキャフォルド、ホルモン、受容体結合ペプチド等、又はそれらの組合せを含む。或る実施形態では、標的分子は結合部分を含み、その結合部分はVHドメイン、VLドメイン、フィブロネクチンの第10のIII型ドメイン、設計されたアンキリンリピートタンパク質、セントリンスキャフォルド、ペプチドリガンド、タンパク質リガンド、受容体、ホルモン、酵素、サイトカイン、小分子、それらのフラグメント等、又はそれらの組合せを含む。標的分子は、上述の例に限定されない。
【0193】
或る実施形態では、標的分子は、抗原結合領域を含む。或る実施形態では、標的分子は、約20kDa未満の分子量を有するCH2ドメイン分子である。或る実施形態では、標的分子は、少なくとも1つの機能性FcRn結合部位を含む。或る実施形態では、標的分子は、複数のFcRn結合部位(例えば、改善された血清半減期のため)を含む。
【0194】
或る実施形態では、リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)融合タンパク質は、例えば、そのリボトキシン融合タンパク質が1つの標的に特異的である、単一特異的分子である。或る実施形態では、リボトキシン融合タンパク質は、例えば、そのリボトキシン融合タンパク質が2つの標的に特異的である、二重特異的分子である。或る実施形態では、リボトキシン融合タンパク質は、例えば、そのリボトキシン融合タンパク質が3つの標的に特異的である、三重特異的分子である。或る実施形態では、リボトキシン融合タンパク質は、3よりも多い標的に特異的である。
【0195】
或る実施形態では、標的分子は、第1のエピトープに特異的な少なくとも第1のパラトープを含む。或る実施形態では、標的分子は、第1のエピトープに各々特異的な少なくとも2つの第1のパラトープを含む。或る実施形態では、標的分子は、第1のエピトープに特異的な第1のパラトープ、及び第2のエピトープに特異的な第2のパラトープを含む。
【0196】
先に述べたように、リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)融合タンパク質は、少なくとも1つの追加の標的分子を更に含んでもよい。例えば、或る実施形態では、リボトキシン融合タンパク質は、例えば、標的分子又は修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のいずれかに連結された、第2の標的分子を更に含む。或る実施形態では、リボトキシン融合タンパク質は、第3の標的分子を更に含む。或る実施形態では、リボトキシン融合タンパク質は、第4の標的分子を更に含む。
【0197】
或る実施形態では、第2の標的分子は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のN末端に連結され、上記標的分子は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のC末端に連結される。或る実施形態では、第2の標的分子は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のC末端に連結され、上記標的分子は修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のN末端に連結される。
【0198】
或る実施形態では、第2の標的分子は、第1のエピトープに特異的な第1のパラトープを含む。或る実施形態では、第2の標的分子は、第2のエピトープに特異的な第2のパラトープを含む。或る実施形態では、標的分子は、第1のエピトープに特異的な第3のパラトープ、又は第3のエピトープに特異的な第4のパラトープを含む。
【0199】
先に述べたように、リボトキシン融合タンパク質は、少なくとも1つの追加の修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子を更に含んでもよい。例えば、或る実施形態では、リボトキシン融合タンパクは、第2の修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子を更に含む。或る実施形態では、第2の修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、修飾リボトキシン分子に連結される。或る実施形態では、第2の修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、標的分子に連結される。
【0200】
上記標的は、任意の適切な標的であってもよい。標的として、細胞、腫瘍細胞、免疫細胞、タンパク質、ペプチド、分子、細菌、ウイルス、原生生物、真菌等、又はそれらの組合せが挙げられる。例えば、或る実施形態では、標的は受容体、例えば、細胞表面受容体である。具体的な標的の非限定的な例として、Her2受容体、PMSA、ヌクレオリン、細胞死受容体(例えば、Fas受容体、腫瘍壊死因子受容体等)、CD22、CD19、CD79b、DR5、ephA2、Muc1、EGFR、VEGFR、CTLA−4、細菌及び真菌の細胞表面受容体、CD80等が挙げられる。
【0201】
或る実施形態では、リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)融合タンパク質は、画像化試薬、放射性同位体、薬物、免疫複合体等、又はそれらの組合せを更に含む。画像化試薬、放射性同位体、薬物、又は免疫複合体は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子及び/又は標的分子に連結されてもよい。
【0202】
細胞透過性及び保持
(例えば、リボトキシン融合タンパク質の)修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子にとって、膜透過性を欠損する(又は野生型リボトキシンと比較して減少した膜透過性を有する)ことは有利な場合がある。これは、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子をより安全に患者に投与することを可能とし得る。例えば、(例えば、リボトキシン融合タンパク質の)修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子が標的分子から切断された場合、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、(リボトキシン融合タンパク質の標的分子の特異性に従い)意図される標的細胞でない細胞によって取り込まれることがない(又は、取り込まれる可能性が低い)。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、膜相互作用に重要な1又は複数のアミノ酸において突然変異を含む。例えば、或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、アミノ酸R120又はR121に突然変異を含む。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、突然変異R120Q又はR121Qを含む。或る実施形態では、修飾リボトキシンは、突然変異R120S又はR121Sを含む。
【0203】
膜透過性の突然変異は、T細胞エピトープ部位における突然変異と必ずしも一体でなくてもよい。しかしながら、或る実施形態では、膜透過性の突然変異は、T細胞エピトープ部位における1又は複数の突然変異(上述の突然変異)と一体である。
【0204】
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、その膜透過性を減少したが、その細胞毒性を減少しない突然変異を含む。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、その膜透過性を減少したが、そのリボ毒性を減少しない突然変異(例えば、リボソームのSRL部位に対するターゲッティング及び/又は結合は影響されない)を含む。
【0205】
或る実施形態では、分子は、(例えば、リボトキシン融合タンパク質の)修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子のN末端に結合され、上記分子は、標的細胞における修飾サルシン分子の取り込みに際して切断され得る。
【0206】
減少した膜透過性を有する修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、R120Q、R120S、R121Q、又はR121Sの突然変異に限定されない。例えば、α−サルシン、ギガンチン、若しくはクラビンの最初の22アミノ酸、又はレストリクトシン若しくはマイトギリンの最初の21アミノ酸は、膜相互作用(及びrRNAサルシンリッチループの標的部へのトラフィッキング)に重要な可能性がある。或る実施形態では、リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)の最初の21アミノ酸又は22アミノ酸のうち1又は複数を修飾して膜相互作用を変更する。例えば、或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、最初の5アミノ酸における欠失、最初の10アミノ酸における欠失、最初の15アミノ酸における欠失、最初の20アミノ酸における欠失、最初の22アミノ酸における欠失を含む。或る実施形態では、配列番号38の1又は複数のアミノ酸を修飾、例えば、欠失、置換してもよい。代替的には、膜透過性を排除(又は減少)するのを補助するため、アミノ酸をN末端に付加(例えば、tag等)してもよい。
【0207】
リボトキシン融合タンパク質は、野生型リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)、リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)単独、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子単独、及び/又は標的分子単独と比較して、増強した特性(例えば、増強された細胞保持)を有し得る。例えば、或る実施形態では、標的分子は、その細胞透過性を増強するように修飾される。或る実施形態では、リボトキシンは、(上述の通り)その細胞透過性を減少するように修飾される。或る実施形態では、標的分子は細胞透過性を増強するように修飾され、リボトキシンはその細胞透過性を減少するように修飾される。
【0208】
或る実施形態では、融合タンパク質は、標的分子単独と比較して増加した細胞透過性を有する。或る実施形態では、融合タンパク質は修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子単独と比較して増加した細胞透過性を有する。或る実施形態では、融合タンパク質は、野生型リボトキシンと比較して細胞透過性を増加するように修飾される。或る実施形態では、融合タンパク質は、標的分子単独と比較して細胞透過性を増加するように修飾される。或る実施形態では、融合タンパク質は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子単独と比較して細胞透過性を増加するように修飾される。或る実施形態では、融合タンパク質は、野生型リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)と比較して増加した細胞保持を有する。
【0209】
或る実施形態では、融合タンパク質は、標的分子単独と比較して増加した細胞保持を有する。或る実施形態では、融合タンパク質は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子単独と比較して増加した細胞保持を有する。或る実施形態では、融合タンパク質は、野生型リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)と比較して細胞保持を増加するように修飾される。或る実施形態では、融合タンパク質は、標的分子単独と比較して細胞保持を増加するように修飾される。或る実施形態では、融合タンパク質は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子単独と比較して細胞保持を増加するように修飾される。
【0210】
リボトキシン融合タンパク質は、エンドソームから逃れることを可能とする手段(例えば、リンカー)を含んでもよい。或る実施形態では、リンカーは細胞質において切断されるように設計される。或る実施形態では、血液、例えば血清中でリンカーを切断することができない。
【0211】
発現
修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子及び/又はリボトキシン融合タンパク質は、任意の適切な発現系において発現されてもよい。例えば、或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子及び/又はリボトキシン融合タンパク質は、E.コリ発現系において発現される。或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子及び/又はリボトキシン融合タンパク質は、ピキア・パストリス発現系において発現される。
【0212】
医薬組成物
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、医薬組成物を含むか、又はそれに含有される。或る実施形態では、上記融合タンパク質は、医薬組成物を含むか、又はそれに含有される。抗体及びペプチドに関する医薬組成物の例は、当業者によく知られており、以下に記載される。
【0213】
或る実施形態では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子又は融合タンパク質は、増加した安定性(例えば、血清半減期)を与える分子(又は複数の分子)に結合される。デキストラン、様々なポリエチレングリコール(PEG)、及びアルブミン結合ペプチドは、この目的の非常に一般的なスキャフォルドである(例えば、Dennis et al., 2002, Journal of Biological Chemistry 33:238390を参照されたい)。上記分子は、様々な機構、例えば、化学処理及び/又はタンパク質構造、配列の等の修飾等(例えば、Ashkenazi et al., 1997, Current Opinions in Immunology 9:195-200、米国特許第5,612,034号、米国特許第6,103,233号を参照されたい)によって、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子又は融合タンパク質に接合されてもよい。上記分子(例えば、デキストラン、PEG等)は、結合ループと反対側のタンパク質の末端においてシステインを組み込むことによって反応性スルフヒドリルにより、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子又は融合タンパク質に結合されてもよい。かかる技術は、当該技術分野でよく知られている。別の例では、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子又は融合タンパク質は、循環半減期を増加するため血清中においてアルブミンを利用するように、アルブミンに特異的に結合してもよい。
【0214】
増加したタンパク質安定性、又は増加したタンパク質安定性を与えるスキャフォルドへの修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子若しくは融合タンパク質の結合を与える医薬組成物の選択が、上記タンパク質の安定性を改善することができる唯一の方法ではない。或る実施形態では、本発明の修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子又は融合タンパク質を、安定性を変更するように修飾してもよい。この内容において「修飾した(修飾された)」又は「修飾」の用語は、1又は複数の突然変異、付加、欠失、置換、ジスルフィド結合の付加、物理的変更(例えば、架橋修飾、構成要素の共有結合、翻訳後修飾、例えば、アセチル化、グリコシル化、ペグ化、又はそれらの組合せ)等、又はそれらの組合せを含み得る。Gong et al. (2009, Journal of Biological Chemistry 284:14203-14210)は、増加した安定性を有する修飾タンパク質の例を示す。
【0215】
タンパク質の不安定な特性のため、医薬組成物は、温度制御された連続するサプライチェーンである、コールドチェーン(低温流通体系)により輸送され、保存されることが多い。例えば、或る医薬組成物は、摂氏約2度〜8度の温度で保存され、輸送され得る。コールドチェーンは、かかる医薬組成物のコストを飛躍的に増加する。いかなる理論又は機構にも束縛されることを意図するものではないが、(例えば、医薬組成物等を介して)本発明の修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子又は融合タンパク質の安定性を増加することは、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子又は融合タンパク質をコールドチェーンによって保存し、輸送する必要を軽減するか、又は排除するのに役立つ可能性があると考えられる。
【0216】
薬学的担体(ビヒクル)は従来のものであってもよいが、従来の担体(ビヒクル)に限定されない。例えば、E. W. Martin, Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA, 15th Edition (1975)、及びD. B. Troy, ed. Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore MD and Philadelphia, PA, 21st Edition (2006)は、1又は複数の抗体等の1又は複数の治療用化合物若しくは分子と追加の薬学的物質との薬学的送達に適した組成物及び製剤を記載する。米国特許第7,648,702号は、免疫グロブリンのFcドメインを含有するポリペプチドの長期保存に適した水性医薬組成物を特徴とする。
【0217】
医薬組成物としては、緩衝剤(例えば、リン酸ナトリウム、ヒスチジン、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、マレイン酸、酢酸アンモニウム、トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(tris)、酢酸塩、ジエタノールアミン等)、アミノ酸(例えば、アルギニン、システイン、ヒスチジン、グリシン、セリン、リシン、アラニン、グルタミン酸、プロリン)、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、スクロース、グルコース、マンニトール、ラクトース、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、マルトース、イノシトール、トレハロース、ウシ血清アルブミン(BSA)、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン、組換えアルブミン)、デキストラン、PVA、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレンイミン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、塩化水素、サクロシン(sacrosine)、γ−アミノ酪酸、Tween−20、Tween−80、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリソルベート、ポリオキシエチレンコポリマー、酢酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、トリメチルアミンN−オキシド、ベタイン、亜鉛イオン、銅イオン、カルシウムイオン、マンガンイオン、マグネシウムイオン、CHAPS、スクロースモノラウレート、2−O−β−マンノグリセレート等、又はそれらの組合せを挙げることができる。本発明は、本明細書に開示される医薬組成物の成分に何ら限定されず、例えば、医薬組成物は、エアロゾル送達用の高圧ガス(例えば、ヒドロフルオロアルカン(HFA))を含んでもよい。米国特許第5,192,743号は、(例えば、保存のため)再構成された場合に目的のタンパク質の安定性を改善し得るゲルを形成する製剤を記載する。
【0218】
医薬組成物は、一部又は全ての投与経路、例えば、局所投与(吸入及び経鼻投与を含む)、経口又は経腸投与、静脈内又は非経口投与、経皮投与、硬膜外投与等のため適切に構築され得る。例えば、非経口製剤は、通常、水、生理学的食塩水、平衡塩溶液、デキストロース水溶液、グリセロール等の薬学的及び生理学的に許容可能な流体をビヒクルとして含む注射用流体を含む。固体組成物(例えば、粉末、丸剤、錠剤、又はカプセル剤の形態)のため、従来の非毒性固体担体、例えば、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、又はステアリン酸マグネシウムが挙げられる。生物学的に中立な担体に加えて、投与される医薬組成物は、湿潤剤又は乳化剤、保存剤、及び、例えば酢酸ナトリウム又はソルビタンモノラウレート等のpH緩衝剤等の少量の非毒性の助剤物質を含有してもよい。
【0219】
或る実施形態では、非経口製剤は、水、生理学的食塩水、平衡塩溶液、デキストロース水溶液、グリセロール等の薬学的及び生理学的に許容可能な流体をビヒクルとして含む注射用流体を含んでもよい。非限定的な例として、注射用トラスツズマブに対する製剤は、注射前に滅菌水で再構成される、L−ヒスチジンHCl、L−ヒスチジン、トレハロース二水和物、及びポリソルベート20を乾燥粉末としてガラス容器中に含む。非経口又は皮下の用途のための抗体及びタンパク質の他の製剤は当該技術分野でよく知られている。固体組成物(例えば、粉末、丸剤、錠剤、又はカプセルの形態)に対しては、従来の非毒性固体担体として、例えば、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、又はステアリン酸マグネシウムが挙げられる。生物学的に中立な担体に加えて、投与される医薬組成物は、湿潤剤又は乳化剤、保存剤、及び、例えば酢酸ナトリウム又はソルビタンモノラウレート等のpH緩衝剤等の少量の非毒性の助剤物質を含有してもよい。タンパク質安定性を増加するための上述の医薬組成物及びタンパク質修飾は、米国特許出願公開第2009/032692号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載されるように適用され得る。
【0220】
修飾リボトキシン分子及び融合タンパク質を産生する方法
本明細書に記載される修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子及び融合タンパク質を産生する方法は当業者によく知られている。例えば、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、細菌系(例えば、限定されないが、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)を含む:Henze et al., Eur J Biochem 192: 127-131, 1990)、酵母系、ファージディスプレイ系、昆虫系、哺乳動物系、リボソームディスプレイ、シスディスプレイ系(Odegrip et al., 2004, PNAS 101, 2806-2810)等、又はそれらの組合せにおいて発現されてもよい。P.パストリス発現系におけるサルシンを含む融合タンパク質の構築は、Carreras-Sangra et al., 2012, PEDS 25, 425-35に記載される。本発明は、本明細書に記載される方法(例えば、タンパク質発現及びディスプレイ系)に限定されない。簡潔には、例として、上記方法は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子に対する配列を有するベクターを得ること、発現系において修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子に対する配列のタンパク質生成物を産生すること、及びそのタンパク質生成物を少なくとも部分的に精製することを含んでもよい。
【0221】
また、本発明は、本明細書に記載される方法(例えば、下記実施例を参照されたい)によって産生された、対応する野生型リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)と比較して減少した免疫原性を有する、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子を特徴とする。先に述べたように、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)は、対応する野生型リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)と比較して、向上した溶解性及び安定性、及び/又は減少した膜透過性若しくは増強した細胞保持を有してもよく、本明細書に記載される方法により産生されてもよい。
【0222】
リボトキシン融合タンパク質による疾患の治療又は管理
本開示の修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子は、疾患又は状態を治療又は管理するための重要な手段であってもよい。また、本開示は、疾患又は状態(例えば、哺乳動物、例えばヒトにおいて)を治療又は管理する方法を提供する。上記方法は、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子(又はそれを含む融合タンパク質)を得ること、及びその修飾リボトキシン分子又は融合タンパク質を患者に導入することを含み、上記修飾リボトキシン分子又は融合タンパク質が標的に結合し、その結合がその標的の中和又は破壊を引き起こすように機能する。
【0223】
任意には、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子(又はそれを含む融合タンパク質)は、その標的によるシグナル伝達事象を活性化又は阻害のいずれかを引き起こす第1又は第2の標的に結合する。修飾リボトキシン分子又はそれを含む融合タンパク質は、第1の標的を中和又は破壊するように機能する薬剤(例えば、化学物質、ペプチド、毒素)を含んでもよい。或る実施形態では、上記薬剤は、修飾リボトキシン分子又はそれを含む融合タンパク質として構築される場合、不活性であるか、又は減少した活性を有し、上記薬剤は、取込み又は再利用の際に活性化又は放出され得る。
【0224】
修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子(又はそれを含む融合タンパク質)融合タンパク質の結合は、標的の中和又は破壊を引き起こすように機能し得る。上記標的は、例えば、細胞、腫瘍細胞、免疫細胞、タンパク質、ペプチド、分子、細菌、ウイルス、原生生物、真菌等、又はそれらの組合せであってもよい。上記標的は、上述の例に限定されない。例として、標的細胞(この例では腫瘍)の破壊は、以下の融合タンパク質、すなわち、修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子、及び特定の主要表面抗原(EGFR、IGFR、ヌクレオリン、ROR1、CD20、CD19、CD22、CD79a、幹細胞マーカー等)に向けられたCH2ドメイン分子を含む標的分子を使用する治療法によって達成され得る。
【0225】
或る実施形態では、上記融合タンパク質は、免疫エフェクタ細胞表面抗原(例えば、CD3のようなT細胞特異的抗原、又はFcγRIIIaのようなNK細胞特異的抗原)に結合することができる。
【0226】
試料中の融合タンパク質(例えば、標的分子)の標的への結合を検出するため、様々な方法が使用され得る。かかる方法は、当業者によく知られている。
【0227】
DNA配列及びコンストラクト
明白に記載されていないが、本発明は、本明細書に記載される修飾リボトキシン(例えば、α−サルシン、クラビン、ギガンチン、マイトギリン、又はレストリクトシン)分子及び融合タンパク質の産生のための単離されたDNA配列及び組換えコンストラクトも特徴とする。DNA配列は、様々な発現宿主についてコドン最適化されてもよい。
【実施例】
【0228】
実施例1:α−サルシンにおけるT細胞エピトープのマッピング
以下の実施例はα−サルシンにおける可能性のあるT細胞エピトープのマッピングを説明する方法である。
【0229】
150アミノ酸のα−サルシン毒素配列に由来する重複ペプチド(及びリード二量体化α−サルシン毒素変異体の発現及び試験を可能とするためのヌル突然変異に対するペプチド)をEpiScreen(商標)T細胞エピトープマッピング技術(イギリス、ケンブリッジのAntitope Ltd)を使用して試験した。EpiScreen(商標)は、全タンパク質、ペプチド、製剤及びNCE(新規化学物質)に対するヘルパーCD4+T細胞応答を特定するために使用される非常に正確で感受性のヒトex vivoT細胞アッセイ技術である。
【0230】
EpiScreen(商標)T細胞エピトープマッピング技術プロトコルは、12アミノ酸によって重複する15merのペプチドを使用する。15−merペプチドの使用は、T細胞エピトープの場所の同定に役立つ。本研究のため、46の15−merペプチドを使用した。さらに、ヌル突然変異体E96Q及びH137Qにかかる2セットの5ペプチドを試験した。
【0231】
その集団におけるHLA−DRアレルの広がりを最もよく表すため選択された50の健康なPBMCドナーに対する増殖について15−merのα−サルシンペプチドを試験した。図1。PBMC試料中のCD8+T細胞を枯渇させてMHCクラスI制限T細胞応答の検出を排除した。各ドナーに由来するPBMCを解凍し、数を数え、生存率を評価した。細胞密度を2×10〜3×10のPBMC/ml(増殖細胞ストック)に調整する前に、室温のAIM VR培養培地(イギリス、ペイズリーのInvitrogen)において細胞を回復させた。遊離N末端アミン及びC末端カルボン酸により1mg〜3mgのスケールでペプチドを合成した。ペプチドを10mMの濃度までDMSOに溶解し、ウェルにおいてAIM VR培養培地に最終濃度5μMの濃度まで希釈することによりペプチド培養ストックを調製した。各ペプチド及び各ドナーについて、平底96ウェルプレートにおいて6つ組の培養物を確立した。陽性及び陰性の両方の対照培養物も6つ組で試験した。各ドナーについて、3つの対照(KLHタンパク質、並びにIFV及びEBVに由来するペプチド)も含まれた。陽性対照について、PHA(イギリス、ドーセットのSigma)を最終濃度2.5μg/mlで使用した。
【0232】
0.75μCiの3[H]−チミジン(イギリス、ビーコンスフィールドのPerkin ElmerR)を各ウェルに添加する前に培養物を合計6日間インキュベートした。TomTec Mach III細胞採取器を使用してフィルターマット上に採取する前に、培養物を更に18時間インキュベートした。パラルクス(paralux)の低バックグラウンド測定モードでMicroplate Beta Counter(イギリス、ビーコンスフィールドのPerkin ElmerR)上のMeltilex(商標)(イギリス、ビーコンスフィールドのPerkin ElmerR)シンチレーション測定により、各ウェルのcpmを決定した。
【0233】
データを非調整(全ての複製物)及び調整(異常値を除外)として表し、以前に確認したアッセイパラメーターを使用して分析した。応答ドナーの数(刺激指数(SI)2.0以上)が、完全なデータセットプラス2×標準偏差に対する平均応答(両方のデータセットで6.6%)よりも大きい場合にペプチドを陽性とした(ここで、SI=試験ウェルの平均cpm/培地対照ウェルの平均cpm)。この方法で提示されるデータは、2.00以上のSI、p<0.05として示される。独立2標本ステューデントのt検定を使用する、試験ウェルと培地対照ウェルとのcpmを比較することによる応答の有意性(p<0.05)。
【0234】
α−サルシンのEpiScreen(商標)(イギリス、ケンブリッジのAntitope Ltd)T細胞エピトープマッピングの結果を図2に示す。2つのT細胞エピトープが同定され、1つは膜相互作用及びリボソームへのサルシンの結合に関与するN末端22アミノ酸領域内に位置し(「サルシンエピトープ1」)、もう1つは触媒三残基の一部であるH137にかかる(「サルシンエピトープ2」)。サルシンエピトープ1について、以下に示されるようにペプチド2、ペプチド3、及びペプチド4の整列は、α−サルシン(配列番号5)のアミノ酸10〜アミノ酸18に対応する予測されたHLA−DQコア9mer結合レジスタを明らかにした。
【0235】
ペプチド2:WTCLNDQKNPKTNKY(配列番号37)
【0236】
ペプチド3:LNDQKNPKTNKYETK(配列番号38)
【0237】
ペプチド4:QKNPKTNKYETKRLL(配列番号39)
【0238】
ペプチド2及びペプチド3は、非調整と調整の両方のデータセットにおいて陽性T細胞応答を刺激した。ペプチド4は有意なT細胞応答を誘発しなかった。これは、おそらくはそのペプチド(野生型α−サルシンの残基9)において、HLA−DQへのペプチド結合を支持するP−1残基が欠如していることに起因する。
【0239】
サルシンエピトープ2について、以下に示されるペプチド44、ペプチド45、ペプチド53、及びペプチド54(ペプチド53及びペプチド54はH137ヌル突然変異体由来であった)の整列は、第2のT細胞エピトープ、すなわち野生型α−サルシン(配列番号4)のアミノ酸134〜アミノ酸142に対応する予測されるHLA−DRコア9mer結合レジスタを明らかにした。
【0240】
ペプチド44:VFCGIIAHTKENQGE(配列番号40)
【0241】
ペプチド45:GIIAHTKENQGELKL(配列番号41)
【0242】
ペプチド53:VFCGIIAQTKENQGE(配列番号42)
【0243】
ペプチド54:GIIAQTKENQGELKL(配列番号43)
【0244】
ペプチド44、ペプチド45、ペプチド53、及びペプチド54は、非調整及び調整の両方のデータセットにおいて陽性T細胞応答を刺激した。このエピトープは触媒残基H137にかかり、ヌル突然変異H137Qを含むペプチドは免疫原性でもある。
【0245】
実施例2−アルファサルシンの単一エピトープ変異体の設計
以下の実施例は、α−サルシンの単一エピトープ変異体の設計を記載する。
【0246】
その細胞毒性機能を維持しながら野生型α−サルシンタンパク質の免疫原性を減少するか排除するため、T細胞エピトープマッピングで同定された免疫原性の領域を修飾する方法で個々のα−サルシンの単一エピトープ変異体を設計した。かかる変異体の設計をα−サルシンタンパク質構造のコンピュータモデリングによって支援した。特定の場所におけるα−サルシンの修飾に対する制約を考慮し、α−サルシン毒素からのT細胞エピトープの除去のため、(二次及び三次のタンパク質構造、また同じくアミノ酸側鎖とタンパク質のコアとの可能性のある相互作用を考慮して)適切なアミノ酸変化を設計した。具体的なアミノ酸変化の選択は、特に、アミノ酸がα−サルシン毒素の既知の又は予想される機能、またα−サルシンの正しい折り畳みに寄与し得るようにアミノ酸が配置される場合に、利用可能な生物物理学及び生化学のデータによる影響を受けた。
【0247】
実施例1で同定された2つのT細胞エピトープ(配列番号5及び配列番号4)内、及びそのすぐ近く(P−1、エピトープに対してすぐのN末端のアミノ酸)の両方に多くの単一アミノ酸突然変異を作製し、in vitro転写翻訳(IVTT)アッセイにおいて毒性活性を評価した。
【0248】
より具体的には、図3に示される単一の突然変異を有する29の単一エピトープ変異体をα−サルシン野生型発現プラスミドpRCT02−001をテンプレートとして使用し、PCRに基づく部位特異的突然変異誘発を適用して作製した。単一エピトープ変異体をT7発現プラスミドpET22b(Novagen、カタログ番号69744)のNdeI部位の下流にクローニングした。発現プラスミド(pRCT02−002)に由来するヌル突然変異(H137Q)が免疫原性であると以前に示されていることから、代替の非免疫原性ヌル突然変異(E96Q)もPCRに基づく部位特異的突然変異誘発(pRCT02−036)を使用して含めた。全てのコンストラクトをシーケンシングによって確認した。
【0249】
上記単一エピトープ変異体の毒性活性を評価するため、TnT(商標)T7 Coupled Reticulocyte Lysate System(Promega、カタログ番号L4610)を用いて、無細胞IVTTアッセイを行った。簡潔には、野生型α−サルシン(pRCT02−001)、α−サルシンH137Q(pRCT02−002)、α−サルシンE96Q(pRCT02−036)、又は図3に示される単一突然変異を有する29の単一エピトープ変異体のいずれかを含むpET22bプラスミドを12.5μlの反応物当たり200ng〜3.125ngの範囲の濃度で試験した。試験DNAをIVTT反応混合物と合わせ、22℃で45分間インキュベートした。TnT(商標)T7 Coupled Reticulocyte Lysate System(Promega、カタログ番号L4610)により提供された250ngのT7ルシフェラーゼプラスミドを添加し、その反応物を24℃で更に90分間インキュベートした。製造業者の指示書に従い、Steady Glo(商標)試薬(Promega、カタログ番号E2510)を使用してルシフェラーゼ活性を測定した。発光をFluoStar Optimaプレートリーダー(BMG Labtech)で測定した。PRCT02−001(陽性対照)及びpRCT02−002(陰性対照)のプラスミドを各実験に含めた。結果を表9に要約する。
【0250】
【表9】
【0251】
上記データは、エピトープ2におけるI134Aを除いて、29のα−サルシンの単一エピトープ変異体のうち28(エピトープ1で15/15、エピトープ2で13/14)が、野生型α−サルシン(pRCT02−001)と同様のレベルでルシフェラーゼ遺伝子の翻訳を顕著に阻害する能力を維持したことを示す。変異体の大半が野生型α−サルシン(アッセイ変化に供する)に同様のレベルでルシフェラーゼ遺伝子の翻訳を阻害した。幾つかの変異体は、予想外にも野生型α−サルシンよりも高いレベルでルシフェラーゼ遺伝子の翻訳を阻害した。3つの単一エピトープ変異体(K139G、K139N、及びQ142D)に関するデータは、翻訳の阻害の減少を示唆した(1.5超の相対IC50)。ヌル突然変異体サルシンE96QをコードするRCT02−036では阻害は観察されなかった。
【0252】
実施例3−アルファサルシンの複数のエピトープ変異体
以下の実施例は、サルシンエピトープ1に1つの突然変異、サルシンエピトープ2に1つの突然変異を有するα−サルシンの複数のエピトープ変異体の設計及び構築を記載する。
【0253】
野生型α−サルシン発現プラスミドpRCT02−001をテンプレートとして使用し、表10に詳述されるプラスミドを生じるPCRに基づく部位特異的突然変異誘発を適用して二重エピトープ変異体を作製した。二重エピトープ変異体をT7発現プラスミドpET22b(Novagen、カタログ番号69744)のNdeI部位の下流にクローニングした。全てのコンストラクトをDNAシーケンシングによって確認した。
【0254】
【表10】
【0255】
二重エピトープ変異体の毒性活性を評価するため、一部修飾を加えた製造業者の指示書に従って、TnT(商標)T7 Coupled Reticulocyte Lysate System(Promega、カタログ番号L4610)により無細胞IVTTアッセイを行った。簡潔には、野生型αサルシン(pRCT02−001)、αサルシン−H137Q(pRCT02−002)、又は二重エピトープ変異体のいずれかを含むpET22bプラスミドを、12.5μlの反応物当たり200ng〜3.125ngの範囲の濃度で試験した。試験DNAをIVTT反応混合物と合わせ、22℃で45分間インキュベートした。TnT(商標)T7 Coupled Reticulocyte Lysate System(Promega、カタログ番号L4610)によって提供される250ngのT7ルシフェラーゼプラスミドDNAを添加し、その反応物を24℃にて更に90分間インキュベートした。製造業者の指示書に従い、Steady Glo(商標)試薬(Promega、カタログ番号E2510)を使用してルシフェラーゼ活性を測定した。FluoStar Optimaプレートリーダー(BMG Labtech)を使用して発光を測定した。pRCT02−001(陽性対照)及びpRCT02−002(陰性対照)のプラスミドを各実験に含めた。αS−WT(pRCT02−001)のIC50を同じプレートに対してアッセイした二重エピトープ変異体のIC50で除して相対IC50値を算出した。結果を上記表9に要約する。上記データは、20の二重エピトープ変異体のうち18が、野生型α−サルシン(pRCT02−001)の2倍以内のレベルでルシフェラーゼ遺伝子の翻訳を阻害する能力を維持したことを示した。
【0256】
タンパク質産生及び更なる分析のため、表11に示されるように8つの二重エピトープ変異体を選択した。これらは、部分的に活性データ(表10に要約される)及び他の選択基準に基づき、例えば、Q142Nが多数のより活性の低い変異体と関連することに基づいてそれを排除した。表11に詳述される発現ベクターを作製するため、8つの選択された二重エピトープ変異体をコードする遺伝子を、元の配列と比較して改善されたプロセッシング及びエクスポートを有することが示されている(Lacadena J., et al. 1994)T7発現プラスミドpET22b(Novagen)の修飾OMPA(外膜タンパク質A)リーダーペプチドの下流にクローニングした。さらに、抗His抗体を使用する検出を可能とするため、またタンパク質精製において使用するため、6×Hisタグ(配列番号50)を上記タンパク質のC末端に遺伝子融合した。
【0257】
【表11】
【0258】
上記二重エピトープ変異体を発現するため、シャペロニンGroEL/Sを過剰発現するE.コリBL21株SHuffle(商標) T7 Express(NEB、カタログ番号C3029H)誘導体を使用した。野生型α−サルシン及びヌル突然変異体(α−サルシン−H137Q)をコードする発現プラスミドと共に、二重変異体をコードする発現プラスミドによって細菌を形質転換し、これらを播種した。単一のコロニーを選択し、2YTブロス中、37℃で終夜成長させた。翌日、終夜培養物を2YTブロスに1:20で希釈し、37℃での細菌成長をOD600の測定によりモニターした。IPTGを添加して最終濃度1mMを与えることによりOD600nm=1.0でタンパク質発現を誘導し、その後、遠心分離によって細胞を採取する前に培養物を20℃で終夜成長させた。50mlの培養物当たり、プロテアーゼ阻害剤(Roche、カタログ番号04693159001)を含むDnase I(Roche、カタログ番号04716728001)を含有する10mlのB−PER(Pierce、カタログ番号78248)試薬に細胞ペレットを再懸濁した。不溶性タンパク質を製造業のプロトコルに従って遠心分離により除去し、可溶性タンパク質をBio−Radタンパク質アッセイ(カタログ番号500−0006)を使用して定量した。タンパク質ゲルにウェスタンブロットを行い、抗His抗体(Sigma、カタログ番号A7058)を使用して発現されたタンパク質を検出した。ウェスタンブロットは、二重エピトープ変異体の発現されたタンパク質のかなりの割合が可溶性であったことを示した。図4。わずかな可溶性画分を伴うかなりの不溶性画分を示した変異体Y18K Y139D(pRCT02−058)が例外であった。図4
【0259】
活性を評価するため、先に述べたように可溶性物質をIVTTアッセイにおいて試験した。第1のウェルにおいて1ngの可溶性タンパク質抽出物から開始する4倍の希釈系列を行った後、250ngのT7ルシフェラーゼプラスミドを各反応物に添加する前に、IVTT試薬と共に30℃にて15分間予備インキュベートした。反応物を30℃で90分間インキュベートし、上記の通りSteady Glo(商標)試薬(Promega、カタログ番号E2510)を使用してルシフェラーゼ活性を測定した。二重突然変異体の多くが、顕著に多い量の可溶性物質の産生を伴って、野生型αサルシンと比較して増強された発現レベルを示した。二重エピトープ変異体粗抽出物における可溶性物質は、αサルシンH137Qと比較してIVTTアッセイにおいて著しくより活性であり、そのタンパク質が正しく折り畳まれたことを示唆する。図5。一部のバックグラウンド活性はαサルシンH137Qに由来する可溶性抽出物と関連したが、これは、α−サルシンH137Qタンパク質が精製されていないため、他の細菌宿主タンパク質を含有したという事実による可能性がある。
【0260】
要約すると、20のα−サルシンの二重エピトープ変異体をコードする遺伝子を作製し、クローニングし、IVTTアッセイにおいて試験した。もちろん、18の変異体はIVTTアッセイにおいて野生型αサルシンの2倍以内の活性を維持した。8つの選択された二重エピトープ変異体の発現及び活性を、発現ベクター中にクローニングした後にさらに分析した。野生型αサルシンと比較して、Y18K Y139D(pRCT02−058)以外の全ての変異体に対して可溶性タンパク質の発現が改善され、これら変異体の各々に由来する可溶性タンパク質を抽出して、IVTTアッセイにおいて活性であることを示した。
【0261】
実施例4−アルファサルシンの三重変異体及び四重変異体
以下の実施例は、1)サルシンエピトープ1に2つの突然変異とサルシンエピトープ2に1つの突然変異とを有するか、又はサルシンエピトープ1に1つの突然変異とサルシンエピトープ2に2つの突然変異を有する、いずれかのα−サルシンの三重変異体、及び2)サルシンエピトープ1に2つの突然変異とサルシンエピトープ2に2つの突然変異とを有するα−サルシンの四重変異体の設計及び構築を記載する。
【0262】
7つの三重変異体及び2つの四重変異体をα−サルシン−WT発現プラスミドpRCT02−001をテンプレートとして使用し、表12に詳述されるプラスミドを生じるPCRに基づく部位特異的突然変異誘発を適用することによって作製した。エピトープ変異体をT7発現プラスミドpET22b(Novagen、カタログ番号69744)のNdeI部位の下流にクローニングした。全てのコンストラクトをDNAシーケンシングにより確認した。
【0263】
【表12】
【0264】
三重変異体及び四重変異体の毒性活性を実施例3に記載されるように評価した。結果を図6に示し、上記表12に要約する。上記データは、9つのα−サルシンの三重変異体及び四重変異体のうち4つがルシフェラーゼ遺伝子(pRCT02−001)の翻訳を阻害する能力を維持したことを示した。
【0265】
タンパク質産生及び更なる分析のため、表13に示される4つの三重変異体を活性データ(表12に要約される)に基づいて選択した。表13に詳述される発現ベクターを作製するため、4つの選択された三重変異体をコードする遺伝子を、元の配列と比較して改善されたプロセッシング及びエクスポートを有することが示されている(Lacadena J., et al. 1994)T7発現プラスミドpET22b(Novagen)の修飾OMPA(外膜タンパク質A)リーダーペプチドの下流にクローニングした。さらに、抗His抗体を使用する検出を可能とするため、またタンパク質生成を支援するため6×Hisタグ(配列番号50)を上記タンパク質のC末端に遺伝子融合した。
【0266】
【表13】
【0267】
α−サルシンの三重変異体を実施例3の通り発現した。図7Aに示されるように、そのタンパク質ゲルにウェスタンブロットを行い、抗His抗体(Sigma、カタログ番号A7058)を使用して発現したタンパク質を検出した。図7Aは、三重変異体に対して発現されたタンパク質のかなりの割合が可溶性であったことを示す。全ての三重変異体によって産生された可溶性物質の量は、α−サルシン−WTに匹敵した。pRCT02−092及びpRCT02−093からのタンパク質発現は、pRCT02−090及びpRCT02−091から発現されるものよりも多いことがわかった。
【0268】
α−サルシンの三重変異体をバッチ精製するため、シャペロニンGroEL/Sを過剰発現するE.コリBL21株SHuffle(商標) T7 Express誘導体(NEB、カタログ番号C3029H)を使用した。α−サルシン−WT及びヌル突然変異体(αS−H137Q)をコードする発現プラスミドと共に、三重変異体をコードする発現プラスミドによって細菌を形質転換し、これらを播種した。単一のコロニーを選択し、2YTブロス中、37℃で終夜成長させた。翌日、終夜培養物を500mlの2YTブロスに1:20で希釈し、37℃での細菌成長をOD600の測定によりモニターした。IPTGを添加して最終濃度1mMを与えることによりOD600nm=1.0でタンパク質発現を誘導し、その後、遠心分離によって細胞を採取する前に培養物を20℃で終夜成長させ、−80℃で凍結した。プロテアーゼ阻害剤(Roche、カタログ番号04693159001)を含むDnase I(Roche、カタログ番号04716728001)を含有するB−PER(Pierce、カタログ番号78248)に細胞ペレットを再懸濁した。不溶性タンパク質を製造業のプロトコルに従って遠心分離により除去した。可溶性タンパク質を40mM Tris pH7.5、300mM NaCl、80mMイミダゾール中で2倍希釈し、20mM Tris pH7.5、300mM NaCl及び40mMイミダゾールに(結合バッファー)によって予め平衡化した1mlのNi−NTA−アガロース(Qiagen、カタログ番号1018244)の添加の前に遠心分離によって清澄にし、4℃で回転しながら終夜インキュベートした。結合していないタンパク質を遠心分離の後に結合バッファーによる10CV洗浄で除去した。その後、20mM Tris pH7.5、300mM NaCl、100mMイミダゾール(洗浄バッファー)による10CV洗浄で開始し、続いて20mM Tris pH7.5、300mM NaCl、400mMイミダゾール(溶離バッファー)による溶離で段階溶離を行った。溶離液に由来する1mlの画分を回収し、タンパク質ゲル上で流した。目的のタンパク質を含有する画分をプールし、緩衝液をPBS pH7.4に交換し、可溶性タンパク質をBio-Radのタンパク質アッセイ(カタログ番号500−0006)を使用して定量した。その後、全てのタンパク質を還元SDS−PAGEによって分析した。1μgの各試料をNuPage4%〜12%Bis−Trisゲル(Invitrogen、カタログ番号NP0322BOX)上にのせ、200Vで35分間流した。図7B
【0269】
精製した三重変異体の活性を評価するため、上述のIVTTアッセイを一部修正して行った。簡潔には250ngのT7ルシフェラーゼプラスミドを各反応物に添加する前に、5ngの精製タンパク質、及びその10倍希釈物をリボソームと共に30℃で15分間予備インキュベートした。その反応物を30℃で90分間インキュベートし、ルシフェラーゼ活性を上記の通りSteady Glo(商標)試薬を使用して測定した。図8に示されるように、全ての変異体は、野生型α−サルシンに匹敵する活性を維持した。
【0270】
標的としてTリンパ芽球細胞株Jurkatを使用して細胞の細胞毒性アッセイにおいて精製タンパク質の細胞毒性活性を測定した。簡潔には、対数増殖期のJurkat細胞を1.25×10細胞/mlまで希釈し、50μlを96ウェルのホワイトウォール組織培養プレート(Corning、カタログ番号3610)の各ウェルに分配した。各試験試料の7点の5倍希釈系列を含む希釈プレートを調製し、50μlの各希釈系列をJurkat細胞に直接移した。その後、Jurkat細胞プレートをインキュベータに戻し、更に72時間置いた。インキュベーションの後、プレートを室温で10分間平衡化した。100μlのCell TiterGlo(商標)試薬(Promega、カタログ番号G7571)を各ウェルに添加することによってプレートを展開し、FluoStar Optimaプレートリーダー(BMG Labtech)を使用して1秒の発光読取りを撮った。
【0271】
精製した三重変異体を使用して、効率的なJurkat細胞の殺傷が全ての変異体により観察され(図9)、そのタンパク質が細胞膜を越えて移行し、α−サルシン−WTと同様にタンパク質合成を阻害することを示した。
【0272】
要約すると、7つの三重変異体及び2つの二重変異体を作製し、IVTTアッセイにおいて試験した。これらのデータは、三重変異体のうち4つがルシフェラーゼレポーター遺伝子の翻訳を阻害する能力を維持したことを示した。これらの変異体は各々、エピトープ1に1つの突然変異、及びエピトープ2に2つの突然変異を含んだ。2つの突然変異を各エピトープに含む四重変異体と同様、エピトープ1に2つの突然変異及びエピトープ2に1つの突然変異を含む変異体は全て、IVTTアッセイにおいて活性の欠陥を有することが示された。活性を維持した4つの三重変異体を更に分析して発現及び活性を評価した。これらの三重変異体に由来する著しいレベルのタンパク質は可溶性であり、精製タンパク質はIVTTアッセイ、また細胞の細胞毒性アッセイにおいて活性であることが示された。
【0273】
実施例5−A−サルシンのエピトープ変異体の免疫原性試験
以下の実施例は、EpiScreen(商標)全タンパク質タイムコースT細胞アッセイを使用する最適化されたエピトープ変異体の免疫原性試験を記載する。
【0274】
免疫原性の評価のため、同定されたリード及びバックアップの最適化されたα−サルシン毒素エピトープ変異体(上記を参照されたい)を発現し(ヌル突然変異体として)、精製し、減少した免疫原性の危険性を確認するためEpiScreen(商標)全タンパク質タイムコースT細胞アッセイにおいて精製した野生型(ヌル突然変異体)α−サルシン毒素と比較した。
【0275】
選択された健康なドナーに由来するCD8+T細胞枯渇PBMCのバルク培養を野生型及び最適化変異体α−サルシン毒素の存在下で確立する。増殖(3H−チミジン取り込み)及びIL−2サイトカイン分泌(ELISpotアッセイ)によってT細胞活性化の評価を行いながら5日目〜8日目にTブラストのアリコートをバルク培養から除去する。
【0276】
20のHLA型の健康なドナーに由来するバフィコートを使用して生理学的レベルのAPC及びCD4+T細胞を含有するPBMCを単離する。MHCクラスI制限T細胞応答の検出を排除するためCD8+T細胞を枯渇させる;各ドナーをキーホールリンペットヘモシアニン(有力なネオ抗原)又は破傷風トキソイド(リコール抗原)を含む再現性制御抗原(reproducibility control antigens)に対して試験する;その後、α−サルシン毒素特異的T細胞活性化を増殖(3H−チミジン取り込み)及びIL−2分泌(ELISpot)により特定する;統計学的分析及び頻度の分析を含む追加の情報によって支持される以前に確認されたアッセイパラメーターを使用してデータを分析し、それにより2.0超の刺激指数(SI)の応答を陽性と採点する;最適化されたα−サルシン変異体に関するデータを野生型α−サルシン毒素と比較する。これは、野生型と比較した最適化α−サルシン変異体の免疫原性の相対的なリスクの評価のため提供される;最適化α−サルシン変異体に関する免疫原性データを、臨床段階の抗体及び既知の免疫原性を有するタンパク質の範囲に関するベンチマークEpiScreen(商標)データとも比較する。これは、リード及びバックアップの最適化α−サルシン変異体に関する臨床免疫原性のリスクの評価のため提供される。ドナーMHCクラスIIアロタイプとリード及びバックアップの最適化α−サルシン変異体に対するT細胞応答との間の任意の関連により評価を構成する。
【0277】
以下の米国特許、すなわち、米国特許第7,750,136号、米国特許第8,252,897号、米国特許出願公開第2007/0178082号、米国特許出願公開第2007/0135620号の開示は、その全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0278】
本明細書に記載されるものに加えて、上述の記載より本発明の様々な修飾が当業者に明らかであろう。また、かかる修飾は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。本出願において引用される各参照は、その全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0279】
本発明の好ましい実施形態を示し、説明したが、当業者であれば本発明の範囲を超えない修飾がそれらに対して行われ得ることをすぐに理解するであろう。
【0280】
追加の開示:
【0281】
以下の開示は特許請求の範囲ではない。
【0282】
追加の実施形態−修飾リアルサルシン1エピトープ
【0283】
1.修飾α−サルシンT細胞エピトープであって、その修飾T細胞エピトープがXKNPKTNKY(配列番号44)(ここで、XはQ又はDQである)のアミノ酸配列を有する野生型T細胞エピトープの1又は複数のアミノ酸置換を含み、上記修飾T細胞エピトープが野生型T細胞エピトープと比較してヒトMHCクラスII分子に対して減少した結合を有する、修飾α−サルシンT細胞エピトープ。
【0284】
2.上記修飾T細胞エピトープが、QKNPKTNKY(配列番号5)のアミノ酸配列を有する野生型T細胞エピトープのP1、P4、P6、P7、若しくはP9のMHCクラスIIアンカー残基の1若しくは複数において、又はDQKNPKTNKY(配列番号6)のアミノ酸配列を有する野生型T細胞エピトープのP1、P1、P4、P6、P7、若しくはP9のMHCクラスIIアンカー残基の1若しくは複数において修飾される、請求項1に記載の修飾α−サルシンT細胞エピトープ。
【0285】
3.上記修飾T細胞エピトープがXNXKXKX(ここで、XがQ、K、R、又はAであり、XがK又はLであり、XがP又はIであり、XがT、G、Q、又はHであり、XがN、R、K又はAであり、XがY、H、K、R、又はWである)のアミノ酸配列(配列番号8)を有するか、又は上記修飾T細胞エピトープがXNXKXKX(ここで、XがD、A、又はTであり、XがQ、K、R又はAであり、XがK又はLであり、XがP又はIであり、XがT、G、Q、又はHであり、XがN、R、K又はAであり、XがY、H、K、R、又はWである)のアミノ酸配列(配列番号9)を有する、請求項2に記載の修飾α−サルシンT細胞エピトープ。
【0286】
4.上記修飾T細胞エピトープが配列番号5のP1(Q)及びP7(N)又はP9(Y)のアンカー残基において修飾される、請求項2に記載の修飾α−サルシンT細胞エピトープ。
【0287】
5.上記修飾T細胞エピトープが配列番号5のP7(N)及びP1(Q)又はP9(Y)のアンカー残基において修飾される、請求項2に記載の修飾α−サルシンT細胞エピトープ。
【0288】
6.上記修飾T細胞エピトープが配列番号5のP9(Y)及びP7(N)又はP1(Q)のアンカー残基において修飾される、請求項2に記載の修飾α−サルシンT細胞エピトープ。
【0289】
追加の実施形態−修飾リアルサルシン2エピトープ
【0290】
1.修飾α−サルシンT細胞エピトープであって、その修飾T細胞エピトープがIIAHTKENQ(配列番号4)のアミノ酸配列を有する野生型T細胞エピトープの1又は複数のアミノ酸置換を含み、上記修飾T細胞エピトープが野生型T細胞エピトープと比較して減少したT細胞応答を誘発する、修飾α−サルシンT細胞エピトープ。
【0291】
2.修飾α−サルシンT細胞エピトープであって、その修飾T細胞エピトープがIIAHTKENQ(配列番号4)のアミノ酸配列を有する野生型T細胞エピトープのP1、P6、P7、又はP9のMHCクラスIIアンカー残基の1又は複数において修飾される、修飾α−サルシンT細胞エピトープ。
【0292】
3.上記修飾T細胞エピトープがXAHXNX(ここで、XがI又はAであり、XがI又はVであり、XがT又はQであり、XがK、D、E、G、Q、H、又はNであり、XがE又はDであり、XがQ、D、N、T、E、R、又はGである)のアミノ酸配列(配列番号11)を有する、請求項2に記載の修飾α−サルシンT細胞エピトープ。
【0293】
4.上記修飾T細胞エピトープが配列番号4のP6(K)及びP9(Q)のアンカー残基において修飾される、請求項2に記載の修飾α−サルシンT細胞エピトープ。
【0294】
追加の実施形態−修飾サルシン分子
1.修飾サルシン分子又はそのフラグメントであって、配列番号1に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含み、XKNPKTNKY(配列番号44)(ここで、XはQ又はDQである)、及びIIAHTKENQ(配列番号4)から選択される配列における少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む少なくとも1つの修飾T細胞エピトープコアを含み、上記修飾サルシン分子又はそのフラグメントがタンパク質合成を阻害し、野生型α−サルシン(配列番号1)と比較して減少したT細胞応答を誘発する、修飾サルシン分子又はそのフラグメント。
【0295】
2.上記修飾サルシン分子が野生型α−サルシン(配列番号1)のD9、Q10、P13、T15、N16、又はY18の1又は複数において少なくとも1つの第1の突然変異を含む、実施形態1に記載の修飾サルシン分子。
【0296】
3.上記修飾サルシン分子が野生型α−サルシン(配列番号1)のI134、K139、E140、又はQ142の1又は複数において少なくとも1つの第1の突然変異を含む、実施形態1に記載の修飾サルシン分子。
【0297】
4.上記修飾サルシン分子が野生型α−サルシン(配列番号1)のD9、Q10、P13、T15、N16、又はY18の1又は複数において少なくとも1つの第1の突然変異を含み、野生型α−サルシン(配列番号1)のI134、K139、E140、又はQ142の1又は複数において少なくとも1つの第2の突然変異を含む、実施形態1の修飾サルシン分子。
【0298】
5.実施形態1の修飾サルシン分子と、薬学的に許容可能な賦形剤又は担体とを含む組成物。
【0299】
6.少なくとも1つの細胞結合リガンドを更に含む、実施形態1に記載の修飾サルシン分子。
【0300】
7.上記細胞結合リガンドが抗体若しくはその抗体結合フラグメント、サイトカイン、ポリペプチド、ホルモン、成長因子、又はインスリンである、実施形態6に記載の修飾サルシン分子。
【0301】
8.上記サイトカインがIL−2又はIL−5である、実施形態7に記載の修飾サルシン分子。
【0302】
9.上記抗体がモノクローナル、ポリクローナル、ヒト化、遺伝子改変されている、又はグラフトされている、実施形態7に記載の修飾サルシン分子。
【0303】
10.上記抗原結合フラグメントが、Fab、Fab2、F(ab’)2、ScFv、(ScFv)2、単鎖結合ポリペプチド、VH、又はVLである、実施形態7に記載の修飾サルシン分子。
【0304】
11.実施形態6の修飾サルシン分子と、薬学的に許容可能な賦形剤又は担体とを含む組成物。
【0305】
12.野生型アルファサルシン(配列番号1)と比較して減少したT細胞応答を誘発する修飾サルシンタンパク質であって、その修飾サルシンタンパク質のアミノ酸配列が、
AVTWTCLNX KNXKXKXET KRLLYNQNKA ESNSHHAPLS DGKTGSSYPH WFTNGYDGDG KLPKGRTPIK FGKSDCDRPP KHSKDGNGKT DHYLLEFPTF PDGHDYKFDS KKPKENPGPA RVIYTYPNKV FCGXIAHTX NX10GELKLCSH
(ここで、修飾サルシンタンパク質のアミノ酸配列が野生型サルシンタンパク質(配列番号1)と同一でない限り、X〜X10は任意のアミノ酸でもよい(配列番号12))
を含む、修飾サルシンタンパク質。
【0306】
13.XがD、A、又はTであり、XがQ、K、R、又はAであり、XがP又はIであり、XがT、G、Q、又はHであり、XがN、R、K、又はAであり、XがY、H、K、又はRであり、XがI又はAであり、XがK、D、E、G、Q、H、又はNであり、XがE又はDであり、X10がQ、D、N、T、E、R、又はGである(配列番号13)、実施形態12に記載の修飾サルシンタンパク質。
【0307】
14.少なくとも1つの修飾T細胞エピトープを含む修飾サルシンタンパク質又はそのフラグメントであって、その少なくとも1つの修飾T細胞エピトープが配列番号1のポリペプチドと比較して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、上記修飾サルシンタンパク質又はそのフラグメントが野生型アルファサルシン(配列番号1)と比較して減少したT細胞応答を誘発する、修飾サルシンタンパク質又はそのフラグメント。
【0308】
追加の実施形態−修飾サルシンをコードする核酸
【0309】
1.修飾サルシンタンパク質をコードする核酸であって、その修飾サルシンタンパク質が野生型サルシンタンパク質(配列番号1)と比較して減少した免疫応答を誘発する性質を有し、上記修飾サルシンタンパク質のアミノ酸配列が、
AVTWTCLNX KNXKXKXET KRLLYNQNKA ESNSHHAPLS DGKTGSSYPH WFTNGYDGDG KLPKGRTPIK FGKSDCDRPP KHSKDGNGKT DHYLLEFPTF PDGHDYKFDS KKPKENPGPA RVIYTYPNKV FCGXIAHTX NX10GELKLCSH
(ここで、修飾サルシンタンパク質のアミノ酸配列が野生型サルシンタンパク質(配列番号1)と同一でない限り、X〜X10は任意のアミノ酸であってもよい(配列番号12))
を含む、修飾サルシンタンパク質をコードする核酸。
【0310】
1.1.上記修飾サルシンタンパク質がリボソームに対してタンパク質合成を阻害する、実施形態1に記載の修飾サルシンタンパク質をコードする核酸。
【0311】
2.XがD、A、又はTであり、XがQ、K、R、又はAであり、XがP又はIであり、XがT、G、Q、又はHであり、XがN、R、K、又はAであり、XがY、H、K、又はRであり、XがI又はAであり、XがK、D、E、G、Q、H、又はNであり、XがE又はDであり、X10がQ、D、N、T、E、R、又はGである(配列番号13)、実施形態1に記載の修飾サルシンタンパク質をコードする核酸。
【0312】
3.上記免疫応答がT細胞活性である、実施形態1に記載の修飾サルシンタンパク質をコードする核酸。
【0313】
4.(a)標的部分をコードする核酸であって、(b)実施形態1に記載の修飾サルシンタンパク質をコードする核酸に付着している核酸を含む、細胞毒素をコードする核酸。
【0314】
5.(a)標的に結合するリガンドをコードする核酸であって、(b)実施形態1に記載の修飾サルシンタンパク質をコードする核酸に付着している核酸を含む、細胞毒素をコードする核酸。
【0315】
6.上記リガンドが上記標的に結合する抗体又は抗体フラグメントである、実施形態5に記載の細胞毒素をコードする核酸。
【0316】
7.上記抗体又は抗体フラグメントが癌細胞の表面上のEp−CAMに結合する、実施形態6に記載の細胞毒素をコードする核酸。
【0317】
8.Ep−CAMに結合する上記抗体又は抗体フラグメントがヒトEp−CAMの細胞外ドメインに結合するヒト化抗体又は抗体フラグメントであり、MOC−31抗体に由来する相補性決定領域配列を含む、実施形態7に記載の細胞毒素をコードする核酸。
【0318】
9.上記修飾サルシンタンパク質に付着した癌結合リガンドの可変領域が4D5MOCBである、実施形態7に記載の細胞毒素をコードする核酸。
【0319】
10.上記抗体又は抗体フラグメントが上記癌細胞の表面上の腫瘍関連抗原に結合する、実施形態6に記載の細胞毒素をコードする核酸。
【0320】
追加の実施形態−融合タンパク質
1.リボトキシン融合タンパク質であって、
(a)野生型α−サルシンと比較してヒトにおいて低減された免疫原性を有する修飾サルシン分子と、
(b)上記修飾サルシン分子に連結された標的分子であって、標的を結合するのに有効である標的分子と、
を含む、リボトキシン融合タンパク質。
【0321】
2.上記標的分子が上記修飾サルシン分子のN末端に連結される、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0322】
3.上記標的分子が上記修飾サルシン分子のC末端に連結される、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0323】
4.上記標的分子が上記修飾サルシン分子内に組み込まれる、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0324】
5.上記標的分子及び修飾サルシン分子がリンカーを介して連結される、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0325】
5.1.上記リンカーがアミノ酸又はペプチドを含む、実施形態5に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0326】
6.上記リンカーが1〜20のアミノ酸長である、実施形態5に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0327】
7.上記リンカーが3〜20のアミノ酸長である、実施形態5に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0328】
8.上記リンカーが4〜30のアミノ酸長である、実施形態5に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0329】
9.上記リンカーが分離したポリエチレングリコール(dPEG)を含む、実施形態5に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0330】
9.1.上記dPEGが修飾サルシン分子のセリン、チロシン、システイン、若しくはリシンの1つ、又は上記修飾サルシン分子のグリコシル化部位のいずれかにおいて上記修飾サルシン分子に連結される、実施形態9に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0331】
9.2.上記dPEGが上記標的分子のセリン、チロシン、システイン、若しくはリシンの1つ、又は上記標的分子のグリコシル化部位のいずれかにおいて上記標的分子に連結される、実施形態9に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0332】
9.3.上記dPEGが約200〜10000ダルトンである、実施形態9に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0333】
9.4.上記分岐したdPEG分子が上記標的分子に連結される、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0334】
9.5.1〜12のサルシン分子が分岐したdPEG分子の1又は複数の分岐に付着される、実施形態9.3に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0335】
10.上記標的分子がペプチドを含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0336】
11.上記標的分子が、抗体、抗体フラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、ナノボディ、アブジュリン、CH2ドメイン分子、CH2ドメインフラグメント、CH3ドメイン分子、CH3ドメインフラグメント、タンパク質スキャフォルド、ホルモン、受容体結合ペプチド、又はそれらの組合せを含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0337】
11.01.上記標的分子がHer2受容体、PMSA、ヌクレオリン、又は細胞死受容体を標的とする、実施形態11に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0338】
11.02.上記細胞死受容体がFas受容体又は腫瘍壊死因子受容体である、実施形態11.01に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0339】
11.1.上記標的分子が結合部分を含み、その結合部分がVHドメイン、VLドメイン、ラクダ科VHHドメイン、フィブロネクチンの第10のIII型ドメイン、設計されたアンキリンリピートタンパク質、セントリンスキャフォルド、ペプチドリガンド、タンパク質リガンド、受容体、ホルモン、酵素、サイトカイン、小分子、それらのフラグメント、又はそれらの組合せを含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0340】
12.上記標的分子が抗原結合領域を含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0341】
13.上記標的分子が約20kDa未満の分子量を有するCH2ドメイン分子である、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0342】
14.上記標的分子が少なくとも1つの機能性FcRn結合部位を含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0343】
15.上記融合タンパク質が単一特異性分子である、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0344】
16.上記融合タンパク質が二重特異性分子である、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0345】
17.上記融合タンパク質が三重特異性分子である、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0346】
18.上記標的分子が第1のエピトープに特異的な少なくとも1つの第1のパラトープを含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0347】
19.上記標的分子が各々第1のエピトープに特異的な少なくとも2つの第1のパラトープを含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0348】
20.上記標的分子が第1のエピトープに特異的な第1のパラトープ、及び第2のエピトープに特異的な第2のパラトープを含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0349】
21.上記標的分子又は上記修飾サルシン分子のいずれかに連結された第2の標的分子を更に含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0350】
21A.少なくとも1つの追加の標的分子を更に含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0351】
22.上記第2の標的分子が、上記修飾サルシン分子のN末端に連結され、その標的分子が上記修飾サルシン分子のC末端に連結される、実施形態21に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0352】
23.上記第2の標的分子が、上記修飾サルシン分子のC末端に連結され、その標的分子が上記修飾サルシン分子のN末端に連結される、実施形態21に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0353】
24.上記第2の標的分子が第1のエピトープに特異的な第1のパラトープを含む、実施形態21に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0354】
25.上記第2の標的分子が第2のエピトープに特異的な第2のパラトープを含む、実施形態21に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0355】
26.上記標的分子が第1のエピトープに特異的な第3のパラトープ又は第3のエピトープに特異的な第4のパラトープを含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0356】
27.第2の修飾サルシン分子を更に含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0357】
27A.少なくとも1つの追加の修飾サルシン分子を更に含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0358】
28.上記第2の修飾サルシン分子が上記修飾サルシン分子に連結される、実施形態27に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0359】
29.上記第2の修飾サルシン分子が上記修飾サルシン分子に連結される、実施形態27に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0360】
29.1上記リボトキシン融合タンパク質が上記標的分子へと上記修飾サルシン分子を連結する切断可能なリンカーを含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0361】
29.2上記切断可能なリンカーが細胞基質において切断され得る、実施形態29.1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0362】
29.3上記切断可能なリンカーがエンドソームにおいて切断され得る、実施形態29.1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0363】
29.4上記切断可能なリンカーが血清中で切断されない、実施形態29.1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0364】
30.上記第2の修飾サルシン分子が、上記修飾サルシン分子又は標的分子にリンカーを介して連結される、実施形態27に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0365】
31.上記リンカーが分離したポリエチレングリコール(dPEG)を含む、実施形態30に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0366】
32.上記dPEGが修飾サルシン分子のセリン、チロシン、システイン、若しくはリシンの1つ、又は上記修飾サルシン分子のグリコシル化部位のいずれかにおいて上記修飾サルシン分子に連結される、実施形態31に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0367】
33.上記dPEGが上記標的分子のセリン、チロシン、システイン、若しくはリシンの1つ、又は上記標的分子のグリコシル化部位のいずれかにおいて上記標的分子に連結される、実施形態31に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0368】
34.上記dPEGが約200ダルトン〜10000ダルトンである、実施形態31に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0369】
35.薬学的担体を更に含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0370】
36.画像化試薬、放射性同位体、薬物、免疫複合体、又はそれらの組合せを更に含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0371】
37.上記画像化試薬、放射性同位体、薬物、又は免疫複合体が上記修飾サルシン分子に連結される、実施形態36に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0372】
38.上記画像化試薬、放射性同位体、薬物、又は免疫複合体が上記標的分子に連結される、実施形態36に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0373】
39.上記標的が受容体を含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0374】
40.上記標的が、細胞、腫瘍細胞、免疫細胞、タンパク質、ペプチド、分子、細菌、ウイルス、原生生物、真菌、又はその組合せを含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0375】
41.第2の標的分子を更に含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0376】
42.第3の標的分子を更に含む、実施形態41に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0377】
43.第4の標的分子を更に含む、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0378】
44A.上記融合タンパク質が野生型α−サルシンと比較して増加した細胞透過性を有する、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0379】
44B.上記融合タンパク質が標的分子単独と比較して増加した細胞透過性を有する、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0380】
44C.上記融合タンパク質が修飾サルシン分子単独と比較して増加した細胞透過性を有する、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0381】
44D.上記融合タンパク質が野生型α−サルシンと比較して細胞透過性を増加するように修飾される、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0382】
44E.上記融合タンパク質が標的分子単独と比較して細胞透過性を増加するように修飾される、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0383】
44F.上記融合タンパク質が修飾サルシン分子単独と比較して細胞透過性を増加するように修飾される、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0384】
45A.上記融合タンパク質が野生型α−サルシンと比較して増加した細胞保持を有する、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0385】
45B.上記融合タンパク質が標的分子単独と比較して増加した細胞保持を有する、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0386】
45C.上記融合タンパク質が修飾サルシン分子単独と比較して増加した細胞保持を有する、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0387】
45D.上記融合タンパク質が野生型α−サルシンと比較して細胞保持を増加するように修飾される、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0388】
45E.上記融合タンパク質が標的分子単独と比較して細胞保持を増加するように修飾される、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0389】
45F.上記融合タンパク質が修飾サルシン分子単独と比較して細胞保持を増加するように修飾される、実施形態1に記載のリボトキシン融合タンパク質。
【0390】
46.発現系において発現される実施形態1に記載の修飾サルシン分子。
【0391】
47.上記発現系がE.コリ発現系又はピキア・パストリス発現系である、実施形態46に記載の修飾サルシン分子。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]