(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203376
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】溶融プラントにおいて金属材料を溶融させる方法およびその溶融プラント
(51)【国際特許分類】
C21C 5/52 20060101AFI20170914BHJP
F27B 3/08 20060101ALI20170914BHJP
F27B 3/18 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
C21C5/52
F27B3/08
F27B3/18
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-509586(P2016-509586)
(86)(22)【出願日】2014年4月23日
(65)【公表番号】特表2016-521317(P2016-521317A)
(43)【公表日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】IB2014060942
(87)【国際公開番号】WO2014174463
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】UD2013A000052
(32)【優先日】2013年4月23日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】510152666
【氏名又は名称】ダニエリ アンド シー.オフィス メカニケ エスピーエー
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
(74)【代理人】
【識別番号】100117042
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 正志
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレミン ベルナルド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルム ウーベ
(72)【発明者】
【氏名】ナーホルツ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】リガ エンリコ
【審査官】
國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−286208(JP,A)
【文献】
特開昭57−120083(JP,A)
【文献】
米国特許第05654976(US,A)
【文献】
実開平05−027591(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 1/00− 3/00
C21C 5/02− 5/06
C21C 5/52− 5/56
C22B 1/00−61/00
F27B 1/00− 3/28
F27D 3/00− 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料が導入されるシェル(13)を有した少なくとも1つの電気炉(11)と、前記金属材料(S)を前記シェル(13)に装荷する供給手段(12)とを備えた、溶融プラントの金属材料(S)を装荷および溶融するための方法であって、
前記装荷および溶融する方法は、
前記供給手段(12)によって前記金属材料(S)を前記シェル(13)に装荷するステップと、
前記金属材料(S)を溶融させる装荷および溶融する溶融ステップと、
溶融金属材料が出湯される出湯ステップとを、少なくとも含み、
前記装荷ステップの間、少なくとも、出湯の前に前記炉に含まれており、溶融サイクルの終わりに出湯される溶融した材料の全体量の25%〜45%の固体材料の最初の蓄積物(30)を前記シェル(13)内部で生成するように、前記金属材料(S)を、前記シェル(13)内部に装荷する第1の装荷サブステップ(31)と、
少なくとも、次の第2の装荷および溶融サブステップ(32)であって、徐々に形成されるメタルバス内部で、前記最初の蓄積物(30)を定める前記金属材料(S)の量と実質的に等しい、前記金属材料(S)の固体の量を保持するために、
前記第2の装荷および溶融サブステップにおいて電気炉(11)に装入される金属材料の供給量(Q)が、溶融される金属材料の量に実質的に対応するよう、制御デバイス(27)によって、シェル(13)におろされる前記金属材料(S)の供給量(Q)を減少させる、第2の装荷および溶融サブステップ(32)と、
炉に存在する全ての金属材料を完全に溶融させ、全ての固体塊が溶融すると出湯ステップを実行するために、装荷プロセスが止まるまで、供給量を更に減少させる第3のサブステップ(33)と、が設けられていることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも前記第1の装荷サブステップ(31)と前記第2の装荷および溶融サブステップ(32)との間および/またはこれらのサブステップの際に、
燃焼型補助加熱エネルギー供給手段(20)によって、補助熱エネルギーが供給されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補助加熱エネルギー供給手段(20)が、前記蓄積物(30)を加熱するために、固体材料(S)の前記蓄積物(30)近くに配置されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記蓄積物(30)を決定する金属材料の前記量が、出湯される液体金属の全体の量の30%〜40%であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の装荷サブステップ(31)の供給量(Q)が50(kg/min)/MW〜150(kg/min)/MWであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の装荷および溶融サブステップ(32)の供給量(Q)が実質的に一定であり、75(kg/min)/MW〜85(kg/min)/MWであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記出湯ステップの直後に、前記金属材料(S)を前記シェル(13)におろす前記ステップが行われることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記供給手段(12)が前記シェル(13)の側部かつ、上方に配置され、そして、前記供給手段(12)の供給が行われる高さに近い高さに移動するよう、蓄積物(30)の前記金属材料の塊を配置することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記出湯ステップの間に、前記溶融材料は、内部に次の溶融ステップのために液体材料の一定のレベル(H)を残して、前記シェル(13)から出され、前記レベル(H)を定める液体材料の量が液体金属の全体量の10%〜25%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
金属材料が導入されるシェル(13)を有する電気炉(11)と、前記金属材料(S)を前記シェル(13)に装荷する供給手段(12)を備えた、請求項1記載の方法により金属材料(S)を溶融するためのプラントであって、
前記プラントは、
前記シェル(13)内部の固体材料の最初の蓄積物(30)をまず決定し、その後、徐々に形成されるメタルバス内部で、前記最初の蓄積物(30)を定める金属材料(S)の量に実質的に等しい前記金属材料(S)の固体塊の量を維持するために、
前記供給手段(12)の供給量Qを調整する制御デバイス(27)をさらに備え、
前記炉はまた、前記シェル(13)を覆うための前記炉とは分離する被覆要素(15)と、前記シェル(13)と前記被覆要素(15)との間に配置されるパネル(22)とを備え、
前記パネル(22)には前記供給手段(12)が配置可能な開口(17)が設けられており、
前記シェル(13)は深さ(D)を有し、
前記開口(17)は、前記シェル(13)の深さ(D)の0.3〜3倍の所定の高さ(F)だけ、パネル(22)の下部端(28)から距離をおいて作られる、プラント。
【請求項11】
補助加熱エネルギー供給手段(20)が、少なくとも固体材料の前記蓄積(30)を加熱するために、前記シェル(13)と連動されていることを特徴とする請求項10に記載のプラント。
【請求項12】
前記補助加熱エネルギー供給手段(20)が前記金属材料(S)をおろす区域の近くであり、出湯の前に達する液体金属のレベルより少し高い位置に配置されることを特徴とする、請求項11に記載のプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク溶融炉に対して、スクラップ等の金属装入物および非鉄材料を供給する手段を備える溶融プラントの金属材料を溶融させる方法に関する。本発明はまた、この方法を採用する溶融プラントにも関する。
【0002】
本発明は、実質的に連続して装荷を行い、金属装入物を溶融させる方法に適用される。
【背景技術】
【0003】
金属装入物を供給する手段に連動するアーク炉を備え、連続装荷するタイプの金属材料の溶融のためのプラントは既知であり、それは、電気炉の壁またはケーシングに作られた側面の開口部を介して金属装入物が供給される。
【0004】
電気炉は、少なくとも容器またはシェル(側面に開口部が通常作られる)と、上を覆う天井を備える。電極は、天井の孔を介して配置されおよび/または導かれる。
【0005】
連続供給手段は、装入物を前方に進める振動タイプであり、そして一方の電気炉と、もう一方のスクラップ装荷システムとを連動させるものである。
【0006】
上記供給手段は、例えば炉内部の金属装入物の分布が、等しく、規則的に、そして均一になるように上記供給手段を炉内の異なる場所に移動させる移動手段と連動することも可能である。
特に、供給手段の端部は、例えばスクラップの連続装荷の際には炉の内壁と面一に配置され、そして、例えば出湯ステップの際には、液体金属を出湯するように炉が傾けられるが、相互の干渉問題を防ぐためにそこから遠ざけるという解決策が公知である。
【0007】
炉へ、稼働開始時の最初の装荷を行うために、連続装荷タイプでは、サイクルの開始時に炉の底部に多くの金属材料を溶融させるために、バスケットを使用して装荷するシステムが通常用いられることが知られている。この固体塊が完全に溶融すると、供給手段が配置され、そして、スクラップを炉に装荷する連続工程が開始される。通常、バスケットを用いた材料の導入量に関しては、いわゆる「ホットヒール(hot heel)」(すなわち、出湯の後も、常に容器またはシェルに保たれる液体金属の量)を定める必要がある。
【0008】
連続して装荷を行う従来の方法では、ホットヒール(hot heel)の材料の量は、出湯の前に炉に含まれる液体金属の約50%とすることが知られている。これにより、出湯後に溶融ステップを素早く開始させることが可能となるが、炉の内壁に内張した耐火材に、広範囲にわたって磨耗が生じるのが難点である。
【0009】
鋳造から次の鋳造までの間の時間は、タップツータップ「tap−to−tap」と呼ばれることが知られている。タップツータップ時間において、電力が供給されるステップ(以降「電源オン」状態とする)、および、電力が供給されない非運転ステップ(「電源オフ」状態とする)が設けられている。これらのステップは、炉に材料を積み降ろすモードと相関している。
【0010】
内部の金属装入物の量は、通常、電気炉内部のスクラップの溶融の程度と相関している。
【0011】
特に、従来より用いられている既存技術について、
図1のグラフに示すように、装荷される固体塊の量は、溶融する固体材料の量に実質的に等しくなる。このように、液体内には、各状態において、溶融する固体塊が少量存在する。
【0012】
溶鋼のバスは、1560℃以上の温度に保たれる。
【0013】
出湯ステップの前に、溶鋼のバスは、次の出湯作業を可能にするために1600℃〜1650℃の温度に設定される。このような温度では、溶鋼は、内在する高濃度酸素による高い反応性、および内部で起こる大きな対流による激しい乱流を有する。
【0014】
これら2つのパラメータにより、電気炉の耐火性の壁に大きな摩耗が生じ、結果として頻繁な保守の介入が必要とされ、そしてライニング(内張)の耐久期間を縮める。
【0015】
鋼のバス内部に酸素と反応する反応物質を加える「キリング」方法(すなわち脱酸)により、溶鋼の反応性は低くなる。
【0016】
化学反応を完了させるために、鋼のバス内部の反応物質の導入には、一定の反応時間が必要となる。この時間間隔の間に、炉の耐火壁の浸食および腐食が進む。
【0017】
溶鋼を維持する高温は、指数的に化学反応を進行させるが、炉を覆う耐火物が大幅に劣化するという難点がある。
【0018】
また、炉の壁に配置され、そして、炉に導入されるスクラップの装入物を加熱する、補助エネルギー供給手段(例えば可燃性のガスバーナ等)を使用することも知られている。
【0019】
高速で酸素を注入し、スラグ層を貫通し、溶融金属まで入り込み、そして、鉄の合金の酸化発熱反応により、バスへの熱エネルギー供給を増加させるため、エネルギー供給手段を適切に配置することも可能である。
【0020】
しかしながら、エネルギー供給手段は、例えば非常に高い温度、スラグおよび/または溶融金属のはねといった、悪化を招く要因に対して、エネルギー供給手段の損傷を防止するために、メタルバス(金属槽)から一定の距離をおいて配置されなければならない。これは、効率が損なわれることを意味する。
【0021】
さらにまた、エネルギー供給手段の炎は、平坦なバスで機能するプロセスと連動するとき、非常に収率が低くなる。さらに、大きな乱流を伴う炎の作用により、スラグで保護されるバスの表面で、溶融の間の正しい冶金の実行を変えることがある。
【0022】
サブマージドアーク炉の鉄のくず鉄を溶融させる方法を開示する。サブマージドアークを伴う技術において、アークは、電極とバスとの間で起こるが、電極と金属装入物間では起こらない(上述の炉において起こる)。
さらに、サブマージドアークを有する炉は、酸化物または鉄合金(鋼以外)を得るためにのみ用いられる(特許文献1)。
さらに、米国特許第5654976号は、耐火物の摩耗を減らすためのいかなる手段も提供せず、いずれにせよ、全く異なったアプローチが必要になる。なぜなら、上述のとおり、サブマージドアークを使用する技術は、「覆いのない」アークの技術と全く異なる要件が必要となるからである。
【0023】
米国特許第6693948号は、溶融する鋼を出湯した後でさえ、炉および予熱シャフトに、ある量の装入物を保持するような、冷鉄源をアーク溶融するための装置および方法を開示する特許文献2。しかしながら、この特許で開示される解決策には、スクラップからなる低温の装入物が、溶鋼の出湯の間も保持されるという難点がある。このことは、スクラップを伴う溶鋼を汚染するという欠点を有し、溶融物の慎重な冶金の制御が実効できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許第5654976号
【特許文献2】米国特許第6693948号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の1つの目的は、効率的であり、そして溶融に必要な電力の最適化および低減を可能にする、金属材料を溶融する手段およびその設備を完成させることである。
【0026】
本発明の別の目的は、溶融金属のバスからの熱エネルギーの損失を減少させることである。
【0027】
本発明の別の目的は、プラント全体の生産性を改善するという利点を生かしながら、電気炉の壁の摩耗の影響、それ故その先にある保守介入を減少させることである。
【0028】
本発明の別の目的は、効率の良い、電気以外の代替および補助的パワーの使用を可能にすることである。
【0029】
出願人は、従来技術の欠点を克服し、これらおよび他の目的ならびに利点を得るために、本発明を考案、検証および実施した。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明は独立クレームにおいて記載され、そして特徴づけられ、その一方で従属クレームは他の本発明の特性、または主要な発明の着想に対する変形例を記載する。
【0031】
上記の目的に従い、本発明による金属材料を溶融させる方法は、金属材料(例えば様々なサイズのスクラップ)が導入される容器またはシェルを有する電気炉、および、場合により連続的に金属材料をシェルに装荷する供給手段を備える溶融プラントにおいて、実行される。
【0032】
その方法は、供給手段によってシェルに少なくとも金属材料を、場合により連続して装荷するステップと、金属材料が溶融する溶融ステップと、金属材料が出湯される次の出湯ステップとを含む。
【0033】
本発明の特徴によれば、溶融ステップにおいて、
金属材料が、単位時間当たりの質量換算で、高い供給量で装入物がシェル内部へ導入され、それに応じた多くの固体の金属蓄積物がシェル内に生成される、第1のサブステップと、
徐々に形成される液状のバス内部で、固体塊の量は、実質的に上記蓄積物を構成する金属材料の量と同じに維持されるように、シェル内に降ろされる金属材料の量が調整される、第2のサブステップと、が設けられている。
【0034】
特に、供給手段は、装荷される金属材料の量を調整するのに適した制御デバイスによって制御される。
【0035】
このように、各時点で溶融した金属材料の金属材料の内部および/またはそれに融合して、従来の方法よりも、液温を低温に保つ、所定のおよび所望の量の固体材料が存在し、対流による溶融金属の不安定現象を制限する。
これにより、シェルの壁の摩耗を大幅に減少させ、それに伴い、状態を元に戻すための保守作業の頻度も減少させる。
【0036】
さらにまた、溶融金属の温度を抑えることにより、反応度を減少させるキリング処理が鋼に対して実行可能である。このようにして、更にシェルの壁の摩耗を減少させ、得られる鋼の質を改善することが可能である。
【0037】
他の特徴によれば、蓄積物を決定する固体金属材料の量は、出湯される溶融材料の全体量の25%〜45%である。
【0038】
有利な変形例において、蓄積物を決定する固体金属材料の量は、30%〜40%、好ましくは32%〜38%である。
【0039】
他の特徴によれば、供給手段は、シェルの側部かつ、上方に配置され、そして、蓄積物を決定する金属材料は、供給手段の供給が行われる高さに近い高さに配置される。特に、供給手段は、金属装入物を供給するために、位置決め手段によって、シェルの一端に近接して設置された振動手段と連動するコンベア(搬送装置)を備えても良い。
【0040】
シェルにおいて、蓄積物は、各時点において溶融する材料のレベル(液面レベル)から突出するものである。
【0041】
他の特徴によると、溶融シェルが最大装荷状態に達するとき、第3のサブステップが設けられる。そのステップでは、止まるまで、供給量を減少する。すなわち、炉に存在するすべての金属材料が完全に溶融するように装入プロセスを停止する。
【0042】
全部の固体塊が溶融した場合にだけ、出湯の処理が実行され、固体スクラップによるコンタミネーション(混入)を確実に防ぎ、鋼の優れた治金の制御を確実にする。
【0043】
またこの方法により、シェルからの溶融材料の出湯ステップの際には、一定のレベルの溶融材料が残され(別名ホットヒール(hot heel))、素早く次の溶融ステップを再開できるようにする。
【0044】
従来技術における通常のホットヒール(hot heel)のレベルとは異なり、それは実質的に半分となり、特に、出湯ステップの前にシェルに存在する溶融材料の10%〜25%となる。これにより、プラントの全体の生産性を向上させる。
【0045】
変形実施例によれば、少なくとも第1のサブステップと第2のサブステップとの間および/またはこれらのサブステップの際に、例えばガスバーナーのような、燃焼型加熱手段による、補助熱エネルギーが設けられている。このようにして、更に金属材料を溶融させるための熱エネルギーを増加させることができる。
【0046】
他の変形実施例によれば、エネルギー供給手段は、ちょうど炉に降ろされる金属材料の温度を上昇させるために、固体材料の蓄積物付近に配置される。この特定の配置により、エネルギー供給手段の炎を導いて、その効率的な加熱を提供するように、金属材料の蓄積物に直接接触させる。さらにまた、金属材料の蓄積物は、生じ得る跳ね上げ(スプラッシュ)や、エネルギー供給手段に悪影響を与えかねない溶融材料の高温に対するバリア(保護壁)として機能する。これにより、実用寿命を延ばし、エネルギー供給手段の保守介入を減少させる。
【0047】
本発明は、また、上記のように金属材料を溶融させる方法を実行するプラントにも関する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付の図面を参照して非限定的な実施例として与えられ、実施例の優先される形の以下の説明より明らかになる。
【
図1】上述の従来技術の方法を用いた、連続装荷溶融炉の機能的パラメータのトレンドを示すグラフである。
【
図2】本発明に記載の方法を用いた、連続装荷溶融炉の機能的パラメータのトレンドを示すグラフである。
【
図5】本発明に記載の方法を使用するプラントの部分的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
理解を容易にするために、可能なかぎり、図面中の同一の共通の要素を識別するために、同じ参照番号が使用されている。
【0050】
図3〜
図5において、金属材料の溶融プラントは、参照番号10として全体が表示され、そして、少なくとも、例えば、スクラップS(
図3)といった金属装入物を供給し、一定の移送軸Zに従って移動するのに適している供給手段12を有するアーク炉11を含む。
【0051】
スクラップSは、供給手段12上に既知の方法で装荷され、大きく変更も可能であるが一定のサイズを有する。
【0052】
炉11は、その主要部分において、容器またはシェル13、およびシェル13の上部にかつ覆うように配置された天井15を備える。
3つの孔が天井15に形成されており、3つの電極16を収納および/または配置し、それらはシェル13に存在する金属装入物にアークを生成するのに適したものである。
【0053】
天井15および電極16(
図5)は、互いに独立して、天井15および電極16を持上げるのに適した、持上げおよび回転デバイス24と連動する。
【0054】
溶融ステップの際に達する高温と、反応性の高い環境に耐えるため、シェル13(
図5)は、それぞれが耐火材でできている、底部またはソール36、および外側壁37(直立壁(upright)とも呼ばれる)を備えている。
【0055】
シェル13は、そこに収容可能な、液体金属および場合によってはスラグの最大量を決定する深さD(
図5)を有する。
【0056】
シェル13(
図5)は、支持体(図示されない)に取付けられ、そして、駆動手段28が、一定の回転軸Cを中心にしてシェル13を回転させるために設けられている。
【0057】
回転軸Cは、実質的に、供給手段12の移送軸Zと整列するか、またはすぐ近くに配置される。
【0058】
また、上記炉11はパネル22を備え、パネル22の下端部は、シェル13の上端部の上に載っている。パネル22は、実質的にシェル13の壁に沿って延伸し、そして、その上に、シェル13を閉じるために、天井15が配置されている。
【0059】
シェル13およびパネル22は、共通の接続端部に近接して、熱分散および/またはガス漏れを防止するのに適した密封手段(図示されない)を備える。
【0060】
スクラップSを供給するために、パネル22は、供給手段12が配置される開口部17を備えている。
【0061】
炉11が通常動作している際には、供給手段12は、パネル22およびシェル13の壁と実質的に面一にそれらの搬出端部が配置されている。
【0062】
パネル22の高さは開口部17自体と相関しており、そして、それは、供給手段12または供給手段12によって供給されるスクラップSの供給量によって、大きさが設定される。また、パネル22の開口部17の構造および配置は、鋳造プロセスの間にシェル13が受ける動きに関連して、決定される。
【0063】
より詳しくは、シェル13の回転軸Cと供給手段12の移送軸Zとが、整列または実質的に整列する条件を考慮して、開口部17の配置が定められる。
【0064】
この条件により、供給手段12を後退させる必要なく、溶融金属の出湯またはスラッギングの実行が可能となる。そうすると、出湯が終わるとすぐに、アークのスイッチが入るのを待つ必要なく装荷作業を開始できるので、処理時間を短縮できる。
【0065】
特に開口部17は、パネル22の下端部28から距離をおかれ、いくつかの実施例においては、その距離は、シェル13の深さDの0.3〜3倍、好ましくは0.5〜1.5倍、より好ましくは0.5〜2.5倍の一定の高さFである。
【0066】
高さFに含まれるパネル22の部分は、供給手段12(今後更に詳細に記載)によって装荷されるスクラップSを収容する機能を有する。
【0067】
熱交換手段(この場合は、冷却パネルなどのチューブの束を有する交換器)は、高温であってもそれらの機械抵抗を保証するために、パネル22および天井15に連結している。
【0068】
シェル13の回転軸Cと供給手段12の移送軸Zとが前記整列条件となるように、供給手段12は、出湯およびスラッギングの際に、干渉することなく、シェル13を回転させるのに適した構造となっている。
【0069】
特に、供給手段12(
図3〜5)は、後述の処理パラメータに従って選択的に変わる、一定の供給量Qで、シェル13に向かって前方にスクラップSを移動させる振動タイプのコンベヤ14を備える。
【0070】
コンベヤ14は、平坦な底部40を有する実質的に台形の移送部を有し、そして、スクラップSが積み降ろされる端部は、開口部17(
図5)の下端部から、一定の距離Eをおいて配置される。
【0071】
実施例の他の形において、上記底部40は、スクラップSを収容する表面に向かって凹面でもよい。
【0072】
さらに、コンベヤ14の末端部は、振動デバイス23(
図5)および位置決めデバイス25(部分的に図面に示される)によって操作されるトロリーに取付けられる。
【0073】
位置決めデバイス25(この場合油圧アクチュエータ)は、シェル13にスクラップSを積み降ろすためにパネル22の開口部17へ、そして開口部17から、トロリー、およびそれとともにコンベヤ14を移動させるのに適している。
【0074】
コンベヤ14を、炉11へ、そして炉11から水平方向に移動させることが可能であり、コンベヤ14は常にシェル13に対して同じ高さに位置する。
【0075】
コンベヤ14、もしくは振動デバイス23は、運転制御デバイス27(
図3)により制御されており、シェル13へ運搬され、その中に導入されるスクラップSの供給量Qを調整するのに適する。
【0076】
実施例の他の形において、例えばベルトコンベヤといった他の種類の供給手段を設けても良い。
【0077】
補助エネルギー供給手段20(この場合バーナー)は、更なる熱エネルギーを供給する機能を備え、下部端28と開口部17の下部端との間で、パネル22に取付けられる。
【0078】
特に、バーナー20(
図4)(この場合4個)は、スクラップSが降ろされる側付近のパネル22に結合されて、実質的に高さFの中心線の近くに配置される。
【0079】
また、酸素吹込手段21あるいはランスが、既知の方法で設けられ、液体の組成物から不要な元素を除去するために、鋼のバスに酸素を注入することができる。
【0080】
本発明による溶融法は、プラント10を開始させるステップを有し、そのステップでは、供給手段12が炉11に装荷し、シェル13の底部またはソール上に均等にスクラップSを配置する。
【0081】
上記開始ステップは、従来技術で説明したバスケットを使用して実行することも可能である。この場合、天井15および電極16は、シェル13に対して上昇し、横方向にずれて、バスケットが到達できるようにする。
【0082】
その後、(
図3および4)、天井15がシェル13を閉じるために用いられ、電極16が位置決めされて、天井15に作られた孔を介して挿入され、そして、金属装入物の溶融が開始し、溶融金属のホットヒールの一定の液面レベルH(
図3)を形成する。この場合、そのレベルは、タップツータップ間で連続的に維持されるホット−ヒールの液面レベルHに、実質的に等しい。
【0083】
プラント10が通常の作動状態に達するとき、出湯と次の出湯との間の、シェル13内のホットヒール(hot heel)Hのレベルは、出湯前の液体金属の総量の約10%〜25%の範囲に維持される。
【0084】
プラント10を同じ生産能力(この場合約130t/h)とし、従来技術を示すグラフ(
図1)と本発明により得られたグラフ(
図2)とを比較すると分かるように、ホットヒール(hot heel)Hのレベルは実質的に半分となり、その結果、生産性を向上する。
【0085】
溶融金属の出湯ステップの後(すなわち出湯ステップの直後に)、本発明の方法は、スクラップSの連続装荷のステップ、電極16に電力を供給(電源オン状態)する、同時または少なくとも一部同時のステップ、それゆえ結果的に金属装入物を溶融させるステップを提供する。
【0086】
供給手段12が、出湯またはスラッギングステップの間も、作動位置にそのまま維持される実施例の形において、そして、これらのステップの1つが終わるとすぐに、供給手段12は炉11への供給を直ちに再開することができ、故に、電源オン状態に先行する。
【0087】
金属装入物の溶融を完了するために、電力の供給は中断され、電源オフ状態となり、そして、出湯または鋳造ステップが設けられる。
【0088】
これらのステップの際、まず初めに第1のサブステップ31が設けられ(
図2)、そして、少なくとも開口部17付近に、スクラップSの固体塊の蓄積物30を作り出すよう、スクラップS(
図3および4)が、シェル13内部に高い供給量で装荷される。
【0089】
蓄積物30は、開口部17に近い高さになる固体材料の塊であり、ほぼコンベヤ14の底部40と同一平面になる。
【0090】
第1のサブステップ31においては、供給手段12は、具体的なスクラップの供給量、約50(kg/min)/MW〜約150(kg/min)/MW、好ましくは約100(kg/min)/MW)で、炉11に供給する。
【0091】
ほんの一例として、約60MWの公称電力を有する炉11において、スクラップSの供給量Qは、約3000kg/min〜約9000kg/min、好ましくは6000kg/min〜約7000kg/min、である。
【0092】
スクラップSの供給量Qは、電源オンとオフの間(この場合約6分)は、約10%〜20%(好ましくは約13%〜17%)に維持される。
【0093】
スクラップSの供給量Qは、コンベヤ14と連動する運転制御デバイス27によって調整される。
【0094】
この第1のサブステップ31と同時、その間、若しくはその後に、金属の溶融が始まる(電源オン状態)。
図2に示す実施例では、金属の溶融は、第1のサブステップ31から約2分遅れて始まる。
【0095】
第1のサブステップ31の後、第2のサブステップ32が設けられており、そして、その間、コンベヤ14によって導入されるスクラップSの量に実質的に応じて、電極16に金属を溶融させるために、スクラップの供給量Qが減少する。
【0096】
第2のサブステップ32の間、スクラップSの供給量Qは、後に出湯される液体金属の全量の25%〜45%(好ましくは30%〜40%、さらにより好ましくは約32%〜約38%)のスクラップの固体塊の量が、鋼の液体バス内で維持されるように、調整される。
【0097】
スクラップSの具体的な供給量は、約75(kg/min)/MW〜約85(kg/min)/MWで、実質的に一定に保たれる。ほんの一例として、約60MWの公称電力を有する炉11で、スクラップSの供給量Qは、約4500kg/min〜5000kg/minである。
【0098】
供給されるスクラップの量と溶融する固体塊の量とが平衡する状態が、電源オンとオフとの間(この場合約13分)の、約10%〜20%、好適には約13%〜17%、の間、維持される。
【0099】
溶鋼に含まれる固体塊は、畜熱器(「熱はずみ車」とも呼ばれる)として機能し、そして、すでに溶融している鋼を、従来技術で達成している温度より低い温度で保つことができる。
【0100】
溶融した鋼を低い温度で保つと、シェルの壁の摩耗現象を低減するようバスを安定した状態に保ち、それ故、回復させるための保守作業の頻度を減少する。
【0101】
その後、炉の装荷が最大値近くに達するとき、第3のサブステップ33(
図2)において、スクラップの供給量Qを減少させ、この場合最初に半分に、その後、実質的に中断されるか、そうでなくても最小値に保たれる。このようにして、液体に存在する全ての固体塊は、溶融される。
【0102】
第3のサブステップ33終了後、装荷は完全に停止され、そして、固体金属全てが液状となる。
【0103】
既知の方法では、第3のサブステップ33の間、もしくはその後に、溶融金属のバスの所望の熱的、および化学的特性を確定するために、溶鋼を過熱するステップも設けられている。
【0104】
第1のサブステップ31と第3のサブステップ33との間、もしくはこれらのサブステップ中に、バーナー20を使用した、補助熱エネルギーの供給も設けられている。
【0105】
バーナー20はパネル22と結合しているので、スクラップSの蓄積物30から近い位置で、直射的な炎で直接スクラップSを加熱する。
【0106】
さらにまた、スクラップSの蓄積物30は、少なくとも第2のサブステップ32間、実質的に一定の高さであり、これにより、もしものハネ、または、高温の液体金属に対するバリアとして機能し、結果として実用寿命を延ばし、更に固体の蓄積物30にバーナー20を近づけることを可能にする。この全ては、それぞれ、必要とされるバーナー20のメンテナンス回数を減少させ、バーナー20の効率を上げるという利点がある。
【0107】
第2および第3のステップの間、上記機能を備えた酸素注入作業、酸化鉄の産出を抑えるために炭素を供給する作業、および、スラグの組成物を改質して、脱燐プロセスを可能にするためにライムおよびマグネサイトを供給する作業が行われる。
【0108】
さらにまた、少なくとも第2および第3のステップ間、スラグの量を増加させるために添加物が加えられる(別名スラグフォーミング)。それにより、金属バスが酸化するのを保護し、更に溶融バスや電極16の、アークによって発生する輻射エネルギーを遮断する効果が得られる。
【0109】
第3のステップ終了後、電力の供給は、中断され(電源オフ状態)、シェル13の傾斜(別名チルティング)によって溶融した鋼を出湯するステップがある。
【0110】
そこに残されるホットヒール(hot heel)Hが、上で特定された一定のレベルとなるまで、出湯ステップはシェル13を回転させる。
【0111】
実行するプロセスに応じて、出湯ステップと反対方向にシェル13を回転させ、出湯ステップ中かその前に、スラグ除去(別名スラッギング)を実行することも可能である。これに対して、シェル13がスラッギングのために回転するのではなく、スラグをシェル13に保持するために反対側に傾けられる場合、本発明の炉11は、スクラップSを装荷するために使用する開口部17からあふれ出ないので、より多くの容量のスラグを保持するのを可能にする。
【0112】
一旦出湯作業が終了すると、出湯口は閉じられ、そして、シェル13は回転により平常位置に戻される。
【0113】
この最後の作業の間、コンベヤ14がシェル13内部でその位置のままであるならば、スクラップSの装荷をすぐに、従って出湯動作の直後に、開始することが可能である。これにより休止時間を大幅に減少し、ホットヒール(hot heel)の鋼にキリングアクションを実施するのを可能にする。
【0114】
本発明の分野および範囲を逸脱しない範囲で、これまで記載されているような、金属材料を溶融させる方法に対して、部品を変更および/または追加することが可能であるのは明白である。
【0115】
本発明について、いくつかの具体例に関して記載したが、当業者ならば、請求項にて説明するような特性を有する、金属材料を溶融させる方法の、他の多くの同等な形態に確実に到達することが可能であることは明白であり、それ故、すべてがここに定義される保護範囲となることも明白である。