(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203392
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラーのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/717 20130101AFI20170914BHJP
H04L 12/24 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
H04L12/717
H04L12/24
【請求項の数】18
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-525841(P2016-525841)
(86)(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公表番号】特表2016-528797(P2016-528797A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】US2014048434
(87)【国際公開番号】WO2015013707
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2016年1月12日
(31)【優先権主張番号】61/858,891
(32)【優先日】2013年7月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510279365
【氏名又は名称】ゼットティーイー (ユーエスエー) インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】カスナビッシュ,ブミップ
【審査官】
宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0303835(US,A1)
【文献】
特開2011−159247(JP,A)
【文献】
特開2012−186649(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0233668(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00−12/26,12/50−12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の要素/装置の周辺の要求に適応し、上位レイヤーの要素のフローの状態を管理し、管理/動作の要求に対して調整するSDNコントローラーを有し、
前記SDNコントローラーは、サービスのためのエンティティのチェイニング/グルーピングを管理するためのメタデータインターフェースを有する適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー(SDNC)。
【請求項2】
前記SDNコントローラーは、さらにアプリケーション/サービス特有の形式においてフローの状態を管理する請求項1に記載の適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー。
【請求項3】
前記SDNコントローラーは、さらに分散方式において要求に応じてフローの状態を管理する請求項2に記載の適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー。
【請求項4】
前記SDNコントローラーは、設定管理インターフェースを有する請求項2に記載の適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー。
【請求項5】
前記SDNコントローラーは、エンティティ/フロー制御インターフェースを有する請求項2に記載の適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー。
【請求項6】
前記アプリケーション/サービスは、要求される特徴/機能に基づいて、RESTful APIを介して前記SDNCと通信する請求項2に記載の適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー。
【請求項7】
vNEを設定するためにXMLまたはJSONを使用する請求項2に記載の適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー。
【請求項8】
一つ以上の仮想化されたネットワークエンティティ(vNE)を管理するためにコンマによって分けられた値(CSV)を使用する請求項2に記載の適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー。
【請求項9】
一つ以上のvNEを管理するためにフォーマット化されたメタデータの情報を使用する請求項2に記載の適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー。
【請求項10】
基礎となる物理的および仮想的エンティティを制御するためにOpenFlowまたはForCESを使用する請求項2に記載の適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー。
【請求項11】
仮想化されたネットワークエンティティ(vNE)と、
前記vNEを使用するアプリケーションおよびサービスと、
前記vNEを管理するための適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー(SDNC)と、
vNEの制御および管理のためのアプリケーションプログラミングインターフェース(API)と、
を有し、
前記SDNCは、サービスのためのエンティティのチェイニング/グルーピングを管理するためのメタデータインターフェースを有する仮想化されたネットワーキングのためのシステム。
【請求項12】
前記SDNCは、設定管理インターフェースをさらに有する請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記SDNCは、エンティティ/フロー制御インターフェースをさらに有する請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記アプリケーションおよびサービスは、要求される特徴/機能に基づいて、RESTful APIを介して前記SDNCと通信する請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記SDNCは、前記vNEを設定するためにXMLまたはJSONを使用する請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記SDNCは、前記vNEを管理するためにコンマによって分けられた値(CSV)を使用する請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記SDNCは、前記vNEを管理するためにフォーマット化されたメタデータの情報を使用する請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記SDNCは、基礎となる物理的および仮想的エンティティを制御するためにOpenFlowまたはForCESを使用する請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー(SDNC)の設計、実装および動作のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日のSDNコントローラーは、実際には静的である。これらのコントローラーは、予め設定されたテーブル駆動型のクライテリアに基づいてフローを管理し、アプリケーション/サービスによって指示された際にフロー管理を素早く変更できない。これにより、コントローラーのリソースの無駄と、フロー自体の管理の非効率が生じている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明のSDNコントローラーは、要素/装置の周辺(上位および下位の両方)の要求に適応し、フローの状態の維持を支援し、いかなる管理/動作の要求に対しても適応する。アプリケーション/サービス特有の形式において状態の分散管理が達成され、これにより、コントローラーによって管理されるフローの数と共にコントローラーの複雑度が指数関数的に増加することが抑止される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付された図面が参照され、これらは必ずしも寸法通りではない。
【
図1】適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー(SDNC)の上位概念図である(参照によってこの出願に包含されるネットワークサービス管理のユースケース、http://www.dmtf.org/sites/default/files/standards/documents/DSP2034_1.0.0a.pdfより)。
【
図2】SDNCからの/SDNCを通した基礎となるエンティティの動的設定管理の一例を示す図である。
【
図3】SDNCからの/SDNCを通した基礎となるエンティティの動的制御の一例を示す図である。
【
図4】SDNCからの/SDNCを通した基礎となるエンティティの動的管理/維持(メタデータ、チェイニング、グルーピング等)の一例を示す図である。本明細書では具体的な用語が使用されているが、それらは単に一般的で記述的な意味で用いられており、限定を目的としたものではない。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1は、SDNCによる管理のための仮想ネットワークエンティティ(vNE)として示すためにネットワーク要素を抽象化した上位概略図である。
図1に示すように、仮想ネットワーキングの主要な構成は、物理的および仮想的なネットワーク要素/エンティティ、vNE、およびvNEの制御および管理のためのアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を含む。
【0006】
ネットワークエンティティは、たとえばルーター、ファイアーウォール、AAAサーバー、DNS、ロードバランサー等の様々なネットワーク構成を含む。これらのネットワーク構成は、ネットワークサービスをサポートするために相互に接続される。このようなネットワークエンティティは、物理的な装置または仮想的なアプライアンスの両方によって実現されうる。これらの一般的なネットワークエンティティの仮想化のための共通のメカニズムは、シームレスな互換性を達成するために一般に要求される。一度仮想化が行われると、vNEは、制御および管理のためのAPI、および様々なアプリケーションやサービスによる利用を介して露出されうる。
【0007】
vNEは、物理的なネットワークエンティティおよび仮想的なアプライアンスとして実現されたネットワークエンティティを抽象化したものである。vNEは、仮想化されたネットワーキングサービスをサポートするために柔軟に統合されうる。仮想化されたネットワークエンティティは、制御および管理APIを介して上位管理レイヤーに露出されうる。制御および管理APIは、たとえばvNEを生成、設定、監視、更新および開放するために使用されうる。
【0008】
上述のように、本発明の一実施形態に従い、
図2は、SDNCからの/SDNCを通した基礎となるエンティティの動的設定管理を示す図である。
図3は、SDNCからの/SDNCを通した基礎となるエンティティの動的制御を示す図である。
図4は、SDNCからの/SDNCを通した基礎となるエンティティの動的管理/維持(メタデータ、チェイニング、グルーピング等)を示す図である。
図2〜4において、SDNCおよび仮想化/抽象化されたエンティティの間に示された線は、有線および無線媒体におけるイーサネットの全ての変形におけるIP、MPLS等の全て変形においてTCP/UDPをサポートしうる物理的または仮想的な接続を示す。
【0009】
本書において開示されるSDNコントローラーの一実施形態によれば、周辺要素/装置の要求に容易に適用する。周辺要素/装置は、下位(伝送および基盤)レイヤーの要素または上位(アプリケーションおよびサービス)レイヤーの要素、あるいはそれらの両方である。要求は、特定のサービス/体験の品質から幅広いポリシー/セキュリティの制限等の範囲にわたる。
【0010】
また、開示されるSDNコントローラーの一実施形態の設計、実装および動作は、要求に応じて、フローの状態の維持を支援し、いかなる管理/動作の要求に対しても適応する。状態は、分散方式で、アプリケーション/サービス特有の形式において管理される。状態管理の複雑度はアプリケーション/サービスのエッジ(すなわち、上位レイヤーの要素)に押し出される。これにより、コントローラーの複雑度が、管理されるフローの数の増加に伴い指数関数的に増加することが抑止される。
【0011】
下位レイヤーの要素は、たとえば以下のエンティティ
・物理的および仮想的なネットワークポート
・物理的および仮想的なネットワークリンク
・物理的および仮想的なトポロジー(イントラドメインおよびインタードメインの両方)
・物理的および仮想的なトポロジーマネージャー
・物理的および仮想的なフォワーディングテーブル
・物理的および仮想的なルーティングエンジン
を含む。
【0012】
上位レイヤーの要素は、たとえば以下のエンティティ
・物理的および仮想的な付加価値ネットワークサービスエンティティ(トラフィックステアリング、ファイアーウォール、オンデマンドの暗号化およびトラフィック/セッションのモニタリング/分岐等)
・物理的および仮想的なDNS
・物理的および仮想的なDHCPサーバー
・物理的および仮想的なロードバランサー
・物理的および仮想的なAAAサーバー
・スペクトル(ライセンスを受けたものおよびパブリックのものの両方)
を含む。
【0013】
SDNコントローラーの機敏性および適応性は、サービスを効果的に管理するためだけではなく、論理的に集中した重要なコントローラーリソースを動的に管理するためにも有益である。これにより、基盤のリソースを効果的および合理的に管理することができ、分散されたワークロードの合理的またはスマートな管理を行うことができる。
【0014】
リソースは、たとえば、物理層のリソース、リンク層のリソース、トランスポート層のリソース、アプリケーション/セッション層のリソース等、ISOモデルのいかなるレイヤーのものでもよい。一般に、リソースは、以下のエンティティ
・プロセシング(仮想的、物理的、…)
・ストレージ(仮想的、物理的、…)
・メモリー(仮想的、物理的、…)
・ポート(物理的、論理的、仮想的、…)
・アクセス(有線、無線、物理的、仮想的、…)
・データプレーン(フォワーディング、ルーティング、…)
・コネクティビティ(1つのドメイン、複数のドメイン)
・トランスポート
・サービス(ホスト、ポリシー、セキュリティ、DHCP、DNS、VPN、…)
・スペクトル(ライセンスを受けたものおよびパブリックのものの両方)
・ロケーション
のいくつかの物理的/仮想的なものの組み合わせを含む。
【0015】
本発明の一実施形態は、適応型ソフトウェア定義ネットワーキングコントローラー(SDNC)にフォーカスする。オープンなインターフェースを通じて、SDNCは、分散されたワークロードを管理するという目的で物理的および仮想的なリソースの設定、制御/管理、および維持を行う。
【0016】
一実施形態において、アプリケーション/サービスは、要求される特徴/機能に基づいて、RESTful APIを介してSDNCと通信する。
【0017】
一実施形態において、SDNCは、基礎となる物理的および仮想的エンティティを設定するためにXMLまたはJSONを使用する(適切なインタープリター/コンバーターを介して)。
【0018】
一実施形態において、SDNCは、基礎となる物理的および仮想的エンティティを介してサービス、特徴/機能、災害、負荷、継続性を管理するために、CSV(コンマによって分けられた値)または他のフォーマット化されたメタデータの情報を使用する。
【0019】
一実施形態において、SDNCは、基礎となる物理的および仮想的エンティティを制御するためにOpenFlow(ONFによる)またはForCES(IETFによる)を使用する。
【0020】
いくつかのユースケースを以下に示す。
【0021】
(A)データセンターにおけるサービスの生成/更新およびワークロードの管理。これは、新たな物理的基盤要素(サーバー、スイッチ、ルーター、ストレージ等)を追加することなくマルチテナント型のワークロードをシームレスに管理するために必要となる。これは、サービスのチェイニングとサービスを動的に生成/更新するための仮想的エンティティのグルーピングとを含む。
【0022】
(B)地理的に分散された複数のデータセンター間における相互接続およびキャパシティ管理。これは、新たな物理的基盤要素(リンクおよびノード)を追加することなくデータセンターをまたいだキャパシティをシームレスに管理するために必要となる。
【0023】
(C)各要素の負荷に基づくソフトウェア定義コアおよび機能的ネットワーク要素のキャパシティ管理。これは、新たな物理的基盤要素を追加することなくIMSおよびEPC要素のキャパシティおよびケイパビリティをシームレスに管理するために必要となる。
【0024】
(D)特定のサービスのためのソフトウェア定義アグリゲーション、セグリゲーション、ステアリングおよびゲートウェイ要素のキャパシティ管理。これは、新たな物理的基盤要素(リンクおよびノード)を追加することなくモバイルバックホールのキャパシティおよび品質を管理する際に有用である。
【0025】
(E)ホストされた仮想的クライアントおよびその特徴/機能の管理。これは、仮想的クライアント、エージェントおよび装置(たとえば、ゲーム用、TV用、教育用、娯楽用等)を管理するために必要となる。
【0026】
(F)ロードバランサー、セキュリティ装置等のソフトウェア定義サービス要素の動的な配置(要素の必要とされる場所への論理的な移動)および適正サイズ化(要求されるキャパシティを提供)。これは、新たな特別なネットワークを導入することなく新たなサービスを導入し、それによりCapExを減少させ、OpExの節約を介して利益幅を増大させるために必要となる。
【0027】
上記は本発明の一実施形態を図示および記載する。本発明は、様々な他の組み合わせ、修正および環境において使用され、上記の教示および/または関連する分野の技術または知識にしたがい、本書において表現された発明の思想の範囲において変更および修正されうると解されるべきである。
【0028】
また、上記の実施形態は、他の当業者が本発明をそのような、または他の実施形態において、および特定のアプリケーションまたは本発明の使用によって必要とされる様々な修正と共に使用可能とすることを意図している。さらに、本発明の方法およびシステムは、単純および複合したコンピューターを含む機器および装置を採用して実行されてもよいものと理解されるべきである。
【0029】
実際には、上記のアーキテクチュアおよび方法は、磁気および光ディスクを含む機械可読媒体の形状において記憶されうる。たとえば、本発明の動作は、ディスクドライブ(またはコンピューター読み取り可能な媒体のドライブ)を介してアクセス可能な磁気ディスクまたは光ディスクのような機械可読媒体に記憶される。あるいは、上述の動作を実行するためのロジックは、追加のコンピューターおよび/または機械可読媒体、たとえば、大規模集積回路(LSI)としての個々のハードウェアコンポーネント、特定用途向け集積回路(ASIC)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)等のファームウェアにおいて実装されてもよい。
【0030】
本書に含まれる発明の記載に基づく当業者にとって自明な既知のシステムおよび方法の適用は、特許請求の範囲に含まれる。さらに、特許請求の範囲に示された方法および/または要素の組み合わせを実行する、後に発明された装置、または、後に開発された装置は、本発明の範囲に含まれる。したがって、この記載は、開示された形式または様式に発明を限定することを意図したものではない。