特許第6203393号(P6203393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203393
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】処理済み混合マトリックス高分子膜
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/64 20060101AFI20170914BHJP
   B01D 71/40 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 67/00 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 69/02 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 69/06 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 69/04 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 69/08 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 63/08 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 63/10 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 63/06 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20170914BHJP
   C08J 7/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B01D71/64
   B01D71/40
   B01D67/00 500
   B01D69/02
   B01D69/06
   B01D69/04
   B01D69/08
   B01D69/00
   B01D53/22
   B01D63/08
   B01D63/10
   B01D63/06
   B01D63/02
   C08J7/00 302
   C08J7/00CFG
【請求項の数】57
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2016-525891(P2016-525891)
(86)(22)【出願日】2014年12月15日
(65)【公表番号】特表2017-501862(P2017-501862A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】US2014070335
(87)【国際公開番号】WO2015095044
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年6月13日
(31)【優先権主張番号】61/916,629
(32)【優先日】2013年12月16日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516114031
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】シャオ レイ
(72)【発明者】
【氏名】オデー イハブ ニザール
(72)【発明者】
【氏名】リュー ユンヤン
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0313193(US,A1)
【文献】 米国特許第07637983(US,B1)
【文献】 国際公開第2012/118736(WO,A1)
【文献】 特表2010−508140(JP,A)
【文献】 特表2010−521290(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/111732(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/024908(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/00 − 53/85、
61/00 − 71/82
C02F 1/44
C08J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子マトリックスおよび複数の少なくとも第1の金属-有機構造体(metal-organic framework)(MOF)を含む処理済み混合マトリックス高分子膜であって、該複数の第1のMOFが、MOFからの官能基と高分子マトリックスのポリマーからの反応基との間で形成された共有結合によって高分子マトリックスに付着しており、該高分子マトリックスが、ポリイミドポリマー、ポリエーテルイミドポリマー、固有微多孔性ポリマー(polymer of intrinsic microporosity)(PIM)、または該ポリマーのうちの少なくとも2つのポリマーのブレンドを含み、かつ該高分子膜が、プラズマ処理されているか、電磁放射線で処理されているか、または熱処理されている、前記処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項2】
複数の第1のMOFがゼオライト型イミダゾレート構造体(zeolitic imidazolate framework)(ZIF)であり、官能基が第1のZIFのイミダゾレート配位子上にある、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項3】
イミダゾレート配位子が、アミノ基またはイミン基で官能化されているイミダゾールカルボキシアルデヒド配位子である、請求項2記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項4】
官能基がアミノ基またはイミン基である、請求項2記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項5】
第1のZIFの各々が、(1)アミノ基で官能化されているイミダゾールカルボキシアルデヒド配位子、および(2)メチルイミダゾール配位子を含む、請求項2〜4のいずれか一項記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項6】
第1のZIFのイミダゾレート配位子の1〜99%が官能基で官能化されている、請求項5記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項7】
複数の第1のZIFが、ZIF-8-90またはZIF-8-90-EDAであり、それぞれが下記:
に示す構造を有する、請求項2記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項8】
複数の第1のZIFとは異なる複数の少なくとも第2のZIFをさらに含む、請求項7記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項9】
複数の第1のZIFがZIF-8-90であり、複数の第2のZIFがZIF-8-90-EDAである、請求項8記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項10】
複数の第1のMOFが、等網目状金属-有機構造体-3(isoreticular metal-organic framework-3)(IRMOF-3)である、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項11】
第1のMOFとは異なる複数の少なくとも第2のMOFをさらに含む、請求項10記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項12】
第1のMOFがZIFであり、第2のMOFがIRMOF-3である、請求項11記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項13】
第1のMOFが第1のZIFであり、第2のMOFが第1のZIFとは異なるZIFである、請求項11記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項14】
第1または第2のMOFが、Zn、Cu、Co、もしくはFe、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項11記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項15】
第1のMOFが、0.1〜5 nmの細孔サイズを有する、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項16】
MOFを5〜90モルパーセント含む、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項17】
高分子マトリックスが、ポリイミドポリマーを含む、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項18】
高分子マトリックスが、ポリエーテルイミドポリマーを含む、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項19】
高分子マトリックスが、PIMを含む、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項20】
高分子マトリックスが、ポリマーブレンドを含む、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項21】
30秒〜30分間、30秒〜10分間、1〜5分間、または2〜4分間、反応性種を含むプラズマガスで処理されている、請求項20記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項22】
15℃〜80℃の温度にてプラズマで処理されている、請求項21記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項23】
反応性種が、O2、N2、NH3、CF4、CCl4、C2F4、C2F6、C3F6、C4F8、Cl2、H2、He、Ar、CO、CO2、CH4、C2H6、C3H8、またはそれらの任意の混合物を含むプラズマガスから生成される、請求項21〜22のいずれか一項記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項24】
反応性ガスが、O2:CF4ゼロを超えて1まで:2の比でO2およびCF4を含む、請求項23記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項25】
電磁放射線で処理された、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項26】
30〜300分間または60〜300分間または90〜240分間または120〜240分間、前記放射線で処理された、請求項25記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項27】
100〜400℃または200〜350℃または250〜350℃の温度で12〜96時間または24〜96時間または36〜96時間、熱処理された、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項28】
プラズマおよび電磁放射線の組み合わせ、プラズマおよび熱エネルギーの組み合わせ、電磁放射線および熱エネルギーの組み合わせ、またはプラズマ、電磁放射線、および熱エネルギーの組み合わせで処理された、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項29】
第1のガスを第2のガスから分離することができるか、または第1のガスを複数のガスの混合物から分離することができる、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項30】
第1のガスが水素であり、第2のガスが窒素であるか、または第1のガスが水素であり、複数のガスの混合物が水素および窒素を含む、請求項29記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項31】
第1のガスが水素であり、第2のガスがメタンであるか、または第1のガスが水素であり、複数のガスの混合物が水素およびメタンを含む、請求項29記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項32】
第1のガスが二酸化炭素であり、第2のガスがメタンであるか、または第1のガスが二酸化炭素であり、複数のガスの混合物が二酸化炭素およびメタンを含む、請求項29記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項33】
温度25℃およびフィード圧2 atmで、Robesonの上限トレードオフ曲線を超える、第2のガスに対する第1のガスの選択性を有する、請求項29〜32のいずれか一項記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項34】
膜がボイドフリーであるか、または膜中のボイドの大部分が直径5オングストローム以下である、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項35】
実質的にボイドフリーである、請求項34記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項36】
平膜、スパイラル膜、管状膜、または中空糸膜である、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項37】
薄膜である、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜。
【請求項38】
少なくとも第1の成分が非透過物(retentate)の形態で第1の面上に保持され、少なくとも第2の成分が透過物(permeate)の形態で膜を通って第2の面へ透過されるように、複数の成分の混合物を請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜の第1の面上に接触させる工程を含む、少なくとも1つの成分を複数の成分の混合物から分離するための方法。
【請求項39】
第1の成分が第1のガスであり、第2の成分が第2のガスである、請求項38記載の方法。
【請求項40】
第1のガスが水素であり、第2のガスが窒素である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
第1のガスが水素であり、第2のガスがメタンである、請求項39記載の方法。
【請求項42】
第1のガスが二酸化炭素であり、第2のガスがメタンである、請求項39記載の方法。
【請求項43】
非透過物および/または透過物が精製工程に供される、請求項38〜42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
混合物を膜へ供給する圧力が、20〜65℃の範囲の温度で1〜20 atmである、請求項38記載の方法。
【請求項45】
(a)少なくとも1種類の官能基を含む複数の少なくとも第1のMOFを得る工程;
(b)複数の第1のMOFをポリマーまたはポリマーブレンドへマトリックスとMOFの官能基との間で形成される共有結合によって付着させる工程;
(c)工程(b)からのポリマーまたはポリマーブレンドを用いて高分子マトリックスを含む高分子膜を形成する工程;および
(d)形成された高分子膜の表面の少なくとも一部分をプラズマ、電磁放射線、もしくは熱処理、またはそれらの任意の組み合わせに供する工程
を含む、請求項1記載の処理済み混合マトリックス高分子膜を製造する方法。
【請求項46】
前記膜が、30秒〜30分間、30秒〜10分間、1〜5分間、または2〜4分間、反応性種を含むプラズマガスに供される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記膜が、15℃〜80℃の温度でプラズマガスに供される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
反応性種が、O2、N2、NH3、CF4、CCl4、C2F4、C2F6、C3F6、C4F8、Cl2、H2、He、Ar、CO、CO2、CH4、C2H6、C3H8、またはそれらの任意の混合物を含むプラズマガスから得られる、請求項46〜47のいずれか一項記載の方法。
【請求項49】
反応性ガスが、O2:CF4ゼロを超えて1まで:2の比でO2およびCF4を含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記膜が、電磁放射線で処理される、請求項45記載の方法。
【請求項51】
前記膜が、30〜300分間または60〜300分間または90〜240分間または120〜240分間、前記放射線で処理される、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記膜が、100〜400℃または200〜350℃または250〜350℃の温度で12〜96時間または24〜96時間または36〜96時間、熱処理される、請求項45記載の方法。
【請求項53】
形成された高分子膜の表面の少なくとも一部分が、プラズマ、電磁放射線、または熱処理のうちの少なくとも2つの処理の組み合わせに供され、該処理が順次的であるかまたは互いに重なり合う、請求項45記載の方法。
【請求項54】
請求項1記載の高分子膜を含むガス分離装置。
【請求項55】
供給材料を受け入れるように構成された注入口、非透過物を放出するように構成された第1の吐出口、および透過物を放出するように構成された第2の吐出口をさらに含む、請求項54記載のガス分離装置。
【請求項56】
供給材料を注入口を通して、非透過物を第1の吐出口を通して、および透過物を第2の吐出口を通して押し進めるために加圧されるように構成された、請求項55記載のガス分離装置。
【請求項57】
平膜、スパイラル膜、管状膜、または中空糸膜を使用するために構成された、請求項54〜56のいずれか一項記載のガス分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年12月16日に出願された"TREATED MIXED MATRIX POLYMERIC MEMBRANES"と題された米国仮特許出願第61/916,629号の恩典を主張する。参照される特許出願の内容は参照により本出願に組み入れられる。
【0002】
A.発明の分野
本発明は、金属-有機構造体(metal-organic framework)(MOF)とポリマーとの界面の間のボイドの数もしくはサイズまたは両方が低減されるようにゼオライト型イミダゾレート構造体(zeolitic imidazolate framework)(ZIF)などのMOFがポリマーに(例えば、共有結合によって)付着している、処理済み混合マトリックス高分子膜に関する。さらに、膜は、プラズマ、電磁放射線、もしくは熱エネルギー、またはそれらの任意の組み合わせで処理され得る。この、膜のポリマーに対するMOFの付着と膜の表面処理との組み合わせは、ガス分離用途についての選択パラメータが驚くほど改善された高分子膜をもたらす。
【背景技術】
【0003】
B.関連技術の説明
膜は、液体、蒸気またはガスから1つまたは複数の物質を分離する能力を有する構造物である。膜は、一部の物質を通過させる(即ち、透過(permeate)または透過流れ)が、他のものを通過させない(即ち、非透過(retentate)または非透過流れ)ことによって、選択的バリアのように作用する。この分離特性は、複数の物質を互いから分離することが望ましい場合に、実験室環境および工業環境の両方において広い用途性を有する(例えば、空気からの窒素または酸素の除去、窒素およびメタンのようなガスからの水素の分離、アンモニアプラントの生成物流からの水素の回収、石油精製プロセスにおける水素の回収、バイオガスの他の成分からのメタンの分離、医療または冶金目的のための酸素による空気の濃縮、燃料タンク爆発を防ぐために設計された不活性化システムにおけるアレージまたはヘッドスペースの窒素による富化、天然ガスおよび他のガスからの水蒸気の除去、天然ガスからの二酸化炭素の除去、天然ガスからのH2Sの除去、排気流の空気からの揮発性有機液体(VOL)の除去、空気の乾燥または除湿など)。
【0004】
膜の例としては、ポリマーから作製されるものなどの高分子膜、液体膜(例えば、乳化型液膜、固定(支持)液体膜、溶融塩など)、およびアルミナ、二酸化チタン、ジルコニア酸化物、ガラス状材料などの無機材料から作製されるセラミック膜などが挙げられる。
【0005】
ガス分離用途について、選択される膜は典型的に高分子膜である。しかし、高分子膜が直面する問題の一つは、Robesonの上限曲線によって示されるような透過性と選択性との間の周知のトレードオフである(Robeson, J Membr. Sci. 1991, 62:165(非特許文献1); Robeson, J Membr. Sci., 2008, 320:390-400(非特許文献2))。特に、選択性が膜透過性の増加と共に減少するような、例えば、別のガスに対するあるガスの選択性について上限が存在する。
【0006】
ゼオライト型イミダゾレート構造体(ZIF)などの金属-有機構造体(MOF)が、以前、混合マトリックス膜を作製するために高分子膜中へ組み込まれた。MOFの使用の目的は、前記膜の透過性を増加させるためであった。これらの混合マトリックス膜は、ZIFとポリマーとをブレンドすることによって作製され、ここで、ZIFとポリマーとの間の化学反応は生じなかった。これは、ポリマー-ゼオライト界面でのZIFとポリマーとの間の不十分な相互作用に起因して、膜の透過性を増加させた。特に、非選択的な界面ボイドが膜中に導入され、その結果、ボイドは、透過性を増加させたが、所定の物質の選択性を減少させた。これは「シーブ-イン-ア-ケージ(sieve-in-a-cage)」モルホロジーと呼ばれた(Hillock et al., Journal of Membrane Science. 2008, 314:193-199(非特許文献3))。図1A〜Bは、「シーブ・イン・ア・ケージ」モルホロジーを示す先行技術の膜を図示している(Mahajan, et al., J Appl. Polym. Sci., 2002, 86:881(非特許文献4))。
【0007】
そのような「シーブ-イン-ア-ケージ」モルホロジーは、与えられるRobeson上限トレードオフ曲線を超えて機能しない混合マトリックス膜をもたらした。即ち、そのような膜の大部分は、透過性-選択性トレードオフ限界を超えず、そのためにそれらは効率が低く、使用コストが高い。結果として、所定のガスについて望まれるガス分離レベルまたは純度レベルを得るために、追加の処理工程が必要とされ得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Robeson, J Membr. Sci. 1991, 62:165
【非特許文献2】Robeson, J Membr. Sci., 2008, 320:390-400
【非特許文献3】Hillock et al., Journal of Membrane Science. 2008, 314:193-199
【非特許文献4】Mahajan, et al., J Appl. Polym. Sci., 2002, 86:881
【発明の概要】
【0009】
現在入手可能な混合マトリックス高分子膜の欠点の解決法を発見した。この解決法は、共有結合などの化学結合による金属-有機構造体(MOF)のポリマーへの付着と、高分子膜のエネルギー処理との組み合わせが、ガス分離用途についての膜の選択性を増加させるという驚くべき発見に基づく。特定の場合において、先ず、MOFを、MOF上の官能基およびポリマー上の反応基を介してポリマー(例えば、ポリイミド(PI)またはポリエーテルイミド(PEI))へ化学結合させる。次いで、ポリマーは、膜を形成するために使用され得、またはポリマーブレンドを有する膜を形成するために他のポリマー(例えば、固有微多孔性ポリマー(polymers of intrinsic microporosity)(PIM))とブレンドされ得る。次いで、膜を、プラズマ、電磁放射線、または熱エネルギーなどからのエネルギーで処理することができる。理論によって拘束されることを望まないが、この、ポリマーに対するMOFの(例えば、PIまたはPEIとMOFとの)化学的付着と膜処理との組み合わせは、MOF/ポリマー界面の改変により該MOFとポリマーとの間の界面のボイドのサイズおよび数を減少させ、それによって前述の「シーブ-イン-ア-ケージ(sieve-in-a-cage)」モルホロジーを減少させるかまたは回避すると考えられる。さらにまた、エネルギー処理は、MOFまたはPIMの構造を変化させ得、その結果、それぞれの細孔サイズが改変され、それによって本発明の膜の選択性の増加にさらに寄与すると考えられる。最終結果は、別のガスに対する所定のガス(例えば、窒素に対する水素、メタンに対する水素、またはメタンに対する二酸化炭素)についてのRobesonの上限トレードオフ曲線を超え得る選択パラメータを有する膜の製造である。
【0010】
本発明の一態様において、高分子マトリックスおよび複数の少なくとも第1の金属-有機構造体(MOF)を含む処理済み混合マトリックス高分子膜であって、該複数の第1のMOFは、共有結合または水素結合またはファン・デル・ワールス相互作用によって高分子マトリックスに付着しており、該高分子膜は、プラズマ処理されているか、電磁放射線で処理されているか、または熱処理されている、処理済み混合マトリックス高分子膜を開示する。あるいは、付着したMOFを有するポリマーを、前記エネルギー処理に供し、次いで、処理済み膜を形成するために使用することができる(例えば、ポリマーを処理し、次いで、処理済み膜を形成するために使用することができ、または、ポリマーを処理しかつ形成された膜をさらに処理して、処理済み膜を形成することができる)。好ましい態様において、高分子マトリックスは、ポリイミドポリマー、ポリエーテルイミドポリマー、固有微多孔性ポリマー(PIM)、またはそれらのコポリマーもしくはブロックポリマーを用いて形成することができる。いくつかの場合において、高分子マトリックスは、前記ポリマーのブレンド(例えば、ポリイミドおよびPIMのブレンド、ポリイミドおよびポリエーテルイミドのブレンド、ポリエーテルイミドおよびPIMのブレンド、またはポリイミド、PIM、およびポリエーテルイミドのブレンド)を用いて形成することができる。さらに、ブレンドは他のポリマーを含み得る。そのようなポリマーの非限定的な例は、本明細書の全体にわたって開示されており、参照により本明細書に組み入れられる。例えば、ポリイミドポリマーは、6-FDA-デュレンもしくは6FDA-DAMまたは両方であり得る。ポリエーテルイミドポリマーは、Ultem(登録商標)、Extem(登録商標)、またはSiltem(登録商標)(SABIC Innovative Plastics Holding BV)またはそれらの任意の組み合わせであり得る。PIMは、PIM-1もしくはPIM-7またはそれらの組み合わせであり得る。好ましい局面において、付着は共有結合によって行われ、例えば、共有結合は、MOFからの官能基またはリンカーと、高分子マトリックスを構成するポリマーからの反応基との間で形成される。なおさらに、MOFは、単一の官能基または複数の官能基(例えば、2、3、4、5、6、7、またはそれより多い)を有し得、その結果、各MOFは、高分子マトリックスへの単一の付着または複数の付着を有し得る。なおさらに、各MOF上の官能基は、同じであり得、または異なる官能基であり得る。膜の選択性は、前記MOFとポリマーとの間の化学結合の数を改変することによってこのようにさらに調整することができると考えられ、その結果、特定の用途(例えば、パラフィンからのオレフィン、天然ガスからの二酸化炭素、一酸化炭素からの水素ガスの分離など)のための特定の膜を得るまたは調整することができる。また、官能基を有するMOFは、高分子マトリックスと共に共有結合および非共有結合(例えば、水素結合またはファン・デル・ワールス相互作用)を形成することができる。この意味において、MOFとポリマーとの間の共有結合が好ましい場合があるが、MOFは、共有結合、水素結合もしくはファン・デル・ワールス相互作用、またはそれらの任意の組み合わせによってポリマーへ付着させることができる。従って、前の文における「または/もしくは」の使用は、高分子マトリックスに対するMOFの付着が、共有結合、水素結合、もしくはファン・デル・ワールス相互作用によるもの、または、それらの任意の組み合わせ、例えば、共有結合および水素結合、共有結合およびファン・デル・ワールス相互作用、または共有結合、水素結合およびファン・デル・ワールス相互作用によるものである態様を包含するように意図される。所定のMOF上において使用することができる官能基またはリンカーの非限定的な例としては、アミノもしくはイミン基またはそのような基の組み合わせが挙げられる。アミノ基は、以下のような一般構造を有し得、
式中、Rは直鎖または分岐アルカンであり得、nは1〜100であり得る。特定の態様において、RはCH2であり、nは1〜5または1〜3または2である。他の態様において、アミノ基は、以下であり得る:
式中、R1、R2、R3、およびR4は、各々個々に、H、-CH3、または-C2H5であり、R5は、CH2、O、S、CF2、-C(CH3)2、または-CH(CH3)である。イミン基は、以下の構造を有し得る:
式中、xは1〜20であり、yは0〜20であり、zは0〜20であり、nは0〜30である。膜(これは膜の表面の少なくとも一部分を含む)を処理するために使用することができるプラズマ処理は、30秒〜30分間、30秒〜10分間、1〜5分間、または2〜4分間の、反応性種を含むプラズマガスを含み得る。高分子膜(例えば、膜の表面の一部分または表面全体)は、プラズマ処理され得、電磁放射線(例えば、紫外放射線、マイクロ波放射線、レーザー源からの放射線など)で処理され得、または熱エネルギーもしくは熱で処理され得る。膜はこれらの処理の任意の組み合わせで処理することができる(例えば、プラズマおよび電磁放射線、プラズマおよび熱エネルギー、電磁放射線および熱エネルギー、またはプラズマ、電磁放射線、および熱エネルギーの各々)。組み合わせ処理は、順次的であることができ、または互いに重なり合うことができる。プラズマ処理は、30秒〜30分間、30秒〜10分間、1〜5分間、または2〜4分間、反応性種を含むプラズマに膜を供することを含み得る。プラズマ処理の温度は15℃〜80℃または約50℃であり得る。プラズマガスは、O2、N2、NH3、CF4、CCl4、C2F4、C2F6、C3F6、C4F8、Cl2、H2、He、Ar、CO、CO2、CH4、C2H6、C3H8、またはそれらの任意の混合物を含み得る。特定の態様において、反応性ガスは、1:2までの比でO2およびCF4を含み得る。電磁処理は、30〜500分間または60〜500分間または90〜480分間または120〜240分間、そのような放射線に膜を供することを含み得る。熱処理は、12〜96時間または24〜96時間または36〜96時間、100〜400℃または200〜350℃または250〜350℃の温度に膜を供することを含み得る。ある特定の態様において、膜を、15℃〜80℃または約25℃で4時間、5時間、8時間、10時間または4〜8時間、紫外線(UV)処理に供することができる。特定の局面において、複数の第1のMOFはゼオライト型イミダゾレート構造体(ZIF)であり、官能基は第1のZIFのイミダゾレート配位子上にある。ある場合において、イミダゾレート配位子は、アミノ基またはイミン基で官能化されているイミダゾールカルボキシアルデヒド配位子である。いくつかの局面において、第1のZIFは、(1)アミノ基で官能化されているイミダゾールカルボキシアルデヒド配位子、および(2)メチルイミダゾール配位子を含み得る。MOFおよびZIFの非限定的な例としては、等網目状金属-有機構造体-3(isoreticular metal-organic framework-3)(IRMOF-3)、ZIF-8-90またはZIF-8-90-EDAが挙げられる。膜は、異なるMOFの混合物(またはMOFおよびZIFの混合物またはZIFの混合物)を所定の膜において使用することができるように、または単一の型または種類のMOFを所定の膜において使用することができるように、複数の第1、第2、第3、第4、第5などのMOFを含むことができる。さらに、複数の官能基がMOFへ導入され得る。特定の場合において、MOFは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10種類の官能基で官能化される。MOFまたはZIFの細孔サイズは、イミダゾレート配位子とZIFへ導入される官能基との比率を改変することによって所望のサイズへ調整することができる。いくつかの場合において、細孔サイズは0.1 nm〜5 nmの範囲内であろう。いくつかの場合において、細孔サイズは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、2.5、4、4.5、または5 nmであろう。2種類の異なる配位子を任意の比率で混合して、ハイブリッドMOFおよびZIFを合成することができ、官能化されている配位子の比率は、膜の所望の選択性に依存して、官能基の1〜99%モルパーセントであり得る。そのような膜は、膜の所望の選択性に依存して、60、65、70、75、80、85、または90モルパーセント(即ち、モル分率)のイミダゾレート配位子および15、20、25、30、または35モルパーセントの官能基を含むZIFを含み得る。いくつかの場合において、ZIFは、Zn、Cu、Co、もしくはFe、またはそれらの任意の組み合わせを含み得、いくつかの場合において、メチルイミダゾールカルボキシアルデヒド配位子、メチルイミダゾール配位子、またはそれらの組み合わせを含み得る。複数のMOFは、全て1種類のMOFもしくは異なるMOF、またはZIFおよび非ZIF MOFの組み合わせから構成され得、混合マトリックス膜は、5モル%〜90モル%など、任意の適切な濃度のMOFを含み得る。いくつかの態様において、混合マトリックス膜は、ボイドフリー(即ち、膜は、膜のポリマーとMOFとの間に非選択的な界面ボイドを含まない)であり得るか、実質的にボイドフリー(即ち、膜のポリマーとMOFとの間のボイドの大部分または全部のサイズが、直径5オングストローム未満かまたはこれに等しい)であり得るか、または「シーブ-イン-ア-ケージモルホロジー」を有さない。膜は、薄膜、平膜、スパイラル膜、管状膜、または中空糸膜の形態であり得る。さらに、本明細書に開示される膜は、広範囲のガス(例えば、N2、H2、CO2、CH4、C2H4、C2H6、C3H6、およびC3H8)について優れた透過性特性ならびに選択性能(例えば、C3H6/C3H8、C2H4/C2H6、C2H6/C3H8、H2/C3H8、H2/N2、H2/C3H8、H2/CH4、CO2/C3H8、CO2/CH4、CO2/C2H4、N2/CH4、N2/C3H8、およびCO2/N2)を有する。ガスが特定の膜を通ってより速くまたはより遅く移動するほど、より優れた選択性が所定のガスの対について与えられ得る点で、これらの透過性パラメータはさらにてこ入れされ得る。本発明の様々な膜のこれらの透過性および選択性特性の非限定的な例は実施例において提供され、これらは参照によりこのセクションに組み入れられる。
【0011】
本明細書の全体にわたって開示される構成物および膜を使用するプロセスも開示する。ある場合において、プロセスは、2種類の物質、ガス、液体、化合物などを互いから分離するために使用することができる。そのようなプロセスは、分離されるべき物質を有する混合物または組成物を、少なくとも第1の物質が非透過物(retentate)の形態で第1の面上に保持され、少なくとも第2の物質が透過物(permeate)の形態で構成物または膜を通って第2の面へ透過するように構成物または膜の第1の面上に接触させる工程を含み得る。この意味において、構成物または方法は、反対の面を含むことができ、ここで、一方の面は非透過面であり、反対の面は透過面である。膜への混合物のフィード圧、または混合物が膜へ供給される圧力は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20気圧(atm)もしくはそれ以上であり得、または1〜20 atm、2〜15 atm、もしくは2〜10 atmの範囲であり得る。さらに、分離工程の間の温度は、20、25、30、35、40、45、50、55、60、もしくは65℃またはそれ以上であり得、または20〜65℃もしくは25〜65℃もしくは20〜30℃の範囲であり得る。プロセスは、構成物または膜から非透過物および/または透過物のいずれかまたは両方を除去または単離する工程をさらに含むことができる。非透過物および/または透過物は、さらなる精製工程(例えば、カラムクロマトグラフィー、追加の膜分離工程など)などのさらなる処理工程へ供され得る。特定の場合において、プロセスは、混合物からN2、H2、CH4、CO2、C2H4、C2H6、C3H6、および/またはC3H8のうちの少なくとも1つを除去することに向けられ得る。好ましい局面において、本方法は、水素ガスおよび窒素ガスを含む混合物から水素ガスを分離するため、または水素ガスおよびメタンガスを含む混合物から水素ガスを分離するため、または二酸化炭素ガスおよびメタンガスを含む混合物から二酸化炭素ガスを分離するために使用され得る。前記膜は、ガス分離(GS)プロセス、蒸気透過(VP)プロセス、パーベーパレーション(PV)プロセス、膜蒸留(MD)プロセス、メンブレンコンタクター(MC)プロセス、および担体媒介プロセス、ソーベントPSA(圧力変動吸着)などにおいて使用され得る。さらに、本明細書に開示される同じまたは異なる膜の少なくとも2、3、4、5個、またはそれ以上を、互いに連続するように使用して、標的とされる液体、蒸気、またはガス物質をさらに精製または単離できることが意図される。同様に、本明細書に開示される膜を、他の現在公知の膜と連続するように使用して、標的とされる物質を精製または単離することができる。
【0012】
本発明の別の態様において、上記で議論される処理済み混合マトリックス高分子膜のいずれか一つを製造する方法を開示する。方法は以下の工程を含み得る:(a)少なくとも1種類の官能基を含む複数の少なくとも第1のMOFを得る工程;(b)複数の第1のMOFをポリマーまたはポリマーブレンドへ共有結合または水素結合またはファン・デル・ワールス相互作用によって付着させる工程;(c)工程(b)からのポリマーまたはポリマーブレンドを用いて高分子マトリックスを含む高分子膜を形成する工程;および(d)形成された高分子膜の表面の少なくとも一部分をプラズマ、電磁放射線、もしくは熱処理、またはそれらの任意の組み合わせに供する工程。あるいは、付着したMOFを有するポリマーを、前記エネルギー処理に供し、次いで、処理済み膜を形成するために使用することができる(例えば、ポリマーを処理し、次いで、処理済み膜を形成するために使用することができ、または、ポリマーを処理しかつ形成された膜をさらに処理して、処理済み膜を形成することができる)。この意味において、工程(d)を削除し、かつ工程(b1)(この工程では、工程(b)からのMOF/ポリマーを工程(c)の前に前記エネルギー処理に供する)を加えることができ、または工程(b1)を工程(d)と組み合わせて使用することができる。特定の局面において、MOFはZIFであり得る。MOF/ZIFは、マトリックスとMOF/ZIFの官能基との間で形成される共有結合によって高分子マトリックスへ付着させることができる。例えば、付着は共有結合によって行われ得、例えば、共有結合は、MOFからの官能基またはリンカーと、高分子マトリックスを構成するポリマーからの反応基との間で形成される。なおさらに、MOFは、単一の官能基または複数の官能基(例えば、2、3、4、5、6、7、またはそれより多い)を有し得、その結果、各MOFは、高分子マトリックスへの単一の付着または複数の付着を有し得る。なおさらに、各MOF上の官能基は、同じであり得、または異なる官能基であり得る。また、官能基を有するMOFは、高分子マトリックスと共に共有結合および非共有結合(例えば、水素結合またはファン・デル・ワールス相互作用)を形成することができる。また、上記で議論したように、膜はこれらの処理の任意の組み合わせで処理することができる(例えば、プラズマおよび電磁放射線、プラズマおよび熱エネルギー、電磁放射線および熱エネルギー、またはプラズマ、電磁放射線、および熱エネルギーの各々)。組み合わせ処理は、順次的であることができ、または互いに重なり合うことができる。プラズマ処理は、30秒〜30分間、30秒〜10分間、1〜5分間、または2〜4分間、反応性種を含むプラズマに膜を供することを含み得る。プラズマ処理の温度は15℃〜80℃または約50℃であり得る。プラズマガスは、O2、N2、NH3、CF4、CCl4、C2F4、C2F6、C3F6、C4F8、Cl2、H2、He、Ar、CO、CO2、CH4、C2H6、C3H8、またはそれらの任意の混合物を含み得る。特定の態様において、反応性ガスは、1:2までの比でO2およびCF4を含み得る。電磁処理は、30〜500分間または60〜300分間または90〜240分間または120〜240分間、そのような放射線に膜を供することを含み得る。熱処理は、12〜96時間または24〜96時間または36〜96時間、100〜400℃または200〜350℃または250〜350℃の温度に膜を供することを含み得る。
【0013】
本発明の高分子膜のいずれか一つを含むガス分離装置をさらに開示する。ガス分離装置は、供給材料を受け入れるように構成された注入口、非透過物を放出するように構成された第1の吐出口、および透過物を放出するように構成された第2の吐出口を含み得る。装置は、供給材料を注入口を通して、非透過物を第1の吐出口を通して、および透過物を第2の吐出口を通して押し進めるために加圧されるように構成され得る。装置は、本発明の平膜、スパイラル膜、管状膜、または中空糸膜を収容および利用するように構成され得る。
【0014】
「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語は、当業者によって理解されるのと近いように定義され、ある非限定的な態様において、これらの用語は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、最も好ましくは0.5%以内であるように定義される。
【0015】
「1つの(a)」または「1つの(an)」という語の使用は、特許請求の範囲または本明細書において用語「含む」と共に使用される場合、「1つの(one)」を意味し得るが、それはまた、「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」、および「1つのまたは1つを超える」という意味とも一致する。
【0016】
「含む(comprising)」(および含むの任意の語形、例えば、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」)、「有する(having)」(および有するの任意の語形、例えば、「有する(have)」および「有する(has)」)、「包含する(including)」(および包含するの任意の語形、例えば、「包含する(includes)」および「包含する(include)」)、または「含有する(containing)」(および含有するの任意の語形、例えば、「含有する(contains)」および「含有する(contain)」)という単語は、包括的または範囲を設定しないものであり、追加の、記載されていない構成要素または方法工程を排除しない。
【0017】
本明細書に開示される膜、要素、成分、構成物、または方法は、本明細書の全体にわたって開示される特定の方法工程、要素、成分、構成物など「を含む」、「から本質的になる」、または「からなる」ことができる。「〜から本質的になる」という移行句に関して、ある非限定的な局面において、本明細書に開示される膜の基礎的かつ新規の特徴は、混合マトリックス膜のポリマーとMOFとの間のボイドの減少によるそれらの改善された選択パラメータである。
【0018】
[本発明1001]
高分子マトリックスおよび複数の少なくとも第1の金属-有機構造体(metal-organic framework)(MOF)を含む処理済み混合マトリックス高分子膜であって、該複数の第1のMOFが、共有結合または水素結合またはファン・デル・ワールス相互作用によって高分子マトリックスに付着しており、該高分子マトリックスが、ポリイミドポリマー、ポリエーテルイミドポリマー、固有微多孔性ポリマー(polymer of intrinsic microporosity)(PIM)、または該ポリマーのうちの少なくとも2つのポリマーのブレンドを含み、かつ該高分子膜が、プラズマ処理されているか、電磁放射線で処理されているか、または熱処理されている、前記処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1002]
複数の第1のMOFが、MOFからの官能基と高分子マトリックスのポリマーからの反応基との間で形成された共有結合によって高分子マトリックスに付着している、本発明1001の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1003]
複数の第1のMOFがゼオライト型イミダゾレート構造体(zeolitic imidazolate framework)(ZIF)であり、官能基が第1のZIFのイミダゾレート配位子上にある、本発明1002の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1004]
イミダゾレート配位子が、アミノ基またはイミン基で官能化されているイミダゾールカルボキシアルデヒド配位子である、本発明1003の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1005]
官能基がアミノ基またはイミン基である、本発明1003の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1006]
第1のZIFの各々が、(1)アミノ基で官能化されているイミダゾールカルボキシアルデヒド配位子、および(2)メチルイミダゾール配位子を含む、本発明1003〜1005のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1007]
第1のZIFのイミダゾレート配位子の1〜99%が官能基で官能化されている、本発明1002〜1006のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1008]
複数の第1のZIFが、ZIF-8-90またはZIF-8-90-EDAである、本発明1001〜1007のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1009]
複数の第1のZIFとは異なる複数の少なくとも第2のZIFをさらに含む、本発明1001〜1008のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1010]
複数の第1のZIFがZIF-8-90であり、複数の第2のZIFがZIF-8-90-EDAである、本発明1009の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1011]
複数の第1のMOFが、等網目状金属-有機構造体-3(isoreticular metal-organic framework-3)(IRMOF-3)である、本発明1001〜1002のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1012]
第1のMOFとは異なる複数の少なくとも第2のMOFをさらに含む、本発明1001〜1011のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1013]
第1のMOFがZIFであり、第2のMOFがIRMOF-3である、本発明1012の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1014]
第1のMOFが第1のZIFであり、第2のMOFが第1のZIFとは異なるZIFである、本発明1012の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1015]
第1または第2のMOFが、Zn、Cu、Co、もしくはFe、またはそれらの任意の組み合わせを含む、本発明1001〜1014のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1016]
第1のMOFが、約0.1〜5 nmの細孔サイズを有する、本発明1001〜1015のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1017]
MOFを5〜90モルパーセント含む、本発明1001〜1016のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1018]
高分子マトリックスが、ポリイミドポリマー、例えば、6-FDA-デュレンまたは6FDA-DAMを含む、本発明1001〜1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
高分子マトリックスが、ポリエーテルイミドポリマー、例えば、Ultem、Extem、またはSiltemを含む、本発明1001〜1017のいずれかの方法。
[本発明1020]
高分子マトリックスが、PIM、例えば、PIM-1を含む、本発明1001〜1017のいずれかの方法。
[本発明1021]
高分子マトリックスが、ポリマーブレンド、例えば、ポリイミドおよびPIM、ポリイミドおよびポリエーテルイミド、ポリエーテルイミドおよびPIM、またはポリイミド、PIM、およびポリエーテルイミドのブレンドを含む、本発明1001〜1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
30秒〜30分間、30秒〜10分間、1〜5分間、または2〜4分間、反応性種を含むプラズマガスで処理されている、本発明1001〜1021のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1023]
15℃〜80℃または約50℃の温度にてプラズマで処理されている、本発明1022の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1024]
反応性種が、O2、N2、NH3、CF4、CCl4、C2F4、C2F6、C3F6、C4F8、Cl2、H2、He、Ar、CO、CO2、CH4、C2H6、C3H8、またはそれらの任意の混合物を含むプラズマガスから生成される、本発明1022〜1023のいずれかの処理済み混合高分子膜。
[本発明1025]
反応性ガスが、1:2までの比でO2およびCF4を含む、本発明1024の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1026]
電磁放射線、例えば、マイクロ波放射線、紫外放射線、またはレーザーからの放射線で処理された、本発明1001〜1025のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1027]
30〜300分間または60〜300分間または90〜240分間または120〜240分間、前記放射線で処理された、本発明1026の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1028]
100〜400℃または200〜350℃または250〜350℃の温度で12〜96時間または24〜96時間または36〜96時間、熱処理された、本発明1001〜1027のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1029]
プラズマおよび電磁放射線の組み合わせ、プラズマおよび熱エネルギーの組み合わせ、電磁放射線および熱エネルギーの組み合わせ、またはプラズマ、電磁放射線、および熱エネルギーの組み合わせで処理された、本発明1022〜1028のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1030]
第1のガスを第2のガスから分離することができるか、または第1のガスを複数のガスの混合物から分離することができる、本発明1001〜1029のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1031]
第1のガスが水素であり、第2のガスが窒素であるか、または第1のガスが水素であり、複数のガスの混合物が水素および窒素を含む、本発明1030の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1032]
第1のガスが水素であり、第2のガスがメタンであるか、または第1のガスが水素であり、複数のガスの混合物が水素およびメタンを含む、本発明1030の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1033]
第1のガスが二酸化炭素であり、第2のガスがメタンであるか、または第1のガスが二酸化炭素であり、複数のガスの混合物が二酸化炭素およびメタンを含む、本発明1030の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1034]
温度25℃およびフィード圧2 atmで、Robesonの上限トレードオフ曲線を超える、第2のガスに対する第1のガスの選択性を有する、本発明1030〜1033のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1035]
膜がボイドフリーであるか、または膜中のボイドの大部分が直径5オングストローム以下である、本発明1001〜1034のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1036]
実質的にボイドフリーである、本発明1035の処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1037]
平膜、スパイラル膜、管状膜、または中空糸膜である、本発明1001〜1036のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1038]
薄膜である、本発明1001〜1037のいずれかの処理済み混合マトリックス高分子膜。
[本発明1039]
少なくとも第1の成分が非透過物(retentate)の形態で第1の面上に保持され、少なくとも第2の成分が透過物(permeate)の形態で膜を通って第2の面へ透過されるように、複数の成分の混合物を本発明1001〜1038の処理済み混合マトリックス高分子膜のうちのいずれか一つの膜の第1の面上に接触させる工程を含む、少なくとも1つの成分を複数の成分の混合物から分離するための方法。
[本発明1040]
第1の成分が第1のガスであり、第2の成分が第2のガスである、本発明1039の方法。
[本発明1041]
第1のガスが水素であり、第2のガスが窒素である、本発明1040の方法。
[本発明1042]
第1のガスが水素であり、第2のガスがメタンである、本発明1040の方法。
[本発明1043]
第1のガスが二酸化炭素であり、第2のガスがメタンである、本発明1040の方法。
[本発明1044]
非透過物および/または透過物が精製工程に供される、本発明1039〜1043のいずれかの方法。
[本発明1045]
混合物を膜へ供給する圧力が、20〜65℃の範囲の温度で1〜20 atmである、本発明1039〜1044のいずれかの方法。
[本発明1046]
(a)少なくとも1種類の官能基を含む複数の少なくとも第1のMOFを得る工程;
(b)複数の第1のMOFをポリマーまたはポリマーブレンドへ共有結合または水素結合またはファン・デル・ワールス相互作用によって付着させる工程;
(c)工程(b)からのポリマーまたはポリマーブレンドを用いて高分子マトリックスを含む高分子膜を形成する工程;および
(d)形成された高分子膜の表面の少なくとも一部分をプラズマ、電磁放射線、もしくは熱処理、またはそれらの任意の組み合わせに供する工程
を含む、本発明1001〜1038の処理済み混合マトリックス高分子膜のいずれか一つを製造する方法。
[本発明1047]
複数の第1のMOFが、高分子マトリックスとMOFの官能基との間で形成される共有結合によって該マトリックスに付着している、本発明1046の方法。
[本発明1048]
前記膜が、30秒〜30分間、30秒〜10分間、1〜5分間、または2〜4分間、反応性種を含むプラズマガスに供される、本発明1046〜1047のいずれかの方法。
[本発明1049]
前記膜が、15℃〜80℃または約50℃の温度でプラズマガスに供される、本発明1048の方法。
[本発明1050]
反応性種が、O2、N2、NH3、CF4、CCl4、C2F4、C2F6、C3F6、C4F8、Cl2、H2、He、Ar、CO、CO2、CH4、C2H6、C3H8、またはそれらの任意の混合物を含むプラズマガスから得られる、本発明1048〜1049のいずれかの方法。
[本発明1051]
反応性ガスが、1:2までの比でO2およびCF4を含む、本発明1050の方法。
[本発明1052]
前記膜が、電磁放射線、例えば、マイクロ波放射線、紫外放射線、もしくはレーザーからの放射線、またはそれらの任意の組み合わせで処理される、本発明1046〜1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
前記膜が、30〜300分間または60〜300分間または90〜240分間または120〜240分間、前記放射線で処理される、本発明1052の方法。
[本発明1054]
前記膜が、100〜400℃または200〜350℃または250〜350℃の温度で12〜96時間または24〜96時間または36〜96時間、熱処理される、本発明1046〜1053のいずれかの方法。
[本発明1055]
形成された高分子膜の表面の少なくとも一部分が、プラズマ、電磁放射線、または熱処理のうちの少なくとも2つの処理の組み合わせに供され、該処理が順次的であるかまたは互いに重なり合う、本発明1046〜1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
本発明1001〜1038の高分子膜のいずれか一つを含むガス分離装置。
[本発明1057]
供給材料を受け入れるように構成された注入口、非透過物を放出するように構成された第1の吐出口、および透過物を放出するように構成された第2の吐出口をさらに含む、本発明1056のガス分離装置。
[本発明1058]
供給材料を注入口を通して、非透過物を第1の吐出口を通して、および透過物を第2の吐出口を通して押し進めるために加圧されるように構成された、本発明1057のガス分離装置。
[本発明1059]
平膜、スパイラル膜、管状膜、または中空糸膜を使用するために構成された、本発明1056〜1058のいずれかのガス分離装置。
本明細書に開示される他の目的、特徴および利点は、以下の図面、詳細な説明、および実施例から明らかとなるであろう。しかし、図面、詳細な説明、および実施例は、本発明の具体的な態様を示すが、例示のためにのみ与えられ、限定であることを意味しないことが理解されるべきである。さらに、本発明の精神および範囲内の変更および改変は、この詳細な説明から当業者に明らかとなるであろうことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)一般的に「シーブ・イン・ア・ケージ」モルホロジーと呼ばれる、ポリマーマトリックスとモレキュラーシーブ挿入物との間の望ましくないギャップの略図。(B)「シーブ-イン-ア-ケージ」モルホロジーを示すゼオライト粒子のSEM(Mahajan, et al., 2002)。
図2】ハイブリッドZIFに基づく混合マトリックス膜の作製。
図3】ポリマーとZIFとの間のリンカー。
図4】ハイブリッドZIF-8-90の合成。
図5】ZIF-8-90-EDAの合成。
図6】ポリイミド6FDA-デュレンの合成。
図7A】ハイブリッドZIF-8-90-EDA/ポリイミド混合/PIMマトリックス膜の作製の例示。
図7B】プラズマ処理済み混合マトリックス膜の作製の例示。
図8】ZIF-8-90およびZIF-8-90-EDAのSEM画像、XRDパターンおよびN2等温線。
図9】ZIF-90、ZIF-8-90およびZIF-8-90-EDAのFT-IRスペクトル。
図10】ZIF-8-90およびZIF-8-90-EDAの細孔サイズ分布。
図11】ZIF-8-90-EDA、ポリイミド6FDA-デュレンおよび混合マトリックス膜のFT-IRスペクトル。
図12】混合マトリックス膜のSEM断面画像。
図13】本発明の様々なプラズマ処理済み混合マトリックス膜のH2/CH4に対するガス分離性能。
図14】本発明の様々なプラズマ処理済み混合マトリックス膜のH2/N2に対するガス分離性能。
図15】本発明の様々なプラズマ処理済み混合マトリックス膜のCO2/CH4に対するガス分離性能。
図16】本発明の様々なプラズマ処理済み混合マトリックス膜のCO2/N2に対するガス分離性能。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
MOFを含む現在入手可能な混合マトリックス高分子膜は、十分な透過性/選択性特性を有さない。このために、ガス分離用途などの用途においてこのような膜を使用する場合、性能およびコストが非効率的である。
【0021】
上記で議論したように、本発明の混合マトリックス膜は、そのような性能の問題の解決法を提供する。この解決法は、MOFとポリマーとの間の相互作用を増加させ、その結果、製造された膜のMOF/ポリマー界面間のボイドのサイズもしくは数または両方を減少させ、それによって膜の選択性を増加させることに基づく。さらに、エネルギー処理は、MOFまたはPIMの構造を変化させ得、その結果、それぞれの細孔サイズが改変され、それによって本発明の膜の選択性の増加にさらに寄与する。好ましい局面において、MOFとポリマーとの間の相互作用は、膜のプラズマ処理、電磁処理または熱処理(またはそのような処理の任意の組み合わせまたはそのような処理の全て)と組み合わされた、MOFとポリマーとの間の共有結合の形成によって増加する。しかし、上記で議論したように、水素結合またはファン・デル・ワールス相互作用などの他の相互作用も使用され得ることが意図される。なおさらに、MOFの細孔を必要に応じて改変し、本発明の膜の選択性をさらに調整することができる(例えば、そのような調整は、MOF内の配位子対官能基の比率を調節することによって達成することができる)。
【0022】
混合マトリックス膜は、広範囲のプロセス、例えば、ガス分離(GS)プロセス、蒸気透過(VP)プロセス、パーベーパレーション(PV)プロセス、膜蒸留(MD)プロセス、メンブレンコンタクター(MC)プロセス、および担体媒介プロセスにわたって使用され得る。ある場合において、窒素からの水素の分離、メタンからの水素の分離、またはメタンからの二酸化炭素の分離などのガス分離用途において膜が特によく機能することが発見された。
【0023】
本発明のこれらおよび他の非限定的な局面を以下のサブセクションにおいて議論する。
【0024】
A.金属-有機構造体
MOFは、多孔性であり得る一、二、または三次元構造を形成するように金属イオンまたはクラスターが有機分子へ配位されている化合物である。それらだけで、MOFは、非常に高いガス吸着能を有することが実証され、これは、膜中へ組み込まれた場合に、MOF中にガスが一般に容易に拡散するであろうことを示唆している。しかしながら、プラズマ、電磁放射線、または熱エネルギーでの前記膜の処理と組み合わせた、共有結合または水素結合またはファン・デル・ワールス相互作用によって高分子膜に付着しているMOFは、ボイドフリーであるかまたは実質的にボイドフリーであることにより透過性および選択性のパラメータを改善する膜を作ることが発見され、ここで、ポリマーとMOFとの界面にボイドは存在しないか、または存在するのは数オングストローム未満のボイドである。
【0025】
一般に、化学的または構造的改変などの方法を用いて、特定の用途のためにMOFの特性を調整することが可能である。MOFを化学的に修飾するための一つのアプローチは、合成後修飾のためのペンダント官能基を有するリンカーを使用することである。
【0026】
適切な官能基を含有するかまたは本明細書に記載の方法で官能化され得る任意のMOFを、開示される膜において使用することができる。例としては、IRMOF-3、MOF-69A、MOF-69B、MOF-69C、MOF-70、MOF-71、MOF-73、MOF-74、MOF-75、MOF-76、MOF-77、MOF-78、MOF-79、MOF-80、DMOF-1-NH2、UMCM-1-NH2、およびMOF-69-80(Wang & Cohen, Chem Soc Rev. 2009, 38(5):1315-29; Rosi, et al., J Am Chem Soc., 2005, 127(5):1504-18)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
いくつかの態様において、MOFはゼオライト型イミダゾレート構造体(ZIF)である。ZIFは、有機イミダゾレート配位子で配位されたMN4(M=Co、Cu、Znなど)クラスターからなるハイブリッド構造体を有する秩序ある多孔性構造を有するMOFのサブクラスまたは種類である(Banerjee, et al., Science., 2008, 319:939-943)。ゼオライトのような他の秩序ある多孔性材料と同様に、規則的なZIF構造は、分離、膜反応器、および化学センサーなどの膜関連用途において利用することができる。ZIFは、高い比表面積、高い安定性、および合成後法によって官能基で修飾され得る化学的に柔軟な構造体などの魅力的な特性を有する(Hayashi, et al., 2006; Park, et al., PNAS, 2006, 103:10186-10191; Venna, et al., J Am Chem Soc., 2010, 132:76-78; Banerjee, et al., J Am Chem Soc., 2009, 131:3875-3877; Morris, et al., J Am Chem Soc., 2008, 130:12626-12627)。純粋なZIF膜は、ガス分離で高い性能を有するが(Pan, et al., Journal of Membrane Science, 2012, 390-391:93-98, および421-422:292-298)、それらの用途は高い作製費用によって限定される。構造体中に混合リンカーを有するハイブリッドZIFの合成および特徴づけがThompson, et al., Chem Mater, 2012, 24:1930に記載されている。1つの種類のZIFならびにそれらの使用および作製の説明は、例えば、米国特許出願第2010/0186588号、国際特許出願第WO 2007/0202038号、国際特許出願第WO 2008/140788号、国際特許出願第WO 2012/112122号、国際特許出願第WO 2012/159224号、Zhang, et al., Journal of Membrane Science, 2012, 389:34-42、およびAskari, et al., Journal of Membrane Science, 2013, 444:173-183に記載されている。例えば、ZIFは、ソルボサーマル法を用いることによって合成することができる。高結晶性材料は、N,N-ジエチルホルムアミド(DEF)などのアミド溶媒中で必要な水和金属塩(例えば、硝酸塩)およびイミダゾール型のリンカーを混合することによって得られた。得られた溶液は加熱され(85〜150℃)、開示のゼオライト型構造体が48〜96時間後に沈殿し、容易に単離される。さらなる局面において、イミダゾレート構造物または誘導体は、ケージおよびチャネル、特に細孔を覆う官能基を与えるようにさらに官能化されて、所望の構造または細孔サイズを得ることができる。
【0028】
いくつかの局面において、ハイブリッド化ゼオライト型イミダゾレート構造体は、亜鉛塩および混合イミダゾール配位子から合成される。特定の局面において、ハイブリッドZIF-8-90が使用される。ハイブリッドZIF-8-90は、混合配位子であるカルボキサルデヒド-2-イミダゾールおよび2-メチルイミダゾール(2-methylimidzole)でのZn(NO3)2・6H2O配位によって合成され、ここで、カルボキサルデヒド基はアミノ化合物と反応することができる。図2は、ハイブリッドZIF-8-90の合成を示し、これは以下の構造を有する。
【0029】
ZIFは、下記のイミダゾール配位子から合成されるが、少なくとも2種類のイミダゾール配位子に限定されない。少なくとも1種類の配位子を官能化することができる。使用され得る他のZIFとしては、以下のZIFが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
B.ポリマー
本発明の文脈において使用することができるポリマーの非限定的な例としては、固有微多孔性ポリマー(PIM)、ポリエーテルイミド(PEI)ポリマー、ポリエーテルイミド-シロキサン(PEI-Si)ポリマー、およびポリイミド(PI)ポリマーが挙げられる。上述したように、膜は、これらのポリマーのうちのいずれか一つのポリマーのブレンドを含むことができる(単一クラスのポリマーのブレンドおよび異なるクラスのポリマーのブレンドを含む)。
【0031】
1.固有微多孔性ポリマー
PIMは、スピロ中心または厳しい立体障害を有するものであり得る、ねじれ部位と組み合わされたジベンゾジオキサンに基づく梯子型構造の繰り返し単位を有することを典型的に特徴とする。PIMの構造は、高密度の鎖充填を防ぎ、非常に大きなアクセス可能な表面積および高いガス透過性をもたらす。実施例において使用した、PIM-1の構造を下記に提供する。
【0032】
前記ポリマーの分子量は、該ポリマーの長さを増加または減少させることによって所望の通りに変えることができる。PIM-1は以下のように合成することができる。
【0033】
本発明の文脈において使用することができる追加のPIMは、以下の繰り返し単位を有する。
【0034】
いくつかの場合において、PIMポリマーは、以下の反応スキームを用いて作製することができる。
【0035】
上記の構造は、所望の通りにさらに置換することができる。
【0036】
本発明のブレンドされた高分子膜と共に使用され得るPIMポリマーの追加のセットとしては、Ghanem et. al., High-Performance Membranes from Polyimides with Intrinsic Microporosity, Adv. Mater. 2008, 20, 2766-2771に開示されるPIM-PIポリマーセットが挙げられる。これらのPIM-PIポリマーの構造は以下である。
【0037】
追加のPIMならびにそのようなPIMの製造および使用方法の例は、米国特許第7,758,751号および米国特許出願公開第2012/0264589号に提供されている。
【0038】
2.ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミド-シロキサンポリマー
本発明の文脈において使用することができるポリエーテルイミドポリマーは、一般に、以下のモノマー繰り返し構造に従う:
式中、TおよびR1は、広範囲の使用可能なPEIポリマーを作製するために変えることができる。R1には、以下などの置換または非置換二価有機基が含まれ得る:(a)6〜24個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基およびそのハロゲン化誘導体;(b)2〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基;(c)3〜24個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、または(d)下記に定義される式(2)の二価基。Tは、-O-または式-O-Z-O-の基であり得、ここで、-O-または-O-Z-O-基の二価の結合は、3,3'、3,4'、4,3'、または4,4'位にある。Zには、以下などの置換または非置換二価有機基が含まれ得る:(a)約6〜約20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基およびそのハロゲン化誘導体;(b)約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基;(c)約3〜約20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、または(d)一般式(2)の二価基;
式中、Qは、-O-、-S-、-C(O)-、-SO2-、-SO-、-CyH2y-(yは1〜8の整数である)、およびパーフルオロアルキレン基を含むそのフッ素化誘導体からなる群より選択される二価部分であり得る。Zは、式(3)の例示的な二価基を含み得る。
特定の場合において、R1は、米国特許8,034,857において定義される通りであり得、これは参照により本出願へ組み入れられる。
【0039】
使用することができる(かつ実施例において使用した)具体的なPEIの非限定的な例としては、SABIC Innovative Plastics Holding BVから市販されているもの(例えば、Ultem(登録商標)およびExtem(登録商標))が挙げられる。Extem(登録商標)およびUltem(登録商標)の様々なグレードの全てが、本発明の文脈において有用であると考えられる(例えば、Extem(登録商標)(VH1003)、Extem(登録商標)(XH1005)、およびExtem(登録商標)(XH1015))。
【0040】
ポリエーテルイミドシロキサン(PEI-Si)ポリマーも本発明の文脈において使用することができる。ポリエーテルイミドシロキサンポリマーの例は、米国特許5,095,060に記載されており、これは参照により組み入れられる。使用することができる具体的なPEI-Siの非限定的な例としては、SABIC Innovative Plastics Holding BVから市販されているもの(例えば、Siltem(登録商標))が挙げられる。Siltem(登録商標)の様々なグレードの全てが、本発明の文脈において有用であると考えられる(例えば、Siltem(登録商標)(1700)およびSiltem(登録商標)(1500))。
【0041】
3.ポリイミドポリマー
ポリイミド(PI)ポリマーはイミドモノマーのポリマーである。イミドの一般的なモノマー構造は
である。
【0042】
イミドのポリマーは、一般に、複素環形態および線状形態である2つの形態のうちの1つをとる。それぞれの構造は以下である:
式中、Rは、広範囲の使用可能なPIポリマーを作製するために変えることができる。使用することができる具体的なPIの非限定的な例(即ち、6FDA-デュレン)を、以下の反応スキームにおいて説明する。
【0043】
本発明の文脈において使用することができる追加のPIポリマーは、米国公開公報2012/0276300に記載されており、これは参照により組み入られる。例えば、そのようなポリマーは、UV架橋性官能基およびペンデントヒドロキシ官能基の両方を含む:ポリ[3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BTDA-APAF))、ポリ[4,4′-オキシジフタル酸無水物-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン](ポリ(ODPA-APAF))、ポリ(3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物-3,3′-ジヒドロキシ-4,4′-ジアミノ-ビフェニル)(ポリ(BTDA-HAB))、ポリ[3,3′,4,4′-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン](ポリ(DSDA-APAF))、ポリ(3,3′,4,4′-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン-3,3′-ジヒドロキシ-4,4′-ジアミノ-ビフェニル)(ポリ(DSDA-APAF-HAB))、ポリ[2,2′-ビス-(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物-3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン](ポリ(6FDA-BTDA-APAF))、ポリ[4,4′-オキシジフタル酸無水物-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン-3,3′-ジヒドロキシ-4,4′-ジアミノ-ビフェニル](ポリ(ODPA-APAF-HAB))、ポリ[3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン-3,3′-ジヒドロキシ-4,4′-ジアミノ-ビフェニル](ポリ(BTDA-APAF-HAB))、およびポリ(4,4′-ビスフェノールA二無水物-3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BPADA-BTDA-APAF))。より一般的には、PIポリマーは、以下の式(I)を有し得る:
式中、ポリマーの長さまたは「n」は、典型的に1よりも大きいかまたは5よりも大きく、典型的に10〜10,000または10〜1000または10〜500であり、ここで、前記式(I)の−X1−は、
またはそれらの組み合わせであり、前記式(I)の−X2−は、−X1−と同じであるかまたは
もしくはそれらの組み合わせより選択され、前記式(I)の−X3−は、
またはそれらの組み合わせであり、−R−は、
またはそれらの組み合わせである。
【0044】
C.混合マトリックス高分子膜の作製
1.MOFの官能化および調整
混合マトリックス高分子膜は、先ずMOF(例えば、ZIF)を少なくとも1種類の官能基で官能化し、官能化されたMOFをポリマーへ付着させ、これを次いで膜を製造するために使用することによって、作製することができる。上記で説明したように、好ましい局面において、付着は共有結合によって行われ得、例えば、共有結合は、MOFからの官能基またはリンカーと、高分子マトリックスを構成するポリマーからの反応基との間で形成される。なおさらに、MOFは、単一の官能基または複数の官能基(例えば、2、3、4、5、6、7、またはそれより多い)を有し得、その結果、各MOFは、高分子マトリックスへの単一の付着または複数の付着を有し得る。なおさらに、各MOF上の官能基は、同じであり得、または異なる官能基であり得る。また、官能基を有するMOFは、高分子マトリックスと共に共有結合および非共有結合(例えば、水素結合またはファン・デル・ワールス相互作用)を形成することができる。図2を参照すると、イミダゾレート配位子が亜鉛金属と組み合わされて、ZIFを作製し、これを次いで官能化される。MOFを修飾するために使用することができる官能基またはリンカーの非限定的な例が、図2および3、ならびに本出願の発明の概要のセクションに提供されており、これらは全て参照により組み入れられる。特に、図2は、ジアミン(例えば、エチレンジアミンまたはEDA)によるZIFの官能化を規定し、これは、EDAとZIFとをアルコール中で混合し、続いて十分な時間の間(例えば、最長24時間)還流することによって行うことができる。これは、EDAが、ZIF上に存在する反応基(例えば、カルボン酸基)と反応し共有結合を形成することを可能にする。次いで、得られた混合物を真空下で乾燥させ、乾燥粉末を生成することができる(例えば、85℃、最長48時間)。特定の官能化ZIFが図2、4および5に示されるが(例えば、ZIF-8-90およびZIF-8-90-EDA)、他のイミダゾレート配位子および金属を使用して、様々なZIFを作製してもよい(上記を参照のこと)。さらに、官能基は、高分子膜に対するMOFの付着を可能にする任意の官能基であり得る。いくつかの態様において、MOFは必要な官能基を既に含有する。いくつかの態様において、MOFは修飾され官能化され得る。いくつかの局面において、MOFは、複数の異なる官能基で官能化されてもよい。例えば、官能基は、アミノ基、イミン基、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0045】
修飾または官能化ZIFを作製するための官能基の付加は、修飾ZIFの細孔サイズを調整するための手段を提供する。特に、修飾ハイブリッドZIFの細孔サイズは、イミダゾール配位子と導入される官能基との比率によって制御することができ、細孔サイズは、MOF上の配位子と官能基との比率を変えることによって調節され得る。その比率はZIFの細孔サイズに影響を与え、その細孔サイズは0.1〜5 nmであり得る。これらの細孔サイズは、所望の分子または化合物を標的化するために、特定のガスおよび他の化合物に対する膜の選択性を増加させるかまたは調整するために使用することができる。加えて、膜用のポリマーの選択もまた、膜の選択性を決定することができる。加えて、細孔サイズは、配位子の比率によってだけでなく、使用される配位子の種類によっても変わる。細孔サイズは、次の2つのパラメータによって制御することができる:一つは、配位子の比率(官能化された配位子に対する官能化されていない配位子)であり、もう一つは、ZIFとポリマーとの間のリンカーである。
【0046】
2.ポリマーに対するMOFの付着
次いで、官能化ZIFをポリマーまたはポリマーブレンドへ付着させることができる。付着は、ZIFの官能基/リンカーとポリマーの反応基との間の水素結合または共有結合またはファン・デル・ワールス相互作用によって行うことができる。図2、7、および8は、それぞれ、共有結合による付着を図示している。付着は、修飾ZIFの分散液を調製し(例えば、超音波処理を用いてクロロホルム中に該ZIFを分散させる)、ポリマー溶液(例えば、単一のポリマーまたは複数のポリマーの組み合わせが溶液に含まれ得る)を分散液へ添加し、次いで、混合物を十分な時間の間(例えば、最長24時間)撹拌し、ZIFの官能化された基/リンカーとポリマーの反応基との間で化学反応が生じることを可能にすることによって、得ることができる。図7は、ZIFとポリイミドポリマーとの間の具体的な共有結合の非限定的な例を提供する。
【0047】
3.混合マトリックス膜の作製および処理
高分子膜を作製するための多くの公知の方法が存在する。使用され得るそのような方法としては、エアキャスティング(即ち、溶解されたポリマー溶液を24〜48時間などの特定の設定時間内で溶媒の蒸発を制御する一連の空気流管下を通過させる)、溶媒またはエマルションキャスティング(即ち、溶解されたポリマーを移動ベルト上へ広げ、バスまたは液体を通過させ(ここで、バス内の液体は溶媒によって変化する)、それによって細孔が形成され、このように製造された膜をさらに乾燥する)、およびサーマルキャスティング(即ち、熱を用いて、所定の溶媒系中にポリマーを溶解させ、次いで、加熱された溶液を移動ベルト上へキャストし、冷却させる)が挙げられる。
【0048】
本発明の混合マトリックス高分子膜を作製するための特定の非限定的なプロセスを下記に提供する:
(1)ZIFが付着しているポリマーの溶液(ここで、ポリマーは適切な溶媒(例えば、クロロホルム)中に溶解されている)を得、ガラス板上へ溶液を注ぐ。ブレンドされた高分子膜については、溶液は、前記溶媒中に溶解された2、3、またはそれより多い異なるポリマーを有し得る。
(2)注がれた材料/ガラス板を、乾燥するまで最長2日間、温和な温度(約70℃)で真空オーブン中へ置く。
(3)乾燥後、膜厚を測定する(乾燥時は典型的に厚さ60〜100 um)。
(4)乾燥した膜を次いで以下のように処理することができる:
(i)プラズマ処理:ある非限定的な局面において、プラズマ処理は、反応性種を含むプラズマに高分子膜の表面の少なくとも一部分を供することを含み得る。プラズマは、10 W〜700 WのRF出力でRF放電に反応性ガスを供することによって発生させることができる。表面を反応性種に供する時間の長さは、15℃〜80℃の温度および0.1 Torr〜0.5 Torrの圧力で30秒〜30分間であり得る。広範囲の反応性ガスを使用することができる。特定の局面において、反応性ガスは、1:2までの比のO2およびCF4の混合物であり得、ここで、O2は0〜40 cm3/分の流量で提供され、CF4は30〜100 cm3/分の流量で提供される。
(ii)電磁処理:ある非限定的な局面において、電磁処理は、放射線源から一定の距離で、指定された量の時間の間、選択された放射線(例えば、UV放射線、マイクロ波、レーザー源など)に膜を供することによって行うことができる。例えば、膜は、30〜500分間または60〜300分間または90〜240分間または120〜240分間、前記放射線で処理することができる。
(iii)熱処理:熱処理について、そのような処理は、選択された温度で、選択された時間の間、熱処理炉において行うことができる。例えば、膜は、100〜400℃または200〜350℃または250〜350℃の温度で12〜96時間または24〜96時間または36〜96時間、熱処理することができる。
(iv)処理(i)、(ii)または(iii)の任意の組み合わせを所定の膜に対して使用することができる。また、処理の全てを所定の膜に対して使用することができる。処理の順序は、互いに重なり合ってもよく、または順繰りに行われてもよい。
(5)処理済み混合マトリックス膜は、次いで、様々なガスの単一ガス透過について試験され得る。
【0049】
あるいは、付着したZIFを有するポリマーを、前記エネルギー処理に供し、次いで、処理済み膜を形成するために使用することができる(例えば、ポリマーを処理し、次いで、処理済み膜を形成するために使用することができ、または、ポリマーを処理しかつ形成された膜をさらに処理して、処理済み膜を形成することができる)。この意味において、工程(4)を削除し、かつ工程(1a)(この工程において、工程(1)からのMOF/ポリマーを工程(2)または(3)の前に前記エネルギー処理(即ち、(i)〜(iv))に供する)を加えることができ、または工程(1a)を工程(4)と組み合わせて使用することができる。
【0050】
透過について、試験は単一ガス測定に基づき、ここでシステムは排気されている。次いで、膜を所望のガスで3回パージする。膜をパージに続いて最大8時間試験する。第2のガスを試験するために、システムを再び排気し、この第2のガスで3回パージする。このプロセスを任意の追加のガスについて繰り返す。透過試験は、固定された温度(20〜50℃、好ましくは25℃)および圧力(好ましくは2 atm)に設定される。追加の処理を、例えば、化学物質、e-ビーム、ガンマ線などを用いて行うことができる。
【0051】
処理済み混合マトリックス膜は、膜のポリマーとMOFとの間で浸透ガス分子よりも大きい非選択的な界面ボイドを完全に排除することができるか(ボイドフリー)、またはポリマー/MOF界面間に存在するボイドの大部分または全てのサイズを5オングストローム未満に減少させることができる(実質的にボイドフリー)。これらのボイドの減少または排除は膜の選択性を効果的に改善する。
【0052】
加えて、開示される膜を製造する材料および方法は、膜中における指定数のMOFの正確な配置を可能にする。加えて、特異的な分子相互作用または直接的な共有結合は、ポリマーまたは膜上のMOFの秩序化または配向を促進するために使用され得る。そのような方法はまた、モレキュラーシーブ/ポリマー界面での欠陥を排除するかまたは減少させることができる。
【0053】
D.膜用途
本発明の膜は、広範囲の商業的用途を有する。例えば、石油化学工業および化学工業に関して、He、N2、およびO2などの純粋なまたは濃縮されたガスを供給する多数の石油化学/化学プロセスが存在し、これらはそのようなガスを精製または濃縮するために膜を使用する。さらに、化学プロセス廃棄物からおよび天然ガス流からのCO2およびH2Sなどのガスの除去、回収、および再使用は、そのようなガスの製造に関する政府規制の順守のために、ならびに環境要因のために、非常に重要である。また、オレフィンおよびパラフィンガスの効率的な分離は、石油化学工業において重要である。そのようなオレフィン/パラフィン混合物は、水蒸気分解ユニット(例えば、エチレン製造)、接触分解ユニット(例えば、自動車用ガソリン製造)、またはパラフィンの脱水に由来し得る。本発明の膜は、これらならびに他の用途の各々において使用することができる。例えば、実施例に示されているように、処理済み膜は、H2/N2、H2/CH4、またはCO2/CH4ガス分離用途に特に有用である。
【0054】
本発明の膜は、液体またはガス相中の特定の化学種の精製、分離または吸着において使用することができる。ガスの対の分離に加えて、膜はまた、タンパク質または他の熱的に不安定な化合物を分離するために使用することができる。膜はまた、ガスを反応容器へ輸送するためにおよび容器から細胞培養培地を移動するために、発酵槽およびバイオリアクターにおいて使用され得る。さらに、膜は、空気もしくは水流からの微生物の除去、浄水、連続発酵/膜パーベーパレーションシステムにおいけるエタノール製造、および/または空気もしくは水流中の微量化合物もしくは金属塩の検出もしくは除去において、使用することができる。
【0055】
別の場合において、膜は、液体混合物のパーベーパレーションによる分離において、例えば、水性排出物またはプロセス流体などの水からの有機化合物(例えば、アルコール、フェノール、塩素化炭化水素、ピリジン、ケトン)の除去において、使用することができる。例として、エタノール選択的である膜は、発酵プロセスによって得られた比較的薄いエタノール溶液(例えば、10%未満のエタノールまたは5%未満のエタノールまたは5〜10%のエタノール)においてエタノール濃度を増加させるために使用することができる。本発明の構成物および膜で意図されるさらなる液相分離例としては、パーベーパレーション膜プロセスによるガソリンおよびディーゼル燃料の深度脱硫が挙げられる(例えば、参照により組み入れられる、米国特許第7,048,846号を参照のこと)。硫黄含有分子に対して選択的である本発明の構成物および膜は、流動接触分解(FCC)に由来するおよび他のナフサ炭化水素流から硫黄含有分子を選択的に除去するために使用することができる。さらに、本発明の構成物および膜で分離することができる有機化合物の混合物としては、酢酸エチル-エタノール、ジエチルエーテル-エタノール、酢酸-エタノール、ベンゼン-エタノール、クロロホルム-エタノール、クロロホルム-メタノール、アセトン-イソプロピルエーテル、アリルアルコール-アリルエーテル、アリルアルコール-シクロヘキサン、ブタノール-酢酸ブチル、ブタノール-1-ブチルエーテル、エタノール-エチルブチルエーテル、酢酸プロピル-プロパノール、イソプロピルエーテル-イソプロパノール、メタノール-エタノール-イソプロパノール、および/または酢酸エチル-エタノール-酢酸が挙げられる。
【0056】
特定の場合において、本発明の膜は、空気浄化、石油、精製所、天然ガス産業におけるガス分離プロセスにおいて使用することができる。そのような分離の例としては、化学プロセス廃棄物流からおよび燃焼排ガス流からの揮発性有機化合物(例えば、トルエン、キシレン、およびアセトン)の分離が挙げられる。そのような分離のさらなる例としては、天然ガスからのCO2の分離、アンモニアパージガス流中のN2、CH4およびArからのH2の分離、精製所におけるH2回収、オレフィン/パラフィン分離、例えば、プロピレン/プロパン分離、およびイソ/ノルマルパラフィン分離が挙げられる。分子サイズが異なるガスの任意の所定の対または群、例えば、窒素および酸素、二酸化炭素およびメタン、水素およびメタン、または一酸化炭素、ヘリウムおよびメタンは、本明細書に記載のブレンドされた高分子膜を使用して分離することができる。2種類を超えるガスを第3のガスから除去することができる。例えば、本明細書に記載の膜を使用して未処理天然ガスから選択的に除去され得るガス成分のいくつかとしては、二酸化炭素、酸素、窒素、水蒸気、硫化水素、ヘリウム、および他の微量ガスが挙げられる。選択的に保持され得るガス成分のいくつかとしては炭化水素ガスが挙げられる。さらなる場合において、膜は、少なくとも2、3、4、またはそれよりも多くの種類のガスを含むガスの混合物に対して使用することができ、その結果、選択されたガスは膜を通過するが(例えば、透過したガスまたは透過したガスの混合物)、残りのガスは膜を通過しない(例えば、保持されたガスまたは保持されたガスの混合物)。
【0057】
さらに、本発明の膜は、水から有機分子を分離するために(例えば、パーベーパレーションによって水からエタノールおよび/またはフェノール)、ならびに水からの金属(例えば、水銀(II)イオンおよび放射性セシウム(I)イオン)および他の有機化合物(例えば、ベンゼンおよびアトラゼン)の除去のために、使用することができる。
【0058】
本発明の膜のさらなる使用としては、水の除去によってエステル化収率を高めるための親水性膜の使用と類似した様式での、特定の生成物の選択的除去によって平衡により制限される反応の収率を高めるための化学反応器におけるそれらの使用が挙げられる。
【0059】
本発明の膜はまた、シート、チューブ、スパイラル、または中空糸などの任意の好都合な形態に作ることができる。それらはまた、UV処理および熱処理された選択的薄層と、異なるポリマー材料を含む多孔性支持層とが組み込まれた、薄膜複合膜に組み立てることができる。
【0060】
表1は、本発明のいくつかの特定の非限定的なガス分離用途を含む。
【0061】
(表1)
【実施例】
【0062】
本発明を具体例によってより詳細に説明する。以下の実施例は、例示目的のためにのみ提供され、決して本発明を限定することを意図しない。当業者は、本質的に同じ結果を得るために変更または改変され得る様々な重要ではないパラメータを容易に認識するだろう。
【0063】
実施例1
(ハイブリッドZIF-8-90の合成)
250 mLのMeOH中の100 mmolのギ酸ナトリウム、(100-x) mmolの2-メチルイミダゾールおよびx mmolのカルボキサルデヒド-2-イミダゾールの溶液を調製した。OHC-IM配位子をさらに溶解するために、透明になるまで溶液を50℃へ加熱した。別の溶液を25 mmolのZn(NO3)2・6H2Oおよび250 mLの脱イオン化H2Oで調製した。MeOH溶液を室温へ冷却した後、Zn塩溶液を前の溶液中へ注ぎ、室温で2時間撹拌した。得られた乳白色沈殿物を遠心分離によって収集した。次いで、沈殿物を100 mLのMeOH中に分散させ、3回洗浄した。粉末を48時間真空下で85℃にてオーブン中において乾燥させた(図4)。
【0064】
実施例2
(ZIF-8-90-EDAの合成)
2 mlのエチレンジアミンおよび2 gのハイブリッドZIF-8-90を100 mlのメタノール中に混合し、N2雰囲気下で24時間還流した。反応混合物を室温へ冷却した。粉末を遠心分離によって収集し、メタノールで3回洗浄した。粉末を48時間真空下で85℃にてオーブン中において乾燥させた(図5)。
【0065】
実施例3
(ポリイミド6FDA-デュレンの合成)
250 mLの三つ口丸底フラスコへ、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(10 mmol)および2,3,5,6-テトラメチル-p-フェニレンジアミン(10 mmol)を30 mlの無水NMP中に溶解し、N2雰囲気下で24時間撹拌した。次いで、226.6 mmol無水酢酸および11.55 mmolのピリジンを反応溶液に添加し、48時間撹拌した。ポリマーをメタノールから3回沈殿させた。白色ポリマーが得られ、120℃にて真空下で48時間乾燥させた(図6)。
【0066】
実施例4
(ハイブリッドZIF-8-90-EDA/ポリイミド/PIM混合マトリックス膜の作製)
0.5 gのPIM-1または6FDA-デュレンまたはこれらのブレンドを15 mlのCHCl3中に溶解した。0.25μmフィルムによって濾過した後、溶液を超音波処理下で0.25 gの修飾ZIF-8-90-EDAと混合した。得られた混合物を、ガラス板を有するスチールリングにおいてキャストし、室温で溶媒を蒸発させた。この膜を、残った溶媒を除去するために120℃にて一晩真空オーブン中でさらに乾燥させた(図7)。
【0067】
実施例5
(プラズマ処理前の製造された混合マトリックス膜のモルホロジー)
40 kVおよび40 mAでCuKα放射線(λ = 1.54059 Å)を使用してトランスミッションジオメトリーでBruker D8 ADVANCE回折計において、粉末X線回析(XRD)パターンを室温で記録した。電界放射型走査電子顕微鏡(SEM)写真をFEI Quanta 600 FEGによって撮影した。窒素物理吸着等温線を自動体積測定吸着装置(Micromertics ASAP 2420)において77 Kで測定した。サンプルをガラスアンプル中へ充填し、吸着測定開始前に24時間393 Kにて高真空中で脱気した。赤外線スペクトルを、Nicolet 6700 FTIR分光光度計を使用してサンプルのKBrペレットから得た。単一ガス透過測定を、特注のガス透過計を用いて行った。透過計は、上流圧力変換器と下流圧力変換器とを分けるステンレス鋼透過セルからなる。透過セルを堅く密閉し、一定体積透過システムに装着した。システムリーク率が最小限になるまで、サンプルの両面へ真空を適用した。各ガスを試験する前に、1〜2時間のリークデータを収集する。純ガス透過測定を35℃および約2 Barの上流圧力で行った。
【0068】
SEM、XRDおよびBETの結果は、ZIF-8-90-EDAが結晶性かつ多孔性であることを示している(図8)。特徴的なピークである1680 cm-1は、ZIF-90およびZIF-8-90中のアルデヒド基中のC=Oの非対称伸縮に起因すると考えられた。ZIF-8-90がエチレンジアミンと反応した場合、特徴的なピークである1680 cm-1は消滅し、1652 cm-1での新しいピークが出現し、これは、得られたZIF-8-90-EDAのC=Nの伸縮の特徴的なピークに起因すると考えられた(図9)。ZIF-8-90がエチレンジアミンと反応した場合、得られたZIF-8-90-EDAの細孔サイズはより小さくなった(図10)。ポリイミド6FDA-デュレンについて、ZIF-8-90と混合された後、1786 cm-1(イミド基中のC=Oの非対称伸縮)および1725 cm-1(イミド基中のC=Oの対称伸縮)でのイミド基の特徴的なピークの強度は低下し、1571 cm-1(アミド基中のC-Nの伸縮)でのアミド基が出現した(図11)。SEM画像から、ZIF-8-90-EDAとポリイミドとの間のボイドが存在しないことが理解され得る(図12)。
【0069】
実施例6
(ハイブリッドZIF-8-90 EDA/ポリイミド混合マトリックス膜のプラズマ処理)
実施例4からの膜を、Nanoplas (DSB 6000 Boost)機器を使用してプラズマ処理に供した。膜をチャンバの中心に置き、表2に示される作動条件に供した。
【0070】
(表2)
【0071】
追加の膜をさらに作製し、紫外線光を用いてかつ表2中のプロセスに従って処理した。それらの詳細を表3および4に提供する。
【0072】
実施例7 (透過性および選択性データ)
ガス輸送特性を、可変圧力(一定体積)法を用いて測定した。超高純度ガス(99.99%)を全ての実験について使用した。膜を透過セル中に搭載し、その後、装置全体を脱気する。次いで、透過ガスを上流面上に導入し、圧力変換器を用いて下流面上の透過圧力をモニタリングする。公知の定常状態透過速度、膜を横切っての圧力差、透過可能な面積、およびフィルム厚から、透過係数が決定される(純ガス試験)。透過係数P [cm3(STP)・cm/cm2・s・cmHg ]は、以下の等式によって決定される:
式中、Aは膜面積(cm2)であり、Lは膜厚(cm)であり、pは、上流および下流間の差圧(MPa)であり、Vは下流の体積(cm3)であり、Rは一般気体定数(6236.56 cm3・cmHg/mol・K)であり、Tはセル温度(℃)であり、dp/dtは透過速度である。
【0073】
ポリマー膜のガス透過性は、バーラー(Barrer)の単位を有する平均透過係数によって特徴付けられる。1バーラー= 10-10 cm3(STP)・cm/cm2・s・cmHg。ガス透過係数は、溶解-拡散メカニズムに基づいて説明され得、これは以下の等式によって示される:
P = D × S
式中、D (cm2/s)は拡散係数であり;S (cm3 (STP)/ cm3・cmHg)は溶解度係数である。
【0074】
拡散係数を、以下の等式によって示される、タイム-ラグ法によって計算した:
式中、θ(s)はタイム-ラグである。いったんPおよびDが計算されると、見掛けの溶解度係数S (cm3(STP)/ cm3・cmHg)が、以下の式によって計算され得る。
【0075】
ガス分離において、膜選択性は、2種類(またはそれよりも多い)化学種に対する膜の分離能力を比較するために使用される。別の成分(B)に対するある成分(A)についての膜選択性は、以下の、それらの透過性の比率によって与えられる。
【0076】
純ガス透過性の比率から得られる選択性は、理想的な膜選択性または理想的な透過選択性と呼ばれる。これは膜材料の固有特性である。ガスBに対するガスAについての高密度膜の理想的な選択性は、以下のように定義される。
【0077】
作製された膜についての透過性および理想的な選択性データを、それぞれ、表3および4に提供する。図13〜16は、様々なガス分離用途についての公知のRobeson上限トレードオフ曲線を参照した、作製された膜についてのさらなる選択性データを提供する。
【0078】
実施例8
(紫外線処理および透過性/選択性データ)
実施例4からの膜を、312 nm波長でUVランプを使用して紫外線光に供した。膜をチャンバの中心に置き、表5に示される作動条件に供した。
【0079】
(表5)
【0080】
作製された膜についての透過性および理想的な選択性を、実施例7において記載されるように測定した。それぞれ、表6および7に提供する。
【0081】
(表3)透過性データ
【0082】
(表4)理想的な選択性データ
【0083】
(表6)透過性データ
【0084】
(表7)理想的な選択性データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16