特許第6203399号(P6203399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203399
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】二次電池用電極及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/1395 20100101AFI20170914BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 4/80 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01M4/1395
   H01M4/04 A
   H01M4/80 C
   H01M4/38 Z
   H01M4/66 A
   H01M4/134
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-527957(P2016-527957)
(86)(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公表番号】特表2016-529657(P2016-529657A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】KR2014010311
(87)【国際公開番号】WO2015108268
(87)【国際公開日】20150723
【審査請求日】2016年1月15日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0004972
(32)【優先日】2014年1月15日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0148783
(32)【優先日】2014年10月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513003301
【氏名又は名称】ジェナックス インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】516015336
【氏名又は名称】ハンバッ ナショナル ユニバーシティ インダストリー−アカデミック コーオペレイション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ ヨンミン
(72)【発明者】
【氏名】ユ ミョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ソンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジェチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム チャンヒョン
【審査官】 正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−305781(JP,A)
【文献】 特開2002−289180(JP,A)
【文献】 特開2004−171904(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0040951(US,A1)
【文献】 特開2003−142088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00−4/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気孔を形成する金属繊維を含む不織布型集電体をプラズマ反応炉の内部に提供する段階と、
活物質を含む金属、準金属及びその酸化物、またはこれらが混合したスパッタリングターゲットを前記プラズマ反応炉の内部に提供する段階と、
プラズマを用いたスパッタリング法により、前記気孔を介して前記金属繊維上に非放射状に形成された活物質層を蒸着する段階と、を含み、
圧縮応力の印加のために、前記金属繊維と、前記金属繊維上に形成された前記活物質層との断面構造であって、前記金属繊維の長手方向に垂直な前記断面構造が、下記数式1による決まる円形度が0.2ないし0.8の範囲内の値を有することで、二次電池の充電時に前記活物質層が弾性挙動を有し、
[数式1]
(前記Aは、前記金属繊維と、前記金属繊維上に形成された前記活物質層との断面構造の全体断面の面積であり、前記Pは、前記断面構造の周りの長さである。)
スパッタリングターゲットから脱着された活物質のクラスタ、中性種、またはイオン種の直進性によって、前記活性物質層の円形度が調節される、ことを特徴とする二次電池用電極の製造方法。
【請求項2】
前記不織布型集電体は、前記プラズマ反応炉内に、前記不織布型集電体の主面の対向面がプラズマに全て露出するように浮揚されたことを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項3】
前記活物質層は、前記不織布型集電体の表面から内部まで蒸着されたことを特徴とする
請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項4】
前記プラズマ反応炉の内部は、反応性ガスの注入により酸化性雰囲気または還元性雰囲気を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項5】
前記気孔のサイズは、プラズマのシース(sheath)のサイズと同じであるか、またはそれよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項6】
前記気孔のサイズは、0.01mmないし2mmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項7】
前記金属繊維の直径は、1μmないし200μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項8】
前記金属または準金属は、スズ(Sn)、シリコン(Si)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、砒素(As)、ガリウム(Ga)、鉛(Pb)及び鉄(Fe)からなるグループから選択されたいずれか一つまたはこれらの金属間化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項9】
前記金属繊維は、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、チタン、バナジウム、タングステン、マンガン、コバルト、亜鉛、ルテニウム、鉛、イリジウム、アンチモン、白金、銀、金またはこれらの合金のうちいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項10】
表面から内部に連続した気孔を形成する金属繊維を含む不織布型集電体と、
プラズマを用いたスパッタリング法により、前記気孔を介して前記金属繊維上に非放射状に蒸着された活物質層と、を含み、
圧縮応力の印加のために、前記金属繊維と、前記金属繊維上に形成された前記活物質層との断面構造であって、前記金属繊維の長手方向に垂直な前記断面構造が、下記数式1による決まる円形度が0.2ないし0.8の範囲内の値を有することで、二次電池の充電時に前記活物質層が弾性挙動を有し、
[数式1]
(前記Aは、前記金属繊維と、前記金属繊維上に形成された前記活物質層との断面構造の全体断面の面積であり、前記Pは、前記断面構造の周りの長さである。)
スパッタリングターゲットから脱着された活物質のクラスタ、中性種、またはイオン種の直進性によって、前記活性物質層の円形度が調節される、ことを特徴とする二次電池用電極。
【請求項11】
前記断面構造は、楕円状を有することを特徴とする請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項12】
前記活物質層は、前記不織布型集電体の表面から内部まで蒸着されたことを特徴とする請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項13】
前記気孔のサイズは、プラズマのシース(sheath)のサイズと同じであるか、またはそれよりも大きいことを特徴とする請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項14】
前記気孔のサイズは、0.01mmないし2mmの範囲内であることを特徴とする請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項15】
前記金属繊維の直径は、1μmないし200μmの範囲内であることを特徴とする請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項16】
前記金属または準金属は、スズ(Sn)、シリコン(Si)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、砒素(As)、ガリウム(Ga)、鉛(Pb)及び鉄(Fe)からなるグループから選択されたいずれか一つまたはこれらの金属間化合物を含むことを特徴とする請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項17】
前記金属繊維は、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、チタン、バナジウム、タングステン、マンガン、コバルト、亜鉛、ルテニウム、鉛、イリジウム、アンチモン、白金、銀、金またはこれらの合金のうちいずれか一つであることを特徴とする請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項18】
前記金属繊維は、表面粗さ調整のために酸洗処理されたことを特徴とする請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項19】
前記プラズマ反応炉内の流量、圧力、電源強度、電極の間隔を調整することで、前記直進性が調節される、請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の技術に係り、より詳しくは、バインダーフリー二次電池用電極及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、可逆性に優れた電極材料を使用して充電及び放電が可能な電池であって、代表的にリチウム二次電池が常用化されていた。前記リチウム二次電池は、スマートフォン、ポータブルコンピュータ及び電子ペーパーなどの小型IT機器の小型電力源だけでなく、自動車などの移動手段に搭載されたり、スマートグリッドなどの電力供給網の電力保存所に使われる中大型電力源としても、その応用が期待されている。
【0003】
リチウム二次電池の負極材料としてリチウム金属を使用する場合、デンドライトの形成により電池短絡が生じるか爆発の危険性があるため、負極には、前記リチウム金属の代わりに、リチウムの挿入及び脱離が可能な黒鉛及び人造黒鉛などの結晶質系炭素またはソフトカーボン及びハードカーボンと炭素系活物質が多く使われる。しかし、二次電池の応用が拡大するにつれて、二次電池の高容量化及び高出力化がさらに求められており、これによって、372mAh/gの理論容量を有する炭素系負極材料を代替できる、500mAh/g以上の容量を有するシリコン(Si)、スズ(Sn)またはアルミニウム(Al)などのリチウムと合金化が可能な非炭素系負極材料が注目されている。
【0004】
前記非炭素系負極材料のうちシリコンは、理論容量が約4,200mAh/gと最も高いため、容量の面においてその実用化が非常に重要である。しかし、シリコンは、充電時の体積が放電時に比べて約4倍増加するため、充放電過程で体積変化によって活物質間の電気的連結が破壊されたり、集電体から活物質が分離され、電解質による活物質の侵食によるLiOなどの固体性電解質インターフェース(Solid Electrolyte Interface:SEI)層の形成などの不可逆反応の進行とこれによる寿命短縮により、その実用化が困難である。
【0005】
これを解決するために、ナノサイズの活物質を製造する方法、グラフェンまたはカーボンを用いて活物質を表面改質する方法、及び様々な構造を有する物質を合成する方法が提案されていた。また、集電体ホイルの表面への湿式蝕刻を通じて、断面が半円状である多数のグルーブまたは多数の半球状溝を形成するか、集電体ホイルの上部に実質的に一端が集電体ホイルに固定されるように成長されたナノワイヤーを形成した後、活物質の物理気相蒸着により負極材の充放電による問題を解決しようとする技術を開示しているが、ナノワイヤーを一度に覆う活物質層が形成され、活物質の脱離問題、及びナノワイヤーによる体積に対して比表面積の効果的な向上が困難であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、体積膨脹率が大きく高容量の新しい活物質の実用化のためには、充放電時の体積変化による不可逆性を抑制しながら、体積に対して比表面積の効果的な向上が可能な二次電池用電極を提供することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする他の課題は、上述の利点を有する二次電池用電極の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の一実施形態による二次電池用電極は、表面から内部に連続した気孔を形成する金属繊維を含む不織布型集電体と、プラズマを用いたスパッタリング法により、前記気孔を介して前記金属繊維上に非放射状に蒸着された活物質層とを含む。
【0009】
一実施形態において、前記非放射状に蒸着された活物質層は、下記数式1により決まる円形度が0.2ないし0.8の範囲内の値を有する。
[数1]
(前記Aは、前記金属繊維と、前記金属繊維上に形成された前記活物質層との断面構造の全体断面の面積であり、前記Pは、前記断面構造の周りの長さである。)
【0010】
一実施形態において、前記断面構造は、楕円状を有する。
【0011】
一実施形態において、前記活物質層は、前記不織布型集電体の表面から内部まで蒸着される。この場合、前記気孔のサイズは、プラズマのシースのサイズと同じであるか、またはそれよりも大きい。前記気孔のサイズは、0.01mmないし2mmの範囲内である。
【0012】
一実施形態において、前記金属繊維の直径は、1μmないし200μmの範囲内である。また、前記金属または準金属は、スズ(Sn)、シリコン(Si)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、砒素(As)、ガリウム(Ga)、鉛(Pb)及び鉄(Fe)からなるグループから選択されたいずれか一つまたはこれらの金属間化合物を含む。
【0013】
前記金属繊維は、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、チタン、バナジウム、タングステン、マンガン、コバルト、亜鉛、ルテニウム、鉛、イリジウム、アンチモン、白金、銀、金またはこれらの合金のうちいずれか一つである。前記金属繊維は、表面粗さ調整のために酸洗処理されることもある。
【0014】
前記他の課題を解決するための本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法は、気孔を形成する金属繊維を含む不織布型集電体をプラズマ反応炉の内部に提供する段階と、活物質を含む金属、準金属及びその酸化物、またはこれらが混合したスパッタリングターゲットを前記反応チャンバーの内部に提供する段階と、プラズマを用いたスパッタリング法により、前記気孔を介して前記金属繊維上に非放射状に形成された活物質層を蒸着する段階とを含む。
【0015】
一実施形態において、前記非放射状に蒸着された活物質層は、下記数式1により決まる円形度が0.2ないし0.8の範囲内の値を有する。
[数1]
(前記Aは、前記金属繊維と、前記金属繊維上に形成された前記活物質層との断面構造の全体断面の面積であり、前記Pは、前記断面構造の周りの長さである。)
【0016】
一実施形態において、前記不織布型集電体は、前記プラズマ反応炉内に、前記不織布型集電体の主面の対向面がプラズマに全て露出するように浮揚される。前記活物質層は、前記不織布型集電体の表面から内部まで蒸着される。前記プラズマ反応炉の内部は、反応性ガスの注入により酸化性雰囲気または還元性雰囲気を有する。
【0017】
前記気孔のサイズは、プラズマのシースのサイズと同じであるか、またはそれよりも大きい。一実施形態において、前記気孔のサイズは、0.01mmないし2mmの範囲内である。前記金属繊維の直径は、1μmないし200μmの範囲内である。
【0018】
前記金属または準金属は、スズ(Sn)、シリコン(Si)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、砒素(As)、ガリウム(Ga)、鉛(Pb)及び鉄(Fe)からなるグループから選択されたいずれか一つまたはこれらの金属間化合物を含む。前記金属繊維は、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、チタン、バナジウム、タングステン、マンガン、コバルト、亜鉛、ルテニウム、鉛、イリジウム、アンチモン、白金、銀、金またはこれらの合金のうちいずれか一つである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態によれば、気孔を形成する金属繊維を含む不織布型集電体の前記金属繊維上に、プラズマを用いたスパッタリング法により非放射状に活物質層を蒸着することで、体積膨脹率が大きく高容量の活物質の充放電時に発生する引張応力を抑制し、活物質層の脱離などの不可逆性を抑制しながら、体積に対して比表面積の効果的な向上により、エネルギー密度の改善が可能な二次電池用電極が提供できる。
【0020】
また、本発明の他の実施形態によれば、プラズマを用いたスパッタリング法により、上述の利点を有する非放射状の活物質層が形成された不織布型集電体の電極をバインダーフリー方式により乾式製造できる二次電池用電極の製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態による不織布型集電体を示す斜視図である。
図2A】本発明の実施形態による活物質層が蒸着された金属繊維の断面構造を示す図面である。
図2B】本発明の実施形態による活物質層が蒸着された金属繊維の断面構造を示す図面である。
図3A】本発明の様々な実施形態によるスパッタリングによる電極形成方法を示す図面である。
図3B】本発明の様々な実施形態によるスパッタリングによる電極形成方法を示す図面である。
図4A】本発明の一実施形態による金属繊維上の非放射状に形成された活物質層が充電時にリチウム化されながら行われるリチウム化層の成長段階を示す図面である。
図4B】本発明の一実施形態による金属繊維上の非放射状に形成された活物質層が充電時にリチウム化されながら行われるリチウム化層の成長段階を示す図面である。
図4C】本発明の一実施形態による金属繊維上の非放射状に形成された活物質層が充電時にリチウム化されながら行われるリチウム化層の成長段階を示す図面である。
図4D】当該成長段階における応力変化を示すグラフである。
図5A】比較例による金属繊維上の放射状に形成された活物質層が充電時にリチウム化されながら行われるリチウム化層の成長段階を示す図面である。
図5B】比較例による金属繊維上の放射状に形成された活物質層が充電時にリチウム化されながら行われるリチウム化層の成長段階を示す図面である。
図5C】比較例による金属繊維上の放射状に形成された活物質層が充電時にリチウム化されながら行われるリチウム化層の成長段階を示す図面である。
図5D】当該成長段階における応力変化を示すグラフである。
図6】本発明の一実施形態による電極を用いた電池セルの電気化学的反応を説明するための断面図である。
図7】金属繊維上に非放射状に蒸着されたシリコン活物質層を示す図面である。
図8A】実施例1の電池に300mA/gの一定の電流を印加して測定された放電特性を示すグラフである。
図8B】比較例1の電池に300mA/gの一定の電流を印加して測定された放電特性を示すグラフである。
図9】実施例1の電池及び比較例1の電池にそれぞれ2,000mA/gの同一電流を印加し、200回充放電を行って得られた測定結果を示すグラフである。
図10A】実施例1による電極の充放電前の走査電子顕微鏡イメージである。
図10B】実施例1による電極の充放電後の走査電子顕微鏡イメージである。
図11】比較例1による電極の充放電前及び充放電後の光学イメージである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0023】
本発明の実施形態は、当業者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施形態は、色々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記の実施形態に限定されるものではない。かえって、それらの実施形態は、本開示をさらに充実かつ完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0024】
また、以下の図面において、各層の厚さやサイズは、説明の便宜及び明確性のために誇張されたものであり、図面上で、同じ符号は同じ要素を指す。本明細書で使われたように、用語“及び/または”は、当該列挙された項目のうちいずれか一つ及び一つ以上の全ての組み合わせを含む。
【0025】
本明細書で使われた用語は、特定の実施形態を説明するために使われ、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使われたように、単数の形態は、文脈上明確に取り立てて指摘するものでなければ、複数の形態を含む。また、本明細書で使われる場合、“含む(comprise)”及び/または“含んだ(comprising)”は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素及び/またはそれらのグループの存在を特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素及び/またはそれらのグループの存在または付加を排除するものではない。
【0026】
スズ(Sn)、シリコン(Si)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、砒素(As)、ガリウム(Ga)、鉛(Pb)及び鉄(Fe)などの次世代の負極活物質材料は、リチウム二次電池への応用時、繰り返し充放電の間に体積変化率が大きい。例えば、シリコン負極活物質の場合、リチウムイオンがシリコン負極活物質と電気化学的反応によりLiSi化合物(alloy)を形成する反応は、シリコン負極活物質の表面から進められる。この場合、まだ反応しないシリコン内部(pristine−Si)とリチウム化合物層(LiSi)との界面に鋭い境界面が存在することになる。リチウム化が行われるほど、リチウム化合物層がさらに大きくなり、最終的にシリコン粒子の全体がLiSi化合物に変わると、電気化学反応は終了する。
【0027】
シリコン負極活物質層の内部は、リチウム化過程で反応しないシリコン内部層とリチウム化合物層とが共存し、リチウム化が行われ、リチウム化合物層が内部にシリコン粒子を取り囲む瞬間からリチウム化合物層に引張フープ応力が生じることになる。当該引張フープ応力が、シリコン粒子の表面割れ及び破壊の主な要因である。
【0028】
しかし、本発明者らは、シリコンなどの負極活物質材料は、圧縮応力の場合に引張応力に比べてより高い強度を有するため、引張フープ応力よりも10倍以上の大きさを有する圧縮応力が生じるとしても、負極活物質層の表面割れ及び破壊はよく生じない点に着眼して、リチウム化反応の間に表面の引張フープ応力を防止したり最小化し、負極活物質層の表面割れを防止できる本発明を導き出した。
【0029】
本発明の実施形態によれば、スパッタリング法による負極活物質層の断面円形度の制御により、前記引張フープ応力を抑制及び減少させることで、リチウム化時に発生する体積膨脹によるクラックと、それによる不可逆的な寿命短縮が効果的に改善できる。下記の実施形態は、三次元構造の不定型配列により気孔を形成する金属繊維を含む不織布型集電体の前記金属繊維上に、体積膨脹率が大きい活物質層をスパッタリング法により蒸着した二次電池用電極及びその製造方法に関する。
【0030】
本明細書で使われる金属繊維は、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、銅またはこれらの合金などの金属が纎維化された線状構造体を指す。前記金属繊維は、金属が有する耐熱性、可塑性及び電気伝導性を有し、かつ纎維特有の不織布加工工程が可能であるという利点を共に有する。本発明は、このような金属繊維の利点を電池の電極構造に適用した特徴及び利点に関する。
【0031】
前記金属繊維は、容器内で金属または合金を溶湯状態に維持し、圧縮ガスまたはピストンなどの加圧装置を用いて、容器の射出孔を介して前記溶湯を大気中に噴出させて急冷凝固させることによって製造される。または、金属繊維は、公知の集束引抜法により製造される。前記射出孔の個数、サイズ及び/または射出された溶融金属の飛び上がりを制御することで、金属繊維の厚さ、均一度、不織布などの組織及びその縦横比を制御することができる。本発明の電池を構成する金属繊維は、上述の製造方法だけでなく、他の公知の製造方法による金属繊維を含み、本発明がこれに限定されるものではない。
【0032】
本明細書で使われる‘分離膜’という用語は、前記分離膜と親和性の少ない液体電解質を使用する液体電解質電池において一般的に通用する分離膜を含む。さらに、本明細書で使われる‘分離膜’は、電解質が分離膜に強く束縛され、電解質と分離膜とが同一なものと認識される真性固体ポリマー電解質、及び/またはゲル固体ポリマー電解質を含む。したがって、前記分離膜は、本明細書で定義するところによって、その意味が定義されなければならない。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態による不織布型集電体10を示す斜視図である。
【0034】
図1を参照すれば、不織布型集電体10は、気孔10Pを形成する金属繊維10Wを含む。金属繊維10Wは、好適な長さを有するようにセグメント化されて複数個である。本発明の実施形態において、金属繊維10Wの長さ及び個数は、電池のサイズ及び容量によって適宜選択できる。例えば、金属繊維10Wは、1μmないし200μmの範囲内の厚さを有し、5mmないし1000mmの範囲内の長さを有することで、25ないし10の縦横比を有する。
【0035】
例えば、直径10μmの金属繊維10Wが三次元構造体で形成された不織布型集電体10は、直径12mmの円形を基準として表面積が約13cmであって、同一重さの金属薄膜集電体を使用した場合の表面積である2cmと比較する場合、約6倍以上の表面積差を有することになる。これに蒸着される活物質層との関係で、増加した面積で低抵抗界面を形成し、内部抵抗が顕著に減少する。
【0036】
図1に示す金属繊維10Wの形状は、大体的な直線と曲がった形態を表しているが、本発明の他の実施形態として、金属繊維10Wは、カール状または螺旋状などの他の規則的または不規則な形状を有するように成形されてもよい。
【0037】
金属繊維10Wは、互いに物理的接触または化学的結合により電気的に接続され、一つの導電性ネットワークを形成する。一部の実施形態において、金属繊維10Wは、図1に示すように、ランダムに配列されて互いに締結される不織布構造を有する。金属繊維10は、反ったり、折られたりして絡み合うことで、気孔10Pを有しながらも機械的に堅固な低抵抗の導電性ネットワークを形成することになる。気孔10Pは、不織布型集電体10の表面から内部への流体のフローが可能な通路を形成する。
【0038】
金属繊維10Wは、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、チタン、バナジウム、タングステン、マンガン、コバルト、亜鉛、ルテニウム、鉛、イリジウム、アンチモン、白金、銀、金またはこれらの合金であり、好ましくは、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、チタン、白金、銀、金またはこれらの合金のうちいずれか一つである。一実施形態において、金属繊維10Wは、二つ以上の異なる種類の金属を含む。一部の実施形態において、熱処理などの更なる工程により、これら間の金属間化合物の形成による化学的結合が達成される。金属繊維10Wは、活物質層との接合力向上のため、表面粗さを増加させるために酸洗処理されることもある。
【0039】
前記導電性ネットワークを形成する金属繊維10Wは、互いに頼って機械的自立及び構造体形成が可能であり、それ自体が集電体として機能できるため、従来の集電体ホイル上で線状に成長されたナノ構造体またはカーボンナノチューブなどの粒子に近い線状構造とは区別される。
【0040】
図2A及び図2Bは、本発明の実施形態による活物質層100Aが蒸着された金属繊維10Wの断面構造を示す。
【0041】
図2Aを参照すれば、活物質層100Aは、プラズマを用いたスパッタリング法により、気孔(図1の10P)を介して拡散したりドリフトされた活物質の反応種またはイオン種が金属繊維10W上に蒸着されて形成される。このような乾式蒸着工程は、バインダーフリー工程であるので、バインダーによる内部抵抗減少及び導電材の必要性を取り除くことができるという利点がある。
【0042】
前記活物質層100Aは、不織布型集電体(図1の10)の表面から内部まで金属繊維10W上に形成される。前記イオン種が不織布型集電体10の内部まで充分にドリフトされるように、気孔のサイズ(気孔を通過する球体の直径)は、活物質層のスパッタリング時の反応条件で誘導されるプラズマのシースのサイズと同じであるか、またはそれよりも大きい。一実施形態において、気孔10Pのサイズは、0.01mmないし2mmの範囲内である。
【0043】
本発明の実施形態において、プラズマによる電界により、一定の方向、例えば、バルクプラズマから不織布型集電体10に向かって加速されるイオン種により蒸着が行われるため、活物質層100Aは、金属繊維10上に特定の方向にさらによく生成される。矢印Gで示したように、金属繊維10W上に形成された活物質層100Aの厚さは、上方へさらに厚い不等円的特性を有する。矢印Gの方向は、例えば、プラズマと不織布型集電体との間の電界方向と逆方向である。
【0044】
図2Bを参照すれば、金属繊維10W上に蒸着された活物質層100Bは、互いに逆方向の矢印G1、G2で示したように、金属繊維10Wの両方へさらに厚く成長された形状を有する。活物質層100Bの両方向への成長は、活物質層の蒸着のためのスパッタリング工程時に不織布型集電体の配置方向を180度回転することによって達成され、これについては、図3Bを参照して後述する。
【0045】
図2A及び図2Bを参照して説明したように、本発明の実施形態による活物質層100A、100Bは、金属繊維10W上に非放射状に形成される。前記活物質層100A、100Bの非放射状は、数式1に示す円形度により評価できる。前記円形度は、金属繊維10Wと、金属繊維10W上に形成された活物質層100A、100Bとの断面構造で、活物質層100A、100Bの外角周りの長さに対する断面構造の全体面積の比により決まる。
【0046】
【数1】
【0047】
ここで、Aは、前記金属繊維と、前記金属繊維上に形成された前記活物質層との断面構造の全体断面の面積であり、Pは、前記断面構造の周りの長さである。前記円形度は、走査電子顕微鏡から得られたイメージからImageJ(R)などの常用のソフトウェア、例えば、Imagej136を使用して測定される。または、シスメックス社製(神戸所在)のFPIA−3000(R)というイメージ分析機(flow particle image analyzer)により、前記円形度が測定される。
【0048】
前記円形度は、0.2ないし0.8の範囲内である。前記円形度が0.2未満である場合、活物質層は、複数の充放電により薄く蒸着された領域から活物質層の微分化が始まり、活物質層の寿命が低下する。逆に、前記円形度が0.8を超える場合には、後述するように、リチウム化層に印加される引張応力によって、活物質層100A、100Bの全体的なクラックまたは割れが生じやすい。前記クラックまたは割れにより露出した活物質層の内部表面へのSEI層の形成が促進され、電池の寿命低下をもたらす。
【0049】
前記活物質は、リチウムイオンの合金化/脱合金化、吸蔵/放出及び吸着/脱着のうちいずれか一つまたはこれらの組み合わせにより、前記リチウムイオンと電気化学的に反応する金属、準金属及びその酸化物またはこれらの混合物を含む。例えば、前記金属または準金属は、スズ(Sn)、シリコン(Si)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、砒素(As)、ガリウム(Ga)、鉛(Pb)及び鉄(Fe)からなるグループから選択されたいずれか一つまたはこれらの金属間化合物であり、これは例示的であり、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0050】
図3A及び図3Bは、本発明の様々な実施形態によるスパッタリングによる電極形成方法を示す。
【0051】
図3Aを参照すれば、プラズマ反応炉1000は、気体放電のための二つの電極、すなわち、アノードAEとカソードCEとを有する容量結合型反応炉である。プラズマ反応炉1000内に、スパッタリングターゲットTGを配置する。スパッタリングターゲットTGは、上述の活物質を含む金属、準金属及びその酸化物、あるいはこれらが混合した物質の焼成体または焼結体である。スパッタリングターゲットTGに対向して、不織布型集電体10が配置される。プラズマ反応炉の内部に、アルゴンなどの不活性放電ガスを調節された流量で流入(矢印A)させ、プラズマ反応炉1000の内部を排気(矢印B)することで、プラズマ反応炉1000の内部を一定の圧力に維持できる。一部の実施形態において、酸素及びオゾンなどの酸化性ガス、または窒素及び水素などの還元性ガスなどの反応性ガスが更に供給されることもある。次いで、カソードCEに電気的に結合された交流電源RFをターンオンさせると、プラズマ反応炉1000内に気体放電が誘導されることで、プラズマPLが形成される。
【0052】
プラズマPLは、矢印Kで示したように、アノードAEからカソードCEへ電界を形成し、スパッタリングターゲットTGから脱着された活物質のクラスタ、中性種またはイオン種が不織布型集電体10の方に伝達され、不織布型集電体10の金属繊維(図1の10W)上に蒸着される。プラズマ反応炉1000内の流量、圧力、電源強度、電極の間隔を調節して、前記クラスタ、中性種またはイオン種の直進性を調節することで、金属繊維上に蒸着される活物質層の円形度を制御することができる。直進性が増加する場合に円形度は減少し、直進性が大きくなる場合に円形度は増加する。また、本発明の一実施形態によれば、不織布型集電体10の気孔のサイズがプラズマPLのシースのサイズと同じであるか、またはそれよりも大きい場合、イオン種の直進性をさらに極大化して円形度を減少させることができる。
【0053】
図3Bを参照すれば、不織布型集電体10は、プラズマPLに不織布型集電体10の主面、すなわち、互いに対向する上面10Uと底面10Bの両方が露出するように、プラズマ反応炉1000内に浮揚される。このために、不織布型集電体10の一側を固定するための支持部材がプラズマ反応炉1000内に提供される。
【0054】
本発明によるスパッタリングによる電極形成方法において、プラズマ反応炉の内部の工程圧力は特に限定されないが、10−3ないし10−7Torrの範囲内であり、好ましくは、10−4ないし10−6Torrであり、より好ましくは、10−6Torrである。一般的にスパッタリングの場合、前記工程圧力が増加するにつれて、中性種、イオン種、反応種の散乱が増加し、接触が均一に形成された電極を形成させるが、10−3Torrを超える場合、スパッタリングされたイオンの散乱が過度に増加し、結局、イオン種が蒸着される際に密度が高くなり、熱力学的エネルギーを失ってしまうという問題点が発生し、10−7Torr未満である場合、イオンの散乱がよく発生せず、金属活物質、金属酸化物系活物質またはこれらが混合した活物質の蒸着がよく行われない。
【0055】
スパッタリング時、不織布型集電体の工程温度は特に限定されないが、0℃ないし200℃の範囲内であり、好ましくは、10℃ないし90℃であり、より好ましくは、10℃ないし80℃である。
【0056】
また、本発明によるスパッタリング時に注入されるアルゴンガスの流量は特に限定されないが、1cm/minないし50cm/minの範囲内であり、好ましくは、2cm/minないし30cm/minであり、より好ましくは、5cm/minないし20cm/minである。
【0057】
上述のプラズマ反応炉は、容量結合型反応炉に関するが、これは例示的であり、本発明の実施形態がこれに限定されるものではない。例えば、プラズマ反応炉は、誘導結合型、マグネトロン、電磁気共鳴などの他のプラズマソースを有し、必要に応じてリモートプラズマソースを含んでもよい。
【0058】
図4Aないし図4Cは、本発明の一実施形態による金属繊維上の非放射状に形成された活物質層が充電時にリチウム化されながら行われるリチウム化層100Lの成長段階を示しており、図4Dは、当該成長段階における応力変化を示すグラフである。前記グラフの横軸は、リチウム挿入が起こる充電時間を表し、縦軸は応力を表す。
【0059】
図4Aないし図4Cを参照すれば、本発明の実施形態のように、円形度が0.2以上0.8以下の活物質層にその表面上でリチウム化が始まる段階Aでは、まだリチウム化されない活物質層コア100Pに位置する代表的応力要素SEは、膨脹するリチウム化層100Lによって小さい引張応力を有する。段階Bのように次第にリチウム化が進められると、活物質層コア100Pの方に動くリチウム化層100Lの前段に位置する代表的応力要素SEには圧縮応力が印加される。しかし、段階Cが行われるとしても、リチウム化層100Lに位置する代表的応力要素SEには依然として圧縮応力が印加され、この領域は依然としてリチウム化層100Lが圧縮応力に対する弾性挙動を行う領域であるため、リチウム化層ではクラックや割れが生じない。
【0060】
図4Dを参照すれば、グラフにおける活物質層内で支配的な応力の変化は、段階Aで引張応力SAを有していて、段階Bで圧縮応力SBを有する。リチウム化層100Lが支配的な段階Cでは、そのまま圧縮応力SC1を有するか、微小な引張応力SC2を有することになる。
【0061】
円形度が0.2以上0.8以下であれば、活物質層コア100P上のリチウム化層100Lの表面には、圧縮応力σcompが印加される。前記圧縮応力σcompの下ではリチウム化層100Lが弾性挙動を行う領域であるため、リチウム化層100L内でクラックや割れが生じない。気孔を介して吸湿された電解質を通じて、リチウムイオンLiが全方位的に活物質層の表面に伝達され、リチウム化層100Lがシェル形態に成長する場合にも、調節された円形度による平面成分の境界面による圧縮応力σcompにより、前記シェルに印加される引張フープ応力の大きさは、前記シェルの全体にわたって減少したり取り除かれる。これによって、リチウム化層100Lの表面でのクラックが抑制できる。
【0062】
図5Aないし図5Cは、比較例による金属繊維上の放射状に形成された活物質層が充電時にリチウム化されながら行われるリチウム化層100Lの成長段階を示しており、図5Dは、当該成長段階における応力変化を示すグラフである。前記グラフの横軸は、リチウム挿入が起こる充電時間を表し、縦軸は応力を表す。
【0063】
図5Aないし図5C及び図5Dを共に参照すれば、比較例による円形度が実質的に1の活物質層にその表面上でリチウム化が始まる段階Aでは、本発明の実施形態による非放射状の円形度を有する活物質層と同様に、まだリチウム化されない活物質層コア100Pに位置する代表的応力要素SEは、膨脹するリチウム化層100Lによって小さい引張応力を有する。また、段階Bのように次第にリチウム化が進められると、活物質層コア100Pの方に動くリチウム化層100Lの前段に位置する代表的応力要素SEには圧縮応力が印加される。しかし、段階Cに達すると、リチウム化層100Lに位置する代表的応力要素SEでは、次第に弾性変形が解除され、かつリチウム化層100Lが支配的に放射状(または、ラジアル方向)に成長しながら、臨界引張応力σplastic以上の大きさを有する引張応力のフープストレスが誘導される。これによって、体積膨脹により脆弱な組織を有するリチウム化層100Lの表面でクラックや割れが生じる。
【0064】
本発明の実施形態によれば、活物質層の円形度を減少させて0.2ないし0.8の範囲内に活物質層を形成し、その形成は、方向性を有するプラズマによる乾式蒸着法により容易に制御される。このような非放射状の活物質層と金属繊維からなる不織布型集電体を含む電極で使用することで、電池の充電時にもたらすシリコン粒子のクラックまたは割れによる不可逆反応を抑制または減少させることができる。
【0065】
図6は、本発明の一実施形態による電極を用いた電池セル500の電気化学的反応を説明するための断面図である。
【0066】
図6を参照すれば、負極200及び正極300の異なる極性を有する電極が積層され、電池セル500を形成する。電極200、300の一端部には、導電タブ(図示せず)がそれぞれ結合される。負極200及び正極300の絶縁のため、電極200、300の間にポリマー系微細多孔膜、織布、不織布、セラミック、真性固体高分子電解質膜、ゲル固体高分子電解質膜またはそれらの組み合わせなどの分離膜400が配置される。電池セル500内には、水酸化カリウム(KOH)、臭化カリウム(KBr)、塩化カリウム(KCL)、塩化亜鉛(ZnCl)及び硫酸(HSO)などの塩を含む電解液が電極200、300及び/または分離膜400に吸湿され、電池セル500が完成する。
【0067】
正極300及び負極200のうちいずれか一方または両方に、上述の実施形態による不織布型集電体及びその金属繊維に非放射状の活物質層が積層された電極が適用でき、好ましくは、負極に本発明の実施形態による電極が適用できる。図6は、負極に本発明の実施形態による電極が適用された実施形態を示す。
【0068】
充放電時、負極200が対向する二つの正極300と両主面を全て活用して、矢印で示したようにイオン交換を行う。例えば、電池セル500において、二つの正極300は、単一層の負極200を共有する。これによって、電池セル500の充電時、正極300のリチウムイオンは、矢印P1、P2で示したように、負極200の両表面に全て移動しながら充電過程を行う。逆に、電池セル500の放電時には、リチウムイオンは、矢印P1、P2と逆方向である両方向に正極300の方に移動しながら放電過程を行う。
【0069】
本発明の実施形態によれば、金属ホイル集電体と、その上に電気的活物質がコーティングされた電極構造が適用された場合に比べて、使われる分離膜の個数が減少するという利点があり、エネルギー密度を向上させることができる。
【0070】
また、上述の金属繊維で形成された不織布型電極と、これに結合された活物質層は、その纎維の特性をそのまま維持できるため、形状の変化が容易であり、電極の全体積内で実質的に均一な導電性ネットワークを形成するため、電池の容量調節のために厚さを増大させても、金属ホイル上に活物質層をコーティングして得られる従来の電池構造で表れる内部抵抗増加がなく、充放電効率が維持されるか向上し、高容量の電池が提供される。
【0071】
また、本発明の実施形態による電極は、その纎維の特性による成形の容易性または弾性によって、巻取タイプ以外に、積み、曲げ及び巻きのような方法により三次元的に変形可能であり、上述の円筒状電池でない角型、ポーチ型または服、かばんなどの繊維製品と一体化される様々な体積と形状を有する。また、本発明の実施形態による電極は、ウェアラブルデバイスのための優れたベンディング特性が求められるフレキシブル電池に適用できることを理解できるであろう。
【0072】
以下、下記実施例により、本発明をより詳細に説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示するための目的として記載されたものであり、本発明の範囲は下記実施例により限定されるものではない。
【0073】
実施例1
平均直径10μmの鉄、ニッケル及びクロムの合金で製造された金属繊維を含む不織布型集電体をプラズマ反応炉の一側に配置し、シリコンで形成されたスパッタリングターゲットをプラズマ反応炉の内部で、前記不織布型集電体に対向する他側に配置する。活物質層の蒸着のためのプラズマソースは、RF容量結合によるものであり、工程圧力は10−6Torrであり、工程温度は25℃、工程時間は2時間、アルゴンガスを15cm/min流量で注入し、不織布型集電体にシリコン層が蒸着された負極を製造した。図7は、金属繊維10W上に非放射状に蒸着されたシリコン活物質層100を示す。この時、円形度は0.2ないし0.8の範囲内の約0.46である。
【0074】
このように製造された電極を用いて、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で電池を製造し、電池の電気化学的特性評価を行った。
【0075】
比較例1
鉄、ニッケル及びクロムの合金で製造された金属繊維を含む不織布型集電体の代わりに、同一サイズの銅薄膜集電体を使用したことを除いては、実施例1と同様な方法及び条件で電極及び電池を製造し、電池の電気化学的特性評価を行った。
【0076】
電池の特性評価のため、前記実施例1の電池及び比較例1の電池にそれぞれ300mA/gの一定の電流を印加して測定された放電特性のグラフを図8A及び図8Bに示した。
【0077】
図8A及び図8Bを参照すれば、実施例1による電池の場合、比較例1による電池に比べて、電池容量が1.4倍以上高い数値を有することが確認された。また、実施例1による電池の場合、5回充放電が行われるとしても、3,000mAh/gの放電容量が良好に維持される一方、比較例1は、充放電が1回、3回、5回行われるにつれて、2,500mAh/gから2,300mAh/gに減少する傾向を表した。
【0078】
また、電池の寿命特性評価のため、実施例1の電池及び比較例1の電池にそれぞれ2,000mA/gの同一電流を印加して200回充放電を行い、その結果を図9に示した。図9を参照すれば、実施例1による電池の場合、200回充放電後の容量が初期容量に対して90%まで維持されたが、比較例1による電池の場合、10回になる前に容量が急減することを確認できる。
【0079】
図10A及び図10Bは、それぞれ実施例1による電極の充放電前及び充放電後の走査電子顕微鏡イメージである。図10A及び図10Bを参照すれば、実施例1による電池の様子は、初期の様子と比較する際、脱離がなく、活物質層がよく維持されていることを確認できる。図11は、比較例1による電極の充放電前及び充放電後の光学イメージである。図11を参照すれば、実施例1と異なり、比較例1では、充放電が行われるにつれて、電極層が集電体から剥離される現象が観察される。
【0080】
実施例2
シリコン活物質の代わりに、Fe活物質を使用したことを除いては、実施例1と同様な方法及び条件で電極及び電池を製造し、電池の電気化学的特性評価を行った。
【0081】
比較例2
同一サイズの銅薄膜集電体を使用したことを除いては、実施例2と同様な方法及び条件で電極及び電池を製造し、電池の電気化学的特性評価を行った。
【0082】
その結果、前記実施例2による電池の場合、200回充放電後の容量が初期容量に対して90%まで維持されたが、Fe活物質が蒸着された比較例2による電池の場合、10回になる前に容量が急減することを確認できた。また、前記実施例2による電池の様子は、初期の様子と比較する際、変化されずにその様子がよく維持されたが、比較例2による電池の場合には、充放電が行われるにつれて、電極層が集電体から剥離される現象が観察された。
【0083】
実施例3
スパッタリング工程において、工程時間による電池の特性評価、電池の寿命特性評価及び電極の形状変化を確認するために、活物質層を蒸着させる工程時間を0.5時間、2時間及び10時間にしたことを除いては、実施例1及び実施例2と同様な方法及び条件で電極及び電池を製造し、電池の電気化学的特性評価を実施例1及び実施例2と同様な条件で行った。
【0084】
その結果、実施例3による電池の場合、スパッタリングの工程時間が増加するにつれて、200回充放電後の容量維持率が次第に減少することを確認した。特に、活物質層を2時間以下で蒸着させた場合、初期容量に対して約90%以上の容量を維持する一方、活物質層を10時間蒸着させた場合は、200回充放電後の約10%の容量維持率を表した(表1参照)。これは、活物質層の蒸着工程時間が増加するにつれて、蒸着量が増加し、蒸着下端部の体積膨脹が効果的に緩衝されず、容量維持が困難になるためである。
【0085】
【表1】
【0086】
以上で説明した本発明は、前述した実施形態及び添付された図面に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、色々な置換、変形及び変更が可能であるということは、当業者にとって明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の実施形態によれば、気孔を形成する金属繊維を含む不織布型集電体の前記金属繊維上に、プラズマを用いたスパッタリング法により非放射状に活物質層を蒸着することで、体積膨脹率が大きく高容量の活物質の充放電時に発生する引張応力を抑制し、活物質層の脱離などの不可逆性を抑制しながら、体積に対して比表面積の効果的な向上により、エネルギー密度の改善が可能な二次電池用電極が提供できる。
【0088】
また、本発明の他の実施形態によれば、プラズマを用いたスパッタリング法により、上述の利点を有する非放射状の活物質層が形成された不織布型集電体の電極をバインダーフリー方式により乾式製造できる二次電池用電極の製造方法が提供できる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11