【文献】
          Samsung,Full duplex multiplexing of Un and Uu subframes,  3GPP TSG-RAN WG1#60    R1-101197,2010年  2月26日
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記自己干渉の影響を緩和するステップは、前記端末の自己干渉除去性能に加えて、前記基地局の自己干渉性能も考慮して前記上りリンク送信電力を調節する、請求項4に記載のデータ送信方法。
  前記自己干渉の影響を緩和するステップは、前記重複領域に対するMCS(Modulation  and  Coding  Scheme)レベルを調節することを含む、請求項1に記載のデータ送信方法。
  前記自己干渉の影響を緩和するステップは、前記重複領域に対して、前記重複領域以外の領域に比べて低い効率の変調技法を適用することを含む、請求項9に記載のデータ送信方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  本発明は、上述したような一般的な技術の問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、FDR通信環境で発生する自己干渉を減らして、基地局−端末間の円滑な通信を保障することにある。
【0006】
  本発明の他の目的は、端末が上りリンクデータを送信する過程で特定リソース領域に対する自己干渉の影響を減らし、安定して制御チャネルを受信することにある。
【0007】
  本発明の更に他の目的は、様々な方法によって自己干渉の影響を緩和することによって通信環境の変化に従って動的に自己干渉を除去することにある。
【0008】
  本発明で遂げようとする技術的目的は、以上で言及した事項に制限されず、言及していない他の技術的課題は、以下に説明する本発明の実施例から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって考慮されてもよい。
 
【課題を解決するための手段】
【0009】
  上記の技術的課題を解決するためのデータ送信方法は、上りリンクデータチャネルの送信のためのリソース領域のうち、基地局とのFDR通信中に基地局から受信される下りリンク制御チャネルのリソース領域である重複領域を決定するステップと、重複領域に対して、上りリンク通信による自己干渉の影響を緩和するステップと、上りリンクデータチャネルの送信のためのリソース領域のうち、自己干渉の影響が緩和された重複領域及び重複領域以外の領域で上りリンクデータチャネルを送信するステップと、を有する。
【0010】
  自己干渉の影響を緩和するステップは、重複領域に対する上りリンク送信電力を低く調節することを含むことができる。
【0011】
  自己干渉の影響を緩和するステップは、上りリンク送信電力を所定の閾値以下に調節することができる。
【0012】
  自己干渉の影響を緩和するステップは、端末の自己干渉除去性能を考慮して上りリンク送信電力を調節することができる。
【0013】
  上りリンク送信電力は、自己干渉性能が良いほどより高く調節されてもよい。
【0014】
  自己干渉の影響を緩和するステップは、端末の自己干渉除去性能に加えて、基地局の自己干渉性能も考慮して上りリンク送信電力を調節することができる。
【0015】
  送信するステップは、調節された送信電力値に関する情報を上りリンクデータチャネルと共に送信することを含んでもよい。
【0016】
  送信するステップは、重複領域に対して、重複領域以外の領域と区別されるチャネル推定参照信号を割り当てることを含み、基地局は、参照信号から推定されたチャネルを用いて、重複領域で送信される上りリンクデータチャネルを補償することによって、調節された送信電力値による上りリンクデータを復調することができる。
【0017】
  自己干渉の影響を緩和するステップは、重複領域に対するMCS(Modulation  and  Coding  Scheme)レベルを調節することを含んでもよい。
【0018】
  自己干渉の影響を緩和するステップは、重複領域に対して、重複領域以外の領域に比べて低い効率の変調技法を適用してもよい。
【0019】
  前記自己干渉の影響を緩和するステップは、下記の式に基づいて決定される有効(effective)SINR(Signal  to  Interference  and  Noise  Ratio)を考慮して前記MCSレベルを調節することを含んでもよく、
【0020】
【化1】
【0021】
  ここで、S
pは、前記重複領域に設定された送信電力を意味し、S
Nは、前記重複領域以外の領域に設定された送信電力を意味し、qは、前記上りリンクデータチャネルの送信のためのリソース領域における、前記重複領域の比率を意味し、Iは、前記FDR通信による干渉を意味し、Nは、前記FDR通信による雑音を意味する。
【0022】
  上記の技術的課題を解決するための端末は、送信部と、受信部と、送信部及び受信部に接続して上りリンクデータを送信するプロセッサと、を備え、プロセッサは、上りリンクデータチャネルの送信のためのリソース領域のうち、基地局とのFDR通信中に基地局から受信される下りリンク制御チャネルのリソース領域である重複領域を決定し、重複領域に対して上りリンク通信による自己干渉の影響を緩和し、上りリンクデータチャネルの送信のためのリソース領域のうち、自己干渉の影響が緩和された重複領域及び重複領域以外の領域で上りリンクデータチャネルを送信するように送信部を制御する。
 
【発明の効果】
【0023】
  本発明の実施例によれば、次のような効果を期待することができる。
【0024】
  第一に、FDR通信環境で端末の上りリンク通信によって発生する自己干渉を最小化することが可能になる。
【0025】
  第二に、上りリンクデータ伝送のためのリソース領域のうち特定のリソース領域に対する自己干渉を除去することによって、端末が基地局から安定して制御チャネルを受信することが可能になる。
【0026】
  第三に、様々な自己干渉除去技法を提示することによって、端末は通信環境の変化に応じて効率的に自己干渉を除去することが可能になる。
【0027】
  本発明の実施例から得られる効果は、以上に言及した効果に制限されず、言及していない他の効果は、以下の本発明の実施例に関する記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者には明確に導出されて理解されるであろう。すなわち、本発明を実施することによる意図していなかった効果も、本発明の実施例から当該技術の分野における通常の知識を有する者には導出可能である。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0029】
  本発明で使われる用語は、本発明における機能を考慮するとともに、可能な限り現在広く使われる一般的な用語を選択したが、これは、当該分野に従事する技術者の意図、判例、又は新しい技術の出現などによって変更されてもよい。また、特定の場合には、出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、該当する発明の説明の部分において詳しくその意味を記載するものとする。したがって、本発明で使われる用語は、単純な用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本発明の全般にわたる内容に基づいて定義されなければならない。
 
【0030】
  以下の実施例は、本発明の構成要素と特徴を所定の形態に結合したものである。各構成要素又は特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮することができる。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態で実施することもでき、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成することもできる。本発明の実施例で説明する動作の順序は変更されてもよい。ある実施例の一部の構成や特徴は、他の実施例に含まれてもよく、他の実施例の対応する構成又は特徴に取って代わってもよい。
 
【0031】
  図面に関する説明において、本発明の要旨を曖昧にさせ得る手順又は段階などは記述を省略し、当業者のレベルで理解可能な程度の手順又は段階も記述しないものとする。
 
【0032】
  明細書の全体を通じて、ある部分がある構成要素を“含む(又は、備える)”としたとき、これは、特別に反対する記載がない限り、他の構成要素を除外するという意味ではなく、他の構成要素をさらに含み得るということを意味する。また、明細書に記載された“…部”,“…  器”,“モジュール”などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの結合によって具現することができる。また、“一つ(a又はan)”、“一(one)”,“前記(the)”及び類似の関連語は、本明細書及び以下の請求項において、本明細書に特別に指示されたり又は文脈によって明らかに反駁されない限り、単数及び複数の両意味で使われるものとする。
 
【0033】
  本明細書で、本発明の実施例は、基地局と移動局との間におけるデータ送受信関係を中心に説明されている。ここで、基地局は、移動局と直接的に通信を行うネットワークの終端ノード(terminal  node)としての意味がある。本文書で基地局によって行われると説明された特定動作は、場合によっては、基地局の上位ノード(upper  node)によって行われてもよい。
 
【0034】
  すなわち、基地局を含む複数のネットワークノード(network  nodes)で構成されるネットワークにおいて移動局との通信のために行われる様々な動作は、基地局又は基地局以外のネットワークノードによって行われる。ここで、‘基地局’は、固定局(fixed  station)、Node  B、eNode  B(eNB)、発展した基地局(Advanced  Base  Station、ABS)、又はアクセスポイント(access  point)などの用語に言い換えてもよい。
 
【0035】
  また、‘移動局(Mobile  Station、MS)’は、UE(User  Equipment)、SS(Subscriber  Station)、MSS(Mobile  Subscriber  Station)、移動端末(Mobile  Terminal)、発展した移動端末(Advanced  Mobile  Station、AMS)、又は端末(Terminal)などの用語に言い換えてもよい。
 
【0036】
  また、送信端は、データサービス又は音声サービスを提供する固定及び/又は移動ノードを意味し、受信端は、データサービス又は音声サービスを受信する固定及び/又は移動ノードを意味する。このため、上りリンクでは移動局を送信端とし、基地局を受信端とすることができる。同様に、下りリンクでは移動局を受信端とし、基地局を送信端とすることができる。
 
【0037】
  また、デバイスが‘セル’と通信を行うという記載は、デバイスが該当のセルの基地局と信号を送受信することを意味することができる。すなわち、デバイスが信号を送受信する実質的な対象は特定の基地局であるが、記載の便宜上、特定の基地局によって形成されるセルと信号を送/受信すると記載してもよい。同様に、‘マクロセル’及び/又は‘スモールセル’という記載は、それぞれ、特定のカバレッジ(coverage)を意味してもよく、‘マクロセルを支援するマクロ基地局’及び/又は‘スモールセルを支援するスモールセル基地局’を意味してもよい。
 
【0038】
  本発明の実施例は、無線接続システムであるIEEE  802.xxシステム、3GPPシステム、3GPP  LTEシステム、及び3GPP2システムのうち少なくとも一つに開示された標準文書によって裏付けることができる。すなわち、本発明の実施例において説明していない自明な段階又は部分は、上記の文書を参照して説明することができる。
 
【0039】
  また、本文書で開示している全ての用語は、上記の標準文書によって説明することができる。特に、本発明の実施例は、IEEE  802.16システムの標準文書であるP802.16e−2004、P802.16e−2005、P802.16.1、P802.16p及びP802.16.1b標準文書のうち一つ以上によって裏付けることができる。
 
【0040】
  以下、本発明に係る好適な実施の形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのものであり、本発明を実施し得る唯一の実施の形態を表すためのものではない。
 
【0041】
  また、本発明の実施例で使われる特定の用語は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、このような特定の用語の使用は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で他の形態に変更されてもよい。
 
【0042】
  (1.  FDR通信)
  
図1は、FDR通信環境を説明する図である。上述した通り、FDR通信環境は、基地局と端末が上りリンク又は下りリンク通信を行うに際に、同一の周波数/時間リソースを区分せずにそのまま用いて通信を行う方式である。
 
【0043】
  図1に示すように、FDR通信環境で、端末1(10)と端末2(20)は同一の周波数/時間リソースを用いて通信を行うため、各端末は、送信をすると同時に、基地局又は他の端末から送信された信号を受信しなければならない。このため、
図1に点線で表すように、自身の送信アンテナ12,22から送信した送信信号が自身の受信アンテナ14,24に直接流入して自己干渉を誘発する通信環境が形成される。
 
【0044】
  図2は、FDR通信環境で発生する干渉を説明する図である。
 
【0045】
  図2には、マクロ基地局によるマクロセルと、ピコ/フェムト/マイクロ基地局などによるスモールセル(ピコセル、フェムトセル、マイクロセル)とが混在するマルチセル配置環境を示している。このようなマルチセル環境でFDR通信が行われる場合、様々な干渉を考慮しなければならない。
図2を参照すると、自己干渉(self  interference  or  self−user  interference)、ユーザ間干渉(multi−user  interference)、基地局間干渉(inter−BS  interference)などを、FDR通信方式の導入によって考慮しなければならない。
 
【0046】
  まず、自己干渉を説明すると、端末や基地局の送信端及び受信端は、同一の時間/周波数リソースを用いて送信及び受信を行い、送信端と受信端は近接して位置するため、自身が送信した信号が自身の受信端に流入しうる。
図2には、基地局及び端末の自己干渉を30で表している。
 
【0047】
  次に、ユーザ間干渉は、互いに影響し得る距離に位置している2つ以上の端末が、同一の時間/周波数リソースを用いて通信することから発生しうる。
図2には、端末間のFDR通信によるユーザ間干渉を40,50で表している。
 
【0048】
  最後に、基地局間干渉は、上述したユーザ間干渉に似ており、2つ以上の基地局間に発生しうる。
図2では基地局間干渉を60で表している。
 
【0049】
  以上で説明したように、FDR通信方式は、同一時間/周波数リソースを上りリンク/下りリンクで共有することによって周波数効率を増加させることができるが、干渉増加によって周波数効率性の向上に制約が発生しうる。
 
【0050】
  (2.  自己干渉)
  FDR通信方式によって発生する干渉のうち、自己干渉は、選好信号に比べて約60〜90dBと強い強度で受信される。このように、自己干渉は他の干渉に比べて受信端の信号処理に及ぼす影響が非常に大きいため、自己干渉を除去する過程はFDR通信方式においてより一層重要である。したがって、以下では、FDR通信方式において自己干渉を除去する方案について具体的に説明する。
 
【0051】
  図3は、FDR通信環境において干渉を除去するための方案を説明する図である。
 
【0052】
  図3で、自己干渉を除去するための方法としては、基底帯域で処理した信号がDAC(Digital  to  Analog  Converter)を経る前(又は、受信信号がADC(Analog  to  Digital  Converter)を経た後)に適用されるデジタル干渉除去(digital  cancellation)70、送信信号がDACを経た後(又は、受信信号がADCを経る前)に適用されるアナログ干渉除去(analog  cancellation)80、2つ以上の送信アンテナの距離を調節し、受信アンテナに受信される合算信号を除去するアンテナ干渉除去(antenna  cancellation)90などが提案されている。
 
【0053】
  図4は、FDR通信環境で干渉を除去するためのデジタル干渉除去方式及びアナログ干渉除去方式を説明する図である。デジタル干渉除去410は、ビームフォーミング(beamforming)のような様々な技法を適用して自己干渉除去を行うことができ、その範囲は約20乃至25dBになり得る。
 
【0054】
  アナログ干渉除去400は、送信チェーン(transmit  chain)のうち、デジタル干渉除去とアンテナ干渉除去との間である2番目のチェーン(chain)でなされ、自己干渉に対するデジタル推定(digital  estimation)によって干渉除去信号を直接生成し、これを受信端で合算することを意味する。すなわち、アナログ干渉除去は、送信端の信号自体を反転して生成してそれを受信端の信号と合算することによって、受信した送信信号を直接消す構造とすることができる。アンテナ干渉除去の除去範囲は、最大45dBであってもよい。
 
【0055】
  図5は、FDR通信環境で干渉を除去するためのアンテナ干渉除去方式を説明する図である。
 
【0056】
  アンテナ干渉除去510は、2個の送信アンテナ及び1個の受信アンテナで構成された送受信機(transceiver)において、2個の送信アンテナから送信された信号が受信アンテナに流入する際に180度の反転位相を有するようにすることによって、2つの送信アンテナから送信された信号の位相が180度の差を有する構造とする。これによって、中央に位置した受信アンテナに受信された合算信号はヌル(Null)、すなわち、0になる。言い換えれば、2つの送信アンテナと受信アンテナとの距離差がλ/2となるように具現する場合、受信アンテナに入力される2つの信号は、正確に180度の位相差が出る。
 
【0057】
  一般に、アンテナ干渉除去技法は、複雑度が低いため、最も簡単に具現できるという特性を有する。しかし、一般に、アンテナ干渉除去技法が有する最大干渉除去性能は、約20乃至30dBであるが、FDRシステムのためには約70dB程度の自己干渉除去性能が必要であり、このため、自己干渉除去は一般に、前述した3つの自己干渉除去技法510,520,530の組合せで達成することができる。しかし、アンテナ干渉除去技法の性能が極大化し得る特定の通信環境が存在する。
 
【0058】
  図6は、FDR通信環境でアンテナ干渉除去方式による干渉除去効率を説明する図である。
 
【0059】
  図6に示すように、システム帯域幅が小さく、中心周波数が高周波に行くほど、アンテナ干渉除去の性能が急に増加する。したがって、高周波狭帯域をFDR通信領域に割り当てる場合、アンテナ干渉除去技法だけでも十分の自己干渉除去性能を保障できるため、FDRの性能を保障することができ、具現の複雑度も下げることができる。一般に、高周波送信帯域は広い周波数帯域を用いて送信する広帯域通信を指向しているため、このような高周波送信帯域の一部の領域をFDR通信のための帯域として設定する場合、アンテナ干渉除去による自己干渉除去に有利な環境が作られ、十分な性能を導出することができる。
 
【0060】
  (3.  自己干渉緩和方案)
  前述したように、自己干渉は、自身の送信信号が自身の受信端に直接流入して影響を与える形態の干渉である。したがって、基地局が下りリンク制御チャネル送信のために用いるリソース領域と端末が上りリンクデータチャネル送信のために用いるリソース領域との間における重なる領域で発生する自己干渉を減少させる必要がある。
 
【0061】
  以下、FDR通信環境で端末が上りリンクで送信するデータチャネルから、基地局が下りリンクで送信する制御チャネルに影響を及ぼす干渉を解決する方案を提案する。
 
【0062】
  FDR通信環境において端末が送信する上りリンクデータチャネルは、
図7において点線で表すように、端末の受信端に直接受信されて自己干渉を発生させる。このため、端末が基地局から受信する下りリンク制御チャネルは、端末の上りリンクデータチャネルから自己干渉の影響を受け、検出の正確度が低下する。
 
【0063】
  このような自己干渉を除去するために様々な干渉除去技法を適用できることは、前述したとおりである。しかしなから、基本的に各端末が共通に受信すべき下りリンク制御チャネルに対しては、ビームフォーミングなどを行うデジタル干渉除去技法及びアナログ干渉除去技法の適用には制約が伴う。このため、
図7に示す実施例において基地局からの下りリンク制御チャネルを安定して受信できるように、端末は、上りリンクデータチャネルを送信する際に、下りリンク制御チャネルと時間/周波数リソース上で重なり合う領域を保護する必要がある。
 
【0064】
  以下では、上りリンクデータチャネルの送信のために割り当てられたリソース領域のうち、下りリンク制御チャネルに割り当てられたリソース領域と重なるリソース領域を‘重複領域(overlapped  region)’と呼ぶ。重複領域は、端末が上りリンクデータチャネルの送信のために活用する全体の時間/周波数リソース領域のうちの特定領域の位置、サイズ、配列構造などによって特定される。
 
【0065】
  一方、端末が重複領域を自己干渉の影響から保護するに先立ち、端末は重複領域に関する情報を基地局から受信しなければならない。すなわち、基地局は端末に送信する下りリンク制御チャネルのリソース領域が決定されると、当該リソース領域を重複領域として設定し、端末に重複領域に関する情報を送信する。重複領域に関する情報は、基地局から一つ以上の端末にブロードキャストされてもよく、周期的に又は半静的(semi−static)に送信されてもよい。
 
【0066】
  以下では、端末が基地局から重複領域に関する情報を受信した後に重複領域を保護する方法、すなわち、重複領域に対して自己干渉の影響を緩和する方法について、
図7乃至
図9を参照して説明する。
 
【0067】
  図7は、本発明の一実施例と関連して重複領域に対する自己干渉の影響を緩和する方法を説明する図である。
図7(a)では、重複領域について説明し、
図7(b)では、端末が重複領域の送信電力を調節する実施例を説明する。
 
【0068】
  前述したように、端末が上りリンクデータチャネルを送信するための全リソース領域のうち、下りリンク制御チャネルのリソース領域に該当する重複領域は、端末の上りリンク送信による自己干渉から保護されなければならない。そのために、端末は、上りリンクリソース領域のうち、重複領域と非重複領域に対して送信電力を別々に設定することができる。
 
【0069】
  図7(b)を参照すると、端末は自己干渉から保護されるべき領域である保護領域(すなわち、重複領域)に対しては、上りリンクデータチャネルの送信電力をPLに設定する。この送信電力値は、上りリンク送信のための全リソース領域のうち、重複領域以外の領域の送信電力値であるPHよりも低い値である。
 
【0070】
  端末が重複領域に対する上りリンク送信電力値を低く設定することによって、重複領域で送信される上りリンクデータチャネルによる自己干渉の影響そのものが減る。すなわち、送信電力を低く調節することによって自己干渉成分自体の信号の大きさが小さくなるため、端末が下りリンク制御チャネルを検出する正確度が増加する。
 
【0071】
  具体的な例を挙げて説明すると、端末は、重複領域に対する送信電力を所定の閾値以下にすることができる。端末が制御チャネルの安定した受信のために調節する重複領域に対する上りリンク送信電力値PTHは、基地局から端末に送信することができる。すなわち、端末は基地局からブロードキャストされる所定の送信電力閾値PTHに関する情報を受信して上りリンク送信電力値を調節することができる。又は、PTH値は、通信状況に応じて端末が任意に決定してもよい。
 
【0072】
  他の例を挙げると、端末は、重複領域に対する送信電力を調節する際、端末自身の自己干渉除去(SIC)性能(capacity)を考慮してもよい。端末の自己干渉除去性能が良いということは、同一電力で上りリンクデータチャネルを送信しても、重複領域に及ぶ自己干渉がより多く除去されるということを意味する。したがって、端末の自己干渉除去性能が良いと、上りリンクデータチャネルの送信電力を相対的に少なく下げても、同一の自己干渉除去の結果が得られる。言い換えると、自己干渉除去性能と端末の上りリンク送信電力を下げるように調節する値とが反比例する関係にあるといえる。
 
【0073】
  一方、端末の自己干渉除去性能に関する情報は、端末自身が保有している情報であってもよいが、基地局からブロードキャストされて端末に受信される情報であってもよい。すなわち、基地局は、基地局に接続している端末からそれぞれの自己干渉除去性能に関する情報を取得し、周期的に又は端末の要求に応じて自己干渉除去性能に関する情報を端末に送信することができる。又は、基地局は、あらかじめ取得した端末の自己干渉性能に関する情報に基づいて、端末の調節する上りリンク送信電力値を決定し、端末の自己干渉除去性能を考慮して決定した送信電力値を端末に知らせることもできる。
 
【0074】
  下記の表1では、以上で説明した実施例によって、端末が自己干渉性能を考慮して重複領域に対する送信電力値を調節する実施例を説明する。
 
【0076】
  上述した実施例とは違い、端末は、重複領域に対する送信電力を調節する際に、自身の自己干渉除去性能だけでなく、基地局の自己干渉除去性能も考慮することができる。端末が上りリンクデータチャネルの送信電力を調節するということは、基地局での受信電力が変更されることを意味する。このため、端末が上りリンク送信電力を調節する場合、基地局での上りリンクデータチャネル受信正確度が変わりうる。
 
【0077】
  一方、端末の他、基地局もFDR通信を行う場合、基地局も下りリンク制御チャネルの送信による自己干渉の影響を受ける。このため、端末が基地局の自己干渉除去性能を考慮して端末の上りリンクデータチャネル送信電力を調節することによって、端末での突然な送信電力調節を防止することができる。下記の表2は、端末が、端末の自己干渉除去性能及び基地局の自己干渉除去性能を全て考慮して重複領域に対する上りリンクデータチャネルの送信電力を調節する実施例を説明する。
 
【0079】
  図8は、本発明の他の実施例と関連して、重複領域に対する自己干渉の影響を緩和する方法を説明する図である。
図8では、端末が重複領域に対する上りリンク送信電力の調節と共に、重複領域のチャネル推定のための追加的な基準信号を送信する実施例を説明する。
 
【0080】
  端末は、上りリンクデータチャネルの送信のためのリソース領域のうち、重複領域の送信電力と非重複領域の送信電力に差が出る場合、基地局がこのような送信電力差を認知できるように、電力差に関する情報を基地局に送信する。すなわち、基地局は送信電力差に関する情報を受信することによって、端末から調整された送信電力で受信された上りリンクデータチャネルに対して補償(compensation)を行うことができる。
 
【0081】
  具体的に説明すると、重複領域とその他の領域との間に送信電力差がない場合には問題とならないが、重複領域に対する送信電力が調節された場合には、基地局が検出したシンボルのコンステレーション(constellation)が異なってくる。したがって、基地局が端末から受信したデータチャネルを正確に検出してデコードするためには正確な送信電力値を知らなければならず、端末は、送信電力値をどのように調節したかに関する情報を基地局に送信することができる。例えば、端末は、送信電力値に対するフィードバック情報を構成して基地局に送信してもよく、又は、上りリンクデータチャネルの領域別に独立した基準信号(reference  signal)を割り当てる方法を用いてもよい。
 
【0082】
  一番目の例についてさらにいうと、端末は、上りリンクデータチャネルのリソース領域のうち、重複領域と非重複領域間の送信電力値を基地局に単純にフィードバックすることができる。すなわち、端末は、重複領域に対する送信電力であるPL値を基地局に直接送信してもよく、非重複領域との送信電力差値であるPD(PD=PH−PL)値を基地局に送信してもよい。一番目の例では、基地局は、従来のチャネル推定プロセスをそのまま適用しながら、重複領域に対してのみ調節された電力値に基づいた電力スケーリング(power  scaling)を行って受信信号を検出する。
 
【0083】
  二番目の例について説明すると、端末は、上りリンクデータチャネルを送信しながら、重複領域と非重複領域に対して互いに区別可能なチャネル推定参照信号を送信することができる。すなわち、基地局はそれぞれのデータチャネルに対して割り当てられたリソース領域から独立した推定したチャネルを用いて受信チャネルを補償及び復調する。
 
【0084】
  したがって、端末が重複領域と非重複領域に対して別個の基準信号を割り当てて送信する場合、基地局は、調節された送信電力値に関する情報がなくても受信信号を復調することができる。
図8に示すように、端末は、重複領域と非重複領域の基準信号(パイロット信号)を異なるように構成して送信することによって、調節された送信電力値に関する情報無しにも基地局が受信信号を正確に復調できるようにする。基地局では重複領域と非重複領域に対して別個のチャネル推定器を適用して基準信号を復調することによって、両領域の受信信号を検出することができる。一方、二番目の実施例では端末が重複領域に対する基準信号を別途に割り当てなければならず、オーバーヘッドによるプロセス上の効率低下が発生しうる。
 
【0085】
  以上では端末が重複領域の送信電力を調節する実施例について説明したが、端末は重複領域を自己干渉から保護するための他の方法を行ってもよい。
 
【0086】
  図9は、本発明の更に他の実施例と関連して、重複領域に対する自己干渉の影響を緩和する方法を説明する図である。
図9では、端末が重複領域のMCS(Modulation  and  Coding  Scheme)レベルを調節する実施例を説明する。
 
【0087】
  端末は、重複領域と非重複領域に対して別個の変調技法を適用することができる。例えば、端末は、重複領域に対してはQPSKを、重複領域以外の領域に対しては16QAMを適用して変調することができる。すなわち、端末は、重複領域に対しては送信効率が低くても自己干渉からの影響を少なく受けるように変調技法を選択してもよい。
 
【0088】
  一方、変調技法は、上述した送信電力とも関連付いている。すなわち、端末が重複領域に対して送信電力を下げて送信する場合、基地局は重複領域に対する信号を低い電力で受信する。このため、重複領域に対しては変調シンボルのユクリッドの距離(Euclidian  distance)が短くなり、よって、重複領域に対しては他の領域と異なる変調技法が選択される必要がある。したがって、端末は重複領域に対する送信電力の調節と共に、MCSレベルも調節することができる。
 
【0089】
  例えば、端末は、重複領域に対するSNR又はSINRを考慮してMCSレベルを選択することができる。一般に、与えられたリソース領域に対する変調技法と変調率(coding  rate)を決定するためにSNR又はSINRが考慮されるが、端末は、SNR又はSINRを決定する際に、上りリンクデータチャネルの送信のためのリソース領域のうち、重複領域と非重複領域の比率を考慮して有効SINR(effective  SINR)を導出することができる。有効SINRとは、一般に上りリンク参照信号又は下りリンク参照信号を基準にSNR又はSINRを導出する通信環境とは違い、自己干渉が発生するFDR通信環境の特殊性を考慮したSINRを意味する。
 
【0090】
  有効SINRを下記の式1のように決定することができる。
 
【0092】
  式1で、‘q’は、全上りリンクリソース領域において重複領域が占める比率を意味し(0≦q≦1)、S
pは、重複領域に設定された送信電力を意味する。逆に、‘1−q’は、リソース領域のうち、重複領域でない領域を意味し、S
Nは、重複領域以外の領域に設定された送信電力を意味する。式1の有効SINRは、重複領域に対して調節された送信電力を考慮したSINRを意味する。Iは干渉、Nは雑音をそれぞれ意味する。一方、端末は、有効SINRに基づいて、端末が上りリンクデータチャネルで送信する送信ブロック又はデータパケットのMCSレベル及び/又は変調率を決定することができる。
 
【0093】
  上述した有効SINRを考慮する場合、端末は、より正確なMCSレベルを設定することができ、適応的変調及びコーディング(Adaptive  Modulation  and  Coding;AMC)技法も適用することができるため、基地局の上りリンクデータチャネルの受信正確度が向上する。このように有効SINRを決定し、MCSレベルを導出する過程は、端末の他、基地局によって行われてもよい。
 
【0094】
  一方、一般に、リンクの品質を推定するためには、一定区間で送信された参照信号を考慮して累積平均で導出されたSNR又はSINRを活用する。これと違い、上述したように、調節された送信電力値を反映してリンクの品質を測定する方法としては2つの例を挙げることができる。最終的に有効SINRを適用し、MCSレベルを調節する主体は、基地局及び/又は端末であってもよい。
 
【0095】
  第一の例として、重複領域に対して既に設定されたリンク品質値を適用する方法を挙げることができる。端末は、上りリンクデータチャネルのリンク品質を導出するために、重複領域と非重複領域に、既に設定したリンク品質オフセットをそれぞれ適用することができる。第二の例として、上りリンクデータチャネルリソース領域において重複領域と他の領域に対してそれぞれ独立したチャネル推定基準信号を割り当てる方法を挙げることができる。
 
【0096】
  (4.  装置構成)
  
図10は、本発明の一実施例に係る端末及び基地局の構成を示すブロック図である。
 
【0097】
  図10で、端末100及び基地局200はそれぞれ、無線周波数(RF)ユニット110,210、プロセッサ120,220、及びメモリ130,230を備えることができる。
図10では、端末100と基地局200間の1:1通信環境を示しているが、複数の端末と基地局200による通信環境が構築されてもよい。
 
【0098】
  各RFユニット110,210はそれぞれ、送信部112,212及び受信部114,214を備えることができる。端末100の送信部112及び受信部114は、基地局200及び他の端末と信号を送信及び受信するように構成し、プロセッサ120は、送信部112及び受信部114と機能的に接続して送信部112及び受信部114が他の機器と信号を送受信する過程を制御するように構成することができる。また、プロセッサ120は、送信する信号に対する各種処理を行った後に送信部112に送信し、受信部114に受信した信号の処理も行うことができる。
 
【0099】
  必要な場合、プロセッサ120は、交換されたメッセージに含まれた情報をメモリ130に記憶させることができる。このような構造により、端末100は、以上で説明した本発明の様々な実施の形態の方法を実行することができる。
 
【0100】
  基地局200の送信部212及び受信部214は、他の基地局及び端末と信号を送信及び受信するように構成し、プロセッサ220は、送信部212及び受信部214と機能的に接続して送信部212及び受信部214が他の機器と信号を送受信する過程を制御するように構成することができる。また、プロセッサ220は、送信する信号に対する各種処理を行った後に送信部212に送信し、受信部214に受信した信号の処理も行うことができる。必要な場合、プロセッサ220は、交換されたメッセージに含まれた情報をメモリ230に記憶させることができる。このような構造により、基地局200は、前述した様々な実施の形態の方法を実行することができる。
 
【0101】
  端末100及び基地局200のプロセッサ120,220はそれぞれ、端末100及び基地局200における動作を指示(例えば、制御、調整、管理など)する。それぞれのプロセッサ120,220は、プログラムコード及びデータを記憶するメモリ130,230と接続することができる。メモリ130,230は、プロセッサ120,220に接続してオペレーティングシステム、アプリケーション、及び一般ファイル(general  files)を格納する。
 
【0102】
  本発明のプロセッサ120,220は、コントローラ(controller)、マイクロコントローラ(microcontroller)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、マイクロコンピュータ(microcomputer)などと呼ぶこともできる。一方、プロセッサ120,220は、ハードウェア(hardware)、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア、又はそれらの結合によって具現することができる。ハードウェアを用いて本発明の実施例を具現する場合には、本発明を実行するように構成されたASICs(application  specific  integrated  circuits)、DSPs(digital  signal  processors)、DSPDs(digital  signal  processing  devices)、PLDs(programmable  logic  devices)、又はFPGAs(field  programmable  gate  arrays)などをプロセッサ120,220に具備することができる。
 
【0103】
  一方、上述した方法は、コンピュータで実行可能なプログラムとして作成することができ、コンピュータ読み取り可能媒体を用いて上記プログラムを動作させる汎用デジタルコンピュータによって具現することができる。また、上述した方法で用いられたデータの構造は、コンピュータ読み取り可能媒体に様々な手段を用いて書き込むことができる。本発明の様々な方法を実行するための実行可能なコンピュータコードを記憶する記憶デバイスを説明するために利用可能なプログラム格納デバイスは、搬送波(carrier  waves)や信号などのように一時的な対象は含むものとして理解してはならない。上記コンピュータ読み取り可能媒体は、マグネチック記憶媒体(例えば、ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光学的読み取り媒体(例えば、CD−ROM、DVDなど)のような記録媒体を含む。
 
【0104】
  本願発明の実施例に係る技術の分野における通常の知識を有する者にとっては、上記の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形された形態の具現も可能であるということが理解できる。したがって、開示された方法は、限定的な観点ではなく説明的な観点で考慮しなければならない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明ではなく特許請求の範囲に表され、これと同等な範囲内における差異点はいずれも本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。