(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203489
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】基板処理装置及びその洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20170914BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20170914BHJP
G03F 1/82 20120101ALI20170914BHJP
【FI】
H01L21/304 648F
H01L21/30 572B
H01L21/304 642A
H01L21/304 642Z
H01L21/304 648G
G03F1/82
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-260926(P2012-260926)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-107478(P2014-107478A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年6月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(72)【発明者】
【氏名】長良 修治
【審査官】
小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−075957(JP,A)
【文献】
特開2007−266477(JP,A)
【文献】
特開2000−106354(JP,A)
【文献】
特開2003−059884(JP,A)
【文献】
特開平05−285462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027
G03F 1/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に被着された被膜を剥離液により剥離処理する基板処理装置において、
剥離液を貯留し、基板を浸漬して処理するための処理槽と、
前記処理槽から溢れた剥離液を回収するオーバフロー槽と、
前記処理槽と前記オーバフロー槽とを連通接続し、前記オーバフロー槽から前記処理槽へ剥離液を循環させる循環配管と、
前記循環配管を流通する剥離液中の異物を捕捉する循環フィルタと、
基板を処理する際に剥離液が流通する方向における前記循環フィルタの下流側に連通接続された洗浄液供給管と、
前記処理槽で基板に対して剥離液による剥離処理を行わせ、その剥離処理が終了した後、前記洗浄液供給管から洗浄液を前記循環フィルタに逆流させて前記循環フィルタを洗浄するフィルタ洗浄処理を行わせる制御手段と、
を備えているとともに、
前記循環配管は、剥離液を圧送するポンプをさらに備え、
前記制御手段は、前記ポンプの一定量の液送動作に要する液送時間を監視して前記循環フィルタの目詰まりを判断し、前記循環フィルタに目詰まりが生じた場合には、前記フィルタ洗浄処理を行わせ、前記オーバフロー槽の剥離液を排出する際に、前記循環配管に詰まりが生じた場合には、さらに前記循環配管に洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行わせることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
基板に被着された被膜を剥離液により剥離処理する基板処理装置において、
剥離液を貯留し、基板を浸漬して処理するための処理槽と、
前記処理槽から溢れた剥離液を回収するオーバフロー槽と、
前記処理槽と前記オーバフロー槽とを連通接続し、前記オーバフロー槽から前記処理槽へ剥離液を循環させる循環配管と、
前記循環配管を流通する剥離液中の異物を捕捉する循環フィルタと、
基板を処理する際に剥離液が流通する方向における前記循環フィルタの下流側に連通接続された洗浄液供給管と、
前記処理槽で基板に対して剥離液による剥離処理を行わせ、その剥離処理が終了した後、前記洗浄液供給管から洗浄液を前記循環フィルタに逆流させて前記循環フィルタを洗浄するフィルタ洗浄処理を行わせる制御手段と、
を備えているとともに、
前記循環配管は、剥離液を圧送するポンプをさらに備え、
前記循環フィルタが各々に設けられ、前記循環配管から分岐した複数本の分岐配管と、
基板を処理する際に剥離液が流通する方向における前記循環フィルタの上流側に連通接続された排液管と、
前記複数本の分岐配管のいずれかを前記循環配管に連通接続または非連通接続する第1の制御弁と、
前記複数本の分岐配管のいずれかを前記洗浄液供給管及び前記排液管に連通接続または非連通接続する第2の制御弁と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を操作して前記複数本の分岐配管のうちのいずれかの分岐配管を前記循環配管に連通接続させて、前記処理槽で基板に対して剥離処理を行わせ、その剥離処理が終了した後、剥離液が流通された前記分岐配管の循環フィルタを洗浄する際には、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を操作して前記分岐配管を前記洗浄液供給管及び前記排液管に連通接続させて前記フィルタ洗浄処理を行わせ、前記ポンプの一定量の液送動作に要する液送時間を監視して前記循環フィルタの目詰まりを判断し、前記循環フィルタに目詰まりが生じた場合には、前記フィルタ洗浄処理を行わせ、前記オーバフロー槽の剥離液を排出する際に、前記循環配管に詰まりが生じた場合には、さらに前記循環配管に洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行わせることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記循環配管に連通接続され、前記処理槽から剥離液を排出する処理槽排出管をさらに備え、
前記制御手段は、前記処理槽の剥離液を排出する際に、前記循環配管及び前記処理槽排出管に詰まりが生じた場合には、さらに前記循環配管及び前記処理槽排出管に洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行わせることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記循環配管は、剥離液を圧送するポンプを備え、
前記制御手段は、前記オーバフロー槽から前記循環配管を介して剥離液の排出を行う際に、前記ポンプの一定量の液送動作に要する液送時間を監視して前記循環配管の詰まりを判断することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の基板処理装置において、
前記循環配管は、剥離液を圧送するポンプを備え、
前記制御手段は、前記処理槽から前記処理槽排出管を介して剥離液の排出を行う際に、前記ポンプの一定量の液送動作に要する液送時間を監視して前記処理槽排出管の詰まりを判断することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記オーバフロー槽の液面レベルを検出する液面レベルセンサをさらに備え、
前記制御手段は、前記オーバフロー槽から前記循環配管を介して剥離液の排出を行う際に、前記液面レベルセンサの液面低下速度を監視して前記循環配管の詰まりを判断することを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項7】
請求項3に記載の基板処理装置において、
前記処理槽の液面レベルを検出する液面レベルセンサをさらに備え、
前記制御手段は、前記処理槽から前記処理槽排出管を介して剥離液の排出を行う際に、前記液面レベルセンサの液面低下速度を監視して前記処理槽排出管の詰まりを判断することを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項8】
基板に被着された被膜を剥離液により剥離処理する基板処理装置の洗浄方法において、
剥離液を貯留する処理槽と、前記処理槽から溢れた剥離液を回収するオーバフロー槽とを循環配管で連通接続し、循環配管を流通する剥離液中の異物を循環フィルタで捕捉させながら、前記処理槽の剥離液に基板を浸漬させて基板に対して剥離処理を行う過程と、
剥離液を圧送するポンプの一定量の液送動作に要する液送時間を監視して前記循環フィルタの目詰まりを判断する過程と、
前記目詰まりを判断する過程において目詰まりが生じたことを判断した場合は、前記剥離処理を終えた後、前記循環配管における剥離液の流通方向とは逆方向に洗浄液を供給して、前記循環フィルタを洗浄するフィルタ洗浄処理を行う過程と、
を備えているとともに、
前記オーバフロー槽の剥離液を排出する過程をさらに備え、前記循環配管に詰まりが生じた場合には、さらに前記循環配管に洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行う過程を実施することを特徴とする基板処理装置の洗浄方法。
【請求項9】
基板に被着された被膜を剥離液により剥離処理する基板処理装置の洗浄方法において、
剥離液を貯留する処理槽と、前記処理槽から溢れた剥離液を回収するオーバフロー槽とを循環配管で連通接続し、循環配管を流通する剥離液中の異物を循環フィルタで捕捉させながら、前記処理槽の剥離液に基板を浸漬させて基板に対して剥離処理を行う過程と、
剥離液を圧送するポンプの一定量の液送動作に要する液送時間を監視して前記循環フィルタの目詰まりを判断する過程と、
前記目詰まりを判断する過程において目詰まりが生じたことを判断した場合は、前記剥離処理を終えた後、前記循環配管における剥離液の流通方向とは逆方向に洗浄液を供給して、前記循環フィルタを洗浄するフィルタ洗浄処理を行う過程と、
を備えているとともに、
前記フィルタ洗浄処理を行う過程は、前記循環フィルタをそれぞれ備え、前記循環配管から分岐した複数本の分岐配管のうち、前記剥離処理を行う過程において使用した分岐配管の循環フィルタを対象に行い、
前記オーバフロー槽の剥離液を排出する過程をさらに備え、前記循環配管に詰まりが生じた場合には、さらに前記循環配管に洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行う過程を実施することを特徴とする基板処理装置の洗浄方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の基板処理装置の洗浄方法において、
前記循環配管に連通接続され、前記処理槽の剥離液を排出する処理槽排出管から剥離液を排出する過程をさらに備え、前記処理槽排出管に詰まりが生じた場合には、さらに前記処理槽排出管に洗浄液を逆流させる配管洗浄処理も行うことを特徴とする基板処理装置の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板(以下、単に基板と称する)を処理する基板処理装置及びその洗浄方法に係り、特に、付着したフォトレジスト被膜などの各種被膜を洗浄除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、処理液を貯留し、基板を浸漬して処理を行う内槽と、内槽から溢れた処理液を回収する外槽と、内槽と外槽とを連通接続し、処理液を内槽に供給するとともに循環させる循環配管と、循環配管に連通した外槽の排液口の上部を覆うように設けられたフィルタ部材と、循環配管に設けられ、処理液中のパーティクルを取り除く循環フィルタと、フォトレジスト被膜が被着された複数枚の基板を保持するリフタとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような構成の装置では、例えば、内槽及び外槽に剥離液が貯留循環された状態で、フォトレジスト被膜が被着された複数枚の基板がリフタに載置されたまま、内槽の剥離液中に浸漬される。そして、その状態を所定時間だけ維持することにより、基板に被着されたフォトレジスト被膜が剥離される。剥がれたフォトレジスト被膜は、内槽から外槽への剥離液の流れに乗って排出され、フィルタ部材によって捕らえられる。したがって、フォトレジスト被膜の破片に起因する循環フィルタの目詰まりを防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−96012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、基板から剥離したフォトレジスト被膜が細かく分断されることなく、大きめの破片となって剥がれるものがある。このようなフォトレジスト被膜の大きめの破片や小さめの破片は、内槽から外槽に溢れてフィルタ部材によって捕捉されるものの、フィルタ部材の交換頻度が高くなり、フィルタ部材の手動による洗浄が必要となってメンテナンスが煩雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、被膜の破片に起因する循環フィルタのメンテナンスを容易に行うことができる基板処理装置及び基板処理装置及びその洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板に被着された被膜を剥離液により剥離処理する基板処理装置において、剥離液を貯留し、基板を浸漬して処理するための処理槽と、前記処理槽から溢れた剥離液を回収するオーバフロー槽と、前記処理槽と前記オーバフロー槽とを連通接続し、前記オーバフロー槽から前記処理槽へ剥離液を循環させる循環配管と、前記循環配管を流通する剥離液中の異物を捕捉する循環フィルタと、基板を処理する際に剥離液が流通する方向における前記循環フィルタの下流側に連通接続された洗浄液供給管と、前記処理槽で基板に対して剥離液による剥離処理を行わせ、その剥離処理が終了した後、前記洗浄液供給管から洗浄液を前記循環フィルタに逆流させて前記循環フィルタを洗浄するフィルタ洗浄処理を行わせる制御手段と、を備えているとともに、前記循環配管は、剥離液を圧送するポンプをさらに備え、前記制御手段は、前記ポンプの一定量の液送動作に要する液送時間を監視して前記循環フィルタの目詰まりを判断し、前記循環フィルタに目詰まりが生じた場合には、前記フィルタ洗浄処理を行わせ
、前記オーバフロー槽の剥離液を排出する際に、前記循環配管に詰まりが生じた場合には、さらに前記循環配管に洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行わせることを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、制御手段は、処理槽に剥離液を貯留させ、循環配管を介してオーバフロー槽と処理槽にわたって剥離液を循環させながら基板に被着された被膜の剥離処理を行わせる。剥離処理が終了すると、制御手段は、洗浄液供給配管から洗浄液を循環フィルタに逆流させることにより、循環フィルタを洗浄するフィルタ洗浄処理を行わせる。したがって、循環フィルタに洗浄液を逆流させるだけで循環フィルタに付着した被膜の破片を除去することができるので、被膜の破片に起因する循環フィルタのメンテナンスを容易に行うことができる。また、循環フィルタが目詰まりすると、ポンプのストロークセンサが動作を検知する時間が長くなり、一定量の液送動作に要する液送時間が変化する。したがって、制御手段は、液送時間を監視することで循環フィルタの目詰まりを判断することができ、適切なタイミングでフィルタ洗浄処理を実施することができる。
また、循環配管は、オーバフロー槽から剥離液を取り込むので、被膜の破片により詰まることがある。したがって、循環配管にも洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行うことにより、被膜の破片による循環配管の詰まりを解消できる。
【0009】
また、
請求項2に記載の発明は、基板に被着された被膜を剥離液により剥離処理する基板処理装置において、剥離液を貯留し、基板を浸漬して処理するための処理槽と、前記処理槽から溢れた剥離液を回収するオーバフロー槽と、前記処理槽と前記オーバフロー槽とを連通接続し、前記オーバフロー槽から前記処理槽へ剥離液を循環させる循環配管と、前記循環配管を流通する剥離液中の異物を捕捉する循環フィルタと、基板を処理する際に剥離液が流通する方向における前記循環フィルタの下流側に連通接続された洗浄液供給管と、前記処理槽で基板に対して剥離液による剥離処理を行わせ、その剥離処理が終了した後、前記洗浄液供給管から洗浄液を前記循環フィルタに逆流させて前記循環フィルタを洗浄するフィルタ洗浄処理を行わせる制御手段と、を備えているとともに、前記循環配管は、剥離液を圧送するポンプをさらに備え、前記循環フィルタが各々に設けられ、前記循環配管から分岐した複数本の分岐配管と、基板を処理する際に剥離液が流通する方向における前記循環フィルタの上流側に連通接続された排液管と、前記複数本の分岐配管のいずれかを前記循環配管に連通接続または非連通接続する第1の制御弁と、前記複数本の分岐配管のいずれかを前記洗浄液供給管及び前記排液管に連通接続または非連通接続する第2の制御弁と、をさらに備え、前記制御手段は、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を操作して前記複数本の分岐配管のうちのいずれかの分岐配管を前記循環配管に連通接続させて、前記処理槽で基板に対して剥離処理を行わせ、その剥離処理が終了した後、剥離液が流通された前記分岐配管の循環フィルタを洗浄する際には、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を操作して前記分岐配管を前記洗浄液供給管及び前記排液管に連通接続させて前記フィルタ洗浄処理を行わせ
、前記ポンプの一定量の液送動作に要する液送時間を監視して前記循環フィルタの目詰まりを判断し、前記循環フィルタに目詰まりが生じた場合には、前記フィルタ洗浄処理を行わせ、前記オーバフロー槽の剥離液を排出する際に、前記循環配管に詰まりが生じた場合には、さらに前記循環配管に洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行わせることを特徴とする
ものである。
【0010】
[作用・効果]請求項2に記載の発明によれば、制御手段は、洗浄液供給配管から洗浄液を循環フィルタに逆流させることにより、循環フィルタを洗浄するフィルタ洗浄処理を行わせる。したがって、循環フィルタに洗浄液を逆流させるだけで循環フィルタに付着した被膜の破片を除去することができるので、被膜の破片に起因する循環フィルタのメンテナンスを容易に行うことができる。また、循環フィルタが目詰まりすると、ポンプのストロークセンサが動作を検知する時間が長くなり、一定量の液送動作に要する液送時間が変化する。したがって、制御手段は、液送時間を監視することで循環フィルタの目詰まりを判断することができ、適切なタイミングでフィルタ洗浄処理を実施することができる。また、制御手段は、第1の制御弁及び第2の制御弁を操作して複数本の分岐配管のうちのいずれかの分岐配管を循環配管に連通接続させて、処理槽で基板に対して剥離処理を行わせる。その剥離処理が終了した後、剥離液が流通された分岐配管の循環フィルタを洗浄する際には、制御手段は、第1の制御弁及び第2の制御弁を操作して分岐配管を洗浄液供給管及び排液管に連通接続させてフィルタ洗浄処理を行わせる。したがって、フィルタ洗浄処理を行っていない分岐配管により、次の剥離液を循環させつつ温調などの処理を行うことができるので、フィルタ洗浄処理を行いつつも稼働率を低下させることがない。
また、循環配管は、オーバフロー槽から剥離液を取り込むので、被膜の破片により詰まることがある。したがって、循環配管にも洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行うことにより、被膜の破片による循環配管の詰まりを解消できる。
【0011】
(削除)
【0012】
(削除)
【0013】
(削除)
【0014】
(削除)
【0015】
(削除)
【0016】
(削除)
【0017】
また、本発明において、前記循環配管に連通接続され、前記処理槽から剥離液を排出する処理槽排出管をさらに備え、前記制御手段は、前記処理槽の剥離液を排出する際に、前記循環配管及び前記処理槽排出管に詰まりが生じた場合には、さらに前記循環配管及び前記処理槽排出管に洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行わせることが好ましい(請求項
3)。
【0018】
処理槽排出管は、処理槽から剥離液を取り込むので、被膜の破片により詰まることがある。したがって、処理槽排出管にも洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行うことにより、被膜の破片による処理槽排出管の詰まりを解消できる。
【0019】
また、本発明において、前記循環配管は、剥離液を圧送するポンプを備え、前記制御手段は、前記オーバフロー槽から前記循環配管を介して剥離液の排液を行う際に、前記ポンプの一定量の液送動作に要する液送時間を監視して前記循環配管の詰まりを判断することが好ましい(請求項
4)。
【0020】
循環配管が詰まると、ポンプが一定量の液送動作に要する液送時間が変化する。したがって、制御手段は、液送時間を監視することで循環配管の詰まりを判断することができ、適切なタイミングで配管洗浄処理を実施することができる。
【0021】
また、本発明において、前記循環配管は、剥離液を圧送するポンプを備え、前記制御手段は、前記処理槽から前記処理槽排出管を介して剥離液の排出を行う際に、前記ポンプの一定量の液送動作に要する液送時間を監視して前記処理槽排出管の詰まりを判断することが好ましい(請求項
5)。
【0022】
処理槽排出管が詰まると、ポンプが一定量の液送動作に要する液送時間が変化する。したがって、制御手段は、液送時間を監視することで循環配管の詰まりを判断することができ、適切なタイミングで配管洗浄処理を実施することができる。
【0023】
また、本発明において、前記オーバフロー槽の液面レベルを検出する液面レベルセンサをさらに備え、前記制御手段は、前記オーバフロー槽から前記循環配管を介して剥離液の排液を行う際に、前記液面レベルセンサの液面低下速度を監視して前記循環配管の詰まりを判断することが好ましい(請求項
6)。
【0024】
循環配管が目詰まりすると、オーバフロー槽からの排液時に液面レベルセンサの液面低下速度が遅くなる変化が生じる。したがって、制御手段は、液面低下速度を監視することで循環配管の詰まりを判断することができ、適切なタイミングで配管洗浄処理を実施することができる。
【0025】
また、本発明において、前記処理槽の液面レベルを検出する液面レベルセンサをさらに備え、前記制御手段は、前記処理槽から前記処理槽排出管を介して剥離液の排出を行う際に、前記液面レベルセンサの液面低下速度を監視して前記処理槽排出管の詰まりを判断することが好ましい(請求項
7)。
【0026】
処理槽排出管が目詰まりすると、処理槽からの排液時に液面レベルセンサの液面低下速度が遅くなる変化が生じる。したがって、制御手段は、液面低下速度を監視することで循環配管の詰まりを判断することができ、適切なタイミングで配管洗浄処理を実施することができる。
【0027】
また、請求項
8に記載の発明は、基板に被着された被膜を剥離液により剥離処理する基板処理装置の洗浄方法において、剥離液を貯留する処理槽と、前記処理槽から溢れた剥離液を回収するオーバフロー槽とを循環配管で連通接続し、循環配管を流通する剥離液中の異物を循環フィルタで捕捉させながら、前記処理槽の剥離液に基板を浸漬させて基板に対して剥離処理を行う過程と、剥離液を圧送するポンプの一定量の液送動作に要する液送時間を監視して前記循環フィルタの目詰まりを判断する過程と、前記目詰まりを判断する過程において目詰まりが生じたことを判断した場合は、前記剥離処理を終えた後、前記循環配管における剥離液の流通方向とは逆方向に洗浄液を供給して、前記循環フィルタを洗浄するフィルタ洗浄処理を行う過程と、を備えている
とともに、前記オーバフロー槽の剥離液を排出する過程をさらに備え、前記循環配管に詰まりが生じた場合には、さらに前記循環配管に洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行う過程を実施することを特徴とするものである。
【0028】
[作用・効果]請求項9に記載の発明によれば、剥離処理を行った後、フィルタ洗浄処理において循環配管における剥離液の流通方向とは逆方向に洗浄液を供給して、循環フィルタを洗浄する。したがって、循環フィルタに洗浄液を逆流させるだけで循環フィルタに付着した被膜の破片を除去することができるので、被膜の破片に起因する循環フィルタのメンテナンスを容易に行うことができる。また、循環フィルタが目詰まりすると、ポンプのストロークセンサが動作を検知する時間が長くなり、一定量の液送動作に要する液送時間が変化する。したがって、液送時間を監視することで循環フィルタの目詰まりを判断することができ、適切なタイミングでフィルタ洗浄処理を実施することができる。
また、循環配管は、オーバフロー槽から剥離液を取り込むので、被膜の破片により詰まることがある。したがって、循環配管にも洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行うことにより、被膜の破片による循環配管の詰まりを解消できる。
【0029】
また、本発明において、前記フィルタ洗浄処理を行う過程は、前記循環フィルタをそれぞれ備え、前記循環配管から分岐した複数本の分岐配管のうち、前記剥離処理を行う過程において使用した分岐配管の循環フィルタを対象に行うことが好ましい(請求項
9)。
【0030】
フィルタ洗浄処理を行っていない分岐配管により、次の剥離液を循環させつつ温調などの処理を行うことができるので、フィルタ洗浄処理を行いつつも稼働率を低下させることがない。
【0031】
(削除)
【0032】
(削除)
【0033】
また、本発明において、前記循環配管に連通接続され、前記処理槽の剥離液を排出する処理槽排出管から剥離液を排出する過程をさらに備え、前記処理槽排出管に詰まりが生じた場合には、さらに前記処理槽排出管に洗浄液を逆流させる配管洗浄処理も行うことが好ましい(請求項1
0)。
【0034】
処理槽排出管は、処理槽から剥離液を取り込むので、被膜の破片により詰まることがある。したがって、処理槽排出管にも洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行うことにより、被膜の破片による処理槽排出管の詰まりを解消できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る基板処理装置によれば、制御手段は、処理槽に剥離液を貯留させ、循環配管を介してオーバフロー槽と処理槽にわたって剥離液を循環させながら基板に被着された被膜の剥離処理を行わせる。剥離処理が終了すると、制御手段は、洗浄液供給配管から洗浄液を循環フィルタに逆流させることにより、循環フィルタを洗浄するフィルタ洗浄処理を行わせる。したがって、循環フィルタに洗浄液を逆流させるだけで循環フィルタに付着した被膜の破片を除去することができるので、被膜の破片に起因する循環フィルタのメンテナンスを容易に行うことができる。また、循環フィルタが目詰まりすると、ポンプのストロークセンサが動作を検知する時間が長くなり、一定量の液送動作に要する液送時間が変化する。したがって、制御手段は、液送時間を監視することで循環フィルタの目詰まりを判断することができ、適切なタイミングでフィルタ洗浄処理を実施することができる。
また、循環配管は、オーバフロー槽から剥離液を取り込むので、被膜の破片により詰まることがある。したがって、循環配管にも洗浄液を逆流させる配管洗浄処理を行うことにより、被膜の破片による循環配管の詰まりを解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】実施例に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。
【
図2】剥離液を準備している状態を示す模式図である。
【
図4】フィルタ洗浄処理の状態を示す模式図である。
【
図5】オーバフロー槽の剥離液を排出している状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
図1は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。
【0038】
実施例に係る基板処理装置は、基板Wに被着された被膜を剥離液によって剥離処理する。本実施例における被膜は、フォトレジスト被膜を例にとって説明するが、本発明における被膜としては、例えばパッシベーション(Passivation)膜などの被膜であってもよい。
【0039】
基板処理装置は、複数枚の基板Wを一括して剥離処理するための処理部1を備えている。この処理部1は、純水や剥離液などの処理液を貯留し、複数枚の基板Wを収容可能な大きさを有する処理槽3と、処理槽3の上縁から周囲に溢れる処理液を回収するオーバフロー槽5と、処理槽3内に貯留する液体に対して超音波振動を付与するための溶媒を貯留する超音波処理槽7とを備えている。超音波振動付与部9は、処理槽7の底面に付設されている。
【0040】
処理部1の近くには、リフタ11が配置されている。リフタ11は、処理部1の上方にあたる「待機位置」と、処理槽3の内部にあたる「処理位置」とにわたって昇降可能に構成されている。このリフタ11は、複数枚の基板Wを所定の間隔に維持した状態で、複数枚の基板Wを起立姿勢で保持する。また、処理部1の近くには、純水や剥離液などの処理液を供給するための処理液供給部13が設けられている。処理液供給部13は、処理液供給源に一端側が連通接続され、他端側が処理槽3に連通接続された処理液供給管15と、処理液供給管15における処理液の流通を制御するための制御弁17とを備えている。
【0041】
処理槽3は、その内部に処理液を供給するための噴出管19を底面側に備えている。この噴出管19とオーバフロー槽5とは、循環配管21によって連通接続されている。具体的には、循環配管21の一端側は、オーバフロー槽5の上部開口から延出されて、底部に向けて開口し、循環配管21の他端側は、噴出管19に連通接続されている。
【0042】
循環配管21は、オーバフロー槽5側から順に、制御弁23と、フィルタユニット25と、ベローズポンプ27と、制御弁29と、インラインヒータ31と、下流側循環フィルタ33とを設けられている。
【0043】
制御弁23は、循環配管21中の処理液の流通を制御する。フィルタユニット25は、詳細については後述するが、複数個の循環フィルタを切り替え可能な構成を有するベローズポンプ27は、循環配管21を介して、オーバフロー槽5から処理槽3にわたって処理液を圧送する。制御弁29は、循環配管21中の処理液の循環流通及び流通方向を制御する。インラインヒータ31は、循環配管21を流通する処理液を任意の温度に加熱する。下流側循環フィルタ33は、フィルタユニット25を通過したパーティクル等の異物を除去する。ベローズポンプ27の下流側であって、制御弁29の上流側には、排液管35が連通接続されている。排液管35は、循環配管21を流通する処理液の排液を制御する制御弁37を設けられている。
【0044】
フィルタユニット25は、制御弁23の下流側であって、ベローズポンプ27の上流側にあたる循環配管21に一端側が連通接続された第1の分岐配管38と、ダイアフラムポンプ27の上流側であって、第1の分岐配管38の下流側にあたる循環配管21に一端側が連通接続された第2の分岐配管39と、制御弁23の下流側であって、第1の分岐配管38の上流側にあたる循環配管21に一端側が連通接続された第3の分岐配管41と、ベローズポンプ27の上流側であって、第2の分岐配管39の下流側にあたる循環配管21に一端側が連通接続された第4の分岐配管43とを備えている。
【0045】
第1の分岐配管38の他端側と第3の分岐配管41の他端側は、排液部45に連通接続されている。また、第2の分岐配管39の他端側と第4の分岐配管43の他端側は、純水供給源47に連通接続されている。排液部45は、送られてくる液体を排液処理する。純水供給源47は、本発明における「洗浄液」に相当する純水を供給する。なお、洗浄液としては、純水以外の他の液体を用いるようにしてもよい。
【0046】
第1の分岐配管38と第3の分岐配管41との間にあたる循環配管21には、制御弁49が設けられ、第2の分岐配管39と第4の分岐配管43との間にあたる循環配管21には、制御弁51が設けられている。第1の分岐配管38と第2の分岐配管39との間にあたる循環配管21には循環フィルタ53が取り付けられ、第1の分岐配管38と第2の分岐配管39には、循環フィルタ53と並列の関係で、排液部45及び純水供給源47側に循環フィルタ55が連通接続されている。また、第3の分岐配管41と第4の分岐配管43には、循環フィルタ57が連通接続され、この循環フィルタ57と並列の関係で、排液部45及び純水供給源47側に循環フィルタ59が連通接続されている。
【0047】
第1の分岐配管38は、排液部45と循環フィルタ55との間にあたる部分に制御弁61が設けられ、第2の分岐配管39は、純水供給源47と循環フィルタ55との間にあたる部分に制御弁63が設けられている。また、第3の分岐配管41は、排液部45と循環フィルタ59との間に制御弁65が設けられ、この循環フィルタ59と循環配管21との間に制御弁67が設けられ、第4の分岐配管43は、純水供給源47と循環フィルタ59との間にあたる部分に制御弁69が設けられ、循環フィルタ57と循環配管21との間に制御弁71が設けられている。
【0048】
フィルタユニット25は、上述したように構成されており、循環フィルタ53と循環フィルタ55の一対の循環フィルタと、循環フィルタ57と循環フィルタ59の一対の循環フィルタと選択的に切り替えられるように構成されている。なお、フィルタユニット25は、一対の循環フィルタにより流路抵抗を減らしているが、これを一つの循環フィルタで構成してもよい。
【0049】
なお、上述した第2の分岐配管39と第4の分岐配管43とが本発明における「洗浄液供給管」に相当し、第1の分岐配管38と第3の分岐配管41とが本発明における「排液管」に相当する。また、制御弁49,51,67,71が本発明における「第1の制御弁」に相当し、制御弁61,65,63,69が本発明における「第2の制御弁」に相当する。
【0050】
本発明における「制御手段」に相当する制御部73は、図示しないCPUやメモリを備えている。上述したベローズポンプ27は、ストロークセンサ75を内蔵しており、その出力が制御部73に与えられる。ストロークセンサ75は、ベローズポンプ27におけるベローズ(不図示)の往復移動における端部位置を検出し、これに基づいて制御部73は、ベローズポンプ27の液送時間を知ることができる。制御部73は、上述した超音波振動付与部9の作動と、リフタ11の昇降動作と、制御弁17,23,29,37,39,49,51,61,65,67,69,71の開閉動作と、ベローズポンプ27の液送動作と、インラインヒータ31による温調とを統括して制御する。
【0051】
次に、上述した基板処理装置の動作について、
図2〜
図4を参照して説明する。なお、
図2は、剥離液を準備している状態を示す模式図であり、
図3は、剥離処理を示す模式図であり、
図4は、フィルタ洗浄処理の状態を示す模式図である。なお、
図2〜
図4では制御部73を省略している。また、全ての制御弁は、全て閉止された状態であるものとする。図中においては、黒塗りにより制御弁が開放状態であることを示し、白塗りにより制御弁が閉止状態であることを示す。
【0052】
図2に示すように、制御部73は、リフタ11を待機位置に位置させた状態で、制御弁17を開放して処理槽3に剥離液を供給する。処理槽3に供給された剥離液がオーバフロー槽5に溢れて回収され始めた後、制御部73は、制御弁23,49,51,29を開放させるとともに、ベローズポンプ27を作動させる。さらに、インラインヒータ31を作動させて温調の準備を行わせる。これにより、オーバフロー槽5で回収された剥離液が循環配管21と、循環フィルタ53,55と、インラインヒータ31と、下流側循環フィルタ33とを通って処理槽3へと戻される。そして、制御弁17を閉止して剥離液の供給を停止させる。
【0053】
剥離液が処理温度に達した後、制御部73は、
図3に示すように、基板Wを保持したリフタ11を処理位置にまで下降させる。そして、剥離液を循環配管21を通して循環させながら、所定時間の間にわたって複数枚の基板Wを剥離液に浸漬させておくことにより、基板Wに被着されたフォトレジスト被膜の剥離処理を行わせる。このとき、剥離したフォトレジスト被膜は、ある程度の小さな破片に分断されるものや、小さな破片よりも大きな破片に分断される。これらのフォトレジスト被膜の破片は、主として循環フィルタ53,55によって除去される。所定時間の剥離処理を終えた後、制御部73は、リフタ11を処理位置から待機位置へ上昇させる。なお、剥離処理の際には、超音波振動付与部9を作動させてフォトレジスト被膜の剥離を促進させるようにしてもよい。
【0054】
制御部73は、上述した剥離処理の間、ストロークセンサ75の出力に基づいて、ベローズポンプ27における一定量の液送動作に要する液送時間を監視している。特に、上流側に配置されている循環フィルタ53,55は、基板Wから剥離されたフォトレジスト被膜の大きな破片によって、下流側循環フィルタ33に比較して流量低下などの悪影響が顕著に生じる恐れがある。そこで、制御部73は、現在の液送時間と、予め設定されている閾値と比較した結果、液送時間が閾値を超える場合には、循環フィルタ53,55にフォトレジスト被膜の破片が付着して剥離液の流量が低下していると判断することができる。
【0055】
循環フィルタ53,55に詰まりが生じたと判断した場合には、制御部73は、次のように「フィルタ洗浄処理」を実施する。ここで、
図4を参照する。なお、
図4は、フィルタ洗浄処理の状態を示す模式図である。
【0056】
制御部73は、制御弁49,51を閉止させるとともに、制御弁61,63,67,71を開放させる。これにより、循環フィルタ57,59が循環配管21に連通接続され、循環フィルタ53,55が純水供給源47及び排液部45に連通接続されるように切り替えられる。そして、純水供給源47から純水を供給させ、循環フィルタ53,55に対して純水を供給させることにより、循環フィルタ53,55に対して剥離処理時における剥離液の流通方向とは逆方向に純水を供給させることができる。その結果、循環フィルタ53,55に付着しているフォトレジスト被膜の破片が除去されて、純水とともに排液部45に排出される(
図4中の破線)。このように制御部73は、ベローズポンプ27の液送時間を常時監視することにより、適切なタイミングでフィルタ洗浄処理を行わせることができ、循環フィルタ53,55が目詰まりを生じた状態で基板処理装置における処理が継続されることを防止できる。
【0057】
なお、上記のフィルタ洗浄処理の際には、制御弁17を開放させて、新たな剥離液を補充するとともに、ベローズポンプ27を作動させて循環フィルタ57,59を通して剥離液を循環させることにより(
図4中の実線)、次の複数枚の基板Wのために、新たな剥離液の補充に伴う温調処理を並行して行わせることができる。したがって、フィルタ洗浄処理を行いつつも装置の稼働率を低下させることがない。
【0058】
循環フィルタ57,59を通した剥離処理の際には、上述した循環フィルタ53,55と同様に、目詰まりが生じた場合には、上述した循環フィルタ53,55のフィルタ洗浄処理と同様に純水を逆流させることにより、循環フィルタ57,59についてもフィルタ洗浄処理を行わせることができる。
【0059】
上述したように、本実施例によると、制御部73は、処理槽3に剥離液を貯留させ、循環配管21を介してオーバフロー槽5と処理槽3にわたって剥離液を循環させながら基板Wに被着されたフォトレジスト被膜の剥離処理を行わせる。剥離処理が終了すると、制御部73は、純水供給源47から純水を循環フィルタ53,55に逆流させることにより、循環フィルタ53,55を洗浄するフィルタ洗浄処理を行わせる。したがって、循環フィルタ53,55に純水を逆流させるだけで循環フィルタ53,55に付着したフォトレジスト被膜の破片を除去することができるので、フォトレジスト被膜の破片に起因する循環フィルタ53,55のメンテナンスを容易に行うことができる。また、循環フィルタ53,55に目詰まりが生じてからフィルタ洗浄処理を行うのではなく、フィルタ洗浄処理を定期的に行うと、循環フィルタ53,55の目詰まりに起因して悪影響が生じることを未然に防止できる。
【0060】
次に、
図5及び
図6を参照して配管洗浄処理について説明する。なお、
図5は、オーバフロー槽の剥離液を排出している状態を示す模式図であり、
図6は、配管洗浄処理を示す模式図である。なお、以下の配管洗浄処理は、上述したフィルタ洗浄処理に続いて行うものとして説明する。
【0061】
制御部73は、基板Wの剥離処理を終えた後、全剥離液を排出するために、オーバフロー槽5に貯留する剥離液を排出させる。まず、制御弁29,61,63を閉止させ、制御弁37を開放させる。すると、ベローズポンプ27によりオーバフロー槽5に貯留している剥離液が循環配管21及び循環フィルタ57,59を通して排液管35から排出される。このとき、制御部73は、ストロークセンサ75の出力に基づいて、ベローズポンプ27における一定量の液送動作に要する液送時間を監視している。そして、制御部73は、現在の液送時間と、予め設定されている閾値と比較し、液送時間が閾値を超える場合には、フォトレジスト被膜の破片が循環配管21のオーバフロー槽5側の開口や内部を塞ぎ、剥離液の流量が低下していると判断することができる。
【0062】
循環配管21に詰まりが生じたと判断した場合には、制御部73は、次のように「配管洗浄処理」を実施する。
【0063】
制御部73は、
図6に示すように、ベローズポンプ27を停止させ、制御弁37,71を閉止させる。そして、制御弁69を開放させるとともに、純水供給源47から純水を供給させる。これにより、循環フィルタ57,59を通して純水をオーバフロー槽5に供給することができる。これにより循環配管21のオーバフロー槽5側の開口や内部に詰まったフォトレジスト被膜の破片を取り除くことができる。
【0064】
なお、
図6に示すように、処理槽3の処理液を排出するための処理槽排出管79と、処理槽排出管79における処理液の流通を制御する制御弁81とを備え、上述したオーバフロー槽5の排出と同様に処理槽3の処理液を排出する構成を備えている場合には、上述した配管洗浄処理を処理槽排出管79に対して行うようにしてもよい。これにより、処理槽3からの排液時に生じた循環配管21及び処理槽排出管79の詰まりを解消することができる。
【0065】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0066】
(1)上述した実施例では、制御部73が目詰まりを検出した場合にフィルタ洗浄処理や配管洗浄処理を行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、制御部73は、フォトレジスト被膜で詰まりが生じる時間を予め測定しておき、その時間よりも短い時間間隔で定期的にフィルタ洗浄処理や配管洗浄処理を行うようにしてもよい。
【0067】
(2)上述した実施例では、ベローズポンプ27のストロークセンサ75により詰まりを検出したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図1に点線で示すように、処理槽3及びオーバフロー槽5の液面レベルを検出する液面レベルセンサ83を備えておき、この液面変化により循環フィルタ53,55,57,59、循環配管21、処理槽排出管79の詰まりを検出するように構成してもよい。また、循環フィルタ53,55,57,59の上流側を光透過部材で構成し、光の透過度合いの変化により詰まりを検出するようにしてもよい。さらに、流量計によって流量を監視することで目詰まりを検出するようにしてもよい。
【0068】
(3)上述した実施例では、複数本の分岐管38,39,41,43のそれぞれに循環フィルタ53,55,57,59を備え、循環フィルタ53,55と循環フィルタ57,59とを切り替えるようになっているが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、循環配管21に一つの循環フィルタだけを備える構成であってもよい。
【0069】
(4)上述した実施例では、基板Wにフォトレジスト被膜が被着されているとして説明したが、本発明はフォトレジスト被膜以外の被膜であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
W … 基板
1 … 処理部
3 … 処理槽
5 … オーバフロー槽
11 … リフタ
21 … 循環配管
17,23,29,37,49,51,61,63,65,67,69,71,81 … 制御弁
25 … フィルタユニット
27 … ベローズポンプ
38 … 第1の分岐配管
39 … 第2の分岐配管
41 … 第3の分岐配管
43 … 第4の分岐配管
45 … 排液部
47 … 純水供給源
53,55,57,59 … 循環フィルタ
73 … 制御部
75 … ストロークセンサ
79 … 処理槽排出管
83 … 液面レベルセンサ