(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。ここで、図中、同一の記号で示される部分は、同様の機能を有する同様の要素である。また、本明細書においては、サーマルヘッドプリンタを例にとって説明するが、本発明は、サーマルヘッドプリンタに限定されるものではなく、広くプリンタ一般に適用できるものである。
【0011】
<構成>
(1)概略構成
本発明に係るプリンタについて、
図1を参照して説明する。
図1(A)は、本発明に係るプリンタの斜視図である。
図1(B)は、本発明に係るプリンタの上部ユニットのプラテンローラ側を開けた状態の斜視図である。
図1(C)は、本発明に係るプリンタの上部ユニットを全開きした状態の斜視図である。
【0012】
図1(A)〜(C)を参照して、本発明に係るプリンタ100は、サーマルヘッド110を主に含む上部ユニット120と、プラテンローラ130とモータ(不図示)と制御装置(不図示)とを主に含む下部ユニット140と、上部ユニット120と下部ユニット140とを開閉自在に接続するヒンジ部150と、を主に備えて構成される。
【0013】
ここで、上部ユニット120に含まれるものと、下部ユニット140に含まれるものとは、上記の組み合わせに限定されるものではなく、任意の組み合わせが可能である。即ち、上部ユニット120が、プラテンローラ130を含んで、下部ユニット140がサーマルヘッドを含んで構成されても良い。また、その他の任意の組み合わせも可能である。
【0014】
なお、本発明において、前側(または正面側)とは、プリンタ100のプラテンローラ側(プリント用紙の排出側)を意味し、後側とは、プリンタ100のプラテンローラとは反対側(プリント用紙挿入側)を意味する。また、左側とは、プリンタ100の前側を前方に見て左側の側面側を、右側とは、プリンタ100の前側を前方に見て右側の側面側を意味し、単に側面と言えば右側の面または左側の面を意味し、単に側面側と言えば右側または左側を意味する。
【0015】
本発明において、前開きとは、
図1(B)に示すように、プラテンローラ側(プリント用紙の排出側)を開けることを意味し、全開きとは、
図1(C)に示すように、上部ユニット120の一方の側面が上方に、もう一方の側面が下方に向くように展開して開けることを意味する。
【0016】
(2)ヒンジ部の構成
次に、ヒンジ部の構成について図面を参照して説明する。
図2は、ヒンジ部と上部ユニットの一部との分解組み立て図である。
図2に示すように、ヒンジ部150は、下側ヒンジブラケット205と、回動用ピン210と、上側ヒンジブラケット215と、ブラケットカバー220と、バネ225と、ねじ230とを主に含んで構成される。
【0017】
下側ヒンジブラケット205は、その両側端部が延出し、延出した部分のそれぞれに回動用ピン210を挿入するための穴が形成されている。また、上側ヒンジブラケット215の一端は二股に分かれた二股部が設けられ、設けられた二股部の二股に分かれたそれぞれの部分に回動用ピン210を貫入するための穴が形成されている。
【0018】
上側ヒンジブラケット215の二股部は、下側ヒンジブラケット205の延出した2つの部分(以後、延出部と称する)の間に挿入され、延出部に形成された2つの穴と、二股部の2つの穴とを通して回動用ピン210が挿入される。これにより、回動用ピン210を回動軸として上側ヒンジブラケット215は、下側ヒンジブラケット205に対して回動可能になる。
【0019】
ブラケットカバー220は、上側ヒンジブラケット215を軸方向に貫入するための貫入穴235を片端部に有し、上側ヒンジブラケット215はこの貫入穴235に貫入される。この時、上側ヒンジブラケット215は、貫入穴235に貫入された時、貫入穴235内に設置されたバネ225が形成するリングの穴を貫通して貫入穴235内に設置される。
【0020】
ここで、上側ヒンジブラケットとブラケットカバーとの分解組み立て図である
図3を参照して更に説明する。上側ヒンジブラケット215の二股部310、310が形成されていない側の先端部は、対向する1組の平面部と対向する1組の曲面部とで構成された棒状体315である。また、二股部310、310は、略逆U字形状のU字部材325によって接続されている。
【0021】
この棒状体315(これ以降、上側ヒンジブラケットの先端部を単に棒状体と称する)は、
図3に示すように、ブラケットカバー220の貫入穴235内に設けられた、この棒状体315の外形と同じ形状を有する回転止め穴320に挿入される。
【0022】
これにより、棒状体周囲の1組の平面部が、挿入された穴の平面部に当接して回転止めとして働くので、棒状体315が(即ち、上側ヒンジブラケットが)ブラケットカバー220に対して空回りすることはない。
【0023】
また、上側ヒンジブラケットはねじ穴305を有し、
図3、
図4に示すように(
図4は、上部筐体にヒンジ部を組み込んだ時の概略図である)、ネジ230によってブラケットカバー220と上側ヒンジブラケット215が固定される。これにより、上側ヒンジブラケット215がブラケットカバー220から抜けることを防ぐことができる。ここで、上側ヒンジブラケット215とブラケットカバー220とは、別体である必要はなく、一体化された部品であってもよい。例えば、上側ヒンジブラケットがブラケットカバーに内包された構造であっても良い。
【0024】
図2を参照して、上部筐体240は、略直方体形状を成し、一番面積の広い面を構成している対向した2組の辺のうちの片方の組の辺が延出され、延出した部分のそれぞれにブラケットカバー220を挿入するための穴を有するリング部245、246が形成されている。ここで、リング部は、本実施例においては、2つのリング部を有する例で説明しているが、リング部の数はこれに限定されるものではなく、1つ以上であればいくつでも良い。
【0025】
上側ヒンジブラケット215が挿入されたブラケットカバー220は、リング部245、246に挿入される。
図4を参照して、バネ225は、その片方の先端部がブラケットカバー220に設けられた溝402に配置され、もう片方の先端部は、上部筐体240に設けられた溝405に配置される。このバネ225により、上部筐体240は、ブラケットカバー220を回転軸にして回転する方向に付勢される。
図2に示すように、上部筐体240は、上部カバー250と接合される。
【0026】
ここで、ブラケットカバー220と上部筐体240とについて
図5〜
図8を参照して更に説明する。
図5は、ブラケットカバーの斜視図である。
図6は、上部筐体とブラケットカバーとの分解組み立て図である。
図7は、
図6のA−A断面図でブラケットカバーが右回転した時の図である。
図8は、
図6のA−A断面図でブラケットカバーが左回転した時の図である。
【0027】
図5に示すように、ブラケットカバー220の片方の先端部は、中空の円筒状部材505と、円筒状部材505を中心にしてその回りを断面円弧状に覆って配置された円弧状部材510とで構成されている。
【0028】
図6に示すように、ブラケットカバー220を上部筐体240のリング部245からリング部246まで挿入した時のA−A断面図が、
図7、
図8である。リング部246は、
図6,
図7、
図8に示すように、円筒状部材505が挿入される円形状穴605と、円弧状部材510が挿入される円弧状穴610とを備えている。
【0029】
図7、
図8に示すように、円形状穴605に挿入された円筒状部材505は、円形状穴605内で回動可能であり、円弧状部材510も円弧状穴610内で回動可能である。また、円弧状穴610には、円弧状部材510が回動した時に突き当たるストッパ705、706が形成されている。
【0030】
図7に示すように、図面上においてリング部246が反時計方向に回転した時、ストッパ705が円弧状部材510の下端に突き当たるまで回転でき、
図8に示すように、リング部246が時計方向に回転した時は、ストッパ706が円弧状部材510の上端に突き当たるまで回転できる。
【0031】
これにより、ブラケットカバー220が固定されている時、上部筐体240は、円弧状部材510がストッパ705、706に突き当たるまでの範囲で、ブラケットカバー220を回転軸として回動可能になる。
【0032】
次に、下側ヒンジブラケット205と、下部ユニット140との接合について
図9、
図10を参照して説明する。
図9は、下部ユニットと上側ヒンジブラケットとの分解組み立て図である。
図10は、下部ユニットと上部ユニットのカバーを外した状態の斜視図である。
【0033】
図9、
図10に示すように、下側ヒンジブラケット205は、下部ユニット140の左側側面にネジ910によって接合されている。
【0034】
次に、上部ユニット120と下部ユニット140とを右側側面で脱着可能に接続する接続部について
図11〜
図13を参照して説明する。
図11(A)は、前開き状態のプリンタの側面概略図であり、(B)は、(A)の部分拡大図である。
図12(A)は、前開き状態から全開き状態に移行する途中のプリンタの側面概略図であり、(B)は、(A)の部分拡大図である。
図13(A)は、前開き状態から全開き状態に移行する途中のプリンタの側面概略図であり、(B)は、(A)の部分拡大図である。
【0035】
図11(A)、(B)に示すように、接続部は、円形突起1110と半円形溝1104(
図9も参照)とで構成される。前開き状態においては、リング部246に形成されている円形突起1110は、下部ユニット140に形成された半円形溝1104内に配置されている。半円形溝1104は、円形突起1110の直径と同じ、もしくはやや大きい直径を有する断面が略半円形の溝であり、その断面において、円形突起1110の直径より大きい開口部が鉛直方向真上よりも傾いた位置に形成されている。
【0036】
言い換えると、半円形溝1104は、下部ユニットの側面と平行な断面が円弧を成す壁1120(
図9も参照)により形成された溝であり、円形突起1110は、この溝内に設置され、この溝内で回動可能であり、この溝の開口部の大きさは円形突起1110が着脱可能になるように、円形突起1110の直径以上の大きさであり、円形突起1110の鉛直方向上部には、半円形溝1104を形成する壁が配置されるように構成されている。これにより、全開き状態にするには、
図12(A)、(B)、
図13(A)、(B)に示すように、円形突起1110を半円形溝1104の開口部の方向に力を加えて移動させることが必要なので、前開き状態から勝手に全開き状態になることを防ぐことができ、前開き状態を安定的に保持可能である。
【0037】
半円形溝1104の大きさは、半円形溝1104が回転方向に摺動可能な範囲で小さい(直径が短い)方が好ましい。これにより、上部ユニットのがたつきを防ぐことができ、上部ユニットを閉じた状態から前開き状態に或いはその逆にスムーズな開閉が可能になるからである。
【0038】
(3)ヒンジ部の配線構成
次に、ヒンジ部150の配線構成について、
図2、
図3,
図4、
図14、
図15を参照して説明する。
図14は、ヒンジ部の配線を示す斜視図である。
図15は、ヒンジ部の配線を示す斜視図である。
【0039】
図2に示すように、下側ヒンジブラケット205は、その両側端部が延出し、延出した部分のそれぞれに回動用ピン210を挿入するための穴が形成されおり、この両側端部に挟まれて、配線を収納するための配線溝(通路)260が、鉛直方向上下に貫いて形成されている。
【0040】
また、
図3を参照して、上側ヒンジブラケット215は、二股部が形成されている側の先端面に形成された先端面穴330と、側面に形成され先端面穴330に連通している第1側面穴335とを備えている。
【0041】
更に、ブラケットカバー220の側面には、第2側面穴340が形成されており、組み立て後において、第1側面穴335と第2側面穴340とは連通するように構成されている。これにより、先端面穴330と第2側面穴340とは連通することになる。
【0042】
図4、
図14、
図15に示すように、下部ユニット140から上部ユニット120への配線410は、下側ヒンジブラケット205の配線溝260を通って、上側ヒンジブラケット215の先端面穴330から上側ヒンジブラケット215の第1側面穴335と、ブラケットカバー220の第2側面穴340とを抜けて上部ユニットに接続されている。
【0043】
これにより、上部ユニットが前開き、または、全開きを繰り返しても、配線はヒンジ部150の内部を通っているので、配線が上部ユニット120と下部ユニット140とに挟み込まれることはなく、かつ、ヒンジ部の揺動により配線に引っ張り等の無理な力が加わることもない。
【0044】
(4)サーマルヘッド取り付け部分の構成
次に、サーマルヘッド110と、上部筐体240との接続部の構成について
図16〜
図20を参照して説明する。
図16は、サーマルヘッドが装着された上部筐体の下面の斜視図である。
図17は、
図16のA−A断面図である。
図18は、上部筐体からサーマルヘッドを取り外した状態の斜視図である。
図18は、平板部材と矩形穴との接続状態を示した斜視図である。
図20は、L字部材と矩形穴との接続状態を示した斜視図である。
【0045】
図16に示すように、上部筐体240にサーマルヘッド110が装着されている。
図16のA−A断面図である
図17を参照して、サーマルヘッド110は、サーマルヘッド素子1700と、取り付け部材1702とから構成されている。サーマルヘッド素子1700は、取り付け部材1702の一方の面に接続されている。
【0046】
取り付け部材1702は、長手方向の一方の端に平板状の平板部材を、もう一方の端に断面L字形状のL字部材を備えている。
図18を参照して、取り付け部材1702の面のうち、サーマルヘッド素子1700が装着されている面の反対側の面には、横長の凸部1800、1800が2箇所設けられている。
【0047】
また、上部筐体240は、平板部材1704を挿入するための矩形穴1802と、L字部材1706を挿入するための矩形穴1804と、取り付け部材1702の凸部1800、1800に、装着時に当接する位置に設けられた押圧部材1710、1710を備えている。押圧部材1710は、バネ1720と平面状の押圧板1730とから構成されており、バネ1720によって押圧板1730は常に図面において手前側(バネが延びる方向)に付勢されている。
【0048】
図17、
図19、
図20を参照して、サーマルヘッド110を上部筐体240に装着する際は、平板部材1704を矩形穴1802に挿入し、凸部1800、1800を押圧部材1710に当接させてバネ1720が縮むように押し込み、次に取り付け部材1702を横にスライドさせてL字部材1706を矩形穴1804に挿入する。その後、L字部材1706を、矩形穴1804を形成している部材の突き当て面1900に突き当てる。
【0049】
これにより、凸部1800に押圧部材1710が当接するので、L字部材1706を矩形穴1804に入れるために取り付け部材1702を押圧部材1710に押しつけて横にスライドさせても、凸部1800と押圧部材1710との接触面積が小さいために、摩擦が小さくなりスムーズなスライドが可能になる。
【0050】
よって、凸部1800は、スライドさせる長さと同等以上の長さを有することが好ましい。また、凸部1800の頂上は、摩擦を小さくするために、なめらかな面、形状であることが好ましい。
【0051】
また、取り付け部材1702は、L字部材1706が突き当て面1900に突き当てられて、かつ、押圧部材1710により常に
図17における下方向に付勢されているので、サーマルヘッド素子1700は正確に位置決めされ、かつ、位置決めされた位置からずれることがない。
【0052】
(5)用紙ガイドの構成
次に、用紙ガイドの移動機構について、
図21、
図22を参照して説明する。
図21は、本発明に係るプリンタの正面概略図である。
図22は、本発明に係るプリンタの背面斜視図である。
【0053】
図21は、プリンタの正面断面図である。
図21、
図22を参照して、左右両側から用紙を挟み込んでガイドする2つの用紙ガイド2130、2140は、それぞれ、用紙の上側をガイドする上ガイド2132、2142と、用紙の下側をガイドする下ガイド2134、2144とで構成されている。用紙ガイド2130は、光学式のセンサを有し、用紙の有無を検出することができる。
【0054】
用紙ガイド2130は、ラックアンドピニオンギアのラック2110と接続され、用紙ガイド2140は、ラック2120と接続されている。ラック2110とラック2120とは、地面に対して垂直に設置されたピニオンギア2100のそれぞれ下部、上部と歯合している。
【0055】
これにより、一方の用紙ガイドを移動させれば、ラックアンドピニオンギアの働きにより、もう一方の用紙ガイドも移動するので、用紙サイズに合わせて用紙ガイドの間隔を容易に調整することができる。
【0056】
また、ピニオンギア2100が地面に対して垂直に、即ち、縦置きに設置されているので、プリンタの奥行きを短くすることが可能になり、プリンタの省スペース化を図ることができる。更に、ピニオンギア2100が縦置きに設置されているので、高さ方向の寸法を稼ぐことができ、用紙を背面から挿入することが容易になる。
【0057】
ここで、上ガイド2132、2142は、そのプラテンローラ130側先端が、なるべくプラテンローラ近傍まで延びていることが望ましい。これにより、用紙ジャムを防止し、用紙のばたつきも防ぐことができるからである。
【0058】
また、2つの用紙ガイド2140、2030の間には、用紙支持部材2200が設けられている。用紙支持部材2200は、その上面の高さが下ガイド2144、2134の用紙接触面と同じ高さであり、用紙をプラテンローラ130の直前まで支持する支持板2210から用紙挿入口に延びている。
【0059】
用紙支持部材2200は、2つの用紙ガイド2140、2130の間に位置して、2つの用紙ガイド2140、2130が用紙の左右両側を支持し、用紙の中央部を用紙支持部材2200が支持するので、用紙を安定して支持し、プラテンローラまで送り出すことができる。このため、用紙支持部材2200は、2つの用紙ガイド2140、2130の中間に設置されることが好ましい。
【0060】
また、支持板2210は、下ガイド2144、2134の前側先端からプラテンローラ130まで緩やかな上り勾配を有し、用紙搬送方向に平行に複数の線状凸部であるリブ2220を備えている。この複数のリブ2220は、支持板2210の端から端までの長さを有するものと、それより短く、用紙投入側端部のみに形成されたものとが、用紙幅方向に交互に形成されている。
【0061】
これにより、用紙は、その裏面全体が支持板に接触することなく、リブ2220により線で支持されるので、摩擦が少なくなり、容易にプラテンローラ130まで搬送される。
【0062】
更に、複数のリブ2220の間には、用紙の幅方向のサイズを示す数字が設けられ、その数字が示す寸法になるようにリブ2220の間隔が設定されているので、投入する用の寸法に合わせて容易に用紙ガイド2130、2140の幅を調整することができる。
【0063】
また、ラックアンドピニオンギアと、支持板2210との間には、レール溝2230がプラテンローラと平行に設けられている。用紙ガイド2130は、レール溝2230に挿入され、レール溝2230内を摺動しながら移動可能な摺動部材(不図示)を備えている。これにより、摺動部材が、用紙ガイド2130を支持しながらレール溝2230を移動するので、用紙ガイド2130は、安定に支持され、かつ、レール溝2230に沿って、がたつくことなく移動可能になる。
【0064】
<作動>
次に、本発明に係るプリンタのヒンジ部の作動について図面を参照して説明する。
図1(A)は、本発明に係るプリンタ100の上部ユニット120が閉じている状態を示している。このとき、
図4に示すように、上部筐体240(即ち上部ユニット120)は、バネ225によってブラケットカバー220を回転中心として回転するように付勢されているが、
図23(
図23は、下部ユニットのみの斜視図である)に示す、プラテンローラ130の両側後に設置された2つのかぎ爪部材2300、2300によって上部ユニット120は開かないように掛止されている。
【0065】
ここで、開閉レバー160を押すことにより、かぎ爪部材2300、2300が後に揺動し、バネ225によって付勢されていた力により、上部ユニット120はブラケットカバー220を回転中心として回転する。この時、
図7に示す状態からリング部246が時計回りに回転を始め、
図8に示すように、ストッパ706が円弧状部材510に突き当たることにより回転を停止し、これ以上回転しなくなる。この時の状態が、
図1(B)である。このようにして、前開きを行うことができる。このようにストッパ706を有しているので、所定の角度以上は開かないようにすることができる。
【0066】
次に、
図11(A)、(B)に示す状態から、
図12(A)、(B)に示すように、円形突起1110を半円形溝1104内部から半円形溝1104の開口部の方向に移動させる。これは、ブラケットカバー220および上側ヒンジブラケット215の弾性により、これらが若干撓むことにより可能になる。このため、ブラケットカバー220および上側ヒンジブラケット215は、少なくともその一部に弾性を有する部材を使用する必要がある。
【0067】
その後、
図13(A)、(B)に示すように、ブラケットカバー220および上側ヒンジブラケット215の弾性により、半円形溝1104は、図面上における左右方向の定位置に戻る。この状態で上部筐体240の右側を上に持ち上げることにより、
図10に示す回動用ピン210を回転中心として、
図9に示すように右開きで上部ユニット120が上に開き全開き状態になる。
【0068】
この時のヒンジ部の状態を更に説明すると、全開きになる前は、
図24(
図24は、前開きまたは閉じた状態の上側ヒンジブラケットの端部を示した図である)に示すように、上側ヒンジブラケット215のU字部材325が上向きの状態になっている。
【0069】
ここから、回動用ピン210を回転中心にして上側ヒンジブラケット215を回転させることにより、即ち、上部ユニット120を回転させることにより、U字部材325および二股部310は、図面上において反時計回りに回転する。
【0070】
その後、
図25(
図25は、上部ユニットを全開き状態にした時の上側ヒンジブラケットの端部の状態を示した図である)に示すように、二股部310と、U字部材325とは、それぞれ、下側ヒンジブラケット205に形成されたストッパ2500、2510に突き当たって係止される。そのとき、上部ユニット120に形成されたストッパ2520も、下側ヒンジブラケット205に形成されたストッパ2510に突き当たって係止される。
【0071】
他の実施の形態として、
図26に示すように、上部ユニット120と下部ユニット140とを接続するヒンジ部150の近傍にコネクタ420を配置し、このコネクタ420を用いて配線410を着脱することができる。
コネクタは420、電源側の配線が接続された第一コネクタ421と、端末側の配線が接続された第二のコネクタ422を有し、第一のコネクタ421と第二のコネクタ422は、分離可能に着脱可能に設けることができる。第一のコネクタ421と第二のコネクタ422を接続した時は、図示しないがロック機構により、容易に外れないように接続されている。
また第一のコネクタ421と第二のコネクタ422は、夫々円形状の形状を有し、第一のコネクタ421と第二のコネクタ422が接続した状態で、第2側面穴340を介して第1側面穴335に収納可能に配置することができる。
このように、ヒンジ部150の近傍にコネクタ420を配置したので、組立て作業あるいは交換作業の作業効率を向上させることができる。また、コネクタ420を第1側面穴335に収納できるので、プリンタを大型化することがない。
またコネクタ420は、先端面穴330に挿通することができる大きさの形状にすることができる。
尚、第一のコネクタ421は、DC電源、制御信号を第二のコネクタ422側に供給あるいは接続することができる。第二のコネクタ422は、サーマルヘッド、表示部、操作部あるいはセンサなどと接続されている。
また、特開平6−15917号公報に開示されている配線構造では、上部ユニットが、複数の方向に開閉可能な場合、即ち、プリンタの用紙排出側を正面として上部ユニットの正面側が背面方向に開閉する場合と、上部ユニットの一方の側面側が他方の側面に向かって開閉する場合との両方が可能なプリンタに適用することができない。
また、上部ユニットと下部ユニットとを組立時あるいは上部ユニットを交換する時に、上部ユニットと下部ユニットとを接続する配線が長いことにより作業性が低下する問題がある。
上記実施形態のプリンタは、上部ユニットと下部ユニットとの間を用紙が搬送され印字されるプリンタであって、前記上部ユニットと前記下部ユニットとを接続するヒンジ部と、前記上部ユニットと、前記下部ユニットとを接続する配線と、を備え、前記ヒンジの近傍に位置するコネクタと、前記コネクタを用いて前記配線を着脱可能に接続することを主要な特徴にしている。
これにより、ヒンジ近傍にコネクタを位置するようにしたので、コネクタを用いて配線を着脱可能に接続でき、製造時の組立作業あるいは上部ユニットまたは下部ユニットの交換の作業性を向上させることができるプリンタを提供することができる。
また、上記実施形態のプリンタは、前記ヒンジ部は、前記下部ユニットに設置され、前記配線の通路を有する下側ヒンジブラケットと、前記下側ヒンジブラケットと回動用ピンで接続され、前記回動用ピンを回動中心として回動可能であり、前記下側ヒンジブラケットと接続されている側の先端面に形成された穴である先端面穴と、前記先端面穴と連通し側面に形成された穴である第1側面穴と、を有する上側ヒンジブラケットと、前記上側ヒンジブラケットが設けられたブラケットカバーと、を有し、前記上部ユニットは、前記ブラケットカバーが挿入され、前記ブラケットカバーを回動中心として前記上部ユニットを回動可能にするリング部を有し、前記配線は、前記下部ユニットの前記通路と、前記先端面穴と、前記第1 側面穴とを通って上部ユニットに前記コネクタを介して接続されていることを主要な特徴にしている。これにより、上部ユニットの正面側を背面方向に開く場合と、上部ユニットの一方の側面側が他方の側面に向かって開く場合とに対応可能であり、どちらの方向に開閉しても配線の挟み込みや配線の延び等による切断が発生することのないプリンタを提供することができる。また、上記実施形態のプリンタは、前記ブラケットカバーは、前記上側ヒンジブラケットを内包し、側面に形成され前記第1側面穴と連通した穴である第2側面穴を有することを特徴としている。
更に、上記実施形態のプリンタは、前記コネクタは、前記第2側面穴を介して前記第1側面穴に収納可能に配置することを特徴としている。