特許第6203501号(P6203501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203501
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】廃棄物収集車
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/20 20060101AFI20170914BHJP
   B65F 3/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B65F3/20 Z
   B65F3/00 B
   B65F3/20 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-13294(P2013-13294)
(22)【出願日】2013年1月28日
(65)【公開番号】特開2014-144831(P2014-144831A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】597086966
【氏名又は名称】株式会社 環境システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚田 敏則
【審査官】 石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−161495(JP,A)
【文献】 特開2008−036622(JP,A)
【文献】 特開2004−141851(JP,A)
【文献】 特開2008−074531(JP,A)
【文献】 特開平01−203103(JP,A)
【文献】 特開2006−168958(JP,A)
【文献】 特開平10−138883(JP,A)
【文献】 特開平11−148456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/00−9/00
B65F 3/00−3/28
E03F 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入される固形廃棄物を圧縮して収容する第1収容部と、液状廃棄物を吸引して収容する第2収容部とを備えた廃棄物収集車であって、
前記第1収容部は、固形廃棄物が投入される投入箱と、該投入箱に投入された固形廃棄物が圧縮されて収容される収容箱とを備え、
前記第2収容部は、液状廃棄物を収容する収容タンクと、該収容タンク内を真空吸引する真空ポンプと、該収容タンクに開閉バルブを介して接続された液状廃棄物の吸引及び排出用の管路とを備え、
前記第1収容部は、廃棄物収集車の後方側に設けられ、前記第2収容部は、該第1収容部の前方側に隣接して設けられ、
前記収容タンクは、後方側の側壁が前記収容箱の前方側の側壁に一体化されることにより強化されており、
前記廃棄物収集車は、さらに、
前記第1収容部による固形廃棄物の収容に際して生じる汚水を貯留する汚水タンクと、
前記収容タンクと前記汚水タンクとを接続する接続管路と、
前記汚水タンク内に溜まった汚水を、前記接続管路を介して前記収容タンクに移送する移送ポンプとを備え、
前記収容タンク内の空間と前記第1収容部内の空間は相互に遮断されており、
前記第2収容部は、
前記収容タンクとしての第1タンク及び第2タンクと、
前記第1タンク及び第2タンクにそれぞれ対応する前記開閉バルブとしての第1開閉バルブ及び第2開閉バルブと、
前記第1タンク及び第2タンクにそれぞれ対応する前記管路としての第1管路及び第2管路と、
前記真空ポンプによる真空吸引の対象を前記第1タンク又は第2タンクに切り替えるための切替えバルブとを備え、
前記接続管路は、前記収容タンクのうちの前記第1タンクに接続されており、前記移送ポンプは前記汚水を該第1タンクに移送するものであることを特徴とする廃棄物収集車。
【請求項2】
前記収容タンク及び収容箱は、全体として、廃棄物収集車の前後方向に沿った上面及びその両側の側面を有する直方体状の外形を有することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物収集車。
【請求項3】
前記汚水タンク内の汚水が所定のレベルに達したときに検出信号を出力する液面センサを備え、
前記移送ポンプは、前記液面センサからの検出信号に基づいて作動することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物収集車。
【請求項4】
前記投入箱は、その上端部の回動軸の周りで回動することにより、前記収容箱の後端を開閉し得るようになっており、
前記接続管路には、前記投入箱の回動時に該回動に支障を生じないように該接続管路を分離させるための分離用コネクタが設けられることを特徴とする請求項1又はに記載の廃棄物収集車。
【請求項5】
前記投入箱は、その上端部の回動軸の周りで回動することにより、前記収容箱の後端を開閉し得るようになっており、
前記接続管路は、前記投入箱の回動時に必要な部分が変形するように可撓性を有することを特徴とする請求項1又はに記載の廃棄物収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投入される固形廃棄物を圧縮して収容する第1収容部と、液状廃棄物を吸引して収容する第2収容部とを備えた廃棄物収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固形廃棄物の収集及び液状廃棄物の収集は、それぞれパッカー車及びバキュームカーを用いて別個に行われる。パッカー車は、固形廃棄物としての塵芥の収集に際し、車両後部の塵芥投入箱に投入される塵芥を、塵芥積込装置によって圧縮し、車両中央部の塵芥収容箱に収容する機能を有する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
バキュームカーは、液状廃棄物の収集に際し、真空ポンプでタンク内の空気を減圧することにより、ホースを介して液状廃棄物を吸引し、タンクに収容する機能を有する。このようにしてタンク内に収集された液状廃棄物は、タンク内を加圧することにより、ホースを介して排出される(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4842067号公報
【特許文献2】特開2007−92445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように固形廃棄物の収集と液状廃棄物の収集を別個に行うと、固形廃棄物収集を行う地点と液状廃棄物収集を行う地点とが混在する状況においては、これらの地点を一度で巡回する場合に比べ、巡回のルートに重複が生じるので、作業効率が悪い。すなわち、固形廃棄物収集及び液状廃棄物収集の双方を完了するまでに長時間を要するか、又は短時間で完了するためには、固形廃棄物収集及び液状廃棄物収集のそれぞれについて別個の人員が必要となる。
【0006】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、固形廃棄物収集及び液状廃棄物収集の双方に用いることができる廃棄物収集車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の廃棄物収集車は、投入される固形廃棄物を圧縮して収容する第1収容部と、液状廃棄物を吸引して収容する第2収容部とを備えた廃棄物収集車であって、前記第1収容部は、固形廃棄物が投入される投入箱と、該投入箱に投入された固形廃棄物が圧縮されて収容される収容箱とを備え、前記第2収容部は、液状廃棄物を収容する収容タンクと、該収容タンク内を真空吸引する真空ポンプと、該収容タンクに開閉バルブを介して接続された液状廃棄物の吸引及び排出用の管路とを備え、前記第1収容部は、廃棄物収集車の後方側に設けられ、前記第2収容部は、該第1収容部の前方側に隣接して設けられ、前記収容タンクは、後方側の側壁が前記収容箱の前方側の側壁に一体化されることにより強化されており、前記廃棄物収集車は、さらに、前記第1収容部による固形廃棄物の収容に際して生じる汚水を貯留する汚水タンクと、前記収容タンクと前記汚水タンクとを接続する接続管路と、前記汚水タンク内に溜まった汚水を、前記接続管路を介して前記収容タンクに移送する移送ポンプとを備え、前記収容タンク内の空間と前記第1収容部内の空間は相互に遮断されており、前記第2収容部は、前記収容タンクとしての第1タンク及び第2タンクと、前記第1タンク及び第2タンクにそれぞれ対応する前記開閉バルブとしての第1開閉バルブ及び第2開閉バルブと、前記第1タンク及び第2タンクにそれぞれ対応する前記管路としての第1管路及び第2管路と、前記真空ポンプによる真空吸引の対象を前記第1タンク又は第2タンクに切り替えるための切替えバルブとを備え、前記接続管路は、前記収容タンクのうちの前記第1タンクに接続されており、前記移送ポンプは前記汚水を該第1タンクに移送するものであることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、廃棄物収集車は、固形廃棄物を収容する第1収容部と、液状廃棄物を収容する第2収容部とを備えるので、固形廃棄物の収集及び液状廃棄物の収集の双方に用いることができる。このため、固形廃棄物の収集を行う地点及び液状廃棄物の収集を行う地点が混在する状況において、各地点を廃棄物収集車で効率よく巡回しながら、固形廃棄物及び液状廃棄物の収集を並行して行うことができる。これにより、固形廃棄物及び液状廃棄物の収集を行うための作業人員を削減し又は作業時間を短縮することができる。
【0009】
また、収容タンクは、スペースが限られた廃棄物収集車において、第1収容部の投入箱及び収容箱とともに設けられるので、通常のバキュームカーのタンクのような大容量のタンクではなく、小容量のものとなる。また、収容タンクは、後方側の側壁が収容箱の前方側の側壁に一体化されることにより強化されている。
【0010】
このため、収容タンクは、直方体状のものであっても、真空ポンプによる真空吸引に十分耐え得るものとして、容易に構成することができる。これにより、収容タンクを、廃棄物収集車上の限られたスペース内に、収容箱と一体のものとして効率的に設置することができる。
また、水分の含有量が多い塵芥を収集する際には、固形廃棄物の収集に伴って汚水タンクに貯留されてゆく汚水を、移送ポンプにより収容タンクに適宜移送することにより、汚水タンクが溢れて汚水が流出するのを防止することができる。また、収容タンクに移送された汚水は、収容タンクに収集された液状廃棄物とともに所定の処理に供することにより、何等の手間を要することなく、効率的に処理することができる。
また、固形廃棄物及び液状廃棄物の収集に際し、通常の液状廃棄物は第1タンク内に収集し、天ぷら油等の再生可能な廃油については、通常の液状廃棄物とは区別して第2タンク内に収集することができる。そして、第2タンク内に収集した廃油をバイオ燃料等として再生することにより、省資源化を図ることができる。
【0011】
本発明において、前記収容タンク及び収容箱は、全体として、廃棄物収集車の前後方向に沿った上面及びその両側の側面を有する直方体状の外形を有してもよい。これによれば、上述の収容タンクの後方側の側壁と収容箱の前方側の側壁との一体化による収容タンクの必要な強度の実現と、廃棄物収集車上の限られたスペース内における収容タンク及び収容箱の設置とを、容易に達成することができる。
【0016】
本発明において、前記汚水タンク内の汚水が所定のレベルに達したときに検出信号を出力する液面センサを備え、前記移送ポンプは、前記液面センサからの検出信号に基づいて作動するようにしてもよい。これによれば、汚水タンク内の汚水の液面レベルを一定値以下に維持し、廃棄物収集車の走行時の振動により汚水の液面が波立って汚水が流出するのを防止することができる。
【0017】
本発明において、前記投入箱は、その上端部の回動軸の周りで回動することにより、前記収容箱の後端を開閉し得るようになっており、前記接続管路には、前記投入箱の回動時に該回動に支障を生じないように該接続管路を分離させるための分離用コネクタが設けられてもよい。これによれば、分離用コネクタで接続管路を分離することにより、投入箱の回動を支障なく行うことができる。
【0018】
本発明において、前記投入箱は、その上端部の回動軸の周りで回動することにより、前記収容箱の後端を開閉し得るようになっており、前記接続管路は、前記投入箱の回動時に必要な部分が変形するように可撓性を有してもよい。これによれば、投入箱の回動を支障なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る廃棄物収集車の正面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る廃棄物収集車の正面図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る廃棄物収集車の正面図である。
図4】液状廃棄物収集用のタンクを塵芥収容箱の上に配置した廃棄物収集車の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る廃棄物収集車の正面図である。廃棄物収集車1は、固形廃棄物としての塵芥の収集と、汚泥や屎尿、廃油等の液状廃棄物の収集とに用いられる。
【0021】
図1に示すように、廃棄物収集車1は、投入される塵芥を圧縮して収容する第1収容部2と、第1収容部2による塵芥収集に際して生じる汚水を貯留する汚水タンク3と、真空ポンプ4により液状廃棄物を吸引してタンク5内に収容する第2収容部6と、タンク5と汚水タンク3とを接続する接続管路7と、汚水タンク3内に溜まった汚水を、接続管路7を介してタンク5に移送する移送ポンプ8とを備える。
【0022】
第1収容部2は、塵芥が投入される塵芥投入箱9と、投入された塵芥が圧縮されて収容される塵芥収容箱10とを備える。塵芥投入箱9は、塵芥投入箱9内に塵芥を投入するための投入口11を有する。塵芥投入箱9及び塵芥収容箱10は、それぞれ本発明における投入箱及び収容箱に対応する。
【0023】
第1収容部2は、廃棄物収集車1の後方側に設けられ、第2収容部6は、第1収容部2の前方に隣接して設けられる。第2収容部6のタンク5及び第1収容部2の塵芥収容箱10は、全体として、廃棄物収集車1の前後方向に沿った上面及びその両側の側面を有する直方体状の外形を有する。
【0024】
タンク5は、スペースが限られた廃棄物収集車1において、第1収容部2の塵芥投入箱9及び塵芥収容箱10とともに設けられるので、通常のバキュームカーのタンクのような大容量のタンクではなく、小容量のものとなる。タンク5は、後方側の側壁が、強固な塵芥収容箱10の前方側の側壁に一体化されることにより強化されている。本実施形態の場合、タンク5が、本発明における収容タンクに対応する。
【0025】
塵芥投入箱9内には、投入口11から投入される塵芥を圧縮して塵芥収容箱10に収容する塵芥積込装置が設けられる。塵芥積込装置としては、例えば、投入された塵芥を、塵芥投入箱9の底部の回転板で上方へ引き上げて、上部の押込板で塵芥収容箱10へ押し込む回転板式のものが該当する。
【0026】
塵芥投入箱9は、その上端部の回動軸12の周りで回動することにより、塵芥収容箱10の後端を開閉し得るようになっている。回動のための動力は、例えば、塵芥投入箱9と塵芥収容箱10との間に設けられたシリンダにより付与される。塵芥収容箱10内に収集された塵芥が塵芥ピットに排出される際には、塵芥投入箱9が回動して、塵芥収容箱10の後端が開放される。
【0027】
接続管路7は、移送ポンプ8から、塵芥投入箱9の側面を通り、さらに塵芥投入箱9上端の回動軸12の近傍を経て、タンク5の上部に接続される。接続管路7は、塵芥投入箱9が回動軸12の周りで回動しても支障が生じないように、回動軸12近傍の必要な部分7aが変形可能な可撓性を有する。
【0028】
接続管路7は、汚水タンク3に対し、タンクコネクタ13により連結される。タンクコネクタ13は、汚水タンク3に穿孔された貫通孔に設けられる。移送ポンプ8は、汚水タンク3の近傍で、汚水タンク3に固定して設けられる。移送ポンプ8としては、例えば電磁ポンプを用いることができる。
【0029】
汚水タンク3内には、汚水が所定のレベルに達したときに検出信号を出力する液面センサ14が設けられる。移送ポンプ8は、液面センサ14からの検出信号に基づき、例えば検出信号が入力されてから一定期間作動する。
【0030】
第2収容部6は、上記のタンク5及び真空ポンプ4の他、タンク5の下部に設けられた開閉バルブ15と、開閉バルブ15を介してタンク5に接続された液状廃棄物の吸引及び排出用のホース16と、ホース16を巻取り及び巻戻しするためのリール17とを備える。ホース16は、本発明における管路に対応する。
【0031】
廃棄物(塵芥及び液状廃棄物)の収集を行うに際しては、廃棄物収集車1を用い、塵芥や液状廃棄物の収集が必要な各地点を効率的に巡回しながら、塵芥及び液状廃棄物の収集が並行して行われる。
【0032】
塵芥収集が行われる各地点では、塵芥投入箱9に投入される塵芥が圧縮され、塵芥収容箱10に押し込まれる。このときに塵芥から染み出る汚水が、汚水タンク3内に貯留される。汚水タンク3内の汚水の液面が所定レベルに達すると、液面センサ14がこれを検出し、検出信号を出力する。これに応じて、移送ポンプ8の制御基板は、移送ポンプ8を所定期間作動させ、汚水タンク3内の汚水をタンク5に移送する。
【0033】
これにより、汚水タンク3内の汚水のレベルは、常に所定レベル以下に維持される。したがって、廃棄物の収集中に、汚水が汚水タンク3から溢れ出たり、廃棄物収集車1の走行時の揺れにより汚水が波立って流出したりすることはない。廃棄物の収集中に汚水タンク3からタンク5に移送された汚水は、タンク5内に収集された液状廃棄物が液状廃棄物の処理施設において回収されるまで、タンク5内に貯留される。
【0034】
一方、液状廃棄物の収集が行われる各地点では、ホース16がリール17から巻き戻され、ホース16の先端部が、収集すべき液状廃棄物中に配置される。そして、真空ポンプ4を作動させ、開閉バルブ15を開くことにより、タンク5内への液状廃棄物の収容が行われる。液状廃棄物の収容が終了すると、開閉バルブ15が閉じられ、真空ポンプ4が停止され、ホース16がリール17により巻き取られる。これにより、その地点での液状廃棄物の収集が完了する。
【0035】
塵芥収容箱10内に収集された塵芥は、塵芥ピットに集積され、焼却処分に供される。塵芥収容箱10から塵芥を塵芥ピットに排出するとき、塵芥投入箱9が回動軸12の周りで回動し、塵芥収容箱10の後端の排出口が開放される。このとき、接続管路7の回動軸12近傍の可撓性を有する部分7aが、塵芥投入箱9の回動に伴って柔軟に変形する。このため、塵芥投入箱9の回動により支障が生じることはない。
【0036】
なお、塵芥ピットへの塵芥の排出は、塵芥収容箱10を傾けて塵芥を自重で塵芥ピット内へ落下させるダンプ式で行われてもよいし、又は塵芥収容箱10内の塵芥を排出装置により塵芥収容箱10後部の開口部から塵芥ピットの方へ押し出すことにより行われてもよい。
【0037】
一方、タンク5内に収集された液状廃棄物は、液状廃棄物の処理施設へ搬入され、所定の処理に供される。その際、タンク5内の液状廃棄物の排出は、真空ポンプ4の逆転駆動等によりタンク5内に空気を流入させ、開閉バルブ15を開くことにより、ホース16を介して行うことができる。なお、液状廃棄物の排出は、別途設けた排出専用のバルブ及びホースを介して行うようにしてもよい。
【0038】
本実施形態によれば、塵芥収集を行う地点及び液状廃棄物の収集を行う地点が混在する場合でも、廃棄物収集車1により各地点を効率よく巡回しながら塵芥及び液状廃棄物の収集を並行して行うことができる。したがって、廃棄物の収集を行うための作業人員を削減し又は作業時間を短縮することができる。
【0039】
また、タンク5及び塵芥収容箱10は、全体として直方体状の外形を有しているので、タンク5を、廃棄物収集車1上の限られたスペース内に、塵芥収容箱10と一体のものとして効率的に設置することができる。
【0040】
この設置にあたっては、タンク5は、後方側の側壁が塵芥収容箱10の前方側の側壁に一体化されることにより強化されており、かつタンク5は、通常のバキュームカーのタンクよりも小容量のものであるため、タンク5は、直方体状のものであっても、真空ポンプ4による真空吸引に十分耐え得るものとして、容易に構成することができる。
【0041】
また、廃棄物の収集時には、塵芥収集に伴って汚水タンク3に貯留されてゆく汚水を適宜移送ポンプ8によりタンク5に移送しておくことにより、水分の含有量が多い塵芥を収集する場合でも、汚水タンク3が溢れるのを防止することができる。また、タンク5に移送された汚水は、タンク5に収集された液状廃棄物とともに、所定の処理によって処理することができる。
【0042】
また、汚水タンク3内に液面センサ14を設けたので、汚水タンク3内の汚水が所定のレベルに達したときには、液面センサ14からの検出信号に基づき、作業者に対し、汚水タンク3が溢れるおそれがある旨の警報を発することができる。
【0043】
また、移送ポンプ8は、液面センサ14からの検出信号に基づいて作動するようにしたので、汚水タンク3内の汚水の液面レベルを一定値以下に維持し、廃棄物収集車1の走行時の振動により汚水の液面が波立って汚水が流出するのを防止することができる。
【0044】
図2は、本発明の第2実施形態に係る廃棄物収集車の正面図である。本実施形態の廃棄物収集車18では、第2収容部6が、さらに、廃油が真空ポンプ4により吸引して収容される廃油タンク19と、真空ポンプ4による真空吸引の対象をタンク5又は廃油タンク19に選択的に切り替えるための切替えバルブ21とを備える。
【0045】
廃油タンク19は、タンク5と塵芥収容箱10との間に位置する。廃油タンク19には、廃油を吸引するための廃油ホース22が、開閉バルブ23を介して接続される。本実施形態の場合、開閉バルブ15及び23が本発明における第1開閉バルブ及び第2開閉バルブに対応する。また、ホース16及び廃油ホース22が、本発明における第1管路及び第2管路に対応する。
【0046】
また、本実施形態の場合、タンク5及び廃油タンク19により本発明における収容タンクが構成される。また、タンク5及び廃油タンク19は、本発明における第1タンク及び第2タンクに対応する。そして、廃油タンク19の後方側の側壁が塵芥収容箱10の前方側の側壁と一体化している。
【0047】
これにより、タンク5及び廃油タンク19からなる収容タンク全体が、強固な塵芥収容箱10の前方側側面により強化されている。他の構成については、図1の廃棄物収集車1の場合と同様である。
【0048】
廃棄物収集車18による廃棄物の収集に際しては、塵芥収容箱10及びタンク5への塵芥及び液状廃棄物の収集と並行し、必要な地点において、廃油タンク19への廃油の収集が行われる。廃油の収集に際しては、真空吸引の対象が廃油タンク19となるように切替えバルブ21が切り替えられる。その後、廃油ホース22の先端が収集対象の廃油に浸漬され、真空ポンプ4が作動され、第2開閉バルブ23が開かれる。これにより、廃油が吸引され、廃油タンク19に収容される。
【0049】
収集される廃油としては、天ぷら油等の再生可能な廃油が該当する。収集される廃油は、レストランや食堂に限らず、各家庭から排出されるものであってもよい。廃油タンク19内に収集された廃油は、真空ポンプ4により排出させて回収される。この廃油の排出は、真空ポンプ4の接続先が廃油タンク19となるように切替えバルブ21を切り替えてから、真空ポンプ4の逆転運転により廃油タンク19内に空気を流入させ、第2開閉バルブ23を開くことにより行われる。
【0050】
本実施形態によれば、塵芥及び液状廃棄物の収集と並行して、天ぷら油等の再生可能な廃油を効率的に収集し、回収することができる。そして、回収した廃油を、バイオ燃料等の再生に用いることができる。
【0051】
図3は、本発明の第3実施形態に係る廃棄物収集車の正面図である。図3に示すように、本実施形態の廃棄物収集車24においては、接続管路7は、移送ポンプ8から、塵芥収容箱10の前端近傍までの水平ルートと、その後の鉛直ルートとを経てタンク5の上部に接続される。このため、接続管路7には、塵芥投入箱9の回動時に支障を生じないように、接続管路7を分離するための分離用コネクタ25が設けられる。分離用コネクタ25は、移送ポンプ8の下流側近傍に設けられる。
【0052】
塵芥収容箱10内に収集された塵芥が塵芥ピットへ排出されるときには、塵芥投入箱9の回動に支障を生じないように、分離用コネクタ25によって接続管路7が分離される。これにより、塵芥投入箱9が支障なく回動され、塵芥収容箱10内の塵芥が塵芥ピットへ排出される。他の構成や作用については、第1実施形態の場合と同様である。
【0053】
本発明は上述実施形態に限定されない。例えば、第1収容部2は、上述の回転板式の塵芥積込装置を有するものに限らず、塵芥投入箱9に投入された塵芥を、塵芥投入箱9内で上下する圧縮板により圧縮し、上方へ引き上げて、塵芥収容箱10に送り込む圧縮板式の塵芥積込装置を有するものであってもよい。
【0054】
また、第3実施形態においては、分離用コネクタ25により接続管路7が分離されているときのみ、塵芥投入箱9の回動を許容する手段を設けてもよい。例えば、分離用コネクタ25に、分離用コネクタ25が分離しているか否かを検出するセンサを設け、この検出出力が、接続管路7が分離されている旨を示す場合を除き、塵芥投入箱9の回動を行うシリンダへ油圧が供給されないようにしてもよい。これによれば、分離用コネクタ25で接続管路7が分離されていないときに、誤って塵芥投入箱9が回動されて支障が生じるのを防止することができる。
【0055】
また、上記の第1実施形態及び第3実施形態では、タンク5は、塵芥収容箱10の前に配置されているが、これに代えて、図4に示す廃棄物収集車26のように、タンク5を、塵芥収容箱10の上に配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1、18、24、26…廃棄物収集車、2…第1収容部、3…汚水タンク、4…真空ポンプ、5…タンク(収容タンク、第1タンク)、6…第2収容部、7…接続管路、8…移送ポンプ、9…塵芥投入箱、10…塵芥収容箱、12…回動軸、14…液面センサ、15…開閉バルブ(第1開閉バルブ)、16…ホース(第1管路)、19…廃油タンク(収容タンク、第2タンク)、21…切替えバルブ、22…廃油ホース(第2管路)、23…開閉バルブ(第2開閉バルブ)、25…分離用コネクタ。
図1
図2
図3
図4