(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記細幅部は前記第1堰き止め部の外周方向に凹んだ凹み部を形成しており、前記凹み部に前記半導体発光素子とは別の素子の少なくとも一部分が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
前記第1堰き止め部の外側に該第1堰き止め部の周囲を切れ目なく囲むように設けられた、太幅部、細幅部、前記太幅部と前記細幅部との間の幅が変化する部分である遷移部とを含む第2堰き止め部と、
前記2堰き止めに堰き止められて、前記第1堰き止め部及び前記第1封止樹脂を封止する第2封止樹脂と、を有し、
前記第2堰き止め部の遷移部は、前記第2封止樹脂が前記第2堰き止め部に対するアンカー効果を持つように作用することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
前記第1堰き止め部の細幅部は、該第1堰き止め部の外周方向に凹んだ第1凹み部及び内周方向に凹んだ第2凹み部の2種類の凹み部を形成し、前記第2堰き止め部の細幅部は、該第2堰き止め部の外周方向に凹んだ凹み部を形成していることを特徴とする請求項3に記載の半導体発光装置。
前記第1堰き止め部の細幅部は、該第1堰き止め部の外周方向に凹んだ第1凹み部及び内周方向に凹んだ第2凹み部の2種類の凹み部を形成し、前記第2堰き止め部の細幅部は、該第2堰き止め部の外周方向に凹んだ凹み部を形成していることを特徴とする請求項6に記載の半導体発光装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のものは、半導体発光素子82が点灯(発光)と消灯(非発光)を繰り返すことにより、半導体発光素子82を封止した封止樹脂84が該半導体発光素子82の点灯時の発熱による熱膨張と消灯時の冷却による熱収縮を繰り返し、封止樹脂84と堰き止め部83の接する面(界面)において剥離(界面剥離)が生じることがある。
【0006】
その結果、光出力の低下、指向特性の劣化及び色度分布の悪化(封止樹脂84に蛍光体を分散した場合)等の光学的特性不良、回路パターンに対する半導体発光素子82の電極オープン等の電気的特性不良、水分や悪性ガス等の外部環境要因が半導体発光素子82に到達することによる電気的リークや半導体発光素子82の劣化等の信頼性不良及び見た目の外観不良などの不具合が生じる恐れがある。
【0007】
これは、堰き止め部83と封止樹脂84との接着性が乏しいことに起因するものである。
【0008】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、堰き止め部における封止樹脂のアンカー効果によって該堰き止め部と該封止樹脂との接着力を補強する構成とすることにより、光学的特性、電気的特性及び信頼性等の諸特性、及び外観の夫々が良好な半導体発光装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、半導体発光素子を実装するダイボンディングパッド部と、当該ダイボンディングパッド部と離間し、前記ダイボンディングパッド部の一辺に並んで形成した第1パッド部と、前記ダイボンディングパッド部の前記第1パッド部と反対側に形成した第2パッド部を導電部材により形成した基板と、前記基板上に実装された半導体発光素子と、前記基板表面であって前記半導体発光素子、前記ダイボンディングパッド部、前記第1パッド部及び前記第2パッド部の周囲を切れ目なく囲むように形成された第1堰き止め部と、前記第1堰き止め部に堰き止められて、前記半導体発光素子を封止する第1封止樹脂と、を有し、前記第1堰き止め部は、太幅部、細幅部、前記太幅部と前記細幅部との間の幅が変化する部分である遷移部とを含み、前記第1封止樹脂は前記第1堰き止め部の上面外側端部から外側面の延長方向に立ち上がる形状であり、前記遷移部は、前記第1パッド部もしくは前記第2パッド部の、前記第1パッド部、前記ダイボンディングパッド部及び前記第2パッド部
が並んでいる方向と直交する方向側の側面の近くに位置し、前記
並んでいる方向と前記第1堰き止め部とが交差する部分は前記細幅部が位置して前記第1封止樹脂が前記第1堰き止め部に対するアンカー効果を持つように作用することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記細幅部は前記第1堰き止め部の外周方向に凹んだ凹み部を形成しており、前記凹み部に前記半導体発光素子とは別の素子の少なくとも一部分が配置されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項
1において、
前記第1堰き止め部の外側に該第1堰き止め部の周囲を切れ目なく囲むように設けられた、太幅部、細幅部、前記太幅部と前記細幅部との間の幅が変化する部分である遷移部とを含む第2堰き止め部と、前記2堰き止めに堰き止められて、前記第1堰き止め部及び前記第1封止樹脂を封止する第2封止樹脂と、を有し、前記第2堰き止め部の遷移部は、前記第2封止樹脂が前記第2堰き止め部に対するアンカー効果を持つように作用することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載された発明は、請求項
3において、
前記第1堰き止め部の細幅部は、該第1堰き止め部の外周方向に凹んだ第1凹み部及び内周方向に凹んだ第2凹み部の2種類の凹み部を形成し、前記第2堰き止め部の細幅部は、該第2堰き止め部の外周方向に凹んだ凹み部を形成していることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項5に記載された発明は、請求項4において、
前記第1堰き止め部の前記第1凹み部に、前記半導体発光素子とは別の素子の少なくとも一部分が配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項6に記載された発明は、
半導体発光素子を実装するダイボンディングパッド部と、当該ダイボンディングパッド部と離間し、前記ダイボンディングパッド部の一辺に並んで形成した第1パッド部と、前記ダイボンディングパッド部の前記第1パッド部と反対側に形成した第2パッド部を導電部材により形成した基板と、前記基板上に実装された半導体発光素子と、前記基板表面であって前記半導体発光素子、前記ダイボンディングパッド部、前記第1パッド部及び前記第2パッド部の周囲を切れ目なく囲むように形成された第1堰き止め部と、前記第1堰き止め部に堰き止められて、前記半導体発光素子を封止する第1封止樹脂と、を有し、前記第1堰き止め部の外側に該第1堰き止め部の周囲を切れ目なく囲むように形成された、太幅部、細幅部、前記太幅部と前記細幅部との間の幅が変化する部分である遷移部とを含む第2堰き止め部と、前記第2堰き止め部に堰き止められて、前記第1堰き止め部及び前記第1封止樹脂を封止する第2封止樹脂と、を有し、前記第2封止樹脂は前記第2堰き止め部の上面外側端部から外側面の延長方向に立ち上がる形状であり、前記第2堰き止め部の遷移部は、前記第2封止樹脂が前記第2堰き止め部に対するアンカー効果を持つように作用することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項7に記載された発明は、請求項
6において、
前記第1堰き止め部の細幅部は、該第1堰き止め部の外周方向に凹んだ第1凹み部及び内周方向に凹んだ第2凹み部の2種類の凹み部を形成し、前記第2堰き止め部の細幅部は、該第2堰き止め部の外周方向に凹んだ凹み部を形成していることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項8に記載された発明は、請求項7において、前記第1堰き止め部の前記第1凹み部に、前記半導体発光素子とは別の素子の少なくとも一部分が配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項9に記載された発明は、請求項4〜請求項6のいずれかにおいて、前記第1堰き止め部の上面まで前記第2封止樹脂が配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の半導体発光装置は、基板上に実装された半導体発光素子の周囲を、同様に基板上に形成された、細幅部、太幅部、前記細幅部と前記太幅部との間の幅が変化する部分である遷移部を有する堰き止め部で囲み、堰き止め部で堰き止められた封止樹脂で半導体発光素子を樹脂封止した。これにより、遷移部が、封止樹脂が堰き止め部に対するアンカー効果を持つように機能する。
【0017】
その結果、堰き止め部と封止樹脂との接着力が補強され、光学的特性、電気的特性及び信頼性等の諸特性、及び外観の夫々が良好な半導体発光装置が実現する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の好適な実施形態を
図1〜
図11を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0020】
まず、本発明の半導体発光装置に係わる実施形態について、製造方法を
図1〜
図4を参照して以下に説明する。
【0021】
最初に、
図1(a:平面図、b:aのA−A断面図)のような基板1を用意する。基板1は絶縁材料あるいは金属材料からなり、絶縁材料の場合はガラスエポキシ、ポリイミド、液晶ポリマー又はセラミック等の材料が用いられ、金属材料の場合は鉄、アルミニウム又は銅等の材料が用いられる。
【0022】
基板1の表面1a上及び裏面1b上には導電部材からなる回路パターン2が形成され、表面1a上の回路パターン2には部分的に、後述する半導体発光素子3をダイボンディングするダイボンディングパッド2aとボンディングワイヤ4をワイヤボンディングするワイヤボンディングパッド2bが形成されている。また、裏面1b上の回路パターン2には外部の電源部に接続して電力を受電する外部接続電極2cが形成されている。回路パターン2は、基板1が絶縁基板の場合は直接基板表面上に設けられるが、基板1が金属基板の場合は基板表面上に形成された絶縁層を介して設けられる。
【0023】
次に、
図2(a:平面図、b:aのB−B断面図)のように、基板1の表面1a上に、ダイボンディングパッド2a及びワイヤボンディングパッド2bの周囲を切れ目なく囲むように所定の高さで環状に延びる線状の堰き止め部5を形成する。
【0024】
堰き止め部5は、レジストインキをスクリーン印刷して形成したレジスト層又は金属材料のメッキにより形成した金属層で構成され、幅の細い細幅部5aの領域、幅の太い太幅部5bの領域及び細幅部5aと太幅部5bとの間の幅が変化する部分である遷移部5cの領域で構成されている。そのうち、細幅部5aと太幅部5bの夫々は、基板1を表面1a側上方から見た上方視において、互いに平行に延長された外周線6と内周線7で形成されると共に、外周線6と、内周線7の前記外周線6に対して接近した線分7aと離反した線分7bとにより設定される。また、遷移部5cは、接近した線分7aに対向する線(本実施例においては外周線6)に対して略垂線方向に延びる線分7cで形成されている。
【0025】
堰き止め部5は、細幅部5a及び太幅部5bの夫々の幅及び厚みは任意であるが、細幅部5aと太幅部5bの幅の比率は、(1/2)〜(2/3):1であることが好ましい。細幅部5aと太幅部5bの幅の差が大きいと、後述する封止樹脂10との界面の面積(特に、上面5fにおける接触面積)の差が大きくなって接着強度に強度差が生じ、封止樹脂10に対して接着強度が相対的に弱い細幅部5aで封止樹脂10の剥離が発生する。一方、細幅部5aと太幅部5bの幅の差が小さいと、後述する封止樹脂10のアンカー効果が低減して堰き止め部5に細幅部5aと太幅部5bを設ける意味が薄れるか、あるいは意味が無くなる。
【0026】
換言すると、堰き止め部5で囲まれた領域(ボンディング領域)8は、堰き止め部5の細幅部5aにおいて外周線6側に拡張された拡張部8aを有している。
【0027】
次に、
図3(a:平面図、b:aのC−C断面図)のように、基板1のダイボンディングパッド2a上にダイボンディング材(接着剤)9を介して半導体発光素子3をダイボンディングし、半導体発光素子3の上面に位置する一対の電極3aの夫々と一対のワイヤボンディングパッド2bの夫々とにボンディングワイヤ4をワイヤボンディングすることにより、半導体発光素子3の上面に位置する電極3aとワイヤボンディングパッド2bとをボンディングワイヤ4を介して電気的に接続する。
【0028】
最後に、
図4(a:平面図、b:aのD−D断面図)に示すように、堰き止め部5の上面にかかるように、封止樹脂10を該堰き止め部5内に充填して、半導体発光素子3及びボンディングワイヤ4を樹脂封止する。この場合、封止樹脂10の充填はディスペンサ(液体定量吐出装置)を用いて一定量に設定され、充填された封止樹脂10は、表面張力によって堰き止め部5の上面外側端部5dで広がりが抑えられると同時に、同様に表面張力によって堰き止め部5の上面外側端部5dから該堰き止め部5の外側面5eの延長方向に立ち上がるドーム状に形成される。
【0029】
封止樹脂10は、半導体発光素子3を水分、塵埃及び悪性ガス等の外部環境要因から保護し且つボンディングワイヤ4を振動及び衝撃等の機械的応力から保護して信頼性を確保する機能を有している。また、半導体発光素子3の光出射面と界面を形成することにより半導体発光素子3の発光部で発光した光を半導体発光素子3の光出射面3bから封止樹脂10内に効率良く出射させる機能も有している。
【0030】
以上により、半導体発光装置の一連の製造工程が終了する。なお、上記製造工程においても説明しているので重複することもあるが、改めて半導体発光装置20の構成について以下に
図5(a:平面図、b:aのE−E断面図)を参照して説明する。
【0031】
半導体発光装置20は、基板1の表面1a上及び裏面1bに回路パターン2が形成されており、そのうち、表面1a上にはダイボンディングパッド2a及び一対のワイヤボンディングパッド2bが形成されている。一方、裏面1b上には外部の電源部に接続して電力を受電する外部接続電極2cが形成されている。
【0032】
ダイボンディングパッド2a上には、ダイボンディング材(接着剤)9を介して半導体発光素子3がダイボンディングされると共に、半導体発光素子3の上面に位置する一対の電極3aの夫々と一対のワイヤボンディングパッド2bの夫々とにボンディングワイヤ4をワイヤボンディングすることにより、半導体発光素子3の上面に位置する電極3aとワイヤボンディングパッド2bとがボンディングワイヤ4を介して電気的に接続されている。
【0033】
また、同様に基板1の表面1a上には、半導体発光素子3及びボンディングワイヤ4の周囲を切れ目なく囲むように所定の高さで環状に延びる線状の堰き止め部5が形成されており、幅の細い細幅部5aの領域、幅の太い太幅部5bの領域及び細幅部5aと太幅部5bとの間の幅が変化する部分である遷移部5cの領域で構成されており、そのうち、細幅部5aと太幅部5bの夫々は、基板1を表面1a側上方から見た上方視において、互いに平行に延長された外周線6と内周線7で形成されると共に、外周線6と、内周線7の前記外周線6に対して接近した線分7aと離反した線分7bとにより設定されている。また、遷移部5cは、接近した線分7aに対向する線(本実施例においては外周線6)に対して略垂線方向に延びる線分7cで形成されている。
【0034】
堰き止め部5は、細幅部5a及び太幅部5bの夫々の幅及び厚みは任意であるが、細幅部5aと太幅部5bの幅の比率は、(1/2)〜(2/3):1であることが好ましい。細幅部5aと太幅部5bの幅の差が大きいと、封止樹脂10との界面の面積(接触面積)の差が大きくなって接着強度に強度差が生じ、封止樹脂10に対して接着強度が相対的に弱い細幅部5aで封止樹脂10の剥離が発生する。一方、細幅部5aと太幅部5bの幅の差が小さいと、封止樹脂10のアンカー効果が低減し、堰き止め部5に細幅部5aと太幅部5bを設ける意味が薄れるか、あるいは意味が無くなる。
【0035】
したがって、堰き止め部5で囲まれた領域8は、堰き止め部5の細幅部5aにおいて外周線6側に拡張された拡張部8aを有している。
【0036】
更に、堰き止め部5の上面にかかるように、封止樹脂10が該堰き止め部5の内側に該堰き止め部5で堰き止めした状態に充填されて、半導体発光素子3及びボンディングワイヤ4が樹脂封止されている。充填された封止樹脂10は、表面張力によって堰き止め部5の上面外側端部5dで広がりが抑えられると同時に、同様に表面張力によって堰き止め部5の上面外側端部5dから該堰き止め部5の外側面5eの延長方向に立ち上がるドーム状に形成されている。
【0037】
半導体発光装置をこのような構成にすることにより、封止樹脂10の一部が、堰き止め部5で囲まれた領域8の、堰き止め部5の細幅部5aにおいて外周線6側に拡張された拡張部8aに入り込み、拡張部8aに入り込んだ封止樹脂10に堰き止め部5の細幅部5aの内側面によるアンカー効果が生じて拡張部8aに固定される。
【0038】
そのため、堰き止め部5(特に、堰き止め部5の上面)と封止樹脂10の接する界面において、半導体発光素子3の点灯時の発熱による熱膨張及び消灯時の冷却による熱収縮の繰り返しに起因する熱応力が抑制されて堰き止め部と封止樹脂との接着性が補強されることになり、これにより界面剥離が防止される。
【0039】
その結果、光学的特性、電気的特性及び信頼性等の諸特性、及び外観の夫々が良好な半導体発光装置を実現することができる。
【0040】
また、堰き止め部5で囲まれた領域8の拡張部8aに、ダイボンディングパッド2aや本実施形態のようにワイヤボンディングパッド2bの夫々の一部を配設することによりその上面に半導体発光素子3やボンディングワイヤ4等の部品・部材を実装することができると共に、拡散部8aを、製造工程の製造装置に係わる部品(半導体発光素子3)搭載用のコレットやワイヤボンディング用のキャピラリ等の工程ツールのワークエリヤとして活用することができる。
【0041】
そのため、製造工程上の制約が低減して設計の自由度が高まると共に、それに伴って半導体発光装置の小型化が実現できる。
【0042】
なお、上記実施形態においては、環状に設けられた堰き止め部5で囲まれた内側の領域8内に半導体発光素子3とボンディングワイヤ4を有するものであるが、半導体発光装置はこれに限られるものではなく、半導体発光素子3と半導体発光素子3以外の素子とを組み合わせて配置することも可能である。
【0043】
例えば、
図6(a:平面図、b:aのF−F断面図)にあるように、基板1の表面1a上の、堰き止め部5で囲まれた内側の領域8内に、ダイボンディングパッド2aにダイボンディング材9を介してダイボンディングされた半導体発光素子3と共に、例えばツェナーダイオード素子30を接着剤31を介して載置する。そして、ツェナーダイオード素子30の上面に位置する一対の電極30aの夫々と一対のワイヤボンディングパッド2bの夫々とにボンディングワイヤ4をワイヤボンディングすることにより、ツェナーダイオード素子30の上面に位置する電極30aとワイヤボンディングパッド2bとをボンディングワイヤ4を介して電気的に接続する。
【0044】
この場合、堰き止め部5は、ツェナーダイオード素子30に対応する位置をワイヤボンディングパッド2bに対応する位置と同様に細幅部5aで構成し、ツェナーダイオード素子30がワイヤボンディングパッド2bと同様にその一部が堰き止め部5で囲まれた領域8の拡張部8aに位置するように配置されている。
【0045】
その結果、半導体発光素子と半導体発光素子以外の素子とを組み合わせて搭載した半導体発光装置の小型化を実現することができる。この場合も、堰き止め部5を、細幅部5aの領域、太幅部5bの領域及び遷移部5cの領域で構成することにより、拡張部8aに入り込んだ封止樹脂10によるアンカー効果によって、半導体発光素子3の点灯時の発熱による熱膨張及び消灯時の冷却による熱収縮の繰り返しに起因する熱応力が抑制されて堰き止め部と封止樹脂との界面における接着性が補強されることになり、これにより界面剥離が防止される。
【0046】
また、半導体発光素子3のみを実装した上記半導体発光装置20に対して更に、堰き止め部5で囲まれた領域8の拡張部8aにツェナーダイオード素子30の一部が位置した状態で実装することができると共に、拡散部8aを、製造工程の製造装置に係わる部品(半導体発光素子3及びツェナーダイオード素子30)搭載用のコレットやワイヤボンディング用のキャピラリ等の工程ツールのワークエリヤとして活用することができる。
【0047】
そのため、製造工程上の制約が低減して設計の自由度が高まると共に、それに伴って半導体発光装置の小型化が実現できる。
【0048】
図7〜
図9(
図7は平面図、
図8は
図7のG−G断面図、
図9は斜視図)に示す半導体発光装置70は、環状の堰き止め部を二重に設け、内側に設けられた堰き止め部で囲まれた内側の領域に半導体発光素子を実装すると共に内側の堰き止め部で堰き止められた封止樹脂で半導体発光素子を樹脂封止し、更にその上を外側の堰き止め部で堰き止められた封止樹脂で二重に樹脂封止した構成を有すものである。以下に具体的に説明する。
【0049】
基板41の表面41a上及び裏面41bに回路パターン42が形成されており、そのうち、表面41a上にはフリップチップ実装型の半導体発光素子43が実装される一対の電極パッド42aが形成されており、裏面41b上には外部の電源部に接続して電力を受電する外部接続電極42bが形成されている。
【0050】
一対の電極パッド42a上には、バンプ58を介して半導体発光素子43が実装されて、半導体発光素子43の下面に位置する電極(図示せず)と電極パッド42aとがバンプ58を介して電気的に接続されている。
【0051】
同様に、基板41の表面41a上には、半導体発光素子43の周囲を切れ目なく囲むように所定の高さで環状に延びる線状の第1の堰き止め部(以下、「第1堰き止め部」と呼称する)44が形成され、その外側に第1堰き止め部44の周囲を切れ目なく囲むように所定の高さで環状に延びる線状の第2の堰き止め部(以下、「第2堰き止め部」と呼称する)54が形成されている。
【0052】
第1堰き止め部44は、幅の細い細幅部44aの領域、幅の太い太幅部44bの領域及び細幅部44aと太幅部44bとの間の幅が変化する部分である遷移部44cの領域で構成されており、そのうち、細幅部44aと太幅部44bの夫々は、基板41を表面41a側上方から見た上方視において、互いに平行に延長された外周線45と内周線46で形成されている。
【0053】
太幅部44bに対して細幅部44aは上方視において、内周線46の、外周線45に対して接近した線分46aにより設定される第1の細幅部(以下、「第1細幅部」と呼称する)44aaと、外周線45の、内周線46に対して接近した線分45aにより設定される第2の細幅部(以下、「第2細幅部」と呼称する)44abを有している。また、遷移部44cは、第1細幅部44aaにおいては接近した線分46aに対向する外周線45に対して略垂線方向に延び、第2細線部においては接近した線分45aに対向する内周線46に対して略垂線方向に延びる線分49で形成されている。
【0054】
したがって、第1堰き止め部44で囲まれた領域(ボンディング領域)47は、第1堰き止め部44の第1細幅部44aaにおいて外周線45側に拡張された第1の拡張部(以下、「第1拡張部」と呼称する)47aを有している。同時に、第1堰き止め部44の外側の、第2堰き止め部54との間の領域(外側領域)48は、第1堰き止め部44の第2細幅部44abにおいて内周線46側に拡張された第2の拡張部(以下、「第2拡張部」と呼称する)48aを有している。
【0055】
更に、第1の封止樹脂(以下、「第1封止樹脂」と呼称する)50が、第1堰き止め部44の内側面44dで堰き止められた状態で該第1堰き止め部44の内側に充填されて、半導体発光素子43が樹脂封止されている。充填された第1封止樹脂50は、表面張力によって第1堰き止め部44の上面内側端部44fで広がりが抑えられると同時に、同様に表面張力によって第1堰き止め部5の上面内側端部44fから該1堰き止め部44の内側面44dの延長方向に立ち上がるドーム状に形成されている。
【0056】
第1堰き止め部44の外側に設けられた第2堰き止め部54は、幅の細い細幅部54aの領域、幅の太い太幅部54bの領域及び細幅部54aと太幅部54bとの間の幅が変化する部分である遷移部54cの領域で構成されており、そのうち、細幅部54aと太幅部54bの夫々は、基板41を表面41a側上方から見た上方視において、互いに平行に延長された外周線55と内周線56で形成されると共に、外周線55と、内周線56の前記外周線55に対して接近した線分56aと離反した線分56bとにより設定されている。また、遷移部54cは、接近した線分56aに対向する外周線55に対して略垂線方向に延びる線分56cで形成されている。
【0057】
したがって、第2堰き止め部54で囲まれた領域57は、第2堰き止め部54の細幅部54aにおいて外周線55側に拡張された拡張部57aを有している。
【0058】
更に、第2の封止樹脂(以下、「第2封止樹脂」と呼称する)60が、第2堰き止め部54の内側面54dで堰き止められた状態で該第2堰き止め部54の内側に充填されて、第1封止樹脂50の上面50a、第1堰き止め部44の上面44e及び外側面44gを覆うように樹脂封止されている。充填された第2封止樹脂60は、表面張力によって第2堰き止め部54の上面内側端部54fで広がりが抑えられると同時に、同様に表面張力によって第2堰き止め部54の上面内側端部54fから該2堰き止め部54の内側面54dの延長方向に立ち上がるドーム状に形成されている。
【0059】
半導体発光装置70をこのような構成とすることにより、第1封止樹脂50の一部が、第1堰き止め部44で囲まれた領域47の、第1堰き止め部44の第1細幅部44aaにおいて外周線45側に拡張された第1拡張部47aに入り込み、第1拡張部47aに入り込んだ第1封止樹脂50に第1堰き止め部44の第1細幅部44aaの内側面によるアンカー効果が生じて第1拡張部47aに固定される。そのため、第1堰き止め部44(特に、第1堰き止め部44の内側面44d)と第1封止樹脂50の接する界面における接着性が補強されて向上し、熱応力に起因する界面剥離が防止される。
【0060】
また、第2封止樹脂60の一部が、第1堰き止め部44の外側の、第2堰き止め部54との間の領域(外側領域)48の、第1堰き止め部44の第2細幅部44abにおいて内周線46側に拡張された第2拡張部48aに入り込み、第2拡張部48aに入り込んだ第2封止樹脂60に第1堰き止め部44の第2細幅部44abの内側面によるアンカー効果が生じて第2拡張部48aに固定される。そのため、第1堰き止め部44(特に、第1堰き止め部44の上面44e及び外側面44g)と第2止樹脂60の接する界面における接着性が補強されて向上し、熱応力に起因する界面剥離が防止される。
【0061】
更に、第2封止樹脂60の一部は、第2堰き止め部54で囲まれた領域57の、第2堰き止め部54の細幅部54aにおいて外周線55側に拡張された拡張部57aに入り込み、拡張部57aに入り込んだ第2封止樹脂60に第2堰き止め部54の細幅部54aの内側面によるアンカー効果が生じて拡張部57aに固定される。そのため、第2堰き止め部54(特に、第2堰き止め部54の内側面54d)と第2封止樹脂60の接する界面における接着性が補強されて向上し、熱応力に起因する界面剥離が防止される。
【0062】
なお、第1堰き止め部44の細幅部44aと太幅部44bの夫々の幅及び厚み、及び第2堰き止め部54の細幅部54aと太幅部54bの夫々の幅及び厚みは任意であるが、第1堰き止め部44の細幅部44aと太幅部44bの幅の比率は、(1/2)〜(2/3):1であることが好ましい。細幅部44aと太幅部44bの幅の差が大きいと、第2封止樹脂60との界面の面積(特に、上面44eにおける接触面積)の差が大きくなって接着強度に強度差が生じ、第2封止樹脂60に対して接着強度が相対的に弱い細幅部44aで第2封止樹脂60の剥離が発生する。一方、細幅部44aと太幅部44bの幅の差が小さいと、第2封止樹脂60のアンカー効果が低減し、第1堰き止め部44に細幅部44aと太幅部44bを設ける意味が薄れるか、あるいは意味が無くなる。
【0063】
また、第2堰き止め部54の細幅部54aと太幅部54bの幅の比率は、(2/3)以下:1であることが好ましい。細幅部54aと太幅部54bの幅の差が小さいと、第2封止樹脂60のアンカー効果が低減し、第2堰き止め部54に細幅部54aと太幅部54bを設ける意味が薄れるか、あるいは意味が無くなる。
【0064】
なお、第1堰き止め部44の上面44eは第1封止樹脂50で覆わないことが好ましい。第1堰き止め部44の上面44eを第1封止樹脂50で覆わないことにより、第1拡張部47aに第1封止樹脂50が入り込んで第1堰き止め部44と第1封止樹脂50との間でアンカー効果が生じる。それと同時に、第1封止樹脂50の、第1拡張部47aから上方に立ち上がる部分が他の部分に対して外側に出っ張った凸状部として形成され、第1封止樹脂50と該第1樹脂50を覆う第2封止樹脂60との間で前記凸状部によるアンカー効果が生じて両者の密着性が強化される。
【0065】
第2堰き止め部54の上面54eは、第1封止樹脂50及び第2封止樹脂60のいずれにも覆われておらず、外部に直接露出した状態となっている。そのため、細幅部54aを、環状の第2堰き止め部54の略中心に対して非対称の位置で且つ外部接続電極42bとの位置関係を適宜設定することにより、極性マークとして用いることができる。これにより、基板41上に別途極性表示部を設ける必要がないため装置の小型化が可能となると共に極性表示部の作成工程が不要なため製造コストの低減が図れる。
【0066】
また、第2堰き止め部54を例えば黒色のような、他の部分に対して鮮明なコントラストを得ることができるような色で形成することにより、細幅部54aによる極性マークを確実に認識することができるようになる。
【0067】
なお、第1封止樹脂50と第2封止樹脂60は同一の透光性樹脂でも良いし、異なる透光性樹脂でも良い。同一の樹脂の場合、例えば、第1封止樹脂50を透光性樹脂に蛍光体を分散した蛍光体分散樹脂とし、第2封止樹脂60を添加剤を含まない透光性樹脂とすることも可能である。また、異なる樹脂の場合、例えば、第1封止樹脂50を柔軟性を有するシリコーン樹脂とし、第2封止樹脂60を硬質なエポキシ樹脂とすることも可能である。
【0068】
ところで、上記いずれの半導体発光装置においても、堰き止め部の細幅部と太幅部との間の幅が変化する部分である遷移部を形成する線分は、外周線と内周線のうち細幅部を形成する線分(上記、接近した線分)に対向する線に対して略垂線方向に延びる線分で形成されるものであるが、必ずしもこれに限られるものではなく、
図10(遷移部の説明図)のように、外周線(A)と内周線(B)のうち細幅部(C)を形成する線分(上記、接近した線分)(D)に対向する線(A)に対して略垂線方向に延びる線aを0°の方向とした場合、遷移部を形成する線分(E)を線aに対して適宜な角度θに設定することができる。この場合、角度θを0°以上、90°未満とすることにより、封止樹脂とのアンカー効果を得ることができるが、角度θが0°に近づくほど大きなアンカー効果を得ることができる。
【0069】
なお、
図11(遷移部の説明図)のように、遷移部を形成する線分(E)を線aに対し−方向の適度な確度(−θ)とすることも可能である。これによっても封止樹脂とのアンカー効果を得ることができる。
【0070】
更に、線分(E)と線分(D)との接続部分及び線分(E)と内周線(B)との接続部分は、
図10及び
図11のようにいずれも直線的に接続されてもよいし、曲線状に接続(
図6aの太幅部5b、遷移部5c)されてもよい。