(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型、直下型等のバックライトユニットが装備されている。かかる超薄型液晶バックライトユニット110は、一般的には
図6に示すように、液晶表示部の最裏面に位置する天板111、この天板111の表面に配設される反射シート112、この反射シート112の表面に配設されるライトガイドプレート113、このライトガイドプレート113の表面に配設される光学シート114及びこのライトガイドプレート113の端面に向けて光を照射する光源115を備えている(特開2010―177130号公報参照)。この
図6の超薄型液晶バックライトユニット110にあっては、光源115が照射しライトガイドプレート113に入射した光は、ライトガイドプレート113内を伝搬する。この伝搬する光の一部は、ライトガイドプレート113の裏面から出射し反射シート112で反射され、再度ライトガイドプレート113に入射される。
【0003】
このような液晶表示部を備える携帯型コンピュータは、その携帯性、利便性を高めるために薄型化及び軽量化が求められ、これに伴い液晶表示部も薄型化が求められている。特に、ウルトラブック(登録商標)と呼ばれる筐体の最厚部が21mm以下である超薄型のラップトップコンピュータにあっては、液晶表示部の厚みは4mmから5mmほどであることが望まれ、液晶表示部に組み込まれる超薄型液晶バックライトユニットにはより一層の薄型化が求められている。
【0004】
このような超薄型の携帯型コンピュータの超薄型液晶バックライトユニットにあっては、
図6に示すようなライトガイドプレート113の裏面に配設される反射シート112を有するものの他、
図7に示すように、
図6のような反射シート112を用いないことによって薄型化を図ったものも提案されている。この
図7に示す超薄型液晶バックライトユニット210は、金属製の天板211と、この天板211の表面212に積層されるライトガイドプレート213と、このライトガイドプレート213の表面に積層される光学シート214と、このライトガイドプレート213の端面に向けて光を照射する光源215とを備え、天板211の表面212は研磨されて反射面としての機能を有している。そして、光源215が出射しライトガイドプレート213に入射した光は、ライトガイドプレート213内で伝搬し、この伝搬する光の一部は、ライトガイドプレート213の裏面から出射し天板211の反射面212で反射され、再度ライトガイドプレート213に入射される。このように
図7に示す超薄型液晶バックライトユニット210は、天板211の表面が反射面212であるので、この反射面212が
図6の反射シート112の代わりとなる。それゆえ、超薄型液晶バックライトユニット210は、反射シート112が不要となり、液晶表示部の薄型化が図られている。
【0005】
また、このような超薄型の携帯型コンピュータにあっては、液晶表示部の厚みが上記程度とされていることから、ライトガイドフィルムの平均厚みについては600μm程度以下であることが求められている。そして、このようなライトガイドフィルムの形成材料としては、導光性に優れ、かつ一定の強度を有するポリカーボネート系樹脂等が用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、このような超薄型の携帯型コンピュータを使用すると液晶表示面の輝度が不均一となる不具合(輝度ムラ)が生じることを見出した。この不具合の原因を本発明者が鋭意検討した結果、(a)ライトガイドフィルムの表面がこのライトガイドフィルムの表面側に配設される他の光学シートの裏面と擦れて傷付き、この傷に入射した光が拡散されてしまうこと、及び(b)ライトガイドフィルムの裏面が反射シート又は天板と擦れ、ライトガイドフィルムの裏面に傷が付き、この傷に入射した光が拡散されてしまうこと、によって輝度ムラが生じていることが判明した。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、超薄型の携帯型コンピュータの超薄型液晶バックライトユニットに用いた場合において液晶表示面の輝度ムラが抑制されるとともに薄型化が図られるライトガイドフィルムを提供することにある。また、本発明の別の目的は、輝度ムラが抑制され、かつ薄型化が図られる超薄型液晶バックライトユニット及び携帯型コンピュータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明に係るライトガイドフィルムは、
端面から入射した光線を表面側に出射する超薄型液晶表示装置のバックライトユニット用ライトガイドフィルムであって、
鉛筆硬度がHB以上の硬質層を備え、
この硬質層が、ポリカーボネート系樹脂を主成分とし、少なくとも片面が露出しており、
全体の平均厚さが100μm以上600μm以下であることを特徴とする。
【0010】
当該ライトガイドフィルムは、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする鉛筆硬度がHB以上の硬質層によって表面及び裏面の少なくとも一方の耐擦傷性が向上されている。それゆえ、当該ライトガイドフィルムの硬質層の外面と光拡散シート等の他の光学シート又は反射シートとが擦れた場合でも、当該ライトガイドフィルムの傷付きを防止することができる。従って、当該ライトガイドフィルムは、平均厚みを600μm以下に薄く形成しつつ、表面側及び裏面側の少なくともいずれかの傷付きに起因して輝度ムラが生じるのを防止することができる。
【0011】
当該ライトガイドフィルムは、上記硬質層に積層され、鉛筆硬度が2B以下の軟質層をさらに備え、この軟質層が透明な樹脂を主成分とし、上記硬質層の平均厚さが2μm以上100μm以下であるとよい。これにより、当該ライトガイドフィルムの厚みの大半を占める軟質層を一般的で安価な透明樹脂で形成し、当該ライトガイドフィルムの傷付きを防止する薄い硬質層のみを高硬度の特殊なポリカーボネート樹脂で形成することができるので、高価な高硬度のポリカーボネート樹脂の使用量を少なくできる。従って、輝度ムラが小さいライトガイドフィルムを安価に提供できる。
【0012】
当該ライトガイドフィルムは、上記軟質層の透明な樹脂がポリカーボネート系樹脂であるとよい。そのようなポリカーボネート系樹脂は、広く市販されており、安価に入手できので、当該ライトガイドフィルムを安価に提供できる。また、軟質層と硬質層とが共にポリカーボネート系樹脂を主成分するため屈折率に差がないので、当該ライトガイドフィルムの内部で反射が起こらず、光を効率よく案内できる。さらに、ポリカーボネート系樹脂同士が互いに溶着しやすく欠陥が生じにくいため、当該ライトガイドフィルムを薄くできる。
【0013】
当該ライトガイドフィルムは、上記硬質層及び軟質層が共押出成形法により一体成形されているとよい。これにより、平均厚みが上記範囲である当該ライトガイドフィルムを容易かつ確実に形成することができる。
【0014】
当該ライトガイドフィルムは、上記硬質層が上記軟質層の両面に積層されているとよい。これにより、当該ライトガイドフィルムの表面側及び裏面側の両方の傷付きに起因して輝度ムラが生じることも防止することができる。
【0015】
当該ライトガイドフィルムは、表面及び裏面の少なくともいずれかが波状の微細変調構造を有するとよい。これにより、微細変調構造によって導光性及び拡散性又は出光性が促進され、600μm以下に超薄型であっても、表面から出射する光線の輝度及びその均一性の低下を抑制することができる。具体的には、当該ライトガイドフィルムの微細変調構造における稜線方向と光線の入射方向とを略平行に設置した場合、波状の微細変調構造により透過光線が稜線方向側に集光されやすいため、入射した光線の導光性を高めることができ、加えて表面から出射する光線が波状の微細変調構造での屈折により稜線方向と垂直方向に若干拡散されるため、出射光線の拡散性を向上することができる。一方、当該ライトガイドフィルムの微細変調構造における稜線方向と光線の入射方向とを略垂直に設置した場合、波状の微細変調構造により表面及び又は裏面への光線の入射角が変動することに起因し、表面からの出光性を向上することができる。
【0016】
上記微細変調構造における稜線間隔としては1mm以上500mm以下が好ましく、複数の谷線が通る近似仮想面を基準とする稜線の平均高さとしては5μm以上40μm以下が好ましい。このように上記稜線間隔及び稜線高さを上記範囲とすることで、上述の導光性及び拡散性又は出光性を効果的に促進することができる。
【0017】
当該ライトガイドフィルムは、裏面に拡散パターンを有することが好ましい。これにより、光源から導入された光線を拡散パターンによって効率よく拡散させて表面側から出射させることができる。
【0018】
また、上記課題を解決するための別の発明は、反射シートと、この反射シートの表面に積層された上記ライトガイドフィルムと、上記ライトガイドフィルムの端面に光を照射する光源とを備える超薄型液晶用バックライトユニット、並びに当該バックライトユニットを液晶表示部に備える携帯型コンピュータである。
【0019】
当該超薄型液晶バックライトユニット及び携帯型コンピュータは、当該ライトガイドフィルムが上述のように導光性及び拡散性又は出光性を有することから、輝度及びその輝度の面均一性を促進することができる。当該超薄型液晶バックライトユニットは、鉛筆硬度がHB以上の硬質層によってライトガイドフィルムの表面及び裏面の少なくとも一方の耐擦傷性が向上されている。それゆえ、ライトガイドフィルムの硬質層と光学シート又は反射シートとが擦れた場合でもライトガイドフィルムの傷付きを防止することができる。従って、当該当該超薄型液晶バックライトユニットで、ライトガイドフィルムを厳密に固定しなくてもライトガイドフィルムの傷付きに起因して輝度ムラが生じることを防止することができるので、薄型化を図ることができる。
【0020】
なお、「表面側」とは、液晶表示部の表示面側を意味する。「裏面側」とは、液晶表示部の表示面の反対側を意味する。「平均厚み」とは、JIS−K−7130に規定される5.1.2のA−2法により測定した値の平均値である。「鉛筆硬度」とは、JIS K5400に規定する試験方法の8.4に記載の鉛筆引っかき値に基づく値をいう。
【0021】
また、上記課題を解決するための別の発明は、端面から入射した光線を表面側に出射する超薄型液晶表示装置のバックライトユニット用ライトガイドフィルムの製造方法であって、
ポリカーボネート系樹脂を主成分とする鉛筆硬度2B以下の軟質層を形成する軟質層形成用組成物と、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする鉛筆硬度HB以上の硬質層を形成する硬質層形成用組成物とを共押出する共押出工程を備え、
上記共押出工程が、上記共押出によって得られるライトガイドフィルム全体の平均厚みを100μm以上600μm以下とし、且つ上記硬質層形成用組成物により形成される硬質層の平均厚みを2μm以上100μm以下とするように、上記軟質層形成用組成物及び上記硬質層形成用組成物の押出量を調節することを含むライトガイドフィルムの製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明のライトガイドフィルムは、超薄型の携帯型コンピュータの超薄型液晶バックライトユニットに用いた場合において液晶表示面の輝度ムラが抑制されるとともに薄型化が図られる。また、本発明の超薄型液晶バックライトユニット及び携帯型コンピュータは、輝度ムラが抑制されかつ薄型化が図られる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0025】
[第一実施形態]
〈ラップトップコンピュータ1〉
図1のラップトップコンピュータ1は、操作部2と、この操作部2に回動可能(開閉可能)に連結された液晶表示部3とを有している。当該ラップトップコンピュータ1は、筐体(ラップトップコンピュータ1の構成部分を全体的に収容するケーシング)の厚み(最厚部(液晶表示部3の閉塞時))が21mm以下であり、いわゆるウルトラブック(登録商標)と呼ばれるものである(以下「超薄型コンピュータ1」ということがある)。
【0026】
当該超薄型コンピュータ1の液晶表示部3は、液晶パネル4を有している。この液晶パネル4は、筐体の液晶表示部用ケーシング5によって、裏面、側面及び表面の周囲が保持されている。ここで、液晶表示部用ケーシング5は、液晶パネル4の裏面(及び背面)に配設される天板6と、液晶パネル4の表面の周囲の表面側に配設される表面支持部材7とを有している。なお、当該超薄型コンピュータ1の筐体は、上記液晶表示部用ケーシング5と、この液晶表示部用ケーシング5にヒンジ部8を介して回動可能に設けられ、中央演算処理装置(超低電圧CPU)等が内蔵される操作部用ケーシング9とを有している。
【0027】
この液晶表示部3の厚みは、筐体の厚みが所望範囲であれば特に限定されるものではないが、液晶表示部3の厚みの上限は、7mmであることが好ましく、6mmであることがより好ましく、5mmであることがさらに好ましい。一方、液晶表示部3の厚みの下限は、2mmであることが好ましく、3mmであることがより好ましく、4mmであることがさらに好ましい。液晶表示部3の厚みが上記上限を超えると、超薄型コンピュータ1の薄型化の要請に沿うことが困難となるおそれがある。また、液晶表示部3の厚みが上記下限未満であると、液晶表示部3の強度の低下や輝度低下等を招くおそれがある。
【0028】
さらに、携帯型コンピュータ1は、液晶表示部3の内部に、
図2に示すようなエッジライト型の超薄型液晶バックライトユニット11を有している。
【0029】
〈バックライトユニット11〉
バックライトユニット11は、
図2に示すように、ライトガイドフィルム12と、このライトガイドフィルム12と天板6との間に介在する反射シート13と、ライトガイドフィルム12の端面に光を照射する光源14と、ライトガイドフィルム12の表面に配置された光学シート15とを有している。
【0030】
当該バックライトユニット11は、以下のように光源14からの光を液晶パネル4に向けて照射する。まず、光源14からライトガイドフィルム12に光が入射し、ライトガイドフィルム12内を光が伝搬する。そして、ライトガイドフィルム12を伝搬する光のうち裏面から出射された光は、反射シート13で反射され、再びライトガイドフィルム12に入射する。このようにして、バックライトユニット11は、光源14からライトガイドフィルム12に入射した光をライトガイドフィルム12の表面から出射させて、光学シート15を介して、最終的に液晶パネル4の裏面に入射させる。
【0031】
(ライトガイドフィルム12)
ライトガイドフィルム12は、端面から入射する光線を表面から略均一に出射する。ライトガイドフィルム12は、図示するように、軟質層16と、軟質層16の裏面に積層された裏面側硬質層17と、軟質層16の表面に積層された表面側硬質層18とで構成された三層構造体からなる。裏面側硬質層17の裏面には、後で詳述する拡散パターン19が形成されている。表面側硬質層18の表面には、後で詳述する波状の微細変調構造20が形成されている。ライトガイドフィルム12は、平面視略方形状に形成されており、厚みが略均一の板状(非楔状)に形成されている。
【0032】
ライトガイドフィルム12の平均厚みは、100μ以上600μm以下である。ライトガイドフィルム12の平均厚みの上限は、580μmが好ましく、550μmがより好ましい。一方、ライトガイドフィルム12の平均厚みの下限は、150μmが好ましく、200μmがより好ましい。上記平均厚みが上記上限を超える場合、超薄型コンピュータ1において望まれるバックライトユニット11の薄型化の要望に沿えないおそれがある。また、上記平均厚みが上記下限未満である場合、ライトガイドフィルム12の強度が不十分となるおそれがあるとともに、光源14の光をライトガイドフィルム12に十分に入射させることができないおそれがある。
【0033】
軟質層16は、光線を透過させる必要があるため、透明、特に無色透明に形成される。軟質層16は、ポリカーボネート系樹脂を主成分として形成されている。軟質層16は、ポリカーボネート系樹脂を主成分とすることで、透明性を高め、光の損耗を少なくすることができる。また、ポリカーボネート系樹脂は耐熱性を有するので、光源14の発熱によって劣化等が生じ難い。さらに、ポリカーボネート系樹脂は、アクリル系樹脂に比べて吸水性が少ないため、寸法安定性が高い。
【0034】
上記ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されず、直鎖ポリカーボネート系樹脂又は分岐ポリカーボネート系樹脂のいずれかのみであってもよく、直鎖ポリカーボネート系樹脂と分岐ポリカーボネート系樹脂との双方を含むポリカーボネート系樹脂であってもよい。上記ポリカーボネート系樹脂としては、透明性、耐衝撃性、難燃性、寸法安定性等に優れる芳香族ポリカーボネート系樹脂が好ましい。
【0035】
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されるものではなく、1種のみを用いてもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記芳香族ポリカーボネート系樹脂は、一般式−(−O−X
1−O−C(=O)−)−(式中、X
1は、一般的には炭化水素であるが、所望の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたものであってもよい)で示される炭酸エステル結合を有する基本構造の重合体である。また、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂とは、炭酸エステル結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素であるポリカーボネート樹脂をいう。
【0036】
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂としては、例えば芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなる熱可塑性樹脂の芳香族ポリカーボネート重合体が挙げられる。また、上記ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させてもよい。さらに、カーボネート前駆体として二酸化炭素を用い、環状エーテルと反応させる方法を採用してもよい。なお、上記芳香族ポリカーボネート重合体は、1種の繰り返し単位のみからなる単独重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。かかる共重合体としては、特に限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態から選択される。
【0037】
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の原料として使用される上記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4' −ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4' −ジヒドロキシ−3,3' −ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類;4,4' −ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4' −ジヒドロキシ−3,3' −ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4' −ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4' −ジヒドロキシ−3,3' −ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4' −ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4' −ジヒドロキシ−3,3' −ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;4,4' −ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類等が挙げられる。
【0038】
なかでも、上記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましい。また、上記ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類のなかでも、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。なお、上記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、1種のみを単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の原料として使用される上記カーボネート前駆体としては、例えばカルボニルハライド、カーボネートエステル等が挙げられる。
【0040】
上記カルボニルハライドとしては、例えばホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
【0041】
上記カーボネートエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
【0042】
なお、上記カーボネート前駆体は、1種のみを単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法等の公知の方法が挙げられる。
【0044】
また、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の製造については、必要に応じて分岐剤が用いられてもよい。かかる分岐剤としては、例えば1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;α,α',α"−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;1−〔α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α',α'−ビス(4"−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;フロログリシン,トリメリト酸,イサチンビス(o−クレゾール)等が挙げられる。
【0045】
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の分岐率としては、特に限定されないが、0.5mol%以上1.5mol%以下が好ましい。上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の分岐率の上限は、1.3mol%がより好ましく、1.2mol%がさらに好ましい。また、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の分岐率の下限は、0.7mol%がより好ましく、0.8mol%がさらに好ましい。上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の分岐率が上記上限を超える場合、耐衝撃性や透明性が低下すると共に、成形性が低下するおそれがある。逆に、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の分岐率が上記下限未満の場合、溶融張力が低下して難燃性が低下するおそれがある。
【0046】
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、2.0×10
4以上5.0×10
4以下とされている。上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の重量平均分子量(Mw)の上限は、4.8×10
4がより好ましく、4.6×10
4がさらに好ましい。また、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の重量平均分子量(Mw)の下限は、2.2×10
4がより好ましく、2.4×10
4がさらに好ましい。上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の重量平均分子量(Mw)が上記上限を超える場合、成形性が低下するおそれがある。逆に、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂の重量平均分子量(Mw)が上記下限未満の場合、機械的強度が低下するおそれがある。
【0047】
ゲルパーミエションクロマトグラフィーによって測定した、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)としては、1.0以上2.5以下とされている。上記重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)の上限は、2.3がより好ましく、2.1がさらに好ましい。また、上記重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)の下限は、1.3がより好ましく、1.5がさらに好ましい。上記重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が上記上限を超える場合、光線透過率が低下するおそれがある。逆に、上記重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が上記下限未満の場合、成形性が低下するおそれがある。なお、上記重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、カラムとしてPolymer Laboratories社製の「PLGel 5μ MIXED−C」を使用し、溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定することができる。また、上記重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)の調整は、重合の際に分子量調整剤の使用料、添加時期等を調整したり、反応時間や反応温度等の重合条件を調整したりすることによって可能である。
【0048】
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のメルトボリュームフローレート(300℃、1.2kg荷重)としては、特に限定されないが、15cm
3/10min以上80cm
3/10min以下が好ましい。上記メルトボリュームフローレートの上限は、75cm
3/10minがより好ましく、70cm
3/10minがさらに好ましい。一方、上記メルトボリュームフローレートの下限は、17cm
3/10minがより好ましく、20cm
3/10minがさらに好ましい。上記メルトボリュームフローレートが上記上限を超える場合、溶融温度が低くなり、溶融押出成形される場合の吐出量が不安定化して成形性が低下するおそれがある。逆に、上記メルトボリュームフローレートが上記下限未満の場合、溶融温度が高くなり、溶融押出成形される場合に、押出機とダイの間に設置されるフィルターが目詰まりしやすくなる。
【0049】
軟質層16は、重量平均分子量1000以上10000以下のポリスチレン系樹脂を含むとよい。上記ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量としては、1500以上8000以下がより好ましく、2000以上5000以下がさらに好ましい。上記ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量が上記上限を超える場合、光線透過率が低下するおそれがある。
【0050】
また、上記ポリスチレン系樹脂の含有量としては、特に限定されないが、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上3質量部以下が好ましい。上記ポリスチレン系樹脂の上記芳香族ポリカーボネート系樹脂100質量部に対する含有量の上限は、2質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましい。また、上記ポリスチレン系樹脂の上記芳香族ポリカーボネート系樹脂100質量部に対する含有量の下限は、0.2質量部がより好ましく、0.3質量部がさらに好ましい。上記ポリスチレン系樹脂の含有量が上記上限を超える場合、光線透過率が低下するおそれがある。逆に、上記ポリスチレン系樹脂の含有量が上記下限未満の場合、光線透過率の向上効果が得られないおそれがある。
【0051】
軟質層16は、熱可塑性ポリアクリル系樹脂を含むとよい。かかる熱可塑性ポリアクリル系樹脂としては、特に限定されず、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリロニトリル、アクリル酸−n−ブチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリル酸−2−クロロエチル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)が特に好ましい。
【0052】
上記熱可塑性ポリアクリル系樹脂の含有量としては、特に限定されないが、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上1質量部以下が好ましい。上記熱可塑性ポリアクリル系樹脂の上記芳香族ポリカーボネート系樹脂100質量部に対する含有量の上限は、0.7質量部がより好ましく、0.5質量部がさらに好ましい。また、上記熱可塑性ポリアクリル系樹脂の上記芳香族ポリカーボネート系樹脂100質量部に対する含有量の下限は、0.03質量部がより好ましく、0.05質量部がさらに好ましい。上記熱可塑性ポリアクリル系樹脂の含有量が上記上限を超える場合、透明性の向上効果があまり得られず、分光光線透過率が向上しないおそれがある。逆に、上記熱可塑性ポリアクリル系樹脂の含有量が上記下限未満の場合、透明性が低下するおそれがある。
【0053】
また、上記熱可塑性ポリアクリル系樹脂の分子量としては、特に限定されないが、5000以上10万以下が好ましい。上記熱可塑性ポリアクリル系樹脂の分子量の上限は、8万がより好ましく、6万がさらに好ましい。また、上記熱可塑性ポリアクリル系樹脂の分子量の下限は、1万がより好ましく、2万がさらに好ましい。上記熱可塑性ポリアクリル系樹脂の分子量が上記範囲であることによって、成形時の相分離が抑えられ、好適に透明性が向上される。
【0054】
軟質層16は、酸化防止剤を含有している。上記酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えばヒンダードフェノール系化合物やチオエーテル系化合物、リン系酸化防止剤が挙げられる。なかでも、上記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物が好ましく、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが特に好ましい。
【0055】
上記酸化防止剤の含有量としては、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上0.1質量部以下とされている。上記酸化防止剤の含有量の上限は、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂100質量部に対し、0.08質量部がより好ましく、0.07質量部がさらに好ましい。一方、上記酸化防止剤の含有量の下限は、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂100質量部に対し、0.03質量部がより好ましく、0.04質量部がさらに好ましい。上記酸化防止剤の含有量が上記上限を超える場合、酸化防止剤を含有させる効果が向上されないおそれがある。逆に、上記酸化防止剤の含有量が上記下限未満の場合、酸化防止剤を含有させることによる効果が十分得られないおそれがある。
【0056】
なお、軟質層16は、紫外線吸収剤、難燃剤、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、位相差低減剤、艶消し剤、抗菌剤、防かび等の任意成分を含んでもよい。
【0057】
ライトガイドフィルム12の波長300nmにおける分光光線透過率としては、特に限定されないが、65%以上が好ましく、70%がより好ましく、73%がさらに好ましい。当該ライトガイドフィルム12は、上記分光光線透過率が上記範囲であることによって、導光性を高め、輝度を向上することができる。なお、当該ライトガイドフィルム12は、端面から可視光領域の波長の光線を入射して伝搬させるものである。この点、波長300nmにおける分光光線透過率は、可視光域の分光光線透過率を直接的に表すものではないものの、可視光領域の分光光線透過率を反映する傾向にある。
【0058】
ライトガイドフィルム12の屈折率としては、特に限定されないが、1.56以上1.68以下が好ましく、1.57以上1.66以下がより好ましい。
【0059】
裏面側硬質層17は、軟質層16の裏面に積層されている。裏面側硬質層17は、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする裏面側硬質層形成用組成物からなる透明樹脂層であり、軟質層16と同様に光の損耗が少ない。
【0060】
しかしながら、裏面側硬質層17は、軟質層16と異なり、鉛筆硬度がHB以上、好ましくはF以上、より好ましくはH以上である。裏面側硬質層17の鉛筆硬度が上記下限未満である場合、ライトガイドフィルム12の裏面に傷が付き易く、傷が反射シート13で反射されてライトガイドフィルム12に再入射する光を予定外に散乱させることによる輝度ムラが生じ易くなるおそれがある。そのような裏面側硬質層17の高い鉛筆硬度を実現するために裏面側硬質層形成用組成物の主成分として使用できる鉛筆硬度がF以上のポリカーボネート系樹脂は、例えば、三菱エンジニアリングプラスチック社製「Iupilon MB6001UR(商標)」等が挙げられる。
【0061】
裏面側硬質層17の平均厚みは特に限定されないが、その上限は100μm以下が好ましく、50μmがより好ましい。また、裏面側硬質層17の平均厚みの下限は、2μmが好ましく、10μmがより好ましい。上記平均厚みが上記上限を超える場合、ライトガイドフィルム12が厚くなってしまい、超薄型コンピュータ1において望まれるバックライトユニット11の薄型化の要望に沿えないおそれがある。また、裏面側硬質層形成用組成物の主成分である表面硬度が高いポリカーボネート樹脂は比較的高価であるので、裏面側硬質層17は、上記平均厚みが上記上限超の場合、その効果に対して費用がかかりすぎるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記下限未満の場合、裏面側硬質層17が薄すぎて十分な表面強度を発揮できないおそれがある。
【0062】
裏面側硬質層17は、裏面の算術平均粗さ(Ra)が0.04μm以上0.3μm以下であれば、光の散乱や反射に起因した光の損失を抑制すると共に、輝度ムラが生じるのを防止することができる。
【0063】
裏面側硬質層17の裏面(外表面)には、光を散乱する光散乱部からなる拡散パターン19が形成されている。拡散パターン19は、例えば、レーザー照射により発色させて形成される。具体的には、光散乱部は、裏面側硬質層形成用組成物中に発色剤を含有させておき、形成後の裏面側硬質層17の所望の位置にレーザーを照射することで上記発色剤が発色して形成される。
【0064】
拡散パターン19は、平面視散点状の配設パターンに形成されている(平面視の図面については省略)。拡散パターン19の配設パターンは、ライトガイドフィルム12から均一な光を表面側(表面側硬質層の表面)に出射するよう設けられる。具体的には、拡散パターン19における光散乱部は、光源14に近接する位置での存在割合が少なく、光源14から遠くなるにつれて存在割合が大きくなるように形成されている。なお、拡散パターン19における光散乱部の存在割合の調整は、各光散乱部の大きさを同一としつつ光散乱部の数を変更したり、各光散乱部の大きさを変更したりすることによって可能である。
【0065】
裏面側硬質層形成用組成物中に分散する発色剤は、レーザー照射によって変色する顔料である。この発色剤としては、レーザーマーキング剤として用いられる周知の有機物や無機物を利用できる。具体的には、例えば、黄色酸化鉄、無機鉛化合物、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、水銀、コバルト、銅、ビスマス、ニッケル等の金属化合物、真珠光沢顔料、珪素化合物、雲母類、カオリン類、珪砂、硅藻土、タルク等を挙げることができ、これらの中から1種又は2種以上を利用できる。ただし、当該ライトガイドフィルム12は、レーザー照射によって光線を反射させる反射パターンを形成することを目的としているため、反射パターンを形成するドット形状等が光線を反射する色を有することが好ましい。従って、当該ライトガイドフィルム12にはレーザー照射によって白色に発色する発色剤を用いることが好ましく、逆にレーザー照射によって炭化し光線を吸収する黒色に変化する発色剤は、本願発明には不適切である。このような白色に発色する発色剤としては、例えばチタンブラック、コーディエライト、雲母等を挙げられる。
【0066】
上記コーディエライトとしては、組成式MG
2Al
3(AlSi
5O
18)で表される無機化合物のほか、Mgの一部がFeに置換されたものを使用できる。また、水分を含有したものを用いてもよい。
【0067】
上記雲母としては、マスコバイト、フロゴバイト、バイオタイト、セリタイト等の天然雲母、フッ素金雲母、フッ素四ケイ素雲母等の合成雲母を使用できる。
【0068】
裏面側硬質層形成用組成物中の発色剤の含有量としては、0.0001質量%以上2.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。発色剤の含有量が上記下限未満の場合、レーザー照射時に十分な発色効果が得られず、所望の反射パターンを形成できないおそれがある。逆に、発色剤の含有量が上記上限を超える場合、裏面側硬質層17の透明度、機械的強度等が低下するおそれがある。
【0069】
拡散パターン19の各光散乱部の平面視における形状は、線状、楕円状、矩形状等であってもよい。なお、各光散乱部の大きさ(平面視)は、特に限定されないが、例えば、最大幅が1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。また、光散乱部は、シート厚み方向に高さを有する3次元形状とすることも可能である。
【0070】
裏面側硬質層17に照射するレーザーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、炭酸ガスレーザー、一酸化炭素レーザー、半導体レーザー、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザー等を使用できる。これらの中でも波長が9.3μmから10.6μmである炭酸ガスレーザーが精細なドットパターンを形成するのに好適である。上記炭酸ガスレーザーとしては、横方向大気圧励起(TEA)型、連続発振型、パルス発振型等を使用できる。
【0071】
なお、拡散パターン19は、必ずしもレーザー照射によって発色剤が発色されることによって形成されていなくてもよい。当該ライトガイドフィルム12の拡散パターン19としては、例えば裏面側硬質層17の表面に、ドット状、ストライプ状等に、レーザーによって直接加工を施したものや、スクリーン印刷、インクジェット印刷、蒸着等によってインクを固化させたものであってもよい。
【0072】
表面側硬質層18は、軟質層16の表面に積層されている。表面側硬質層18は、裏面側硬質層17と同様にポリカーボネート系樹脂を主成分とする表面側硬質層形成用組成物からなる透明樹脂層である。しかしながら、表面側硬質層18は、裏面側硬質層17と異なり、光散乱部を有せず、表面に波状の微細変調構造20を有している。
【0073】
表面側硬質層形成用組成物の主成分として使用されるポリカーボネート系樹脂は、裏面側硬質層形成用組成物の主成分として使用できるものと同様である。そして、表面側硬質層形成用組成物は、裏面側硬質層形成用組成物と完全に同一の配合からなる組成物であってもよく、裏面側硬質層形成用組成物とポリカーボネート系樹脂及び添加物の配合率が異なる組成物であってもよく、裏面側硬質層形成用組成物とは異なるポリカーボネート系樹脂を主成分とする異なる組成物であってもよい。例えば、表面側硬質層形成用組成物は、裏面側硬質層形成用組成物から拡散パターン19を形成するための発色剤を省略した配合であってもよい。
【0074】
表面側硬質層18の鉛筆硬度は、HB以上、好ましくはF以上、より好ましくはH以上である。表面側硬質層18の鉛筆硬度が上記硬さ未満であると、ライトガイドフィルム12の表面に傷が付き易く、傷がライトガイドフィルム12から出射する光を散乱させることによる輝度ムラが生じ易くなるおそれがある。また、表面側硬質層18の平均厚みは、裏面側硬質層17と同様の理由により、その上限が好ましくは100μm、より好ましくは50μmであり、その下限が好ましくは2μm、より好ましくは10μmである。表面側硬質層18の裏面の算術平均粗さ(Ra)も、裏面側硬質層17と同様に0.04μm以上0.3μm以下が好ましい。
【0075】
表面側硬質層18は、表面に波状の微細変調構造20を有している。また、この微細変調構造20における稜線方向は、光源14から光線が入射するライトガイドフィルム12の端面と略直交している。これにより、当該ライトガイドフィルム12内を伝播する光線が表面において反射する際に一部の光線の進行方向が波状の微細変調構造20の稜線側に寄るため、光線が稜線方向側に集光されやすくなる。また、これに加えて表面から出射する光線が波状の微細変調構造20での屈折により波状の微細変調構造20の稜線方向と垂直方向に若干拡散するため、出射光線の拡散性が向上する。
【0076】
波状の微細変調構造20における稜線間隔pとしては、特に限定されないが、1mm以上500mm以下が好ましい。稜線間隔pの上限は、100mmがより好ましく、60mmがさらに好ましい。一方、稜線間隔pの下限は、10mmがより好ましく、20mmがさらに好ましい。稜線間隔pが上記範囲外の場合、当該ライトガイドフィルム12内を伝播する光線が稜線方向側に集光されにくい。なお、微細変調構造20における全ての稜線間隔pが上記範囲内にあることが好ましいが、微細変調構造20における複数の稜線間隔pのうち一部が上記範囲外であってもよく、この場合には、複数の稜線間隔のうち50%以上、好ましくは70%の稜線間隔が上記範囲内にあるとよい。
【0077】
また、波状の微細変調構造20における複数の谷線が通る近似仮想面を基準とする稜線の平均高さhとしては、特に限定されるものではないが、5μm以上40μm以下が好ましい。上記平均高さhの上限は、20μmがより好ましく、15μmがさらに好ましい。一方、上記平均高さhの下限は、7μmがより好ましく、9μmがさらに好ましい。上記平均高さhが上記範囲外の場合、当該ライトガイドフィルム12内を伝播する光線が稜線方向側に集光されにくい。
【0078】
(反射シート13)
反射シート13は、ライトガイドフィルム12と天板6との間に配設されている。反射シート13は、ライトガイドフィルム12の裏面側から出射された光線を表面側に反射させる。反射シート13としては、ポリエステル系樹脂等の基材樹脂にフィラーを分散含有させた白色シートや、ポリエステル系樹脂等から形成されるフィルムの表面に、アルミニウム、銀等の金属を蒸着させることで正反射性が高められた鏡面シート等が挙げられる。なかでも、反射シート13としては、反射光が拡散反射成分を含まない鏡面シートが好ましい。
【0079】
(天板6)
天板6は、金属製の板材から形成され、具体的にはアルミニウム合金製の板材から形成されている。ここで、この板材の厚みは、500μm以上1200μm以下であることが好ましく、700μm以上900μm以下であることがより好ましい。また、天板6は、上記板材の周囲が表面側に湾曲して形成され、この湾曲した部位がリブとして機能して天板6としての十分な強度を有している。なお、このリブの湾曲部位以外の部分(中央部分)は、平坦面とされているが、幾何学模様等のパターンをエンボス加工することも可能である。
【0080】
(光源14)
光源14は、液晶表示部用ケーシング5に内蔵されており、照射面が上記ライトガイドフィルム12の軟質層16の端面に対向(又は当接)するよう配設されている。光源14としては、種々のものを用いることが可能であり、例えば発光ダイオード(LED)を用いることが可能である。具体的には、この光源14として、複数の発光ダイオードが軟質層16の端面に沿って配設されたものを使用できる。
【0081】
当該バックライトユニット11においては、ライトガイドフィルム12の一つの側縁のみの側方に光源14を配設する片側エッジライト方式や、ライトガイドフィルム12の対向する側縁の側方に光源14をそれぞれ配設する両側エッジライト方式等を採用することが可能である。
【0082】
〈光学シート15〉
光学シート15は、ライトガイドフィルム12の表面側に配設された特定の光学機能を有するシートである。光学シート15は、例えば、光拡散機能を有する光拡散シートや拡散光を法線方向側への屈折させるプリズムシートであり、それらの単体又は積層体であってもよく、液晶パネル4の裏面と一体に構成されていてもよい。
【0083】
〈ライトガイドフィルム12の製造方法〉
次に、
図3を参照して、ライトガイドフィルム12の製造方法について説明する。ライトガイドフィルム12の製造方法は、軟質層16を形成する軟質層形成用組成物、裏面側硬質層17を形成する裏面側硬質層形成用組成物、及び表面側硬質層18形成する表面側硬質層形成用組成物をそれぞれ調製する第一工程と、第一工程においてそれぞれ調製された軟質層形成用組成物、裏面側硬質層形成用組成物及び表面側硬質層形成用組成物を同時に溶融状態で押し出す共押出成形法によって、軟質層16、裏面側硬質層17及び表面側硬質層18を一体のシート状に形成する第二工程(共押出工程)と、上記第二工程において形成された表面側硬質層18に対してレーザーを照射することで裏面側硬質層17に拡散パターン19を形成する第三工程とを含む。
【0084】
第一工程は、上述の2B以下の鉛筆硬度を有するポリカーボネート系樹脂、及び上述のHB以上の鉛筆硬度を有するポリカーボネート系樹脂に、それぞれ必要に応じて紫外線吸収剤、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、位相差低減剤、抗菌剤、防かび剤等を配合し、軟質層形成用組成物、裏面側硬質層形成用組成物及び表面側硬質層形成用組成物をそれぞれ調製する。また、裏面側硬質層形成用組成物には、上述の拡散パターン19を形成するための発色剤が配合される。
【0085】
第二工程は、
図3の共押出機21を用いた共押出成形法によって行われる。共押出機21は、押出機22,23,24と、分配ブロック25と、マルチマニホールドダイ(Tダイ)26と、一対の押圧ロール27,28とを有している。
【0086】
第二工程では、表面側硬質層形成用組成物が押出機22に投入され、軟質層形成用組成物が押出機23に投入され、裏面側硬質層形成用組成物が押出機24に投入される。押出機22,23,24から溶融状態で押出された表面側硬質層形成用組成物、軟質層形成用組成物及び裏面側硬質層形成用組成物は、分配ブロック25によって分配された後、マルチマニホールドダイにおいて平行する三枚の溶融状態のフィルム状に押出され、互いに重ね合わされる。この三層のフィルム体を押圧ロール27及び押圧ロール28間に挟み込んで圧接及び冷却することにより、裏面側硬質層17、軟質層16及び表面側硬質層18が一体溶着した一枚のフィルムに成形する。
【0087】
この第二工程では、押出機22,23,24による軟質層形成用組成物、裏面側硬質層形成用組成物及び表面側硬質層形成用組成物のそれぞれの押出量を調整することによって、軟質層16、裏面側硬質層17及び表面側硬質層18の厚みを調節する。このとき、上述のように、裏面側硬質層17及び表面側硬質層18の平均厚みが2μm以上100μm以下の所望の値となるように、押出機22,24による裏面側硬質層形成用組成物及び表面側硬質層形成用組成物の押出量を調節する。加えて、上述のようにライトガイドフィルム12全体の平均厚みが100μm以上600μm以下の所望の値となるように、押出機23による軟質層形成用組成物の押出量を調節する。また、マルチマニホールドダイ26の表面側硬質層形成用組成物が押出されるスリットの断面形状を微細変調構造20の反転形状とすることで、この第二工程において表面側硬質層18の表面に波状の微細変調構造20を形成することができる。
【0088】
第三工程は、裏面側硬質層17に散点状にレーザーを照射することで、上述のような拡散パターン19を形成する。
【0089】
〈利点〉
当該超薄型コンピュータ1のバックライトユニット11は、ライトガイドフィルム12が軟質層16の裏面及び表面に高い表面硬度を有するポリカーボネート系樹脂を主成分とする裏面側硬質層17及び表面側硬質層18を有している。このため、当該超薄型コンピュータ1の携帯時等においてライトガイドフィルム12が反射シート13又は光学シート15と擦れ合っても、ライトガイドフィルム12の表裏面の裏面側硬質層17及び表面側硬質層18は容易に傷が付かない。つまり、ライトガイドフィルム12は、輝度ムラを生じさせるような傷が付きにくく、液晶パネル4の輝度の均一性を維持する。特に、波状の微細変調構造20が硬度の高い表面側硬質層18により形成されているため、ライトガイドフィルム12が光学シート15と擦れ合っても微細変調構造20に傷が付かないので、ライトガイドフィルム12の好適な光線出射特性を維持できる。
【0090】
また、ライトガイドフィルム12は、ともにポリカーボネート系樹脂を主成分とする軟質層16、裏面側硬質層17及び表面側硬質層18を積層してなる。これにより、ライトガイドフィルム12の内部で反射が起こらず、光を効率よく案内することができる。また、近い組成を有する軟質層16と裏面側硬質層17及び表面側硬質層18との接着性が良いので、ライトガイドフィルム12は均一で薄いシート状に形成することができる。特に、ライトガイドフィルム12は、共押出によって形成することによってより薄いシートに形成でき、製造コストも比較的低くできる。また、ライトガイドフィルム12では、主に安価で一般的なポリカーボネート樹脂を使用して厚みのある軟質層16を形成し、高価な高硬度ポリカーボネート樹脂を薄い裏面側硬質層17及び表面側硬質層18を形成するためのみに使用するので、最小限のコストで輝度ムラを生じる傷付きを防止できる。
【0091】
このように、傷が付きにくく薄いライトガイドフィルム12は、バックライトユニット11、ひいては超薄型コンピュータ1の薄型化を促進できるとともに、液晶表示部3の輝度の高い均一性を実現しながら、従来品に比べてコスト増がわずかである。
【0092】
[第二実施形態]
〈バックライトユニット31〉
図4の超薄型液晶バックライトユニット31は、
図2のバックライトユニット11に換えて、筐体の厚みが21mm以下であるラップトップコンピュータの液晶表示部のエッジライト型の超薄型液晶バックライトユニットとして用いられる。
【0093】
バックライトユニット31は、ライトガイドフィルム32と、ライトガイドフィルム32の裏面に配設される反射シート13と、ライトガイドフィルム32の端面に光を照射する光源14と、ライトガイドフィルム32の表面に配設される光学シート15とを有している。反射シート13、光源14及び光学シート15は、
図2のバックライトユニット11と同様のため、同一番号を付して説明を省略する。
【0094】
(ライトガイドフィルム32)
ライトガイドフィルム32は、端面から入射する光線を表面から略均一に出射する。ライトガイドフィルム32は、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする鉛筆硬度が2B以下の軟質層33と、軟質層33の表面に積層された表面側硬質層18とで構成された二層構造体からなる。軟質層33の裏面には、拡散パターン34が形成されている。表面側硬質層18は、
図2のライトガイドフィルム12と同様のため、同一番号を付して説明を省略する。また、軟質層33を形成する軟質層形成用組成物についても、
図2のライトガイドフィルム12の軟質層16を形成する軟質層形成用組成物と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0095】
拡散パターン34は、軟質層33の裏面に散点状に形成された複数の凹部からなる。複数の凹部は、当該ライトガイドフィルム32から均一な光を表面側に出射できるように配設されている。上記凹部の平均径は、特に限定されないが、50μm以下が好ましい。上記凹部の平均径の上限としては、40μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。一方、上記凹部の平均径の下限としては、0.5μmが好ましく、1μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。上記凹部の平均径が上記上限を超える場合、輝度ムラを生じるおそれがあると共に、上記凹部の高さが大きくなり、ライトガイドフィルム12の薄型化の促進が困難になるおそれがある。逆に、上記凹部の平均径が上記下限未満の場合、光散乱効果が十分に得られないおそれがある。なお、「径」とは、外形の最大幅と、その最大幅方向に直交方向の外形の幅との中間値を意味する。さらに、「平均径」とは、複数の凹部の径の平均値をいう。
【0096】
上記凹部の形状としては、特に限定されないが、半球状、円錐状、円筒状、多角錐状、多角柱状、蹄状等とすることが可能である。なかでも、上記凹部は、半球状の凹状部として形成されることが好ましい。上記凹部を半球状の凹状部とすることによって、成形性が向上され、エッジが出るのを防止することができると共に、薄型化が促進される。
【0097】
〈ライトガイドフィルム32の製造方法〉
当該ライトガイドフィルム32は、拡散パターン34が共押出工程において形成される。共押出工程は、第一実施形態と同じ共押出機21を用い、押圧ロール28を拡散パターン34が表面に転写された反転型として形成しておくことによって行われる。つまり、共押出工程において、軟質層形成用組成物が硬化する前に、押圧ロール28の表面に転写された反転型を軟質層33に転写することで、軟質層33の裏面に拡散パターン34を形成することができる。
【0098】
〈利点〉
また、当該超薄型コンピュータ1のバックライトユニット31は、ライトガイドフィルム32の裏面に軟質層33が露出しているが、ライトガイドフィルム32の裏面の傷は、ライトガイドフィルム32の表面の傷に比べて液晶パネル4の輝度ムラに対する影響が小さい。このため、本実施形態の構成は、従来のライトガイドフィルムに対して最小限のコスト増で輝度ムラを抑制する一定以上の効果を実現することができる。
【0099】
[第三実施形態]
〈バックライトユニット41〉
バックライトユニット41は、ライトガイドフィルム42と、ライトガイドフィルム42が直接その表面上に配置される液晶表示部用ケーシングの天板43と、ライトガイドフィルム42の端面に光を照射する光源14と、ライトガイドフィルム42の表面に配設される光学シート15とを有している。光源14及び光学シート15は、
図2のバックライトユニット11及び
図4のバックライトユニット31と同様のため、同一番号を付して説明を省略する。
【0100】
天板43は、その内面が、光を反射するように鏡面仕上げされており、
図2の反射シート13の機能を兼ねている。このため、バックライトユニット41では、天板43の表面にライトガイドフィルム42が直接重ねて配設されている。
【0101】
(ライトガイドフィルム42)
ライトガイドフィルム42は、端面から入射する光線を表面から略均一に出射する。ライトガイドフィルム42は、軟質層44と、軟質層44の裏面に積層された裏面側硬質層45と、軟質層44の表面に積層された表面側硬質層46とで構成された三層構造体からなる。裏面側硬質層45の裏面には波状の微細変調構造47が形成されており、表面側硬質層46の表面には拡散パターン48が形成されている。
【0102】
このライトガイドフィルム42は、
図2のライトガイドフィルム12の表裏を逆にしたものと考えてよい。よって、
図5のライトガイドフィルム42の軟質層44、裏面側硬質層45、表面側硬質層46、波状の微細変調構造47及び拡散パターン48は、
図2のライトガイドフィルム12の軟質層16、表面側硬質層18、裏面側硬質層17、波状の微細変調構造20及び拡散パターン19と、それぞれ同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。
【0103】
〈利点〉
バックライトユニット41は、ライトガイドフィルム42が天板43の表面に積層されているので、当該ライトガイドフィルム42の裏面側から出射した光は、天板43表面で反射され再度当該ライトガイドフィルム42に入射する。よって、当該バックライトユニット41は、従来のような反射シートを用いていないため、薄型化が図られる。
【0104】
ライトガイドフィルム42は、裏面に微細変調構造47を有する。このため、ライトガイドフィルム42内を伝播する光線は、ライトガイドフィルム42の裏面において反射する際に一部の光線の進行方向が波状の微細変調構造47の稜線側に寄るため、光線が稜線方向側に集光されやすくなる。また、これに加えて表面から出射する光線が波状の微細変調構造47での屈折により波状の微細変調構造47の稜線方向と垂直方向に若干拡散するため、天板43によって反射されて再度ライトガイドフィルム42に入射する光線の拡散性が向上する。
【0105】
また、ライトガイドフィルム42は、表面に拡散パターン48を有する。これにより、表面側から出射する光線を拡散パターン48で拡散させるので、好適な発光特性が得られる。
【0106】
[その他の実施形態]
なお、本発明のライトガイドフィルム、超薄型液晶バックライトユニット及び携帯型コンピュータは、上述の態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施できる。よって、上述の各実施形態の構成は、他の実施形態の構成又は公知の均等な構成によって置換され得る。例えば、当該ライトガイドフィルムは、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする鉛筆硬度がHB以上の硬質層のみからなる単層のシートであってもよい。また、ライトガイドフィルムが当該ライトガイドフィルムの表面に配置される光学シートと擦れ合うおそれがない場合等には、軟質層の表面側の硬質層を省略し、反射シートに当接する裏面側にのみ硬質層を形成してもよい。また、硬質層に拡散パターンを形成する場合にも押出工程に型押して拡散パターンを形成してもよく、軟質層に拡散パターンを形成する場合にも軟質層形成用組成物に配合した発色剤をレーザー照射によって発色させて拡散パターンを形成してもよい。上記型押しは、押圧ロールを反転型とする他、押し出されたフィルム体を挟み込む別の反転型を設けてもよい。また、当該ライトガイドフィルムの微細変調構造は、稜線方向が光源から光線が入射するライトガイドフィルムの端面とほぼ並行であってもよい。