(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外筒と、該外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、前記外筒の先端部もしくは前記外筒の先端部に固着された穿刺針を封止する封止部と、前記外筒内に充填された薬剤とを備えるプレフィルドシリンジであって、
前記外筒は、外筒本体部と、前記外筒本体部の外面に貼付された表示ラベルとを備え、前記表示ラベルは、折り曲げられ、向かい合う面が剥離可能に密着した展開型ラベルであり、前記展開型ラベルは、前記外筒に貼付されたラベル本体と、折り曲げられることにより、前記ラベル本体と向かい合う面を有する展開可能部とを備え、前記展開可能部は、前記ラベル本体と剥離可能に密着し、前記ラベル本体から剥離することにより展開し、かつ、前記ラベル本体より離脱不能なものとなっており、前記展開型ラベルは、前記展開可能部の展開により、露出するラベル内面部には、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部を備え、さらに、前記展開型ラベルの展開可能部は、前記ラベル本体からの剥離後、再付着しないものとなっており、前記展開可能部は、剥離後、前記外筒の側部よりはみ出した状態となることを特徴とするプレフィルドシリンジ。
前記ラベル本体は、前記展開可能部の展開により露出するラベル本体面部分を有し、前記ラベル本体面部分には、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部が設けられている請求項1に記載のプレフィルドシリンジ。
前記ラベル本体は、前記展開可能部の展開により露出するラベル本体面部分を有し、前記ラベル本体面部分には、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部が設けられている請求項1または2に記載のプレフィルドシリンジ。
前記展開可能部は、前記ラベル本体より剥離前において露出する表面に、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部を備えている請求項1ないし3のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
前記表示ラベルは、目盛表示部を有する透明部を備え、前記展開可能部は、前記目盛表示部を被覆しないように貼付されている請求項1ないし5のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
前記展開可能部は、第1の展開可能部と、前記第1の展開可能部から剥離することにより展開し、かつ前記第1の展開可能部より分離不能な第2の展開可能部を備え、前記第1の展開可能部および前記第2の展開可能部の展開により露出するラベル内面部には、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部が設けられている請求項1ないし6のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
前記表示ラベルは、前記ラベル本体の表面に、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部を備え、前記展開可能部は、前記印刷部を被覆しないように設けられている請求項1ないし7のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2のものは、従来のそのようなラベルを持たないものに比べて、有効である。しかし、上述したような、劇薬および毒薬は、より確実に、劇薬、毒薬であることが理解できることが必要である。
そこで、本発明の目的は、薬剤を充填したプレフィルドシリンジにおいて、薬剤の確認の注意喚起を確実に促すことができ、誤投与防止に有効であるプレフィルドシリンジを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 外筒と、該外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、前記外筒の先端部もしくは前記外筒の先端部に固着された穿刺針を封止する封止部と、前記外筒内に充填された薬剤とを備えるプレフィルドシリンジであって、
前記外筒は、外筒本体部と、前記外筒本体部の外面に貼付された表示ラベル
とを備え、前記表示ラベルは、
折り曲げられ、向かい合う面が剥離可能に密着した展開型ラベルであり、前記展開型ラベルは、前記外筒に貼付されたラベル本体と、折り曲げられることにより、前記ラベル本体と向かい合う面を有する展開可能部とを備え、前記展開可能部は、前記ラベル本体と剥離可能に密着し、前記ラベル本体から剥離することにより展開し、かつ、前記ラベル本体より離脱不能なものとなっており、前記展開型ラベルは、前記展開可能部の展開により、露出するラベル内面部には、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部
を備え、さらに、前記展開型ラベルの展開可能部は、前記ラベル本体からの剥離後、再付着しないものとなっており、前記展開可能部は、剥離後、前記外筒の側部よりはみ出した状態となるプレフィルドシリンジ。
【0008】
(2) 前記ラベル本体は、前記展開可能部の展開により露出するラベル本体面部分を有し、前記ラベル本体面部分には、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部が設けられている上記(1)に記載のプレフィルドシリンジ。
(3) 前記ラベル本体は、前記展開可能部の展開により露出するラベル本体面部分を有し、前記ラベル本体面部分には、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部が設けられている上記(1)または(2)に記載のプレフィルドシリンジ。
(4) 前記展開可能部は、前記ラベル本体より剥離前において露出する表面に、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部を備えている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
(5) 前記外筒は、目盛表示部を備え、前記表示ラベルは、前記目盛表示部を被覆しないように貼付されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
(6) 前記表示ラベルは、目盛表示部を有する透明部を備え、前記展開可能部は、前記目盛表示部を被覆しないように貼付されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
(7) 前記展開可能部は、第1の展開可能部と、前記第1の展開可能部から剥離することにより展開し、かつ前記第1の展開可能部より分離不能な第2の展開可能部を備え、前記第1の展開可能部および前記第2の展開可能部の展開により露出するラベル内面部には、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部が設けられている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
(8) 前記表示ラベルは、前記ラベル本体の表面に、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部を備え、前記展開可能部は、前記印刷部を被覆しないように設けられている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
(9) 前記薬剤は、薬事法において劇薬または毒薬に指定されている薬剤である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプレフィルドシリンジでは、外筒本体部の外面に貼付された表示ラベルを備える。そして、表示ラベルは、外筒に貼付されたラベル本体と、前記ラベル本体から剥離することにより、展開しかつ前記ラベル本体より離脱不能な展開可能部とを備え、さらに、展開可能部の展開により、露出するラベル内面部は、筆記用具等による任意の記載が可能な記載可能部が設けられている。
そして、展開可能部を剥離することにより、展開可能部が、外筒の側部よりはみ出した状態となり、特殊なシリンジ形態となる。これにより、このシリンジに充填されている薬剤が、特殊な薬剤である可能性が高いことを医療従事者に認知させることが可能でなる。さらに、展開可能部は、ラベル本体より、離脱不能となっているため、積極的に切断しない限り、上記の展開可能部がはみ出した状態を維持する。そして、記載可能事項に必要な事項を記入することにより、記入者および記入者以外の者に対して、患者もしくは薬剤関連情報を伝達することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のプレフィルドシリンジを図面に示す実施例を用いて説明する。
本発明のプレフィルドシリンジ1は、外筒2と、外筒2内に摺動可能に収納されたガスケット9と、外筒2の先端部もしくは外筒の先端部に固着された穿刺針を封止する封止部3と、外筒2内に充填された薬剤とを備える。
外筒2は、外筒本体部21を有し、さらに、外筒本体部21の外面に貼付された表示ラベル4を備える。表示ラベル4は、外筒2に貼付されたラベル本体40と、ラベル本体40より、剥離することにより、展開しかつラベル本体40より離脱不能な展開可能部4aとを備える。さらに、展開可能部4aの展開により、露出するラベル内面部42は、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部42aを有している。
筆記用具等としては、鉛筆、ボールペン、サインペン、油性ペンなどの筆記用具のほか、定型の記載事項や予め意味を定めた記号のスタンプなど医療現場にある任意のものを利用できる。
【0012】
本発明のプレフィルドシリンジ1は、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端部に設けられ先端が開口したノズル部22を備える外筒2と、ノズル部22に着脱可能に取り付けられたもしくは取り付け可能な封止部3と、外筒2内に摺動可能に収納されたガスケット9と、ガスケット9の後端に取り付けられたプランジャー5とを備えるものである。
なお、外筒2としては、ノズル部ではなく、注射針が固定されたものでもよく、この場合には、封止部は、注射針を封止するタイプのものとなる。
本発明のプレフィルドシリンジは、
図1に示すように、外筒2と、封止部3と、ガスケット9と、プランジャー5とを備える。
外筒2は、透明もしくは半透明材料により、好ましくは、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成された筒状体である。
外筒2は、
図1,
図13に示すように、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端部に設けられたノズル部22と、ノズル部22を被包するカラー部25と、外筒本体部21の後端部に設けられたフランジ23と、外筒表面に印刷された目盛表示部25を備える。
【0013】
図13に示すように、外筒本体部21は、ガスケット9を液密かつ摺動に収納するほぼ筒状の部分であり、ノズル部22は、外筒本体部21より小径の筒状部となっている。また、外筒本体部21の先端部(肩部)は、ノズル部22に向かってテーパー状に縮径している。
フランジ23は、
図13に示すように、外筒本体部21の後端全周より放射方向に延びる楕円ドーナツ状の円盤部である。フランジ23は、向かい合う幅広となった2つの把持部23a、23bを備え、さらに、把持部23a、23bの先端面側には、複数のリブが形成されている。
ノズル部22は、
図13に示すように、先端に向かって縮径する注射針装着用チップ部となっている。カラー部25は、ノズル部22を取り囲むようにノズル部22と同心的に円筒状に形成されている。また、カラー部25は、先端が開口しており、カラー部25の内径および外径は基端から先端までほぼ同一径となっている。また、カラー部25の先端開口からノズル部22の先端が突出している。また、カラー部25の内周面には、後述するシールキャップ3のノズル部収納部の外周面に形成された螺旋状突出部33と螺合可能な螺旋状溝部が形成されている。この実施例では、ノズル部22に封止部を構成するシールキャップ3が取り付けられている。なお、封止部は、シールキャップに限定されるものではなく、フィルムシールであってもよい。
外筒2の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
【0014】
封止部3であるシールキャップは、外筒2のノズル部22に着脱可能に取り付けられている。シールキャップ3は、
図14に示すように、キャップ本体30と、キャップ本体内に収納されたシール部材31とからなる。キャップ本体30は、
図14に示すように、キャップ状に作製されており、ノズル部収納部34、カラー部収納部32を有する。ノズル部収納部34は、シールキャップ3の中央部に設けられ、一端が閉塞し、他端が開口した円筒状部である。また、ノズル部収納部34の閉塞部35の中央部には、閉塞部35の内面より、開口端方向に突出する環状突出部35aが形成されている。そして、キャップ本体30に収納されるシール部材31は、
図14に示すように、この環状突出部35aと外筒2のノズル部の先端間により、挟圧される。また、ノズル部収納部34の外周面には、外筒2のカラー部25の内周面に形成された螺旋状溝部と螺合可能な螺旋状突出部33が形成されている。これにより、外筒2とシールキャップ3は、ノズル部収納部34の外周面と外筒2のカラー部25との間で螺合する。
カラー部収納部32は、ノズル部収納部34を取り囲むように形成され、一端が閉塞し、他端が開口した円筒状体である。そして、キャップ本体30は、カラー部収納部32とノズル部収納部34間にて、外筒2のカラー部25を収納する。
また、この実施例のシールキャップは、両頭針を挿通可能でないものとなっているが、シールキャップ3としては、両頭針を直接挿通可能なタイプのものであってもよい。
【0015】
ガスケット9は、
図1および
図15に示すように、ほぼ同一外径にて延びる本体部と、この本体部に設けられた複数の環状リブ(この実施例では2つ、2つ以上であれば、液密性と摺動性を満足できれば適宜数としてもよい)を備え、これらリブが、外筒2の内面に液密に接触する。また、ガスケット9の先端面は、外筒2の先端内面に当接した時に、両者間に極力隙間を形成しないように、外筒2の先端内面形状に対応した形状となっている。したがって、ガスケット9は、外筒2内に摺動可能に収納されている。
ガスケット9の構成材料としては、従来よりガスケットに使用されている公知のものが使用できる。例えば、ゴム、エラストマー、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂が挙げられる。ゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムが好ましく、特に、加硫処理したものが好ましい。エラストマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー及びこれらの混合物が好ましい。上記ゴム、エラストマーの中でも、特に、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン系エラストマーが、好適な硬度、弾性特性を有し、γ線滅菌、電子線滅菌、高圧蒸気滅菌が可能であることから好ましい。
【0016】
そして、ガスケット9には、その後端部より内部に延びる凹部が設けられ、この凹部は、雌ねじ状となっており、プランジャー5の先端部に形成された突出部の外面に形成された雄ねじ部と螺合可能となっている。両者が螺合することにより、プランジャー5は、ガスケット9より離脱しない。すなわち、プランジャー5は、ガスケット9の後端にある雌ねじ部と螺合し、取り付けられている。
プランジャー5は、
図1および
図15に示すように、断面十字状のプランジャー軸部51と、軸部51の前方に設けられた先端部53と、先端部53の後端(言い換えれば、本体部の先端)に設けられたガスケット押圧部52と、軸部51の後端部に設けられたプランジャー押圧用の円盤部54を備えている。また、この実施例では、軸部51の途中に設けられたリブ55を備える。
プランジャーの構成材料としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の硬質もしくは半硬質樹脂を用いることが好ましい。
【0017】
本発明のプレフィルドシリンジに用いられるラベルについて説明する。
本発明のプレフィルドシリンジに使用される表示ラベルとしては、標準的カラー及び印字ラベルが使用でき、かつ手書き可能なものが使用される。そして、表示ラベルとしては、シリンジにコンパクトに添付でき、かつ、実際に使用する段階でラベル面積を拡大することが可能な展開型ラベルが好適に使用される。
展開型ラベルとしては、折り曲げられ、向かい合う内面(片面もしくは両面)に感圧接着剤が塗布され、剥離可能に密着したものが好適に使用できる。特に、剥離後、再付着しないものが使用される。このような展開型ラベルに使用される感圧接着剤は、コールドシールタイプのものが好ましい。コールドシールタイプの感圧接着剤としては、例えば、天然ゴム,天然ゴム変性物,合成ゴム等のエマルジョン又はこれらの混合エマルジョンからなり、室温下で、加圧するだけで接着できるものが好適である。また、感圧接着剤は、内面の全面に塗布したもの、また、多数のドット状にパートシールしたものであってもよい。
【0018】
図1ないし
図5に示す実施例のプレフィルドシリンジ1では、外筒2の外筒本体部21の外面には、表示ラベル4が貼付されている。この実施例における表示ラベル4は、
図1に示すように、外筒本体部21の表面に付された目盛表示部25を被覆しないように、言い換えれば、目盛表示部の視認を阻害しないように、外面の一部に外筒本体部外面の筒状形状を維持するように貼付されている。そして、表示ラベル4は、外筒2の外筒本体部21の表面に貼付されたラベル本体40と、ラベル本体40より、剥離することにより展開し、かつラベル本体40より離脱不能な展開可能部4aとを備える。
【0019】
図1および
図2に示すように、表示ラベル4は、展開可能部4aをラベル本体40より、剥離しない状態では、外筒2の外筒本体部21は、筒状状態を維持する。また、表示ラベル4の表面は、展開可能部4aの表面41により構成された状態となっている。そして、展開可能部4aの表面41には、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部41aが設けられている。収納薬剤関連情報としては、例えば、薬剤名、濃度、充填量などが記載されている。具体的には、「○○(薬剤名)△△%注シリンジ」、「○○(薬剤名)溶液△△%注シリンジ」、「○○(薬剤名)△△%注シリンジ□□ml」、「○○(薬剤名)溶液△△%注シリンジ□□ml」などの記載が用いられる。
そして、展開可能部4aの角部に設けられている剥離開始部45部分より、展開可能部4aを引き起こすことにより、展開可能部4aは、ラベル本体40より、剥離し、
図3に示す状態となる。
【0020】
そして、この実施例の表示ラベル4では、展開可能部4aを展開(剥離)することにより、展開可能部4aの内面、言い換えれば、展開可能部4aの表面41の裏面が露出する。これにより、ラベル内面部42が現れる。そして、このラベル内面部42には、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部42aが設けられている。
また、この実施例では、ラベル本体40は、展開可能部4aの展開(剥離)により露出するラベル本体面部分40aを有している。そして、このラベル本体面部分40aには、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部40bが設けられている。さらに、この実施例の表示ラベル4では、このラベル本体面部分40aには、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部40cを備えている。このため、展開可能部4aを剥離し、展開した状態においても、充填されている製品に予め記載されている収納薬剤関連情報を確認することができる。
【0021】
展開可能部4aの展開により露出する記載可能部には、どのようなことを記載してもよいが、例えば、
図4に示すように、患者名、年月日、特記事項(病棟名、主治医名、病室番号、患者本人確認チェック欄、現場スタッフ情報共有事項)などが挙げられる。
そして、本発明のプレフィルドシリンジ1では、
図4および
図5に示すように、展開可能部4aを剥離することにより、展開可能部4aが、外筒の側部よりはみ出した状態となり、特殊なシリンジ形態となる。これにより、このシリンジに充填されている薬剤が、特殊な薬剤である可能性が高いことを医療従事者に認知させることが可能となる。さらに、展開可能部4aは、ラベル本体40より、離脱不能となっているため、積極的に切断しない限り、上記の展開可能部がはみ出した状態を維持する。
さらに、この実施例のプレフィルドシリンジ1では、
図5に示すように、目盛表示を視認しながらの薬剤投与時に、剥離後の展開可能部4aの表面に付された収納薬剤関連情報の印刷部41aの視認が容易であるため、誤投与を確実に防止することができる。
【0022】
次に、
図6および
図7に示す実施例のプレフィルドシリンジ10について説明する。
このプレフィルドシリンジ10においても、外筒2の外筒本体部21の外面には、表示ラベル6が貼付されている。この実施例のプレフィルドシリンジ10においても、
図1および
図2に示したものと同様に、表示ラベル6は、展開可能部6aをラベル本体60より、剥離しない状態では、外筒2の外筒本体部21は、筒状状態を維持する。また、表示ラベル6の表面は、展開可能部6aの表面61により構成された状態となっている。そして、展開可能部6aの表面61には、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部61aが設けられている。収納薬剤関連情報としては、例えば、薬剤名、濃度、充填量などが記載されている。
【0023】
そして、この表示ラベル6では、展開可能部6aは、第1の展開可能部6bと、第1の展開可能部6bより剥離することにより展開し、かつ第1の展開可能部6bより分離不能な第2の展開可能部6cを備える。そして、第1の展開可能部6bおよび第2の展開可能部6cの展開により、3つのラベル内面62,63,64とラベル本体60の面部分60aが露出面となる。そして、ラベル内面部62,63,64とラベル本体面部分60aのすべて、もしくは任意の面に、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部60b、62a、63a、64aを設けることができる。
具体的には、この実施例の表示ラベル6においても、ラベル本体60は、展開可能部6aの展開(剥離)により露出するラベル本体面部分60aを有している。そして、このラベル本体面部分60aは、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部60bを有している。さらに、この実施例の表示ラベル6では、このラベル本体面部分60aには、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部60cを備えている。このため、展開可能部6aを剥離し、展開した状態においても、充填されている収納薬剤関連情報を確認することができる。
【0024】
そして、展開可能部6aの角部に設けられている剥離開始部65部分より、展開可能部6aを引き起こすことにより、展開可能部6aの第1の展開可能部6bが剥離し、展開する。さらに、展開操作を続けることにより、第1の展開可能部6bおよびラベル本体60より第2の展開可能部6cが展開する。この展開により、3つのラベル内面部62,63,64とラベル本体面部分60aが現れる。
そして、この実施例の表示ラベル6では、第1の展開可能部6bを展開(剥離)することにより、第1の展開可能部6bの内面、言い換えれば、第1の展開可能部6bの表面61の裏面(ラベル内面部)62が露出する。また、第2の展開可能部6cを展開(剥離)することにより、第2の展開可能部の両面(内面部)63,64、ラベル本体面部分60aが露出する。
そして、この実施例の表示ラベル6では、露出するすべての面部分60a、62,63,64に、記載可能部60b、62a、63a、64aが設けられている。なお、記載可能部は、すべての露出する面部分に設けることが好ましいが、1つ内面部のみ、または、任意の2つ以上の内面部(面部分)に設けてもよい。
【0025】
また、
図6に示すように、この実施例では、ラベル本体面部分60aは、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部60bを有している。さらに、この実施例の表示ラベル6では、このラベル本体面部分60aには、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部60cを備えている。このため、展開可能部6aを剥離し、展開した状態においても、充填されている収納薬剤関連情報を確認することができる。
そして、この実施例のプレフィルドシリンジ10においても、
図6および
図7に示すように、展開可能部6aを剥離することにより、展開可能部6aが、外筒の側部よりかなり大きくはみ出した状態となり、特殊なシリンジ形態となる。これにより、このシリンジに充填されている薬剤が、特殊な薬剤である可能性が高いことを医療従事者に認知させることができる。さらに、展開可能部6aは、ラベル本体60より、離脱不能となっているため、積極的に切断しない限り、上記の展開可能部がはみ出した状態を維持する。
【0026】
さらに、この実施例のプレフィルドシリンジ10では、
図7に示すように、目盛表示を視認しながらの薬剤投与時に、視認可能となる剥離後の展開可能部6aの露出面62,64のいずれかには、収納薬剤関連情報の印刷部が設けられている。このようにすることにより、目盛表示を視認しながらの薬剤投与時に、薬事の確認が容易であり、誤投与を確実に防止することができる。
図7に示す実施例では、展開可能部6aのラベル内面部64に、記載可能部64a、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部64bを有している。また、展開可能部6aのラベル内面部62には、記載可能部62aが、ラベル内面部63には、記載可能部63aが設けられている。
【0027】
次に、
図8ないし
図10に示す実施例のプレフィルドシリンジ20について説明する。
このプレフィルドシリンジ20においても、外筒2の外筒本体部21の外面には、目盛表示部を被覆しないように、表示ラベル7が貼付されている。この実施例のプレフィルドシリンジ20においても、
図8および
図9に示すように、表示ラベル7は、展開可能部7aをラベル本体70より、剥離しない状態では、外筒2の外筒本体部21は、筒状状態を維持する。また、表示ラベル7の表面は、展開可能部7aの表面71とラベル本体70の露出面70aとにより構成されている。そして、ラベル本体70の露出面70aには、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部70dが設けられている。収納薬剤関連情報としては、例えば、薬剤名、濃度、充填量などが記載されている。
【0028】
そして、この表示ラベル7は、展開可能部7aを有する。展開可能部7aは、上述した表示ラベル4,6が備えるものに比べて、外筒の周方向の長さが短く、面積の小さいものとなっている。そして、展開可能部7aは、その角部に設けられている剥離開始部75部分より、展開可能部7aを引き起こすことにより、ラベル本体70より剥離し、
図10に示す状態となる。
そして、この実施例の表示ラベル7では、展開可能部7aを展開(剥離)することにより、展開可能部7aの内面、言い換えれば、展開可能部7aの表面71の裏面が露出する。これにより、ラベル内面部72が現れる。そして、このラベル内面部72には、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部72aが設けられている。また、この実施例では、ラベル本体70は、展開可能部7aの展開(剥離)により露出するラベル本体面部分70bを有している。そして、このラベル本体面部分70bにも、筆記用具による任意の記載が可能な記載可能部70cが設けられている。そして、この実施例の表示ラベル7では、展開可能部7aの展開の前後を問わず露出するラベル本体70の印刷部70dに記載された収納薬剤関連情報を確認することができる。
【0029】
そして、この実施例のプレフィルドシリンジ20においても、
図10に示すように、展開可能部7aを剥離することにより、展開可能部7aが、外筒の側部よりはみ出した状態となり、特殊なシリンジ形態となる。これにより、このシリンジに充填されている薬剤が、特殊な薬剤である可能性が高いことを医療従事者に認知させることが可能となる。さらに、展開可能部7aは、ラベル本体70より、離脱不能となっているため、積極的に切断しない限り、上記の展開可能部がはみ出した状態を維持する。
さらに、この実施例のプレフィルドシリンジ20では、
図8に示すように、目盛表示を視認しながらの薬剤投与時に、ラベル本体70の表面に付された収納薬剤関連情報の印刷部70dの視認が容易であるため、誤投与を確実に防止することができる。
【0030】
次に、
図11および
図12に示す実施例のプレフィルドシリンジ30について説明する。
このプレフィルドシリンジ30においても、外筒2の外筒本体部21の外面には、目盛表示部を被覆しないように、表示ラベル8が貼付されている。この実施例のプレフィルドシリンジ30においても、
図11に示すように、表示ラベル8は、展開可能部8aをラベル本体80より、剥離しない状態では、外筒2の外筒本体部21は、筒状状態を維持する。また、表示ラベル8の表面は、展開可能部8aの表面81とラベル本体80の面部分80aとにより構成されている。そして、ラベル本体80の面部分80aには、収納薬剤関連情報が印刷された印刷部80dが設けられている。収納薬剤関連情報としては、例えば、薬剤名、濃度、充填量などが記載されている。
【0031】
そして、この表示ラベル8は、展開可能部8aを有する。展開可能部8aは、上述した表示ラベル7と同様に、外筒の周方向の長さが短く、面積の小さいものとなっている。また、展開可能部8aの表面81には、記載可能部81aが設けられている。よって、
図11に示すように、この実施例のプレフィルドシリンジ30では、展開可能部8aを展開(剥離)しない状態において、展開可能部8aの表面に設けられた記載可能部81aに任意の事項を記載することができる。
そして、展開可能部8aは、その角部に設けられている剥離開始部85部分より、展開可能部8aを引き起こすことにより、ラベル本体80より剥離する。
【0032】
そして、この実施例の表示ラベル8では、展開可能部8aは、第1の展開可能部8bと、第1の展開可能部8bより剥離することにより展開し、かつ第1の展開可能部8bより分離不能な第2の展開可能部8cを備える。そして、第1の展開可能部8bおよび第2の展開可能部8cの展開により、3つのラベル内面部とラベル本体80の面部分80bが露出する。そして、ラベル内面部82は、記載可能部82aを備え、ラベル本体面部分80bは、記載可能部80cを備えている。さらに、図示しないラベル内面部、具体的には、表面81の裏面、ラベル内面部82の裏面にも、記載可能部を設けてもよい。
そして、この実施例の表示ラベル8においても、展開可能部8aの展開の前後を問わず露出するラベル本体80の印刷部80dに記載された収納薬剤関連情報を確認することができる。
【0033】
そして、この実施例のプレフィルドシリンジ30においても、
図12に示すように、展開可能部8aを剥離することにより、展開可能部8b,8cが、外筒の側部より大きくはみ出した状態となり、特殊なシリンジ形態となる。これにより、このシリンジに充填されている薬剤が、特殊な薬剤である可能性が高いことを医療従事者に認知させることが可能となる。さらに、展開可能部8aは、ラベル本体80より、離脱不能となっているため、積極的に切断しない限り、上記の展開可能部がはみ出した状態を維持する。
そして、この実施例のプレフィルドシリンジ30においても、
図8に示したものと同様に、目盛表示を視認しながらの薬剤投与時に、ラベル本体80の表面に付された収納薬剤関連情報の印刷部80dの視認が容易であるため、誤投与を確実に防止することができる。
なお、上述した実施例では、表示ラベルとして、2段階まで展開可能なタイプのものを示したが、それ以上に展開するものであってもよい。また、ラベルのカラーは、展開ラベル毎、展開ラベル面ごとに変更してもよい。
薬剤として、薬事法において劇薬または毒薬に指定されている薬剤を用いる場合、このプレフィルドシリンジは、特に有効である。充填される薬剤としては、例えば、ニトログリセリン注射液、硝酸イソソルビド注射液、ドパミン塩酸塩(塩酸ドパミン)注射液、ドブタミン塩酸塩注射液、塩酸モルヒネ注射液、などが挙げられる。また、本発明のプレフィルドシリンジは、特にシリンジポンプを用いて投与するタイプのプレフィルドシリンジに応用してもよい。
【0034】
上述したすべての実施例のプレフィルドシリンジでは、目盛表示部25が、外筒2の外筒本体部21の外面に直接設けられている。しかし、このようなものに限定されるものではない。例えば、
図16に示す実施例のプレフィルドシリンジ50のように、表示ラベル14が、目盛表示部25を有する透明部14aを備えるものであってもよい。この実施例のシリンジ50では、目盛表示部25は、ラベルに印刷されたものとなっている。そして、表示ラベル14は、上述した目盛表示部25を有する透明部14aを備え、展開可能部4aは、少なくとも展開前において、目盛表示部25を被覆しないものとなっている。