(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用灯具の導光体として、上記「特許文献2」に記載された構成を採用すれば、光源からの出射光に対する光利用効率を高めることができる。
【0006】
しかしながら、上記「特許文献2」に記載された導光体は、その第1入射部が、光源からの光を灯具正面方向へ向かう平行光として入射させるように構成されており、また、その反射部が、第2入射部から入射した光源からの光を灯具正面方向へ向かう平行光として内面反射させるように構成されているので、導光体の前面に対して第1入射部からの入射光が到達する領域と反射部からの内面反射光が到達する領域とが分離してしまうこととなる。このため、導光体の前面をその前方から観察したとき、第1入射部と反射部との間に暗部が発生してしまい、これにより導光体に発光ムラが発生してしまうので、灯具の見映えがあまり良くない、という問題がある。
【0007】
これに対し、光源の位置を多少ずらしたり、あるいは第1入射部や反射部の表面形状を多少変形させるようにすれば、上記暗部の発生を緩和することが可能となる。しかしながら、このような構成を採用したとしても、導光体に発光ムラが発生してしまうのを効果的に抑制することはできない、という問題がある。
【0008】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、導光体を備えた車両用灯具において、光源からの出射光に対する光利用効率を高めた上で、発光ムラの発生を効果的に抑制することができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、導光体の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0010】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
光源と、この光源からの出射光を後面から入射させて前面から出射させる導光体と、を備えてなる車両用灯具において、
上記導光体の後面が、前後方向に延びる第1の平面内において、上記光源からの光を前方側へ屈折させるようにして入射させる第1入射部と、この第1入射部の両側において上記光源からの光を側方側へ屈折させるようにして入射させる第2入射部と、この第2入射部から入射した上記光源からの光を前方へ向けて内面反射させる反射部とを備えて
おり、
上記導光体が、上記第1の平面に沿って延びる導光板として構成されており、
上記第1入射部が、上記第1の平面内において、上記光源からの光を拡散光として入射させるように構成されており、
上記反射部が、上記第1の平面内において、上記第2入射部から入射した上記光源からの光を拡散光として反射させるように構成されて
おり、
上記第1入射部の鉛直断面形状が凸曲線状に設定されている、ことを特徴とするものである。
【0011】
上記「光源」の種類は特に限定されるものではなく、例えば発光ダイオード等が採用可能である。
【0012】
上記「導光体」は、回転体として構成されていてもよいし、第1の平面に沿って延びる導光板として構成されていてもよい。
【0013】
上記「第1の平面」は、前後方向に延びる平面であれば、その向きは特に限定されるものではない。
【0014】
上記「第1入射部」は、少なくとも第1の平面内において、光源からの光を拡散光として入射させるように構成されていれば、第1の平面と交差する平面内においては、拡散光として入射させるように構成されていてもよいし構成されていなくてもよい。
【0015】
上記「反射部」は、少なくとも第1の平面内において、第2入射部から入射した光源からの光を拡散光として反射させるように構成されていれば、第1の平面と交差する平面内においては、拡散光として反射させるように構成されていてもよいし構成されていなくてもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用灯具は、導光体の後面が、前後方向に延びる第1の平面内において、光源からの光を前方側へ屈折させるようにして入射させる第1入射部と、この第1入射部の両側において光源からの光を側方側へ屈折させるようにして入射させる第2入射部と、この第2入射部から入射した光源からの光を前方へ向けて内面反射させる反射部とを備えているので、光源からの出射光に対する光利用効率を高めることができる。
【0017】
その際、上記第1入射部は、第1の平面内において光源からの光を拡散光として入射させるように構成されており、また、上記反射部は、第1の平面内において第2入射部から入射した光源からの光を拡散光として反射させるように構成されているので、導光体の前面に対して第1入射部からの入射光が到達する領域と反射部からの内面反射光が到達する領域とを広範囲にわたって重複させることができる。このため、導光体の前面をその前方から観察したとき、第1入射部と反射部との間に暗部が発生してしまうのを確実に防止することができ、これにより導光体に発光ムラが発生してしまうのを効果的に抑制することができる。
【0018】
このように本願発明によれば、導光体を備えた車両用灯具において、光源からの出射光に対する光利用効率を高めた上で、発光ムラの発生を効果的に抑制することができる。そしてこれにより灯具の見映えを向上させることができる。
【0019】
上記構成において、導光体を第1の平面に沿って延びる導光板として構成すれば、この導光体の前面をその前方から観察したとき、帯状に発光して見えるようにすることができる。
【0020】
その際、この導光体と光源との間に、光源を囲むようにしてレンズが配置された構成とすれば、導光体が導光板として構成されている場合であっても、光源からの出射光を導光体に対して効率良く入射させることが可能となる。
【0021】
また、この導光板として構成された導光体の後面に、第1入射部、第2入射部および反射部が第1の平面に沿って複数組形成された構成とすれば、この導光体の前面をその前方から観察したとき、細長く帯状に発光して見えるようにすることができる。
【0022】
上記構成において、導光体の前面を光拡散面として構成すれば、導光体がより均一に発光して見えるようにすることができる。
【0023】
上記構成において、第1入射部の構成として、第1の平面と直交する第2の平面内において光源からの光を拡散光として入射させる構成とし、反射部の構成として、第2の平面内において第2入射部から入射した光源からの光を拡散光として反射させる構成とすれば、導光体の前面を第2の平面内において光拡散させるように形成しなくても、あるいはその光拡散の程度を小さくした場合においても、導光体の前面からの出射光を第2の平面に沿った方向に拡散させることができる。そしてこれにより灯具非点灯時における導光体の見映えを向上させることができる。その際、このような構成を第1入射部および反射部のうちいずれか一方にのみ適用することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す平断面図である。また、
図2は、
図1のII−II線断面図である。
【0027】
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両の右後端部に設けられるテールランプであって、ランプボディ12とこのランプボディ12の前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、3つの光源22と導光体20とが組み込まれた構成となっている。
【0028】
なお、車両用灯具10としては、
図1において、Xで示す方向が「前方」(車両としては「後方」)であり、Yで示す方向が「前方」と直交する「右方向」である。
【0029】
透光カバー14は、その左端部から右端部へ向けて後方側に回り込むように形成されている。
【0030】
3つの光源22は、いずれも赤色の発光ダイオードであって、その発光面を前方へ向けた状態で、導光体20の後方近傍に配置されている。その際、これら3つの光源22は、同一水平面上において左右方向に等間隔をおいて配置されており、かつ、右側に位置するものほど後方に変位して配置されている。これら各光源22は光源支持部材24に支持されており、これら各光源支持部材24はランプボディ12に支持されている。
【0031】
図3は、導光体20を単品で斜め上後方から見て示す斜視図である。
【0032】
同図にも示すように、導光体20は、アクリル樹脂等からなる透明な合成樹脂成形品であって、水平面に沿って延びる導光板として構成されている。そして、この導光体20は、各光源22からの出射光を、その後面20bから入射させて、その前面20aから出射させるように構成されている。この導光体20の左右両端部にはフランジ部20cが形成されており、これら左右1対のフランジ部20cにおいてランプボディ12に支持されている。
【0033】
この導光体20の前面20aは、透光カバー14に沿って左端部から右端部へ向けて後方側に回り込むように形成されている。その際、この前面20aは、後面20bから入射して該前面20aに到達した各光源22からの出射光を上下および左右方向に拡散させる光拡散面として構成されている。具体的には、この前面20aには、複数の魚眼レンズ状の拡散レンズ素子20sが上下2段で形成されている。
【0034】
一方、導光体20の後面20bは、各光源22からの出射光を制御するための光制御部20Aが左右方向の3箇所に隣接して形成された構成となっている。その際、これら3つの光制御部20Aは、右側に位置するものほど後方に変位して配置されている。
【0035】
これら3つの光制御部20Aは、いずれも同様の構成を有している。そこで、以下においては中央に位置する光制御部20Aについて説明する。
【0036】
図4(a)は、中央に位置する光制御部20Aを含むようにして導光体20の一部を取り出して示す、
図1と同様の図である。
【0037】
同図(a)にも示すように、光制御部20Aは、水平面内において、光源22からの光を前方側へ屈折させるようにして入射させる第1入射部20A1と、この第1入射部20A1の両側において光源22からの光を側方側へ屈折させるようにして入射させる左右1対の第2入射部20A2と、これら各第2入射部20A2から入射した光源22からの光を前方へ向けて全反射により内面反射させる左右1対の反射部20A3とを備えている。
【0038】
その際、第1入射部20A1は、光源22の発光中心を通るようにして前後方向に延びる軸線Axを左右に跨ぐ領域に形成されている。
【0039】
この第1入射部20A1は、光源22からの光を、上下方向には拡散せずに左右方向には拡散する光として入射させるように構成されている。具体的には、この第1入射部20A1は、光源22からの光を軸線Axと平行な光として入射させる曲面(すなわち後方へ向けて凸となる曲面)に対して複数の拡散レンズ素子20A1sが縦縞状に形成された構成となっている。
【0040】
左右1対の第2入射部20A2は、第1入射部20A1の左右両端縁から後方へ向けて左右にやや拡がるようにして延びる鉛直面で構成されている。
【0041】
左右1対の反射部20A3は、各第2入射部20A2の後端縁から前方へ向けて左右に拡がるように形成されている。その際、これら各反射部20A3は、第2入射部20A2からの入射光を軸線Axと平行な光として反射させる曲面(すなわち後方へ向けて凸となる曲面)に対して複数の拡散レンズ素子20A3sが縦縞状に形成された構成となっており、これにより第2入射部20A2からの入射光を上下方向には拡散せずに左右方向には拡散する光として反射させるようになっている。
【0042】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0043】
本実施形態に係る車両用灯具10は、導光体20の後面20bが、水平面(すなわち前後方向に延びる第1の平面)内において、光源22からの光を前方側へ屈折させるようにして入射させる第1入射部20A1と、この第1入射部20A1の両側において光源22からの光を側方側へ屈折させるようにして入射させる第2入射部20A2と、この第2入射部20A2から入射した光源22からの光を前方へ向けて内面反射させる反射部20A3とを備えているので、光源22からの出射光に対する光利用効率を高めることができる。
【0044】
その際、第1入射部20A1は、水平面内において光源22からの光を拡散光として入射させるように構成されており、また、反射部20A3は、水平面内において第2入射部20A2から入射した光源22からの光を拡散光として反射させるように構成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0045】
すなわち、
図4(b)に示すように、第1入射部20A1が、仮に、光源22からの光を軸線Axと平行な光として入射させる曲面C1で構成されており、また、反射部20A3が、仮に、第2入射部20A2から入射した光源22からの光を軸線Axと平行な光として反射させる曲面C3で構成されていたとすると、導光体20の前面20aに対して第1入射部20A1からの入射光が到達する領域と反射部20A3からの内面反射光が到達する領域とが、第2入射部20A2の左右幅の分だけ離れてしまうこととなる。そして、この部分(すなわち図中網線で示す部分)が、導光体20の前面20aをその前方から観察したときに暗部Dとして見えてしまうこととなる。
【0046】
これに対し、本実施形態においては、
図4(a)に示すように、第1入射部20A1が、水平面内において光源22からの光を拡散光として入射させるように構成されており、また、反射部20A3が、水平面内において第2入射部20A2から入射した光源22からの光を拡散光として反射させるように構成されているので、導光体20の前面20aに対して第1入射部20A1からの入射光が到達する領域と反射部20A3からの内面反射光が到達する領域とを広範囲にわたって重複させることができる。このため、導光体20の前面20aをその前方から観察したとき、第1入射部20A1と反射部20A3との間に暗部Dが発生してしまうのを確実に防止することができ、これにより発光ムラの発生を効果的に抑制することができる。
【0047】
このように本実施形態によれば、導光体20を備えた車両用灯具10において、光源22からの出射光に対する光利用効率を高めた上で、発光ムラの発生を効果的に抑制することができる。そしてこれにより灯具の見映えを向上させることができる。
【0048】
しかも本実施形態においては、導光体20が水平面に沿って延びる導光板として構成されているので、この導光体20の前面20aをその前方から観察したとき、横長の帯状に発光して見えるようにすることができる。
【0049】
特に本実施形態においては、導光体20の後面20bに、第1入射部20A1、第2入射部20A2および反射部20A3が水平面に沿って3組形成されているので、この導光体20の前面20aをその前方から観察したとき、水平方向に細長く帯状に発光して見えるようにすることができる。
【0050】
また本実施形態においては、導光体20の前面20aが光拡散面として構成されているので、導光体20がより均一に発光して見えるようにすることができる。
【0051】
上記実施形態においては、車両用灯具10が、車両の右後端部に設けられるテールランプである場合について説明したが、車両に設けられる箇所や機能にかかわらず、上記実施形態と同様の構成を採用することにより上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。例えば、車両用灯具10として、テールランプ以外にも、例えばストップランプ、デイタイムランニングランプ、クリアランスランプ等が採用可能である。その際、これら各灯具の機能に合わせて、赤色の発光ダイオードの他にも、白色やアンバ色の発光ダイオードを使用することが可能である。
【0052】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0053】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0054】
図5は、本変形例に係る車両用灯具110の要部を示す平断面図である。また、
図6は、
図5のVI−VI線断面図である。
【0055】
これらの図に示すように、本変形例に係る車両用灯具110も、その基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、導光体120と光源22との間に、光源22を囲むようにしてレンズ130が配置された構成となっている点で、上記実施形態の場合と異なっている。
【0056】
レンズ130は、光源22の発光中心を中心にして水平面に沿って円弧状に延びるトロイダルレンズで構成されている。その際、このレンズ130は、その前面130aの鉛直断面形状が凸曲線で構成されており、その後面130bの鉛直断面形状が直線で構成されている。そして、このレンズ130は、光源22からの出射光を、鉛直面内においては上下方向に拡散しない平行光として出射させる一方、水平面内においては偏向させることなくそのまま放射状に出射させるように構成されている。
【0057】
このレンズ130は、その円弧状に延びる方向の両端面130cが軸線Axから左右両側に90°ずつ回転した位置に位置しており、これら左右1対の両端面130cにおいて左右1対のレンズ支持部材132を介して光源支持部材24に支持されている。
【0058】
導光体120は、その基本的な構成は上記実施形態の導光体20と同様であるが、その後面130bの鉛直断面形状が凸曲線ではなく直線で構成されている点で、上記実施形態の場合と異なっている。
【0059】
ただし、この導光体120においても、その後面120bに、上記実施形態の導光体20と同様、第1入射部120A1、第2入射部120A2および反射部120A3からなる光制御部120Aが形成されている。そして、第1入射部20A1には複数の拡散レンズ素子120A1sが縦縞状に形成されており、これによりレンズ130からの出射光を上下方向には拡散せずに左右方向には拡散する光として入射させるようになっている。また、各反射部120A3には複数の拡散レンズ素子120A3sが縦縞状に形成されており、これにより第2入射部120A2から入射したレンズ130からの出射光を上下方向には拡散せずに左右方向には拡散する光として反射させるようになっている。
【0060】
なお、この導光体120の前面120aは、上記実施形態の導光体20と同様、複数の拡散レンズ素子120sが形成されることにより光拡散面として構成されている。
【0061】
レンズ130は、第1入射部120A1とその両側の第2入射部120A2とで囲まれた空間に配置されている。
【0062】
本変形例の構成を採用することにより、導光体20が導光板として構成されているにもかかわらず、光源22からの出射光を導光体20に対して効率良く入射させることができる。すなわち、光源22からの出射光をより多く導光体20に入射させることができ、また、レンズ130の後面130bおよび前面130aでの光偏向量を、上記実施形態の導光体20の後面20bでの光偏向量よりも小さくして、表面反射による損失を小さくすることができる。
【0063】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0064】
図7は、本変形例に係る車両用灯具210の要部を示す平断面図である。また、
図8(a)は、
図7のVIII(a)−VIII(a)線断面図であり、
図8(b)は、
図7のVIII(b)−VIII(b)線断面図である。
【0065】
これらの図に示すように、本変形例に係る車両用灯具210も、その基本的な構成は上記第1変形例の場合と同様であるが、導光体220の後面220bおよび前面220aの表面形状が上記第1変形例の導光体120の場合と異なっている。
【0066】
すなわち、本変形例の導光体220も、その後面220bに、第1入射部220A1、第2入射部220A2および反射部220A3からなる光制御部220Aが形成されている。ただし、その第1入射部220A1および各反射部220A3は、いずれも単一の曲面で構成されている。
【0067】
その際、第1入射部220A1は、
図7に示すように、その水平断面形状が凸曲線状に形成されており、その曲率はレンズ130からの出射光を左右方向に多少拡散する光として入射させる大きさに設定されている。一方、各反射部220A3も、
図7に示すように、その水平断面形状が凸曲線状に形成されており、その曲率は第2入射部220A2から入射したレンズ130からの出射光を左右方向に多少拡散する光として反射させる大きさに設定されている。
【0068】
そしてこれにより、導光体220の前面220aに対して第1入射部220A1からの入射光が到達する領域と反射部220A3からの内面反射光が到達する領域とを重複させるようになっている。
【0069】
また、第1入射部220A1は、
図8(a)に示すように、その鉛直断面形状が凹曲線状に形成されており、レンズ130からの出射光を上下方向に拡散する光として入射させるようになっている。一方、各反射部220A3も、
図8(b)に示すように、その鉛直断面形状が凹曲線状に形成されており、第2入射部220A2から入射したレンズ130からの出射光を上下方向に拡散する光として反射させるようになっている。
【0070】
そしてこれにより、第1入射部220A1からの入射光および各反射部220A3での反射光を、その一部については導光体220の上面220dまたは下面220eで全反射により内面反射させた後、上下方向に拡散する光として前面220aに到達させるようになっている。
【0071】
図7に示すように、本変形例の導光体220も、その前面220aが、その後面220bから入射して該前面220aに到達した各光源22からの出射光を左右方向に拡散させる光拡散面として構成されている。具体的には、この前面220aには、複数のシリンドリカルレンズ状の拡散レンズ素子220sが縦縞状に形成されている。
【0072】
これにより、前面220aに到達した第1入射部220A1および各反射部120A3からの拡散光を、複数の拡散レンズ素子220sにより、さらに大きく左右方向に拡散する光として出射させるようになっている。
【0073】
本変形例の構成を採用した場合においても、導光体220の前面220aに対して第1入射部220A1からの入射光が到達する領域と各反射部220A3からの内面反射光が到達する領域とが重複していることにより、導光体220の前面220aをその前方から観察したとき、第1入射部220A1と各反射部220A3との間に暗部が発生してしまうのを確実に防止することができ、これにより発光ムラの発生を効果的に抑制することができる。
【0074】
また本変形例においては、第1入射部220A1がレンズ130からの出射光を上下方向に拡散させる光として入射させるように構成されるとともに、各反射部220A3が第2入射部220A2から入射したレンズ130からの出射光を上下方向に拡散させる光として反射させるように構成されているので、導光体220の前面220aに形成された複数の拡散レンズ素子220sが上下方向の光拡散機能を有していないにもかかわらず、その前面220aからの出射光を上下方向に拡散する光とすることができる。
【0075】
そして本変形例のように、前面220aを複数のシリンドリカルレンズ状の拡散レンズ素子220sが縦縞状に形成された構成とすることにより、灯具非点灯時における導光体220の見映えを向上させることができる。
【0076】
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
【0077】
図9(a)および(b)は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、
図8(a)および(b)と同様の図である。
【0078】
これらの図に示すように、本変形例に係る車両用灯具は、その基本的な構成は上記第2変形例の場合と同様であるが、導光体320の後面320bにおける第1入射部320A1および各反射部320A3の鉛直断面形状が上記第2変形例の導光体220の場合と異なっている。
【0079】
すなわち、本変形例においては、第1入射部320A1は鉛直断面形状が4つの凹曲線で形成された4つのレンズ要素を有しており、また、各反射部320A3は鉛直断面形状が4つの凹曲線で形成された4つの反射要素を有している。
【0080】
そして、これら4つのレンズ要素および反射要素は、第1入射部320A1からの入射光および各反射部320A3での反射光を、その一部については導光体320の上面320dまたは下面320eで全反射により内面反射させた後、上下方向に拡散する光として前面320aに到達させるようになっている。
【0081】
本変形例の構成を採用した場合においても、導光体320の前面320aに形成された複数の拡散レンズ素子320sが上下方向の光拡散機能を有していないにもかかわらず、その前面320aからの出射光を上下方向に拡散する光とすることができる。そしてこれにより上記第2変形例の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0082】
次に、上記実施形態の第4変形例について説明する。
【0083】
図10(a)および(b)は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、
図8(a)および(b)と同様の図である。
【0084】
これらの図に示すように、本変形例に係る車両用灯具は、その基本的な構成は上記第2変形例の場合と同様であるが、導光体420の後面420bにおける第1入射部420A1および各反射部420A3の鉛直断面形状が上記第2変形例の導光体220の場合と異なっている。
【0085】
すなわち、本変形例においては、第1入射部420A1は鉛直断面形状が4つの凸曲線で形成された4つのレンズ要素を有しており、また、各反射部420A3は鉛直断面形状が4つの凸曲線で形成された4つの反射要素を有している。
【0086】
そして、これら4つのレンズ要素および反射要素は、第1入射部420A1からの入射光および各反射部420A3での反射光を、各レンズ要素および各反射要素の焦点位置またはその近傍を通過させた後、その一部については導光体420の上面420dまたは下面420eで全反射により内面反射させて、上下方向に拡散する光として前面420aに到達させるようになっている。
【0087】
本変形例の構成を採用した場合においても、導光体420の前面420aに上下方向の光拡散機能を有していない複数の拡散レンズ素子420sが形成されているにもかかわらず、前面420aからの出射光を上下拡散光とすることができる。そしてこれにより上記第2変形例の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0088】
次に、上記実施形態の第5変形例について説明する。
【0089】
図11は、本変形例に係る車両用灯具510の要部を示す、
図6と同様の図である。
【0090】
同図に示すように、本変形例に係る車両用灯具510は、その基本的な構成は上記第1変形例の場合と同様であるが、導光体520の鉛直断面形状が上記第1変形例の導光体220の場合と異なっている。
【0091】
すなわち、本変形例の導光体520は、その上面520dおよび下面520eが前方へ向けて徐々に上下幅が狭まるようにテーパ状に形成されている。
【0092】
また、本変形例の導光体520は、その後面520bにおける第1入射部520A1の鉛直断面形状が凸曲線状に形成されており、レンズ130からの出射光を上下方向に僅かに収束する光として入射させるようになっている。その際、この第1入射部520A1からの入射光の収束度合が導光体520の上下幅の狭まり度合と略一致するように、その凸曲線の曲率の大きさが設定されている。
【0093】
本変形例の導光体520も、その前面520aが、その後面520bから入射して該前面520aに到達したレンズ130からの出射光を左右方向に拡散させる光拡散面として構成されている。具体的には、この前面520aには、複数の拡散レンズ素子520sが縦縞状に形成されている。その際、この前面520aの鉛直断面形状は凸曲線状に形成されており、これにより該前面520aに到達した光を上下方向に拡散させるようになっている。
【0094】
なお、本変形例の導光体520においては、その各反射部(図示せず)の位置における鉛直断面形状も、第1入射部520A1の位置における鉛直断面形状と同様の鉛直断面形状を有している。
【0095】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記第1変形例の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0096】
また本変形例のように、導光体520がテーパ状に形成された導光板として構成されたものとすることにより、その前面520aがより明るく発光して見えるようにすることができる。
【0097】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0098】
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。