(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記温度把握手段は、前記空気流路において間隔を有して設けられ前記空気流路内の空気の温度を検出する複数の温度センサからの信号、前記太陽熱集熱部における日射量を計測する日射計と外気の温度を検出する外気温センサとからの信号、前記日射計と前記複数の温度センサとからの信号、前記日射計と前記空気流路に設けられ前記空気流路内の空気の温度を検出する単一の温度センサとからの信号のいずれか1つに基づいて、前記空気流路内の空気の温度を把握する
ことを特徴とする請求項1に記載のソーラーシステム。
前記温度把握手段は、前記太陽熱集熱部における日射量を計測する日射計と外気の温度を検出する外気温センサとからの信号、前記日射計と前記複数の温度センサとからの信号、前記日射計と前記空気流路に設けられ前記空気流路内の空気の温度を検出する単一の温度センサとからの信号のいずれか1つに基づいて、前記ファンを制御する場合において、太陽光に応じて発電を行う太陽電池を備えるときには、前記日射計からの信号に代えて前記太陽電池の電圧信号に基づいて、前記空気流路内の空気の温度を把握する
ことを特徴とする請求項2に記載のソーラーシステム。
前記制御手段は、前記ファンを停止している状態において前記温度把握手段により把握された空気の温度が前記一定温度以上となった場合、前記一定時間の経過を待って前記ファンを動作させて前記空気流路の容積分の空気を室内に送風させ、前記容積分の空気の送風完了後に前記ファンを停止させる動作を繰り返す
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のソーラーシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1,2に記載のソーラーシステムは、室内を暖房する場合において加熱された空気と共に室内に花粉を取り込んでしまうため、花粉を室内に取り込まないようにすべくファンの上流側又は下流側にフィルターを設けることが考えられる。しかし、この場合、フィルターの目詰まりなどからメンテナンスが必要となってしまう。
【0006】
そこで、特許文献3に記載のソーラーシステムのように、熱交換器を設け、太陽熱集熱部により加熱された空気と室内の空気とを熱交換する方式が考えられるが、この場合、熱交換による熱ロスが発生して暖房効果の低下を招いてしまう。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、花粉によるメンテナンスを不要とすると共に、暖房効果の低下を抑制し、且つ、花粉によるアレルギー反応からの保護を図ることが可能なソーラーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のソーラーシステムは、外気を取り込む空気流路と、太陽熱を利用して前記空気流路に流れる空気を加熱する太陽熱集熱部と、前記太陽熱集熱部により加熱された空気を室内に送風するファンと、前記空気流路内の空気の温度を把握する温度把握手段と、前記温度把握手段により把握された空気の温度に基づいて、前記空気流路を流れる空気を
50℃を超える一定温度以上且つ一定時間以上加熱する
ことで外気に含まれる花粉を所定量以上不活化させるように前記ファンを制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のソーラーシステムによれば、空気流路を流れる空気を一定温度以上且つ一定時間以上加熱するようにファンを制御するため、花粉のタンパク質を変性させて不活性化することができる。これにより、花粉によるアレルギー反応からの保護を図ることができる。特に、一定温度以上且つ一定時間以上の加熱により花粉を不活性化することから、フィルターが不要となると共に、花粉が室内に入り込まないように熱交換器を設ける必要もない。従って、花粉によるメンテナンスを不要とすると共に、暖房効果の低下を抑制し、且つ、花粉によるアレルギー反応からの保護を図ることができる。
【0010】
また、このソーラーシステムにおいて、前記温度把握手段は、前記空気流路において間隔を有して設けられ前記空気流路内の空気の温度を検出する複数の温度センサからの信号、前記太陽熱集熱部における日射量を計測する日射計と外気の温度を検出する外気温センサとからの信号、前記日射計と前記複数の温度センサとからの信号、前記日射計と前記空気流路に設けられ前記空気流路内の空気の温度を検出する単一の温度センサとからの信号のいずれか1つに基づいて、前記空気流路内の空気の温度を把握することが好ましい。
【0011】
さらに、このソーラーシステムにおいて、前記温度把握手段は、前記太陽熱集熱部における日射量を計測する日射計と外気の温度を検出する外気温センサとからの信号、前記日射計と前記複数の温度センサとからの信号、前記日射計と前記空気流路に設けられ前記空気流路内の空気の温度を検出する単一の温度センサとからの信号のいずれか1つに基づいて、前記ファンを制御する場合において、太陽光に応じて発電を行う太陽電池を備えるときには、前記日射計からの信号に代えて前記太陽電池の電圧信号に基づいて、前記空気流路内の空気の温度を把握することが好ましい。
【0012】
このソーラーシステムによれば、このように太陽電池を備える場合には、太陽電池の電圧が日射量を反映したものとなるため、太陽電池の電圧に基づいてファンを制御することで、センサ数を減らすことができる。
【0013】
また、このソーラーシステムにおいて、室内の空気を取り込んで前記空気流路に供給することにより室内の空気を前記太陽熱集熱部により加熱する循環流路をさらに備えることが好ましい。
【0014】
このソーラーシステムによれば、室内の空気を取り込んで空気流路に供給することにより室内の空気を太陽熱集熱部により加熱する循環流路をさらに備えるため、室内の空気についても一定温度以上且つ一定時間以上加熱されることとなり、衣服等を介して室内に持ち込まれた花粉について不活性化することができ、一層花粉によるアレルギー反応からの保護を図ることができる。
【0015】
また、このソーラーシステムにおいて、前記太陽熱集熱部により加熱された空気の温度を前記ファンの上流側において低下させる温度低下手段をさらに備えることが好ましい。
【0016】
このソーラーシステムによれば、太陽熱集熱部により加熱された空気の温度をファンの上流側において低下させる温度低下手段をさらに備えるため、太陽熱集熱部により加熱された空気がほぼそのままの温度で室内に排気されることなく、室内に排気するにあたり適切な温度をすることができる。さらに、ファンの上流側で温度を低下させるため、ファンが高温の空気が曝されることによるモータ故障を防止することができる。
【0017】
また、このソーラーシステムにおいて、前記制御手段は、前記ファンを停止している状態において前記温度把握手段により把握された空気の温度が前記一定温度以上となった場合、前記一定時間の経過を待って前記ファンを動作させて前記空気流路の容積分の空気を室内に送風させ、前記容積分の空気の送風完了後に前記ファンを停止させる動作を繰り返すことが好ましい。
【0018】
このソーラーシステムによれば、空気流路内の空気の温度が一定温度以上となった場合、一定時間の経過を待ってファンを動作させて空気流路の容積分の空気を室内に送風させ、容積分の空気の送風完了後にファンを停止させる動作を繰り返す。このため、ファンについてはオンオフ運転を行うのみで、花粉を不活性化することができ、回転数等の微調整を行う必要が無く、簡易な制御にて花粉の不活性化を行うことができる。また、空気流路内で空気を停止させることとなるため、空気流路内の空気について場所による温度の隔たりが発生し難くなり、空気流路内の温度を検出する温度センサ等について複数設置する必要が無くなる。従って、花粉を不活性化するソーラーシステムについて製造の簡易化を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のソーラーシステムによれば、花粉によるメンテナンスを不要とすると共に、暖房効果の低下を抑制し、且つ、花粉によるアレルギー反応からの保護を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下、実施形態に基づいて本発明を説明するが、本発明は該実施の形態に限られるものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るソーラーシステムを示す概略図である。
図1に示すソーラーシステム1は、太陽熱を利用して加熱した空気を暖房に使用するものであって、空気流路10と、太陽熱集熱部20と、ダクト30と、ファン40と、ダクト50とを備えている。
【0023】
空気流路10は、外気を取り込む流路であって、
図1に示すように屋根板の直下又は屋根上に屋根の傾斜に沿って設けられている。この空気流路10は、下側に断熱材11が設けられると共に、一端に外気を取り込むための空気取入口12が形成されている。空気流路10の他端には空気を排出するための空気流出口13が形成されている。また、空気流出口13は空気取入口12よりも屋根の傾斜に沿った上方となる位置に設けられている。
【0024】
太陽熱集熱部20は、空気流路10の上側に設けられるものであり、ガラス板21及びカラー鉄板等の金属又は瓦やその他の部材によって構成され、太陽光の受光時に発生する熱(太陽熱)によって空気流路10内の空気を加熱するものである。
【0025】
ダクト30は、断熱材で形成した流路であって、空気流路10の空気流出口13から排出された空気をファン40まで導く役割を有している。なお、このダクト30は屋根の棟部分に沿って設けられているが、特にこれに限られるものではない。
【0026】
ファン40は、太陽熱集熱部20により加熱された空気を室内に送風するものであって、ダクト30から空気を取り込み、ダクト50に向けて送風する。ダクト50は、一端がファン40に接続されると共に他端側の開口が室内まで伸びており、ファン40から送風される空気を室内まで導く役割を有するものである。
【0027】
このような構成であるため、ソーラーシステム1は、空気流路10の空気取入口11から取り込んだ空気を太陽熱集熱部20によって加熱し、ファン40によってダクト30からダクト50を経て、室内に温風を供給することとなる。
【0028】
さらに、本実施形態においてソーラーシステム1は、第1及び第2温度センサT1,T2と、制御部(温度把握手段、制御手段)60とを備えている。第1及び第2温度センサT1,T2は、空気流路10において間隔を有して設けられ空気流路10内の空気の温度を検出するものである。より詳細に第1温度センサT1は、空気流路10の中間付近の空気温度を検出する位置に設けられており、第2温度センサT2は、空気流路10のうち空気流出口13近傍の空気温度を検出する位置に設けられている。また、第1及び第2温度センサT1,T2は、制御部60に接続されており、検出した空気温度に応じた温度信号を制御部60に供給する。
【0029】
制御部60は、第1及び第2温度センサT1,T2からの温度信号に基づいて空気流路10における空気の温度を把握する温度把握機能を有している。さらに、制御部60は、温度把握機能により把握された温度に基づいて、空気流路10を流れる空気を一定温度以上且つ一定時間以上加熱するようにファン40を制御する制御機能を有している。これにより、花粉(特にスギ花粉)のタンパク質を変性させ、不活性化するようにしている。
【0030】
ここで、特開2008−249458号公報(特に
図6)に示されるように、スギ花粉は加熱されることでタンパク質が変性して、アレルギー反応を起こさないように不活性化する。具体的にスギ花粉は50度の温度で100分弱加熱しても不活性化しないが、100度の温度で約7分加熱すると約90%が不活性化する。また、スギ花粉は150度の温度で約3分加熱すると80%強が不活性化し、200度の温度で約1分加熱すると80%弱が不活性化する。
【0031】
本実施形態において制御部60は、例えば花粉の約80%が不活性化するように一定温度以上且つ一定時間以上加熱するようにファン40を制御する。この際、制御部60は、ファン40の回転数を調整したり、ダンパー等による空気の吸い込み量を調整したりする。また、制御部60は、ファン40を間欠運転してもよい。なお、一定時間は温度との関係で変動する時間であることはいうまでもない。
【0032】
このような制御により空気流路10を通過する空気の流速が調整されることとなり、例えば花粉の80%が不活性化することとなる。
【0033】
また、流速の調整について制御部60は、第1及び第2温度センサT1,T2からの温度信号に基づいて行う。ここで、第1温度センサT1は、空気流路10の中間付近の空気温度を検出する位置に設けられており、第2温度センサT2は、空気流路10のうち空気流出口13近傍の空気温度を検出する位置に設けられている。このため、例えば第1温度センサT1により検出される空気温度が50度であり、第2温度センサT2により検出される空気温度が250度であったとすると、これら温度センサT1,T2の中間位置の温度は150度と予測される。制御部60は、このようにして空気流路10における空気の温度を把握する。そして、制御部60は、ファン40の回転数、空気の吸い込み量、及び間欠運転などにより、中間位置から第2温度センサT2の位置までにおける空気の滞留時間を例えば3分以上(実際には3分未満でも可)とする。これにより、制御部60は少なくとも80%強の花粉を不活性化し、加熱された空気を室内に排気して暖房を行うこととなる。
【0034】
なお、制御部60による流速の調整は上記に限るものではない。すなわち、上記では、中間位置から第2温度センサT2の位置までにおける空気の滞留時間を考慮してファン40を制御しているが、これ限らず、特にスギ花粉は50度を超える不活性化開始温度(例えば80度〜100度であって、上記する一定温度)であれば不活性化するため、不活性化開始温度との温度差と滞留時間との積分値とが規定値に達するようにファン40を制御するようにしてもよい。
【0035】
加えて、本実施形態に係るソーラーシステム1では、通常暖房モードと不活性化暖房モードとを備え、通常暖房モードにおいては通常の回転数でファン40を運転し、不活性化暖房モードにおいて上記の制御を行うようにしてもよい。
【0036】
図2は、第1比較例に係るソーラーシステムを示す概略図である。なお、
図2に示す第1比較例において
図1に示すものと同一又は同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図2に示すように、第1比較例に係るソーラーシステムでは、ファン40を上記の如く制御しない。このため、花粉が室内に取り込まれないようにするために、ファン40の上流側(例えばダクト30とファン40との接続部)又は下流側(例えばダクト50の排気口)にフィルターを設ける必要がある。しかし、上記したように本実施形態に係るソーラーシステム1では、花粉が不活性化されるため、フィルターを設ける必要が無く、花粉によるフィルターのメンテナンスを不要とすることができる。
【0038】
図3は、第2比較例に係るソーラーシステムを示す概略図である。なお、
図3に示す第2比較例においても
図1に示すものと同一又は同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
図3に示すように、第2比較例に係るソーラーシステムでは、ファン40の下流側に熱交換器100が設けられている。そして、太陽熱集熱部20により温められた空気はダクト30からファン40を介して熱交換器100に至った後、排気ダクト101から屋外に排気されることとなる。一方、熱交換器100には導入ダクト102を通じて室内からの空気が導入され、太陽熱集熱部20により加熱された空気と熱交換のうえ、排出ダクト103を通じて室内に戻される。
【0040】
このため、第2比較例に係るソーラーシステムでは、花粉が室内に取り込まれない構造となっている。しかし、このソーラーシステムでは、熱交換を行う関係上、熱ロスが発生してしまい、暖房効果の低下につながってしまう。しかし、上記したように本実施形態に係るソーラーシステム1では、花粉が不活性化されるため、熱交換器100を設ける必要が無く、暖房効果の低下を抑制することができる。
【0041】
図4は、本実施形態に係るソーラーシステム1の制御方法を示すフローチャートである。なお、
図4に示すフローチャートは制御方法の一例を示すものであり、他の方法によりソーラーシステム1が制御されてもよい。
【0042】
まず、制御部60は、第1及び第2温度センサT1,T2から温度信号を入力する(S1)。これにより、制御部60は例えば空気流路10における空気の温度の分布を把握する。その後、制御部60は、空気の加熱時間の目標となる目標滞留時間を設定する(S2)。この際、制御部60は、上記したように中間位置の温度を考慮して目標滞留時間を設定してもよいし、積分値を考慮して目標滞留時間を設定してもよいし、他の方法により目標滞留時間を設定してもよい。
【0043】
次いで、制御部60は、ステップS2において設定した目標滞留時間に基づいてファン40を制御する(S3)。この際、制御部60は、ファン40の回転数を調整したり、空気の吸い込み量を調整したりする。また、制御部60は、間欠運転を行ってもよい。その後、
図4に示す処理は終了することとなる。なお、
図4に示す処理はソーラーシステム1が停止するまで、繰り返し実行される。
【0044】
このようにして、本実施形態に係るソーラーシステム1によれば、空気流路10を流れる空気を一定温度以上且つ一定時間以上加熱するようにファン40を制御するため、花粉のタンパク質を変性させて不活性化することができる。これにより、花粉によるアレルギー反応からの保護を図ることができる。特に、一定温度以上且つ一定時間以上の加熱により花粉を不活性化するこことから、フィルターが不要となると共に、花粉が室内に入り込まないように熱交換器100を設ける必要もない。従って、花粉によるメンテナンスを不要とすると共に、暖房効果の低下を抑制し、且つ、花粉によるアレルギー反応からの保護を図ることができる。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るソーラーシステムは第1実施形態のものと同様であるが、構成が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0046】
図5は、第2実施形態に係るソーラーシステムを示す概略図である。
図5に示すように、第2実施形態に係るソーラーシステム2は、第1実施形態の構成に加えて、循環流路70を備えている。
【0047】
循環流路70は、室内の空気を取り込んで空気流路10に供給する流路であって、空気流路10に供給することにより室内の空気を太陽熱集熱部20により加熱させるものである。より詳細に循環流路70は、空気流路10のうち第1温度センサT1の上流側に室内の空気を供給する。これにより、第1温度センサT1と第2温度センサT2との間で加熱されたことを把握することができる。
【0048】
また、本実施形態においてソーラーシステム2は不図示の室温センサを備えており、室温センサからの温度信号が制御部60に入力されている。このため、第2実施形態において制御部60は、室温センサと第2温度センサT2からの温度信号に基づいて空気流路10内の温度を把握し、ファン40を制御するようにしてもよい。
【0049】
また、第2実施形態においては空気取入口12及び循環流路70を開閉可能に構成してもよい。これにより、外気を取り込む場合と室内空気を循環させる場合とで明確に区別してソーラーシステム2を運転できるからである。
【0050】
なお、第2実施形態において制御方法は第1実施形態のものと同様である。
【0051】
このようにして、第2実施形態に係るソーラーシステム2によれば、第1実施形態と同様に、花粉によるメンテナンスを不要とすると共に、暖房効果の低下を抑制し、且つ、花粉によるアレルギー反応からの保護を図ることができる。
【0052】
また、第2実施形態によれば、室内の空気を取り込んで空気流路10に供給することにより室内の空気を太陽熱集熱部20により加熱する循環流路70をさらに備えるため、室内の空気についても一定温度以上且つ一定時間以上加熱されることとなり、衣服等を介して室内に持ち込まれた花粉について不活性化することができ、一層花粉によるアレルギー反応からの保護を図ることができる。
【0053】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係るソーラーシステムは第1実施形態のものと同様であるが、構成が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0054】
図6は、第3実施形態に係るソーラーシステムを示す概略図である。
図6に示すように、第3実施形態に係るソーラーシステム3は、第1実施形態の構成に加えて、温度低下部(温度低下手段)80を備えている。
【0055】
温度低下部80は、太陽熱集熱部20により加熱された空気の温度をファン40の上流側において低下させるものであって、例えば放熱フィンに構成される。より詳細に温度低下部80は、空気流出口13の近傍に設けられており、この位置において太陽熱集熱部20により加熱された空気の温度を低下させる。
【0056】
なお、温度低下部80は、空気流出口13の近傍に限らず、ファン40の上流側近傍に設けられていてもよいし、空気流出口13とファン40との中間位置付近に設けられていてもよい。さらに、温度低下部80は、太陽熱集熱部20と一体化されて構成されてもよいし、ファン40と一体化されて構成されてもよい。
【0057】
これにより、太陽熱集熱部20により加熱された空気がほぼそのままの温度で室内に排気されることなく、適切な温度となって室内に供給されることとなる。さらに、ファン40の上流側で温度を低下させるため、ファン40が高温の空気が曝されることによるモータ故障が防止されることとなる。
【0058】
このようにして、第3実施形態に係るソーラーシステム3によれば、第1実施形態と同様に、花粉によるメンテナンスを不要とすると共に、暖房効果の低下を抑制し、且つ、花粉によるアレルギー反応からの保護を図ることができる。
【0059】
さらに、第3実施形態によれば、太陽熱集熱部20により加熱された空気の温度をファン40の上流側において低下させる温度低下部80をさらに備えるため、太陽熱集熱部20により加熱された空気がほぼそのままの温度で室内に排気されることなく、室内に排気するにあたり適切な温度をすることができる。さらに、ファン40の上流側で温度を低下させるため、ファン40が高温の空気が曝されることによるモータ故障を防止することができる。
【0060】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態に係るソーラーシステムは第1実施形態のものと同様であるが、構成が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0061】
図7は、第4実施形態に係るソーラーシステムを示す概略図である。
図7に示すように、第4実施形態に係るソーラーシステム4は、空気流路10内の温度センサTを1つだけ有している。すなわち、第4実施形態に係るソーラーシステム4は、複数の温度センサT1,T2を備えることなく、第1〜第3実施形態と同様に、花粉によるメンテナンスを不要とすると共に、暖房効果の低下を抑制し、且つ、花粉によるアレルギー反応からの保護を図ることとしている。
【0062】
図8は、第4実施形態に係るソーラーシステムの制御方法を示すフローチャートである。
図8に示す処理の開始時においてファン40は停止しているものとする。まず、制御部60は、温度センサTからの信号に基づいて、空気流路10内の空気の温度が一定温度以上であるか否かを判断する(S11)。
【0063】
一定温度以上でないと判断した場合(S11:NO)、一定温度以上であると判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、一定温度以上であると判断した場合(S11:YES)、制御部60は、一定温度以上となってから、一定時間以上経過したか否かを判断する(S12)。
【0064】
一定時間以上経過していないと判断した場合(S12:NO)、一定時間以上経過したと判断されるまで、この処理が繰り返される。一定時間以上経過したと判断した場合(S12:YES)、制御部60は、ファン40の動作を開始させる(S13)。
【0065】
その後、制御部60は、空気流路10の容積分だけ空気を室内に送風したか否かを判断する(S14)。容積分だけ空気を室内に送風していないと判断した場合(S14:NO)、容積分だけ空気を室内に送風したと判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0066】
一方、容積分だけ空気を室内に送風したと判断した場合(S14:YES)、制御部60は、ファン40を停止させる(S15)。そして、
図8に示す処理は終了する。
【0067】
なお、
図8に示す処理はソーラーシステム4の電源がオフされるまで、繰り返し実行されることとなる。よって、第4実施形態に係るソーラーシステム4は、ファン40が停止している状態において空気流路10内の空気の温度が一定温度以上となった場合、一定時間の経過を待ってファン40を動作させて空気流路10の容積分の空気を室内に送風させ、容積分の空気の送風完了後にファン40を停止させる動作を繰り返すこととなる。
【0068】
このようにして、第4実施形態に係るソーラーシステム4によれば、第1実施形態と同様に、花粉によるメンテナンスを不要とすると共に、暖房効果の低下を抑制し、且つ、花粉によるアレルギー反応からの保護を図ることができる。
【0069】
さらに、第4実施形態によれば、空気流路10内の空気の温度が一定温度以上となった場合、一定時間の経過を待ってファン40を動作させて空気流路10の容積分の空気を室内に送風させ、容積分の空気の送風完了後にファン40を停止させる動作を繰り返す。このため、ファン40についてはオンオフ運転を行うのみで花粉を不活性化することができ、回転数等の微調整を行う必要が無く、簡易な制御にて花粉の不活性化を行うことができる。また、空気流路10内で空気を停止させることとなるため、空気流路10内の空気について場所(例えば入口側や出口側)による温度の隔たりが発生し難くなり、空気流路10内の温度を検出する温度センサTについて複数設置する必要が無くなる。従って、花粉を不活性化するソーラーシステム4について製造の簡易化を図ることができる。
【0070】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態を組み合わせてもよい。
【0071】
例えば、本実施形態においてソーラーシステム1〜3の制御部60は、第1及び第2温度センサT1,T2(又は室温センサ)から温度信号を入力して空気流路10における空気温度を把握しているが、これに限らず、例えば太陽熱集熱部20における日射量を計測する日射計、及び外気の温度を検出する外気温センサからの信号を入力して空気流路10における空気温度を把握してもよい。また、制御部60は、第1及び第2温度センサT1,T2から温度信号に加えて、日射計からの信号を入力して空気流路10における空気温度を把握してもよい。さらに、ソーラーシステム1〜3は第1及び第2温度センサT1,T2のいずれか一方のみを備え、制御部60は、いずれか一方からの温度信号と日射計の信号とから空気流路10における空気温度を把握してもよい。また、ソーラーシステム1〜3が太陽電池を備える場合には、日射計に代えて太陽電池の電圧信号に基づいて空気流路10における空気温度を把握するようにしてもよい。このように太陽電池を備える場合には、太陽電池の電圧が日射量を反映したものとなるため、太陽電池の電圧に基づいてファン40を制御することで、センサ数を減らすことができるからである。
【0072】
また、上記ではスギ花粉を80%程度不活性化する処理等を説明したが、これに限らず、少なくとも不活性化開始温度以上の温度で一定時間以上加熱するようにすれば、特にスギ花粉を80%程度不活性化しなくともよい。これによっても、花粉が或る程度不活性化するためである。また、対象となる花粉はスギ花粉に限らず、ヒノキ、マツ、ブタクサ、イネ、及びヨモギなどの花粉であってもよいことは言うまでもない。このように、複数種の花粉に対して花粉を不活性化する場合には、それぞれの不活性化開始温度のうち最も温度が低いものの温度で一定時間以上加熱すれば、これらの花粉の全てを不活性化することができる。
【0073】
さらに、上記では花粉の不活性化を例に説明したが、これに限らず、例えばインフルエンザウイルスについても特定のタンパク質が人体と反応することによって病気を引き起こすため、上記実施形態に係るソーラーシステム1〜3は花粉に限らずウイルスを不活性化する目的で使用されてもよい。
【0074】
また、上記実施形態において太陽熱による空気の加熱効果を向上させるべく、空気流路10を直線以外の形状(例えばくの字状や蛇行形状)とし、加熱される距離を長くするようにしてもよい。