特許第6203528号(P6203528)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203528
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】燃焼器への燃料供給システム
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/16 20060101AFI20170914BHJP
   F23R 3/30 20060101ALI20170914BHJP
   F23R 3/36 20060101ALI20170914BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   F23R3/16
   F23R3/30
   F23R3/36
   F02C7/22 A
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-91859(P2013-91859)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-231580(P2013-231580A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2016年4月13日
(31)【優先権主張番号】13/457,726
(32)【優先日】2012年4月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・レスリー・ロミグ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス・ジョン・ストイア
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ベネディクト・メルトン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エドワード・ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・アレン・ボードマン
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−014562(JP,A)
【文献】 実開昭61−043637(JP,U)
【文献】 特表2002−523717(JP,A)
【文献】 特開2005−147459(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0156734(US,A1)
【文献】 米国特許第05235813(US,A)
【文献】 米国特許第05749219(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0022758(US,A1)
【文献】 特開平08−145361(JP,A)
【文献】 特開2009−300059(JP,A)
【文献】 特開平08−210641(JP,A)
【文献】 特開2004−205204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/22
F23R 3/16、28、30、34、36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器(14)に燃料を供給するためのシステムであって、
a.燃焼室(38)と、
b.前記燃焼室(38)内と流体連通する燃料ノズル(34)と、
c.前記燃焼室(38)の周囲に円周方向に配置され、前記燃焼室(38)内と半径方向に流体連通する複数の通路(50)と、
d.前記複数の通路(50)と流体連通する液体燃料プレナム(60)と、
e.前記複数の通路(50)の内部で前記液体燃料プレナム(60)の少なくとも一部を円周方向に包囲するバッフル(80)であって、前記液体燃料プレナム(60)の周囲に複数のローブ(90)を形成するバッフル(80)と、
f.前記複数の通路(50)の内部で前記バッフル(80)を円周方向に包囲する複数の気体燃料ポート(66)と
を備えるステム。
【請求項2】
前記液体燃料プレナム(60)の少なくとも一部が前記燃焼室(38)を円周方向に包囲する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
燃焼器(14)に燃料を供給するためのシステムであって、
a.燃焼室(38)と、
b.前記燃焼室(38)の少なくとも一部を円周方向に包囲するライナ(52)と、
c.前記ライナ(52)貫通して前記燃焼室(38)内に延びる複数の通路(50)と、
d.前記複数の通路(50)各々の内部に延びる液体燃料プレナム(60)と、
e.前記複数の通路(50)の内部で前記液体燃料プレナム(60)の少なくとも一部を円周方向に包囲するバッフル(80)であって、前記液体燃料プレナム(60)の周囲に複数のローブ(90)を形成するバッフル(80)と、
f.前記複数の通路(50)の内部で前記バッフル(80)を円周方向に包囲する複数の気体燃料ポート(66)と
を備えるステム。
【請求項4】
燃焼器(14)に燃料を供給するためのシステムであって、
a.燃焼室(38)と、
b.前記燃焼室(38)の少なくとも一部を円周方向に包囲するライナ(52)と、
c.前記燃焼室(38)の周囲に円周方向に配置され、前記ライナ(52)貫通して前記燃焼室(38)内と流体連通する複数の通路(50)と、
d.前記複数の通路(50)の少なくともいくつかの内部で中心に位置合わせされている液体燃料プレナム(60)と、
e.前記複数の通路(50)の前記少なくともいくつかの内部で前記液体燃料プレナム(60)の少なくとも一部を円周方向に包囲するバッフル(80)であって、前記液体燃料プレナム(60)の周囲に複数のローブ(90)を形成するバッフル(80)と、
f.前記複数の通路(50)の内部で前記バッフル(80)を円周方向に包囲する複数の気体燃料ポート(66)と
を備えるステム。
【請求項5】
前記複数の通路(50)の少なくとも1つが前記燃焼室(38)の内部に延びる、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記燃焼室(38)の少なくとも一部を円周方向に包囲するスリーブ(54)を更に備え、前記複数の通路(50)が前記スリーブ(54)貫通して流体連通する、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記バッフル(80)が前記ライナ(52)又は前記液体燃料プレナム(60)の少なくとも一方に接続されている、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の通路(50)が遅延希薄インジェクタとして構成される、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記液体燃料プレナム(60)が前記複数のローブ(90)と半径方向に位置合わせされた複数の液体燃料ポート(62)を終端している、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記液体燃料プレナム(60)が前記複数のローブ(90)間で半径方向に位置合わせされた液体燃料ポート(62)を終端している、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記バッフル(80)は、前記液体燃料プレナム(60)と前記バッフル(80)との間の第1の流体通路(82)及び前記バッフル(80)と前記複数の通路(50)との間の第2の流体通路(84)を画定する、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、燃料を燃焼器に供給するためのシステムに関する。特定の実施形態では、燃焼器の周囲に円周方向に配置された1つまたは複数のインジェクタが、液体燃料、気体燃料および/または作動流体の希薄混合物を燃焼器に供給することが可能である。
【背景技術】
【0002】
燃焼器を、燃料に点火して高温および高圧を有する燃焼ガスを生じさせるために、産業上の業務および発電業務で用いられることは一般的である。例えば、ガスタービンは、通常、電力または推力を生じさせる1つまたは複数の燃焼器を含んでいる。発電に用いられる通常のガスタービンは、前部に軸流コンプレッサを、中間部の周囲に1つまたは複数の燃焼器を、後部にタービンを含む。周囲の空気がコンプレッサに供給され得、コンプレッサにおける回転羽根と静翼が徐々に運動エネルギーを作動流体(空気)に伝えて、高くエネルギーを与えられた状態にある圧縮作動流体が生じる。圧縮作動流体は、コンプレッサを出て、1つまたは複数のノズルを通過して流れ、そこで燃料と混合し燃焼室で点火して、高温および高圧を有する燃焼ガスを生じさせる。燃焼ガスは、遷移ピースを通過してタービンへと流れ、タービンで膨張して仕事をもたらす。例えば、タービンでの燃焼ガスの膨張により、発電機に接続されたシャフトが回転して、電気が生じ得る。
【0003】
タービンから排出される燃焼ガスには、変動量の窒素酸化物、一酸化炭素、未燃炭化水素およびそれ以外の望ましくない排出物が含まれるが、それぞれの排出物の実際の量は、燃焼器の設計および動作パラメータに依存する。例えば、燃料空気混合物が燃焼室の中に留まる時間が長いほど窒素酸化物のレベルを上昇させるのが一般的であるが、他方で、燃料空気混合物が燃焼室の中に留まる時間が短いほど一酸化炭素と未燃炭化水素のレベルを上昇させるのが一般的である。同様に、より高い電力運転に伴うより高い燃焼ガスの温度は、窒素酸化物のレベルを上昇させるのが一般的であるが、他方で、より低い燃料空気混合物および/またはターンダウン運転に伴うより低い燃焼ガスの温度は、一酸化炭素と未燃炭化水素のレベルを上昇させるのが一般的である。
【0004】
ある特定の燃焼器設計では、1つまたは複数の遅延希薄インジェクタ(レイトリーン・インジェクタ(late lean injector))、通路または管が、燃料ノズルの下流にある燃焼室の周囲に円周方向に配置されることがある。コンプレッサから出る圧縮作動流体の一部は、インジェクタを通過して流れ、燃料と混合し希薄な燃料空気混合物を生じるように、方向を変更され得る。この希薄な燃料空気混合物は、次に、燃焼室の中に流れ込むことができ、そこで点火して燃焼ガスの温度を上昇させ、燃焼器の熱力学的効率を高める。円周方向に配置された遅延希薄インジェクタは、燃焼ガスの温度を効果的に上昇させながら、それに対応して望ましくない排出物を増加させることはないのであるが、遅延希薄インジェクタに供給される液体燃料は、結果的に、過剰なコーキングを燃料通路に生じさせることが多い。更に、希薄な燃料空気混合物を円周方向に燃焼室に送達することの結果として、液体燃料も燃焼室および遷移ピースの内側に沿って流れることになり、これらの成分に対する低サイクル疲労の限度を低下させる可能性がある局在的な高温ストリークを生じさせこともある。結果的に、燃焼室および遷移ピースの内側に沿って局在的な高温ストリークを生じさせずに、遅延希薄燃焼のために液体および/または気体燃料を供給するためのシステムがあれば、有用であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,207,064号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様および利点は下記の説明において記述されている、あるいは下記の説明から明らかになり得、または本発明の実施を通じて知ることができよう。
【0007】
本発明の一実施形態は、燃焼室と、燃焼室の中への流体連通を提供する燃料ノズルとを含む、燃料を燃焼器に供給するためのシステムである。燃焼室の周囲に円周方向に配置された複数の通路が、燃焼室の中への流体連通を提供する。液体燃料プレナムが、複数の通路への流体連通を提供する。バッフルが、複数の通路の内部で液体燃料プレナムの少なくとも一部を円周方向に包囲し、液体燃料プレナムの周囲に複数のローブを形成する。
【0008】
本発明の別の実施形態は、燃焼室と、燃焼室の少なくとも一部を円周方向に包囲するライナとを含む、燃料を燃焼器に供給するためのシステムである。複数の通路が、ライナを通過して燃焼室の中に延びる。液体燃料プレナムが、複数の通路のそれぞれの内部に延びる。バッフルが、複数の通路の内部で液体燃料プレナムの少なくとも一部を円周方向に包囲し、液体燃料プレナムの周囲に複数のローブを形成する。
【0009】
本発明の更に別の実施形態では、燃料を燃焼器に供給するためのシステムは、燃焼室と、燃焼室の少なくとも一部を円周方向に包囲するライナとを含む。燃焼室の周囲に円周方向に配置された複数のインジェクタが、ライナを通過して燃焼室の中への流体連通を提供する。液体燃料プレナムが、複数のインジェクタの少なくともいくつかの内部で中心に位置合わせされている。複数のインジェクタの少なくともいくつかの内部で液体燃料プレナムの少なくとも一部を円周方向に包囲するバッフルが、液体燃料プレナムの周囲に複数のローブを形成する。
【0010】
当業者であれば、本明細書を検討することにより、これらの実施形態ならびに他の実施形態の特徴および態様をよりよく理解するはずである。
【0011】
当業者に対する本発明の最良の形態を含んだ本発明の完全で、かつ実施を可能にする開示を、添付の図面の参照を含んだ本明細書の残りの部分でより具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】例示的なガスタービンの簡略化された側面横断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態による、図1に示されている燃焼室の一部の部分斜視側面横断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態による、図1に示されている燃焼室の一部の側面横断面図である。
図4】本発明の特定の実施形態による、図2に示されているインジェクタの側面横断面図である。
図5図4に示されているインジェクタの半径方向の平面図である。
図6】代替の実施形態による、図4に示されているインジェクタの半径方向の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を示すために詳細に参照がなされ、これらの実施形態の1つまたは複数の例が添付の図面に示される。この詳細な説明では、図面における特徴を示すため、数字および文字による指定が用いられる。図面および説明における同様のまたは類似の指定は、本発明の同様のまたは類似の部品を示すために用いられている。本明細書において使用する「第1の(first)」、「第2の(second)」および「第3の(third)」という用語は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために相互に交換可能に用いられることがあり、個々の構成要素の位置または重要性を意味することは意図していない。更に、「上流(upstream)」および「下流(downstream)」という用語は、流体の経路における構成要素の相対的な位置を示す。例えば、流体が構成要素Aから構成要素Bに流れる場合に、構成要素Aは構成要素Bの上流にある。逆に、構成要素Bが構成要素Aから流体フローを受け取る場合は、構成要素Bは構成要素Aの下流にある。
【0014】
それぞれの例は、本発明を説明するために提供されており、本発明を限定するために提供されているのではない。実際、当業者にとって、その範囲または精神から逸脱せずに本発明に対して修正および変更を行うことが可能であるのは、明らかである。例えば、一実施形態の一部として図示または記載されている特徴を別の実施形態で用いることにより、更に別の実施形態が生じる場合があり得る。このように、本発明は、そのような修正形態や変更形態を、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲に属するものとして含むことが意図されている。
【0015】
本発明の様々な実施形態は、燃料を燃焼器に供給するためのシステムを含む。概して、燃焼器は、燃焼室を含み、燃焼室は、燃焼室の少なくとも一部を円周方向に包囲するライナによって、少なくとも部分的に画定される。システムは、燃焼室の中への流体連通を提供するために燃焼室の周囲に円周方向に配置された1つまたは複数の通路あるいはインジェクタを含み、液体燃料プレナムが通路またはインジェクタへの流体連通を提供する。更に、バッフルが、液体燃料プレナムの少なくとも一部を円周方向に包囲し、液体燃料プレナムの周囲に複数のローブを形成する。このようにして、バッフルは、バッフルの内部および外部に流体フローの通路を画定し、ローブは、燃焼室に注入される前に液体燃料の噴霧化、気化および/または混合を促進するために、通路間の液体フローを混合する。説明のためにガスタービンに組み込まれた燃焼器という文脈の中で本発明の例示的な実施形態を概括的に説明するが、当業者であれば容易に理解するように、本発明の実施形態はどのような燃焼器にも適用可能であり、特許請求の範囲に特別な記載のない限りガスタービンの燃焼器に限定されない。
【0016】
図1は、本発明の様々な実施形態を組み込むことができる例示的なガスタービン10の簡略化された横断面図を提供している。図示のように、ガスタービン10は、概して、前部のコンプレッサ12と、中間部の周囲に半径方向に配置された1つまたは複数の燃焼器14と、後部のタービン16とを含み得る。コンプレッサ12とタービン16は、電気を生じる発電機20に接続された共通のロータ18を共有し得る。
【0017】
コンプレッサ12は、周囲の空気などの作動流体22がコンプレッサ12の中に入り静翼24と回転羽根26との交互段を通過する軸流コンプレッサとすることができ。コンプレッサ外筒28は作動流体22を含んでおり、静翼24と回転羽根26が加速するにつれて、作動流体22の方向を変更して圧縮作動流体22の連続フローを生じさせる。圧縮作動流体22の大部分は、コンプレッサの放出プレナム30を通過して燃焼器14に流れる。
【0018】
燃焼器14は、当技術において知られている任意のタイプの燃焼器であってもよい。例えば、図1に示されているように、燃焼器外筒32は、燃焼器14の一部または全体を円周方向に包囲して、コンプレッサ12から流れる圧縮作動流体22を含むことができる。1つまたは複数の燃料ノズル34を、燃料ノズル34の下流にある燃焼室38に燃料を供給するため、エンドカバー36において半径方向に配置することができる。可能性のある燃料には、例えば、高炉ガス、コークス炉ガス、天然ガス、気化された液化天然ガス(LNG)、水素およびプロパンのうちの1つまたは複数が含まれる。圧縮作動流体22は、コンプレッサの放出通路30から燃焼室38の外部に沿って流れてエンドカバー36に至り、方向を変更し、燃料ノズル34を通過して流れて、燃料と混合することができる。燃料と圧縮作動流体22との混合物は、燃焼室38の中に流れ、そこで点火して、高温および高圧を有する燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、遷移ピース40を通過してタービン16に流れる。
【0019】
タービン16は、ステータ42と回転バケット44の交互段を含み得る。ステータ42の第1段は、燃焼ガスの方向を変更してタービンバケット44の第1段上に集中させる。燃焼ガスは、タービンバケット44の第1段の上を通過するときに、膨張し、タービンバケット44とロータ18とを回転させる。次に、燃焼ガスは、ステータ42の次の段まで流れ、ステータによって、回転しているタービンバケット44の次の段に向けて方向を変更され、このプロセスは、これ以降の段に対して反復される。
【0020】
本明細書で説明される様々な実施形態は、1つまたは複数のインジェクタ、通路または管50を含み、これらは、燃料ノズル34の下流にある燃焼室38の周囲に円周方向に配置されている。コンプレッサ12から出る圧縮作動流体22の一部は、インジェクタ50を通過して流れ、同一のまたは燃料ノズル34に供給されるものとは異なる液体および/または気体燃料と混合して希薄な燃料空気混合物を生じるように、方向を変更され得る。希薄な燃料空気混合物は、次に、燃焼室38の中に流れ、そこで点火して燃焼ガスの温度を上昇させ、燃焼器14の熱力学的効率を高める。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施形態による、図1に示された燃焼室38の一部の部分斜視側面横断面図を提供している。この特定の実施形態では、ライナ52が燃焼室38の少なくとも一部を円周方向に包囲し、フロースリーブ54がライナ52の少なくとも一部を円周方向に包囲して、ライナ52とフロースリーブ54との間の環状通路56を作る。このようにして、圧縮作動流体22の一部は、環状通路56を通過して流れてライナ52から熱を除去した後で、エンドカバー36に達し、方向を逆転して燃料ノズル34を通過して流れることができるが、これは、図1との関係で上述した通りである。
【0022】
図2に示されているように、インジェクタ、通路または管50は、燃焼室38、ライナ52およびフロースリーブ54の周囲に円周方向に配置されていて、フロースリーブ54とライナ52を通過して燃焼室38の中への流体連通を提供する。更に、液体および/または気体燃料がインジェクタ50に供給され、インジェクタ50を通過して燃焼室38の中に流れる圧縮作動流体22の一部と混合し得る。例えば、液体燃料プレナム60は燃焼室38を円周方向に包囲することができ、液体燃料プレナム60の一部はインジェクタ50の1つまたは複数の内部に延びて、液体燃料がインジェクタ50の中に流れ込むための流体連通を提供し得る。液体燃料プレナム60は、液体燃料がインジェクタ50の中に流れ込み、圧縮作動流体22と混合した後に燃焼室38に到達するための流体連通を提供する1つまたは複数の流体燃料ポート62を含むことができる。あるいは、または、加えて、フロースリーブ54が内部燃料通路64を含んでもよく、それぞれのインジェクタ50がインジェクタ50の周囲に円周方向配置されている1つまたは複数の気体燃料ポート66を含んでもよい。気体燃料ポート66は、従って、気体燃料がインジェクタ50の中に流れ込み圧縮作動流体22と混合した後に燃焼室38に到達するための流体連通を提供することができる。このようにして、インジェクタ50は、燃焼器14の温度と更には効率とを上げるための追加的な燃焼のために、液体および/または気体燃料の希薄な混合物を供給することができる。
【0023】
図3は、本発明の第2の実施形態による、図1に示されている燃焼室38の一部の側面横断面図を提供している。この特定の実施形態では、衝突スリーブ68が、遷移ピース40の少なくとも一部を円周方向に包囲することにより、遷移ピース40と衝突スリーブ68との間の環状通路70を作る。衝突スリーブ68は、圧縮作動流体22の一部が環状通路70を通過して流れて遷移ピース40から熱を除去することを可能にする複数の開口72を含でもよい。
【0024】
図3に示されているように、インジェクタ、通路または管50は、燃焼室38、遷移ピース40および衝突スリーブ68の周囲に円周方向に配置され、衝突スリーブ68と遷移ピース40を通過して燃焼室38の中への流体連通を提供する。更に、液体燃料プレナム60が、外筒32を通過してインジェクタ50の1つまたは複数の内部に延びて、液体燃料がインジェクタ50に流れ込むための流体連通を提供し得る。あるいあ、または、加えて、図2に示されている実施形態との関係で上述したように、気体燃料プレナム74が、同様に外筒32を通過して延びて、気体燃料がインジェクタ50の周囲に円周方向に配置された気体燃料ポート66を通過して流れるための流体連通を提供し得る。このようにして、液体および/または気体燃料プレナム60、74は、インジェクタ50を通過して燃焼室38の中に液体および/または気体燃料を更なる燃焼のために供給し得る。
【0025】
図4は、本発明の特定の実施形態による、図2に示されているインジェクタ50の側面横断面図を提供している。示されているように、インジェクタ50は、フロースリーブ54およびライナ52を通過して燃焼室38の中への流体連通を提供するための通路、管またはそれ以外の構造を含むことができる。図4に示されている特定の実施形態では、インジェクタ50の一部が燃焼室38の内部まで延びて、燃焼室38を通過して流れる燃焼ガスと混合する前に、液体および/または気体燃料と圧縮作動流体22との混合を促進する。
【0026】
上述したように、液体燃料プレナム60は、少なくとも部分的にはインジェクタ50の内部まで延びてもよく、インジェクタ50の周囲に円周方向に配置された気体燃料ポート66は、気体燃料がフロースリーブ54における内部燃料通路64からインジェクタ50の中に流れ込むための流体連通を提供することができる。更に、インジェクタ50、ライナ52および/または液体燃料プレナム60に接続されたバッフル80が、インジェクタ50の内部で液体燃料プレナム60の少なくとも一部を円周方向に包囲することができる。バッフル80は、液体燃料プレナム60とバッフル80との間の第1の流体通路82、およびバッフル80とインジェクタ50との間の第2の流体通路84を画定し得る。特定の実施形態では、バッフル80は、より多くの圧縮作動流体22を第1の流体通路82の中に優先的に迂回させるように、図4に示されているようなインジェクタ50へのフレア状すなわち鐘状の開口86を入口に含んでもよい。
【0027】
図5および図6は、図4に示されているインジェクタ50の半径方向の平面図を提供しているが、これは、本発明の様々な実施形態によるバッフル80の特定の特徴をより明瞭に示すために、燃焼室38の内部から見た場合の図である。図5および図6に示されているように、1つまたは複数の支柱88が、バッフル80とインジェクタ50、ライナ52および/または液体燃料プレナム60との間に延びて、バッフル80を然るべき位置に保持することが可能である。圧縮作動流体22の一部は、液体燃料プレナム60とバッフル80との間の第1の流体通路82を通過して流れ、液体燃料ポート62から流れ出る液体燃料と混合することができる。圧縮作動流体22の別の一部はまた、バッフル80とインジェクタ50との間の第2の流体通路84を通過して流れ、気体燃料ポート66から流れ出る気体燃料と混合することができる。
【0028】
図5および図6において最も明瞭に見られるように、バッフル80の下流部分は、液体燃料プレナム60と液体燃料ポート62とを円周方向に包囲する交互の複数のローブ90と複数の頂点92とを含み得る。図5に示されている特定の実施形態においては、液体燃料ポート62は、頂点92と一致しながら、隣接するローブ90間に、半径方向に位置合わせされている。対照的に、図6では、液体燃料ポート62は、ローブ90と一致しながら、隣接する頂点92間に、半径方向に位置合わせされている。バッフル80において交互に配置されているローブ90と頂点92とは、流体フローを第1の流体通路82を通過して外向きの半径方向に押し、他方で、流体フローを第2の流体通路84を通過して内向きの半径方向に引きつける。結果的に、バッフル80におけるローブ90と頂点92とは、第1および第2の流体通路82および84を通過して流れる流体の間に剪断を生じさせ、液体燃料と気体燃料および/または圧縮作動流体22との気化、噴霧化および/または混合を促進する。
【0029】
当業者であれば、図1図6との関係で示され説明された様々な実施形態は既存の燃焼器の設計に対して1つまたは複数の利点を提供し得ることを本明細書の教示から容易に理解するはずである。例えば、燃焼室38に供給される希薄な燃料空気混合物は、燃焼ガスの温度を上昇させ、結果的に、対応するNOXの排出量を増加させることなく、燃料器14の効率を向上させることができる。更に、本明細書に記載されている様々な実施形態により、これらの構成要素に対する低サイクル疲労の限度を低下させる可能性がある燃焼室38と遷移ピース40との内部に沿って局在的な高温ストリークを生じさせることなく、液体燃料を、インジェクタ50を通過して供給することが可能になる。
【0030】
この明細書では、最良の形態を含めて本発明を開示するために、また、任意の装置または燃焼器を作製し用いること、および、任意の組み込まれた方法を実行することを含めて当業者が本発明を実施することを可能にするために、例を用いている。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義されるが、当業者にとって想到可能なそれ以外の例も含み得る。そのようなそれ以外の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を含む場合には、または、特許請求の範囲の文言との差異が非実質的である均等な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲に属することが意図されている。
【符号の説明】
【0031】
10 ガスタービン
12 コンプレッサ
14 燃焼器
16 タービン
18 ロータ
20 発電機
22 作動流体
24 静翼(コンプレッサ)
26 回転羽根
28 コンプレッサ外筒
30 コンプレッサ放出プレナム
32 燃焼器外筒
34 燃料ノズル
36 エンドカバー
38 燃焼室
40 遷移ピース
42 ステータ
44 バケット
50 インジェクタ、通路または管
52 ライナ
54 フロースリーブ
56 環状通路
60 液体燃料プレナム
62 液体燃料ポート
64 内部燃料通路
66 気体燃料ポート
68 衝突スリーブ
70 環状通路
72 開口
74 気体燃料プレナム
80 バッフル
82 第1の流体通路
84 第2の流体通路
86 鐘型開口
88 支柱
90 ローブ(膨出部/突出部)
92 頂点
図1
図2
図3
図4
図5
図6