特許第6203535号(P6203535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6203535-リアフォグランプ装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203535
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】リアフォグランプ装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/24 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   B60Q1/24 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-104454(P2013-104454)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-223873(P2014-223873A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】増田 剛
(72)【発明者】
【氏名】小松 元弘
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102765348(CN,A)
【文献】 特開平05−278519(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103522939(CN,A)
【文献】 中国実用新案第203283102(CN,U)
【文献】 米国特許第06883947(US,B1)
【文献】 特開平05−185873(JP,A)
【文献】 特開2012−171537(JP,A)
【文献】 特開平11−278182(JP,A)
【文献】 特開2008−213618(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02848511(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光度調節部を有し、自車両の後続車両、前記集光度調節部により集光度を低下させた第1レーザ光を直接射する第1レーザ光照射部と、
後続車の運転者に視認される光幕を形成するための第2レーザ光を前記第1レーザ光の照射方向に対して下向きに照射する第2レーザ光照射部と、
を備えることを特徴とするリアフォグランプ装置。
【請求項2】
前記第1レーザ光照射部及び前記第2レーザ光照射部に共通のレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されるレーザ光の一部を前記第1レーザ光照射部に供給し、前記レーザ光の少なくとも他の一部を前記第2レーザ光照射部に供給するビームスプリッターと、
を備える請求項1に記載のリアフォグランプ装置。
【請求項3】
自車両周囲の霧濃度に関する情報として、前記光幕の輝度に関する情報を取得する霧情報取得部と、
前記光幕の輝度が所定の基準輝度以上である場合に、前記第1レーザ光の輝度を、前記光幕の輝度が前記基準輝度未満である場合よりも増大させる輝度調節部と、
を備える請求項1又は2に記載のリアフォグランプ装置。
【請求項4】
前記第1レーザ光照射部及び前記第2レーザ光照射部に共通のレーザ光源を備え、
前記第1レーザ光照射部は、前記第1レーザ光が出射される第1出射部と、前記レーザ光源から照射されるレーザ光の一部を前記第1レーザ光として前記第1出射部に導く第1光路とを有し、
前記第2レーザ光照射部は、前記第2レーザ光が出射される第2出射部と、前記レーザ光源から照射されるレーザ光の少なくとも他の一部を、前記第2レーザ光として前記第2出射部に導く第2光路とを有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリアフォグランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアフォグランプ装置に関し、特に自動車などの車両に用いられるリアフォグランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両後方に光照射し、後続車両等に自車両の存在を視認させるための標識灯として機能するリアフォグランプが知られている。例えば、特許文献1には、霧の発生がほとんどないときにリアフォグランプの光量を少なくして、後続車両のドライバーが眩しく感じることを回避し、霧が濃く発生しているときに光量を多くして、後続車両のドライバーが濃霧時にも前方車両を視認できるようにすることを目的としたフォグランプ制御装置が開示されている。このフォグランプ装置は、車両後方を照らすリアフォグランプと、後続車両との車間距離を検出する電波レーダと、電波レーダにより後続車両との車間距離が検出されたときに後続車両に対してレーザを所定回数送光し、反射レーザを受光することで後続車両との車間距離を検出するレーザレーダと、レーザレーダから送光されたレーザのうち反射レーザが受光された回数から、周囲の光透過率を検出する光透過率検出回路と、検出された光透過率に応じてリアフォグランプの光量を変化させる制御回路を備えていた。
【0003】
また、特許文献2には、後続車両への不快感を低減させることを目的としたフォグランプ装置が開示されている。このフォグランプ装置は、車両の後方に設けられたリアフォグランプと、後続車両を検出する後続車両検出手段と、後続車両検出手段により検出された後続車両が自車両から所定の距離内を走行していることを条件として、点灯状態にあるリアフォグランプを消灯する、あるいはリアフォグランプの光軸を下げる点灯態様変更制御手段とを備えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−278519号公報
【特許文献2】特開2008−213618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、リアフォグランプ制御装置について鋭意研究を重ねた結果、従来のリアフォグランプ装置には、その標識機能を高める上で改善の余地があることを認識するに至った。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、リアフォグランプ装置の標識機能の向上を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様はリアフォグランプ装置である。当該リアフォグランプ装置は、自車両の後方に第1レーザ光を照射し、後続車の運転者に輝点として視認される第1レーザ光照射部と、後続車の運転者に視認される光幕を形成するための第2レーザ光を第1レーザ光の照射方向に対して下向きに照射する第2レーザ光照射部と、を備える。この態様によれば、リアフォグランプ装置の標識機能の向上を図ることができる。
【0008】
上記態様において、第1レーザ光照射部は、第1レーザ光の集光度を低下させる集光度調節部を有してもよい。この態様によれば、第1レーザ光によって後続車両の運転者等がグレアを受けるおそれを低減させることができる。また、上記いずれかの態様において、自車両周囲の霧濃度に関する情報を取得する霧情報取得部と、霧濃度が所定のしきい値以上である場合に、第1レーザ光の輝度を、霧濃度が前記しきい値未満である場合よりも増大させる輝度調節部と、を備えてもよい。この態様によれば、後続車両の運転者に第1レーザ光照射部を視認させやすくすることができる。
【0009】
また、上記いずれかの態様において、第1レーザ光照射部及び第2レーザ光照射部に共通のレーザ光源を備え、第1レーザ光照射部は、第1レーザ光が出射される第1出射部と、レーザ光源から照射されるレーザ光の一部を第1レーザ光として第1出射部に導く第1光路とを有し、第2レーザ光照射部は、第2レーザ光が出射される第2出射部と、レーザ光源から照射されるレーザ光の少なくとも他の一部を、第2レーザ光として第2出射部に導く第2光路とを有してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リアフォグランプ装置の標識機能の向上を図る技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係るリアフォグランプ装置の構成概念図である。
図2】車両後方から見た実施の形態1に係るリアフォグランプ装置の概略図である。
図3】実施の形態2に係るリアフォグランプ装置の構成概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るリアフォグランプ装置の構成概念図である。図2は、車両後方から見た実施の形態1に係るリアフォグランプ装置の概略図である。なお、制御部300は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、図1ではそれらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0014】
本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1は、リアフォグランプユニット100と、霧情報取得装置200と、制御部300とを備える。以下、各部の構成について詳細に説明する。
【0015】
(リアフォグランプユニット)
リアフォグランプユニット100は、自車両の周囲に霧が発生している状況で点灯され、後続車両等に自車両の存在を視認させやすくするための標識灯として機能する。リアフォグランプユニット100は、自車両の後方に光を照射する灯具ユニットであり、車両後部の所定位置に設けられる。
【0016】
リアフォグランプユニット100は、ストップランプやテールランプを含むリアランプから所定の距離をあけて配置されことが好ましい。例えば、リアフォグランプユニット100は、左右(例えば車幅方向両端)に配置されるリアランプの間であって、車両後部の車幅方向中央部に配置される。これにより、後続車両の運転者は、リアフォグランプユニット100の後述する輝点K及び光幕Mを、リアランプの点灯による輝点及び光幕と区別しやすくなる。そのため、リアフォグランプ装置1の被視認性(すなわち、後続車両の運転者等におけるリアフォグランプ装置1の視認性)が向上する。また、リアフォグランプユニット100は、車室内に配置してもよい。これにより、リアフォグランプユニット100が置かれる環境の温度変化を、車室外に配置される場合に比べて小さくすることができる。このように、リアフォグランプユニット100を安定した温度環境に置くことで、より安定した光照射制御が可能となり、光源や電源のコスト削減を図ることができる。
【0017】
リアフォグランプユニット100は、ランプボディ(図示せず)と、ランプボディに取り付けられた透光カバー(図示せず)とで構成される灯室内に配置される。リアフォグランプユニット100は、レーザ光源102、ビームスプリッター104、第1レーザ光照射部110及び第2レーザ光照射部130を備える。
【0018】
レーザ光源102は、第1レーザ光照射部110及び第2レーザ光照射部130に共通の光源である。本実施の形態のレーザ光源102は、赤色のレーザ光Lを出射するレーザ光源であり、例えばレーザダイオード(半導体レーザー)で構成される。なお、レーザ光源102は、固体レーザ、ガスレーザ等の、レーザダイオード以外のレーザ装置で構成されてもよい。第1レーザ光照射部110と第2レーザ光照射部130とでレーザ光源102を共用することで、部品点数の削減やリアフォグランプ装置1の小型化を図ることができる。
【0019】
ビームスプリッター104は、ハーフミラー等で構成され、レーザ光源102から出射されるレーザ光Lの進路上に配置される。ビームスプリッター104は、レーザ光源102から出射されてビームスプリッター104に入射したレーザ光Lの一部を透過させて第1レーザ光照射部110に供給し、他の一部あるいは残り全てのレーザ光Lを反射させて第2レーザ光照射部130に供給する。
【0020】
(第1レーザ光照射部)
第1レーザ光照射部110は、第1出射部112、第1光路114、集光度調節部116及びレンズ118を有する。第1光路114は、レーザ光源102から照射されるレーザ光Lの一部を第1レーザ光L1として第1出射部112に導く光路である。第1レーザ光L1は、レーザ光Lのうちビームスプリッター104を透過したレーザ光である。第1出射部112に到達した第1レーザ光L1は、第1出射部112からリアフォグランプユニット100の外部に出射される。本実施の形態では、第1出射部112は、第1レーザ光L1の入射側(車両前方側)表面が平面で第1レーザ光L1の出射側(車両後方側)表面が凸面の平凸レンズで構成される。なお、第1出射部112は、他のレンズで構成されてもよいし、光学機能を有しない投光カバー等で構成されてもよい。
【0021】
集光度調節部116及びレンズ118は、ビームスプリッター104と第1出射部112との間の第1光路114上に配置される。レンズ118は、集光度調節部116よりも第1レーザ光L1の進行方向上流側に配置される。レンズ118は、平凸レンズで構成され、第1レーザ光L1が凸面側から入射して平面側から出射するように配置される。レンズ118を透過した第1レーザ光L1は、集光度調節部116を透過して、第1出射部112に到達する。
【0022】
集光度調節部116は、第1レーザ光L1の集光度を低下させるための部材である。集光度調節部116は、例えば透過型拡散板で構成される。より具体的には、集光度調節部116は、可視光域の光の透過率が50%以上のアルミナセラミックスや、曇りガラス等で構成することができる。第1レーザ光L1は、集光度調節部116を透過することで拡散され、その集光度が低下する。そして、集光度が低下した状態で第1出射部112から出射される。これにより、第1レーザ光L1によって後続車両の運転者等がグレアを受けるおそれを低減させることができる。
【0023】
第1レーザ光照射部110は、自車両の後方に第1レーザ光L1を照射し、後続車の運転者に輝点K(図2参照)として視認される。例えば、第1レーザ光照射部110は、第1レーザ光L1を略水平方向に照射する。これにより、第1レーザ光L1が後続車両に直接照射され、その結果、後続車両の運転者は第1レーザ光照射部110を輝点として視認することができる。
【0024】
(第2レーザ光照射部)
第2レーザ光照射部130は、第2出射部132及び第2光路134を有する。第2光路134は、レーザ光源102から照射されるレーザ光Lの少なくとも他の一部を第2レーザ光L2として第2出射部132に導く光路である。第2レーザ光L2は、レーザ光Lのうちビームスプリッター104で反射されたレーザ光である。第2レーザ光L2は、レーザ光Lのうち第1レーザ光L1を除くレーザ光の全部であっても一部であってもよい。第2出射部132に到達した第2レーザ光L2は、第2出射部132からリアフォグランプユニット100の外部に出射される。
【0025】
本実施の形態では、第2出射部132は、第2レーザ光L2の入射側表面が凸面で第2レーザ光L2の出射側表面が平面の平凸レンズで構成される。なお、第1出射部112は、シリンドリカルレンズやトーリックレンズ等の他のレンズで構成されてもよいし、光学機能を有しない投光カバー等で構成されてもよい。例えば、第2出射部132がシリンドリカルレンズやトーリックレンズで構成される場合、第2出射部132は、車両前後方向あるいは上下方向に比べて車幅方向に第2レーザ光L2をより広く拡散させるように姿勢が定められる。また、第2レーザ光L2は、その進行方向に対して直交する断面のビーム形状が、長軸が車幅方向に対して平行な楕円形であることが好ましい。これにより、楕円の長軸方向(すなわち車幅方向)に拡散し、楕円の短軸方向に集光した形状の配光パターンを形成することができる。
【0026】
第2レーザ光L2は、第1レーザ光L1の照射方向に対して下向きに照射される。第2レーザ光L2は、例えば水平方向よりも下方に向けて、より具体的には、自車両後方の1〜40mの地点に向けて出射される。自車両の周囲に霧が発生している状態で、リアフォグランプユニット100の第2レーザ光照射部130から自車両の後方へ第2レーザ光L2が照射されると、第2レーザ光L2が霧で拡散されて光幕Mが形成される。例えば光幕Mは、車両から離れるほど路面に近づくように傾斜し、車幅方向に所定幅を有する平面形状を有する。本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1は、高輝度で指向性の高い第2レーザ光L2を霧中に照射することで光幕Mを形成し、この光幕M(特に光幕Mの主表面)を後続車の運転者に視認させる。
【0027】
上述したように、本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1は、第1レーザ光照射部110により輝点Kを形成し、第2レーザ光照射部130により光幕Mを形成する。そのため、リアフォグランプ装置が輝点K及び光幕Mの一方のみを形成する場合に比べて、後続車両の運転者が自車両の存在を認識しやすくなる。すなわち、リアフォグランプ装置1の被視認性が向上する。
【0028】
また、輝点Kとして視認される第1レーザ光照射部110は、集光度調節部116を備える。これにより、第1レーザ光L1の集光度が低減されるため、第1レーザ光L1を直視することで後続車両の運転者がグレアを受けるおそれを低減させることができる。また、第2レーザ光L2が霧粒により拡散されて形成される光幕Mを後続車両の運転者に視認させることで、第2レーザ光L2により後続車両の運転者がグレアを受けるおそれを低減させることができる。
【0029】
なお、第2レーザ光照射部130は、以下のような構成により光幕Mを形成してもよい。すなわち、例えば、第2出射部132は光学機能を有しない投光カバーで構成され、第2光路134には所定の光透過率を有する透過型拡散板が第2レーザ光L2の進路を遮るように配置される。このような構成において、第2レーザ光L2は透過型拡散板によって拡散され、所定の拡がりをもってリアフォグランプユニット100の外部に照射される。これにより、光幕Mを形成することができる。また、MEMSミラー、ガルバノミラーあるいはポリゴンミラー等の高速振動あるいは高速回転によって、第2レーザ光L2の進行方向を連続的に変位させることでも、車幅方向に拡がる光幕Mを形成することができる。
【0030】
(霧情報取得装置)
霧情報取得装置200は、自車両周囲に発生する霧の濃度に関する情報を取得する装置である。ここで、霧の濃度と光幕Mの輝度とは相関関係を有する。具体的には、霧の濃度が濃いほど第2レーザ光L2が拡散しやすいため、光幕Mの輝度は高くなる。したがって、霧の濃度に関する情報には、光幕Mの輝度に関する情報が含まれる。本実施の形態では、霧情報取得装置200は、例えばカメラ等の撮像装置で構成され、光幕Mを撮像可能なように姿勢が定められて、車両に搭載される。霧情報取得装置200は、例えばリアフォグランプユニット100の下方に配置される。霧情報取得装置200が取得した画像データは、制御部300に送られる。この画像データには、光幕Mの輝度に関する情報、すなわち自車両周囲の霧濃度に関する情報が含まれる。なお、霧情報取得装置200は、リアフォグランプユニット100に内蔵されてもよい。
【0031】
(制御部)
制御部300は、リアフォグランプユニット100のレーザ光照射を制御するECUである。制御部300は、車両の所定位置に設けられる。なお、制御部300は、リアフォグランプユニット100に内蔵されてもよい。制御部300は、例えば車両に設けられた図示しないリアフォグランプスイッチが運転者によりオンにされると、レーザ光の照射制御を実行する。制御部300は、霧情報取得部310、輝度調節部320及び点灯制御モジュール330を備える。
【0032】
(霧情報取得部)
霧情報取得部310は、霧情報取得装置200が撮像した画像データを取得する。そして、霧情報取得部310は、当該画像データにBG補正(青、緑についての色補正)等の画像処理を施して画像データから光幕Mを検出し、光幕Mの輝度に関するデータを算出する。算出された光幕輝度データは、輝度調節部320に送られる。
【0033】
(点灯制御モジュール)
点灯制御モジュール330は、電源回路等で構成され、レーザ光源102の点灯に必要な電力を供給する。また、点灯制御モジュール330は、後述するように輝度調節部320から送信された輝度増大信号を受信すると、レーザ光源102に供給する電力を増大させる。これにより、第1レーザ光照射部110から出射される第1レーザ光L1の輝度を増大させることができる。輝度を増大させる程度は、リアフォグランプ装置1の被視認性向上等の観点に基づいた設計者による実験やシミュレーションの結果に応じて、適宜設定することが可能である。
【0034】
(輝度調節部)
輝度調節部320は、霧濃度が所定のしきい値以上である場合に、第1レーザ光L1の輝度を、霧濃度がしきい値未満である場合よりも増大させる。具体的には、輝度調節部320は、霧濃度判定部322と、信号出力部324とを備える。
【0035】
(霧濃度判定部)
上述したように、光幕Mの輝度と霧の濃度とは相関関係を有する。したがって、霧の濃度について所定のしきい値と、このしきい値に対応する光幕Mの基準輝度とを設定した場合、霧の濃度がしきい値以上であると光幕Mの輝度は基準輝度以上となり、一方、霧の濃度がしきい値未満であると光幕Mの輝度は基準輝度未満となる。そのため、光幕Mの輝度が基準輝度以上であるか否かに基づいて、霧の濃度がしきい値以上であるか否かを判定することが可能である。
【0036】
そこで、霧濃度判定部322は、霧情報取得部310により算出された光幕輝度データを用いて自車両周囲の霧の濃度を判定する。霧濃度判定部322は、光幕Mの基準輝度を示す情報を図示しないメモリ内に予め有し、光幕Mの輝度が基準輝度以上である場合に、霧の濃度が所定のしきい値以上であることを示す高濃度信号を信号出力部324へ出力する。信号出力部324は、高濃度信号を取得した場合に輝度増大信号を点灯制御モジュール330へ出力する。これにより、レーザ光源102から出射されるレーザ光Lの輝度が増大し、その結果、第1レーザ光照射部110から出射される第1レーザ光L1の輝度が増大する。
【0037】
霧の濃度が高濃度である場合、後続車両の運転者は、第1レーザ光照射部110を輝点Kとして視認しにくくなる。これに対し、上述のように光幕Mの輝度が基準輝度以上である場合、すなわち霧濃度が所定のしきい値以上の高濃度である場合に、第1レーザ光L1の輝度を増大させることで、後続車両の運転者に第1レーザ光照射部110を視認させやすくすることができる。
【0038】
ここで、前記「所定のしきい値」は、霧による第1レーザ光照射部110の被視認性の低下等の観点に基づいた設計者による実験やシミュレーションの結果に応じて、適宜設定することが可能である。前記「基準輝度」とは、霧濃度がしきい値にある状況で形成される光幕Mの輝度である。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1は、自車両の後方に第1レーザ光L1を照射し、後続車の運転者に輝点Kとして視認される第1レーザ光照射部110と、後続車の運転者に視認される光幕Mを形成するための第2レーザ光L2を照射する第2レーザ光照射部130と、を備える。これにより、リアフォグランプ装置1の被視認性を高めることができる。よって、リアフォグランプ装置1の標識機能の向上を図ることができる。
【0040】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るリアフォグランプ装置は、リアフォグランプユニットの構造が実施の形態1に係るリアフォグランプ装置と異なる点を除き、実施の形態1に係るリアフォグランプ装置の構成と共通する。以下、実施の形態2に係るリアフォグランプ装置について実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
【0041】
図3は、実施の形態2に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの概略構造を示す断面図である。なお、本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1は、実施の形態1と同様の霧情報取得装置200及び制御部300を備える。本実施の形態のリアフォグランプユニット100は、レーザ光源102、ビームスプリッター104、第1レーザ光照射部110及び第2レーザ光照射部130を備える。
【0042】
レーザ光源102は、第1レーザ光照射部110及び第2レーザ光照射部130に共通の光源である。ビームスプリッター104は、レーザ光Lの進路上に配置され、レーザ光Lの一部を透過させて第1レーザ光照射部110に供給し、他の一部あるいは残り全てのレーザ光Lを反射させて第2レーザ光照射部130に供給する。
【0043】
(第1レーザ光照射部)
第1レーザ光照射部110は、第1出射部112、第1光路114、集光度調節部116、及びリフレクタ120を有する。第1光路114は、レーザ光源102から照射されるレーザ光Lの一部を第1レーザ光L1として第1出射部112に導く光路である。第1レーザ光L1は、第1出射部112からリアフォグランプユニット100の外部に出射される。
【0044】
集光度調節部116及びリフレクタ120は、ビームスプリッター104と第1出射部112との間の第1光路114上に配置される。リフレクタ120は、集光度調節部116よりも第1レーザ光L1の進行方向上流側に配置される。リフレクタ120は、第1レーザ光L1を反射する反射面を有し、ビームスプリッター104を透過した第1レーザ光L1を集光度調節部116に向けて反射するように、レーザ光源102、ビームスプリッター104及び集光度調節部116との位置関係が定められる。
【0045】
集光度調節部116は、第1レーザ光L1の集光度を低下させるための部材である。集光度調節部116は、例えば反射型拡散板で構成される。より具体的には、集光度調節部116は、可視光域の光の透過率が50%以上85%以下のアルミナセラミックス等で構成することができる。第1レーザ光L1は、集光度調節部116で反射する際に拡散され、その集光度が低下する。集光度調節部116は、第1レーザ光L1を第1出射部112に向かて反射するように、リフレクタ120及び第1出射部112との位置関係が定められる。第1レーザ光照射部110は、第1出射部112から自車両の後方に第1レーザ光L1を照射し、後続車の運転者に輝点Kとして視認される。
【0046】
(第2レーザ光照射部)
第2レーザ光照射部130は、第2出射部132及び第2光路134を有する。第2光路134は、ビームスプリッター104で反射された第2レーザ光L2を第2出射部132に導く光路である。第2出射部132に到達した第2レーザ光L2は、第2出射部132からリアフォグランプユニット100の外部に出射される。第2レーザ光L2は、第1レーザ光L1の照射方向に対して下向きに照射される。自車両の周囲に霧が発生している状態で第2レーザ光L2が照射されると、第2レーザ光L2が霧で拡散されて光幕Mが形成される。
【0047】
以上説明したように、反射型拡散板からなる集光度調節部116を有する構成によっても、リアフォグランプ装置1の被視認性を高めることができ、リアフォグランプ装置1の標識機能の向上を図ることができる。なお、集光度調節部116が透過型反射板で構成される実施の形態1によれば、集光度調節部116が反射型拡散板で構成される実施の形態2に比べて第1光路114の光路長を短くしやすいため、構造の簡略化及び装置の小型化を容易に図ることができる。一方、実施の形態2によれば、集光度調節部116を透過させることによるレーザ光の損失がないため、実施の形態1に比べて光利用率の向上を図ることができる。
【0048】
本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることが可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれる。上述した各実施の形態に変形が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0049】
リアフォグランプ装置1の被視認性をより向上させるために、リアフォグランプ装置1は、光幕を形成するための第3レーザ光を水平方向より上方に照射する第3レーザ光照射部を備えてもよい。この場合、第3レーザ光照射部は、信号機が照射する赤色光のピーク波長とは異なるピーク波長を有する第3レーザ光を照射する。例えば、第3レーザ光照射部は、信号機の赤色光のピーク波長よりも短波長側にピーク波長を有する第3レーザ光を照射する。これにより、後続車両の運転者等は、信号機の赤色光と、第3レーザ光により形成される光幕Mとをより確実に識別することができる。よって、リアフォグランプ装置1の被視認性を向上させるとともに、信号機の被視認性の低下を抑制することができる。
【0050】
霧情報取得装置200は、例えば第2レーザ光L2の波長領域のみに対して感度を有するフォトダイオード等で構成される光検出器であってもよい。また、霧情報取得装置200は、湿度センサ等で構成され、光幕Mの輝度によらずに霧濃度に関する情報を取得してもよい。また、実施の形態1における第1レーザ光照射部110の集光度調節部116は、第1出射部112に設けられてもよい。言い換えれば、第1出射部112を構成するレンズに表面処理が施され、このレンズが集光度調節部116として機能してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 リアフォグランプ装置、 100 リアフォグランプユニット、 102 レーザ光源、 110 第1レーザ光照射部、 112 第1出射部、 114 第1光路、 116 集光度調節部、 130 第2レーザ光照射部、 132 第2出射部、 134 第2光路、 310 霧情報取得部、 320 輝度調節部、 K 輝点、 L レーザ光、 L1 第1レーザ光、 L2 第2レーザ光、 M 光幕。
図1
図2
図3