(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るリアフォグランプ制御装置を備えるリアフォグランプシステムの構成概念図である。なお、リアフォグランプ制御装置300は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、
図1ではそれらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0014】
図2(A)は、車両が乾燥路面を走行する状況でカメラが取得した画像データを示す模式図である。
図2(B)は、車両がウェット路面を走行する状況でカメラが取得した画像データを示す模式図である。
図3(A)は、ウェット路面におけるレーザ光の反射を説明するための模式図である。
図3(B)は、車両が傾斜した路面を走行する状況でのレーザ光の出射方向を説明するための模式図である。
図3(A)において、ハッチングが付された領域はカメラ200の撮像領域を示している。
【0015】
本実施の形態に係るリアフォグランプシステム1は、リアフォグランプユニット100と、路面情報取得装置としてのカメラ200、傾斜角センサ210及びナビゲーションシステム220と、リアフォグランプ制御装置300と、を備える。以下、各部の構成について詳細に説明する。
【0016】
(リアフォグランプユニット)
リアフォグランプユニット100は、自車両の後方に光を照射する灯具ユニットであり、車両後部の所定位置に設けられる。リアフォグランプユニット100は、自車両の周囲に霧が発生している状況で点灯され、後続車両等に自車両の存在を視認させやすくするための標識灯として機能する。
【0017】
リアフォグランプユニット100は、車両後方側に開口部を有するランプボディ(図示せず)と、ランプボディの開口部を覆うように取り付けられた透光カバー(図示せず)とで構成される灯室内に配置される。リアフォグランプユニット100は、光源102、リフレクタ104及びレンズ106を有する。
【0018】
本実施の形態の光源102は、赤色のレーザ光Lを出射するレーザ光源であり、例えばレーザダイオードで構成される。なお、光源102は、固体レーザ、ガスレーザ等の、レーザダイオード以外のレーザ装置で構成されてもよい。また、光源102は、レーザ光源に限定されず、LEDや、レーザ光源やLEDとこれらを励起光源とする蛍光体との組み合わせ等で構成されてもよい。
【0019】
リフレクタ104は、レーザ光Lを反射する反射面を有し、光源102から出射されたレーザ光Lをレンズ106に向けて反射するように、光源102及びレンズ106との位置関係が定められている。レンズ106は、リフレクタ104で反射されたレーザ光Lをリアフォグランプユニット100の外部に出射する光学部材である。レンズ106は、水平方向よりも下方に向けてレーザ光Lを出射する。例えば、レーザ光Lは自車両後方の2〜10mの地点に向けて出射される。レンズ106は例えばシリンドリカルレンズで構成され、レーザ光Lは、レンズ106によって車幅方向に拡散させられる。
【0020】
自車両の周囲に霧が発生している状態で、リアフォグランプユニット100から自車両の後方へレーザ光Lが照射されると、レーザ光Lが霧で拡散されて光幕Mが形成される。例えば光幕Mは、車両から離れるほど路面に近づくように傾斜し、車幅方向に所定幅を有する平面形状を有する。本実施の形態に係るリアフォグランプシステム1は、高輝度で指向性の高いレーザ光Lを霧中に照射することで光幕Mを形成し、この光幕M(特に光幕Mの主表面)を後続車両の運転者等に視認させる。これにより、当該運転者等による視認性の向上と、グレアを与えるおそれの低減とを図ることができる。
【0021】
上述したように、本実施の形態では、シリンドリカルレンズで構成されるレンズ106によってレーザ光Lを車幅方向に拡散させて光幕Mを形成しているが、光幕Mを形成するための構成は、特にこれに限定されない。例えば、光源102がレーザ光Lを水平方向よりも下方に出射するよう姿勢が定められ、また、リフレクタ104の設置が省略される。そして、レンズ106は、所定の光拡散能を有する回折格子等で構成される。このような構成において、レーザ光Lは、光源102から出射されるとレンズ106によって拡散されて、所定の拡がりをもってリアフォグランプユニット100の外部に照射される。これにより、光幕Mを形成することができる。
【0022】
また、リフレクタ104がMEMSミラー、ガルバノミラーあるいはポリゴンミラー等で構成され、反射面の高速振動あるいは高速回転によってレーザ光Lの進行方向を連続的に変位させることでも、所定形状の光幕Mを形成することができる。
【0023】
(路面情報取得装置)
路面情報取得装置は、自車両が走行する路面に関する情報を取得する装置である。本実施の形態では、撮像装置であるカメラ200、傾斜角センサ210及びナビゲーションシステム220のそれぞれが、路面情報取得装置を構成している。路面情報取得装置としてのカメラ200は、
図2(A)及び
図2(B)に示すように、少なくとも自車両後方の路面Rにおける光幕M(あるいはレーザ光L)と接する領域P(レーザ光Lが直に照射される領域)、及び/又は自車両後方の路面Rにおける領域Pと自車両後端部近傍との間の領域Nを撮像可能なように姿勢が定められて、車両に搭載される。領域Nは、例えば、路面Rのうち領域Pと接するとともに自車両後端部近傍まで延在する領域である。カメラ200は、例えばリアフォグランプユニット100の下方に配置される。カメラ200が取得した画像データは、リアフォグランプ制御装置300に送られる。なお、カメラ200は、リアフォグランプユニット100に内蔵されてもよい。
【0024】
路面情報取得装置としての傾斜角センサ210は、例えば加速度センサやジャイロセンサ、地磁気センサ等の、路面傾斜角を検出可能な従来公知のセンサで構成され、水平面に対する路面の傾斜角を検出する。傾斜角センサ210が検出した路面傾斜角は、リアフォグランプ制御装置300に送られる。路面情報取得装置としてのナビゲーションシステム220は、保持している情報の中から車両が位置する路面の傾斜角をリアフォグランプ制御装置300に送る。傾斜角センサ210及びナビゲーションシステム220は、車両の任意の位置や、リアフォグランプユニット100の内部に配置することができる。
【0025】
(リアフォグランプ制御装置)
リアフォグランプ制御装置300は、路面の状態に応じてリアフォグランプユニット100の光照射を制御する装置である。すなわち、リアフォグランプ制御装置300は自車両の位置する路面の状態が、リアフォグランプユニット100の光照射によって自車両周囲に位置する車両や歩行者等にグレアを与える可能性が高い状態であるか否かを判定し、判定結果に応じてレーザ光Lの輝度を調節する。リアフォグランプ制御装置300は、車両の任意の位置や、リアフォグランプユニット100の内部に配置することができる。
【0026】
リアフォグランプ制御装置300は、例えば車両に設けられた図示しないリアフォグランプスイッチが運転者によりオンにされると、レーザ光Lの照射制御を実行する。リアフォグランプ制御装置300は、路面情報取得部310、輝度調節部320及び点灯制御モジュール330を備える。
【0027】
(路面情報取得部)
路面情報取得部310は、路面情報取得装置が得た路面情報を取得する。本実施の形態では、路面情報取得部310は、カメラ200が取得した画像データを、路面情報として取得する。そして、路面情報取得部310は、当該画像データにBG補正(青、緑についての色補正)等の画像処理を施して光幕Mを検出し、光幕Mの輝度や形状、位置に関するデータを算出する。また、領域P及び/又は領域Nの輝度や位置に関するデータを算出する。算出されたデータは、輝度調節部320に送られる。また、路面情報取得部310は、傾斜角センサ210が検出した路面傾斜角、あるいはナビゲーションシステム220が保持する路面傾斜角を路面情報として取得する。取得した路面傾斜角は、輝度調節部320に送られる。
【0028】
(点灯制御モジュール)
点灯制御モジュール330は、電源回路等で構成され、光源102の点灯に必要な電力を供給する。また、点灯制御モジュール330は、後述するように輝度調節部320から送信された輝度低減信号を受信すると、光源102に供給する電力を低減させる。これにより、光源102から出射されるレーザ光Lの輝度を低減させることができる。点灯制御モジュール330は、輝度低減信号を受信した場合、レーザ光Lの輝度を0まで低減(すなわち消灯)させてもよいし、光源102の点灯状態を維持したまま後続車両の運転者等にグレアを与えるおそれを低減できる程度まで低減させてもよい。輝度を低減させる程度は、後続車両の運転者等にグレアを与えるか否かの観点に基づいた設計者による実験やシミュレーションの結果に応じて、適宜設定することが可能である。
【0029】
(輝度調節部)
輝度調節部320は、路面情報取得部310から送られる路面情報をもとに、レーザ光Lの輝度を調節する。具体的には、輝度調節部320は、路面の状態が、リアフォグランプユニット100から自車両の後方に照射されるレーザ光Lにより後続車の運転者等がグレアを受けると推定される所定のグレア推定状態にある場合に、レーザ光Lの輝度を、グレア推定状態でない場合に照射されるレーザ光Lの輝度(以下では適宜、「基準輝度」という)よりも低減させるよう輝度低減信号を出力する。
【0030】
図3(A)に示すように、路面が所定のウェット状態にある場合、リアフォグランプユニット100から水平方向より下方に照射されるレーザ光Lは、路面Rに到達すると路面Rで反射されて、水平方向より上方に向けて進行する。この水平方向より上方に向けて進行するレーザ光Lは、後続車両の運転者や歩行者等にグレアを与えるおそれがある。したがって、路面Rのグレア推定状態には、所定のウェット状態が含まれる。前記「所定のウェット状態」は、後続車両の運転者等にグレアを与えるか否か等の観点に基づいた設計者による実験やシミュレーションの結果に応じて、適宜設定することが可能である。
【0031】
また、
図3(B)に示すように、自車両の位置する路面Rが斜面である場合、車両が略水平な路面上に位置する状態でレーザ光Lの進行方向が水平方向よりも下方に設定されていても、自車両よりも後方の路面R上においてレーザ光Lの進行方向が水平以上となる場合がある。この場合、レーザ光Lが後続車両の運転者や歩行者に直接照射されて、後続車両の運転者や歩行者にグレアを与えるおそれがある。したがって、路面Rのグレア推定状態には、所定の傾斜状態が含まれる。前記「所定の傾斜状態」は、後続車両の運転者等にグレアを与えるか否か等の観点に基づいた設計者による実験やシミュレーションの結果に応じて、適宜設定することが可能である。
【0032】
輝度調節部320は、路面の状態が、所定のウェット状態及び所定の傾斜状態の少なくとも一方を満たす場合に、輝度低減信号を出力する。より具体的には、輝度調節部320は、路面状態判定部322と、信号出力部324とを備える。
【0033】
(路面状態判定部)
図3(B)に示すように、路面Rがウェット状態にある場合、路面Rにおける光幕Mが接する領域Pでは、光幕Mを形成するレーザ光Lが路面Rで反射されるため、路面Rが乾燥状態にある場合の領域Pに比べて輝度が低くなる。また、同時に領域Nに光幕Mが写り込むため、路面Rの領域Nは、路面Rが乾燥状態にある場合の領域N(
図3(A)参照)に比べて輝度が高くなる。そのため、領域P及び/又は領域Nの輝度に基づいて、路面の状態がウェット状態であるか否かを判定することができる。
【0034】
路面状態判定部322は、路面情報取得部310により算出されたデータをもとに、路面状態を判定する。具体的には、路面状態判定部322は、路面Rが乾燥状態にあるときの領域P及び/又は領域Nの輝度(以下では適宜、「基準路面輝度」という)を示す情報を図示しないメモリ内に予め有する。そして、路面情報取得部310から送られるデータに含まれる領域Pの輝度が領域Pについての基準路面輝度を下回る場合、及び/又は領域Nの輝度が領域Nについての基準路面輝度を上回る場合に、路面が所定のウェット状態にあると判断して、所定のウェット状態であることを示すウェット信号を信号出力部324へ出力する。信号出力部324は、ウェット信号を取得した場合に輝度低減信号を点灯制御モジュール330へ出力する。ここで、前記「基準路面輝度」は、後続車両の運転者等にグレアを与えるか否か等の観点に基づいた設計者による実験やシミュレーションの結果に応じて、適宜設定することが可能である。
【0035】
上述したように、路面Rが所定のウェット状態にある場合、リアフォグランプユニット100から照射されるレーザ光Lが路面Rで反射され、反射光により自車両の後方に位置する運転者や歩行者等がグレアを受けるおそれが高まる。これに対し、領域Pの輝度が基準路面輝度を下回る場合、及び/又は領域Nの輝度が基準路面輝度を上回る場合、すなわち路面Rが所定のウェット状態にある場合に、レーザ光Lの輝度を低減させることで、これらの運転者や歩行者等がレーザ光Lによってグレアを受けるおそれを低減させることができる。
【0036】
また、路面状態判定部322は、路面Rが基準状態にあるときの路面傾斜角(以下では適宜、「基準傾斜角」という)を示す情報をメモリ内に予め有する。ここで、前記「基準状態」は、後続車両の運転者等にグレアを与えるか否か等の観点に基づいた設計者による実験やシミュレーションの結果に応じて、適宜設定することが可能である。例えば、基準状態は水平な状態である。そして、路面情報取得部310から送られる路面傾斜角が基準傾斜角を上回る場合に、路面Rの状態が所定の傾斜状態にあると判断して、所定の傾斜状態であることを示す傾斜信号を信号出力部324へ出力する。信号出力部324は、傾斜信号を取得した場合に輝度低減信号を点灯制御モジュール330へ出力する。なお、路面状態判定部322は、カメラ200が撮像した画像データを用いて、レーザ光Lの照射距離、すなわち領域Pの位置に基づいて、路面Rの傾斜を判定してもよい。
【0037】
上述したように、路面Rが所定の傾斜状態にある場合、リアフォグランプユニット100から照射されるレーザ光Lが自車両の後方に位置する運転者や歩行者等に直接照射されて、これらの運転者や歩行者等にグレアを与えるおそれがある。これに対し、路面傾斜角が基準傾斜角を上回る場合に、すなわち路面Rの状態が所定の傾斜状態にある場合に、レーザ光Lの輝度を低減させることで、これらの運転者や歩行者等に対してグレアを与えるおそれを低減させることができる。
【0038】
なお、路面状態判定部322は、傾斜角センサ210が検出した路面傾斜角に基づいて路面Rの傾斜を判定してもよいし、ナビゲーションシステム220から送られる路面傾斜角に基づいて路面Rの傾斜を判定してもよいし、両者を組み合わせて路面Rの傾斜を判定してもよい。
【0039】
リアフォグランプ制御装置300は、例えば次のようにしてレーザ光Lの照射制御を実行する。
図4は、実施の形態1に係るリアフォグランプ制御装置により実行される制御の一例を示すフローチャートである。このフローは、リアフォグランプスイッチがオンにされた場合にリアフォグランプ制御装置300により所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0040】
まず、路面状態判定部322は、領域P及び/又は領域Nの輝度に基づいて路面Rが所定のウェット状態であるか判断する(S101)。路面Rが所定のウェット状態である場合(S101のY)、路面状態判定部322は、ウェット信号を信号出力部324へ出力する。信号出力部324は、ウェット信号を受信すると、輝度低減信号を点灯制御モジュール330に出力する。点灯制御モジュール330は、輝度低減信号を受信すると、光源102に供給する電力を調整してレーザ光Lの輝度を低減させる(S103)。
【0041】
路面Rが所定のウェット状態でない場合(S101のN)、路面状態判定部322は、傾斜角センサ210が検出した路面傾斜角、及び/又はナビゲーションシステム220が保持する路面傾斜角に基づいて路面Rが所定の傾斜状態であるか判断する(S102)。路面Rが所定の傾斜状態である場合(S102のY)、路面状態判定部322は、傾斜信号を信号出力部324へ出力する。そして、信号出力部324から点灯制御モジュール330へ輝度低減信号が出力され、点灯制御モジュール330がレーザ光Lの輝度を低減させる(S103)。路面Rが所定の傾斜状態でない場合(S102のN)、レーザ光Lの輝度が維持され、本ルーチンが終了する。なお、ウェット状態の判定よりも先に傾斜状態の判定を実施してもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態に係るリアフォグランプ制御装置300では、路面情報取得部310が自車両が走行する路面Rに関する情報を取得し、路面状態判定部322が、路面Rの状態が所定のグレア推定状態にある場合にレーザ光Lの輝度を低減させる。これにより、自車両後方の周囲に位置する車両や歩行者等に対してグレアを与えるおそれを低減させることができる。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るリアフォグランプシステムは、路面情報取得装置としてカメラに代えてレーザ送受ユニットを備え、また車速センサ及び低減待機時間算出部を備える点を除き、実施の形態1に係るリアフォグランプシステムの構成と共通する。以下、実施の形態2に係るリアフォグランプシステムについて実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
【0044】
図5は、実施の形態2に係るリアフォグランプシステムの構成概念図である。
図6は、実施の形態2に係るリアフォグランプ制御装置が実行する光照射制御を説明するための模式図である。本実施の形態に係るリアフォグランプシステム1は、リアフォグランプユニット100と、路面情報取得装置としてのレーザ送受ユニット240、傾斜角センサ210及びナビゲーションシステム220と、車速センサ230と、リアフォグランプ制御装置300と、を備える。以下、各部の構成について詳細に説明する。
【0045】
(リアフォグランプユニット)
リアフォグランプユニット100は、実施の形態1と同様の構成を備える。
【0046】
(路面情報取得装置)
路面情報取得装置としてのレーザ送受ユニット240は、送光部242と、受光部244とを有する。レーザ送受ユニット240は、リアフォグランプユニット100が出射するレーザ光Lの路面到達点Y(すなわち光幕Mと路面Rとの境界線、あるいは領域P)よりも車両進行方向前方側、例えば鉛直方向下方に向けて、ウェット検知用レーザ光SLを照射するように姿勢が定められて、車両の所定位置に搭載される。送光部242は、ウェット検知用レーザ光SLを路面Rに向けて照射する。受光部244は、ウェット検知用レーザ光SLが路面Rの冠水部W(
図6参照)で反射されて生じる反射光SL’を受光する。受光部244が反射光SL’を受光すると、レーザ送受ユニット240は、受光信号をリアフォグランプ制御装置300に送信する。また、反射光SL’の受光が停止すると、受光停止信号をリアフォグランプ制御装置300に送信する。レーザ送受ユニット240は、車両の任意の位置や、リアフォグランプユニット100の内部に配置することができる。路面情報取得装置としての傾斜角センサ210及びナビゲーションシステム220は、実施の形態1と同様の構成を備える。
【0047】
(リアフォグランプ制御装置)
リアフォグランプ制御装置300は、路面情報取得部310、輝度調節部320及び点灯制御モジュール330を備える。
【0048】
(路面情報取得部)
路面情報取得部310は、路面情報取得装置が得た路面情報を取得する。本実施の形態では、路面情報取得部310は、レーザ送受ユニット240が送信する受光信号及び受光停止信号を、路面情報として取得する。取得した受光信号及び受光停止信号は、輝度調節部320に送られる。また、路面情報取得部310は、傾斜角センサ210が検出した路面傾斜角、あるいはナビゲーションシステム220が保持する路面傾斜角を路面情報として取得する。取得した路面傾斜角は、輝度調節部320に送られる。
【0049】
(点灯制御モジュール)
点灯制御モジュール330は、実施の形態1と同様に、輝度調節部320から送信された輝度低減信号を受信すると、光源102に供給する電力を低減させる。これにより、レーザ光Lの輝度が低減される。また、輝度低減信号の受信が停止すると、光源102に供給する電力を、路面Rがグレア推定状態でない場合に光源102に供給する電力(以下では適宜、「基準電力」という)に戻す。これにより、低減されていたレーザ光Lの輝度が、基準輝度に戻る。
【0050】
(輝度調節部)
輝度調節部320は、路面状態判定部322と、信号出力部324と、低減待機時間算出部326とを備える。
【0051】
(路面状態判定部)
路面Rがウェット状態にある場合、レーザ送受ユニット240の送光部242から出射されたウェット検知用レーザ光SLは、路面Rの冠水部Wにおいて反射され、反射光SL’が生じる。そのため、反射光SL’の有無に基づいて、路面の状態がウェット状態であるか否かを判定することができる。そこで、路面状態判定部322は、レーザ送受ユニット240から送信される受光信号を用いて路面状態を判定する。
【0052】
具体的には、路面状態判定部322は、受光信号を受信した場合に、路面が所定のウェット状態にあると判断する。また、路面状態判定部322は、低減待機時間算出部326から後述する低減待機時間に関する情報を取得し、低減待機時間の経過を判定する。そして、低減待機時間の経過後に、所定のウェット状態であることを示すウェット信号を信号出力部324へ出力する。信号出力部324は、ウェット信号を取得した場合に輝度低減信号を点灯制御モジュール330へ出力する。これにより、後続車両の運転者や歩行者等がレーザ光Lによってグレアを受けるおそれを低減させることができる。
【0053】
また、路面状態判定部322は、低減待機時間算出部326から後述する低減終了時間に関する情報を取得し、低減終了時間に達したか否かを判定する。そして、低減終了時間に達した場合に、輝度低減停止信号を信号出力部324へ出力する。信号出力部324は、輝度低減停止信号を受信すると輝度低減信号の送信を停止する。これにより、点灯制御モジュール330は、光源102に供給する電力を基準電力に戻す。
【0054】
(低減待機時間算出部)
低減待機時間算出部326は、ウェット検知用レーザ光SLの路面到達点Xと、レーザ光Lの路面到達点Yとの間の距離に関する情報(以下では適宜、「距離情報」という)を図示しないメモリ内に予め有する。また、低減待機時間算出部326は、車速センサ230から車速を取得する。そして、低減待機時間算出部326は、路面情報取得部310から受光信号を受信すると、反射光SL’を発生させた路面Rの冠水部Wがレーザ光Lの路面到達点Yに移動するまでの時間を、距離情報と車速とを用いて算出する。そして、算出された時間を低減待機時間として路面状態判定部322に送る。
【0055】
また、低減待機時間算出部326は、路面情報取得部310から受光停止信号を受信すると、反射光SL’を発生させた路面Rの冠水部Wがレーザ光Lの路面到達点を通過し終わるまでの時間を、距離情報と車速とを用いて算出する。そして、算出された時間を低減終了時間として路面状態判定部322に送る。なお、低減終了時間は、次のようにして算出されてもよい。すなわち、レーザ送受ユニット240は、反射光SL’を受光している間は受光信号の送信を継続する。そして、低減待機時間算出部326は、受光信号の受信が停止すると、受信が停止したタイミングと距離情報と車速とを用いて低減終了時間を算出する。
【0056】
また、路面状態判定部322は、路面情報取得部310から送られる路面傾斜角が基準傾斜角を上回る場合に、路面Rの状態が所定の傾斜状態にあると判断して、所定の傾斜状態であることを示す傾斜信号を信号出力部324へ出力する。信号出力部324は、傾斜信号を取得した場合に輝度低減信号を点灯制御モジュール330へ出力する。これにより、後続車両の運転者や歩行者等がレーザ光Lによってグレアを受けるおそれを低減させることができる。
【0057】
リアフォグランプ制御装置300は、例えば次のようにしてレーザ光Lの照射制御を実行する。
図7は、実施の形態2に係るリアフォグランプ制御装置により実行される制御の一例を示すフローチャートである。このフローは、リアフォグランプスイッチがオンにされた場合にリアフォグランプ制御装置300により所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0058】
まず、路面状態判定部322は、反射光SL’の有無に基づいて路面Rが所定のウェット状態であるか判断する(S201)。路面Rが所定のウェット状態である場合(S201のY)、低減待機時間算出部326は、低減待機時間を算出する(S202)。そして、路面状態判定部322は、低減待機時間を経過したか判断する(S203)。低減待機時間を経過していない場合(S203のN)、路面状態判定部322は、低減待機時間を経過したか否かの判断を繰り返す。低減待機時間を経過した場合(S203のY)、路面状態判定部322は、ウェット信号を信号出力部324へ出力する。信号出力部324は、ウェット信号を受信すると、輝度低減信号を点灯制御モジュール330に出力する。点灯制御モジュール330は、輝度低減信号を受信すると、光源102に供給する電力を調整してレーザ光Lの輝度を低減させる(S204)。
【0059】
続いて、低減待機時間算出部326は、路面情報取得部310から受光停止信号を受信したか判断する(S205)。受光停止信号を受信していない場合(S205のN)、低減待機時間算出部326は、受光停止信号を受信したか否かの判断を繰り返す。受光停止信号を受信した場合(S205のY)、低減待機時間算出部326は、低減終了時間を算出する(S206)。路面状態判定部322は、低減待機時間算出部326から低減待機時間を取得し、低減終了時間に達したか判断する(S207)。低減終了時間に達していない場合(S207のN)、路面状態判定部322は、低減終了時間に達したか否かの判断を繰り返す。低減終了時間に達した場合(S207のY)、路面状態判定部322は、輝度低減停止信号を信号出力部324へ出力する。信号出力部324は、輝度低減停止信号を受信すると、輝度低減信号の点灯制御モジュール330への送信を停止する。点灯制御モジュール330は、輝度低減信号の受信が停止すると、光源102に供給する電力を基準電力に戻す。これにより、レーザ光Lの輝度は基準輝度に戻る(S208)。
【0060】
路面Rが所定のウェット状態でない場合(S201のN)、路面状態判定部322は、路面Rが所定の傾斜状態であるか判断する(S209)。路面Rが所定の傾斜状態である場合(S209のY)、路面状態判定部322は、傾斜信号を信号出力部324へ出力する。そして、信号出力部324から点灯制御モジュール330へ輝度低減信号が出力され、点灯制御モジュール330がレーザ光Lの輝度を低減させる(S210)。路面Rが所定の傾斜状態でない場合(S209のN)、レーザ光Lの輝度が維持され、本ルーチンが終了する。
【0061】
以上説明した実施の形態2によっても、自車両後方の周囲に位置する車両や歩行者等に対してグレアを与えるおそれを低減させることができる。
【0062】
本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくは変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれる。上述の各実施の形態が組み合わせられた新たな実施の形態、及び上述の各実施の形態に変形が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0063】
上述した各実施の形態では、路面状態判定部322が路面Rのウェット状態及び傾斜状態を判定しているが、ウェット状態及び傾斜状態のいずれか一方のみを判定してもよい。
【0064】
リアフォグランプ制御装置300は、車両の走行状態に応じてリアフォグランプユニット100の光照射を制御してもよい。すなわち、例えば車輪がスリップした状態や、車両がスピン(オーバーステア)した状態では、レーザ光Lが意図せぬ方向に照射されるおそれがある。そこで、リアフォグランプ制御装置300は、舵角センサ、ヨーレートセンサ、加速度センサ、カメラ等から情報を取得して車両の挙動を検出し、車両の挙動が不安定な状態にある場合に、レーザ光Lの輝度を低減、あるいはレーザ光Lの照射を停止させる。これにより、自車両周囲の車両の運転者や歩行者等にグレアを与えるおそれを低減させることができる。車両の挙動が不安定な状態になることを、急激なハンドル操作や急ブレーキ等から予測してもよい。