特許第6203541号(P6203541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203541
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】リアフォグランプ装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/24 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   B60Q1/24 Z
【請求項の数】2
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-114980(P2013-114980)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-234004(P2014-234004A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】増田 剛
(72)【発明者】
【氏名】市川 知幸
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】津田 俊明
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102765348(CN,A)
【文献】 特表2012−501045(JP,A)
【文献】 特開2007−276704(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103522939(CN,A)
【文献】 中国実用新案第203283102(CN,U)
【文献】 米国特許第06883947(US,B1)
【文献】 特開平05−185873(JP,A)
【文献】 特開2012−171537(JP,A)
【文献】 特開平11−278182(JP,A)
【文献】 特開2008−213618(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02848511(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の後方に照射されるレーザ光を生成するレーザ光源と、
前記レーザ光の光路方向及び光路幅の少なくとも一方を変化させて、前記レーザ光が霧で拡散されることで形成される光幕の変形及び変位の少なくとも一方を行う光幕調節部と、
を備え
前記光幕調節部は、形成された状態の前記光幕を周期的に変形または変位させることを特徴とするリアフォグランプ装置。
【請求項2】
自車両が走行する道路の線形を検知する線形検知装置の検知結果を取得する線形取得部と、
前記線形に沿って前記光幕が変位するよう前記光幕調節部を制御する光幕制御部と、
を備える請求項1に記載のリアフォグランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアフォグランプ装置に関し、特に自動車などの車両に用いられるリアフォグランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両後方に光照射し、後続車両等に自車両の存在を視認させるための標識灯として機能するリアフォグランプ装置が知られている。例えば、特許文献1には、霧の発生がほとんどないときにリアフォグランプの光量を少なくして、後続車両のドライバーが眩しく感じることを回避し、霧が濃く発生しているときに光量を多くして、後続車両のドライバーが濃霧時にも前方車両を視認できるようにすることを目的としたフォグランプ制御装置が開示されている。このフォグランプ装置は、車両後方を照らすリアフォグランプと、後続車両との車間距離を検出する電波レーダと、電波レーダにより後続車両との車間距離が検出されたときに後続車両に対してレーザを所定回数送光し、反射レーザを受光することで後続車両との車間距離を検出するレーザレーダと、レーザレーダから送光されたレーザのうち反射レーザが受光された回数から、周囲の光透過率を検出する光透過率検出回路と、検出された光透過率に応じてリアフォグランプの光量を変化させる制御回路を備えていた。
【0003】
また、特許文献2には、後続車両への不快感を低減させることを目的としたフォグランプ装置が開示されている。このフォグランプ装置は、車両の後方に設けられたリアフォグランプと、後続車両を検出する後続車両検出手段と、後続車両検出手段により検出された後続車両が自車両から所定の距離内を走行していることを条件として、点灯状態にあるリアフォグランプを消灯する、あるいはリアフォグランプの光軸を下げる点灯態様変更制御手段とを備えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−278519号公報
【特許文献2】特開2008−213618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、リアフォグランプ制御装置について鋭意研究を重ねた結果、従来のリアフォグランプ装置には、その標識機能を高める上で改善の余地があることを認識するに至った。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、リアフォグランプ装置の標識機能の向上を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様はリアフォグランプ装置である。当該リアフォグランプ装置は、自車両の後方に照射されるレーザ光を生成するレーザ光源と、レーザ光の光路方向及び光路幅の少なくとも一方を変化させて、レーザ光が霧で拡散されることで形成される光幕の変形及び変位の少なくとも一方を行う光幕調節部と、を備える。この態様によれば、リアフォグランプ装置の標識機能の向上を図ることができる。
【0008】
上記態様において、自車両が走行する道路の線形を検知する線形検知装置の検知結果を取得する線形取得部と、線形に沿って光幕が変位するよう光幕調節部を制御する光幕制御部と、を備えてもよい。この態様によっても、リアフォグランプ装置の標識機能の向上を図ることができる。また、上記いずれかの態様において、光幕調節部は、光幕の形状を周期的に変化させてもよい。この態様によっても、リアフォグランプ装置の標識機能の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リアフォグランプ装置の標識機能の向上を図る技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係るリアフォグランプ装置の構成概念図である。
図2図2(A)は、リアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。図2(B)は、レーザ光の光路方向が変化する様子を示す図である。図2(C)は、光幕が変形する様子の一態様を示す図である。図2(D)は、光幕が変化する様子の他の態様を示す図である。
図3】実施の形態2に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。
図4図4(A)及び図4(B)は、実施の形態3に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。
図5図5(A)及び図5(B)は、実施の形態4に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。
図6図6(A)は、実施の形態5に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。図6(B)は、狭幅のレーザ光が照射される状態を示す図である。図6(C)は、広幅のレーザ光が照射される状態を示す図である。
図7図7(A)は、実施の形態6に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。図7(B)は、狭幅のレーザ光が照射される状態を示す図である。図7(C)は、広幅のレーザ光が照射される状態を示す図である。
図8図8(A)は、実施の形態7に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。図8(B)は、狭幅のレーザ光が照射される状態を示す図である。図8(C)は、広幅のレーザ光が照射される状態を示す図である。
図9図9(A)は、実施の形態8に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。図9(B)は、光幕変形用光学部材の概略構造を示す斜視図である。
図10】実施の形態9に係るリアフォグランプ装置の構成概念図である。
図11】光幕が変位する様子を示す模式図である。
図12図12(A)は、各実施の形態に係るリアフォグランプ装置が形成する光幕を模式的に示す側面図である。図12(B)は、変形例1に係るリアフォグランプ装置が形成する光幕の一態様を模式的に示す側面図である。図12(C)は、変形例1に係るリアフォグランプ装置が形成する光幕の他の態様を模式的に示す側面図である。
図13図13(A)及び図13(B)は、変形例2に係るリアフォグランプ装置が形成する光幕を車両後方側から見た様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るリアフォグランプ装置の構成概念図である。なお、リアフォグランプ制御部300は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、図1ではそれらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0013】
本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1は、リアフォグランプユニット100と、リアフォグランプ制御部300と、を備える。以下、各部の構成について詳細に説明する。
【0014】
(リアフォグランプユニット)
リアフォグランプユニット100は、自車両の後方に光を照射する灯具ユニットであり、車両後部の所定位置に設けられる。リアフォグランプユニット100は、自車両の周囲に霧が発生している状況で点灯され、後続車両等に自車両の存在を視認させやすくするための標識灯として機能する。
【0015】
リアフォグランプユニット100は、車両後方側に開口部を有するランプボディ(図示せず)と、ランプボディの開口部を覆うように取り付けられた透光カバー(図示せず)とで構成される灯室内に配置される。リアフォグランプユニット100は、レーザ光源102及びリフレクタ104を有する。
【0016】
本実施の形態のレーザ光源102は、赤色のレーザ光Lを生成して出射するレーザ光源であり、例えばレーザダイオードで構成される。なお、レーザ光源102は、固体レーザ、ガスレーザ等の、レーザダイオード以外のレーザ装置で構成されてもよい。レーザ光源102は、車両後方且つ水平方向よりも上方に向けてレーザ光Lを出射する。
【0017】
リフレクタ104は、レーザ光Lを反射する反射面を有し、レーザ光源102から出射されたレーザ光Lを車両後方且つ水平方向よりも下方に向けて反射するように、レーザ光源102との位置関係が定められている。また、本実施の形態のリフレクタ104は、光幕調節部として機能し、おおよそ車両前後方向に延在する回動軸X1を中心に回動可能である。リフレクタ104は、回動軸X1を中心に高速回動(振動)することで反射面を高速回動させて、レーザ光Lの光路方向を車幅方向に連続的に変位させることができる。
【0018】
リフレクタ104は、図示しない駆動部により回動される。駆動部は、モータやソレノイド等で構成することができ、後述する駆動制御モジュール340から供給される電力を受けて駆動する。リフレクタ104は、例えばMEMSミラーやガルバノミラー等で構成することができる。なお、リフレクタ104は、ポリゴンミラー等で構成されてもよい。
【0019】
リフレクタ104で反射されたレーザ光Lは、自車両の後方に照射される。例えば、レーザ光Lは、水平方向よりも下方に向けてリアフォグランプユニット100の外部に出射される。具体的には、レーザ光Lは、例えば自車両後方の1m〜40mの地点に向けて出射される。
【0020】
自車両の周囲に霧が発生している状態で、リアフォグランプユニット100から自車両の後方へレーザ光Lが照射されると、レーザ光Lが霧で拡散されて光幕Mが形成される。例えば光幕Mは、車両から離れるほど路面に近づくように傾斜し、車幅方向に所定幅を有する平面形状を有する。本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1は、高輝度で指向性の高いレーザ光Lを霧中に照射することで光幕Mを形成し、この光幕M(特に光幕Mの主表面)を後続車両の運転者等に視認させる。これにより、当該運転者等による視認性の向上と、グレアを与えるおそれの低減とを図ることができる。また、レーザ光Lのスペックルによる被視認性の向上を得ることもできる。
【0021】
(リアフォグランプ制御部)
リアフォグランプ制御部300は、リアフォグランプユニット100の光照射を制御する。リアフォグランプ制御部300は、車両の任意の位置やリアフォグランプユニット100の内部に設置することができる。リアフォグランプ制御部300は、信号取得部310、光幕制御部320、点灯制御モジュール330及び駆動制御モジュール340を有する。
【0022】
(信号取得部)
信号取得部310は、車両に設けられた図示しないリアフォグランプスイッチからリアフォグランプユニット100のオン/オフを指示する信号を受信する。リアフォグランプスイッチが運転者に操作されてオン信号が送信されると、信号取得部310は、リアフォグランプユニット100の点灯が指示されたことを示す信号を光幕制御部320に送信する。
【0023】
(光幕制御部)
光幕制御部320は、信号取得部310からリアフォグランプユニット100の点灯が指示されたことを示す信号を受信すると、点灯信号を点灯制御モジュール330に送信する。また、光幕制御部320は、点灯信号の送信とともに、リフレクタ104の回動を指示する回動信号を、駆動制御モジュール340に送信する。
【0024】
(点灯制御モジュール)
点灯制御モジュール330は、電源回路等で構成され、光幕制御部320から点灯信号を受信するとレーザ光源102の点灯に必要な電力をレーザ光源102に供給する。
【0025】
(駆動制御モジュール)
駆動制御モジュール340は、電源回路等で構成され、光幕制御部320から回動信号を受信するとリフレクタ104を回動させる駆動部の駆動用電力を駆動部に供給する。
【0026】
続いて、光幕調節部としてのリフレクタ104の動作と、それにともなう光幕Mの変形について、詳細に説明する。図2(A)は、リアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。図2(B)は、レーザ光の光路方向が変化する様子を示す図である。図2(C)は、光幕が変形する様子の一態様を示す図である。図2(D)は、光幕が変化する様子の他の態様を示す図である。図2(B)は、リフレクタ104で反射されるレーザ光Lを車両後方側から見た様子を示し、図2(C)及び図2(D)は、形成される光幕Mを車両後方側から見た様子を示す。
【0027】
リフレクタ104は、回動軸X1を中心として高速回動する。これにより、レーザ光Lとリフレクタ104の反射面との交点Sを支点として、レーザ光Lの光路方向が車幅方向に高速移動する。その結果、車両後方の運転者には、視覚の残像効果により、複数の線状の光幕Mが連続してなる略台形状の光幕Mが視認される。
【0028】
また、リフレクタ104は、レーザ光Lの光路方向を変化させて、光幕を変形させる。具体的には、光幕制御部320は、リフレクタ104(あるいはレーザ光L)の回動角度の範囲(振幅角)を、狭角回動範囲W1と、狭角回動範囲W1よりも振幅角の広い広角回動範囲W2とで切り替えるよう、駆動制御モジュール340に制御信号を送信する。これにより、リフレクタ104の回動範囲が狭角回動範囲W1と広角回動範囲W2とで切り替えられる。リフレクタ104の回動範囲が狭角回動範囲W1である場合は、車幅方向への拡がりが相対的に小さい狭幅光幕M1が形成される。一方、リフレクタ104の回動範囲が広角回動範囲W2である場合は、車幅方向への拡がりが狭幅光幕M1よりも大きい広幅光幕M2が形成される。このように、光幕Mの形状を、狭幅光幕M1から広幅光幕M2に、あるいは広幅光幕M2から狭幅光幕M1に変形させることで、光幕Mの形状を固定する場合と比べて、リアフォグランプ装置1の被視認性を高めることができ、後続車両の運転者に注意喚起することができる。
【0029】
例えば、狭幅光幕M1は、車両の前後軸に対して車幅方向両側に5°(右側に5°、左側に5°)の拡がりを有する光幕Mであり、広幅光幕M2は、車両の前後軸に対して車幅方向両側に10°の拡がりを有する光幕Mである。あるいは、レーザ光Lが車両後方の所定距離(例えば車両後方10m)の地点で路面と接するように構成され、レーザ光L(言い換えれば光幕M)が路面と接する地点において、狭幅光幕M1は、車幅と略等しい幅を有する光幕Mであり、広幅光幕M2は車線幅(自車両の走行するレーンを規定する2本の車線の間隔)と略等しい幅を有する光幕Mである。
【0030】
また、光幕制御部320は、狭幅光幕M1と広幅光幕M2とを所定周期で繰り返し切り替えるように、駆動制御モジュール340を介してリフレクタ104を制御する。これにより、光幕調節部としてのリフレクタ104は、光幕Mの形状を周期的に変化させることができる。すなわち、リフレクタ104はその振幅角を、狭角回動範囲W1と広角回動範囲W2の間で周期的に切り替える。その結果、後続車両の運転者に対して、脈動する光幕Mを視認させることができる。脈動の周期、すなわち狭幅光幕M1及び広幅光幕M2の一方から他方を経て再び一方となるまでに要する時間は、例えば0.1秒〜10秒である。あるいは、脈動の周期は、例えば2〜4Hzである(1秒間に2〜4回脈動する)。
【0031】
なお、リフレクタ104がポリゴンミラーである場合、反射面の高速回転とレーザ光源102の点消灯タイミングとの組み合わせにより、狭幅光幕M1と広幅光幕M2の形成及び切り替えを実行することができる。リフレクタ104がMEMSミラーやガルバノミラーで構成される場合にも、固定された振幅角での反射面の高速振幅とレーザ光源102の点消灯タイミングとの組み合わせにより狭幅光幕M1と広幅光幕M2との切り替えを実行してもよい。
【0032】
また、本実施の形態では、レーザ光Lの光路方向を高速で変化させることで、線状の光幕Mが連続してなる平面状の光幕Mを形成しているが、例えば次のような光幕Mを形成してもよい。すなわち、平面状の光幕Mが視認されない程度に低速でレーザ光Lを振幅させて、図2(D)に示すように線状の光幕Mを形成する。そして、レーザ光Lの光路方向を変化させて、線状の光幕Mを変位(移動)させる。これによっても、リアフォグランプ装置1の被視認性を高めることができ、後続車両の運転者に注意喚起することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1は、自車両の後方に照射されるレーザ光Lを生成するレーザ光源102と、レーザ光Lの光路方向を変化させて光幕Mを変形又は変位させる光幕調節部としてのリフレクタ104とを備える。これにより、リアフォグランプ装置1の被視認性を向上させることができるため、リアフォグランプ装置1の標識機能を向上させることができる。また、リフレクタ104は、光幕Mの形状を周期的に変化させる。これにより、リアフォグランプ装置1の標識機能をより向上させることができる。
【0034】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るリアフォグランプ装置は、光幕調節部の構成が異なる点を除き、実施の形態1に係るリアフォグランプ装置の構成と共通する。以下、実施の形態2に係るリアフォグランプ装置について実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
【0035】
図3は、実施の形態2に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1のリアフォグランプユニット100は、レーザ光源102、リフレクタ104、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bを有する。本実施の形態では、リフレクタ104、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bが、光幕調節部を構成する。
【0036】
リフレクタ104は、レーザ光Lを反射する反射面を有し、おおよそ車幅方向に延在する回動軸X2を中心に回動可能である。リフレクタ104は、回動軸X2を中心に回動することで、レーザ光Lを狭幅光幕用光学部材106Aに向けて反射する第1姿勢(図3において実線で示す状態)と、レーザ光Lを広幅光幕用光学部材106Bに向けて反射する第2姿勢(図3において破線で示す状態)とを切り替えることができる。リフレクタ104は、図示しない駆動部により回動される。駆動部は、モータやソレノイド等で構成することができ、駆動制御モジュール340から電力の供給を受ける。
【0037】
狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bは、入射されるレーザ光Lを車幅方向に拡散させて車両後方に出射する光学部材である。狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bは、シリンドリカルレンズや回折格子等で構成することができる。また、広幅光幕用光学部材106Bは、狭幅光幕用光学部材106Aに比べて、車幅方向により広くレーザ光Lを拡散させることができる。例えば、狭幅光幕用光学部材106Aは、車両前後軸に対して車幅方向両側に5°だけレーザ光Lを拡散させ、広幅光幕用光学部材106Bは、車両前後軸に対して車幅方向両側に10°だけレーザ光Lを拡散させる。すなわち、狭幅光幕用光学部材106Aは相対的に細い光路幅のレーザ光Lを出射し、広幅光幕用光学部材106Bは相対的に太い光路幅のレーザ光Lを出射する。そのため、狭幅光幕用光学部材106Aからレーザ光Lが出射される場合は狭幅光幕M1(図2(C)参照)が形成され、広幅光幕用光学部材106Bからレーザ光Lが出射される場合は広幅光幕M2(図2(C)参照)が形成される。
【0038】
本実施の形態では、リフレクタ104が第1姿勢と第2姿勢とを切り替えることで、レーザ光Lの光路方向が狭幅光幕用光学部材106Aに入射される方向と、広幅光幕用光学部材106Bに入射される方向とで切り替えられる。そして、このようにレーザ光Lの光路方向を変化させることでレーザ光Lの光路幅を変化させ、光幕Mを狭幅光幕M1から広幅光幕M2に、あるいは広幅光幕M2から狭幅光幕M1に変形させることができる。その結果、リアフォグランプ装置1の被視認性を高めることができ、後続車両の運転者に注意喚起することができる。
【0039】
(実施の形態3)
実施の形態3に係るリアフォグランプ装置は、光幕調節部の構成が異なる点を除き、実施の形態2に係るリアフォグランプ装置の構成と共通する。以下、実施の形態3に係るリアフォグランプ装置について実施の形態2と異なる構成を中心に説明する。実施の形態2と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
【0040】
図4(A)及び図4(B)は、実施の形態3に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。図4(A)は、狭幅光幕用光学部材106Aがレーザ光Lの光路上に位置する状態を示す。図4(B)は、広幅光幕用光学部材106Bがレーザ光Lの光路上に位置する状態を示す。本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1のリアフォグランプユニット100は、レーザ光源102、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bを有する。
【0041】
レーザ光源102は、車両後方且つ水平方向よりも下方に向けてレーザ光Lを出射するように姿勢が定められる。また、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bはそれぞれ、レーザ光Lの光路と交わる(レーザ光Lが入射する)進出位置と、光路と交わらない(光路に接しない)退避位置とを切り替えることができる。また、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bは、いずれか一方が進出位置にあるとき、他方は退避位置に配置される。例えば、図4(A)に示すように、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bは、レーザ光Lと直交する方向に配列されるとともに互いに連結されており、両光学部材は、レーザ光Lと直交する方向(図中の矢印方向)にスライド可能である。狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bは、図示しない駆動部によりスライドされる。駆動部は、駆動制御モジュール340から電力の供給を受けて駆動する。
【0042】
図4(A)に示すように、狭幅光幕用光学部材106Aが進出位置にある場合は、レーザ光Lが狭幅光幕用光学部材106Aに入射され、狭幅光幕用光学部材106Aによりレーザ光Lが拡散されて、狭幅光幕M1(図2(C)参照)が形成される。一方、図4(B)に示すように、広幅光幕用光学部材106Bが進出位置にある場合は、レーザ光Lが広幅光幕用光学部材106Bに入射され、広幅光幕用光学部材106Bによりレーザ光Lが拡散されて、広幅光幕M2(図2(C)参照)が形成される。
【0043】
すなわち、レーザ光Lを入射させる光学部材を狭幅光幕用光学部材106Aと広幅光幕用光学部材106Bとで切り替えることでレーザ光Lの光路幅を変化させ、これにより光幕Mを狭幅光幕M1から広幅光幕M2に、あるいは広幅光幕M2から狭幅光幕M1に変形させる。その結果、リアフォグランプ装置1の被視認性を高めることができ、後続車両の運転者に注意喚起することができる。この構成では、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bが光幕調節部を構成している。
【0044】
なお、本実施の形態では、レーザ光源102を固定して、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bをレーザ光源102に対して変位させているが、特にこの構成に限定されない。例えば、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bを固定し、これらの光学部材に対してレーザ光源102を変位させてもよい。あるいは、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bと、レーザ光源102とを、ともに変位させてもよい。これらの構成では、レーザ光源102と、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bとが、光幕調節部を構成する。すなわち、レーザ光源102と、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bとは、互いに相対的に変位可能であればよい。光源を固定して光学部材を変位させる場合は、発光部と駆動部を分離できるため、シンプルな駆動部を構成することができる。光源及び光学部材を変位させる場合は、より複雑なレーザ光Lの変位を実現できる。
【0045】
(実施の形態4)
実施の形態4に係るリアフォグランプ装置は、光幕調節部の構成が異なる点を除き、実施の形態3に係るリアフォグランプ装置の構成と共通する。以下、実施の形態3に係るリアフォグランプ装置について実施の形態3と異なる構成を中心に説明する。実施の形態3と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
【0046】
図5(A)及び図5(B)は、実施の形態4に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。図5(A)は、第1レーザ光源102Aがレーザ光Lを出射する状態を示す。図5(B)は、第2レーザ光源102Bがレーザ光Lを出射する状態を示す。本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1のリアフォグランプユニット100は、第1レーザ光源102A、第2レーザ光源102B、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bを有する。本実施の形態では、第1レーザ光源102A、第2レーザ光源102B、狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bが、光幕調節部を構成する。
【0047】
第1レーザ光源102A及び第2レーザ光源102Bは、レーザ光源102と同様の構成を備え、車両後方且つ水平方向よりも下方に向けてレーザ光Lを出射するように姿勢が定められる。また、狭幅光幕用光学部材106Aは、第1レーザ光源102Aから出射されるレーザ光Lが入射するように配置される。第2レーザ光源102Bは、広幅光幕用光学部材106Bから出射されるレーザ光Lが入射するように配置される。また、第1レーザ光源102A及び第2レーザ光源102Bは、いずれか一方がレーザ光Lを出射し他方がレーザ光Lの出射を停止するよう、光幕制御部320により制御される。
【0048】
例えば、図5(A)に示すように、第1レーザ光源102Aからレーザ光Lが出射されると、レーザ光Lが狭幅光幕用光学部材106Aに入射される。そして、狭幅光幕用光学部材106Aによりレーザ光Lが拡散されて、狭幅光幕M1(図2(C)参照)が形成される。一方、図5(B)に示すように、第2レーザ光源102Bからレーザ光が出射されると、レーザ光Lが広幅光幕用光学部材106Bに入射される。そして、広幅光幕用光学部材106Bによりレーザ光Lが拡散されて、広幅光幕M2(図2(C)参照)が形成される。
【0049】
すなわち、レーザ光Lを出射する光源を第1レーザ光源102Aと第2レーザ光源102Bとで切り替えることで、レーザ光Lを入射させる光学部材を狭幅光幕用光学部材106Aと広幅光幕用光学部材106Bとで切り替える。これにより、レーザ光Lの光路幅を変化させて、光幕Mを狭幅光幕M1から広幅光幕M2に、あるいは広幅光幕M2から狭幅光幕M1に変形させる。その結果、リアフォグランプ装置1の被視認性を高めることができ、後続車両の運転者に注意喚起することができる。
【0050】
(実施の形態5)
実施の形態5に係るリアフォグランプ装置は、光幕調節部の構成が異なる点を除き、実施の形態1に係るリアフォグランプ装置の構成と共通する。以下、実施の形態5に係るリアフォグランプ装置について実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
【0051】
図6(A)は、実施の形態5に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。図6(B)は、狭幅のレーザ光が照射される状態を示す図である。図6(C)は、広幅のレーザ光が照射される状態を示す図である。図6(B)及び図6(C)は、シェード部材110及びレーザ光Lを車両後方側から見た様子を示す。
【0052】
本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1のリアフォグランプユニット100は、レーザ光源102、レーザ光拡散用光学部材108及びシェード部材110を有する。本実施の形態では、シェード部材110が光幕調節部を構成する。
【0053】
レーザ光拡散用光学部材108は、入射したレーザ光Lを車幅方向に拡散させるための光学部材である。本実施の形態では、レーザ光拡散用光学部材108は、レーザ光Lを車幅方向に拡散させながらシェード部材110に向けて反射する回折格子で構成される。レーザ光源102と、レーザ光拡散用光学部材108と、シェード部材110とは、レーザ光源102から車両後方且つ水平方向よりも上方に出射されたレーザ光Lが、レーザ光拡散用光学部材108で車両後方且つ水平方向よりも下方に向けて反射され、シェード部材110を経てユニット外に照射されるよう、互いに位置関係が定められている。なお、レーザ光源102が車両後方且つ水平方向よりも下方にレーザ光Lを出射するように姿勢が定められ、シリンドリカルレンズ等で構成されるレーザ光拡散用光学部材108をレーザ光源102とシェード部材110との間の光路上に配置する構成であってもよい。
【0054】
レーザ光拡散用光学部材108は、レーザ光拡散用光学部材108で反射されたレーザ光Lの光路幅が、シェード部材110の延在位置において、シェード部材110の後述する開口部110aが有する狭幅部110a1の開口幅よりも広くなるように、レーザ光Lを車幅方向に拡散させる。
【0055】
シェード部材110は、略平板状のシェードプレートであり、主表面がレーザ光Lの光路と交わるように配置される。また、シェード部材110は開口部110aを有し、レーザ光Lが開口部110aを通過するように、レーザ光拡散用光学部材108とシェード部材110との位置関係が定められる。開口部110aは、車幅方向の開口幅が狭い狭幅部110a1と車幅方向の開口幅が狭幅部110a1よりも広い広幅部110a2とを有する。本実施の形態の開口部110aは、二等辺三角形状であり、底辺及び頂角が車両前後方向(あるいは車両上下方向)に並び、2つの等辺が車幅方向に並ぶように姿勢が定められている。したがって、開口部110aは、車幅方向の開口幅が車両前後方向(もしくは車両上下方向)で連続的(無段階)に変化する。狭幅部110a1は、例えば開口部110aの底辺よりも頂角寄りの領域に設けられ、広幅部110a2は、例えば開口部110aの頂角よりも底辺寄りの領域に設けられる。
【0056】
また、シェード部材110は、レーザ光Lと直交する方向且つ開口部110aの底辺と頂角とが並ぶ方向(図6(A)中の矢印方向)に、スライド可能である。シェード部材110は、図示しない駆動部によりスライドされる。駆動部は、駆動制御モジュール340から電力の供給を受けて駆動する。
【0057】
このような構成において、例えば図6(B)に示すように、レーザ光Lが狭幅部110a1を通過するようシェード部材110が配置される場合、シェード部材110によってレーザ光Lの車幅方向端部が遮られるため、狭幅のレーザ光Lが開口部110aを通過してユニット外に照射される。これにより、狭幅光幕M1(図2(C)参照)が形成される。一方、図6(C)に示すように、レーザ光Lが広幅部110a2を通過するようシェード部材110が配置される場合、シェード部材110によって遮られるレーザ光Lの範囲が狭幅部110a1よりも小さくなり、広幅のレーザ光Lが開口部110aを通過してユニット外に照射される。これにより、広幅光幕M2(図2(C)参照)が形成される。
【0058】
すなわち、シェード部材110の開口部110aにおけるレーザ光Lを通過させる位置を、狭幅部110a1と広幅部110a2とで切り替えることで、レーザ光Lの光路幅を変化させ、これにより光幕Mを狭幅光幕M1から広幅光幕M2に、あるいは広幅光幕M2から狭幅光幕M1に変形させる。その結果、リアフォグランプ装置1の被視認性を高めることができ、後続車両の運転者に注意喚起することができる。
【0059】
なお、レーザ光拡散用光学部材108に代えてリフレクタ104を配置し、リフレクタ104を車両前後方向に延在する回動軸X1(図2(A)参照)を中心に高速回動させることで、車幅方向に拡がる光路幅を有するレーザ光Lを生成してもよい。
【0060】
(実施の形態6)
実施の形態6に係るリアフォグランプ装置は、光幕調節部の構成が異なる点を除き、実施の形態5に係るリアフォグランプ装置の構成と共通する。以下、実施の形態6に係るリアフォグランプ装置について実施の形態5と異なる構成を中心に説明する。実施の形態5と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
【0061】
図7(A)は、実施の形態6に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。図7(B)は、狭幅のレーザ光が照射される状態を示す図である。図7(C)は、広幅のレーザ光が照射される状態を示す図である。図7(B)及び図7(C)は、シェード部材110及びレーザ光Lを車両後方側から見た様子を示す。
【0062】
本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1のリアフォグランプユニット100は、レーザ光源102、レーザ光拡散用光学部材108及びシェード部材110を有する。本実施の形態では、レーザ光拡散用光学部材108及びシェード部材110が光幕調節部を構成する。
【0063】
レーザ光拡散用光学部材108は、レーザ光Lを車幅方向に拡散させながらシェード部材110に向けて反射する回折格子で構成され、おおよそ車幅方向に延在する回動軸X2を中心に回動可能である。レーザ光拡散用光学部材108は、回動軸X2を中心に回動することで、レーザ光Lを開口部110aの狭幅部110a1に向けて反射する第1姿勢(図7(A)において実線で示す状態)と、レーザ光Lを広幅部110a2に向けて反射する第2姿勢(図7(A)において破線で示す状態)とで切り替えることができる。レーザ光拡散用光学部材108は、図示しない駆動部により回動される。駆動部は、駆動制御モジュール340から電力の供給を受ける。シェード部材110の配置は、レーザ光拡散用光学部材108に対して固定される。
【0064】
このような構成において、レーザ光拡散用光学部材108が第1姿勢をとると、図7(B)に示すように、狭幅のレーザ光Lが開口部110aを通過してユニット外に照射される。これにより、狭幅光幕M1(図2(C)参照)が形成される。一方、レーザ光拡散用光学部材108が第2姿勢をとると、図7(C)に示すように、広幅のレーザ光Lが開口部110aを通過してユニット外に照射される。これにより、広幅光幕M2(図2(C)参照)が形成される。
【0065】
すなわち、レーザ光拡散用光学部材108の姿勢を第1姿勢と第2姿勢とで切り替えることで、レーザ光Lの光路幅を変化させ、これにより光幕Mを狭幅光幕M1から広幅光幕M2に、あるいは広幅光幕M2から狭幅光幕M1に変形させる。その結果、リアフォグランプ装置1の被視認性を高めることができ、後続車両の運転者に注意喚起することができる。なお、レーザ光拡散用光学部材108及びシェード部材110を変位させてもよい。
【0066】
(実施の形態7)
実施の形態7に係るリアフォグランプ装置は、光幕調節部の構成が異なる点を除き、実施の形態5に係るリアフォグランプ装置の構成と共通する。以下、実施の形態7に係るリアフォグランプ装置について実施の形態5と異なる構成を中心に説明する。実施の形態5と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
【0067】
図8(A)は、実施の形態7に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。図8(B)は、狭幅のレーザ光が照射される状態を示す図である。図8(C)は、広幅のレーザ光が照射される状態を示す図である。図8(B)及び図8(C)は、シェード部材110及びレーザ光Lを車両後方側から見た様子を示す。
【0068】
本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1のリアフォグランプユニット100は、レーザ光源102、レーザ光拡散用光学部材108及びシェード部材110を有する。本実施の形態では、シェード部材110が光幕調節部を構成する。
【0069】
レーザ光拡散用光学部材108は、レーザ光Lを車幅方向に拡散させながらシェード部材110に向けて反射する回折格子で構成される。レーザ光源102と、レーザ光拡散用光学部材108と、シェード部材110とは、レーザ光源102から車両後方且つ水平方向よりも上方に出射されたレーザ光Lが、レーザ光拡散用光学部材108で車両後方且つ水平方向よりも下方に向けて反射され、シェード部材110を経てユニット外に照射されるよう、互いに位置関係が定められている。なお、レーザ光Lが車両後方且つ水平方向よりも下方に出射されるようにレーザ光源102の姿勢を定め、レーザ光拡散用光学部材108をシリンドリカルレンズ等で構成してもよい。
【0070】
レーザ光拡散用光学部材108は、レーザ光拡散用光学部材108で反射されたレーザ光Lの光路幅が、シェード部材110の延在位置において、シェード部材110の後述する狭幅切欠部112aの切り欠き幅よりも広くなるように、レーザ光Lを車幅方向に拡散させる。
【0071】
シェード部材110は、略円筒形状を有するロータリーシェードであり、円筒の中心を通る回転軸X3を中心として回転可能である。シェード部材110はその円周面に、レーザ光Lの通過を許容する狭幅切欠部112a及び広幅切欠部112bを有する。広幅切欠部112bは、回転軸X3と平行な方向の切り欠き幅が狭幅切欠部112aよりも広い。シェード部材110は、回転軸X3が車幅方向に延在するよう姿勢が定められるとともに、円周面近傍がレーザ光Lの光路と交わるように配置される。シェード部材110は、図示しない駆動部により回転される。駆動部は、駆動制御モジュール340から電力の供給を受けて駆動する。
【0072】
このような構成において、例えば図8(B)に示すように、レーザ光Lが狭幅切欠部112aを通過するようシェード部材110が配置される場合、シェード部材110によってレーザ光Lの車幅方向端部が遮られるため、狭幅のレーザ光Lが狭幅切欠部112aを通過してユニット外に照射される。これにより、狭幅光幕M1(図2(C)参照)が形成される。一方、図8(C)に示すように、レーザ光Lが広幅切欠部112bを通過するようシェード部材110が配置される場合、シェード部材110によって遮られるレーザ光Lの範囲が狭幅切欠部112aよりも小さくなり、広幅のレーザ光Lが広幅切欠部112bを通過してユニット外に照射される。これにより、広幅光幕M2(図2(C)参照)が形成される。
【0073】
すなわち、シェード部材110におけるレーザ光Lを通過させる位置を、狭幅切欠部112aと広幅切欠部112bとで切り替えることで、レーザ光Lの光路幅を変化させ、これにより光幕Mを狭幅光幕M1から広幅光幕M2に、あるいは広幅光幕M2から狭幅光幕M1に変形させる。その結果、リアフォグランプ装置1の被視認性を高めることができ、後続車両の運転者に注意喚起することができる。なお、狭幅切欠部112aと広幅切欠部112bとの間をつなぐ切欠部をシェード部材110の円周面に設けることで、レーザ光Lの光路幅を段階的あるいは連続的(無段階)に変形させることができる。
【0074】
(実施の形態8)
実施の形態8に係るリアフォグランプ装置は、光幕調節部の構成が異なる点を除き、実施の形態1に係るリアフォグランプ装置の構成と共通する。以下、実施の形態8に係るリアフォグランプ装置について実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
【0075】
図9(A)は、実施の形態8に係るリアフォグランプ装置が備えるリアフォグランプユニットの内部構造を模式的に示す側面図である。図9(B)は、光幕変形用光学部材の概略構造を示す斜視図である。本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1のリアフォグランプユニット100は、レーザ光源102、リフレクタ104及び光幕変形用光学部材114を有する。本実施の形態では、光幕変形用光学部材114が光幕調節部を構成する。
【0076】
リフレクタ104は、レーザ光Lを反射する反射面を有し、レーザ光源102から出射されたレーザ光Lを光幕変形用光学部材114に向けて反射するように、レーザ光源102及び光幕変形用光学部材114との位置関係が定められる。本実施の形態では、リフレクタ104は、レーザ光源102から車両後方且つ水平方向よりも上方に出射されたレーザ光Lを、車両後方且つ水平方向よりも下方に向けて反射する。
【0077】
光幕変形用光学部材114は、入射されるレーザ光Lを車幅方向に拡散させて車両後方に出射する光学部材である。光幕変形用光学部材114は、リフレクタ104で反射されたレーザ光Lが入射する入射面114aと、レーザ光Lが出射する出射面114bとを有する。入射面114aは平面形状を有し、出射面114bは自由曲面形状を有する。また、光幕変形用光学部材114は、車幅方向に延在する回動軸X4を中心として回動可能に設けられている。したがって、光幕変形用光学部材114は、いわゆる異形ロータリーレンズである。出射面114bには、狭幅出射領域と、狭幅出射領域よりも車幅方向により広くレーザ光Lを拡散させる広幅出射領域とが含まれる。狭幅出射領域と広幅出射領域とは、光幕変形用光学部材114の回動方向に並ぶように配置される。光幕変形用光学部材114は、回動軸X4を中心として回動することで、出射面114bにおけるレーザ光Lの出射位置を変位させることができる。光幕変形用光学部材114は、図示しない駆動部により回動される。駆動部は、駆動制御モジュール340から電力の供給を受けて駆動する。
【0078】
このような構成において、出射面114bにおけるレーザ光Lの出射位置が狭幅出射領域となるように光幕変形用光学部材114の姿勢が定められると、光幕変形用光学部材114から狭幅のレーザ光Lが照射される。これにより、狭幅光幕M1(図2(C)参照)が形成される。一方、レーザ光Lの出射位置が広幅出射領域となるように光幕変形用光学部材114の姿勢が定められると、光幕変形用光学部材114から広幅のレーザ光Lが照射される。これにより、広幅光幕M2(図2(C)参照)が形成される。
【0079】
すなわち、光幕変形用光学部材114の姿勢を切り替えることで、レーザ光Lの光路幅を変化させ、これにより光幕Mを狭幅光幕M1から広幅光幕M2に、あるいは広幅光幕M2から狭幅光幕M1に変形させる。その結果、リアフォグランプ装置1の被視認性を高めることができ、後続車両の運転者に注意喚起することができる。
【0080】
(実施の形態9)
実施の形態9に係るリアフォグランプ装置は、リアフォグランプ制御部300による制御の内容が異なる点を除き、実施の形態1に係るリアフォグランプ装置の構成と共通する。以下、実施の形態9に係るリアフォグランプ装置について実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
【0081】
図10は、実施の形態9に係るリアフォグランプ装置の構成概念図である。図11は、光幕が変位する様子を示す模式図である。図11では、車両を上方から見た様子を示す。本実施の形態に係るリアフォグランプ装置1は、リアフォグランプユニット100と、リアフォグランプ制御部300と、を備える。
【0082】
リアフォグランプユニット100は、レーザ光源102及びリフレクタ104を有する。リフレクタ104は、レーザ光源102から出射されたレーザ光Lを車両後方且つ水平方向よりも下方に向けて反射する。また、リフレクタ104は光幕調節部として機能し、回動軸X1を中心に反射面を高速回動させて、レーザ光Lの光路方向を車幅方向に連続的に変位させることができる。リフレクタ104で反射されたレーザ光Lは、水平方向よりも下方に向けてリアフォグランプユニット100の外部に出射される。
【0083】
リアフォグランプ制御部300は、信号取得部310、光幕制御部320、点灯制御モジュール330、駆動制御モジュール340及び線形取得部350を有する。信号取得部310は、リアフォグランプスイッチからリアフォグランプユニット100のオン/オフを指示する信号を受信するとともに、リアフォグランプユニット100の点灯が指示されたことを示す信号を光幕制御部320に送信する。光幕制御部320は、信号取得部310からリアフォグランプユニット100の点灯が指示されたことを示す信号を受信すると、点灯信号を点灯制御モジュール330に送信する。また、光幕制御部320は、点灯信号の送信とともに、リフレクタ104の回動を指示する回動信号を、駆動制御モジュール340に送信する。また、光幕制御部320は、線形取得部350から自車両が走行する道路の線形に関する情報を取得し、取得した情報をもとに光幕Mを変位させる制御を実行する。点灯制御モジュール330は、レーザ光源102に電力を供給する。駆動制御モジュール340は、駆動部に電力を供給する。
【0084】
線形取得部350は、車両に設けられた線形検知装置400の検知結果を取得する。線形検知装置400は、自車両が走行する道路の線形を検知するための装置であり、例えば操舵角センサ(ステアリングセンサ)、走行道路を撮像するカメラ、あるいはナビゲーションシステム等で構成することができる。線形取得部350は、線形検知装置400の検知結果を取得すると、検知結果に含まれる、自車両が走行する道路の線形に関する情報を、光幕制御部320に送る。光幕制御部320は、光幕制御部320から線形に関する情報を取得すると、線形に沿って光幕Mが変位するよう、駆動制御モジュール340を介して光幕調節部としてのリフレクタ104を制御する。
【0085】
例えば、線形検知装置400は操舵角センサで構成され、線形取得部350は、ステアリングの操舵角から走行道路の線形が所定の曲線であること、すなわちカーブ路であることを検知する。光幕制御部320は、線形取得部350から走行道路の線形が曲線であることを示す情報を取得すると、走行道路の曲線に沿って光幕Mを変位させるよう駆動制御モジュール340に制御信号を送信する。駆動制御モジュール340は、光幕制御部320から当該制御信号を受信すると、リフレクタ104(あるいはレーザ光L)の振幅中心Cを車両前後軸に対して平行な位置から、カーブ路の内側方向に向けて変位させる。例えば、駆動制御モジュール340は、ステアリングの操舵角に対応させて振幅中心Cを変位させる。これにより、図11に示すように光幕Mがカーブ路の曲線に沿って変位する。そのため、自車両が曲進する際に、光幕Mが走行道路を照射する状態を維持し続けることができる。その結果、後続車両の運転者が進行先の道路形状を視認しやすくなる。よって、リアフォグランプ装置1の標識機能を向上させることができる。
【0086】
なお、道路形状に沿った光幕Mの変位と、光幕Mの脈動とを組み合わせてもよい。また、リアフォグランプユニット100の内部構造は、上述した実施の形態2〜8のいずれかの構造を採用してもよい。例えば、リアフォグランプユニット100が実施の形態2で説明した構造を有する場合、リフレクタ104及び狭幅光幕用光学部材106A及び広幅光幕用光学部材106Bを車幅方向に揺動させることで、走行道路の線形に沿った光幕Mの変位を実現することができる。
【0087】
本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各実施の形態を組み合わせたり、各種の設計変更等の変形を加えたりすることが可能であり、そのような組み合わされて得られる新たな実施の形態、変形が加えられて得られる新たな実施の形態も本発明の範囲に含まれる。これらの新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0088】
(変形例1)
図12(A)は、上述した各実施の形態に係るリアフォグランプ装置が形成する光幕を模式的に示す側面図である。図12(B)は、変形例1に係るリアフォグランプ装置が形成する光幕の一態様を模式的に示す側面図である。図12(C)は、変形例1に係るリアフォグランプ装置が形成する光幕の他の態様を模式的に示す側面図である。図12(A)に示すように、上述した各実施の形態に係るリアフォグランプ装置1が形成する光幕Mは、略平面状であり、車両の側方から見える光幕Mの形状は略線状である。
【0089】
これに対し、図12(B)及び図12(C)に示すように、本変形例に係るリアフォグランプ装置1は、各実施の形態の光幕Mに比べて車両上下方向(あるいは車両前後方向)に厚みをもった形状を有する。光幕Mの側面形状は、図12(B)に示すように均等の厚みを有する形状であってもよいし、図12(C)に示すように車両から遠離る程、厚みが増大する形状であってもよい。光幕Mの全体形状は、例えば三角柱、円柱、四角錐、三角錐、円錐、円錐台、角錐台等とすることができる。これにより、車両側方からの光幕Mの被視認性を高めることができる。また、車両が交差点に位置する状況や曲路を走行している状況で、後続車両の運転者等に対する光幕Mの被視認性を高めることができる。したがって、リアフォグランプ装置1の標識機能を向上させることができる。
【0090】
(変形例2)
図13(A)及び図13(B)は、変形例2に係るリアフォグランプ装置が形成する光幕を車両後方側から見た様子を示す図である。図13(A)及び図13(B)に示すように、リアフォグランプ装置1は、複数の線状(短冊状)の光幕Mを形成するとともに、これらの光幕Mを並列に配置したり、車両の左上方、右上方、左下方及び右下方に延びるように配置したり、互いに交差するように配置したりする。これにより、リアフォグランプ装置1の被視認性を向上させることができるため、リアフォグランプ装置1の標識機能を向上させることができる。なお、各光幕Mは、輝度や色を互いに異ならせてもよい。
【0091】
上述した各実施の形態では、レーザ光源102の点灯とともに光幕調節部を駆動させているが、車両に光幕変形/変位スイッチが設けられ、当該スイッチの操作により、レーザ光源102の点消灯とは独立して、光幕調節部の駆動と停止とが切り替えられてもよい。また、ブレーキペダルの踏み込み動作等に応じて、光幕調節部の駆動が制御されてもよい。例えば、ブレーキペダルの踏み込み量及び/又は踏み込み速度から急制動がなされたことが検知されると、光幕制御部320は、光幕Mを脈動させるか、あるいは脈動の周期を変化させる。これにより、後続車両の運転者等に自車両が急制動されたことを報知することができるため、リアフォグランプ装置1の標識機能を向上させることができる。また、その他の車両の走行状態、後続車両との距離等に応じて、脈動の周期、範囲等を変化させてもよい。光幕調節部は、共振ミラー、シリンドリカルレンズの回転、レーザーアレイ、光学結晶の回転、リフレクタのスライド等により実現してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 リアフォグランプ装置、 102 レーザ光源、 320 光幕制御部、 350 線形取得部、 400 線形検知装置、 L レーザ光、 M 光幕。
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