特許第6203543号(P6203543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブリヂストンの特許一覧

特許6203543スチールコード、ゴム−スチールコード複合体及びタイヤ
<>
  • 特許6203543-スチールコード、ゴム−スチールコード複合体及びタイヤ 図000003
  • 特許6203543-スチールコード、ゴム−スチールコード複合体及びタイヤ 図000004
  • 特許6203543-スチールコード、ゴム−スチールコード複合体及びタイヤ 図000005
  • 特許6203543-スチールコード、ゴム−スチールコード複合体及びタイヤ 図000006
  • 特許6203543-スチールコード、ゴム−スチールコード複合体及びタイヤ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203543
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】スチールコード、ゴム−スチールコード複合体及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
   D07B 1/06 20060101AFI20170914BHJP
   D07B 3/04 20060101ALI20170914BHJP
   B60C 9/20 20060101ALI20170914BHJP
   B60C 9/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   D07B1/06 A
   D07B3/04
   B60C9/20 E
   B60C9/00 J
   B60C9/00 M
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-117025(P2013-117025)
(22)【出願日】2013年6月3日
(65)【公開番号】特開2014-234570(P2014-234570A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100161458
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 淳郎
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】大野 義昭
【審査官】 岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−101181(JP,A)
【文献】 特開2000−336584(JP,A)
【文献】 特開2001−003281(JP,A)
【文献】 特開2001−234486(JP,A)
【文献】 特開2009−293165(JP,A)
【文献】 特開昭63−176702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D07B 1/00−9/00
B60C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のスチールフィラメントを、異形のダイス孔を有するダイスの当該ダイス孔に通して伸線加工をし、該伸線加工後のフィラメントをコアとして該コアの周りにシースフィラメントを撚り合わせるスチールコードの製造方法により製造されたスチールコードであって、
コアを構成する複数本のフィラメントが、無捻れのものであることを特徴とするスチールコード。
【請求項2】
スチールコードの輪郭形状が、扁平形状又は略長方形状である請求項記載のスチールコード。
【請求項3】
請求項1又は2記載のスチールコードを、シート状のゴムに、該スチールコードの輪郭における短径方向がゴムの厚さ方向に揃うように埋設されてなるゴム−スチールコード複合体。
【請求項4】
タイヤのベルト部材に用いられる請求項記載のゴム−スチールコード複合体。
【請求項5】
請求項3又は4記載のゴム−スチールコード複合体を備えるタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの補強に好適なスチールコード、当該スチールコードを用いたゴム−スチールコード複合体及びタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
スチールコードは、タイヤ部材の補強のために用いられ、例えばタイヤのベルトとして複数本のスチールコードをシート状のゴムに間隔を空けて平行に埋設してなるゴム−スチールコード複合体が用いられる。
【0003】
近年、車両の燃費向上等を目的として、タイヤの軽量化が求められている。そこで、ベルトを構成するゴム−スチールコード複合体のゴムの厚さを薄くすることが行われている。このゴム−スチールコード複合体のゴムを薄くすることに伴って、スチールコードには、コアを2本のスチールフィラメント、シースを6本のスチールフィラメントとしたコード構造のように、コード断面におけるコード外形の仮想的な輪郭線が真円ではなく、扁平な楕円形のスチールコードが用いられるようになってきている(特許文献1)。しかしながら、2本以上のフィラメントを直線的に並べたコアの周りにシースフィラメントを撚り合わせてスチールコードを製造するのは、プロセスによってはコアフィラメントの並びが不揃いになるおそれがあった。特にコアが3本以上のフィラメントを直線的に並べた場合には、撚線機によってコアフィラメントの周りにシースフィラメントを巻き付けて撚り合わせるときにコアフィラメントの並びが不揃いになり易かった。無撚りの3本のコアフィラメントの配列に乱れを生じさせない撚線機が提案されているが(特許文献2)、この撚線機を用いてスチールコードを製造するには、撚線機を、今まで用いられてきた撚線機から大幅な改造が必要となる。
【0004】
スチールコードのコアを構成するコアフィラメントの横断面形状を、楕円形やその他の扁平な形状にすることも考えられている。例えば特許文献3には楕円形又は三角形のコアフィラメントが、特許文献4には略矩形のコアフィラメントが、特許文献5、6には扁平な形状のコアフィラメントが、それぞれ記載されている。しかしながら、一本のスチールフィラメントの断面を楕円形又は三角形や矩形に加工するには過剰な製造コストがかかり、現実的ではない。断面円形のスチールフィラメントを圧延して扁平な形状のコアフィラメントにするのは、楕円形又は三角形や矩形にするのに比べると相対的に加工が容易であるが、タイヤのコードに用いられる高炭素鋼を、2本のフィラメントを並べたコアと同じ程度の扁平比率で扁平化するのには困難を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−8282号公報
【特許文献2】特許第4361638号
【特許文献3】特開平7−197388号公報
【特許文献4】特開昭63−135584号公報
【特許文献5】特開2004−58707号公報
【特許文献6】特開2000−355889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、断面が扁平な撚線のスチールコード、ゴム−スチールコード複合体及びタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する本発明のスチールコードは、複数本のスチールフィラメントを、異形のダイス孔を有するダイスの当該ダイス孔に通して伸線加工をし、該伸線加工後のフィラメントをコアとして該コアの周りにシースフィラメントを撚り合わせるスチールコードの製造方法により製造されたスチールコードであって、
コアを構成する複数本のフィラメントが、無捻れのものであることを特徴とする。
【0008】
本発明において「異形のダイス孔」とは、タイヤ補強用スチールコードに使用されるスチールフィラメントを製造する際に、線材の伸線のために用いられるダイスが、通常は伸線方向に垂直な断面(横断面)において円形(実質的に真円形)を有していることから、この真円形以外のダイス孔形状を有しているものをいう。つまり、「異形」とは真円形以外の形状をいう。
【0009】
上記異形のダイス孔が、伸線方向に垂直なダイスの断面において扁平形状又は略長方形であることが好ましい。ここに、「略長方形状」とは、幾何学的な意味での「長方形状」に限定されず、フィラメントの工業的な製造過程において、ダイスによる伸線加工で得られる精度での長さ及び角度の変動、角の丸みを有する長方形状を含むことを意味する。
また、伸線加工後のフィラメントをコアとし、該コアの周りにシースフィラメントを撚り合わせる工程は、チューブラー撚線機を用いて行うことが特に好ましい。
【0011】
本発明のスチールコードにおいては、スチールコードの輪郭形状が、扁平形状又は略長方形状であることが好ましい。
【0012】
更に、本発明のゴム−スチールコード複合体は、上述したスチールコードが、輪郭が扁平形状又は略長方形状形のものであり、シート状のゴムに、該スチールコードの輪郭における短径方向がゴムの厚さ方向に揃うように埋設されてなり、特にタイヤのベルト部材に用いて好適である。また、本発明のタイヤは、上述したゴム−スチールコード構造体を備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、複数本のスチールフィラメントを、異形のダイス孔を有するダイスの当該ダイス孔に通して伸線加工をしたものをコアとすることから、この伸線加工により複数本のスチールフィラメントが互いに塑性変形して密着する。したがって、異形のダイス孔を扁平形状又は略長方形とすることにより、扁平形状を有する撚線のスチールコードを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に従うスチールコード製造方法の一例の流れ図である。
図2】ダイスの異形のダイス孔を示す断面図である。
図3】チューブラー撚線機の模式図である。
図4】本発明のスチールコードの一例の断面図である。
図5】本発明のゴム−スチールコード複合体の一例の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いつつ本発明のスチールコードの製造方法、スチールコード、ゴム−スチールコード複合体及びタイヤについて具体的に説明する。
【0016】
本発明のスチールコードの製造方法は、図1にスチールコードの製造工程の流れ図の一例を示すように、複数本のスチールフィラメントを用意し(ステップS1)、これらのスチールフィラメントを異形のダイス孔を有するダイスの当該ダイス孔に通して伸線加工をする(ステップS2)。この伸線加工が行われたフィラメントをコアとして、撚線機によってコアの周りに複数のシースフィラメントフィラメントを巻き付ける撚線加工を行って(ステップS3)、スチールコードとする(ステップS4)。
【0017】
用意するスチールフィラメントは、スチールフィラメントの耐食性向上及びゴムとの密着性を向上させるために、表面にめっき、具体的には黄銅めっきがされたものであり、横断面において実質的に真円形である。フィラメント径は、スチールコードのコアに用いられる通常のフィラメント径とほぼ同じとすることができる。このような径を有する、めっきされたスチールフィラメントの製造方法については、通常のスチールフィラメントの製造方法に従えばよい。例えば、高炭素鋼線材に、乾式伸線を、必要に応じて焼鈍を挟んで行った後、パテンティング処理をしてから酸洗及びめっき処理を行い、その後に湿式伸線を行うことによって上記めっきされた所定径を有するスチールフィラメントを得る。
【0018】
図2に、異形のダイス孔を有するダイスの例を示すように、当該ダイス1〜4のダイス孔の形状は、図2(a)に示した正三角形でもよいが、好ましくは、図2(b)に示したな扁平形状、具体的には、円を直径方向に押しつぶして平行な二線分とそれらの両端を外側に向けて凸になる曲線で接続してなる楕円形状、換言すればトラック形状とすることが、扁平なスチールコードを得るために好ましい。また、長方形(図2(c))や他の楕円形(図2(d))とすることもでき、いずれも扁平なスチールコードを得ることができる。
【0019】
ダイス孔の大きさは、伸線を行う複数本のスチールフィラメントを合わせたときの大きさに対して、当該スチールフィラメントに対して適切な減面率となるような大きさとすることができる。これにより複数本のスチールフィラメントに対してダイス孔で伸線加工を行う。具体的なには、上記伸線加工において1回伸線する際の減面率を、3〜25%とすることが好ましい。これは、減面率が25%を超えると、伸線加工時の発熱および引き抜きテンションの影響により、フィラメントの断線や延性低下が生ずるおそれがあり、一方、3%未満では、塑性変形が十分でない。また、伸線後、スチールフィラメント同士が密着して一体化され、板状とするためには、5%以上の減面率が必要となるため、より好ましい減面率の条件は5〜15%である。
【0020】
一つのダイス孔に通すスチールフィラメントの本数は、製造するスチールコードにおけるコアのフィラメント本数と同じかそれ以下であり、例えば、コアが2本の場合は2本、コアが3本の場合は3本である。
【0021】
伸線の際には、伸線加工に伴う発熱の抑制、伸線加工の潤滑性能確保及び発熱による延性低下を考慮して、油又は水溶性の潤滑剤をダイス及びダイス前のフィラメントの一方又は両方に供給するか、ダイス及びフィラメントの全体を潤滑剤に浸漬させて、その後、拭き取る措置を採ることが好ましい。
【0022】
上記異形のダイス孔を有するダイスを、ダイス孔の大きさを異ならせて複数個用意し、これらのダイスを用いて複数本のスチールフィラメントに対し複数回の伸線を行うこともできる。
【0023】
上記異形ダイスで複数本のフィラメントを伸線加工することにより、スチールコードのコアとなるフィラメントを一度に扁平形状等の所定形状に無捻れの状態で配列させることができ、この配列した状態でフィラメントを撚線機に導くことができる。したがって、扁平なコアを容易に得ることができる。また、伸線加工によりスチールフィラメントと互いに塑性変形して隣り合うスチールフィラメントと面接触して密着するので、後の工程で行う撚線機を用いた撚線においては、コアフィラメントの並びが不揃いになるのを防止することができる。また、スチールコードとしては、コアの剛性を高めることができる。コアの剛性を高めることができることは、スチールコードの更なる扁平化を可能とする。また、スチールコードはコアのフィラメントが互いに密着しているが故にコアのフィラメントの耐食性を向上させることも可能である。コアのフィラメントの耐食性を向上させることができることは、シースフィラメントの撚線方法やシースのコード構造について、ゴムペネトレーションを考慮した制約が緩和される。
【0024】
伸線加工を終えたフィラメントは、一旦、一つのスプールに巻き取ることができる。そして撚線機により撚線を行う際は、巻き取られた一つのスプールから、伸線加工を終えた複数本のフィラメントを一度に巻き出して撚線機に供給する。この撚線機によりコアとなるフィラメントの周りに複数のシースフィラメントを巻き付けて、扁平なスチールコードを得る。この撚線機は、チューブラー撚線機が好ましい。
【0025】
一般にタイヤ用のスチールコードを製造するための撚線機には、バンチャー撚線機及びチューブラー撚線機のいずれかが用いられる。これらの撚線機のうち、チューブラー撚線機を用いることが好ましい。図3に一例として示したチューブラー撚線機5は、回転するバレル6と、バレル6内に供給されるコアフィラメント用のスプール7と、バレル6内に設けられるシースフィラメント用のスプール8と、コアフィラメント及びシースフィラメントを撚り合わせる、撚り合わせダイ9とを備えている。
【0026】
一般にバンチャー撚線機は、その構造から本質的にコア自体に捻れが生じる。そのため、バンチャー撚線機を用いて、上述の伸線加工後のコアフィラメントの周りに複数本のシースフィラメントを巻き付けて撚り合わせ、扁平なスチールコードを製造したとしても、この扁平なスチールコードは、コアフィラメントの捻れに応じて、断面における短径方向の向きが、該スチールコードの長手方向でコア中心の周りに変化するような形状になっている。このような形状のスチールコードは、ゴム−スチールコード複合体の薄厚化を十分に保証し得ない。
【0027】
これに対して、チューブラー撚線機は、本質的にコアに捻れが生じることがない。そのため、チューブラー撚線機を用いて、上述の伸線加工後のコアフィラメントの周りに、複数本のシースフィラメントを巻き付けて撚り合わせることにより、得られた扁平なスチールコードは、断面における短径方向の向きが該スチールコードの長手方向で一定である。したがって、その短径方向をシート状ゴムの厚み方向に揃うようにスチールコードをゴムに埋設して、ゴム−スチールコード複合体の薄厚化を確実に実現することができる。
【0028】
上述の伸線加工が行われた複数本のスチールフィラメントは、一つのスプールから巻き出されてチューブラー撚線機に供給される。バンチャー撚線機を用いた従来の撚線方法では、コア用のスチールフィラメントが巻き取られたスプールを、コアに用いられる個数だけ用意し、それぞれのスプールから一本のスチールフィラメントを巻き出してチューブラー撚線機に供給していた。この従来の撚線方法に比べて、上述のようにコア用の複数本のスチールフィラメントが一つのスプールから巻き出されることは、生産性やコストで有利である。
【0029】
上述の伸線加工が行われた複数本のスチールフィラメントを、コアに用いることにより、コアのスチールフィラメントが複数本ある場合であっても撚線の途中でコアフィラメントの並びが不揃いになるのを防止することができる。したがって、品質が安定したスチールコードを製造することができる。
【0030】
上述した製造方法により得られたスチールコードの好適例は、図4(a)、(b)に示すように、図4(a)が2+8のコード構造を、図4(b)は3+10のコード構造を、それぞれ有している。これらのスチールコード10、20は、コアを構成する複数本(n本)のコアフィラメント11、21の周りに複数本(m本)のシースフィラメント12、22をシースとして巻き付けて撚り合わせてなる、いわゆるn+mのコード構造を有し、扁平な断面を有するスチールコードである。もっとも、本発明のスチールコードは、図4に示したコード構造に限られず、3+9等のコード構造を有する、他の扁平なスチールコードとすることができ、また、輪郭が楕円形のスチールコードとすることもできる。また、スチールコード10、20のコアは、捻れが加えられていない、無捻れのコアである。
【0031】
図4(a)、(b)に示したスチールコード10、20は、上述した異形のダイス孔を有するダイスを用いた伸線加工により、コアフィラメント11、21のそれぞれが塑性変形して互いに面接触して密着している。なお、スチールコード10、20のコアの密着界面には、塑性変形前のスチールフィラメントの表面に形成されためっきが存在しているといえる。
【0032】
図4に示した例のスチールコード10、20は、コアを構成する複数本のコアフィラメント11、21が互いに塑性変形して隣接するスチールフィラメントと面接触して密着してなることから、フィラメントを無撚りで並列に並べた場合に比べてコアの剛性を高めることができ、また、コアフィラメント11、21の耐食性を向上させるができる。また、スチールコード10、20は、輪郭が扁平形状又は略長方形であり、これらのスチールコード10、20を用いたゴム−スチールコード複合体の薄厚化に寄与する。
【0033】
図5に、ゴム−スチールコード複合体30の一例の模式的な断面図を示すように、ゴム−スチールコード複合体30は、ゴムシート31内に、複数本のスチールコード10を所定の間隔を空けて埋設させてなるものであり、各スチールコード10の短径方向が、ゴムシートの31の厚さ方向に揃っている。このような方向でスチールコード10がゴムシート31内に埋設されていることにより、ゴム−スチールコード複合体30の薄厚化が実現できる。このようなゴム−スチールコード複合体30は、タイヤのベルト部材として用いて好適である。
【0034】
ゴム−スチールコード複合体30を、タイヤのベルト部材に用いたタイヤは、当該ベルト層の厚さを薄厚化することができ、タイヤの軽量を図ることができる。
【実施例】
【0035】
表1に示す2+8及び3+10のコード構造を有するスチールコードを製造した。スチールコードの製造の際に、扁平形状のダイスを通してコアフィラメントの伸線加工を行った。また、比較例は、上記扁平形状のダイスを通してコアフィラメントの伸線加工を行わなかった。これらの実施例及び比較例は、コアフィラメントの周りに複数本のフィラメントを、チューブラー撚線機を用いて巻き付けて撚り合わせた。
【0036】
【表1】
【0037】
これらのスチールコードを1000mの長さで製造したときの生産コスト及びコアフィラメントの不揃いの指標となるコアフィラメントの交差の箇所の数を表1に併記する。
表1より、各実施例は、比較例と比べて生産コストが低く、また、コアフィラメントの交差が皆無であった。
【符号の説明】
【0038】
1、2、3、4 ダイス
5 チューブラー撚線機
6 バレル
7 スプール
8 スプール
9 撚り合わせダイ
10、20 スチールコード
11、21 コアフィラメント
12、22 シースフィラメント
30 ゴム−スチールコード複合体
31 シートゴム
図1
図2
図3
図4
図5