特許第6203551号(P6203551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203551
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】キャスター構造及びテーブル
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20170914BHJP
   A47B 23/00 20060101ALI20170914BHJP
   A47B 91/06 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B60B33/00 502B
   A47B23/00 Z
   A47B91/06
   B60B33/00 F
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-135622(P2013-135622)
(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-9640(P2015-9640A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】392030623
【氏名又は名称】株式会社ランダルコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 匡行
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−067601(JP,A)
【文献】 特開2011−218141(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3154359(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 23/00
91/06
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスターが取り付けられて移動可能なベース部に支柱を介してテーブル本体部が支持されたテーブルのキャスター構造であって、
前記ベース部側に設けられた第1レースと、
該第1レースに対して相対回転自在な第2レースと、
前記第1及び第2レース間に介設された転動体と、
前記第2レースに支持されて前記第2レースの回転軸心に対して交差する回転軸心周りに回転自在なローラーとを備え
前記第1レースは、前記キャスターが取り付けられる前記ベース部の取付部分の高さの範囲内に設けられて前記ベース部の底面側に開口する凹状に形成され、
前記第2レースは、前記第1レース内に収容されて前記ベース部の前記取付部分の高さの範囲内で延設された周壁を有し、
前記ローラーは、前記周壁の内周面に支持された回転軸周りに回転自在に支持された、
ことを特徴とするキャスター構造。
【請求項2】
請求項1記載のキャスター構造であって、
前記第1レースから突設され前記第2レースを挿通して軸心周りに回転自在に支持する第1回転軸と、
前記周壁の内周面に支持された前記回転軸として前記第2レースに支持されて前記第1回転軸に対する交差方向に沿った第2回転軸とを備え、
前記ローラーは、前記第2回転軸に軸心周り回転自在に支持され相互間に前記第1回転軸を避ける隙間を空けて配置された一対のローラー体からなる、
ことを特徴とするキャスター構造。
【請求項3】
請求項2記載のキャスター構造であって、
前記第1回転軸は、先端に係止突起を備え、
前記第2レースは、前記第1回転軸を挿通させて縁部が前記係止突起に係合する係止孔を備え、
前記一対のローラー体は、前記隙間によって前記第1回転軸の係止突起を避ける、
ことを特徴とするキャスター構造。
【請求項4】
請求項2又は3記載のキャスター構造であって、
前記一対のローラー体は、前記第2回転軸に相対回転自在に支持された、
ことを特徴とするキャスター構造。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のキャスター構造であって、
前記第1レースは、前記ベース部とは別体に形成され、
前記ベース部は、前記取付部分に前記第1レースを収容固定する収容凹部を備えた、
ことを特徴とするキャスター構造。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のキャスター構造を適用したテーブルであって、
長手方向の両側にキャスターが取り付けられたベース部と、
前記ベース部の長手方向一側から立設された支柱と、
前記支柱に長手方向一側が支持されて前記ベース部に対向配置されたテーブル本体部とを備え、
少なくとも前記ベース部の長手方向他側に取り付けられたキャスターに前記キャスター構造を適用した、
ことを特徴とするテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドの利用者等が用いるテーブルのキャスター構造及びこのキャスター構造を用いたテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のテーブルとしては、例えば特許文献1のように、キャスターが取り付けられたベース部に支柱を立設し、支柱の先端にテーブル本体部を支持したテーブルがある。
【0003】
このテーブルでは、テーブル本体部がベース部に対向配置されており、ベース部をスライドさせてベッド下のスペースに入れ込むと、テーブル本体部がベッド上に位置するようになっている。
【0004】
従って、ベッド脇への突出を抑制しながら容易にテーブルを設置することが可能となる。
【0005】
しかし、かかるテーブルは、ベース部にキャスターを取り付ける関係上、ベース部を低く構成することに限界がある。近年では、介護やリハビリテーション等の分野において低床ベッドが普及してきており、そのような低床ベッドでは、ベッド下のスペースに十分な高さがなく、テーブルのベース部を入れ込むことが困難となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−325239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、テーブルのベース部を低く構成することに限界があった点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、テーブルのベース部をより低く構成するために、キャスターが取り付けられて移動可能なベース部に支柱を介してテーブル本体部が支持されたテーブルのキャスター構造であって、前記ベース部側に設けられた第1レースと、該第1レースに対して相対回転自在な第2レースと、前記第1及び第2レース間に介設された転動体と、前記第2レースに支持されて前記第2レースの回転軸心に対して交差する回転軸心周りに回転自在なローラーとを備え前記第1レースは、前記キャスターが取り付けられる前記ベース部の取付部分の高さの範囲内に設けられて前記ベース部の底面側に開口する凹状に形成され、前記第2レースは、前記第1レース内に収容されて前記ベース部の前記取付部分の高さの範囲内で延設された周壁を有し、前記ローラーは、前記周壁の内周面に支持された回転軸周りに回転自在に支持されたことをキャスター構造の最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1及び第2レース間に転動体を介設したベアリング機構部分に対して第2レースにローラーを支持することで、キャスターの高さ増を抑制してテーブルのベース部をより低く構成することが可能となる。
また、ベース部の高さを利用して設置することにより、キャスターの高さ方向への突出を抑えてベース部をより確実に低く構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】キャスター構造を有するテーブルを示す斜視図である(実施例1)。
図2図1のテーブルの側面図である(実施例1)。
図3図1のテーブルのベース部を底面側から見た斜視図である(実施例1)。
図4図3のベース部の底面図である(実施例1)。
図5図3のベース部の側面図である(実施例1)。
図6図3のベース部の正面図である(実施例1)。
図7図3のベース部の要部拡大斜視図である(実施例1)。
図8図4のVIII−VIII線矢視に係る断面図である(実施例1)。
図9図4の要部拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
テーブルのベース部をより低く構成するという目的を、第1レース及び第2レース間に転動体を介設したベアリング機構部分に対して第2レースにローラーを支持するキャスター構造により実現した。
【0012】
具体的には、ベース部側に設けられた第1レースと、第1レースに対して相対回転自在な第2レースと、第1及び第2レース間に介設された転動体と、第2レースに支持されて第2レースの回転軸心に対して交差する回転軸心周りに回転自在なローラーとを備える。
【0013】
好ましくは、第1レースから突設され第2レースを挿通して軸心周りに回転自在に支持する第1回転軸と、第2レースに支持されて第1回転軸に対する交差方向に沿った第2回転軸とを備え、ローラーが第2回転軸に軸心周り回転自在に支持され相互間に第1回転軸を避ける隙間を空けて配置された一対のローラー体からなる。
【0014】
この場合は、例えば第1回転軸が先端に係止突起を備え、第2レースが第1回転軸を挿通させて縁部が前記係止突起に係合する係止孔を備え、一対のローラー体が、相互間の隙間によって第1回転軸の係止突起を避ける構成とすることができる。
【0015】
一対のローラー体は、第2回転軸に相対回転自在に支持できる他、一体的に回転するように支持することも可能である。
【0016】
また、第1レースは、ベース部の底面側に開口する凹状に形成され、第2レースは、第1レース内に収容されるのが好ましい。
【0017】
さらに好ましくは、第1レースがベース部とは別体に形成され、ベース部が第1レースを収容固定する収容凹部を備える。
【0018】
かかるキャスター構造を適用したテーブルは、長手方向の両側にキャスターが取り付けられたベース部と、ベース部の長手方向一側から立設された支柱と、支柱に長手方向一側が支持されて前記ベース部に対向配置されたテーブル本体部とを備え、少なくともベース部の長手方向他側に取り付けられたキャスターにキャスター構造を適用する。
【0019】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0020】
[テーブルの概略構成]
図1は、キャスター構造を有するテーブルを示す斜視図、図2は、図1のテーブルの側面図である。
【0021】
本実施例のテーブル1は、図1及び図2のように、ベース部3と、支柱5と、テーブル本体部7とを備えて全体として略コ字状の側面形状となっている。このテーブル1は、テーブル本体部7がベース部3に対向配置されており、ベース部3をスライドさせてベッド下のスペースSに入れ込むと、テーブル本体部7がベッドB上に位置するようになっている。
【0022】
これにより、テーブル1は、ベッド脇への突出を抑制しながら容易に設置することを可能とする。
【0023】
ベース部3は、平面I字状に形成されており、長手方向の両側に後述するキャスター9,11が取り付けられてスライドによる移動が可能となっている。このベース部3の長手方向一側には、支柱5が立設されている。
【0024】
支柱5は、断面矩形の外筒13及び内筒15からなり、内筒15が外筒13に対して摺動して伸縮可能となっている。伸縮動作は、支柱5内に設けられたガススプリング(図示せず)によって行うことができる。このため、支柱5には、ガススプリングを動作させるためのレバー17が設けられている。支柱5の内筒15上端には、テーブル本体部7が取り付けられている。
【0025】
なお、支柱5は、その底面部に溶接ナット等の一体的なナットを有しており、ナット(図示せず)に螺合するねじ30(図4参照)によってベース部3に締結固定されている。
【0026】
テーブル本体部7は、矩形板状に形成されており、長手方向の一側がブラケット19を介して支柱5の内筒15の上端部に支持されている。これにより、テーブル本体部7は、全体としてベース部3に対向配置されることになる。
【0027】
なお、テーブル本体部7は、鬼目ナット等の埋設ナットを有しており、埋設ナット(図示せず)に螺合するねじ20によって支柱5のブラケット19に締結固定されている。
[ベース部の詳細]
図3は、図1のテーブルのベース部を底面側から見た斜視図、図4は、図3のベース部の底面図、図5は、図3のベース部の側面図、図6は、図3のベース部の正面図である。
【0028】
ベース部3は、図3図6のように、基部21と、中間部23と、先端部25とを備えている。
【0029】
基部21は、ベース部3の長手方向一側に位置し、幅方向に沿って形成されている。基部21は、全体として底面側で開口する中空の箱状に形成され、内部がリブ27によって補強されている。
【0030】
基部21の底面側には、箱状の内部を利用して六角レンチ等の工具28が収納されている。工具28は、テーブル1の組み立てや分解に用いられるものであり、基部21の底面側に収納されることで紛失が防止される。
【0031】
特に、介護やリハビリテーション等の分野においては、テーブル1をレンタルされることもあるが、レンタルの終了によって回収する際に、工具28を用いてテーブル1を容易に分解することが可能となる。
【0032】
本実施例の工具28は、例えば支柱5のブラケット19とテーブル本体部7との間、支柱5とベース部3との間の締結固定又は締結解除に用いることができる。
【0033】
基部21の上面は、幅方向の両側から中間部にわたって漸次高さが低くなるように傾斜している。基部21の中間部では、上面が平坦となっており、支柱5の外筒13が固定されるようになっている(図1参照)。支柱5の固定時には、基部21の上面に位置する支柱5の底面側のナットに対し、基部21の底面側からねじ30を螺合する。この螺合は、工具28を用いて円滑に行うことができる。
【0034】
基部21の長手方向の両側面29,31は、楕円状の曲面からなり、基部21は、幅方向の中間部が両側に対して漸次長手方向に膨出した平面形状となっている。基部21の幅方向の両側では、両側面29,31に切欠33が設けられている。この切欠33内において、基部21の底面側に長手方向一側のキャスター9がそれぞれ取り付けられている。
【0035】
キャスター9は、本実施例のキャスター構造を採用しておらず、一般的なキャスターが用いられる。本実施例において、キャスター9は、図4及び図6のように、基部21の底面側の取付部37に対して回転軸39を介して取り付けられている。回転軸39には、ブラケット41が軸周り回転自在(水平旋回自在)支持されている。ブラケット41には、ローラー43がブラケット41の回転軸心に直交(交差)する軸周りに回転自在に支持されている。ローラー43は、ブラケット41の両側に位置する一対のローラー体45からなっている。
【0036】
中間部23は、図3図5のように、ベース部3の長手方向に沿って延設された平面矩形の中空筒状である。中間部23は、全体的に平坦に形成され、その高さが基部21よりも低く設定されている。中間部23の一端は、基部21の一方の側面29を挿通して基部21に底面側で締結固定されている。この締結は、基部21と支柱5とを締結するねじ30を利用して行われている。中間部23の他端は、先端部25に対して底面側でねじ46によって締結固定されている。
【0037】
先端部25は、図3及び図4のようにベース部3の長手方向他側に位置し、幅方向に沿って形成されている。先端部25は、全体として底面側で開口する平面矩形の中空の箱状に形成され、基部21と同様に内部がリブ49で補強されている。
【0038】
また、先端部25は、中間部23と同様、図5のように、全体的に平坦に形成され、その高さが基部21よりも低く設定されている。これにより、先端部25の上面は、中間部23の上面と面一となっている。
【0039】
先端部25の底面側には、幅方向の両側に長手方向他側のキャスター11がそれぞれ取り付けられている。
【0040】
図7は、図3のベース部の要部拡大斜視図、図8は、図4のVIII−VIII線矢視に係る断面図、図9は、図4の要部拡大図である。
【0041】
キャスター11は、図7図9のように、第1レース51と、第2レース53と、転動体55と、ローラー57とを備えている。
【0042】
本実施例のキャスター11は、図8のように、ベース部3の先端部25に設けられた収容凹部59に収容固定されている。収容凹部59は、先端部25の高さ方向(上下方向)の範囲内に設けられ、先端部25の上壁61とこれと一体の周回状の周壁63とで形成されている。
【0043】
周壁63の一部は、ベース部3の先端部25の長手方向両側の側壁65,67によって構成されている(図7及び図9参照)。この収容凹部59は、ベース部3の先端部35の底面側に開口しており、前記周壁63の一部において開口縁部に凹状の段部69が設けられている。
【0044】
第1レース51は、ベース部3の先端部25の底面側に開口する凹状に形成されて、全体として収容凹部59内に嵌合している。なお、第1レース51は、ベース部3の先端部25とは別体に形成されているが、先端部25と一体に構成することも可能である。この場合は、ベース部3の収容凹部59自体を第1レースとして構成しても良い。
【0045】
第1レース51は、凹状の底となる上壁71と周回状の周壁73とが一体に設けられている。第1レース51の開口縁部には、周壁73と一体のフランジ部75が設けられており、フランジ部75の一部が収容凹部59の段部69内に嵌合している。また、フランジ部75は、図7及び図9のようにベース部3の先端部25の幅方向に膨出した膨出部77を備え、膨出部77がねじ79によってベース部3の先端部25に締結固定されている。
【0046】
第1レース51の上壁71には、図8のように、中心部から開口側に向けて第1回転軸81が突設されている。第1回転軸81の周囲では、上壁71に周回状の溝83が設けられている。
【0047】
第1回転軸81は、複数の係止片85からなっている。各係止片85は、可撓性を有する板状に形成され、先端部に係止突起87が形成されている。この第1回転軸81を介し、第1レース51には第2レース53が支持されている。
【0048】
第2レース53は、第1レース51に沿った凹状に形成され、第1レース51と同様、凹状の底となる上壁89と周回状の周壁91とが一体に設けられている。第2レース53は、第1レース51内に収容されて、ベース部3の先端部25の底面側に開口する。
【0049】
第2レース53の上壁89には、第1回転軸81に対応して係止孔93が貫通形成されている。係止孔93には、第1回転軸81が挿通して縁部に第1回転軸81の係止突起87が係合している。係止突起87は、第2レース53内へ突出しているので、第2レース53の抜け止めを行うことができる。これにより、第2レース53は、第1回転軸81の軸心周りに回転自在(水平旋回自在)に支持され、第1レース51に対して相対回転自在となっている。
【0050】
第2レース53の上壁89は、第1レース51の上壁89に対向配置されている。これらの第1レース51及び第2レース53の上壁71,89間には、複数の転動体55が介設されている。
【0051】
複数の各転動体55は、ベアリング用のボールからなり、第1レース51の溝83内に収容されている。転動体55の周方向一部は、溝83外に突出して第2レース53の上壁89に当接している。従って、転動体55は、第1レース51及び第2レース53間で転動し、両者間の相対回転を円滑に行わせることができる。なお、転動体55は、ベアリング用のローラー等の他の転動体を採用することも可能である。
【0052】
ローラー57は、図9のように、第2回転軸95を介して第2レース53の周壁91に支持されている。具体的には、第2レース53の周壁91は、その内周面に軸受支持部97が設けられている。軸受支持部97は、ベース部3の先端部25の底面側に開口する支持溝99を備えている。この軸受支持部97の支持溝99には、第2回転軸95の端部が圧入によって嵌合固定されている。
【0053】
第2回転軸95は、図8のように、円柱状に形成され、第1回転軸81の軸心に対する直交方向(交差方向)に沿って配置されている。第2回転軸95は、その軸心が第1回転軸81の軸心と交差しないように変位している。この第2回転軸95には、ローラー57が支持されている。
【0054】
ローラー57は、図7図9のように、一対のローラー体101からなっている。ローラー体101は、第2回転軸95の軸周りに挿通支持されている。このため、ローラー体101は、第2レース53の回転軸心に対して交差する回転軸心周りに回転自在な構成であると共に相対回転自在となっている。
【0055】
ローラー体101は、相互間に第1回転軸81を避ける隙間を空けて配置されている。本実施例では、ローラー体101が相互間の隙間によって第1回転軸81の係止突起87を避け、その係止突起87に干渉しないようになっている。ローラー体101の相互間の隙間は、第2回転軸95にスペーサを挿通したり或いは第2回転軸95を部分的に大径にすることで、ローラー体101の軸方向移動を防止することで確保される。
【0056】
ローラー体101は、その一部が第2レース53の上壁89に近接して配置されている。このため、第2レース53の上壁89には、ローラー体101との干渉を避ける逃げ凹部103が形成されている。
[実施例1の効果]
本実施例は、キャスター9,11が取り付けられて移動可能なベース部3に支柱5を介してテーブル本体部7が支持されたテーブル1に対し、ベース部3の先端部25のキャスター11に適用されたキャスター構造であって、ベース部3側に設けられた第1レース51と、第1レース51に対して相対回転自在な第2レース53と、第1及び第2レース51,53間に介設された転動体55と、第2レース53に支持されて第2レース53の回転軸心に対して交差する回転軸心周りに回転自在なローラー57とを備えている。
【0057】
従って、本実施例では、第1及び第2レース51,53間に転動体55を介設したベアリング機構部分に対して第2レース53にローラー57を支持し、キャスター11の高さ増を抑制してベース部3の先端部25をより低く構成することが可能となる。
【0058】
本実施例では、ベース部3の先端部25及び中間部23が同一の高さとなっているので、先端部25から中間部23にわたって、より低く構成することができる。
【0059】
かかる構成の本実施例のテーブル1は、図2のようにベッド下のスペースS内にベース部3を長手方向他側の先端部25から入れ込む際に、低床ベッドのようにベッド下のスペースSに十分な高さがない場合でも、ベース部3を先端部25から中間部23まで確実に入れ込むことができる。
【0060】
また、本実施例は、第1レース51から突設され第2レース53を挿通して軸心周りに回転自在に支持する第1回転軸81と、第2レース53に支持されて第1回転軸81に対する交差方向に沿った第2回転軸95とを備え、ローラー57が第2回転軸95に軸心周り回転自在に支持され相互間に第1回転軸81を避ける隙間を空けて配置された一対のローラー体101からなる。
【0061】
従って、本実施例では、ローラー57と第1回転軸81の先端とをオーバーラップさせることができ、ベース部3の先端部25をより確実に低く構成することができる。
【0062】
また、本実施例では、第1回転軸81が先端に係止突起87を備え、第2レース53が第1回転軸を挿通させて縁部が係止突起87に係合する係止孔93を備え、一対のローラー体101が相互間の隙間によって第1回転軸81の係止突起87を避ける。
【0063】
従って、第2レース53の支持するための構成を簡素化してベース部3の先端部25をより確実に低く構成することができながら、上記のようにローラー57と第1回転軸81の先端とをオーバーラップさせることが可能となる。
【0064】
本実施例の一対のローラー体101は、第2回転軸95に相対回転自在に支持されているので、その相対回転によってベース部3の旋回性能を向上することもできる。
【0065】
また、本実施例では、第1レース51がベース部3の底面側に開口する凹状に形成され、第2レース53が第1レース51内に収容される。
【0066】
従って、第1レース51をベース部3の先端部25の高さを利用して設置することにより、キャスター11の高さ方向への突出を抑えてベース部3の先端部25をより確実に低く構成することが可能となる。
【0067】
本実施例では、第1レース51がベース部3とは別体に形成され、ベース部3が第1レース51を収容固定する収容凹部59を備えている。
【0068】
従って、本実施例では、キャスター11をベース部3とは別体に取り扱うことができ、部品管理や組付け性を向上することができる。
【0069】
本実施例のキャスター構造を適用したテーブル1は、長手方向の両側にキャスター9,11が取り付けられたベース部3と、ベース部3の長手方向一側から立設された支柱5と、支柱5に長手方向一側が支持されてベース部3に対向配置されたテーブル本体部7とを備え、少なくともベース部3の長手方向他側に取り付けられたキャスター11にキャスター構造を適用している。
【0070】
従って、本実施例では、低床ベッドのようにベッド下のスペースSに十分な高さがない場合でも(図2参照)、ベース部3をスペースSに確実に入れ込むことが可能なテーブル1を実現できる。
【符号の説明】
【0071】
1 テーブル
3 ベース部
5 支柱
7 テーブル本体部
9,11 キャスター
51 第1レース
53 第2レース
55 転動体
57 ローラー
59 収容凹部
81 第1回転軸
87 係止突起
93 係止孔
95 第2回転軸
101 ローラー体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9