特許第6203552号(P6203552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203552
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】バッテリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20170914BHJP
   B60R 16/04 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
   H01M2/10 E
   B60R16/04 Z
   H01M2/02 B
   H01M2/04 B
   H01M2/10 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-135937(P2013-135937)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-11845(P2015-11845A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(72)【発明者】
【氏名】植田 義明
【審査官】 佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−190626(JP,A)
【文献】 特開2012−80706(JP,A)
【文献】 特表平5−504225(JP,A)
【文献】 実開昭57−45776(JP,U)
【文献】 特開平9−82287(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3120348(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/02
H01M 2/04
B60R 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正負の電極板および電解液を含む鉛バッテリと、
前記鉛バッテリに接続され、前記鉛バッテリとは異なる密閉型の補助バッテリと、
上面が開口される熱可塑性樹脂の鉛電池ケースであって、前記鉛電池ケースが、四角形の箱形である外周壁と、前記外周壁の内側を鉛バッテリ収納室および補助バッテリ収納室に区画する電池区画壁と、前記鉛バッテリ収納室内を複数のセル室に区画する複数の区画壁と、を含んでおり、かつ、前記電池区画壁と前記複数の区画壁が、互いに平行に配置されている、該鉛電池ケースと、
前記外周壁、前記電池区画壁、および前記複数の区画壁に熱溶着され、前記鉛電池ケースを閉塞する熱可塑性樹脂の鉛電池蓋と、を備え、
前記複数のセル室に前記鉛バッテリの電解液が充填されるとともに、前記補助バッテリ収納室に前記密閉型の補助バッテリが配置されており、
前記電池区画壁は、前記複数の区画壁のうちのいずれよりも、前記鉛電池蓋と溶着される溶着面積が広いことを特徴とするバッテリ。
【請求項2】
前記電池区画壁の厚さは、いずれの区画壁よりも厚いことを特徴とする請求項1に記載されるバッテリ。
【請求項3】
前記密閉型の補助バッテリが、ニッケル水素電池とリチウムイオン二次電池の何れかである請求項1又は2に記載されるバッテリ。
【請求項4】
前記鉛電池ケースの外周壁の平面形状が長方形で、長方形の長手方向の端部に補助バッテリ収納室を設けてなる請求項1ないし3のいずれかに記載されるバッテリ。
【請求項5】
前記鉛バッテリと前記補助バッテリとを並列に接続するスイッチング素子と、このスイッチング素子のオンオフを制御する制御回路とを備える請求項1ないし4のいずれかに記載されるバッテリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として車両に電装用バッテリとして搭載されるバッテリに関し、とくにニッケル水素電池やリチウムイオン二次電池などの補助バッテリを鉛バッテリに接続してなるバッテリに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される鉛バッテリは、車両を走行させる状態で充放電が繰り返されることから寿命が数年と相当に短く、短期間で新しく交換する必要がある。とくに、アイドリングストップの車両に搭載される鉛バッテリは、さらに寿命が短くなる。それは、アイドリングストップする車両は、車両を減速するときに発電機を駆動して回生制動するが、このときの発電電力で鉛バッテリを大電流で充電し、また、信号待ちなどで停止したエンジンをスターターモータで始動するときに大電流で放電するからである。すなわち、アイドリングストップする毎に、鉛バッテリを大電流で充電し、また放電することが鉛バッテリの寿命を著しく短くする。さらに、鉛バッテリは、回生制動するときの発電電力を効率よく充電できない欠点もある。このような弊害を解消するために、鉛バッテリと並列に、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等の補助バッテリを接続する補助バッテリを備えるバッテリが開発されている。(特許文献1及び2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−190626号公報
【特許文献2】特開2009−166769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉛バッテリと並列に、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等の補助バッテリを接続している補助バッテリを備えるバッテリは、鉛バッテリとは別に補助バッテリを配置して、これを並列に接続することから、車両などの種々の用途において、設置に手間がかかり、また収納スペースも大きくなる欠点がある。
【0005】
本発明の目的は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、補助バッテリを鉛バッテリと一体構造として、種々の用途において簡単かつ容易にしかも便利に設置でき、しかも全体をコンパクトにできる補助バッテリを備えるバッテリを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明のある態様のバッテリは、四角形の箱形である外周壁12の底面を底板11で閉塞してなる外箱の内部を、互いに平行に配置してなる複数の区画壁13と電池区画壁14とで区画して、内部を複数のセル室15と補助バッテリ収納室16に区画してなる熱可塑性樹脂の鉛電池ケース10と、この鉛電池ケース10の外周壁12及び区画壁13の上縁に熱溶着されて、鉛電池ケース10の上方開口部を閉塞してなる熱可塑性樹脂の鉛電池蓋17と、セル室15の内部に配置してなる正負の電極板41と、セル室15の内部に充填してなる電解液42と、補助バッテリ収納室16に配置してなる補助バッテリ2とを備えている。電池区画壁14は鉛電池ケース10の端部に配置されて、電池区画壁14と外周壁12の内側に補助バッテリ収納室16を設けている。鉛電池蓋17は、補助バッテリ収納室16の上方開口部と、セル室15の上方開口部の両方を閉塞する外形であって、鉛電池ケース10の外周壁12と電池区画壁14の上縁に熱溶着されて、補助バッテリ収納室16とセル室15の上方開口部を閉塞している。さらに、電池区画壁14は、鉛電池蓋17の内面に熱溶着される上縁の厚さを、区画壁13の上縁よりも厚くし、あるいは、電池区画壁14は、鉛電池蓋17の内面に熱溶着される上縁を区画壁13の上縁よりも高く突出する形状に成形されて、鉛電池蓋17の内面に熱溶着されている。この態様のバッテリは、補助バッテリ収納室16に、鉛バッテリ1と異なる密閉型の補助バッテリ2を配置して、この補助バッテリ2を鉛バッテリ1に接続している。
【0007】
以上のバッテリは、補助バッテリを鉛電池ケースの内部に配置する一体構造として、種々の用途において簡単かつ容易にしかも便利に設置でき、しかも全体をコンパクトにできる特徴がある。特に、以上のバッテリは、鉛電池ケースの内部に区画壁を設けて複数のセル室を設け、電池区画壁を設けて鉛バッテリのセル室と補助バッテリ収納室とを区画し、さらに、この電池区画壁を、セル室を区画する区画壁よりも厚く、あるいは上方に突出する形状として、鉛電池蓋の内面に熱溶着しているので、電池区画壁と鉛電池蓋との間に隙間ができず、セル室に充填している鉛バッテリの電解液が補助バッテリ収納室に侵入するのを確実に阻止して、電解液による補助バッテリ2の傷を確実に阻止できる特徴がある。
【0008】
本発明のある態様のバッテリは、鉛電池ケース10が、電池区画壁14と区画壁13と外周壁12と底板11とを熱可塑性樹脂で一体的に成形することができる。
以上のバッテリは、電池区画壁と外周壁と底板とを隙間なく連結して、液漏れを阻止できると共に、区画壁と電池区画壁のある鉛電池ケースを能率よく多量生産できる特徴がある。
【0009】
本発明のある態様のバッテリは、密閉型の補助バッテリ2を、ニッケル水素電池とリチウムイオン二次電池の何れかとすることができる。
以上のバッテリは、ニッケル水素電池やリチウムイオン二次電池によって全体の容量を相当に大きくできる特徴がある。
【0010】
本発明のある態様のバッテリは、鉛電池ケース10の外周壁12の平面形状を長方形として、長方形の長手方向の端部に補助バッテリ収納室16を設けることができる。
以上のバッテリは、補助バッテリと鉛バッテリとの接続を簡単にして、補助バッテリによって電池として電気特性を向上できる。また、収納する補助バッテリによって電気特性を相当に向上させながら、外形を鉛バッテリの規格寸法にできる特徴もある。
【0011】
本発明のある態様のバッテリは、鉛バッテリ1と補助バッテリ2とを並列に接続するスイッチング素子8と、このスイッチング素子8のオンオフを制御する制御回路9とを備えることができる。
以上のバッテリは、スイッチング素子をオンオフに制御して、補助バッテリを過充電や過放電から保護して劣化を少なく、使用できる寿命を相当に長くできる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態にかかる補助バッテリを備えるバッテリのブロック図である。
図2】本発明の一実施の形態にかかる補助バッテリを備えるバッテリの斜視図である。
図3図2に示す補助バッテリを備えるバッテリのIII−III線断面図である。
図4図2に示す補助バッテリを備えるバッテリの一部拡大分解斜視図である。
図5図2に示す補助バッテリを備えるバッテリの要部拡大分解断面図である。
図6】本発明の他の実施の形態にかかる補助バッテリを備えるバッテリの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための補助バッテリを備えるバッテリを例示するものであって、本発明は補助バッテリを備えるバッテリを以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0014】
図1のブロック図に示す補助バッテリを備えるバッテリ100は、鉛バッテリ1と補助バッテリ2とを並列に接続している。補助バッテリ2は、鉛バッテリ1と異なる密閉型のバッテリであって、鉛バッテリ1と並列に接続されて、鉛バッテリ1の特性を改善する二次電池が使用される。密閉型のバッテリは、金属ケースに電極と電解液を充填しているニッケル水素電池やリチウムイオン二次電池、あるいは外装ケースをフィルム製とするリチウムポリマー電池などである。
【0015】
定格電圧を12Vとする車両用のバッテリ100の補助バッテリ2は、ニッケル水素電池が適している。このバッテリ100は、定格電圧を12Vとする鉛バッテリ1と並列に補助バッテリ2を並列に接続する。鉛バッテリ1は6セル(各セルのセル電圧は2V)を直列に接続して定格電圧を12Vとし、補助バッテリ2のニッケル水素電池は、10個を直列に接続して定格電圧を12Vとして並列に接続できる。このバッテリ100は、鉛バッテリ1と補助バッテリ2の定格電圧を等しくして、DC/DCコンバータなどの電圧を調整する回路を介することなく、直接に並列接続できる。ただ、本発明の補助バッテリを備えるバッテリは、補助バッテリの定格電圧を必ずしも鉛バッテリの定格電圧に等しくする必要はない。定格電圧が鉛バッテリと異なる補助バッテリは、DC/DCコンバータ(図示せず)を介して並列に接続できるからである。
【0016】
鉛バッテリ1と並列に補助バッテリ2としてニッケル水素電池を接続するバッテリ100は、全体の容積と重量に対する充放電容量を大きくできる。また、補助バッテリ2によって、回生発電電力を効率よく蓄電して燃費を改善できる。さらにまた、並列に接続しているニッケル水素電池でもって鉛バッテリ1の劣化を防止して鉛バッテリ1の寿命を長くできる。
【0017】
本発明の補助バッテリを備えるバッテリは、その用途を車両用のバッテリに特定するものでなく、全ての用途に使用される。また、補助バッテリを備えるバッテリは、補助バッテリをニッケル水素電池のみでなく、たとえばリチウムイオン二次電池など他の充電できる全ての電池であって、鉛バッテリと異なる特性、すなわち異なる種類のバッテリであって、鉛バッテリの特性を改善できる全てのバッテリとすることができる。
【0018】
図1の補助バッテリを備えるバッテリ100は、鉛バッテリ1と補助バッテリ2をスイッチング素子8を介して並列に接続している。スイッチング素子8は制御回路9でオンオフに制御される。スイッチング素子8のオン状態で補助バッテリ2は鉛バッテリ1と並列に接続され、スイッチング素子8のオフ状態で補助バッテリ2は鉛バッテリ1に接続されない。制御回路9は、充放電の電流を検出してスイッチング素子8をオンオフに切り換える。
【0019】
たとえば、車両に電装用バッテリとして搭載される補助バッテリを備えるバッテリ100は、スターターモータに電力を供給する状態では制御回路9でスイッチング素子8をオフ状態に切り換える。この状態において、補助バッテリ2はスターターモータに電力を供給せず、鉛バッテリ1がスターターモータに電力を供給する。この補助バッテリを備えるバッテリ100は、補助バッテリ2の大電流放電による劣化を防止できる。車両の回生制動においては、制御回路9はスイッチング素子8をオン状態として、回生発電電力で補助バッテリ2と鉛バッテリ1の両方を充電する。この補助バッテリを備えるバッテリ100は、回生発電電力で鉛バッテリ1と補助バッテリ2の両方を充電するので、回生発電電力をより効率よくバッテリ100に蓄電できる。
【0020】
さらに、制御回路9は、車両に搭載されるバッテリのみでなく、他の用途に使用される状態においても、補助バッテリ2の過充電と過放電を防止するために、補助バッテリ2や鉛バッテリ1の電圧を検出し、あるいは補助バッテリ2の残容量を検出して、過充電と過放電を防止するようにスイッチング素子8を制御する。すなわち、バッテリ100が充電される状態で、補助バッテリ2が過充電され、あるいは過充電に近い状態になるとスイッチング素子8をオフに切り換えて過充電を防止し、またバッテリ100が放電される状態で、補助バッテリ2が過放電され、あるいは過放電に近い状態になるとスイッチング素子8をオフに切り換えて過放電を防止する。
【0021】
図2ないし図4に示す補助バッテリを備えるバッテリ100は、鉛電池ケース10の上方開口部を鉛電池蓋17で閉塞している。鉛電池ケース10は、熱可塑性樹脂を長方形の箱形に成形している外周壁12の内部に複数の区画壁13と電池区画壁14を設けて、この区画壁13と電池区画壁14で外周壁12の内部を複数のセル室15と補助バッテリ収納室16に区画している。区画壁13と電池区画壁14は垂直姿勢で互いに平行に配置されて、鉛電池ケース10の内部を区画して複数のセル室15と補助バッテリ収納室16を長方形の長手方向に並べて配置している。
【0022】
各々のセル室15には、正負の電極板41が配置され、さらに電解液42を充電している。鉛バッテリ1の1セルの電圧は2Vである。したがって、定格電圧を12Vとする鉛バッテリ1は6セルを直列に接続している。鉛電池ケース10は、外周壁12と区画壁13と底板11とを熱可塑性樹脂で一体的に成形している。外周壁12は、図4の一部拡大図に示すように、区画壁13よりも厚く成形される。また、外周壁は、その上端縁を区画壁の上端縁よりも高く成形することができる。この鉛電池ケース10は、外周壁12を区画壁13よりも強固に、しかも確実に鉛電池蓋17に熱溶着できる。
【0023】
鉛電池蓋17は熱可塑性樹脂で成形されて、鉛電池ケース10の外周壁12と区画壁13と電池区画壁14の上縁に熱溶着されて、各セル室15の上方開口部を閉塞している。図2図4に示す鉛バッテリ100は、各セル室15に補充液の蒸留水を充填する点検開口19を鉛電池蓋17に設けて、点検開口19を気密に密閉しない開閉蓋(図示せず)で閉塞している。また、密閉構造の鉛バッテリは、鉛電池蓋でもって、各セル室の上方開口部を密閉構造に、すなわち気密又は水密に密閉している。
【0024】
図3図4の鉛電池蓋17は、外周縁に沿って下方に突出する周壁18を設けている。周壁18は、その内側に鉛電池ケース10の外周壁12を挿入できるように、内形を外周壁12の外形にほぼ等しく、正確には外周壁12を隙間なくスムーズに挿入できるように、外周壁12の外形よりもわずかに小さく成形している。この鉛電池蓋17は、周壁18の内側に外周壁12を挿入して熱溶着するので、鉛電池蓋17の周壁18で鉛電池ケース10の外周壁12の上縁部を補強して確実に液漏れしないように熱溶着できる。
【0025】
さらに、図3の鉛電池ケース10は、内部に設けた電池区画壁14でもって、箱形の外周壁12の内側に、補助バッテリ2を収納する補助バッテリ収納室16を設けている。補助バッテリ収納室16を鉛電池ケース10の端部に配置するために、電池区画壁14を鉛電池ケース10の長手方向の端部に配置して、この電池区画壁14と外周壁12の間に補助バッテリ収納室16を設けている。図の鉛電池ケース10は、長方形である外周壁12の内側で長手方向の一端部に区画壁13と平行に電池区画壁14を設けて、鉛電池ケース10の内部の端部に補助バッテリ収納室16を設けている。この鉛電池ケース10は、長方形のケースの長手方向に、複数のセル室15と補助バッテリ収納室16とを並べて配置する。図3の鉛電池ケース10は、セル室15と補助バッテリ収納室16の内幅を同じ幅としている。ただし、補助バッテリ収納室は、必ずしもセル室と同じ内幅とする必要はなく、補助バッテリを収納できる内幅に成形される。
【0026】
電池区画壁14は、セル室15と補助バッテリ収納室16とを区画する。セル室15は、鉛バッテリ1の電解液42である希硫酸を充填している。電解液42の希硫酸が補助バッテリ収納室16に液漏れすると、補助バッテリ2に悪影響を与える。電池区画壁14は、鉛電池ケース10と一体的に成形して両側縁を外周壁12に、底縁を底板11に液漏れしない状態で連結できる。電池区画壁14の上縁は鉛電池蓋17と一体的に成形することができない。補助バッテリ収納室16に上方開口部から補助バッテリ2を収納するからである。したがって、電池区画壁14の上縁は、補助バッテリ2を収納した後、鉛電池蓋17に熱溶着して連結される。
【0027】
電池区画壁14は、図4の一部拡大断面図と図5の拡大分解断面図に示すように、上縁を区画壁13の上縁よりも高く突出する形状に成形し、あるいは、図6の拡大断面図に示すように、鉛電池蓋17の内面に熱溶着される上縁の厚さを区画壁13の上縁よりも厚く成形して、鉛電池蓋17の内面に熱溶着している。区画壁13より高く突出する電池区画壁14は、区画壁13よりも鉛電池蓋17に強く押圧されて、確実に液漏れしない状態で鉛電池蓋17の内面に熱溶着される。また、上縁を区画壁13よりも厚く成形している電池区画壁14は、鉛電池蓋17に溶着される溶着面積が区画壁13よりも広く、確実に液漏れしない状態で鉛電池蓋17に溶着される。さらに、図示しないがが、電池区画壁は、鉛電池蓋の内面に熱溶着される上縁の厚さを区画壁の上縁よりも厚く成形すると共に、その上縁を区画壁の上縁よりも高く突出する形状に成形して、鉛電池蓋の内面に熱溶着することができる。この電池区画壁は、鉛電池蓋に溶着される溶着面積が区画壁よりも広く、また、区画壁よりも鉛電池蓋に強く押圧されて、より確実に液漏れしない状態で鉛電池蓋の内面に熱溶着される。
【0028】
図3図4のバッテリ100は、円筒形電池2Aの補助バッテリ2を直列に接続して補助バッテリ収納室16に配置している。円筒形電池2Aはニッケル水素電池である。円筒形電池2Aのニッケル水素電池は2個を直列に接続して電池モジュールとしている。5個の電池モジュールは水平姿勢に配置され、上下に5段に配置される。5個の電池モジュールは直列に接続されて、補助バッテリ2の定格電圧を12Vとしている。図のバッテリ100は、補助バッテリ2を円筒形電池2Aとするが、補助バッテリには角形電池も使用できる。またリチウムポリマー電池のようにフィルムタイプのバッテリも使用できる。
【0029】
以上の補助バッテリを備えるバッテリ100は、以下の工程で組み立てられる。
[成形工程]
ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂で鉛電池ケース10を成形する。この鉛電池ケース10は、外周壁12と区画壁13と電池区画壁14と底板11とを一体的に成形している。さらに、熱可塑性樹脂で鉛電池蓋17を成形する。
【0030】
[セル室15と補助バッテリ収納室16の充填工程]
成形された鉛電池ケース10のセル室15に、鉛バッテリ1の正負の電極板41を収納し、鉛バッテリ1の電極板41を直列に接続する。鉛バッテリ1の電極板41は、区画壁13を貫通する接続部(図示せず)を介して直列に接続される。補助バッテリ収納室16に補助バッテリ2を収納する。補助バッテリ2は、ニッケル水素電池などの二次電池を直列に接続する状態で補助バッテリ収納室16に収納される。
【0031】
[鉛電池ケース10に鉛電池蓋17を溶着する工程]
鉛電池ケース10に鉛電池蓋17を溶着して、鉛電池ケース10の上方開口部を閉塞する。この工程は、鉛電池蓋17の上面に超音波ホーンを押し付け、鉛電池蓋17に超音波振動を与えて、鉛電池蓋17の内面に、鉛電池ケース10の上縁を溶着する。ただ、加熱している熱板を鉛電池蓋17の上面に押し付けて、鉛電池蓋17を鉛電池ケース10に熱溶着することもできる。鉛電池ケース10に熱溶着される鉛電池蓋17は、鉛バッテリ1の電極に接続している出力端子3を貫通させて、上面に突出させている。鉛電池蓋17を鉛電池ケース10に熱溶着した後、鉛電池蓋17の点検開口19から電解液42を充填する。ただし、鉛バッテリを密閉型とするバッテリは、鉛電池蓋を鉛電池ケースに熱溶着する前に、セル室に電解液を充填する。
【0032】
[配線工程]
補助バッテリ2の接続端子31を鉛バッテリ1の出力端子3に直接に、あるいはスイッチング素子8を介して並列に接続する。
【符号の説明】
【0033】
100…バッテリ
1…鉛バッテリ
2…補助バッテリ
2A…円筒形電池
3…出力端子
8…スイッチング素子
9…制御回路
10…鉛電池ケース
11…底板
12…外周壁
13…区画壁
14…電池区画壁
15…セル室
16…補助バッテリ収納室
17…鉛電池蓋
18…周壁
19…点検開口
31…接続端子
41…電極板
42…電解液
図1
図2
図3
図4
図5
図6