(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば透析処理などの血液浄化処理を行う際には、患者の皮膚を貫いて、血管に針を刺し、当該針から採血と返血が行われている。この穿刺は、血液浄化処理時に毎回行う必要があるが、その都度患者に大きな痛みを与える。そこで、近年では、穿刺時の痛みを軽減するために、初回の穿刺時に鋭利な通常針を穿刺して、例えば
図13に示すように体の皮膚100の表面から血管101に通じる穿刺ルート102を形成し、2回目以降の穿刺時には、痂皮103を取り除き、鋭利でないいわゆるダルニードル120を穿刺ルート102に挿入して血管101に穿刺する、いわゆるボタンホール穿刺法の普及が進んでいる。この方法によれば、2回目以降の穿刺で新たに皮膚100に穴を開ける必要がないので、患者の痛みを軽減できる。一般的に、
図14に示すように通常針110の先端には、尖った刃面110aが形成されており、
図15に示すようにダルニードル120の先端は、管状の端部を斜めに切断して形成された傾斜端面120aを有し、先端に丸みがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、穿刺を行う術者は、穿刺の際、ダルニードル120を穿刺ルート102の軸に沿って進めなければならない。ダルニードル120を進める方向が僅かでも穿刺ルート102の軸方向からずれると、ダルニードル120の先端は穿刺ルート102の壁に当たることになる。ダルニードル120の先端が穿刺ルート102の壁に当たると、術者は、ダルニードル120を押す指に抵抗を感じるが、通常、抵抗を感じると同時にダルニードル120を押すことを止めるには熟練を要する。このため、多くの場合、ダルニードル120の先端は穿刺ルート102の壁に当たると、穿刺ルート102の壁に凹みを形成してしまう。また、ダルニードル120を挿入している際に、患者の皮膚が動く、或いはずれると、穿刺ルート102が曲がり、これも、ダルニードル120が穿刺ルート102の壁に当たって凹みを形成する原因となる。このような凹みを通常ポケットと称しており、このポケットには、時に菌が混入し、これが穿刺ルート102の感染源となる恐れがある。
【0005】
ダルニードル120の傾斜端面の向く方向を上方とした場合に、ダルニードル120の先端は、特に穿刺ルート102の下方の壁に当たり、穿刺ルート102の下方の壁にポケットを形成しやすい。すなわち、ダルニードル120の傾斜端面の向く方向を上方とした場合に、ダルニードル120の先端は、側方向(左右方向)において中央部に位置するのに対し、上下方向においては最下端に位置する。したがって、ダルニードル120の先端の進む方向が左右方向あるいは上方向のいずれかに変移しても、それが僅かであれば、穿刺ルート102の側方あるいは上方の壁にポケットを形成しない。これに対し、ダルニードル120の先端の進む方向が下方向に変移する場合には、たとえそれが僅かであっても、ダルニードル120の先端は、穿刺ルート102の下方の壁に当たり、穿刺ルート102の下方の壁にポケットを形成する。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ダルニードルである針を穿刺ルートに沿って進める際に、穿刺ルートの壁にポケットが形成されることを抑制できる針を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来のダルニードルは、通常針の鋭利性をなくしたものであるために金属製で剛直性を有する仕様となっている。それゆえ、従来のダルニードルでは、このダルニードルを進める方向が穿刺ルートの軸方向からずれて、先端が穿刺ルートの左右上下の壁、特に下壁に当たり、術者がダルニードルを押す指に抵抗を感じた時にはすでに穿刺ルートの壁に凹み、いわゆるポケットが形成されていることが多い。
【0008】
このような背景の下、発明者らが鋭意研究した結果、針に適度な可撓性を持たすことにより、針を進める方向が穿刺ルートの軸方向からずれても穿刺ルートの壁にポケットが形成されることを抑制できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
(1)皮膚から皮下の血管に通じる穿刺ルートに挿入されて、血管に穿刺される針であって、管状に形成され、先端に針の軸に対し傾斜した傾斜端面を有し、当該傾斜端面の先端部が鋭利性のない縁となっており、
材質が、曲げ弾性率が300MPa〜2000MPa、及びまたは、引張弾性率が200MPa〜2000MPa、及びまたは0.45MPaでの荷重たわみ温度(JISK7191)が70℃から115℃である樹脂であり、次式で規定する針弾性率nEが1N・mm〜900N・mmとなる可撓性を有する、針、
針弾性率nE=(M
2−M
1)/(ε
2―ε
1)
M
1:3点曲げ試験における曲げひずみ0.0005の時の曲げモーメント
M
2:3点曲げ試験における曲げひずみ0.0025の時の曲げモーメント
ε
1:曲げひずみ0.0005
ε
2:曲げひずみ0.0025
(2)針の先端側から見たときの、前記傾斜端面の先端部側の円弧部分の肉厚が、他の円弧部分の肉厚よりも厚い、
(1)に記載の針、
(3)前記他の円弧部の肉厚が、0.02mm〜0.22mmである、
(2)に記載の針、
(4)針を水平に静置し前記傾斜端面を上方に向けた状態で、該針を側方から見た時に、前記先端部が上方に湾曲している、
(2)又は(3)に記載の針、
(5)針を水平に静置し前記傾斜端面を上方に向けた状態で上方から見た時に、前記先端部に続く左右の側縁がそれぞれ直線状になるように形成されている、(
1)〜(4)のいずれかに記載の針、である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、穿刺ルートの壁に感染源となるポケットを形成することを有効に防ぐことができ、感染対策に優れている。同時に、血管に穿刺する作業を簡単かつ短時間で行うことができる。また、血管穿刺作業時の痛みを軽減して、患者への負担を軽減できる。また、経験や技術によらず血管穿刺作業を適切に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る針としてのダルニードル1を有する血液浄化処理用器具2の一例を示す説明図である。
【0012】
血液浄化処理用器具2は、例えば血液浄化処理時に患者に穿刺されるダルニードル1と、ダルニードル1が先端部に接続されたチューブ10と、チューブ10の後端部を他のチューブに接続するための接続部11を有している。チューブ10のダルニードル1に近い部分には、ダルニードル1を動かす際に作業者が保持する保持部12が設けられている。また、チューブ10には、クランプ13が取り付けられている。接続部11には、キャップ14が嵌められている。
【0013】
血液浄化処理用器具2は、例えば接続部11により他のチューブに接続され、図示しない血液浄化器を有する血液浄化回路の一部を構成する。血液浄化処理用器具2は、血液浄化回路の採血側の端部区間と返血側の端部区間に取り付けられ、血液浄化処理時にはダルニードル1を通じて採血や返血が行われる。なお、血液浄化処理には、例えば透析処理、血漿交換処理、血漿吸着処理、血液成分除去処理など含まれるが、特に限定されるものではない。
【0014】
ダルニードル1は、
図2に示すように管状に形成され、先端に針の軸に対し傾斜した傾斜端面20を有している。傾斜端面20は、例えば管を斜めにカットしてできる形状を有し、先端部20aは、鋭利性のない、上方から見て湾曲した円弧状の縁となっている。
【0015】
ダルニードル1は、可撓性を有している。具体的には、ダルニードル1は、次式(1)で定義される針弾性率nEが1N
・mm〜900N
・mmのものが好ましく、より好ましくは10N
・mm〜500N
・mmであり、さらに好ましくは10N
・mm〜400N
・mmである。
針弾性率nE=(M
2−M
1)/(ε
2―ε
1)・・・・・(1)
M
1:3点曲げ試験における曲げひずみ0.0005の時の曲げモーメント
M
2:3点曲げ試験における曲げひずみ0.0025の時の曲げモーメント
ε
1:曲げひずみ0.0005
ε
2:曲げひずみ0.0025
【0016】
以下に、針弾性率nEの算出方法を詳細に説明する。針弾性率nEは、JIS K7171(プラスチック−曲げ特性の求め方)を参考に求められる。
【0017】
先ず、JIS K7171に定める3点曲げの試験に準じて、
図3(a)、(b)に示すようにダルニードル1を2つの支持台40の上に置き、ダルニードル1の2つの支点P間の中央部分を、ダルニードル1の軸の直角方向から試験力Fを付与して、たわみsを測定する。このとき、支点間距離Lを2mmとし、試験力Fの押し付け速度を2mm/minとする。そして、試験力Fを変えて、試験力Fに応じたたわみsを測定し、この測定結果から、例えば
図4に示すような試験力−たわみ曲線を作成する。
【0018】
一方、ダルニードル1の曲げひずみεが0.0005、0.0025の時のたわみs
1、s
2を次式(2)により算出する。
曲げひずみε=(6D/L
2)×s・・・・・・・・・(2)
D:ダル針の外径、L:支点間距離、s:たわみ
【0019】
次に、式(2)により算出されたたわみs
1、s
2と、上記試験力−たわみ曲線から、曲げひずみεが0.0005、0.0025のときの試験力F
1、F
2を求める。それらの試験力F
1、F
2から、次式(3)により各曲げひずみ時の曲げモーメントM
1、M
2を求める。
曲げモーメントM=LF/4・・・・・・・・・・(3)
F:試験力、L:支点間距離
【0020】
最後に、式(1)に、曲げひずみが0.0005の時の曲げモーメントM
1、曲げひずみが0.0025の時の曲げモーメントM
2、曲げひずみε
1(0.0005)、ε
2(0.0025)を代入して、針弾性率nEを求める。
【0021】
なお、上記試験において、
図5に示すように下部に開口部(バックアイ)30のあるダルニードル1の場合、支点Pの位置を、開口部30を避けた位置にする。
【0022】
可撓性のあるダルニードル1の材質には、例えば熱可塑性樹脂が用いられる。例えばダルニードル1の材質には、曲げ弾性率が、1MPa〜2500MPa、好ましくは300MPa〜2000MPa、さらに好ましくは500MPa〜1800MPaの樹脂が用いられる。また、引張弾性率は、200MPa〜2000MPaが好ましく、400MPa〜1800MPaが更に好ましい。また、0.45MPaでの荷重たわみ温度(JISK7191)は、50℃から120℃が好ましく、70℃から115℃が更に好ましい。これらのダルニードルの材質の曲げ弾性率、引張弾性率、及び荷重たわみ温度は、総て満たすものであってもよいし、いずれかを満たすものであってもよい。製造効率を高める為に、射出成型性の良い樹脂、又は、押し出し成型の良い樹脂が好ましい。射出成型用樹脂としては、MFR(メルトフローレイト)は、1〜60g/10minが好ましく更に好ましくは8〜60g/10minが用いられる。押し出し成型用樹脂として、MFR(メルトフローレイト)は、0.1〜10g/10minが好ましく、更に好ましくは、0.5〜8.5g/10minである。例えばダルニードル1の材質には、例えばポリプロピレン、ポリエチレンポリテトラプルオロエチレン、ABS樹脂( アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、ポリカーボネイトなどが好ましい。
【0023】
ダルニードル1の外径は、0.4mm〜2.5mm程度が好ましく、ダルニードル1の内径は、0.35〜2.4mm程度が好ましい。また、ダルニードル1の全長は、10〜120mm程度が好ましい。
【0024】
次に、以上のように構成されたダルニードル1を用いて血管に穿刺する作業について説明する。当該穿刺作業を行う前には、既に初回の通常針による穿刺が行われおり、
図13に示したように患者のシャント部には、皮膚100の表面から血管101に通じる穿刺ルート102が形成されている。穿刺ルート102の入口部分には、痂皮103が形成されている。また、血管101の表面には、閉じられたU字状の穿刺孔101aが形成されている。ダルニードル1を有する血液浄化処理用器具2は、無菌袋から取り出され、血液浄化回路に接続されている。
【0025】
ダルニードル1による穿刺作業では、先ず、
図6に示すようにダルニードル1などにより穿刺ルート102の痂皮103を取りき、皮膚100に穿刺孔102aを開口する。次に、穿刺孔102aから穿刺ルート102内にダルニードル1を挿入する。このとき、ダルニードル1は適度な可撓性を有しているため、穿刺ルート102の曲がりやずれに追従する。また、仮にダルニードル1が穿刺ルート102の軸方向からずれて穿刺ルート102の壁に当たったとしても、ダルニードル1は、そのわずかな抵抗で湾曲する。この結果、その湾曲による抵抗を、術者が押す指に感じることができ、ダルニードル1を押すことを直ちに止めることができる。
【0026】
ダルニードル1を穿刺ルート102のさらに奥まで進めると、
図7に示すようにダルニードル1の先端部20aが血管101の表面の閉じたU字状の穿刺孔101aに到達する。そこで、ダルニードル1の先端部20aを穿刺孔101aに押し付けながら、
図8に示したような穿刺孔101aの穿刺起点部104を探り当てる。このとき、ダルニードル1は、適度な可撓性を有しているので、穿刺起点部104の位置ずれにも柔軟に対応できる。ダルニードル1の先端部20aを穿刺起点部104に合わせると、当該穿刺起点部104から穿刺孔101aが開口し、フラップ101bを押し下げ、
図9に示すようにダルニードル1を血管101内に穿刺する。その後、ダルニードル1から採血及び返血が行われ、血液浄化回路を用いて血液浄化処理が行われる。
【0027】
本実施の形態によれば、ダルニードル1が適度な可撓性を有しているので、ダルニードル1が、穿刺時に生じる穿刺ルート102の曲がりやずれに追従する。また、仮にダルニードル1が穿刺ルート102の壁に当たったとしても、術者はそれを直ちに感じ取ってダルニードル1を押すのを止めることができ、穿刺ルート102にいわゆるポケットが形成されることを抑制できる。また、穿刺起点部104のわずかな位置ずれにも柔軟に対応でき、針の探り性を向上できる。したがって、穿刺ルート102周辺の感染や損傷を防止できる。また、血管101に穿刺する作業を簡単かつ短時間で行うことができる。また、血管穿刺作業時の痛みを軽減し、患者への負担を軽減できる。さらに、また、経験や技術によらず血管穿刺作業を適切に行うことができる。
【0028】
上記実施の形態では、ダルニードル1は、針弾性率nEが1N
・mm〜900N
・mmの適度な可撓性を有する。針弾性率nEが900N
・mmより高くなると、ダルニードル1の剛直性が高くなりすぎて、穿刺ルート102への追従性が低下する。一方、針弾性率nEが1N
・mmより小さくなると、フラップ101bと血管表面との結合を切り離すための押し下げる力が弱くなりすぎる。また、この場合、ダルニードル1を進める方向が穿刺ルート102の軸方向からずれていなくても、ダルニードル1と穿刺ルート102との摩擦により、ダルニードル1が湾曲する可能性がある。
【0029】
また、上記実施の形態によれば、ダルニードル1が可撓性を有するので、肉厚を薄くすることもでき、同一ゲイジ(ニードルの外径が同じ)の場合、内径が大きくなり、その分、圧力損失が小さくなって流量を増加させることができる。
【0030】
さらに、従来金属製のダルニードルを廃棄する場合には埋め立て処理を要していたが、ダルニードル1を樹脂で構成した場合、焼却性を有しており、環境及び汚染対策に優れている。また、樹脂であると成形し易く製造コストを低減できる。また、穿刺ルート102への穿刺に優れた複雑な形状のものも実現できる。
【0031】
ところで、上記実施の形態において、
図10に示すようにダルニードル1は、先端側から見たときの、傾斜端面20の先端部20a側の円弧部分T1の肉厚が、他の円弧部分T2の肉厚よりも厚くなっていてもよい。例えば先端部側の円弧部分T1の肉厚d1が、先端部20aに対向する(反対側の)円弧部分T2の肉厚d2よりも0.01mm〜0.5mm厚いのが好ましい。このように、先端部20a側に肉厚を持たせ、強度を上げることにより、ダルニードル1の挿入時に傾斜端面20の先端部20aにかかる負荷に耐えつつ、他の円弧部分T2の肉厚を薄くすることができる。他の円弧部分T2の肉厚を薄くすることで、ダルニードル1の内径を大きくすることができ、ダルニードル1に流れる流量を増加させることができる。この結果、ダルニードル1を穿刺して行われる血液浄化処理にかかる時間を短縮できる。更に、T1の肉厚部分を設けることにより、射出成形時に樹脂の流動性が良くなり、特に、T2の肉厚が薄くなる程、製造効率を改善して好適である。
【0032】
また、先端部20a側以外の薄い他の円弧部分T2の肉厚が、0.02mm〜0.22mmであってもよく、より好ましくは0.08mm〜0.15mmであってもよい。当該肉厚が0.22mmを超える場合には、流量を十分に取ろうとするとダルニードル1の外径が大きくなりすぎ、穿刺時の患者への負荷や痛みが大きくなるので好ましくはない。また、その肉厚が0.02mmより低い場合は、ダルニードル1の強度が弱くなり、座屈や折れやすくなるので好ましくない。
【0033】
更に、ダルニードル120の傾斜端面を上方に向けた状態でダルニードル120を水平に静置して側方から見た時に、前記先端部が上方に湾曲していてもよい。このようにダルニードル120の先端部が上方に湾曲している場合には、ダルニードル120の先端の進む方向が、穿刺ルート102の長軸に対して、僅かに下方にずれただけでは、穿刺ルート102の下方の壁にポケットを形成しない。また、ダルニードル120の端部が上方に湾曲している場合、先端部分の強度が低下しないようにするためには、先端側から見たときの、傾斜端面20の先端部20a側の円弧部分T1の肉厚が、他の円弧部分T2の肉厚よりも厚くなっていなければならない。ダルニードル120の端部が上方に湾曲する範囲は、ダルニードル120の内径を100%として、0.1から50%が好ましく、更に、1〜20%が特に好ましい。また、ダルニードル120の端部が上方に湾曲する方向は、ダルニードルの内径中心線に向ける方が、穿刺ルートの壁にポケットを作る危険性が低下するので、好ましい。
ダルニードル120の端部が上方に50%より大きくなる場合は、皮膚表面及ぶ血管表面を穿刺する際に、操作性が低下するので好ましくない。
【0034】
上記実施の形態において、ダルニードル1の傾斜端面20は、楕円状であったが、他の形状を有するものであってもよい。例えば
図11に示すようにダルニードル1を水平に静置し傾斜端面20を上方に向けた状態で上方から見た時に、先端部20aに続く左右の側縁20bがそれぞれ直線状になるように形成されていてもよい。また、このとき、先端部20aの細くなった先端巾Kは、0.01mm〜1.5mmが好ましく、0.02mm〜0.6mmが特に好ましい。
【0035】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0036】
例えば上記実施の形態では、ダルニードル1が血液浄化処理時に用いられるものであったが、いわゆるボタンホール穿刺法で用いられるものであればよい。例えば注射器により薬液を投与する時や採血を行う時に用いられるダルニードルにも、本発明は適用できる。また、上記実施の形態では、ダルニードル1は樹脂により形成されていたが、特定の針弾性率nEを有するものであれば、セラミックス、金属などの他の材質、形状のものであってもよい。
【実施例】
【0037】
(評価実験1)
本発明のダルニードル1と従来のダルニードルの各サンプルについて針弾性率nEを算出した。サンプル1は、テフロン(登録商標)製の外径1.7mm、内径1.3mmのチューブ形状のダルニードルであり、サンプル2は、ポリプロピレン製の外径1.5mm、内径1.1mmのチューブ形状のダルニードルであり、比較例であるサンプル3は、ステンレス製の外径1.5mm、内径1.2mmのチューブ形状のダルニードルである。サンプルの形状を
図12に示す。
【0038】
各サンプル1〜3について、JIS K7171で規定された3点曲げ試験を次の表1の条件で行った。
【0039】
【表1】
【0040】
上記実施の形態で説明したように3点曲げ試験の結果から、試験力−たわみ曲線を作成し、式(1)〜(3)を用いて、針弾性率nEを求めた。その結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
本発明にかかわるダルニードルの針弾性率nEは、従来のダルニードルの針弾性率よりもかなり低い値であり、可撓性を示す。
【0043】
(評価実験2)
評価実験2は、穿刺が行われる対象を、透析導入後3年以上経過し週3回の血液透析を実施している末期腎不全血液透析患者14名とした。各患者の2回目の透析日に、上腕シャント部において、本発明のダルニードルのサンプル1、サンプル2、従来のダルニードルのサンプル3を用いて穿刺を行った。ダルニードルが穿刺ルート102に挿入されてからダルニードルが血管101に穿刺されるまでに時間を計測した。これらの穿刺時間を次の表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
本発明に係るダルニードル1は、従来のダルニードルと比較して、穿刺時間の短縮は図られた。従来ダルニードルは、穿刺の際に、穿刺ルートの壁への引っかかり、やや引き戻して挿入することが3回あったが、本発明のサンプル1、2は、このような操作することはなかった。更に従来ダルニードルは穿刺の際に抵抗があるのに対して、本発明のダルニードルは無理なく穿刺が可能であった。