特許第6203564号(P6203564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203564
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】コート白ボール
(51)【国際特許分類】
   D21H 19/72 20060101AFI20170914BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20170914BHJP
   D21H 21/28 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   D21H19/72
   D21H27/00 E
   D21H21/28 A
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-160617(P2013-160617)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2015-30930(P2015-30930A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241810
【氏名又は名称】北越紀州製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】峯島 克史
(72)【発明者】
【氏名】田巻 正芳
(72)【発明者】
【氏名】岡村 有心
(72)【発明者】
【氏名】石塚 豊
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−298998(JP,A)
【文献】 特開2012−158844(JP,A)
【文献】 特開2012−214959(JP,A)
【文献】 特開平11−323755(JP,A)
【文献】 特開2002−266283(JP,A)
【文献】 特開2014−019996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B1/00−1/38
D21C1/00−11/14
D21D1/00−99/00
D21F1/00−13/12
D21G1/00−9/00
D21H11/00−27/42
D21J1/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表層、表下層、中層及び裏層の4層を有する原紙と、前記表層に塗設された顔料塗工層と有する白板紙において、
前記表層は漂白化学パルプを主体とし、かつ、填料を含有する層であり、
前記表下層、前記中層及び前記裏層は古紙パルプを主体とした層であり、
前記表層と前記顔料塗工層とからなる2層の不透明度が85%以上であり、かつ、
前記顔料塗工層は、前記表層側だけに塗設され、塗工量が15g/m〜25g/mで、不透明度が60%以上であり、
前記裏層の上に化学パルプを主体とした繊維層が5g/m〜35g/m設けられ、該繊維層が黒色系の色剤を含有することを特徴とするコート白ボール。
【請求項2】
前記繊維層の填料の配合率は、前記繊維層のパルプに対して3質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のコート白ボール。
【請求項3】
前記顔料塗工層の表面に観察される、面積0.1mm以上のきょう雑物が、1mあたり1個未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコート白ボール。
【請求項4】
前記裏層又は繊維層の表面に観察される、面積0.5mm以上のきょう雑物が、1mあたり1個未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のコート白ボール。
【請求項5】
前記表層が前記填料として炭酸カルシウムを含有していることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のコート白ボール。
【請求項6】
前記原紙の古紙パルプ配合率が、60質量%以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のコート白ボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙パルプを使用し、表面の清潔性において優れた、すなわち表面のきょう雑物を顕著に減少させ、白色ムラのないコート白ボールに関し、容器包装用として印刷、加工され、とりわけ食品や医薬品の包装容器として好適なコート白ボールに関する。
【背景技術】
【0002】
コート白ボールは古紙を多量に使用し、白色度の高い表層に白色顔料塗工層を施し、中層、裏層は古紙パルプを主体とした低白色度層で構成される塗工白板紙である。主として表面に印刷され、包装用として加工後、使用されることが多い。一方、塗工白板紙には、表層、裏層共に漂白化学パルプを使用し白色顔料塗工層を施した高級白板紙や、表裏共に漂白化学パルプあるいは古紙パルプを使用して両面が白く、片面には印刷効果を上げるために白色顔料塗工層を施した特殊白板紙が知られており、同様な目的で使用される。これら3種類の塗工板紙においては、通常、高級白板紙がもっとも高価であり、次いで特殊白板紙であり、コート白ボールはもっとも安価なレベルに位置する。この順位は漂白化学パルプの使用量の順位とほぼ一致している。すなわち、高級白板紙の原紙中のパルプは、全量若しくはほとんどが漂白化学パルプから構成されているのに対して、コート白ボールの原紙においては逆に古紙パルプが大半で漂白化学パルプの使用はわずかである。コート白ボールは、古紙を大量に使用することに起因して、品質面において他の2種の塗工白板紙に比べて劣る点がいくつかある。その中で最大の違いはきょう雑物のレベルである。通常の用途においては許容されるレベルであっても、非常にきょう雑物を嫌う用途、たとえば、食品用や医薬品用のパッケージではコート白ボールの使用は敬遠され、主として高級白板紙や特殊白板紙が使用される場合が多い。きょう雑物が問題となるのは表面であるが、原紙中に存在する古紙由来の残インキ、ゴミが顔料塗工層で隠蔽できず観察される場合が多い。また、昇華型染料が古紙中に存在すると、製品製造時にはきょう雑としては視認されないものが、時間の経過ともに発色し顕在化する場合もある。また、裏面に存在するきょう雑物は箱等に加工されて使用する場合には直接問題とはならないが、粘着物が存在すると、表面に転写して表面のきょう雑物となり、印刷・加工工程でトラブルを起こす原因となる。古紙パルプに起因する別の問題は、切り口での紙粉や原紙表面にある異物であり、印刷時にトラブルを起こし、印刷面に白抜けのような状態を発生させ印刷物の品位を下げる。
【0003】
コート白ボールには以上のような問題があるものの、価格の魅力と古紙を大量に配合し、環境配慮型製品であるという特長から、より高級用途での使用に耐え得る品質への期待が高まっている。
【0004】
コート白ボールは、例えば坪量270g/m以上の厚紙であり、一般的には3層〜9層の多層構造からなる。典型的な層構成は、表層、表下層、中層及び裏層からなる構成であり、表層には顔料塗工層が塗設されている。具体的には、表層は白層とも呼ばれる白色度の高い漂白化学パルプや上質系古紙パルプを含有する層、次いで表層に接する内側の表下層は白下層とも呼ばれ、主として新聞や雑誌古紙を原料として脱インキ処理された比較的白色度の高い古紙パルプ若しくは上記表層の原料又は当該古紙パルプと表層の原料の両方を使用した層、中層は主として新聞や雑誌古紙を単に離解し、除塵した古紙パルプ若しくは新聞又は雑誌古紙を原料として脱インキ処理された比較的白色度の高い古紙パルプを単独で使用するか、又は併用した層であり、裏層は中層と同様な原料で構成される場合が多い。この構成により、古紙の高度利用を図りつつも、白色の白板紙を得ることができる。
【0005】
白色度の異なる複数の層から構成されるために、表面においてしばしば白色度のムラが観察され、視感品質を落とすことが問題になる。そのため、白板紙の白色度のムラ(以下白色ムラという)を改善する方法については各種提案されている。すなわち、表層と表下層の米坪範囲、及び表層白色度と表下層白色度の差を規定することによって、白板紙の白色ムラを少なくする方法(例えば、特許文献1を参照。)、又、表層に灰分として白色顔料を表層のパルプ量に対して10重量%以上抄き込む方法(例えば、特許文献2を参照。)等が提案されている。
【0006】
一方、コート白ボールの裏面に顔料塗工組成物を塗工することで、裏面印刷適性を改善する技術が開示されている。この技術によれば同時に裏面のパルプ繊維が表層塗工面に転移することを妨げる効果があることが示されている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0007】
塗工白板紙において、原紙のチリや黒点を隠蔽して目立たなくし、白色ムラを改善する方法として、顔料塗工層をカーテン塗工方式によって塗工し、該顔料塗工層の不透明度を50%以上とする技術が開示されている(例えば、特許文献4を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−298998号公報
【特許文献2】特開平6−41896号公報
【特許文献3】特開2000−192395号公報
【特許文献4】特開2009−41131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1及び2に記載された方法は、白色ムラの改善には効果はあるにしても、表面のきょう雑物の減少、印刷適性や後加工適性への影響までは十分考慮されてはいない。また、特許文献3には、表面のきょう雑物の減少を改善する方法についての記載はない。また、裏面に顔料塗被組成物を塗工することによって裏面のパルプ繊維が表層塗工面に転移することを妨げる効果が記載されている。しかしながら、裏面中に存在する粘着物については、繊維とは異なる立体形状及び疎水性という化学的性状によって、顔料塗被組成物の塗工だけでは粘着物を被覆固着し表層塗工面への転移を防止するには不十分である。さらに、特許文献4で開示されたカーテン塗工という塗工方式は、白板紙の分野ではいまだ一般的な技術ではなく、設備の変更を伴わない、より現実的な解決策についての提案はない。
【0010】
表面きょう雑物を減少するもっとも簡便な方法は、きょう雑物の大半が古紙に由来することから古紙の配合率を減らし、代わりにきょう雑物の少ないバージンパルプに置き換えることである。しかし、この方法は、単に、よりグレードの高い特殊白板紙や高級白板紙の原料配合に近づけるだけであり、コート白ボールの有する最大の特長でもある古紙の高度利用という特性を失い、さらに経済的優位性を損なうことになる。別な方法は、使用する古紙をパルプ化する際に、脱インキ及び除塵効率を上げ、よりきょう雑物の少ないパルプにして使用するという方法である。この方法は一見優れた方法のようにみえるが、脱インキや除塵に負荷をかけ過ぎると、原料の歩留まりを悪化させ、コストアップになり、ひいてはコート白ボールの特長である経済性を損ねる結果となる。
【0011】
そこで、本発明は、古紙パルプを使用するにもかかわらず、表面のきょう雑物を顕著に減少させ、かつ、白色ムラの少ないコート白ボールに関し、包装用として印刷、加工され、とりわけ食品や医薬品の包装用として好適なコート白ボールを提供することにある。すなわち本発明は、コート白ボールにおいて、最大の特長である価格面の有利性及び古紙パルプの高度利用、さらに良好な印刷・加工適性という特長を維持しつつ、よりグレードの高い白板紙の有する表面清潔感を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採る。即ち、本発明に係るコート白ボールは、少なくとも表層、表下層、中層及び裏層の4層を有する原紙と、前記表層に塗設された顔料塗工層と有する白板紙において、前記表層は漂白化学パルプを主体とし、かつ、填料を含有する層であり、前記表下層、前記中層及び前記裏層は古紙パルプを主体とした層であり、前記表層と前記顔料塗工層とからなる2層の不透明度が85%以上であり、かつ、前記顔料塗工層は、前記表層側だけに塗設され、塗工量が15g/m〜25g/mで、不透明度が60%以上であり、前記裏層の上に化学パルプを主体とした繊維層が5g/m〜35g/m設けられ、該繊維層が色剤を含有することを特徴とする。繊維層を設けることで、粘着物を裏層に固着して、粘着物が表層に転移することを防止することができる。また、繊維層が黒色系の色剤を含有することで、繊維層の白色度を下げ、白色ムラを抑制することができる。
【0013】
本発明に係るコート白ボールでは、前記繊維層の填料の配合率は、前記繊維層のパルプに対して3質量%以下であることが好ましい。
【0015】
本発明に係るコート白ボールでは、前記顔料塗工層の表面に観察される、面積0.1mm以上のきょう雑物が、1mあたり1個未満であることが好ましい。視感品質をより向上させることができる。
【0016】
本発明に係るコート白ボールでは、前記裏層又は繊維層の表面に観察される、面積0.5mm以上のきょう雑物が、1mあたり1個未満であることが好ましい。粘着物が表層に転移することを防止することができる。
【0017】
本発明に係るコート白ボールでは、前記表層が前記填料として炭酸カルシウムを含有していることが好ましい。不透明度及び白色ムラをより改善することができる。
【0018】
本発明に係るコート白ボールでは、前記原紙の古紙パルプ配合率が、60質量%以上であることが好ましい。より環境配慮型製品とすることができる。また、より低価格とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コート白ボールの特長である経済性と古紙パルプの高度利用、良好な印刷・加工適性という特長を活かしつつ、これまで欠点とされた表面のきょう雑物や白色ムラのない、上級グレードの白板紙に匹敵する表面清潔性を具備したコート白ボールを提供することができる。すなわち、原紙の古紙配合率を、例えば60質量%以上という高い配合率を維持しながらも、白色ムラがなく、きょう雑物レベルを、例えば面積0.1mm以上のきょう雑物が塗工層表面で1mあたり1個未満の低レベルとし、従来、主として高級白板紙や特殊白板紙が使用されていた食品や医薬品の包装用としても使用に耐えるコート白ボールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。本明細書では、特に断りがない限り、「表面」とは顔料塗工層の表面をいい、「裏面」とは顔料塗工層を設けた側とは反対側の表面をいう。本実施形態において、繊維層がない形態は参考形態である。
【0021】
本実施形態に係るコート白ボールは、古紙パルプを原紙に配合する。日本製紙連合会制定方式(2008年4月)による原紙における古紙パルプ配合率は60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上である。原紙における古紙パルプ配合率の上限値は、特に限定されないが、90質量%であることが好ましく、95質量%であることがより好ましい。原紙は、表層、表下層、中層及び裏層の少なくとも4層から構成される。また必要に応じて原紙の表面に表面処理をしてもよい。原紙の表面は、表層の表面又は裏層の表面若しくは後述する繊維層を設けた場合は繊維層の表面である。表面処理としては、例えば顔料を含まず、表面紙力剤やサイズ剤を主成分とした水性塗工液を塗布することである。表面処理は、片面だけに施すか、又は両面に施してもよい。
【0022】
表層は、漂白化学パルプを主体とした層である。表層の坪量は20〜60g/mであることが好ましい。また、白色度は70〜88%であることが好ましく、75〜85%であることがより好ましい。表層を、バージンパルプである漂白化学パルプを主体とした層とすることで、きょう雑物を減少させることができる。表層の漂白化学パルプ配合率は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。表層の漂白化学パルプ配合率が50質量%未満では、きょう雑物が多くなる場合がある。表層の漂白化学パルプ配合率の上限値は、特に制限はないが、95質量%であることが好ましく、100質量%(すなわち表層のパルプの全量が漂白化学パルプである)ことがより好ましい。表層には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、漂白化学パルプ以外のパルプを配合してもよい。漂白化学パルプ以外のパルプは、例えば、古紙パルプ、未漂白化学パルプ、機械パルプである。ただし、本発明では表層の古紙パルプの使用は50質量%未満を選択することが好ましい。表層の特性としては、不透明度が重要であり、後記するように表層と顔料塗工層とを一体化した層の不透明度が特に重要である。すなわち、表下層に存在するきょう雑物を隠蔽するために、また表下層の白色度の影響を受けて発生する白色ムラを防止するために重要である。表層の不透明度を向上させる方法としては、各種の方法がある。もっとも簡単な方法は表層坪量を増加させることであり、白色度の向上、白色ムラの改善がなされる。しかし表層に古紙パルプを配合するにしても他の層に比べ原料コストが高いことから、製品全体のコストアップになり、表層坪量を単純に増加させる方法は、好ましい方法ではない。
【0023】
表層は、填料を含有する。填料は、例えば、軽質炭酸カルシウム若しくは重質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム、タルク、クレー、焼成クレー、水酸化アルミニウム、二酸化チタンなどの無機填料、プラスチックピグメントなどの有機填料である。填料の配合率は、表層のパルプに対して、3〜12質量%であることが好ましく、4〜10質量%であることがより好ましい。3質量%未満では、不透明度及び白色度の向上効果が不十分となる場合がある。12質量%を超えると紙層強度が低下し、印刷時のピッキングトラブルの原因となる場合がある。
【0024】
表層に填料として炭酸カルシウムを添加し、中性領域で抄紙する方法はコストアップにならず、有効な方法である。しかしながら、特に顔料としてクレーを主体とする塗料を塗工する従来の板紙の製造においては、板紙の表層に炭酸カルシウムを内添填料として利用することは行われていなかった。この理由として、クレーを主顔料とした塗工層の隠蔽性が高いことから内添に炭酸カルシウムを使う必要性が低かったこと、内添に炭酸カルシウムを使用すると従来からある酸性ロジンサイズではサイズ性が低下しやすいこと、内添に炭酸カルシウムを使用すると歩留りが低下しやすいことなどが挙げられる。特に、古紙を利用する中層の白水が黒ずんでいるためその影響を受けやすく、表層に炭酸カルシウムを使用しても白色度の改善が得られないと考えられていた。本発明では白色度と隠蔽性に優れた性能を持つ炭酸カルシウムを表層に内添することで、不透明度及び白色ムラを改善することができる。
【0025】
炭酸カルシウムの添加率は表層のパルプの量に対して、3〜12質量%であることが好ましく、より好ましくは4〜10質量%とする。3質量%に満たない添加率では不透明度、白色度向上への効果が不十分である場合がある。12量%を超えると紙層強度が低下し、印刷時のピッキングトラブルの原因となる場合がある。使用する炭酸カルシウムとしては各種のものが可能であるが、白色度、不透明度及び抄紙機ワイヤ摩耗性を考慮して軽質炭酸カルシウム若しくは湿式重質炭酸カルシウムのいずれか一方又はそれら両方であることが好ましい。なお、上質古紙パルプが含有する炭酸カルシウムが併存するために、炭酸カルシウムの含有率は添加率より大きい値となるが、強度を考慮すると全炭酸カルシウム量として表層のパルプの量に対して15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5〜13質量%とする。表層には、填料以外に紙力剤、サイズ剤他通常の抄紙薬品の使用が可能である。
【0026】
表下層は、古紙パルプを主体とした層であり、例えば、古紙パルプとして雑誌古紙パルプ若しくは新聞古紙脱インキパルプのいずれか一方又はその両方を主体とした層から構成される。表下層の坪量は20〜60g/mであることが好ましく、より好ましくは30〜50g/mである。白色度については50〜75%であることが好ましく、より好ましくは55〜70%である。50%に満たない白色度では白色ムラが起こりやすくなる場合がある。75%を超えるとコストアップとなり経済面で好ましくない。表下層の古紙パルプ配合率は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。きょう雑物の減少や白色度の向上のために、漂白化学パルプを主成分とする上質系古紙パルプや漂白化学パルプの使用は可能であるが、経済性と古紙配合率の維持の観点から表下層で使用するパルプの40質量%未満の使用に限定すべきである。
【0027】
中層は、古紙パルプを主体とした層であり、例えば、古紙パルプとして主として新聞や雑誌古紙を単に離解し、除塵した古紙パルプを使用した層である。中層の坪量は、50〜400g/mであることが好ましく、より好ましくは100〜350g/mである。白色度は40〜65%であることが好ましく、より好ましくは45〜60%である。中層の古紙パルプ配合率は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
【0028】
裏層は、古紙パルプを主体とした層であり、基本的に中層と同様な原料を使用するが、裏層のきょう雑物レベルは重要である。特に粘着物が存在すると、製造工程あるいは後工程で表面に転移して、表面のきょう雑物レベルをあげたり、印刷工程でのピッキングトラブルの原因物質になったりする恐れがある。裏層の古紙パルプ配合率は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0029】
本発明では、裏層の表面に観察される、面積0.5mm以上のきょう雑物が、1mあたり1個未満であることが好ましい。粘着物の面積は広範囲に及ぶが、特に後工程でトラブルを起こす粘着物はきょう雑物としては大きく、面積として約0.5mm以上の領域に存在することを見いだした。きょう雑物の全体量を減らすことは視感的には良いことではあるが、本発明の課題達成のためには必要不可欠な要件ではない。面積として0.5mm以上のきょう雑物を選択的に減少させることが経済的には好ましいことである。裏層のきょう雑物減少方法としては周知の方法で行うことができる。たとえば古紙処理工程で除塵を強化し、粗大きょう雑物やインキ類をディスパーザーやニーダー等によって機械的に微細化する方法や脱インキ古紙パルプの混合使用等がある。原料の選択も重要であり、粘着物を含む可能性の大きい雑誌古紙は使用しないことが好ましい。裏層の坪量は通常20〜50g/mであることが好ましく、より好ましくは25〜45g/mである。その白色度は45〜65%であることが好ましく、より好ましくは50〜60%である。中層との白色度の差が大きいと裏面の白色ムラを起こしやすいために、中層と裏層との白色度の差は10%以内に制御することが好ましく、5%以内になるよう制御することがより好ましい。
【0030】
以上の処理や原料の選択によってきょう雑物は大幅に減少できるが、ごくわずかに残存する粘着物が印刷時にトラブルを起こす場合がある。これを防止する方法を検討した結果、裏層に粘着物を固着する方法として、裏層の表面(表層とは反対側の表面)に化学パルプを主体とした薄い繊維層を設けることが極めて効果的であることを見いだした。粘着物を裏層に固着し、表面への転移を防止するための繊維層の量は5g/m以上であることが好ましく、さらに好ましくは8g/m以上である。5g/m未満では、粘着物を裏層に十分固着する力が不足する。上限は特に限定はされないが、繊維層の質量を増やすことは、経済的理由と全体の古紙パルプ配合率の低下を招くことから好ましくなく、35g/m未満であることが好ましく、より好ましくは30g/m未満である。化学パルプとしては各種のパルプが使用可能であるが、通常、漂白又は未漂白のクラフトパルプが叩解処理を行い使用される。裏層との白色度差が大きいと白色ムラとなる場合がある。例えば繊維層に白色度の高い漂白化学パルプを用いた場合、及び/又は繊維層の質量が低い場合には白色ムラに注意すべきである。この場合、繊維層が、着色染料又は着色顔料などの色剤を含有することが好ましい。色剤を含有することで、繊維層の白色度を下げ、裏層の白色度に近づけることで白色ムラを回避できる。色剤としては各種のものが使用できるが、白色度を効率的に下げるためには黒色系の色剤が効果的である。繊維層に色剤を含有させる方法としては繊維層に色剤を内添する方法及び繊維層に色剤を外添する方法のいずれもが可能である。色剤を繊維層に外添する方法は、例えば、色剤を含有する塗布液を繊維層の上に塗布する方法である。本実施形態では、色剤を繊維層に、内添する方法だけを行うか、外添する方法だけを行うか、又は内添する方法及び外添する方法の両方を行ってもよい。本発明の繊維層は、裏層のきょう雑物を隠蔽するのが目的ではないので、表層に要求される機能とは異なる。すなわち表層においては隠蔽性をあげるためには不透明度をある数値以上に制御することが必須であり、そのため表層では填料の添加が必須であるが、本発明の繊維層においては填料の添加は不要である。むしろ強度を下げる恐れがあることから、繊維層には填料を無添加又は最低限の添加にとどめるべきである。繊維層の填料の配合率は、繊維層のパルプに対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、0質量%、すなわち無添加であることが特に好ましい。最も重要なのは粘着物を押さえ込むための紙層強度であり、そのため叩解処理を行うことが好ましく、必要に応じて強度を補強するための紙力増強剤等が使用できる。
【0031】
本発明では、繊維層を設けた場合は、繊維層の表面に観察される、面積0.5mm以上のきょう雑物が、1mあたり1個未満であることが好ましい。視覚的に優れた紙とすることができる。
【0032】
表層、表下層、中層、裏層又は繊維層には、本発明の効果を損なわない範囲内で、凝集助剤、紙力増強剤、色味付け染・顔料、サイズ剤を使用できる。また、抄紙時の操業性を向上させるために、歩留り向上剤、濾水向上剤、消泡剤を適宜用いることができる。これらは、本発明においては、例えば、表層のパルプ量に対して0.001〜5質量%添加することができる。具体的には、凝集助剤としては、例えば硫酸バンドが挙げられ、本発明においては、例えば、表層のパルプ量に対して0.01〜2質量%添加することができる。紙力増強剤としては、例えばポリアクリルアマイドが挙げられ、本発明においては、例えば、表層のパルプ量に対して0.01〜2質量%添加することができる。サイズ剤としては、例えば中性ロジンが挙げられ、例えば、表層のパルプ量に対して0.01〜2質量%添加することができる。表層、表下層、中層、裏層がそれぞれ抄紙され、抄合わせされて原紙が製造される。裏層の上にさらに繊維層を設ける方法については特に限定されるものではないが、抄紙工程で原紙の各層と同様にして抄紙のうえ、裏層の上に抄合わせることができる。または、繊維層以外の各層を抄紙後、繊維層を別工程で設けてもよい。原紙の両面または片面には、必要に応じて顔料を含まず、表面紙力剤やサイズ剤を主成分とした水性塗工液を塗布して表面処理をしてもよく、該水性塗工液はサイズプレスやトランスファーロールコーター等の装置を使用し付与できる。
【0033】
コート白ボールにおいては原紙の表層側に顔料塗工層が塗設される。顔料塗工層は顔料と接着剤とを含有する塗料を塗工・乾燥することによって形成される。顔料としては湿式重質炭酸カルシウム、クレー(以降、カオリンということもある。)、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、プラスチックピグメント等の公知公用の顔料が単独で、又は組み合わせて適宜使用されるが、主として湿式重質炭酸カルシウムを使用することが好ましい。固形分64質量%以上でも流動性が優れ、ストリークの発生が抑制されるように、湿式重質炭酸カルシウムを少なくとも顔料中60質量%以上用いることができ、好ましくは、65〜95質量%用いると良い。
【0034】
接着剤としては、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(SBRラテックス)、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、酸化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられ、単独、又は二種以上混合して使用される。接着剤の使用量は、例えば、顔料100質量部に対して5〜30質量部とすることができる。その他、必要に応じて、塗料中には分散剤、苛性ソーダ、アンモニア水などのpH調整剤、消泡剤、着色染・顔料、耐水化剤、流動改質剤等を適宜使用する事もできる。顔料塗工層の形成は一般に下塗り層、上塗り層の二層が形成される。通常下塗り層では乾燥質量で5g/m〜15g/m、好ましくは8g/m〜13g/m、上塗り層で5g/m〜13g/m、好ましくは7g/m〜12g/mの範囲で塗工される。
【0035】
下塗り層及び上塗り層を形成する塗工装置としては限定されるものではないが、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター及びゲートロールコーター、サイザーなどのロールコーターなどが適宜組み合わせて使用することができる。下塗り形成装置としてはロッドコーター、下塗り塗工層を設けた紙への上塗り形成装置としてはロッドコーター、ブレードコーターを使用することが好ましい。
【0036】
顔料塗工層は、塗工量と不透明度とが重要である。本発明において塗工量は、下塗り層及び上塗り層の合計として15g/m〜25g/mとすることが必要であり、好ましくは17g/m〜22g/mとする。塗工量が15g/mより低い場合には本発明で特定する顔料塗工層の不透明度に到達することが困難になるか、仮に目標の不透明度に到達できたとしても、二酸化チタン等の高価な材料を多用することになり、著しいコストアップになることから好ましくない。一方、塗工量が25g/mより多くなると、不透明度向上には好ましいが、後加工工程において罫線部での割れが発生したり、箱に成形する場合の接着性に悪影響を及ぼしたりする等の問題が起こりやすくなることから、避けるべきである。顔料塗工層の不透明度は60%以上であることが不可欠である。さらに好ましくは65%以上である。不透明度が60%未満では、表層にわずかに存在するきょう雑物を隠蔽する力が不足し、原紙に白色ムラが存在する場合には、白色ムラを緩和する力が不足する。顔料塗工層の不透明度を上げるには周知の方法が適用できる。顔料塗工層の不透明度は、例えば、顔料塗工層に用いる顔料の種類、顔料塗工層の塗工量を調整することで所定の範囲に制御することができる。塗工量の制限を設ける本発明においては隠蔽性を向上させるために二酸化チタンの使用は有効な選択肢である。二酸化チタンの使用に伴うコスト増はクレーを湿式重質炭酸カルシウムに置き換えし、湿式重質炭酸カルシウムを高配合とすることで顔料塗工層のコストアップを抑えることが可能である。上塗り層は、不透明度、白色度以外にも光沢度、平滑度等の白紙物性及び、印刷適性及び後加工適性を満足させるためには、湿式重質炭酸カルシウムに加えて、クレー及び二酸化チタンを配合することが好ましい。しかし、顔料コストの増加を抑えるためには、品質が許容される範囲内でクレー及び二酸化チタンの配合を減らして湿式重質炭酸カルシウムを高配合とする必要がある。上塗り層の湿式重質炭酸カルシウムの配合量は、上塗り層の全顔料に対して50質量%以上が好ましく、さらに好ましくは60質量%以上である。また上塗り層の塗工量はできる限り低めに抑えることが好ましく、下塗り層と同等若しくはそれ以下の塗工量とするのが好ましい。一方、下塗り層は顔料コストを抑えるためにできるかぎり安価な顔料を主体として構成することが好ましく、湿式重質炭酸カルシウムは少なくとも70質量%以上、好ましくは80質量%以上の配合とすることが好ましい。
【0037】
本発明においては、表層と顔料塗工層とからなる2層の不透明度が85%以上であることが不可欠であり、さらに好ましくは87%以上である。不透明度が85%に満たない場合には、表下層中に存在するきょう雑物を隠蔽する力が不足し、また表下層以下の白色ムラを緩和する力が不足する。表層と顔料塗工層とからなる2層の不透明度は、例えば、顔料塗工層に用いる顔料の種類、顔料塗工層の塗工量、表層に用いる填料の種類、表層に配合する填料の配合量を調整することで所定の範囲に制御することができる。
【0038】
顔料塗工層の不透明度の評価は、(1)透明なPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)フィルム等に顔料組成物を塗工後、乾燥した試料を準備する方法、(2)製品の顔料塗工層表面に熱可塑性透明フィルムを熱圧着しその後、原紙を銅エチレンジアミン溶液で溶解し、顔料塗工層と透明フィルムの一体物を得ることで、可能になる。この方法によれば顔料塗工層の塗工量も同時に測定可能となる。
【0039】
表層と顔料塗工層とからなる2層の不透明度の評価としては、(1)原紙から単離した表層に顔料組成物を塗工後、乾燥した試料を準備する方法、(2)製品から顔料塗工層と表層との一体物を、表層と表下層との境界で分離した試料を準備する方法で可能になる。
【0040】
本発明では、顔料塗工層の表面に観察される、面積0.1mm以上のきょう雑物が、1mあたり1個未満であることが好ましい。面積0.1mm以上のきょう雑物が、1mあたり1個未満に規定したのは、前記したように古紙を多用せずに製造される高級白板紙のレベルに近づけるためである。人の肉眼で視認されるきょう雑物(たとえば径0.1mm程度以上のもの)が存在しないのが理想ではあるが、現実的ではない。顔料塗工層の表面で観察されるきょう雑物は塗工層表面に付着したもの、顔料塗工層中に存在するもの、表層中に存在するもの、表下層に存在するもの及び中層に存在するものに分類できる。前2者については、塗工工程後の異物付着や顔料塗工液中への異物混入に由来するが、塗工後の乾燥工程のクリーニングや塗工液のスクリーニングでほぼ問題なく解決できる。問題は後3者の表層以下の各層中に存在するきょう雑物で顔料塗工層を光学的に透過して観察されるものであり、大半が古紙由来の残留インキ粒子や繊維以外の異物に起因する。面積0.1mm以上のきょう雑物が、1mあたり1個未満であることを達成する方法については、裏層のきょう雑物減少方法で前記した通り、例えば、表下層及び中層に用いる古紙パルプの古紙処理工程で除塵を強化し、粗大きょう雑物やインキ類をディスパーザーやニーダー等によって機械的に微細化する方法、脱インキ古紙パルプの混合使用する方法である。きょう雑物が表層に存在しない、あるいは非常に少ない場合には表層単独あるいは表層と顔料塗工層とからなる複合層のいずれか一方の不透明度を所定のレベル以上にあげることで可能である。しかし表層にもきょう雑物が存在する場合には顔料塗工層それ自体の不透明度も非常に重要な要件になってくる。
【0041】
本発明では、本発明の効果を奏する限りにおいて、変形形態としても良く、例えば、表層、表下層、中層、裏層又は繊維層の各層を一つの層から構成するのではなく、複数の層により構成してもよい。例えば、中層を中層1と中層2とから構成し、中層1と中層2を抄紙するときに同じ紙料を用いる形態とするか、又は異なる紙料を用いる形態のいずれにしてもよい。他の層についても同じである。また顔料塗工層と原紙の間に紙力剤やサイズ剤等を含有するクリアー塗工層を設けてもよい。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、もちろん本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、部および%とあるのはそれぞれ固形分質量部、固形分質量%を示す。
【0043】
コート白ボールの評価方法は次の方法による。
(1)きょう雑物の測定(きょう雑物個数)
コート白ボール製品からA4サイズの試料、20枚を1セットとして5セットを採取した。各セット間は少なくとも生産工程において5メートル以上離れた位置になるように採取した。きょう雑物測定器(商品名:Spec*Scan2000/2001、Apogee Systems社製)を用いて、以下の条件できょう雑物の個数を測定し、1mあたりの個数に換算した。なお、市販のコート白ボール製品については1セットだけを測定し、1mあたりの個数に換算した。
(※1)測定レンジ、面積
測定レンジ:0.05〜1.0mm
面積(総計):5.23m
(*市販品については1.046m
(※2)測定対象きょう雑物面積
表面:面積0.1mm以上
0.091〜0.106mmを0.1mmとして、それ以上の面積のきょう雑物の総数を計数した。
裏面:面積0.5mm以上
0.41〜0.66mmを0.5mmとして、それ以上の面積のきょう雑物の総数を計数した。
(※3)測定条件
表面:解像度400、256階調グレイスケールモード、しきい値75%
裏面:解像度400、256階調グレイスケールモード、しきい値70%
(2)不透明度の測定(不透明度)
表層と顔料塗工層とからなる2層及び顔料塗工層(フィルムと一体)のそれぞれについて、JIS P−8149 2000「紙及び板紙―不透明度試験方法(紙の裏当て)―拡散照明法」に準拠して不透明度を測定した。測定試料は以下に従い準備した。
(※1)表層と顔料塗工層とからなる2層(表中、「表層+顔料塗工層」と表記した。)
表層と顔料塗工層とからなる2層は、10cm×10cmに断裁した製品を熱水に浸しその後、冷水で冷やし、余分な水を濾紙で吸い取った後、慎重に表層と表下層との境界面で分離し、風乾して試料を得た。この操作を繰り返し、1試料につき5検体の試料を得た。
(※2)顔料塗工層
製品を65mm×65mmに断裁し、顔料塗工層の塗工面と70mm×70mmの透明ポリエチレンフィルム(重量既知)とを重ね合わせて熱圧着し、次いで当該圧着物を0.5モルの銅エチレンジアミン溶液に浸し、原紙を溶解後、水洗、風乾することでフィルムと顔料塗工層の一体化物を単離した。この操作を繰り返し1試料につき8検体の試料を得た。フィルムと顔料塗工層の一体化物の質量からフィルム重量を引くことで、顔料塗工層の塗工量を算出した。同一の試料を用い不透明度を測定した。
(3)白色ムラ
塗工面及び裏面について視感評価により、以下の基準で判定した。
○:白色ムラを感じにくい(実用上問題なし)
○△:白色ムラを僅かに感じるが市場性はあり(実用上問題なし)
△:白色ムラを感じ、用途によっては市場性なし(実用上問題あり)
×:白色ムラがひどく、市場性なし(実用上問題あり)
(4)罫線割れ評価(罫線割れ)
明製作所製RI印刷試験機を用い、DIC社製 CARTON CELF VE プロセス 藍Nを0.4ml用いて表面に印刷した。印刷面を背にして180度折りを3回繰り返し、折り目部分の割れ状態を目視で観察した。
○:割れの発生なし(実用上問題なし)
×:割れが発生(実用上問題あり)
(5)粘着物転移
裏面で観察される0.5mm以上のきょう雑物を含む板紙について、10cm×10cm内にきょう雑物を一つだけ含む部分を切り取り、この操作を5回繰り返して、5枚の紙片Aを用意した。ついで、紙片Aを採取したコート白ボールと同一のコート白ボールから10cm×10cm内にきょう雑物を含まない部分を切り取り、この操作を5回繰り返して、5枚の紙片Bを用意した。そして、一枚の紙片Aの裏面(きょう雑物がある面)の上に一枚の紙片Bの表面(顔料塗工層の表面)を向けた状態で重ねたものを5セット用意し、該5セットを順次重ねてひとまとめにし、2kgの重しを乗せて23℃×50%r.h.条件下で24時間放置する試験を行った。各セットについて、紙片Aの裏面から紙片Bの表面へ転移したきょう雑物の個数を計数し、5セットの合計数で粘着物の転移を評価した。
○:転移した個数が0である(実用上問題なし)
△:転移した個数が2以下である(実用上問題なし)
×:転移した個数が3以上である(実用上問題あり)
【0044】
それぞれの実施例、比較例、参考例の評価結果は表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表層には広葉樹漂白化学パルプ(L−BKP)90%と針葉樹漂白化学パルプ(N−BKP)10%とからなるCSF350mlに調整されたパルプと、表層のパルプ量に対して湿式粉砕重質炭酸カルシウム(カービタル90(イメリスミネラルズジャパン社製 2μm以下90質量%))を4%混合したものを用い、表下層には新聞古紙パルプ100%を用い、中層には離解雑誌古紙パルプ100%を用い、裏層には機械分散処理した新聞古紙パルプ100%を用いて、短網組み合わせ型抄紙機によって、全坪量300g/mの原紙を抄紙した。原紙の古紙パルプ配合率は75%であった。表層の坪量は35g/m、表下層の坪量は50g/m、中層の坪量は180g/m、裏層の坪量は35g/mであった。表層には紙力増強剤としてポリアクリルアマイド(荒川化学工業社製 ポリストロン619)を表層のパルプ量に対して0.2%、凝集助剤として硫酸バンドを表層のパルプ量に対して0.2%、サイズ剤として中性ロジン(星光PMC社製 CC−1401)を表層のパルプ量に対して0.3%、歩留り向上剤(栗田工業社製 HH220)を表層のパルプ量に対して300ppm添加した。この原紙の表層の表面上に、下塗り塗工層の顔料としてカオリン(ケイミン社製 ハイドラスパース)を全顔料中20部及び湿式重質炭酸カルシウム(イメリスミネラルズジャパン社製 カービタル60)を全顔料中80部含有し、接着剤として顔料100部に対してSBRラテックスを15部及び顔料100部に対してリン酸エステル化澱粉3部をそれぞれ含有する塗料をロッドコーターにて塗工量9g/mとなるように塗工、乾燥した。次いで上塗り塗工層の顔料としてカオリン(カダム社製 アマゾンSB)を全顔料中30部、湿式重質炭酸カルシウム(イメリスミネラルズジャパン社製 カービタル90)を全顔料中60部及び二酸化チタン(デュポン社製 RPS−Vantage)を全顔料中10部含有し、接着剤として顔料100部に対して15部のSBRラテックスを含有する塗料(塗料A)をロッドコーターにて塗工量8g/mとなるように塗工、乾燥した。
【0047】
(実施例2)
下塗り塗工層の塗工量を12g/m、上塗り塗工層の塗工量を10g/mとした以外は実施例1と同様にして得た。
【0048】
(実施例3)
表層のパルプ量に対して湿式粉砕重質炭酸カルシウム(カービタル90 イメリスミネラルズジャパン社製)を10%混合したものを用いた以外は実施例2と同様にして得た。
【0049】
(実施例4)
下塗り塗工層の塗工量を13g/m、上塗り塗工層の塗工量を12g/mとした以外は実施例1と同様にして得た。
【0050】
(実施例5)
上塗り塗工層の顔料としてカオリン(カダム社製 アマゾンSB)を全顔料中25部、湿式重質炭酸カルシウム(イメリスミネラルズジャパン社製 カービタル90)を全顔料中60部及び二酸化チタン(デュポン社製 RPS−Vantage)を全顔料中15部含有し、接着剤として顔料100部に対して15部のSBRラテックスを含有する塗料(塗料B)を用い、下塗り塗工層の塗工量を8g/m、上塗り塗工層の塗工量を7g/mとした以外は実施例1と同様にして得た。
【0051】
(実施例6)
下塗り塗工層の塗工量を9g/m、上塗り塗工層の塗工量を8g/mとした以外は実施例5と同様にして得た。
【0052】
(実施例7)
表層のパルプ量に対して使用する湿式粉砕重質炭酸カルシウムにかえて、軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP121−6S)を4%用い、下塗り塗工層の塗工量を12g/m、上塗り塗工層の塗工量を10g/mとした以外は実施例5と同様にして得た。
【0053】
(実施例8)
裏層の上に、広葉樹漂白化学パルプ(L−BKP)90%と針葉樹漂白化学パルプ(N−BKP)10%とからなるCSF350mlに調整されたパルプを用い抄紙機上で10g/mとなるように繊維層を設けたこと以外は実施例7と同様にして得た。
【0054】
(実施例9)
繊維層の坪量を20g/mに変更した以外は実施例8と同様にして得た。
【0055】
(実施例10)
繊維層の坪量を30g/mに変更した以外は実施例8と同様にして得た。
【0056】
(実施例11)
黒色染料と澱粉糊液を含む塗工液を、黒色染料付着量として0.05g/mとなるようにコーターにて繊維層表面に塗工し、その後乾燥した以外は実施例8と同様にして得た。
【0057】
(実施例12)
表層には広葉樹漂白化学パルプ(L−BKP)60%と、針葉樹漂白化学パルプ(N−BKP)10%と、漂白化学パルプを主成分とする上質系古紙パルプ30%とからなるCSF350mlに調整されたパルプを用いた以外は実施例7と同様にして得た。
【0058】
(比較例1)
表層のパルプ量に対して使用する湿式粉砕重質炭酸カルシウムにかえて、タルクを4%用い、酸性ロジンサイズ剤(星光PMC株式会社 AL1212)を対パルプ0.3%添加し、硫酸バンドを対パルプ1%添加し、裏層として離解雑誌古紙パルプを用い、下塗り塗工層の塗工量を7g/m、次いで上塗り塗工層の顔料としてカオリン(カダム社製 アマゾンSB)を全顔料中60部、湿式重質炭酸カルシウム(イメリスミネラルズジャパン社製 カービタル90)を全顔料中35部及び二酸化チタン(デュポン社製 RPS−Vantage)を全顔料中5部含有し、接着剤として顔料100部に対して15部のSBRラテックスを含有する塗料(塗料C)を用い、塗工量を6g/mとした以外は実施例1と同様にして得た。
【0059】
(比較例2)
下塗り塗工層の塗工量を15g/m、上塗り塗工層の塗工量を13g/mとした以外は比較例1と同様にして得た。
【0060】
(比較例3)
下塗り塗工層の塗工量を10g/m、上塗り塗工層の塗工量を9g/mとした以外は比較例1と同様にして得た。
【0061】
(比較例4)
裏層には機械分散処理した新聞古紙パルプを用いて、下塗り塗工層の塗工量を9g/m、上塗り塗工層の塗工量を8g/mとした以外は比較例1と同様にして得た。
【0062】
(比較例5)
実施例1で用いた原紙を使用した以外は比較例4と同様にして得た。
【0063】
(参考例1〜3)
市販のコート白ボール3種について表裏のきょう雑物を測定するとともに白色ムラを評価した。
【0064】
表1の実施例1〜12から明らかなように、表層と顔料塗工層とからなる2層の不透明度が85%以上であり、かつ顔料塗工層の質量が15g/m〜25g/mで不透明度が60%以上であった。また、面積0.1mm以上のきょう雑物が塗工層表面では1mあたり1個未満であった。さらに、白色ムラのないコート白ボールが得られた。実施例8〜10では裏層の表面に化学パルプを主体とした繊維層を設けたことから、裏層中に存在する粘着物の表面への転移が防止でき、印刷トラブルをひき起こすことのない安定した品質のコート白ボールが得られた。一方、比較例1〜5では0.1mm以上表面のきょう雑物が1mあたり1個以上認められる。また比較例2を除き白色ムラが認められる。比較例2では不透明度は本発明の範囲内であるにもかかわらず表面にきょう雑物が認められるが、これは裏面の異物が表面に転移したものであると判断される。また、塗工量が多いために罫線割れが発生している。参考例1〜3との比較により、市販のコート白ボールのきょう雑物レベルと比較しても本発明品のきょう雑物レベルが低いことが明らかである。