(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203568
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】保護素子
(51)【国際特許分類】
H01H 85/18 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
H01H85/18
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-165880(P2013-165880)
(22)【出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2015-35338(P2015-35338A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000225337
【氏名又は名称】内橋エステック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】井川直孝
(72)【発明者】
【氏名】村永陽介
【審査官】
竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−141648(JP,U)
【文献】
特開2005−123516(JP,A)
【文献】
特開平06−314538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 85/00 − 87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジュール熱積分値が所定の値以上になると溶断する導電体と、
前記導電体を収容するケースとを備える保護素子であって、
前記導電体に密着し前記導電体を密封するように前記ケース内の空間に充填される充填材をさらに備え、
前記ケースが、
底面と、
前記底面を取囲む側面とを有しており、
前記導電体が前記ケースのうち前記底面と前記側面とによって取囲まれる空間に配置されており、
前記保護素子が、前記ケースの前記底面に固定され前記充填材の熱を吸収し前記ケースの外へ前記熱を放出する放熱板をさらに備えることを特徴とする保護素子。
【請求項2】
前記充填材がシリコーン樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の保護素子。
【請求項3】
前記シリコーン樹脂がシリコーンゴムを含むことを特徴とする請求項2に記載の保護素子。
【請求項4】
前記充填材が、前記シリコーン樹脂に加え、金属酸化物を含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の保護素子。
【請求項5】
前記金属酸化物が粒子状であることを特徴とする請求項4に記載の保護素子。
【請求項6】
前記金属酸化物がアルミナを含むことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の保護素子。
【請求項7】
前記放熱板が金属酸化物の焼結体を含むことを特徴とする請求項1に記載の保護素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電流ヒューズといった保護素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電流ヒューズを開示する。この電流ヒューズにおいて、円筒状のケースの中央部に電流ヒューズエレメントが配置される。両側のリードでもって電流ヒューズエレメントが支持される。電流ヒューズエレメントの周囲はフラックスでもって覆われる。
【0003】
特許文献1に開示された電流ヒューズによれば、電流ヒューズエレメントの表面の酸化を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−213852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された電流ヒューズには、確実さと迅速さと安全性とに関する従来よりも厳しい要求には応え難いという問題点がある。本発明は、このような問題を解決するものである。本発明の目的は、確実さと迅速さと安全性とを改善可能な保護素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面を参照し本発明の保護素子を説明する。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためであって内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、保護素子は、導電体54と、ケース12とを備える。導電体54はジュール熱積分値が所定の値以上になると溶断する。ケース12は導電体54を収容する。保護素子は充填材14をさらに備える。充填材14は導電体54に密着する。充填材14は導電体54を密封する。充填材14はケース12内の空間に充填される。
ケース12が、底面30と、側面32とを有する。側面32は底面30を取囲む。この場合、導電体54が、ケース12のうち底面30と側面32とよって取囲まれる空間に配置される。この場合、保護素子が放熱板16をさらに備える。放熱板16は、ケース12の底面30に固定される。放熱板16は、充填材14の熱を吸収する。放熱板16は、ケース12の外へ熱を放出する。
【0008】
導電体54が充填材14に密着されると、周りに空間がある場合に比べ、通電により導電体54で発生した熱が容易に導電体54の外へ流出しやすくなる。熱が外へ流出しやすいので、長期にわたり熱がたまることによる導電体54の温度上昇を抑制できる。これにより、所定のジュール熱積分値より小さなジュール熱積分値で導電体54が溶断する可能性は、周りに空間がある場合に比べて低くなる。すなわち、誤動作の発生を抑えることができる。所定のジュール熱積分値より小さなジュール熱積分値で導電体54が溶断する可能性が低くなるので、そのような小さなジュール熱積分値で導電体54が溶断することに備えるために導電体54の断面のうち電流が流れる方向に直交する面の断面積を大きくする必要がなくなる。必要がなくなるので、その断面積を小さくできる。その断面積を小さくできると、その断面積を小さくできない場合に比べ、ジュール熱積分値が所定の値以上になった場合に、導電体54は溶断しやすくなる。溶断しやすくなるので、熱が充填材14に十分流出できないほど短時間にジュール熱積分値が所定の値以上になっても導電体54が溶断しない可能性は低くなる。すなわち、動作の迅速さが向上する。充填材14が導電体54に密着しかつ充填材14が導電体54を密封すると、導電体54が溶断した際の熱が導電体54の周りの気体を膨張させることによる保護素子の破損を回避できる。すなわち、安全性が向上する。その結果、動作の確実さと迅速さと安全性とを改善できる。
放熱板16が充填材14の熱を吸収することにより、放熱板16がない場合に比べ、充填材14の温度上昇速度が低くなる。温度上昇速度が低くなるので、所定のジュール熱積分値より小さなジュール熱積分値で導電体54が溶断する可能性は、放熱板16がない場合に比べ、低くなる。
【0009】
また、上述した充填材14がシリコーン樹脂を含むことが望ましい。シリコーン樹脂は合成樹脂の中では耐熱性が良いので、充填材14がシリコーン樹脂を含むことにより、他の耐熱性が悪い合成樹脂が含まれる場合に比べ熱による充填材14の劣化を抑制できる。
【0010】
もしくは、上述したシリコーン樹脂がシリコーンゴム80を含むことが望ましい。シリコーンゴム80はシリコーン樹脂の中では弾性係数が高いので、他のシリコーン樹脂に比べ、導電体54が溶断した際に発生するアークによる衝撃をよく緩和できる。
【0011】
また、上述した充填材14が、シリコーン樹脂に加え、金属酸化物を含むことが望ましい。金属酸化物は、シリコーン樹脂に比べ、耐熱性に優れる。これにより、熱による充填材14の劣化を抑制できる。
【0012】
もしくは、上述した金属酸化物が粒子状であることが望ましい。
【0013】
もしくは、上述した金属酸化物がアルミナ82を含むことが望ましい。アルミナ82はシリコーン樹脂に比べ熱伝導率が高い。熱伝導率が高いので、充填材14のうちアルミナ82が位置する箇所では熱が拡がりやすくなる。熱が拡がりやすいと、長期にわたり熱がたまることによる導電体54の温度上昇を抑制できる。
【0014】
【0015】
【0016】
もしくは、上述した放熱板16が金属酸化物の焼結体を含むことが望ましい。放熱板16が金属酸化物の焼結体を含むことにより、そうでない場合に比べ、放熱板16の引っ張り強さと圧縮強さと曲げ強さとが強くなる。これらが強くなるので、導電体54が溶断した際に発生するアークによってケース12が破損する可能性は低くなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、確実さと迅速さと安全性とを改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のある実施形態にかかる保護素子の平面図である。
【
図2】本発明のある実施形態にかかる保護素子の第1の断面図である。
【
図3】本発明のある実施形態にかかる保護素子の第2の断面図である。
【
図4】本発明のある実施形態にかかる導電部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。従って、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0020】
[構成の説明]
図1は、本実施形態にかかる保護素子の平面図である。
図1において、充填材14の一部と被覆樹脂18の一部とは取り除かれている。
図1に基づいて、本実施形態にかかる保護素子の構成が説明される。
【0021】
本実施形態にかかる保護素子は、導電部10と、ケース12と、充填材14と、放熱板16と、被覆樹脂18とを備える。導電部10は電流が流れる部分である。ケース12は導電部10を収容する。充填材14はケース12内の空間に充填される。放熱板16は、導電部10と共にケース12の中に収容される。放熱板16は充填材14の熱を吸収する。放熱板16は、吸収した熱を、ケース12の外へ放出する。被覆樹脂18は、ケース12に収容された導電部10を被覆する。
【0022】
図2は、本実施形態にかかる保護素子の断面図である。
図2において、本実施形態にかかる保護素子は、中央部分で切断されている。
図3も、本実施形態にかかる保護素子の断面図である。
図3において、本実施形態にかかる保護素子は、
図2とは直交する軸に沿って中央部分で切断されている。
図2及び
図3に基づいて、本実施形態にかかるケース12の構成が説明される。ケース12は、底面30と側面32とを有する。底面30は、ケース12の底となる部分である。側面32は底面30を取囲む。導電部10は、ケース12のうち底面30と側面32とよって取囲まれる空間に配置されることとなる。
【0023】
図2及び
図3に基づいて、本実施形態にかかる充填材14が説明される。充填材14は、ケース12の底面30から導電部10の外周部分までの空間に充填される。本実施形態の場合、充填材14は、シリコーンゴム80と粒子状のアルミナ82と含む。なお、漏電が発生しない程度の電気抵抗を充填材14が有することは言うまでもない。
【0024】
図2及び
図3に基づいて、本実施形態にかかる放熱板16が説明される。放熱板16は、ケース12の底面30に固定される。本実施形態の場合、放熱板16はアルミナ製である。本実施形態の場合、放熱板16はアルミナを焼結したものである。上述したように、充填材14は、ケース12の底面30から導電部10の外周部分までの空間に充填される。これにより、放熱板16は充填材14に覆われることとなる。
【0025】
図2及び
図3に基づいて、本実施形態にかかる被覆樹脂18が説明される。被覆樹脂18は、ケース12の導電部10の外周部分から側面32の縁までの空間に充填される。これにより、上述したように、被覆樹脂18は、ケース12に収容された導電部10を被覆することとなる。本実施形態の場合、被覆樹脂18は、シリコーンゴム80のみからなる。
【0026】
図4は、本実施形態にかかる導電部10の平面図である。
図1と
図4とに基づいて、本実施形態にかかる導電部10が説明される。本実施形態にかかる導電部10は、基板50と、一対の表電極52と、導電体54と、一対のロウ材56と、合金基部58と、低融点合金60と、一対の裏電極62と、一対のリード線64とを有する。表電極52は、基板50のいずれかの面に配置される。本実施形態では、表電極52が配置されている面を基板50のおもて面とみなす。本実施形態の場合、表電極52として銅箔が基板50のおもて面に固定される。導電体54は、基板50のおもて面に配置される。ケース12の中において、導電体54はケース12の底面30に対向するように配置される。上述したように、充填材14は、ケース12の底面30から導電部10の外周部分までの空間に充填される。これにより、充填材14が導電体54に密着することとなる。充填材14が導電体54を密封することとなる。導電体54は電流が流れるとその電流のエネルギの一部を熱にする。導電体54はジュール熱積分値が所定の値以上になると自ずと溶断する。「ジュール熱積分値」とは、ヒューズのエレメントが溶断するのに必要とされるエネルギのことである。ジュール熱積分値の算出式は周知なのでここではその説明は繰返されない。本実施形態の場合、導電体54は、一端が表電極52の一方に接続され他端が表電極52の他方に接続されている線材である。本実施形態の場合、導電体54は銅合金製である。この銅合金の組成はここでは説明されない。ジュール熱積分値が所定の値以上になると自ずと溶断することで回路を保護するための銅合金は周知なためである。ロウ材56は、表電極52と導電体54とを接続する。これにより、表電極52と導電体54との間が導通する。合金基部58は、基板50のおもて面に固定される。合金基部58は、低融点合金60を基板50に固定する。低融点合金60は、導電体54と同様に、基板50のおもて面に配置される。低融点合金60もケース12の底面30に対向する。本実施形態の場合、低融点合金60は導電体54の中央部分をまたぐようにして導電体54を覆っている。本実施形態の場合「低融点合金」とは、上述した導電体54が溶断する温度以下の融点であり、かつ、融解した状態であれば上述した導電体54が溶解する合金のことである。このような低融点合金は周知である。したがって、ここではその詳細な説明は繰返されない。裏電極62は、基板50の面のうち、上述したおもて面から見て裏にあたる面に配置される。本実施形態では、この面を基板50の裏面とみなす。本実施形態の場合、裏電極62は、表電極52と同様に銅箔である。一対の裏電極62のうち一方は、一対の表電極52のうち一方の裏にあたる位置に配置される。一対の裏電極62のうち他方は、一対の表電極52のうち他方の裏にあたる位置に配置される。一対のリード線64の一方が一対の裏電極62の一方に接続される。一対のリード線64の他方が一対の裏電極62の他方に接続される。リード線64はケース12の側面32を貫通する。
【0027】
基板50はスルーホール70を有する。本実施形態の場合、基板50は4個のスルーホール70を有する。表電極52の一方と裏電極62の一方とはスルーホール70において互いに接続されている。これにより、表電極52の一方と裏電極62の一方との間が導通する。表電極52の他方と裏電極62の他方とはスルーホール70において互いに接続されている。これにより、表電極52の他方と裏電極62の他方との間が導通する。その結果、リード線64の一方を流れた電流は、裏電極62の一方と表電極52の一方とを経て導電体54に流れる。導電体54に流れた電流は、裏電極62の他方と表電極52の他方とを経てリード線64の他方を流れる。
【0028】
[使用方法の説明]
本実施形態にかかる保護素子の使用方法は、周知の電流ヒューズと同一である。すなわち、本実施形態にかかる保護素子は、図示されない回路に接続される。予め定められていた範囲の大きな電流が導電体54に流れると、導電体54の温度は所定の温度を超える。導電体54はジュール熱積分値が所定の値以上になると溶断する。溶断後アークが発生する場合は保護素子内部で消弧される。これにより、保護素子が接続されていた回路において電流が遮断される。
【0029】
[効果の説明]
従来の保護素子の中には導電体54の周りに粒子状の無機物が充填されているものがあった。このような従来の保護素子は、本実施形態にかかる保護素子に比べて誤動作が発生しやすい。導電体54の周りに粒子状の無機物が充填されていると、導電体54の周りと粒子状の無機物との間に空間が形成されるためである。この空間が、導電体54の周囲に長期にわたり熱がたまることを容易にする。熱がたまることが、誤動作が発生する原因となる。本実施形態にかかる保護素子では、導電体54に電流が流れると、導電体54はその電流のエネルギの一部を熱にする。熱は、充填材14のアルミナ82及びシリコーンゴム80に伝わる。充填材14に密着されるので、周りが空間である場合に比べ、導電体54で発生した熱は容易にアルミナ82及びシリコーンゴム80へ流出する。粒子状のアルミナ82を伝って、熱は充填材14全体に拡がる。これにより、導電体54の周囲に長期にわたり熱がたまることによる導電体54の温度上昇を抑制できる。これにより、所定のジュール熱積分値より小さなジュール熱積分値によって導電体54が溶断する可能性は、周りに空間がある場合に比べて低くなる。導電体54が溶断する可能性が低くなるので、導電体54の断面のうち電流が流れる方向に直交する面の断面積を大きくする必要がなくなる。その必要がなくなるので、周りに空間がある場合に比べて、導電体54の断面のうち電流が流れる方向に直交する面の断面積を小さくできる。その断面積を小さくできると、その断面積を小さくできない場合に比べ、ジュール熱積分値が所定の値以上になった場合に、導電体54は溶断しやすくなる。充填材14が導電体54に密着しかつ充填材14が導電体54を密封できると、導電体54が溶断した際の熱が導電体54の周りの気体を膨張させることによる保護素子の破損を回避できる。その結果、保護素子の動作の確実さと迅速さと安全性とを改善できる。
【0030】
充填材14がシリコーンゴム80を含むので、他の耐熱性が悪い合成樹脂が充填材14に含まれる場合に比べ熱による充填材14の劣化を抑制できる。
【0031】
充填材14が粒子状のアルミナ82を含むので、熱による充填材14の劣化をさらに抑制できる。しかも、本実施形態にかかる保護素子は、導電体54の周りに粒子状のアルミナ82のみが充填されている場合に比べ、消弧能力を高くできる。消弧能力を高くできるのは、シリコーンゴム80と粒子状のアルミナ82との混合物の方が、粒子状のアルミナ82のみの場合に比べ、単位体積あたりのアルミナ量を高くできるためである。
【0032】
また、保護素子がアルミナ製の放熱板16を備えていると、充填材14全体に伝わった熱の一部が放熱板16に伝わることとなる。これにより、放熱板16がない場合に比べ、充填材14の温度上昇速度が低くなる。温度上昇速度が低くなるので、所定のジュール熱積分値より小さなジュール熱積分値で導電体54が溶断する可能性は、放熱板16がない場合に比べ、低くなる。また、保護素子がアルミナ製の放熱板16を備えていると、そうでない場合に比べ、放熱板16の引っ張り強さと圧縮強さと曲げ強さとが強くなる。これらが強くなるので、導電体54が溶断した際に発生するアークによってケース12が破損する可能性は低くなる。
【0033】
〈変形例の説明〉
上述した保護素子は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。上述した保護素子は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
【0034】
例えば、上述した放熱板16の形状及び素材は特に限定されない。すなわち放熱板16はアルミナ以外の金属酸化物を焼結したものであってもよい。放熱板16は焼結以外の方法により製造されたものでもよい
。
【0035】
また、上述した充填材14は、繊維状のアルミナを含んでもよい。アルミナ以外の金属酸化物を充填材14は含んでもよい。アルミナ以外の金属酸化物の例には、ケイ砂と酸化チタンとがある。この場合、アルミナ以上の熱伝導率の金属酸化物であれば、充填材14全体に素早く熱を伝えることができる。充填材14は金属酸化物を含まなくてもよい。ケース12に収容された導電部10は充填材14によって被覆されてもよい。この場合、充填材14は、ケース12の底面30から側面32の縁までの空間に充填される。
【0036】
また、上述した充填材14が含む物質はシリコーンゴム80に限定されない。例えば、シリコーンゴム80以外のシリコーン樹脂でもよい。シリコーン樹脂以外の重合体でもよい。充填材14が重合体と金属酸化物とを含む場合、それらの比率は限定されない。充填材14が重合体と金属酸化物とを含む場合、重合体の体積%よりも金属酸化物の体積%が高い方が好ましい。充填材14の組成にかかわらず、金属酸化物は50質量%以上含まれていることが好ましい。
【0037】
また、上述した導電部10の構成及び形態は上述したものに限定されない。
【符号の説明】
【0038】
10…導電部、
12…ケース、
14…充填材、
16…放熱板、
18…被覆樹脂、
30…底面、
32…側面、
50…基板、
52…表電極、
54…導電体、
56…ロウ材、
58…合金基部、
60…低融点合金、
62…裏電極、
64…リード線、
70…スルーホール、
80…シリコーンゴム、
82…粒子状のアルミナ、