【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の目的は、装置の要素(特に、ブロー金型部品)をより安価な条件下で交換できるようにすることにある。これが、本発明によれば、独立請求項に記載の方法および設備によって達成される。好都合な設計およびさらなる発展が、従属請求項の主題を形成する。
【0006】
プラスチック材料製の予備成形物をプラスチック材料製の容器へと成形するためのブロー成型装置のブロー成型ステーション要素またはブロー金型要素をそれぞれ交換するための本発明による方法の場合においては、この形式のブロー成型装置が、可動のキャリア上に配置された複数のブロー成型ステーションを有し、これらのブロー成型ステーションの各々が、少なくとも1つの交換可能なブロー成型要素を有し、さらにブロー成型装置が、プラスチック材料製の予備成形物の搬送経路を囲むクリーンルームを有している。加えて、このブロー成型装置が、プラントの複数の部分を有する、液体用の容器の製造のためのプラントの一部分の形態にて設計され、このプラントの少なくとも1つのさらなる部分が、プラントのこの部分の領域においてプラスチック材料製の予備成形物および/またはプラスチック材料製の容器の搬送経路を囲むクリーンルームをやはり有する。
【0007】
本発明による方法の場合には、最初にブロー成型装置のクリーンルームが開放され、あるいはこのクリーンルームを境界付けている少なくとも1つの壁が開放される。
【0008】
この方法のさらなる段階において、少なくとも1つ(好ましくは、複数)のブロー金型要素が、ブロー成型装置から取り出され、特に開口(開放動作によって形成される)を通って取り出される。
【0009】
この方法のさらなる段階において、少なくとも1つ(好ましくは、複数)の第2のブロー金型要素が、第1のブロー金型要素の置き換えとしてブロー成型装置に設置される。この方法のさらなる段階において、ブロー成型装置のクリーンルームが再び閉じられ、特に先に開放された開口が再び閉じられる。
【0010】
その後に、クリーンルームに、好ましくは(無菌でない)周囲の環境に対する陽圧が再び加えられる。
【0011】
この方法のさらなる段階において、挿入されたブロー金型要素が、クリーンルームの内部において殺菌される。
【0012】
本発明によれば、クリーンルームの通気を制御する通気制御手段の少なくとも1つのパラメータまたは1つの動作モードが、クリーンルームの開放の前、最中、または後に(あるいは、クリーンルームの開放の目的のために)変更され、次いでクリーンルームの通気を制御するこの通気制御手段の少なくとも1つのパラメータが、クリーンルームの閉鎖後にも変更される。この場合に、パラメータを、例えば±1分、好ましくは±30秒、好ましくは±20秒、好ましくは±10秒、好ましくは±1秒の範囲内など、クリーンルームの開放の前、最中、または後の所定の時間窓の範囲内において変更することが好ましい。パラメータを、クリーンルームの開放の前に変更することが好ましい。第1のブロー金型要素および第2のブロー金型要素が、同じ技術的機能を実行することが好都合である。
【0013】
したがって、本発明によれば、特に上述のブロー成型要素の交換の際にクリーンルームの通気を変更すべきであると提案される。
【0014】
これに代え、あるいはこれに加えて、少なくともクリーンルームの開口が開かれている時間期間において、このクリーンルームに隣接するクリーンルーム(例えば、隣接の充てん装置および/または隣接の殺菌装置のクリーンルーム)の内部の圧力を、成形装置のクリーンルームの内部の圧力よりも高くすることも可能であると考えられる。これを、開放の目的のために成形装置のクリーンルームの内部の圧力を低下させ、あるいは低下を許すことによって達成することができる。しかしながら、成形装置のクリーンルームに、少なくとも1つの隣接のクリーンルームよりも低い圧力を恒久的に存在させ、すなわち通常の稼働においても存在させることも、可能であると考えられる。
【0015】
この場合には、稼働中に、隣接のクリーンルームから成形装置のクリーンルームへの気体媒体(例えば、無菌の空気)の恒久的な流れも生じる。さらに、ブロー金型要素の交換の場合に、少なくともこれらの圧力の比が保持され、結果として隣接のクリーンルームの汚染が防止される。
【0016】
「ブロー金型要素」という表現を、特にブロー金型部品、すなわち内側においてプラスチック材料製の予備成形物をプラスチック材料製の容器へと成形するための要素と理解されるべきである。しかしながら、本発明は、例えば引き伸ばし棒およびブロー成型ノズルなど、ブロー金型またはブロー成型ステーションそれぞれの他の部品にも適用可能であり、すなわち少なくとも一部分(好ましくは、全体)がクリーンルーム内に位置するすべての部品に適用可能である。この点に関し、これらの部品は、ブロー金型要素である(ブロー成型に使用されている)とも理解される。
【0017】
本明細書に記載のとおりの通気の調整ゆえに、ブロー金型要素の交換の際にクリーンルームに到達する無菌でない媒体が、他の機械部品を汚染することも防止される。特に、空気の流れが不動の様相に切り換えられる。これは、空気の供給の調節がオフにされることを意味する。上述の開口の開放の結果として、クリーンルームの空気の圧力が低下すると考えられ、これが空気の供給を相応に増加させる調節につながると考えられる。これが防止され、ブロー成型装置のクリーンルームの内部の空気の圧力の低下が意図的に許される。クリーンルームの無菌性の維持が意図的に放棄されるが、隣接のクリーンルームの無菌性の維持が可能になる。例えば、特にブロー成型装置の下流に配置される充てん設備および/または好ましくはブロー成型装置の上流に配置される殺菌設備などの隣接のクリーンルームに、生じうる空気の流入(例えば、ブロー金型の交換の際の)による汚染を防止するための陽圧を、好ましくもたらすことができる。
【0018】
換言すると、通気調節装置の「凍結」が、好ましくは生じる。これらの通気調節装置は、製造の動作において、クリーンルームまたはブロー成型ホイールのアイソレータ(isolator)の内側に陽圧をもたらすという役割を有する。上述のように、扉が開かれても、それに対応する圧力の等化が行われない。上述のとおり、ブロー金型要素が取り出される。この場合に、ブロー金型が、好ましくは金型保持シェル(mould carrier shell)から取り外され、新たなブロー金型が金型保持シェルへと挿入される。開口またはクリーンルームへの扉の閉鎖後に、陽圧が通気調節装置によって再び築かれる。
【0019】
次いで、ブロー成型装置を、製造の開始前に殺菌剤で再び殺菌することが好都合である。この場合に、例えば過酢酸などの酸化力のある液体を使用することができ、(特に気体の)H
2O
2を使用することも可能である。
【0020】
無菌のブロー成型装置に新たな金型一式またはブロー金型をもたらし、次いで製造に向けて準備することが好都合である。
【0021】
装置内の圧力勾配を、交換の目的でクリーンルームを開放する直前に変更することが好都合である。
【0022】
好ましい方法の場合には、通気制御手段が、少なくとも或る時間について不動の稼働状態で運転され、すなわち通気調節装置を少なくとも或る時間について「凍結」させ、あるいは実際の調節をオフにすることが特に好ましい。
【0023】
さらなる好ましい方法の場合には、加熱された空気が、ブロー成型ステーションへと導入される。例えば処理モジュールから到着するこの高温の空気の吹き込みは、装置の部品またはブロー金型を殺菌する目的に使用される。このやり方で、例えば高温の空気をアイソレータの通気手段によってブロー成型装置へと供給することが可能であると考えられる。この場合には、この空気が、70°〜130°の間、好ましくは80°〜120°の間、特に好ましい様相では90°〜110°の間の温度であってよい。
【0024】
この場合に、加熱された空気をクリーンルームの閉鎖後にのみ供給することが特に好ましい。このやり方で、クリーンルームの閉鎖後、すなわち例えば金型の交換の実行後に、装置が再び稼働に向けて準備される。
【0025】
さらなる好都合な方法の場合には、加熱された空気が、少なくとも部分的に、ブロー成型用の空気の供給配管によってブロー成型ステーションへと供給される。このブロー成型用の空気の供給配管は、プラスチック材料製の予備成形物の実際の膨張の作業に使用される。このやり方で、上述の殺菌の作業において、加熱された空気が、例えばブロー成型ノズルによってクリーンルームへも運ばれる。このやり方で、ブロー成型用の空気のためのこれらの経路も殺菌することができる。
【0026】
高温の空気を、アイソレータの空気の経路およびブロー成型用の空気の経路(好ましくはブロー成型ピストンも)の両方によって、装置または装置のクリーンルームへと導入することが好ましい。この高温の空気が、この高温の空気を運ぶ配管ならびにブロー成型装置の金型キャリア、ブロー金型、およびクリーンルームの両方を乾燥させ、加熱する。
【0027】
さらに、流動性の殺菌剤をブロー成型ステーションへと供給することが好都合である。この場合に、特に充分に長い時間にわたる乾燥および焼戻し(tempering)の実行後に、気体のH
2O
2を同じ経路によって導入することも可能である。次いで、このプロセスガスを特定の時間にわたって導入することで、ブロー成型装置を殺菌することが好ましい。この殺菌作業の後で、ブロー成型装置は無菌の状態であり、したがって無菌での製造の準備ができた状態である。この時点またはこの殺菌作業から、装置が安定状態に保たれ、もはや開放が不可能であることが好都合である。そのようでないと、殺菌が失われかねないからである。ここで、ブロー成型装置を他の容器の形式へと切り換えることが望まれる場合、ブロー金型を変更するためにクリーンルームを開放しなければならない。
【0028】
装置のユーザが例えば適切な入力ボタンを操作することによって交換の作業を開始させることが好都合である。結果として、上述のように、アイソレータ内の陽圧の維持を担当する通気調節装置が凍結され、すなわちこの瞬間から不動の様相でのみ動作し、もはや再調節を行わない。通気システムがこの安全状態になるや否や、ブロー成型装置のクリーンルームの扉が開放のために解放され、したがってユーザがブロー金型または他の装置の要素を交換することができる。
【0029】
今やユーザがブロー金型を交換でき、ユーザが適切な衛生的な保護用の衣類を着用することが好ましい。金型の交換が完了すると、ユーザが開口を再び閉じ、好都合にはその旨の確認を制御手段に伝える。
【0030】
その後に、通気システムの調節モードが再び開始され、クリーンルームが陽圧に保たれ、好ましくは5Pa〜20Paの間、好ましくは8Pa〜12Paの間の陽圧に保たれる。
【0031】
次いで、上述のように、高温の空気を処理モジュールからブロー成型用の空気の経路によって個々のブロー成型ステーションへと導入することが好ましい。
【0032】
次いで、適切な加熱段階の後で、上述のとおり、新たに挿入されたブロー金型を殺菌するために、殺菌剤がブロー成型ステーションへと導入される。この場合に、クリーンルームは、好都合にはブロー成型装置の動作温度に相当する温度にあり、あるいは好ましくはさらに高い温度にある。一般に、この場合には、クリーンルームは、好ましくはクリーンルーム内で過酸化水素ガスの凝縮が生じるように、殺菌剤とガス/空気との混合物の露点温度を下回る温度にされる。さらに、この凝縮も、この場合において殺菌効果を有し、したがってこの作用の後に、ブロー成型装置は再び無菌の状態となっている。
【0033】
殺菌剤の供給後に、加熱された空気を再び供給すると好都合である。H
2O
2ガスなどの凝縮した殺菌剤を再び安全に乾燥させることができるよう、事後の高温の空気の吹き付けを、殺菌剤による処理の後に所定の時間にわたって依然として実行することができる。
【0034】
本発明による手順によれば、プラントの全ブロック(例えば、充てん手段、蓋の殺菌装置、予備成形物の殺菌装置)そのものを停止させ、清掃し、殺菌する必要なく、無菌のブロー成型装置においてブロー金型要素(特に、ブロー金型)の交換を実行することが可能である。このようにして、本発明の利点は、費やされる時間の短縮にある。
【0035】
さらに本発明は、液体用の容器(特に、飲料容器)の製造のためのプラントに関する。このプラントは、プラスチック材料製の予備成形物をプラスチック材料製の容器へと成形するための成形装置またはブロー成型装置を有する。さらに、この成形装置は、複数のブロー成型ステーションと、プラスチック材料製の予備成形物を所定の搬送経路に沿って運ぶ搬送装置とを有する。さらに設備は、搬送経路に沿って成形装置の下流に配置された充てん装置を有し、成形装置が、容器の搬送経路を少なくとも局所的に囲むクリーンルームを有し、このクリーンルームが、少なくとも1つの壁(ハウジングの構成部品であってよい)によって環境から境界付けられ、この壁に、ブロー金型要素、特にブロー金型の交換を可能にするための少なくとも1つの閉鎖可能な開口が設けられている。
【0036】
充てん装置も、内部で容器の充てんが行われるクリーンルームを有しており、さらにプラントが、環境に対する陽圧を成形装置のクリーンルームに作用させる加圧装置または通気装置と、このクリーンルームの通気を制御する制御装置または通気制御手段とを有している。
【0037】
本発明によれば、通気制御手段の少なくとも1つのパラメータを、壁に位置する開口の開放状態に依存した様相で、この開口が開放された状態にあるときに成形装置のクリーンルームに存在する気体媒体の充てん装置のクリーンルームへの流入が防止されるようなやり方で、変更することができる。
【0038】
したがって、設備に関して、全体としてのプラントの枠組みにおいて、成形プロセスおよび充てんプロセスの両方をクリーンルームによって実行し、あるいはクリーンルームの内部で実行すべきであり、少なくともブロー金型要素の交換の際に、さらなるクリーンルーム(特に、成形装置のクリーンルームに隣接するクリーンルーム)の汚染を防止すべきであることも提案される。
【0039】
さらなる好都合な設計の場合において、さらにプラントは、例えば殺菌装置、すすぎ装置、プラスチック材料製の予備成形物を加熱するための加熱装置、ラベル貼り装置、など、プラスチック材料製の容器の処理のためのさらなる処理装置を有する。
【0040】
この場合において、通常の稼働の枠組みにおいて、設備の個々のクリーンルームの間に圧力勾配を存在させることができる。このやり方で、例えば成形装置のクリーンルームに、充てん装置のクリーンルームよりも高い圧力を存在させることができ、その逆も然りである。また、無菌の空気による個々のクリーンルームの通気を制御する制御装置を、隣接のクリーンルームから成形装置のクリーンルームへの圧力勾配が恒久的に存在するようなやり方で設定することも可能であると考えられるが、この場合にも、成形装置のクリーンルームの内部の圧力は周囲の環境における圧力よりも高い。
【0041】
本発明のさらなる好都合な設計の場合には、上述の加圧装置が、クリーンルームに無菌の媒体、特に無菌の空気を作用させる。
【0042】
さらなる好都合な設計の場合には、設備が、プラスチック材料製の容器を殺菌するための殺菌装置をさらに有する。これが、プラスチック材料製の予備成形物を殺菌する殺菌装置であると好都合であり、そのような殺菌装置が、特に好ましい様相においては、プラスチック材料製の容器の搬送方向において成形装置に対して上流に配置される。この場合、プラスチック材料製の容器およびおそらくはそれらから製造されるプラスチック瓶の両方が、プラスチック材料製の容器と称される。
【0043】
好ましい設計の場合には、成形装置のクリーンルームが、お互いに対して可動である少なくとも2枚の壁によって境界付けられる。このやり方で、特に径方向外側の壁を不動の様相に配置し、上述の開口もこの不動の壁に設けることができる。
【0044】
容器を搬送する成形装置の搬送装置を駆動する駆動部を、常にクリーンルームの外部に配置することが好都合である。
【0045】
さらなる好都合な設計の場合には、設備が、加熱された気体媒体および/または殺菌媒体をブロー成型ステーションへと供給することができる供給装置を有する。この場合、媒体を供給する通気装置を、この供給装置として使用することができる。しかしながら、使用される供給装置が、稼働時にプラスチック材料製の予備成形物に圧縮空気を作用させるために使用される経路の形態であってもよいと考えられる。このやり方で、例えば、加熱された空気および/または殺菌媒体を、ブロー成型ノズルおよびブロー成型用の空気の供給手段によって供給することも可能である。
【0046】
さらなる好都合な設計の場合には、ブロー金型の表面(特に、次にプラスチック材料製の予備成形物が接触する領域)を殺菌する加圧装置がさらに設けられる。この場合に、成形装置が、ブロー金型またはブロー金型の表面そのものに殺菌媒体を作用させる複数のノズルを有することが可能である。この場合に、このノズルを不動の様相にて配置しても、可動の様相に配置してもよい。
【0047】
さらなる利点および設計が、添付の図面から明らかである。