特許第6203590号(P6203590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パロマの特許一覧

<>
  • 特許6203590-給湯器付風呂装置 図000002
  • 特許6203590-給湯器付風呂装置 図000003
  • 特許6203590-給湯器付風呂装置 図000004
  • 特許6203590-給湯器付風呂装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203590
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】給湯器付風呂装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20170914BHJP
   F24H 9/00 20060101ALI20170914BHJP
   F24H 9/16 20060101ALI20170914BHJP
   F24H 8/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   F24H1/00 602Z
   F24H1/00 602X
   F24H9/00 B
   F24H9/16 A
   F24H8/00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-209303(P2013-209303)
(22)【出願日】2013年10月4日
(65)【公開番号】特開2015-75238(P2015-75238A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義生
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−077989(JP,A)
【文献】 特開平11−037564(JP,A)
【文献】 特開2001−091050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 8/00
F24H 9/00
F24H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナの燃焼により発生する燃焼ガスから顕熱及び潜熱を回収する熱交換部が設けられた給湯回路を有すると共に、浴槽に接続される追い焚き循環路を有しており、該追い焚き循環路は、接続路を介して前記給湯回路と接続されて、前記熱交換部によって発生するドレンを前記追い焚き循環路に導くドレン導出路を有し、前記ドレンを、前記ドレン導出路と前記追い焚き循環路とを通して該追い焚き循環路の外部に排出するドレン排出制御手段と、該ドレン排出制御手段によって前記ドレンを排出した後に、前記給湯回路から前記接続路を介して前記追い焚き循環路に通される湯水によって該追い焚き循環路内を洗浄する洗浄制御手段と、を備えた給湯器付風呂装置であって、
前記給湯器付風呂装置の電源を投入した後又は前記ドレン排出制御手段による前記ドレンの排出の中断の後あるいは前記洗浄制御手段による前記追い焚き循環路内の洗浄の中断の後に、該追い焚き循環路内の洗浄を選択するか否かを報知する報知手段と、
前記追い焚き循環路内の洗浄を行うか否か選択可能な選択手段と、
を設けたことを特徴とする給湯器付風呂装置。
【請求項2】
前記報知手段として、前記追い焚き循環路内の洗浄を選択するか否かを音声で報知する発音装置を設けたことを特徴とする請求項1に記載の給湯器付風呂装置。
【請求項3】
前記報知手段として、前記追い焚き循環路内の洗浄を選択するか否かを発光によって報知する発光装置を設けたことを特徴とする請求項1に記載の給湯器付風呂装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドレンを、浴槽に接続される追い焚き循環路を介して該追い焚き循環路の外部に排出するドレン排出制御手段と、該ドレン排出制御手段によって前記ドレンを排出した後に、前記追い焚き循環路に通される湯水によって該追い焚き循環路内を洗浄する洗浄制御手段と、を備えた給湯器付風呂装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、浴槽に接続される追い焚き循環路内のドレンが、追い焚き循環路の外部へ排出されずに、前記追い焚き循環路を通して浴槽の湯張り等が行われることでドレンが浴槽湯水に混入することを防止した給湯器付風呂装置が開示されている。特許文献1の給湯器付風呂装置では、該給湯器付風呂装置の電源を投入した後や、ドレンを追い焚き循環路を通して浴室に排出するドレン排出機能の故障による停止時に出力されたエラー信号が解除された後、あるいはドレン排出機能によってドレンを排出した後に、追い焚き循環路に通される湯水によって該追い焚き循環路内を洗浄する洗浄機能の故障による停止時に出力されたエラー信号が解除された後に、必ず前記洗浄機能の動作を行うようにしている。これにより、ドレン排出機能の動作や洗浄機能の動作の途中で故障が生じた場合でも、追い焚き循環路内が洗浄されないままの状態になることがないため、追い焚き循環路内にドレンが残留したままで浴槽の湯張りが行われることがない。よって、ドレンが浴槽湯水に混入することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−77989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の給湯器付風呂装置では、該給湯器付風呂装置の電源を投入した後や、ドレン排出機能あるいは洗浄機能の故障による停止時に出力されたエラー信号が解除された後には、必ず前記洗浄機能の動作を行わせて、追い焚き循環路内の洗浄を行うようにしていた。このような場合には、例えば、前記電源を投入する前にユーザが、ドレンの排出動作が行われていなかったために、追い焚き循環路内の洗浄を行う必要がないことを知っている場合でも、追い焚き循環路内の洗浄が行われることになる。このため、この洗浄に時間を要することが原因で、浴槽の湯張りが終わるまでに時間がかかったり、洗浄に費やす湯水が無駄になるという不都合があった。また、例えば、給湯器付風呂装置の故障によって、ドレンの排出動作が途中で中断したり、追い焚き循環路内の洗浄動作が途中で中断した場合でもユーザが、洗浄動作に費やす湯水を節約するために、追い焚き循環路内の洗浄を望まないこともあった。
【0005】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、追い焚き循環路内の洗浄を行うか否かを選択可能として、この洗浄に要する時間や該洗浄に費やす湯水を無駄にすることを防止する給湯器付風呂装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、バーナの燃焼により発生する燃焼ガスから顕熱及び潜熱を回収する熱交換部が設けられた給湯回路を有すると共に、浴槽に接続される追い焚き循環路を有しており、追い焚き循環路は、接続路を介して給湯回路と接続されて、熱交換部によって発生するドレンを追い焚き循環路に導くドレン導出路を有し、ドレンを、ドレン導出路と追い焚き循環路とを通して追い焚き循環路の外部に排出するドレン排出制御手段と、ドレン排出制御手段によってドレンを排出した後に、給湯回路から接続路を介して追い焚き循環路に通される湯水によって追い焚き循環路内を洗浄する洗浄制御手段と、を備えた給湯器付風呂装置であって、給湯器付風呂装置の電源を投入した後又はドレン排出制御手段によるドレンの排出の中断の後あるいは洗浄制御手段による追い焚き循環路内の洗浄の中断の後に、追い焚き循環路内の洗浄を選択するか否かを報知する報知手段と、追い焚き循環路内の洗浄を行うか否か選択可能な選択手段と、を設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、報知手段として、追い焚き循環路内の洗浄を選択するか否かを音声で報知する発音装置を設けたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記報知手段として、前記追い焚き循環路内の洗浄を選択するか否かを発光によって報知する発光装置を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ユーザは、報知手段の報知内容を確認することで、追い焚き循環路内の洗浄を選択できることを簡単に知ることができる。
加えて、ユーザは、選択手段を用いることで、追い焚き循環路内の洗浄を行うか否かを自由に選択できる。よって、例えばユーザが、前記追い焚き循環路内の洗浄を必要としない場合には、該洗浄を選択しなければ、給湯器付風呂装置の電源投入後や、ドレンの排出の中断後あるいは前記洗浄の中断後に必ず前記洗浄が行われる場合と比較して、不必要な追い焚き循環路内の洗浄に要する時間の無駄を廃して、浴槽の湯張りが終わるまでの時間が延びることを防止できる。また、前記洗浄に費やす湯水を無駄にすることを防止できる。
請求項2に記載の発明によれば、ユーザは、発音装置からの音声を確認することで、追い焚き循環路内の洗浄を選択するか否かを簡単に知ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、ユーザは、発光装置の発光を確認することで、追い焚き循環路内の洗浄を選択するか否かを簡単に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の給湯器付風呂装置の概略システム図である。
図2】給湯器付風呂装置において追い焚き循環路内の洗浄を行うことを選択するか否かを報知するための概略制御ブロック図である。
図3】給湯器付風呂装置が備える風呂給湯器のコントローラが実行する処理に関する第1フローチャートである。
図4】その第2フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を図1ないし図4を参照しつつ説明する。図1には本発明の実施形態の給湯器付風呂装置1の概略システム図を示した。この給湯器付風呂装置1は、風呂給湯器2と、浴室3に設置された浴槽4とを備えている。風呂給湯器2内には、図示しない第1バーナが配設されている。風呂給湯器2内で前記第1バーナの燃焼ガスの上流側に顕熱回収用熱交換器(図示せず。)が配設され、前記燃焼ガスの下流側に潜熱回収用熱交換器7(図1参照。)が配設されている。この顕熱回収用熱交換器は前記燃焼ガスの顕熱を回収する。一方、潜熱回収用熱交換器7は燃焼ガスの顕熱及び潜熱を回収する。そして風呂給湯器2内には、顕熱回収用熱交換器と潜熱回収用熱交換器7とを備えた給湯回路が形成されている。この給湯回路では、図示しない給水管が潜熱回収用熱交換器7の入口側に接続され、該潜熱回収用熱交換器7の出口側が、前記顕熱回収用熱交換器の入口側に接続されている。これに加えて、該顕熱回収用熱交換器の出口側に出湯管(図示せず。)が接続されている。なお、顕熱回収用熱交換器及び潜熱回収用熱交換器7は本発明の熱交換部の一例である。
【0010】
一方、風呂給湯器2内には、図示しない第2バーナが配設されている。風呂給湯器2内で第2バーナの上側には、図1に示す追い焚き熱交換器10が配設されている。この追い焚き熱交換器10は、浴槽4に接続される追い焚き循環路11に設けられている。追い焚き循環路11は、往き管12と戻り管13とによって形成されている。この往き管12は、風呂循環ポンプ14の吐出口側に接続されている。さらに往き管12には、該往き管12内を湯水が流通するときにオン状態となる水流スイッチ15が設けられている。加えて往き管12には、該往き管12内を流通する湯水の温度を検出するサーミスタ16が設けられている。また、往き管12の途中には第1三方切替弁17が接続されている。この第1三方切替弁17には、浴室3と連通する排出路18が接続されている。この第1三方切替弁17によって、往き管12と戻り管13とが連通する状態と、往き管12と排出路18とが連通して往き管12と戻り管13とが連通しない状態と、に切り替え可能に構成されている。
【0011】
図1に示すように戻り管13は、風呂循環ポンプ14の吸込口側に接続されている。加えて戻り管13には、該戻り管13内を流通する湯水の温度を検出するサーミスタ25が設けられている。また、戻り管13の途中には第2三方切替弁26が接続されている。この第2三方切替弁26には、本発明の接続路としての注湯路27の一端側が接続されている。また注湯路27の他端側は出湯管に接続可能とされている。この注湯路27の他端側には、出湯管を開閉可能な電磁弁28が設けられている。さらに注湯路27には、追い焚き循環路11から注湯路27への逆流や後述するドレン導出路42から注湯路27への逆流を防止する逆止弁29と、注湯路27から出湯管への逆流を防止する逆止弁30とが設けられている。これに加えて注湯路27には、該注湯路27内の湯水の流量を検出する流量センサ31が設けられている。この注湯路27の途中には、第3三方切替弁32が接続されている。
【0012】
図1に示すように潜熱回収用熱交換器7の下側には、中和器35が設けられている。この中和器35では、潜熱回収用熱交換器7で発生した酸性のドレンが中和される。そして、中和器35の出口にはドレン排出管36が接続されており、このドレン排出管36の出口側はドレンタンク37と接続されている。このドレンタンク37には、中和器35によって中和されたドレンが一時的に貯留される。さらにドレンタンク37には、該ドレンタンク37内のドレン水位を検出する水位センサ38〜40と、オーバーフローレベルを超えたドレンをドレンタンク37の外部に排出するオーバーフロー用排出口41とが設けられている。加えてドレンタンク37の下部には、該ドレンタンク37に貯留されたドレンを追い焚き循環路11側へ導くためのドレン導出路42の一端側が接続されている。このドレン導出路42の他端側は前記第3三方切替弁32(図1参照。)と接続されている。またドレン導出路42には、注湯路27からドレンタンク37への逆流を防止する逆止弁43が設けられている。
【0013】
また図1に示すように第1三方切替弁17には、送受信回路や電源回路等を備えた電気回路基板45が接続されている。この電気回路基板45には、風呂リモコン46と、風呂給湯器2に備えられたコントローラ47とが接続されている。本実施形態では、後述するように、ユーザが風呂リモコン46の排出開始スイッチ48をオン操作すると、コントローラ47が、風呂リモコン46から電気回路基板45を介して排出開始指令信号を受信することで、出湯管から注湯路27を介して追い焚き循環路11に湯水が通るように各三方切替弁17,26,32を切替操作して、追い焚き循環路11内を洗浄する。
【0014】
図2には、本実施形態の給湯器付風呂装置1が、ユーザに、追い焚き循環路11内の洗浄を行うことを選択するか否かを報知するための概略制御ブロック図を示した。図2に示すように給湯器付風呂装置1は、風呂給湯器2のコントローラ47(図1参照。)に備えられたメイン基板51と、例えば台所に設置されて風呂給湯器2を遠隔操作可能な給湯リモコン52と、浴室3(図1参照。)に設置されて風呂給湯器2を遠隔操作可能な風呂リモコン46とを備えている。
【0015】
メイン基板51は、電源検知回路54と、第1演算処理部55と、第1通信回路56と、記憶部57とを備えている。電源検知回路54は第1演算処理部55に接続されている。電源検知回路54は、風呂給湯器2の電源コードが商用交流電源のコンセントに挿入されて風呂給湯器2が通電状態であることを検知するために用いられる。第1演算処理部55は、第1通信回路56と、記憶部57とに接続されている。第1通信回路56は、給湯リモコン52や風呂リモコン46に各種の信号を送信したり、各リモコン46,52から送信された各種の信号を受信するために用いられる。記憶部57には、後述する追い焚き循環路11内の洗浄を行うことを選択するか否かを報知する処理を実行するプログラムが記憶されている。また、記憶部57には、後述するドレンの排出等が中断したこと識別する異常発生データが記憶可能とされている。
【0016】
図2に示すように給湯リモコン52は、第2通信回路58と、第2演算処理部59と、音声制御回路60と、スピーカ61と、ランプ制御回路62と、LED(発光ダイオード)63とを備えている。第2通信回路58は、メイン基板51の第1通信回路56及び給湯リモコン52の第2演算処理部59に接続されている。第2通信回路58は、前記第1通信回路56に各種の信号を送信したり、該第1通信回路56から送信された各種の信号を受信するために用いられる。第2演算処理部59には音声制御回路60が接続され、この音声制御回路60にはスピーカ61が接続されている。音声制御回路60は、第2演算処理部59からの指令信号に基づいてスピーカ61から音声を発するように制御する。加えて第2演算処理部59にはランプ制御回路62が接続され、このランプ制御回路62にはLED63が接続されている。ランプ制御回路62は、第2演算処理部59からの指令信号に基づいてLED63を点灯させるように制御する。
【0017】
さらに図2に示すように風呂リモコン46は、第3通信回路65と、第3演算処理部66と、音声制御回路60と、スピーカ61と、ランプ制御回路62と、LED63とを備えている。ここでは、給湯リモコン52が備えるものと同一の構成は同一の符号を付しその説明を簡略化する。第3通信回路65は、メイン基板51の第1通信回路56及び風呂リモコン46の第3演算処理部66に接続されている。第3通信回路65は、前記第1通信回路56に各種の信号を送信したり、該第1通信回路56から送信された各種の信号を受信するために用いられる。第3演算処理部66には音声制御回路60及びランプ制御回路62が接続されている。音声制御回路60にはスピーカ61が接続されて、ランプ制御回路62にはLED63が接続されている。
【0018】
次に、図3及び図4を用い、メイン基板51の第1演算処理部55が、ユーザに、追い焚き循環路11内の洗浄を行うことを選択するか否かを報知する処理等の例を説明する。第1演算処理部55は、所定の時間毎に記憶部57(図2参照。)に記憶されたプログラムに基づいて、図3及び図4に示すスタートからエンドまでの処理を繰り返し実行する。図3に示すように第1演算処理部55は、風呂給湯器2の電源が投入されているか否かを判断する(S1)。ここでは、風呂給湯器2の電源コードが商用交流電源のコンセントに挿入されて風呂給湯器2が通電状態になることで、第1演算処理部55が、図2に示す電源検知回路54から電圧検知信号を受信したか否かを判断する。S1において、第1演算処理部55が前記電圧検知信号を受信して前記電源が投入されていると判断した場合には、給湯リモコン52の運転スイッチがオン状態であるか否かを判断する(S2)。ここでは、第1演算処理部55が、給湯リモコン52から運転スイッチのオン信号を受信したか否かを判断する。
【0019】
S2において、第1演算処理部55が前記オン信号を受信して給湯リモコン52の運転スイッチがオン状態であると判断した場合には、例えば住宅に風呂給湯器2を設置して通水試験を行う場合のように、風呂給湯器2の電源投入が1回目であるか否かを判断する(S3)。ここでは、第1演算処理部55が電源検知回路54から1回目の電圧検知信号を受信したことで数値が「0」から「1」に切り替わる初期フラグが「0」であるか否かを判断する。S3において、電源投入が1回目であると判断した場合には、第1排出動作選択報知処理(S4)を実行する。第1排出動作選択報知処理(S4)では、以下に説明するように、図2に示す給湯リモコン52のスピーカ61から「洗浄を行いますか」という音声を発することと、給湯リモコン52のLED63を所定時間に亘って点灯させることとの双方を行うようにしている。このように本実施形態では、「洗浄を行いますか」という音声でユーザに、追い焚き循環路11内の洗浄を選択するか否かを知らせることができる。加えて、LED63を所定時間に亘って点灯させることでユーザに、追い焚き循環路11内の洗浄を選択するか否かを知らせることができる。よって、スピーカ61が発する音声とLED63の点灯との双方によって、ユーザに、追い焚き循環路11内の洗浄が選択可能であることを分かり易く知らせることができる。なお、給湯リモコン52のスピーカ61は本発明の報知手段及び発音装置の一例であり、給湯リモコン52のLED63は本発明の報知手段及び発光装置の一例である。
【0020】
具体的にはこの第1排出動作選択報知処理(S4)では、以下に説明する処理を実行する。図2に示す第2演算処理部59が、第1演算処理部55から第1及び第2通信回路56,58を通じて電源投入が1回目であることを知らせる状態報知信号を受信すると、該第2演算処理部59が音声出力指令信号を給湯リモコン52の音声制御回路60に送信する。続いて、音声制御回路60が音声信号をスピーカ61に送信して、スピーカ61から「洗浄を行いますか」という音声を発するようにしている。加えて、前記状態報知信号を受信した第2演算処理部59が、点灯指令信号を給湯リモコン52のランプ制御回路62に送信する。その後に、ランプ制御回路62が点灯制御信号をLED63に送信して、LED63を所定時間に亘り点灯させるようにしている。
【0021】
第1排出動作選択報知処理(S4)の後には、ユーザが給湯リモコン52に設けられた排出開始スイッチをオン操作することで、該排出開始スイッチがオン状態になっているかか否かを判断する(S5)。ここでは、第1演算処理部55が、給湯リモコン52から排出開始スイッチのオン信号を受信したか否かを判断する。S5において、第1演算処理部55が前記オン信号を受信して給湯リモコン52の排出開始スイッチがオン状態であると判断した場合には、排出運転処理(S6)を実行する。排出運転処理(S6)では、以下に説明するように、図1に示すドレンタンク37内のドレンを、浴室3に設けられて浴槽4の下側に配置される防水パン(図示せず。)によって受けた後に浴室3の外部に排出することと、このドレンの排出後に出湯管からの湯水によって追い焚き循環路11内を洗浄することとの双方を行う。なお、給湯リモコン52の排出開始スイッチは本発明の選択手段の一例である。
【0022】
具体的にはこの排水運転処理(S6)では、以下に説明する処理を実行する。第1演算処理部55によって、図1に示す第2及び第3三方切替弁26,32に駆動指令信号が送信されることで、第3三方切替弁32を切り替えて、この第3三方切替弁32を介してドレン導出路42と注湯路27とを接続すると共に、第2三方切替弁26を切り替えて、この第2三方切替弁26を介して注湯路27と追い焚き循環路11とを接続する。これに加えて、第1演算処理部55によって、図1に示す第1三方切替弁17に駆動指令信号が送信されることで、第1三方切替弁17を切り替えて、この第1三方切替弁17を介して追い焚き循環路11(往き管12)と排出路18とを接続する。その後に第1演算処理部55が、図1に示す風呂循環ポンプ14に駆動信号を送信することで、該風呂循環ポンプ14を駆動させる。すると、ドレンタンク37内のドレンが、ドレン導出路42と注湯路27と追い焚き循環路11とを順番に流通した後に、排出路18及び浴室3内の防水パンに設けられた排出部を通じて浴室3の外部に排出される。
加えて、ドレンが浴室3の外部に排出された後に、第1演算処理部55によって、第3三方切替弁32に駆動指令信号が送信されることで、第3三方切替弁32を切り替えて、第3三方切替弁32を介して出湯管と注湯路27とを接続する。そして、第1演算処理部55によって電磁弁28に駆動指令信号を送信して該電磁弁28を開弁した後に、第1演算処理部55によって風呂循環ポンプ14に駆動指令信号を送信して該風呂循環ポンプ14を駆動させる。これにより、出湯管から湯水を、注湯路27を介して追い焚き循環路11内に流通させる。したがって、この湯水により追い焚き循環路11内を洗浄できる。なお、第1演算処理部55は本発明のドレン排出制御手段及び洗浄制御手段の一例である。
【0023】
一方S5において、ユーザが給湯リモコン52の排出開始スイッチをオン操作せず、該排出開始スイッチがオフ状態であると判断した場合には、待機運転処理(S7)を実行する。
【0024】
具体的にはこの待機運転処理(S7)では、以下に説明する処理を実行する。第1演算処理部55によって、各三方切替弁17,26,32に駆動指令信号を送信することで、第3三方切替弁32を介して出湯管と注湯路27とを接続し、第2三方切替弁26を介して注湯路27と追い焚き循環路11とを接続し、第1三方切替弁17を介して往き管12と戻り管13とを連通させる。この状態を保持したまま、第1演算処理部55が指令信号の受信を待つ待機状態を継続する。
本実施形態では、第1演算処理部55は、上述したS2の判断により給湯リモコン52の運転スイッチがオン状態であると判断すると、電磁弁28に駆動指令信号を送信して該電磁弁28を開弁する。このように前記運転スイッチがオン状態の場合には、風呂給湯器2内に配設した第1バーナの燃焼によって給湯回路で生成された湯を、給湯管から注湯路27、追い焚き循環路11を通じて設定水位に到達するまで浴槽4に供給する。
【0025】
また図3中のS3において、風呂給湯器2の電源投入が1回目でないと判断した場合には、排出運転処理(S6)で実行するドレンの排出が中断あるいは追い焚き循環路11内の洗浄が中断したか否かを判断する(S8)。ここでは第1演算処理部55により、例えば風呂給湯器2の故障によってドレンの排出等が中断した際に該第1演算処理部55によって図1に示す記憶部57に記憶させる異常発生データが、該記憶部57に記憶されているか否かを判断する。S8において、第1演算処理部55が、記憶部57に異常発生データが記憶されていると判別し、前記ドレンの排出の中断や前記洗浄の中断があったと判断した場合には、上述した第1排出動作選択報知処理(S4)、前記S5の判断、排出運転処理(S6)あるいは待機運転処理(S7)を順次実行する。これに対し、S8においてドレンの排出等の中断がなかったと判断した場合には、上述した待機運転処理(S7)を実行する。
【0026】
上記のS2において給湯リモコン52の運転スイッチがオン状態ではなくオフ状態と判断した場合には、図1に示す風呂リモコン46の運転スイッチがオン状態であるか否かを判断する(S10)。ここでは、第1演算処理部55が、風呂リモコン46から運転スイッチのオン信号を受信したか否かを判断する。S10において、第1演算処理部55が前記オン信号を受信せず風呂リモコン46の運転スイッチがオフ状態であると判断した場合には、前記S1の判断に戻る処理を実行する。一方S10において、第1演算処理部55が前記オン信号を受信して風呂リモコン46の運転スイッチがオン状態であると判断した場合には、図4に示すように風呂給湯器2の電源投入が1回目であるか否かを判断する(S11)。ここでは、図3中のS3と同様な判断がされる。
【0027】
S11において、電源投入が1回目であると判断した場合には、第2排出動作選択報知処理(S12)を実行する。第2排出動作選択報知処理(S12)では、図2に示す風呂リモコン46のスピーカ61から「洗浄を行いますか」という音声を発することと、風呂リモコン46のLED63を所定時間に亘って点灯させることとの双方を行うようにしている。具体的には第2排出動作選択報知処理(S12)では、図2に示す第3演算処理部66が、第1演算処理部55から第1及び第3通信回路56,65を通じて電源投入が1回目であることを知らせる状態報知信号を受信する。その後には、上述した第1排出動作選択報知処理(S4)と同様にして、風呂リモコン46のスピーカ61から「洗浄を行いますか」という音声を発すると共に、風呂リモコン46のLED63を所定時間に亘り点灯させる。これにより、上述した第1排出動作選択報知処理(S4)と同様に、ユーザに、追い焚き循環路11内の洗浄が選択可能であることを分かり易く知らせることができる。なお、風呂リモコン46のスピーカ61は本発明の報知手段及び発音装置の一例であり、風呂リモコン46のLED63は本発明の報知手段及び発光装置の一例である。
【0028】
第2排出動作選択報知処理(S12)の後には、ユーザが風呂リモコン46に設けられた排出開始スイッチ48(図1参照。)をオン操作することで、該排出開始スイッチ48がオン状態になっているか否かを判断する(S13)。ここでは、第1演算処理部55が、風呂リモコン46から排出開始スイッチ48のオン信号を受信したか否かを判断する。S13において、第1演算処理部55が前記オン信号を受信して排出開始スイッチ48がオン状態であると判断した場合には、排出運転処理(S14)を実行する。この排出運転処理(S14)では、上述した排出運転処理(S6)と同様の処理がされる。一方S13において、ユーザが排出開始スイッチ48をオン操作せず、該排出開始スイッチ48がオフ状態であると判断した場合には、待機運転処理(S15)を実行する。この待機運転処理(S15)では、上述した待機運転処理(S7)と同様の処理がされる。なお、風呂リモコン46の排出開始スイッチ48は本発明の選択手段の一例である。
【0029】
また図4中のS11において、風呂給湯器2の電源投入が1回目でないと判断した場合には、図3中のS8と同様に、ドレンの排出が中断あるいは追い焚き循環路11内の洗浄が中断したか否かを判断する(S16)。S16において、ドレンの排出の中断あるいは前記洗浄の中断があったと判断した場合には、上述した第2排出動作選択報知処理(S12)、前記S13の判断、排出運転処理(S14)あるいは待機運転処理(S15)を順次実行する。これに対し、S16においてドレンの排出等の中断がなかったと判断した場合には、上述した待機運転処理(S15)を実行する。
【0030】
<本実施形態の効果>
本実施形態の給湯器付風呂装置1では、ユーザは、風呂リモコン46に備えられたスピーカ61が発する「洗浄を行いますか」という音声や、給湯リモコン52に備えられたスピーカ61が発する「洗浄を行いますか」という音声を確認することで、追い焚き循環路11内の洗浄を選択できることを簡単に知ることができる。
加えて、ユーザは、風呂リモコン46に備えられたLED63の点灯や、給湯リモコン52に備えられたLED63の点灯を確認することでも、追い焚き循環路11内の洗浄を選択できることを簡単に知ることができる。
【0031】
さらに、ユーザは、風呂リモコン46に設けられた排出開始スイッチ48や、給湯リモコン52に設けられた排出開始スイッチを用いることで、追い焚き循環路11内の洗浄を行うか否かを自由に選択できる。よって、例えばユーザが、前記洗浄を必要としない場合には、風呂リモコン46の排出開始スイッチ48や給湯リモコン52の排出開始スイッチを操作せずに追い焚き循環路11内の洗浄を選択しなければ、従来のような風呂給湯器2の電源投入後や、ドレンの排出の中断後あるいは前記洗浄の中断後に必ず前記洗浄が行われる場合と比較して、前記洗浄に要する時間や前記洗浄に費やす湯水を無駄にすることを防止できる。このように本実施形態では、ユーザが追い焚き循環路11内の洗浄を行うか否かを選択可能としたことで、従来とは異なり、風呂給湯器2の電源投入後に必ず追い焚き循環路11内の洗浄を行うことが原因で、出湯までの時間や浴槽4の湯張りが終わるまでの時間が延びるという問題点を解消できる。よって、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0032】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。上述した実施形態では、ユーザに追い焚き循環路11の洗浄が選択可能であることを知らせるために、各スピーカ61から音声を発することと、各LED63を点灯させることとの双方を行うようにしたが、これに限らない。例えば、各スピーカ61から音声を発するだけで、ユーザに前記洗浄が選択可能であることを知らせたり、各LED63の点灯だけで、ユーザに前記洗浄が選択可能であることを知らせてもよい。
【0033】
また、ユーザに前記洗浄が選択可能であることを知らせる際の各LED63の発光態様を、点灯に限らず点滅に変更してもよい。さらに、LED63に代えてランプ等を点灯あるいは点滅させることで、ユーザに追い焚き循環路11の洗浄が選択可能であることを知らせてもよい。加えて上述した実施形態とは異なり、スピーカ61やLED63に代えて、風呂リモコン46や給湯リモコン52に表示部を設けて、例えばこの表示部に「洗浄を行いますか」という文字を表示することで、ユーザに前記洗浄が選択可能であることを知らせてもよい。さらには風呂リモコン46や給湯リモコン52に、スピーカ61やLED63に加えて前記表示部を設けてもよい。また、上述した実施形態では、第3三方切替弁32を介してドレン導出路42と注湯路27とを接続可能としたが、これに代えて、三方切替弁を介してドレン導出路42と追い焚き循環路11とを接続可能としてもよい。さらに、上述した実施形態では、風呂リモコン46の排出開始スイッチ48や給湯リモコン52の排出開始スイッチをオン状態にすると、ドレンを浴室3の外部に排出することと、追い焚き循環路11内を洗浄することとの双方を行うようにしたが、これに限らない。例えば、風呂リモコン46の排出開始スイッチ48や給湯リモコン52の排出開始スイッチをオン状態にした場合に、追い焚き循環路11の洗浄のみを行うようにしてもよい。加えて上述した実施形態では、風呂給湯器2内に、顕熱回収用熱交換器と潜熱回収用熱交換器7とを別体にして設けた例を示したが、これに限らず、顕熱回収用熱交換器と潜熱回収用熱交換器7とを一体にして風呂給湯器2内に設けてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1・・給湯器付風呂装置、4・・浴槽、7・・潜熱回収用熱交換器、11・・追い焚き循環路、27・・注湯路、42・・ドレン導出路、55・・第1演算処理部、61・・スピーカ、63・・LED(発光ダイオード)。
図1
図2
図3
図4