(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203591
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】フィラーチューブのプロテクター構造
(51)【国際特許分類】
B60K 15/04 20060101AFI20170914BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
B60K15/04 C
B60K15/04 D
F02M37/00 301M
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-209388(P2013-209388)
(22)【出願日】2013年10月4日
(65)【公開番号】特開2015-74240(P2015-74240A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000178804
【氏名又は名称】ユニプレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大草 裕之
(72)【発明者】
【氏名】高松 修
【審査官】
常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−296630(JP,A)
【文献】
特開2005−282836(JP,A)
【文献】
特開2001−097054(JP,A)
【文献】
特開2003−136978(JP,A)
【文献】
特開2013−010402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/04
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が燃料注入口に連結されているとともに他端側が燃料タンク本体に連結されて、燃料を前記燃料注入口から燃料タンク本体に供給するフィラーチューブのプロテクター構造であって、前記フィラーチューブにおける前記燃料注入口側から前記燃料タンク本体側に沿うように、パネル材からなるプロテクター本体を所定のクリアランスをもって外装すると共に、前記プロテクター本体の長手方向両端部を前記フィラーチューブに取着して構成し、且つ、前記プロテクター本体の長手方向両端部取着構成のうち、前記燃料注入口側端部側を樹脂或いはゴムなどから構成された可撓性材料からなるクリップ体を用いて前記フィラーチューブに取着すると共に、前記プロテクター本体の燃料タンク本体側端部側を前記フィラーチューブに溶接により取着したことを特徴とするフィラーチューブのプロテクター構造。
【請求項2】
前記クリップ体は、前記フィラーチューブの外周を囲繞して該フィラーチューブに取外し可能に装着されるフィラーチューブ抱持片部と、該フィラーチューブ抱持片部の外周部に沿って一体に形成されて前記プロテクター本体を前記フィラーチューブ抱持片部の外周部と共に前記プロテクター本体を弾着挟合するプロテクター本体弾着挟合片部とで構成されており、且つ、該プロテクター本体弾着挟合片部が、前記プロテクター本体に設けられた位置決め孔に嵌合されて前記プロテクター本体の位置決めを行う位置決め突起を有することを特徴とする請求項1に記載のフィラーチューブのプロテクター構造。
【請求項3】
前記プロテクター本体弾着挟合片部が、前記プロテクター本体を前記クリップ体に対して挟着可能な弾性力を有するヒンジ部を介して、前記フィラーチューブ抱持片部に一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のフィラーチューブのプロテクター構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用燃料を燃料注入口から注入して燃料タンク本体内に供給するフィラーチューブが自動車の衝突事故などに遭遇した際の燃料漏れの要因となる穿孔等を起こさないように構成したフィラーチューブのプロテクター構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車に用いる燃料タンク装置は、
図5に示すように、鉄などの金属製のフィラーチューブaを用いて、燃料タンク本体b内に燃料を供給するように構成されており、かかることから、フィラーチューブaの一端側を燃料注入口cに連結すると共に他端側を燃料タンク本体b側に連結するようになっている。そして、自動車におけるフィラーチューブaは、
図7に示すように、ホイールハウスdとタイヤtとの間に配設され、車体外部に露出した状態でレイアウトされるようになっている。
【0003】
かかることから、フィラーチューブaのホイールハウスd内における車外露出部分f(
図5の一点鎖線円内部分)は、タイヤtなどにより石跳ねなどから保護すべくなした耐チッピング対策を施すと共に、自動車の衝突事故に遭遇した際に生起する穿孔などにより燃料漏れを防止すべく、プロテクター本体eを外装することにより構成して保護するようになっている。
【0004】
そして、プロテクター本体eは、鉄などの金属製のパネル材をフィラーチューブaに対して燃料注入口c側から燃料タンク本体側に延設すべく地面対向側の外形に沿うように配設するとともに、フィラーチューブaの車外露出部分fを所定のクリアランスgをもってカバーしている(
図6を参照)。
【0005】
また、プロテクター本体eの長手方向両端部のうち、燃料タンク本体側端部e‐1は、被溶接片部e‐3が形成されていて、フィラーチューブaの外壁に溶接することで固定装着されているか、或いは図示しないが別体構成の一対のブラケットをボルトなどの諦着具を用いてプロテクター本体eを挟み付けるなどすることによって固定取着されており、燃料注入口側端部e‐2側は、未取着状態となっている(類似する技術として、特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001− 97054号公報
【特許文献2】特開2003−136978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、従来のフィラーチューブのプロテクター構造は、プロテクター本体eにおける燃料注入口側端部e‐2側をフィラーチューブaに対して未取着状態となる片持ち支持構造としていることから、自動車の走行中などにおいてプロテクター本体eが、風力や水力或いは石跳ねによって、力を受けてしまうことがある。この結果、プロテクター本体eは、フィラーチューブa側に固定取着されている燃料タンク本体側端部e‐1側から燃料注入口側端部e‐2までの寸法がかなり長いことも相俟って、矢印
B方向の力を受けたことに起因して、燃料タンク本体側端部e‐1側を支点として、燃料注入口側端部e‐2側を湾曲状に折曲り変形させてしまうことが考えられる。この結果、プロテクター本体eによる保護機能が不十分となって、自動車の衝突事故等により他の車体部品が変形して衝接した場合に、プロテクター本体eが穿孔されて燃料漏れを起こしてしまうおそれがある。
【0008】
加えて、プロテクター本体eの燃料タンク本体側端部e‐1側を別体構成の一対のブラケットがボルトなどの諦着具を用いて挟み付けるなどすることによって固定取着する方式は、一対のブラケットや諦着具を用いる結果、部品点数や取付けコスト或いは車体重量の上昇を招くことになるばかりでなく、両ブラケットによるプロテクター本体eの挟み付け力が十分であっても、プロテクター本体eが、その車外露出部分fにおいて長手方向に風力や水力により力を受けたような際には、フィラーチューブaに対して回転してしまって、車外露出部分fの地面側から離間してしまうことになって、フィラーチューブaの保護が不十分となってしまうことにもなりかねない。
【0009】
そこで、プロテクター本体eが、風力や水力による力を受けたとしても、燃料タンク本体側端部e‐1側を支点とする折曲り変形を起こさないようにすると共にフィラーチューブaに対するプロテクター本体eの不用意の回転や固定取着構造の簡略化を図るには、プロテクター本体eにおける燃料タンク本体側端部e‐1側と共に燃料注入口側端部e‐2側も、溶接により固定装着してしまうということが考えられる。
【0010】
しかしながら、かかるプロテクター本体eにおける燃料タンク本体側端部e‐1及び燃料注入口側端部e‐2の両端部を溶接してフィラーチューブaに固定装着する両持ち構造となるようにフィラーチューブのプロテクター構造を構成した場合、かかるフィラーチューブのプロテクター構造は、自動車の衝突試験などを行った際には、タイヤハウス近傍に配設されている他の車体構成部品が変形して衝接した場合には、フィラーチューブaが穿孔したり、延いては千切れてしまうおそれがあることを考慮しなければならない。
【0011】
すなわち、プロテクター本体eにおける燃料タンク本体側端部e‐1及び燃料注入口側端部e‐2の両端部共に溶接により固定装着する両持ち構造とした場合には、固着強度が非常に高いことになって、自動車の衝突時などにおいて他の車体構成部品がプロテクター本体eに衝接すると、プロテクター本体eとフィラーチューブaとの固定装着部位に応力集中が起こって、フィラーチューブa自体が穿孔したり、延いては千切れてしまうことにもなりかねない。
【0012】
そこで、この発明は、かかる従来の技術に鑑み、部品点数や取付けコスト或いは車体重量の上昇を招くことなく、しかも、自動車の衝突時におけるフィラーチューブの穿孔や千切れ現象を確実に防止できるように構成したフィラーチューブのプロテクター構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係るフィラーチューブのプロテクター構造は、一端側が燃料注入口に連結されているとともに他端側が燃料タンク本体に連結されて、燃料を前記燃料注入口から燃料タンク本体に供給するフィラーチューブのプロテクター構造であって、前記フィラーチューブにおける前記燃料注入口側から前記燃料タンク本体側に沿うように、パネル材からなるプロテクター本体を所定のクリアランスをもって外装すると共に、前記プロテクター本体の長手方向両端部を前記フィラーチューブに取着して構成し、且つ、前記プロテクター本体の長手方向両端部取着構成のうち、
前記燃料注入口側端部側を樹脂或いはゴムなどから構成された可撓性材料からなるクリップ体を用いて前記フィラーチューブに取着
すると共に、前記プロテクター本体の燃料タンク本体側端部側を前記フィラーチューブに溶接により取着したことを特徴とする。
【0014】
かかる構成により、この発明は、プロテクター本体の長手方向両端部共にフィラーチューブに取着構成されていることから、プロテクター本体が、自動車の走行時などにおいて風力や水力などを受けたとしても、湾曲状に折曲して変形しまうことを防止することができ、常にフィラーチューブの保護作用を果たすことができる。
【0015】
しかも、この発明に係るフィラーチューブのプロテクター構造は、プロテクター本体の長手方向両端部のうち、燃料注入口側端部側が樹脂或いはゴムなどから構成された可撓性材料からなるクリップ体を用いてフィラーチューブに取着されていることによって、自動車の衝突時などにおいて他の車体構成部品がプロテクター本体に衝接して、プロテクター本体に大きな衝撃力が及んだ場合、クリップ体がかかる大きな衝撃力を吸収したり果て又千切れることなって、プロテクター本体とフィラーチューブとの固定装着部位に応力集中が起こらないことになる。この結果、フィラーチューブ自体が、穿孔したり千切れてしまうことを確実に防止でき、フィラーチューブからの燃料漏れを確実に防止することができる。
【0016】
さらに、この発明は、プロテクター本体の長手方向両端部のうち、燃料注入口側端部側が少なくとも樹脂或いはゴムなどから構成された可撓性材料からなるクリップ体を用いてフィラーチューブに取着したことにより、従来のブラケットを使用する場合に比して、部品点数や取付けコスト或いは車体重量を確実に軽減することができる。
【0018】
加えてかかる構成により、この発明は、プロテクター本体における燃料タンク本体側端部側が溶接によりフィラーチューブに取着されていることから、燃料注入口側端部側がクリップ体によって装着されていることと相俟って、プロテクター本体が、自動車の走行時などにおいて風力や水力などを受けたとしても、湾曲状に折曲変形して
しまうことを確実に防止することができ、常に、フィラーチューブの保護作用を果たすことができる。
【0021】
また、この発明は、
一の実施の形態として、前記クリップ体が、前記フィラーチューブの外周を囲繞して該フィラーチューブに取外し可能に装着されるフィラーチューブ抱持片部と、該フィラーチューブ抱持片部の外周部に沿って一体に形成されて前記プロテクター本体を前記フィラーチューブ抱持片部の外周部と共に前記プロテクター本体を弾着挟合するプロテクター本体弾着挟合片部とで構成されており、且つ、該プロテクター本体弾着挟合片部が、前記プロテクター本体に設けられた位置決め孔に嵌合されて前記プロテクター本体の位置決めを行う位置決め突起を有して構成している。
【0022】
かかる構成により、この発明は、クリップ体が、フィラーチューブ抱持片部とプロテクター本体弾着挟合片部とを一体にて構成していることから、従来のブラケットを使用する場合に比して、部品点数や取付けコスト或いは車体重量を確実に軽減することができ、しかも、プロテクター本体側の位置決め孔にクリップ体側の位置決め突起を嵌合することにより、プロテクター本体に対してクリップ体を容易に位置決めでき、常に所定位置において、プロテクター本体をフィラーチューブ側に装着することができる。
【0023】
また、この発明は、
他の実施の形態として、前記プロテクター本体弾着挟合片部が前記プロテクター本体を前記クリップ体に対して挟着可能な弾性力を有するヒンジ部を介して、前記フィラーチューブ抱持片部に一体
に形成されて構成している。
【0024】
かかる構成により、この発明は、プロテクター本体弾着挟合片部がプロテクター本体をクリップ体に対して挟着可能な弾性力を有するヒンジ部を介して、フィラーチューブ抱持片部に一体に形成されていることから、プロテクター本体のクリップ体への組み付けは、ヒンジ部によってプロテクター本体弾着挟合片部をフィラーチューブ抱持片部に対して弾性力に抗して拡開して、プロテクター本体弾着挟合片部とフィラーチューブ抱持片部との間に挿入し、その後、プロテクター本体弾着挟合片部の拡開状態を解くことで、簡単に可能とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明は、プロテクター本体の長手方向両端部共にフィラーチューブに取着構成されていることから、プロテクター本体が、自動車の走行時などにおいて風力や水力などを受けたとしても、湾曲状に折曲して変形しまうことを防止することができ、常にフィラーチューブの保護作用を果たすことができる。
【0026】
しかも、この発明に係るフィラーチューブのプロテクター構造は、プロテクター本体の長手方向両端部のうち、燃料注入口側端部側が樹脂或いはゴムなどから構成された可撓性材料からなるクリップ体を用いてフィラーチューブに取着されていることによって、自動車の衝突時などにおいて他の車体構成部品がプロテクター本体に衝接して、プロテクター本体に大きな衝撃力が及んだ場合、クリップ体がかかる大きな衝撃力を吸収したり果て又千切れることなって、プロテクター本体とフィラーチューブとの固定装着部位に応力集中が起こらないことになる。この結果、フィラーチューブ自体が、穿孔したり千切れてしまうことを確実に防止でき、フィラーチューブからの燃料漏れを確実に防止することができる。
【0027】
さらに、この発明は、プロテクター本体の長手方向両端部のうち、燃料注入口側端部側が少なくとも樹脂或いはゴムなどから構成された可撓性材料からなるクリップ体を用いてフィラーチューブに取着したことにより、従来のブラケットを使用する場合に比して、部品点数や取付けコスト或いは車体重量を確実に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】この発明に係る実施例を採用したフィラーチューブのプロテクター構造の要部を描画した斜視図である。
【
図2】
図1のA矢印方向から描画した斜視図である。
【
図3】この発明に係る実施例のフィラーチューブのプロテクター構造を構成するクリップ体を描画した斜視図である。
【
図5】従来におけるフィラーチューブのプロテクター構造を概略的に描画した斜視図である。
【
図6】
図5における一点鎖線円内を拡大して描画した要部斜視図である。
【
図7】
図6のB矢印方向から描画した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の実施例に係るフィラーチューブのプロテクター構造は、プロテクター本体の長手方向両端部のうち、燃料注入口側端部側が少なくとも樹脂或いはゴムなどから構成された可撓性材料からなるクリップ体を用いてフィラーチューブに取着したことにより、従来のブラケットを使用する場合に比して、部品点数や取付けコスト或いは車体重量を確実に軽減することができるように構成している。
【0030】
次に、
図1及び
図2を用いて、この発明にかかる実施例を採用したフィラーチューブのプロテクタ構造を説明する。すなわち、
図1及び
図2に示すように、不図示の燃料注入口から注入された燃料は、鉄などの金属製のフィラーチューブ1を介してやはり不図示の燃料タンク本体に供給されるように構成している。
【0031】
フィラーチューブ1は、燃料注入口からタンク本体までの間に至る車体レイアウトに適合するように、適宜折り曲げ形成などされており、途中、
図2に示すように、ホイールハウス10内においてタイヤ11の上部に配設されることによって、車外露出部分2となっている。
【0032】
フィラーチューブ1の車外露出部分2は、タイヤ11などによる石跳ねなどから保護すべくなした耐チッピング対策を施すと共に、自動車の衝突事故に遭遇した際に生起する穿孔などによる燃料漏れを防止すべく、プロテクター本体3が、所定のクリアランスS−1を有して外装されている。
【0033】
したがって、プロテクター本体3は、フィラーチューブ1の車外露出部分2とタイヤ11との間に配設されていることになる。
【0034】
そして、プロテクター本体3の燃料タンク本体側端部4側には、被溶接片部6が形成されている。被溶接片部6は、溶接を施すことによって、プロテクター本体3の燃料タンク本体側端部4側をフィラーチューブ1に固定装着されている。
【0035】
プロテクター本体3の燃料注入口側端部5側は、樹脂或はゴムなどから構成する可撓性材料からなるクリップ体7を用いて、フィラーチューブ1に取着されている。
【0036】
かかるクリップ体7は、
図3において明らかに示するように、フィラーチューブ1の車外露出部分2の外周を囲繞してフィラーチューブ1に装着されるフィラーチューブ抱持片部8と、フィラーチューブ抱持片部8の外周部を沿うように一体に延設形成されてフィラーチューブ抱持片部8の外周部と共にプロテクター本体3を弾着挟合するプロテクター本体弾着挟合片部9とを有して構成されている。
【0037】
フィラーチューブ抱持片部8は、基本的に輪っか状を呈するも、中途部が分割されて一対の端部8−1、8−2になっており、両端部8−1、8−2にそれぞれに形成された係合鉤部同士を係合することによって、クリップ体7をフィラーチューブに囲繞抱持している(
図4を参照)。かかることから、両端部8−1、8−2のうち、一方の端部8−1は、フィラーチューブ抱持片部8がフィラーチューブ1の外周を弾着抱持するように、所定の弾性力を有した後述のヒンジ部9−1を有して構成している。
【0038】
プロテクター本体弾着挟合片部9は、やはり
図3において明らかに図示するように、その一端側がフィラーチューブ抱持片部8にヒンジ部9−1を介在させて一体的に連結しており、他端側は、フィラーチューブ抱持片部8の外周部に沿って所定のクリアランスS−2を有して延在する遊端側になっている。さらに、他端側におけるフィラーチューブ抱持片部8の外周部に対向する面には、1個以上の位置決め突起9−2が形成されている。位置決め突起9−2は、プロテクター本体3側に設けた位置決め孔3−1に嵌合することにより、プロテクター本体3に対してクリップ体7を位置決めするように構成されている。
【0039】
かかる構成により、プロテクター本体弾着挟合片9は、ヒンジ部9−1の弾性力に抗して、遊端側である他端側を揺動させてクリアランスS−2を拡開した状態を保持し、かかるクリアランスS−2にプロテクター本体3を挿入し、プロテクター本体3側の位置決め孔3−1に位置決め突起9−2を嵌合する。その後、クリアランスS−2の拡開状態を解除すれば、プロテクター本体弾着挟合片9は、ヒンジ部9−1の弾性力によって、フィラーチューブ抱持片部8の外周部と協働してプロテクター本体3をクリップ体7に弾着挟合することになる(
図4を参照)。
【0040】
以上説明したこの発明の実施例に係るフィラーチューブのプロテクター構造は、プロテクター本体3の長手方向両端部4、5のうち、燃料タンク本体側端部4が被溶接片部6によってフィラーチューブ1に取着していると共に、燃料注入口側端部5側がクリップ体7によってフィラーチューブ1に取着されて構成していることから、プロテクター本体3が、自動車の走行時などにおいて風力や水力などを受けたとしても、湾曲状に折曲して変形しまうことを防止することができ、常にフィラーチューブ1の保護作用を果たすことができる。
【0041】
しかも、この発明の実施例に係るフィラーチューブのプロテクター構造は、プロテクター本体3の長手方向両端部4、5のうち、燃料注入口側端部5側が樹脂或いはゴムなどから構成された可撓性材料からなるクリップ体7を用いてフィラーチューブ1に取着されていることによって、自動車の衝突時などにおいて他の車体構成部品がプロテクター本体3に衝接して、プロテクター本体3に大きな衝撃力が及んだ場合、クリップ体7が撓むことによってかかる大きな衝撃力を吸収したり果て又千切れたりすることなって、プロテクター本体3とフィラーチューブ1との固定装着部位に応力集中が起こらないことになる。この結果、フィラーチューブ1自体が、穿孔したり千切れてしまうことを確実に防止でき、フィラーチューブ1からの燃料漏れを確実に防止することができる。
【0042】
さらに、この発明の実施例に係るフィラーチューブのプロテクター構造は、プロテクター本体3の長手方向両端部4、5のうち、燃料注入口側端部5側が樹脂或いはゴムなどから構成された可撓性材料からなるクリップ体7を用いてフィラーチューブ1に取着したことにより、従来のブラケットを使用する場合に比して、部品点数や取付けコスト或いは車体重量を確実に軽減することができる。
【0043】
加えて、この発明の実施例に係るフィラーチューブのプロテクター構造は、プロテクター本体弾着挟合片部9がプロテクター本体3をクリップ体7に対して挟着可能な弾性力を有するヒンジ部9−1を介して、フィラーチューブ抱持片部8に一体に形成されていることから、プロテクター本体3のクリップ体7への組み付けは、ヒンジ部9−1によってプロテクター本体弾着挟合片部9の遊端側としての他端側をフィラーチューブ抱持片部8に対して弾性力に抗して拡開して、プロテクター本体弾着挟合片部9とフィラーチューブ抱持片部8との間に挿入し、その後、プロテクター本体弾着挟合片部9の拡開状態を解くことで、簡単に可能とすることができる。
【0044】
なお、上記この発明に係る実施例においてはプロテクター本体3が、燃料タンク本体側端部4側を被溶接片部6によりフィラーチューブ1に装着すると共に、燃料注入口側端部5側をクリップ体7を用いてフィラーチューブ1に装着するように構成したが、これに限定されるものでなく、被溶接片部6を用いて溶接することにより装着する構成を燃料注入口側端部5側と同様にクリップ体にて装着するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したこの発明は、部品点数や取付けコスト或いは車体重量の上昇を招くことなく、しかも、自動車の衝突時におけるフィラーチューブの穿孔や千切れ現象を確実に防止できるように構成することができることから、自動車用燃料を燃料注入口から注入して燃料タンク本体内に供給するフィラーチューブが自動車の衝突事故などに遭遇した際の燃料漏れの要因となる穿孔等を起こさないように構成したフィラーチューブのプロテクター構造等に好適であるといえる。
【符号の説明】
【0046】
1 フィラーチューブ
2 車外露出部分
3 プロテクター本体
3−1 位置決め孔
4 燃料タンク本体側端部
5 燃料注入口側端部
6 被溶接片部
7 クリップ体
8 フィラーチューブ抱持片部
8−1 一側端部
8−2 他側端部
9 プロテクター本体弾着挟合片部
9−1 ヒンジ部
9−2 位置決め突起
10 ホイールハウス
11 タイヤ