(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高所に設置した収納ボックス内に制御装置と起動装置を備えた消火剤容器を収納し、センサに基づいて制御装置で火災を検出した場合、又は、人為操作可能な位置に設置した遠隔操作装置に設けた起動スイッチの操作により起動信号を前記制御装置で受信した場合、前記消火剤容器に設けた前記起動装置を作動して前記消火剤容器に充填した消火薬剤を所定の防護区画に放出させる自動消火設備に於いて、
前記遠隔操作装置の起動スイッチから前記制御装置に接続された起動信号ラインに、コネクタとプラグを着脱自在に連結するコネクタ装置を有し、前記コネクタとプラグの切り離し操作により前記起動信号ラインを遮断して前記消火薬剤の誤放出を抑止するメンテナンス装置を、人為操作可能な位置に備えたことを特徴とする自動消火設備。
【背景技術】
【0002】
従来、厨房用の自動消火設備は、厨房設備として設けたレンジやフライヤーの部分を防護対象物として、火災を自動的に感知し、消火薬剤を放出して消火する。
【0003】
この自動消火設備は、ダクトやフードに設置した消火ノズル、ダクト内の温度を検出するダクトセンサ、ダクトセンサの検出温度に基づき火災を判断して消火制御を行う制御装置、消火薬剤を充填した消火剤容器、制御装置により作動して消火剤容器に充填した消火薬剤を消火ノズルから放出させる起動装置、レンジに供給するガスを遮断するガス遮断装置、手動操作用の起動スイッチを備えた遠隔操作装置等から構成される。
【0004】
このうち制御装置と消火剤容器は収納ボックスに格納されており、収納ボックスの設置場所は、厨房であるため、フードの横側で且つ天井付近に設置されることが多い。
【0005】
厨房用の自動消火設備は、消火装置であるため、年1回の点検を行っており、点検の際には、ダクトセンサに基づく自動消火および起動スイッチの操作による手動消火の起動制御が正常に行えることを確認している。この場合、消火薬剤の放出は行わないが、消火薬剤の誤放出に備え、レンジ全体を防護シートで覆うなどの措置をとり、更に、収納ボックス内の制御装置の出力部から消火剤容器の起動装置に電気的に接続されたケーブルのコネクタを物理的に外すことを、点検の際には必ず実施している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、点検の際に外す必要のあるケーブルのコネクタは、収納ボックス内にあるため、脚立を用いてコネクタを外す作業を必要とし、油で滑りやすい厨房の床に脚立を立てて作業した場合には、転倒などの二次災害が発生する可能性が高く、労働災害も発生している。
【0008】
また、脚立に上って行う不安定な作業に伴い、点検作業も不確実なものとなり易く、脚立を使用した高所作業を必要とすることなく点検を行うことが求められている。
【0009】
本発明は、点検に伴う消火薬剤の誤放出を抑止するための作業を簡単且つ安全に行うことを可能とする厨房設備等の自動消火設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(自動消火設備
:コネクタ装置による遮断)
本発明は、高所に設置した収納ボックス内に制御装置と起動装置を備えた消火剤容器を収納し、センサに基づいて制御装置で火災を検出した場合、又は、人為操作可能な位置に設置した遠隔操作装置の起動スイッチの操作により起動信号を制御装置で受信した場合、消火剤容器に設けた起動装置を作動して消火剤容器に充填した消火薬剤を所定の防護区画に放出させる自動消火設備に於いて、
遠隔操作装置の起動スイッチから制御装置に接続
された起動信号ライン
に、コネクタとプラグを着脱自在に連結するコネクタ装置を有し、コネクタとプラグの切り離し操作により
起動信号ラインを遮断して消火薬剤の誤放出を抑止するメンテナンス装置を、人為操作可能な位置に
備えたことを特徴とする。
【0011】
メンテナンス装置は、
起動信号ラインが引き込まれた筐体内にコネクタ装置が収納され、筐体に施錠機構付きの開閉自在な扉を備える。
【0012】
(コネクタ装置の状態監視)
メンテナンス装置は、起動信号ラインに加え、制御装置との間
がコネクタ装置により断接可能なダミー信号ラインで接続
され、ダミー信号ライン
に接続された点検状態表示器
が、コネクタ装置による起動信号ラインの断接状態を表示する。
【0013】
(自動消火設備:点検スイッチによる遮断)
本発明は、高所に設置した収納ボックス内に制御装置と起動装置を備えた消火剤容器を収納し、センサに基づいて制御装置で火災を検出した場合、又は、人為操作可能な位置に設置した遠隔操作装置の起動スイッチの操作により起動信号を制御装置で受信した場合、消火剤容器に設けた起動装置を作動して消火剤容器に充填した消火薬剤を所定の防護区画に放出させる自動消火設備に於いて、
遠隔操作装置の起動スイッチから制御装置に接続された起動信号ラインに点検スイッチを有し、点検スイッチのオフ操作により起動信号ラインを遮断して消火薬剤の誤放出を抑止するメンテナンス装置を、人為操作可能な位置に備え、
メンテナンス装置は、起動信号ラインに加え、制御装置との間が点検スイッチに連動する連動スイッチにより断接可能なダミー信号ラインで接続され、ダミー信号ラインに接続された点検状態表示器が、点検スイッチによる起動信号ラインの断接状態を表示することを特徴とする。
【0014】
メンテナンス装置は、起動信号ラインが引き込まれた筐体内に記起動スイッチが収納され、筐体に施錠機構付きの開閉自在な扉を備える。
【0015】
(表示器の点灯又は消灯による切り離し表示)
点検状態表示器は、
メンテナンス装置による起動信号ラインの断接状態を、表示灯の点灯又は消灯により表示する。
【0016】
(遠隔操作装置との一体化)
メンテナンス装置
を遠隔操作装置と一体に設ける
。
【発明の効果】
【0017】
(基本的な効果)
本発明によれば、高所に設置した収納ボックス内に制御装置と起動装置を備えた消火剤容器を収納し、センサに基づいて制御装置で火災を検出した場合、又は、人為操作可能な位置に設置した遠隔操作装置の起動スイッチの操作による起動信号を制御装置で受信した場合に、消火剤容器に設けた起動装置を作動して消火剤容器に充填した消火薬剤を所定の防護区画に放出させる自動消火設備について、遠隔操作装置の起動スイッチから制御装置に接続している起動信号ラインを切り離し操作により遮断して消火薬剤の誤放出を抑止するメンテナンス装置を、人為操作可能な位置に設けるようにしたため、自動消火設備を点検する際に、遠隔操作装置と同様に、人為的に操作可能な位置に設置しているメンテナンス装置において、起動スイッチから制御装置に接続している起動信号ラインを切り離す操作を行うことで、起動スイッチの操作による消火薬剤の誤放出を確実に防止し、従来のように高所に設置されている収納ボックス内のケーブルのコネクタを外すような脚立に上って行う不安定な作業を不要とし、点検に伴う消火薬剤の誤放出を抑止するための起動信号ラインの切り離し作業を簡単且つ安全に行うことを可能とする。
【0018】
(コネクタによる切り離しの効果)
また、メンテナンス装置は、筐体に
施錠機構付きの開閉自在な扉を備え、筐体内に起動スイッチから制御装置に接続している起動信号ラインを引き込み、当該起動信号ラインに着脱自在なコネクタとプラグを有するコネクタ装置を設けて断接可能としていることから、メンテナンス装置の扉を開いて収納しているコネクタ装置のコネクタからプラグを引き抜くことで、簡単に起動信号ラインを切り離すことができる。
【0019】
(コネクタ装置の状態監視による効果)
また、メンテナンス装置は、起動信号ラインに加え、制御装置との間をダミー信号ラインで接続し、ダミー信号ラインをコネクタ装置のコネクタとプラグに接続して断接可能とし、更に、ダミー信号ラインを点検状態表示器に接続してコネクタ装置の断接状態を表示するようにしたため、コネクタ装置による起動信号ラインの断接と同時にダミー信号ラインの断接が行われ、これに伴いコネクタ装置によるダミー信号ラインの接続状態で例えば点灯していた点検状態表示器は、ダミー信号ラインの切り離しにより消灯し、コネクタ装置による起動信号ラインの断接状態を表示することを可能とする。
【0020】
また、点検を終了した場合に、メンテナンス装置の点検状態表示器が点灯していれば、コネクタ装置は接続状態に戻されて正常に機能することが分かり、一方、点検状態表示器が消灯していれば、コネクタ装置を接続状態に戻し忘れていることが外部から分かり、コネクタ装置の接続状態への復旧を忘れにより起動スイッチの操作による消火薬剤の放出機能が失われてしまう事態を未然に防止可能とする。
【0021】
また、コネクタ装置の戻し忘れを防止するためには、起動スイッチと並列に終端抵抗を接続した状態で起動信号ラインに電圧を印加して断線監視電流を流してコネクタ装置の断接を監視することも可能であるが、起動信号ラインに電圧を加えていると、制御装置の誤動作により消火薬剤を誤放出する可能性があり、これを防止するため、別にダミー信号ラインを設けてコネクタ装置の断接状態を監視することで、消火薬剤の誤放出の可能性を確実に排除可能とする。
【0022】
(点検スイッチによる切り離しによる効果)
また、メンテナンス装置は、筐体に
施錠機構付きの開閉自在な扉を備え、筐体内に起動スイッチから制御装置に接続している起動信号ラインを引き込み、当該信号ラインに点検スイッチを設けて断接可能とすることで、メンテナンス装置の扉を開いて収納しているコネクタ装置の点検スイッチをオフ操作することで、より簡単に起動信号ラインを切り離すことができる。
【0023】
(点検スイッチの状態監視による効果)
また、メンテナンス装置は、起動信号ラインに加え、制御装置との間をダミー信号ラインで接続し、ダミー信号ラインに点検スイッチに連動する連動スイッチを設けて断接可能とし、更に、ダミー信号ラインを点検状態表示器に接続して点検スイッチの断接状態を表示するにしたため、点検スイッチの復旧忘れにより起動スイッチの操作による消火薬剤の放出機能が失われてしまう事態を未然に防止可能とする。また、ダミー信号ラインを設けて点検スイッチの状態を監視することで、起動信号ラインに電圧を加えて点検スイッチの状態を監視する必要がないため、消火薬剤の誤放出の可能性を確実に排除可能とする。
【0024】
(遠隔操作装置との一体化)
また、メンテナンス装置を遠隔操作装置と一体に設けることで、メンテナンス装置の設置スペースを別途確保する必要がなく、また、点検の際にメンテナンス装置で行う起動信号ラインの切り離し操作も、メンテナンス装置の設置場所を探すことなく、簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[自動消火装置]
(自動消火設備の概略)
図1は厨房設備に設けた自動消火設備の概略を示した説明図である。
図1に示すように、自動消火設備を設置する厨房設備は、レンジ10とフライヤー12を設置し、その上部にフード14を設置し、フード14はダクト16に連結し、ファン18の駆動で排気を可能としており、ファン18は例えば空調制御盤
42により運転と停止を制御する。
【0027】
自動消火設備は、フード14の横の天井面に近い位置に収納ボックス20を設置し、収納ボックス20に制御装置22と消火剤容器(ボンベ)26を収納している。消火剤容器26はその出口配管を共通接続し、続いて起動装置
28を設け、起動装置28の二次側からの配管を、フード14及びダクト16の内部に設置した消火ノズル30に接続している。
【0028】
制御装置22には、ダクト16内に設置したダクトセンサ24を信号線接続している。ダクトセンサ24は温度検出素子であり、例えばサーミスタ等を使用し、制御装置22はダクトセンサ24の検出信号に基づきダクト16内の温度を検出する。
【0029】
また制御装置22には、遠隔操作装置32、ガス遮断弁38を遮断操作するガス遮断操作装置36、火災受信盤40、空調制御盤42を信号線で接続している。また分電盤44から制御装置22及びレンジ10とフライヤー12に商用交流電源を供給している。
【0030】
遠隔操作装置32は、人為的に操作可能な厨房の壁面などの位置に設置し、手動消火を行うための起動スイッチを備え、これ以外に、動作表示灯、警報表示灯、リセットスイッチ、警報ブザーなどを備えている。
【0031】
本実施形態にあっては、遠隔操作装置32と一体にメンテナンス装置34を設けている。メンテナンス装置34は、点検の際に、遠隔操作装置32の起動スイッチから制御装置22に接続している信号ラインを切り離し操作により遮断して消火薬剤の誤放出を抑止する。
【0032】
(自動消火設備の自動消火)
制御装置22による自動消火設備の自動消火制御は次のようになる。制御装置22は、レンジ10やフライヤー12の使用に伴う火災でダクト16内の温度上昇をダクトセンサ24からの検出信号に基づき検出し、第1設定温度T1、例えば150℃以上を判別した場合、ガス遮断操作装置36を経由してガス遮断弁38を遮断してガス供給を停止する制御を行い、続いて、遠隔操作装置32に制御信号を出力して警報表示灯を点灯すると共に警報ブザーを鳴動させる制御を行う。
【0033】
続いて制御装置22はダクトセンサ24の検出信号に基づく検出温度が第2設定温度T2、例えば180℃以上を判別した場合、火災発生と判断し、起動装置28を開放作動し、消火剤容器26に充填している消火薬剤を消火ノズル30からフード14及びダクト16内に放出して消火する制御を行い、更に、火災受信盤40に火災移報信号を発信し、火災警報を出力させる制御を行う。
【0034】
(自動消火設備の手動消火)
制御装置22による自動消火設備の手動消火制御は次のようになる。火災に気付いた利用者は、遠隔操作装置32の扉を開き、内部に設けている起動スイッチの押釦を押圧操作し、起動スイッチをオンすると、遠隔操作装置32から制御装置22に起動信号が出力され、これを受信した制御装置22が遠隔操作装置32へ制御信号を出力して警報表示灯を点灯すると共に警報ブザーを鳴動する。
【0035】
遠隔操作装置32からの起動信号を受信した制御装置22は、起動装置28を開放作動し、消火剤容器26に充填している消火薬剤を消火ノズル30からフード14及びダクト16内に放出して消火する制御を行い、更に、火災受信盤40に火災移報信号を発信し、火災警報を出力させる制御を行う。
【0036】
[遠隔操作装置とメンテナンス装置の装置構成]
図2は遠隔操作装置と一体に設けたメンテナンス装置の実施形態を示した説明図であり、
図2(A)に扉を閉じた状態を示し、
図2(B)に扉を開いた状態を示す。
【0037】
図2に示すように、遠隔操作装置32は下側にメンテナンス装置34を一体に備え、上部に横開きの扉46を設け、扉46の表示窓から扉内に設けた動作表示灯48と警報表示灯50を視認可能としている。動作表示灯48は、制御装置22からの制御信号により、正常な場合は点灯し、異常を検知した場合は点滅する。警報表示灯50は、制御装置22からの制御信号により、自動又は手動による消火薬剤の放出に伴い点灯する。
【0038】
扉16は閉鎖状態でシール47により封止しており、手動消火の際には、シール47を外すか破いて扉46開くようにしており、悪戯などによる不必要な扉開放を抑止している。また、遠隔操作装置32の扉16を開いた内側には、動作表示灯48と警報表示灯50に加え、リセットスイッチ60と警報ブザーを内蔵した音響孔62を設けている。
【0039】
遠隔操作装置32の下側に一体に設けたメンテナンス装置34は、下向きに開閉自在な扉54を備え、鍵穴56を持つ施錠機構により通常はロックしており、点検の場合には鍵を使用して扉54を開く。扉54を開いたメンテナンス装置34の筐体内にはコネクタ装置64を収納している。
【0040】
コネクタ装置64はコネクタ66にプラグ68を差し込んで接続しており、遠隔操作装置32に設けた起動スイッチ58から制御装置
22に対する起動信号ラインを引き込んでコネクタ装置64により断接可能としており、点検の場合には、コネクタ66からプラグ68を外すことで、起動スイッチ58からの起動信号ラインを切り離すようにしている。
【0041】
また、メンテナンス装置34を設けたことに伴い、遠隔操作装置32に点検状態表示器とし機能する点検状態表示灯52を設けている。点検状態表示灯52はコネクタ装置64を接続した状態で点灯し、コネクタ装置64を切り離すと消灯する。なお、点検状態表示灯52はメンテナンス装置34側ではなく、遠隔操作装置32に設けても良い。
【0042】
[遠隔操作装置とメンテナンス装置の回路構成]
図3は遠隔操作装置及びメンテナンス装置の回路構成の概略を制御装置側と共に示した説明図であり、
図3(A)に通常監視中のコネクタ接続状態を示し、
図3(B)に点検の際にコネクタ接続を外した状態を示す。
【0043】
図3に示すように、遠隔操作装置32は操作制御部70を備え、制御装置22に対し制御信号ライン76で接続している。操作制御部70にはLEDを用いた動作表示灯48と警報表示灯50を接続し、更に、図示を省略したリセットスイッチと警報ブザーを接続している。また遠隔操作装置32には起動スイッチ58を設け、起動スイッチ58は起動信号ライン72により制御装置22に接続している。
【0044】
メンテナンス装置34は、コネクタ66とプラグ68を着脱自在に連結したコネクタ装置64を備え、コネクタ装置64は2本のコネクタ金具とプラグ金具による2つのコネクタ回路を備え、起動スイッチ58から引き込んだ起動信号ライン72の片線にコネクタ装置64の一方のコネクタ回路を挿入接続している。
【0045】
また、メンテナンス装置34と制御装置22の間にダミー信号ライン74を接続している。ダミー信号ライン74の片線には、コネクタ装置64の他方のコネクタ回路を挿入接続し、続いてLEDを用いた点検状態表示灯52を挿入接続している。
【0046】
ダミー信号ライン74には制御装置22側に設けた駆動回路部から所定の電圧が印加されており、
コネクタ装置64の接続状態では、点検状態表示灯52に駆動電流を流し、点検状態表示灯52を点灯して、コネクタ装置64が接続状態にあることを表示している。
【0047】
自動消火設備を点検する場合には、
図2(B)に示したように、鍵穴56に鍵を差し込んでロックを解除し、扉54を開いて筐体内のコネクタ装置64を取り扱い可能とし、
図3(B)に示すように、コネクタ66からプラグ68を引き外し、これによって起動信号ライン72の切り離しが行われ、この状態で起動スイッチ58をオン操作しても、制御装置22に起動信号は出力されず、点検中における消火薬剤の誤放出を確実に抑止することができる。
【0048】
またコネクタ装置64のコネクタ66からプラグ68を引き外した場合、ダミー信号ライン74の切り離しも行われ、それまで点灯していた点検状態表示灯52が消灯し、コネクタ装置64が切り離し状態にあることを報知する。
【0049】
また、自動消火設備を点検する際に、遠隔操作装置32と一体に、人為的に操作可能な位置にメンテナンス装置34 を設けており、従来の高所に設置している収納ボックス内のケーブルのコネクタを脚立に上って外すような不安定な作業を不要とし、点検に伴う消火薬剤の誤放出を抑止するための起動信号ライン72の切り離し作業を簡単且つ安全に行うことを可能とする。
【0050】
また、点検終了でコネクタ装置64を接続状態に戻し忘れた場合には、点検状態表示灯52が消灯しており、これによってメンテナンス装置34の筐体内に収納しているコネクタ装置64が切り離したままになっていることが外部から分かり、コネクタ装置64の復旧忘れによる手動消火機能の喪失を確実に防止可能とする。
【0051】
[点検スイッチによる起動信号ラインの切り離し]
図4は点検スイッチにより信号ラインを切り離すメンテナンス装置の実施形態を示した説明図である。
【0052】
図4に示すように、遠隔操作装置32と一体に設けた本実施形態のメンテナンス装置34は、2回路の連動する点検スイッチ接点82と連動スイッチ接点84を備えた点検スイッチ80を備え、起動スイッチ58から引き込んだ起動信号ライン72の片線に点検スイッチ80の点検スイッチ接点82を挿入接続している。
【0053】
また、メンテナンス装置34と制御装置22の間を接続しているダミー信号ライン74の片線に、点検スイッチ80の連動スイッチ接点84を挿入接続し、続いてLEDを用いた点検状態表示灯52を挿入接続している。
【0054】
点検スイッチ80は通常は
点検スイッチ接点82及び連動スイッチ接点84を閉じたオン位置にあり、ダミー信号ライン74には制御装置22側に設けた駆動回路部から所定の電圧が印加されており、オン状態にある連動スイッチ接点84を介して点検状態表示灯52に駆動電流を流し、点検状態表示灯52を点灯して、点検スイッチ80がオン状態にあることを表示している。
【0055】
自動消火設備を点検する場合には、
図2(B)に示したように、鍵穴56に鍵を差し込んでロックを解除し、扉54を開いて点検スイッチ80をオフ操作して点検スイッチ接点82と連動スイッチ接点84を開き、これによって起動信号ライン72の切り離しが行われ、この状態で起動スイッチ58をオン操作しても、制御装置22に起動信号は出力されず、点検中における消火薬剤の誤放出を確実に抑止することができる。
【0056】
また点検スイッチ80のオフ操作による連動スイッチ接点84の開放でダミー信号ライン74を切り離しており、それまで点灯していた点検状態表示灯52が消灯し、点検スイッチ80がオフ状態にあることを報知する。
【0057】
また、人為的に操作可能な位置にメンテナンス装置34を設けており、自動消火設備を点検する際に、従来の高所に設置している収納ボックス内のケーブルのコネクタを脚立に上って外すような不安定な作業を不要とし、点検に伴う消火薬剤の誤放出を抑止するための起動信号ライン72の切り離し作業を簡単且つ安全に行うことを可能とする。
【0058】
また、点検終了で点検スイッチ80をオン状態に戻し忘れた場合には、点検状態表示灯52が消灯しており、これによってメンテナンス装置34の筐体内に収納している点検スイッチ80がオフしたままになっていることが外部から分かり、点検スイッチ80の復旧忘れによる手動消火機能の喪失を確実に防止可能とする。
【0059】
[遠隔操作装置に対し分離配置したメンテナンス装置]
図5は遠隔操作装置に対し分離配置したメンテナンス装置の実施形態を示した説明図であり、
図5(A)に扉を閉じた状態を示し、
図5(B)に扉を開いた状態を示す。また
図6は
図5の遠隔操作装置及びメンテナンス装置の回路機能の実施形態を示した説明図である。
【0060】
図5及び
図6に示すように、本実施形態のメンテナンス装置34は遠隔操作装置32に対し別の装置として設けており、遠隔操作装置32は、扉46の内側に動作表示灯48、警報表示灯50、リセットスイッチ60及び音響孔62を設けており、操作制御部70に制御装置22からの
制御信号ライン76を接続し、また起動スイッチ58からの起動制御ライン72を制御装置22に接続しており、その構成及び機能は、メンテナンス装置34を分離した点を除き、
図2及び
図3の場合と同様である。
【0061】
メンテナンス装置34は筐体の前面に下向きに開閉自在な扉54を備え、扉54は鍵穴56を備えた施錠機構によりロックしており、また筐体正面の上部には、点検状態表示灯52を設けている。点検状態表示灯52は通常は点灯しており、コネクタ装置64を切り離すと消灯し、コネクタ装置64が切り離し状態にあることを報知する。
【0062】
遠隔操作装置32に設けた起動スイッチ58との間は信号ライン86により接続しており、起動スイッチ58から信号ライン86を介して引き込んだ起動信号ライン72の片線にコネクタ装置64の一方のコネクタ回路を挿入接続している。
【0063】
また、メンテナンス装置34と制御装置22の間に接続したダミー信号ライン74の片線には、コネクタ装置64の他方のコネクタ回路を挿入接続し、続いてLEDを用いた点検状態表示灯52を挿入接続している。
【0064】
このように遠隔操作装置32に対しメンテナンス装置34を分離配置し、信号ライン86を解して接続するようにしたことで、遠隔操作装置32の設置位置に制約されることなく、メンテナンス装置34を自動消火設備を設置した場所の人為操作可能な適宜に位置に設置可能とし、例えば、メンテナンス装置34は点検の際にしか使用しないことから、日常的には目立ちに場所などに設置することを可能とする。
【0065】
この遠隔操作装置32に対し分離配置したメンテナンス装置34としては、コネクタ装置64を、
図4に示したメンテナンス装置
34の場合と同様、点検スイッチ80としても良い。
【0066】
図7は
図5の遠隔操作装置及びメンテナンス装置の回路機能の他の実施形態を示した説明図である。
【0067】
図7に示すように、本実施形態にあっては、制御装置22に断線検出回路88と切り離し表示回路90を設けている。断線検出回路88にはメンテナンス装置34のコネクタ装置64を経由して接続したダミー信号ライン74の断線を監視しており、コネクタ装置64の切り離しによる断線を検出して断線検出信号を切り離し検出表示回路90に出力する。
【0068】
切り離し表示回路90は断線検出回路88から断線検出信号を受けた場合に、信号ライン86に駆動電圧を印加し、メンテナンス装置34に設けた点検状態表示灯52を点灯してコネクタ装置64が切り離し状態にあることを表示する。
【0069】
この断線検出回路88によりダミー信号ライン74の断線を検出して切り離し表示回路90により点検状態表示灯52を点灯してコネクタ装置64が切り離し状態にあることを表示する構成は、遠隔操作装置32及びメンテナンス装置34を一体化した
図2の実施形態に適用しても良い。
【0070】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は、厨房用に自動消火設備を設置した場合を例にとっているが、フード・ダクト用又はダクト専用の自動消火設備についても、同様に適用できる。
【0071】
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。