特許第6203603号(P6203603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203603
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】硬貨払出装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 1/00 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   G07D1/00 ZGBC
   G07D1/00GBJ
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-229921(P2013-229921)
(22)【出願日】2013年11月6日
(65)【公開番号】特開2015-90568(P2015-90568A)
(43)【公開日】2015年5月11日
【審査請求日】2016年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】307003777
【氏名又は名称】株式会社日本コンラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140165
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】林 貴 裕
(72)【発明者】
【氏名】近 藤 真 史
【審査官】 井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−194747(JP,A)
【文献】 特開平11−120399(JP,A)
【文献】 特開平11−161825(JP,A)
【文献】 特開平8−44920(JP,A)
【文献】 実公昭58−6054(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を収納する複数のコインチューブと、
前記複数のコインチューブの下方に設けられた底板と、
前記複数のコインチューブから硬貨を取り出す取出動作と、取り出した硬貨を前記底板より外れた位置から排出させる排出動作と、を行う硬貨取出排出部と、
前記各コインチューブに対応して設けられたチェンジ部であって、前記各チェンジ部は、チェンジレバー用ソレノイドへ通電することにより復帰ばねの付勢力に抗してチェンジレバーを払出阻止位置から払出許容位置へ切り替える切替動作を行い、この後前記チェンジレバー用ソレノイドへの非通電により前記チェンジレバーを前記復帰ばねの付勢力で前記払出許容位置から前記払出阻止位置へ復帰させる復帰動作を行い、前記チェンジレバーの前記払出阻止位置においては前記硬貨取出排出部が前記排出動作を行うのを阻止し、前記払出許容位置においては前記硬貨取出排出部が前記排出動作を行うのを許容する、チェンジ部と、
前記チェンジレバーの状態をキープするためのキープ手段であって、前記キープ手段は、待機モードと復帰阻止モードとを選択的にとることができ、前記待機モードにおいては、前記チェンジ部の前記チェンジレバーが前記切替動作と前記復帰動作を行うのを許容し、前記復帰阻止モードにおいては、前記チェンジ部の前記チェンジレバーが前記復帰動作を行うのを阻止する、キープ手段と
を備え、
前記硬貨取出排出部が、前記キープ手段が前記復帰阻止モードをとり、且つ、前記チェンジレバー用ソレノイドへの非通電状態において、前記取出動作と前記排出動作とを行うものとして構成されている、
ことを特徴とする硬貨払出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の硬貨払出装置であって、
前記キープ手段は、複数のキープ用突起とキープレバーとを備え、前記キープ用突起は前記チェンジレバーに一体的に設けられたものとして構成され、前記キープレバーは、本体と、前記本体に設けられた複数の阻止体と、を有するものとして構成されており、
前記阻止体は、前記本体から立ち上がる支持部と、前記支持部の先端部分を前記キープレバーの移動方向に沿って屈曲した阻止部と、を有するものとして構成され、前記支持部と前記阻止部と前記本体とによって囲まれた、前記払出阻止位置にある前記チェンジレバーの前記キープ用突起を挿入状態に受け入れ可能な、逃げ空間が形成されており、
前記キープレバーは待機位置と復帰阻止位置に切り替え可能に設けられており、前記キープレバーが前記待機位置にある場合に前記待機モードとなり、前記キープレバーが前記復帰阻止位置にある場合に前記復帰阻止モードになり、
前記キープレバーを前記待機位置から前記復帰阻止位置へ切り替えることにより、前記払出阻止位置にある前記チェンジレバーの前記キープ用突起を前記逃げ空間に挿入状態に受け入れさせることにより前記キープレバーの動きを許容するとともに、前記払出許容位置にある前記チェンジレバーの前記キープ用突起を前記阻止部の外側に位置させて前記キープ用突起と前記阻止部とを前記チェンジレバーの動作方向に沿って対向させ、この後前記チェンジレバー用ソレノイドへの通電停止により前記払出許容位置にある前記チェンジレバーが前記払出阻止位置へ切り替わる前記復帰動作をしようとしても前記キープ用突起を前記阻止部で受け止めて前記チェンジレバーが前記復帰動作をするのを阻止するようにした、
ことを特徴とする硬貨払出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の硬貨払出装置であって、
前記キープレバーを前記待機位置と前記復帰阻止位置の一方から他方へ切り替えるためのキープレバー用ソレノイドを備え、
前記キープレバーは、前記キープレバー用ソレノイドへの非通電状態において前記待機位置をとり、通電することにより復帰ばねの付勢力に抗して前記復帰阻止位置に切り替えられ、この後通電を停止することにより前記復帰ばねの付勢力により前記待機位置に復帰するものとして構成され、
前記キープレバーを前記復帰阻止位置から前記待機位置へ復帰させるために前記キープレバー用ソレノイドへの通電の停止する際に、前記キープレバー用ソレノイドへの通電の停止と同時に又は通電の停止の直後に、前記払出許容位置にある前記チェンジレバーを駆動する前記チェンジレバー用ソレノイドへの瞬間的な通電を行う、
ことを特徴とする硬貨払出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動販売機、両替機、精算機、券売機、サービス機器等(以下、「自動販売機等」という。)に搭載される硬貨処理装置に関し、特にこのような硬貨処理装置の一部を構成し、金種毎に選別収容された硬貨を釣銭等の額に応じて払い出す硬貨払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動販売機等の内部には、投入硬貨の正偽を判別するとともに、正貨とみなされた投入硬貨を金種毎に選別収容し、さらに選別収容された硬貨を釣銭等の額に応じて払い出す硬貨処理装置が搭載されている。図7は、このような硬貨処理装置の概略図である。
【0003】
この硬貨処理装置1は、大別すると、投入硬貨の正偽を判別するとともに投入硬貨を金種別に振り分けるための硬貨選別装置2と、硬貨選別装置2により振り分けられた投入硬貨を金種毎に収納してそこから釣銭等の額に応じた硬貨を選択して払い出すための硬貨払出装置3とから構成されている。そして、硬貨選別装置2は、投入硬貨の正偽を判別する硬貨識別部と、この硬貨識別部が真正硬貨とみなした硬貨を金種別に振り分ける硬貨振分部とを有している。また、硬貨払出装置3は、硬貨選別装置2により金種毎に振り分けられた硬貨をそれぞれ金種毎に収容する複数のコインチューブからなる硬貨収容部と、この硬貨収容部から釣銭等の額に応じた硬貨を選択して払い出す硬貨払出機構とを有している。この硬貨払出機構としては、コインチューブに収容された硬貨を、コインチューブの最下部に開口したスリット状の孔から、ペイアウトスライドと称されているスライド部材によって引き出すことにより硬貨を払い出すものが広く採用されている。また、硬貨払出装置3において、硬貨払出装置3内の硬貨を売上として回収する際に硬貨を取り出しやすくするために、その硬貨収容部は取り外し可能なカセットになっているのが通常である。
【0004】
特許文献1(特開平07−262426号公報)、特許文献2(特開平11−161825号公報)及び特許文献3(特許第3054908号公報)において、従来の硬貨処理装置が備える硬貨払出装置が開示されている。
【0005】
以下、図8ないし図10を参照しながら従来の硬貨払出装置の構造について説明する。
【0006】
図8及び図9は、従来の硬貨払出装置の要部断面図であり、図10は、従来の硬貨払出装置の概念斜視図であって、コインチューブ及び装置の壁等が省略されたものである。図8(a)は、硬貨の払い出し前の状態(以下、「待機状態」という。)における要部断面図であり、図8(b)は、硬貨収容部のカセットを取り外した状態における要部断面図であり、図9は、硬貨の払い出し動作時の状態(以下、「払出状態」という。)における要部断面図である。また、図10は、待機状態における概念斜視図である。
【0007】
図8ないし図10に示す従来の硬貨払出装置3は、図示しないモータ等の駆動手段と、この駆動手段の駆動力により一払出動作ごとに一方向(矢印A方向)へ一回転するペイアウトカム10と、このペイアウトカム10の下面に突設されたピン10aと係合する溝9aを有しこのペイアウトカム10が一回転すると図の初期位置から矢印Bの方向へ往復移動するペイアウトリンク9と、このペイアウトリンク9に対しピン9bを介して着脱可能に係合し(図10参照)、このペイアウトリンク9の往復運動に連動して矢印B方向へ往復移動するペイアウトスライド8とを有している。ここで、ペイアウトリンク9とペイアウトスライド8とが着脱可能となっているのは、ペイアウトスライド8が硬貨収容部とともに装置本体4から取り外し可能なカセット5に備えられているためである。
【0008】
また、前記ペイアウトスライド8には、硬貨収容部の複数のコインチューブ6に対応して、複数のコインチューブ6の各最下面に収容された硬貨を一枚だけ収容する複数の硬貨収容孔8aが形成されている。また、この硬貨収容孔8aの下方にはカセット5の底板7が配設されており図7(a)に示す待機状態において、この硬貨収容孔8aに収容された硬貨を支持している。
【0009】
一方、前記ペイアウトリンク9には、先端がそのペイアウトスライド8の各硬貨収容孔8aの下方に望み、各硬貨収容孔8aに一枚ずつ収容された硬貨の払出しと非払出しとを切り替えるためのチェンジスライド11が、各硬貨収容孔8aに対応して出没自在に嵌挿している。このチェンジスライド11は、ペイアウトリンク9に連動して移動するものであるが、チェンジスライド11の移動が規制されるとペイアウトリンク9と連動しなくなる。
【0010】
この各チェンジスライド11の後部には、それぞれ、駆動手段により上下に移動するチェンジレバー12が配設されている。このチェンジレバー12は、チェンジレバー用ソレノイド13のプランジャ先端に取り付けられており、このチェンジレバー用ソレノイド13によりチェンジレバー12の駆動手段が構成されている。チェンジレバー用ソレノイド13のプランジャは、復帰ばねによって突出方向に付勢されており、チェンジレバー用ソレノイド13への通電により、突出方向とは反対の方向へ吸引され、チェンジレバー用ソレノイド13への通電を停止すると、復帰ばねによる付勢により元の位置に戻ることになる。そのため、チェンジレバー用ソレノイド13のプランジャ先端に取り付けられているチェンジレバー12は、チェンジレバー用ソレノイド13への通電を停止している時は、復帰ばねの付勢力によって下方の払出阻止位置をとり、チェンジスライド11の後端と係合してチェンジスライド11の移動を規制し、チェンジレバー用ソレノイド13への通電を行っている時は、上に移動して払出許容位置をとり、その結果、チェンジスライド11の後端との係合が解除され、チェンジスライド11の移動を規制しなくなる。このチェンジスライド11、チェンジレバー12及びチェンジレバー用ソレノイド13からなる機構は、各硬貨収容孔8aに一対一に対応して設けられており、それぞれ個別に動作する。
【0011】
前記チェンジスライド11は、対応するチェンジレバー12と係合した状態においては、図9(b)に示すように、前記ペイアウトリンク9及びペイアウトスライド8の往復移動に連動せずに待機状態の位置を維持し、払出状態において、対応する硬貨収容孔8aの下方を閉鎖する。また、前記チェンジスライド11は、対応するチェンジレバー12との係合が解除された状態においては、図9(a)に示すように、前記ペイアウトリンク9及びペイアウトスライド8の往復移動に連動して往復移動し、払出状態において、対応する硬貨収容孔8aの下方を解放する。
【0012】
ここで、例として、硬貨払出装置が一つの硬貨収容孔8aに対応するコインチューブ6からのみ硬貨を払い出す場合について説明する。
【0013】
まず、払い出される硬貨の硬貨収容孔8aに対応するチェンジレバー用ソレノイド13のみに通電を行ってそのチェンジレバー12を上に移動させる(切替動作)。これにより、そのチェンジレバー12とチェンジスライド11との係合が解除され、ペイアウトスライド8の往復移動に連動して払い出される硬貨の硬貨収容孔8aに対応するチェンジスライド11が往復移動することが可能となる。他方、払い出されない硬貨の硬貨収容孔に対応するチェンジレバー用ソレノイド13へは通電が行われないため、そのチェンジレバー12とチェンジスライド11との係合は解除されず、払い出されない硬貨の硬貨収容孔8aに対応するチェンジスライド11の移動は規制される。
【0014】
次に、図示しないモータ等の駆動手段の駆動によりペイアウトカム10が矢印A方向に沿って一回転して、ペイアウトリンク9及びペイアウトスライド8は矢印B方向に沿って往復運動する。すると、ペイアウトスライド8の各硬貨収容孔8aに収容された各硬貨も、ペイアウトスライド8とともにスライドして、待機状態において硬貨収容孔8aに収容された硬貨を支持する底板7から外れた位置へ移動する(取出動作)。このとき、払い出される硬貨の硬貨収容孔8aに対応するチェンジスライド11はペイアウトリンク9及びペイアウトスライド8の移動に連動して後方へスライド移動しているため、その硬貨収容孔8aの下方が解放され、その硬貨収容孔8aに収容された硬貨が落下して払い出される(排出動作)。他方、払い出されない硬貨の硬貨収容孔8aに対応するチェンジスライド11はチェンジレバー12によりその移動が規制されているため、ペイアウトリンク9及びペイアウトスライド8が移動しても、待機状態の位置を維持する。そのため、ペイアウトリンク9及びペイアウトスライド8が移動したときに硬貨収容孔8aの下方にチェンジスライド11の先端が出没することになり、それにより硬貨収容孔8aに収容された硬貨が支持され、その硬貨は払い出されない。
【0015】
また、図8(b)に示すように、硬貨払出装置3においては、硬貨払出装置3内の硬貨を売上として回収する際に硬貨を取り出しやすくするために、コインチューブ6を含む硬貨収容部が硬貨払出装置本体4から取り外し可能なカセット5になっているのが通常である。この取り外し可能なカセット5は、通常、コインチューブ6、底板7及びペイアウトスライド8を含んでいる。そして、このカセット5を硬貨払出装置本体4から取り外す際には、ペイアウトスライド8とペイアウトリンク9とのピン9bを介した係合が解かれる。逆に、このカセット5を硬貨払出装置本体4に取り付ける際には、カセット5に含まれるペイアウトスライド8と硬貨払出装置本体4に含まれるペイアウトリンク9とをピン9bを介して係合させる。
【0016】
以上で説明した従来の硬貨払出装置においては、原理上、1回の払出動作において同時に全てのコインチューブ6から硬貨を払い出すことが可能である。しかし、実際は、自動販売機等から硬貨処理装置に供給される電流に制限があるため、4個以上のチェンジレバー用ソレノイド13への通電を行いながら、払出動作のためにペイアウトカム10及びペイアウトスライド8の駆動手段を駆動すると、自動販売機等から供給される電流の制限を超えてしまうことになる。例えば、自動販売機等から供給される電流の制限が1500mA、チェンジレバー用ソレノイド13の駆動時の消費電流が150mA、払出動作時にペイアウトカム10及びペイアウトスライド8を駆動するモータの駆動時の消費電流が1000mAである場合、1回の払出動作で4本のコインチューブから硬貨を払い出そうとすると、払出動作時の消費電流が150mA×4+1000mA=1600mAとなり、自動販売機等から供給される電流の制限である1500mAを超えてしまう。そのため、従来の硬貨払出装置においては、通常、1回の払出動作において最大3本までのコインチューブ6から硬貨を払い出す制御となっている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平07−262426号公報
【特許文献2】特開平11−161825号公報
【特許文献3】特許第3054908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
硬貨払出装置においては、釣銭の払出処理を可能な限り短時間で行いたいという一般的な要求が存在する。そして、釣銭の払出処理を短時間で行うためには、払出動作自体を高速化する方法や1回の払出動作における硬貨の払出枚数を多くする方法が考えられる。しかし、払出動作自体を高速化する方法では、硬貨の詰まりなどの弊害が生じやすく、著しい高速化は困難である。また、1回の払出動作における硬貨の払出枚数を多くする方法は、前述のとおり、自動販売機等から供給される電流の制限により、1回の払出動作において払い出しに用いることのできるコインチューブの数が限定されるため、1回の払出動作における払出枚数にも限界があるという問題がある。
【0019】
本発明は、上記の問題点を解決することを課題とする。具体的には、本発明は、1回の払出動作において多数のコインチューブから硬貨を払い出すことができる硬貨払出装置を提供すること、または、1回の払出動作において複数のコインチューブから硬貨を払い出したときの最大消費電流を低く抑える硬貨払出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、請求項1の硬貨処理装置は、硬貨を収納する複数のコインチューブと、前記複数のコインチューブの下方に設けられた底板と、前記複数のコインチューブから硬貨を取り出す取出動作と、取り出した硬貨を前記底板より外れた位置から排出させる排出動作と、を行う硬貨取出排出部と、前記各コインチューブに対応して設けられたチェンジ部であって、前記各チェンジ部は、チェンジレバー用ソレノイドへ通電することにより復帰ばねの付勢力に抗してチェンジレバーを払出阻止位置から払出許容位置へ切り替える切替動作を行い、この後前記チェンジレバー用ソレノイドへの非通電により前記チェンジレバーを前記復帰ばねの付勢力で前記払出許容位置から前記払出阻止位置へ復帰させる復帰動作を行い、前記チェンジレバーの前記払出阻止位置においては前記硬貨取出排出部が前記排出動作を行うのを阻止し、前記払出許容位置においては前記硬貨取出排出部が前記排出動作を行うのを許容する、チェンジ部と、前記チェンジレバーの状態をキープするためのキープ手段であって、前記キープ手段は、待機モードと復帰阻止モードとを選択的にとることができ、前記待機モードにおいては、前記チェンジ部の前記チェンジレバーが前記切替動作と前記復帰動作を行うのを許容し、前記復帰阻止モードにおいては、前記チェンジ部の前記チェンジレバーが前記復帰動作を行うのを阻止する、キープ手段とを備え、前記硬貨取出排出部が、前記キープ手段が前記復帰阻止モードをとり、且つ、前記チェンジレバー用ソレノイドへの非通電状態において、前記取出動作と前記排出動作とを行うものとして構成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項2の硬貨処理装置は、請求項1に記載の硬貨払出装置であって、前記キープ手段は、複数のキープ用突起とキープレバーとを備え、前記キープ用突起は前記チェンジレバーに一体的に設けられたものとして構成され、前記キープレバーは、本体と、前記本体に設けられた複数の阻止体と、を有するものとして構成されており、前記阻止体は、前記本体から立ち上がる支持部と、前記支持部の先端部分を前記キープレバーの移動方向に沿って屈曲した阻止部と、を有するものとして構成され、前記支持部と前記阻止部と前記本体とによって囲まれた、前記払出阻止位置にある前記チェンジレバーの前記キープ用突起を挿入状態に受け入れ可能な、逃げ空間が形成されており、前記キープレバーは待機位置と復帰阻止位置に切り替え可能に設けられており、前記キープレバーが前記待機位置にある場合に前記待機モードとなり、前記キープレバーが前記復帰阻止位置にある場合に前記復帰阻止モードになり、前記キープレバーを前記待機位置から前記復帰阻止位置へ切り替えることにより、前記払出阻止位置にある前記チェンジレバーの前記キープ用突起を前記逃げ空間に挿入状態に受け入れさせることにより前記キープレバーの動きを許容するとともに、前記払出許容位置にある前記チェンジレバーの前記キープ用突起を前記阻止部の外側に位置させて前記キープ用突起と前記阻止部とを前記チェンジレバーの動作方向に沿って対向させ、この後前記チェンジレバー用ソレノイドへの通電停止により前記払出許容位置にある前記チェンジレバーが前記払出阻止位置へ切り替わる前記復帰動作をしようとしても前記キープ用突起を前記阻止部で受け止めて前記チェンジレバーが前記復帰動作をするのを阻止するようにしたことを特徴とする。
【0022】
請求項3の硬貨処理装置は、請求項2に記載の硬貨払出装置であって、前記キープレバーを前記待機位置と前記復帰阻止位置の一方から他方へ切り替えるためのキープレバー用ソレノイドを備え、前記キープレバーは、前記キープレバー用ソレノイドへの非通電状態において前記待機位置をとり、通電することにより復帰ばねの付勢力に抗して前記復帰阻止位置に切り替えられ、この後通電を停止することにより前記復帰ばねの付勢力により前記待機位置に復帰するものとして構成され、前記キープレバーを前記復帰阻止位置から前記待機位置へ復帰させるために前記キープレバー用ソレノイドへの通電の停止する際に、前記キープレバー用ソレノイドへの通電の停止と同時に又は通電の停止の直後に、前記払出許容位置にある前記チェンジレバーを駆動する前記チェンジレバー用ソレノイドへの瞬間的な通電を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、1回の払出動作において多数のコインチューブから硬貨を払い出したときの最大消費電流を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態の硬貨払出装置の要部の背面側斜視図である。
図2】本発明の実施形態の硬貨払出装置の要部の正面側斜視図である。
図3】キープレバー用ソレノイド、キープレバー、リンク部材及び補助部材を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態の硬貨払出装置において、キープレバーがチェンジレバーをキープしていない状態における要部の背面図である。
図5】本発明の実施形態の硬貨払出装置において、キープレバーがチェンジレバーをキープしている状態における要部の背面図である。
図6】本発明の実施形態の硬貨払出装置の動作を説明するための概略図である。
図7】従来の硬貨処理装置の概略図である。
図8】従来の硬貨払出装置の(a)待機状態及び(b)カセット取り外し状態における要部断面図である。
図9】従来の硬貨払出装置の払出状態における要部断面図である。
図10】従来の硬貨払出装置の概念斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の1つを図面に基づいて説明する。
【0026】
まずは、図1及び図2を用いて、本発明の実施形態の一つの構成を説明する。図1は、本発明の実施形態の硬貨払出装置の要部の背面側斜視図であり、図2は、本発明の実施形態の硬貨払出装置の要部の正面側斜視図である。この実施形態の硬貨払出装置の構造は、以下で説明する部分を除いて、前述した従来の硬貨払出装置の構造と同様である。よって、この実施形態における構成部材のうち前述の従来の硬貨払出装置における構成部材と同等の部材には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0027】
この実施形態の硬貨払出装置は、従来の硬貨払出装置の構成に加えて、キープレバー15と、キープレバー用ソレノイド14と、リンク部材16と、各チェンジレバー12に一体的に設けられたキープ用突起12aとを有するキープ手段を備えている。キープレバー15は、硬貨払出動作時においてチェンジレバー12の状態をキープするためのものであり、キープレバー用ソレノイド14は、キープレバー15を駆動するためのものであり、リンク部材16は、キープレバー用ソレノイド14の駆動力をキープレバー15へ伝えるためのものであり、キープ用突起12aは、キープレバー15がチェンジレバー12の状態をキープするために用いられるものである。
【0028】
キープ用突起12aは、各チェンジレバー12の背面側の上部付近に、チェンジレバー12に一体的に設けられている。
【0029】
キープレバー15は、長尺状であり、全てのチェンジレバー12の背面側にまたがって、左右に移動可能な状態で装置本体に取り付けられている。キープレバー15は、長尺状の本体と、本体から立ち上がる複数の阻止体15aとを有するものとして構成されている。この阻止体15aは、チェンジレバー12のキープ用突起12aに対応する位置に、本体から立ち上がる支持部と、この支持部の先端部分からキープレバー15の移動方向に沿って屈曲した阻止部とを有するものとして構成され、支持部と阻止部とキープレバー本体とによって囲まれたキープ用突起12aのための逃げ空間が形成されている。また、このキープレバー15には、キープレバー用ソレノイドに対応する位置の近傍に、リンク部材16と係合するための孔15bが設けられている(図3参照)。この孔15bは、上下方向のサイズが左右方向のサイズより大きくなっている。
【0030】
キープレバー用ソレノイド14は、一列に並んだチェンジレバー用ソレノイド13の間に、プランジャが上下に移動するように取り付けられている。このキープレバー用ソレノイド14は、チェンジレバー用ソレノイド13と同様のものである。つまり、キープレバー用ソレノイド14のプランジャは、復帰ばねによって突出方向に付勢されており、キープレバー用ソレノイド14への通電を行うと、突出方向とは反対の方向へ吸引され、チェンジレバー用ソレノイド13への通電を停止すると、復帰ばねによる付勢力により元の位置に戻ることになる。このキープレバー用ソレノイド14のプランジャには補助部材17が取り付けられており、この補助部材17には、リンク部材16と係合するための溝17aが設けられている(図3参照)。この溝17aは、左右方向のサイズが上下方向のサイズより大きくなっている。
【0031】
図3は、キープレバー用ソレノイド14、キープレバー15、リンク部材16及び補助部材17を示すものであり、(a)は背面側斜視図であり、(b)は正面側斜視図である。リンク部材16は、キープレバー用ソレノイド14のプランジャの垂直運動をキープレバー15の水平運動に変換するためのリンク手段の一部を構成する部材である。このリンク部材16は、略扇形であり、略扇形の要部16aを支点とする回動が可能な状態で装置本体に取り付けられている。この略扇形のリンク部材16には、円弧部の一方の端部付近に、キープレバー用ソレノイド14の補助部材17に設けられた溝17aに係合するための突起16bが設けられており、円弧部の他方の端部付近に、キープレバー15に設けられた孔15bに係合するための突起16cが設けられている。
【0032】
キープレバー用ソレノイド14への通電が行われると、キープレバー用ソレノイド14のプランジャ及び補助部材17が上昇し、補助部材17に設けられた溝17aに係合しているリンク部材16の突起16bに上方向の力が働く。この突起16bに働く上方向の力により、リンク部材16が要部16aを支点に背面側からみて時計回りに回動し、キープレバー15に設けられた孔15bに係合している突起が左方向へ移動する。この突起が左方向へ移動すると、キープレバー15に設けられた孔15bを介して、キープレバー15に左方向の力が働いて、キープレバー15が左に移動する。
【0033】
キープレバー用ソレノイド14への通電が停止されると、復帰ばねの付勢力によりプランジャ及び補助部材17が元の下方の位置に復帰し、補助部材17に設けられた溝17aに係合しているリンク部材16の突起16bに下方向の力が働く。この突起16bに働く下方向の力により、リンク部材16が要部16aを支点に背面側からみて反時計回りに回動し、キープレバー15に設けられた孔15bに係合している突起16cが右方向へ移動する。この突起16cが右方向に移動すると、キープレバー15に設けられた孔15bを介して、キープレバー15に右方向の力が働いて、キープレバー15が右に移動して元の位置に戻る。キープレバー用ソレノイド14のプランジャが復帰ばねによって付勢されているため、キープレバー15も右方向に付勢されることになる。
【0034】
このように、キープレバー15は、キープレバー用ソレノイド14への通電が行われると、左に移動した状態(復帰阻止位置)となり、キープレバー用ソレノイド14への通電が停止されると元の位置(待機位置)に復帰するようになっている。
【0035】
次に、図4図5及び図6を用いて、本発明の実施形態の硬貨払出装置の硬貨払出時における動作を説明する。図4は、本発明の実施形態の硬貨払出装置において、キープレバー15がチェンジレバー12をキープしていない状態における要部の背面図であり、図5は、本発明の実施形態の硬貨払出装置において、キープレバー15がチェンジレバー12をキープしている状態における要部の背面図であり、図6は、本発明の実施形態の硬貨払出装置の動作を説明するための概略図である。図6では、キープレバー15とキープ用突起12aのみを図示している。図4は、図6(a)に対応し、図5は、図6(d)に対応している。
【0036】
チェンジレバー用ソレノイド13及びキープレバー用ソレノイド14への通電が停止されている待機状態においては、図6(a)に示すように、キープレバー15は待機位置をとり、チェンジレバーは払出阻止位置をとっている。キープレバー15が待機位置をとっている状態では、キープレバー15の阻止体15aが、チェンジレバー12のキープ用突起12aの可動範囲から退避した位置に存在している。そのため、チェンジレバー12は、キープレバー15に規制されることなく動くことが可能となっている。
【0037】
硬貨の払い出しを行う際は、待機状態から、硬貨の払い出しを行うコインチューブ6に対応したチェンジレバー用ソレノイド13への通電を行う。チェンジレバー用ソレノイド13への通電を行うと、図6(b)に示すように、通電を行ったチェンジレバー用ソレノイド13に対応したチェンジレバー12が上に移動(切替動作)して払出許容位置をとる。このとき、チェンジレバー12に一体的に設けられているキープ用突起12aも上に移動する。硬貨の払い出しが行われないコインチューブに対応したチェンジレバー12は、チェンジレバー用ソレノイドへの通電が行われないため、払出阻止位置に留まる。図6(b)の例では、右端を除く4つのチェンジレバー12が上に移動して払出許容位置をとり、右端のチェンジレバー12が払出阻止位置に留まっている。
【0038】
その後、キープレバー用ソレノイド14への通電が行われ、図6(c)に示すように、キープレバーが左に移動し復帰阻止位置をとるようになる。キープレバー15が復帰阻止位置をとると、払出許容位置をとっているチェンジレバー12については、阻止体15aの阻止部がキープ用突起12aの下方に潜り込み、キープレバー15がチェンジレバー12の下方への移動(復帰動作)を規制している状態となる。このキープレバー15がチェンジレバー12の下方への移動(復帰動作)を規制している状態においては、キープレバー15の阻止体15aの阻止部が、チェンジレバー12のキープ用突起12aの移動を阻止する場所に位置することになる。つまり、上に移動して払出許容位置をとっているチェンジレバー12については、阻止体15aの阻止部の天面がチェンジレバー12のキープ用突起12aの底面に対向するように位置することになり、チェンジレバー12の下方への移動(復帰動作)が規制されることになる。他方、上に移動せずに払出阻止位置に留まっているチェンジレバー12については、キープレバー15が復帰阻止位置をとると、チェンジレバー12のキープ用突起12aがキープレバー15の本体と阻止体15aとによって囲まれた逃げ空間に挿入状態に受け入れられるようになる。このように、払出阻止位置をとるチェンジレバー12のキープ用突起12aが逃げ空間に受け入れられるため、キープレバー15は払出阻止位置をとるチェンジレバー12の影響を受けることなく復帰阻止位置へ移動することが可能となっている。
【0039】
このようにキープレバー15によってチェンジレバー12の下方への移動(復帰動作)が規制された状態になった後、チェンジレバー用ソレノイド13への通電が停止される。チェンジレバー用ソレノイド13への通電が停止されると、図6(d)に示すように、上に移動して払出許容位置をとっているチェンジレバー12が復帰ばねの付勢力により元の払出阻止位置へ復帰しようとするが、キープ用突起12aの底面がキープレバー15の阻止体15aの阻止部の天面で受け止められるため、チェンジレバー12は、払出許容位置にキープされることになる。
【0040】
その後、ペイアウトカム10及びペイアウトスライド8の駆動手段であるモータ等が駆動され、硬貨の払い出しが行われる。ペイアウトカム10及びペイアウトスライド8の駆動手段であるモータ等が駆動しているときは、全てのチェンジレバー用ソレノイド13への通電が停止された状態にあり、ペイアウトカム10及びペイアウトスライド8の駆動手段であるモータ等と同時に駆動しているのはキープレバー用ソレノイド14のみとなる。そして、硬貨の払い出しが行われた後、キープレバー用ソレノイド14への通電が停止され、キープレバー15は、復帰ばねの付勢力によって右に移動して元の待機位置に復帰することになる。そのため、キープレバー15によるチェンジレバー12の下方向への移動(復帰動作)の規制も解除され、払出許容位置をとっていたチェンジレバー12が払出阻止位置に復帰することになる。
【0041】
この実施形態においては、キープレバー用ソレノイド14の復帰ばねによってキープレバー15が待機位置に付勢されているため、キープレバー用ソレノイド14が故障した場合においても、誤ってチェンジレバー12の状態をキープしてしまうことによって意図しない硬貨の払い出しがなされるのを防ぐことが可能である。
【0042】
なお、この実施形態においては、チェンジレバー用ソレノイド13のプランジャが復帰ばねによって突出方向に付勢されていることから、払出許容位置をとっているチェンジレバー12をキープレバー15がキープしている状態では、キープレバー15の阻止体15aの天面がチェンジレバー12のキープ用突起12aの底面により抑えられている状態になっている。そのため、キープレバー用ソレノイド14への通電が停止された際、キープレバー15の待機位置への復帰が妨げられるおそれがある。これに対しては、キープレバー15を復帰阻止位置から待機位置へ復帰させるためにキープレバー用ソレノイド14への通電を停止する際に、キープレバー用ソレノイド14への通電の停止と同時に又は通電の停止の直後に、払出許容位置をとっているチェンジレバー12を駆動するチェンジレバー用ソレノイド13への瞬間的な通電を行って、チェンジレバー12を引き上げる制御を行うことによって対応することが可能である。この瞬間的な通電を行う時間は、復帰阻止位置をとるキープレバー15が待機位置へ復帰するために必要な時間であることが好ましい。
【0043】
また、一般的な硬貨処理装置においては、電源がOFFになるとメモリがリセットされるため、再び電源をONしたときに自己の処理状態(待機中であったのか、又は払出処理中であったのか)が分からなくなる。そのため、一般的な硬貨処理装置は、電源がONになったときは初期動作を行って待機状態にする処理を行っている。この初期動作において、硬貨払出装置の部分では、チェンジレバー用ソレノイド13を駆動せずに払出動作を行うことによって待機状態に戻している。しかし、この実施形態の硬貨払出装置においては、電源がOFFになると、払出許容位置をとっているチェンジレバー12の情報が失われてしまうため、払出許容位置をとっているチェンジレバー12のみを引き上げる制御を行うことができない。そのため、全てのチェンジレバー12を引き上げる制御を行うことになるが、払出阻止位置をとっているチェンジレバー12を引き上げると、キープ用突起12aの天面がキープレバー15の阻止体15aの阻止部の底面にあたってキープレバー15の待機位置への復帰を妨げるおそれがある。この問題に対しては、キープレバー15の阻止体15aの阻止部の底面に傾斜を設けて、キープ用突起12aが上昇して阻止部の底面に接触したときに、キープレバー15が待機位置へ移動する方向に力が働くようにすることによって対応することが可能である。加えて、チェンジレバー12の瞬間的な引き上げ制御を短時間に繰り返して、衝撃及び振動によってキープレバー15が復帰しやすいようにすることも可能である。
【0044】
上述の実施形態の硬貨払出装置によれば、1回の払出動作において多数のコインチューブから硬貨を払い出したときの最大消費電流を低く抑えることが可能である。例えば、自動販売機等から供給される電流の制限が1500mA、チェンジレバー用ソレノイド13の駆動時の消費電流が150mA、キープレバー用ソレノイド14の駆動時の消費電流が200mA、払出動作時にペイアウトカム10及びペイアウトスライド8を駆動するモータの駆動時の消費電流が1000mAである場合、1回の払出動作で5本のコインチューブから硬貨を払い出したとしても、払出動作時の最大消費電流は200mA+1000mA=1200mAに抑えることが可能となる。また、1回の払出動作において多数のコインチューブから硬貨を払い出したときの最大消費電流を低く抑えることが可能であるため、1回の払出動作において多数のコインチューブから硬貨を払い出すことが可能になる。また、払出動作時にチェンジレバー用ソレノイドへの通電を行わないため、消費電力を抑えることが可能である。
【0045】
以上、本発明の実施形態の1つについて説明したが、本発明の硬貨処理装置はこの実施形態に限定されるものではない。
【0046】
本発明の硬貨処理装置におけるキープ手段は、硬貨払出動作時にチェンジレバーの状態をキープするものであればよく、上述の実施形態に限定されない。
【0047】
上述の実施形態では、キープレバー用ソレノイド14は一列に並んだチェンジレバー用ソレノイド13の間に取り付けられているが、キープレバー用ソレノイド14を横向きに配置し、リンク部材16を用いずにキープレバー15を直接駆動するようにしてもよい。ただし、上述の実施形態のように、キープレバー用ソレノイド14を一列に並んだチェンジレバー用ソレノイド13の間に取り付けて、リンク部材16を介してキープレバー15を駆動するような構成をとることにより、スペースの有効活用を図ることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 硬貨処理装置
2 硬貨選別装置
3 硬貨収納装置
4 硬貨払出装置
5 コインチューブ本体
6 コインチューブ
7 カセット底板
8 ペイアウトスライド
9 ペイアウトリンク
10 ペイアウトカム
11 チェンジスライド
12 チェンジレバー
12a 阻止体
13 チェンジレバー用ソレノイド
14 キープレバー用ソレノイド
15 キープレバー
15a キープ用突起
16 リンク部材
16a 要部
17 補助部材
C 硬貨
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10