(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
包装袋の口部に取り付けられ、当該口部を開口させた状態で保持可能な形状保持テープの製造方法であって、高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対して無機充填物0.1〜40重量部を添加した樹脂組成物を押出成形し、延伸工程を介在させることなく、断面積が1.2mm2以上及び3.6mm2以下となる形状保持テープを製造する
ことを特徴とする形状保持テープの製造方法。
凸条の雄部と凹条の雌部とが相互に咬合する咬合部を有し、高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対して無機充填物0.1〜40重量部を添加した樹脂組成物からなる断面積が1.2mm2以上及び3.6mm2以下となる形状保持部がテープ長さ方向に沿って設けられたジッパーテープの製造方法であって、
前記咬合部を形成する樹脂組成物と、前記形状保持部を形成する樹脂組成物とを共押出成形し、延伸工程を介在させることなく、前記咬合部とともに前記形状保持部を製造する
ことを特徴とするジッパーテープの製造方法。
凸条の雄部と凹条の雌部とが相互に咬合する咬合部を有し、前記雄部、前記雄部の延設される帯状基部、前記雌部、及び前記雌部の延設される帯状基部のうちの少なくともいずれか一つが、高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対して無機充填物0.1〜40重量部を添加した樹脂組成物からなる断面積が1.2mm2以上及び3.6mm2以下となる部分を有するジッパーテープの製造方法であって、
前記咬合部を形成する樹脂組成物と、前記帯状基部を形成する樹脂組成物とを押出成形し、延伸工程を介在させることなく、前記咬合部とともに前記帯状基部を製造する
ことを特徴とするジッパーテープの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る形状保持テープ1、ジッパーテープ2(2A,2B,2C)、これらの製造方法、及びこれらのテープ1,2を備える袋体100について、
図1〜
図6を参照しながら説明する。
【0018】
[形状保持テープ]
本発明の一実施形態に係る形状保持テープ1は、
図1に示すように、矩形状(テープ幅W×テープ厚さT)の断面形状を有する帯状(テープ長さL)に形成された樹脂製のテープである。
【0019】
具体的には、この形状保持テープは、高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対して無機充填物0.1〜40重量部(0.1重量部以上であって40重量部以下)を添加した樹脂組成物からなり、この無機充填物の添加により、テープ自体に剛性と形状保持性が付与されるようになっている。
高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対して無機充填物が0.1重量部未満では、形状保持テープとしての形状保持性が十分に発揮されず、また、高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対して無機充填物が40重量部を超えると、流動性が悪くなり、粘度が低下して脆くなるため、形状保持テープの製造に係る押出成形が困難になる。
なお、高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対する無機充填物の配合量は、3〜30重量部が好ましい。
この無機充填物は、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、造核剤(結晶促進剤)からなる群の中から、一又は二以上を選択することができる。
【0020】
上記群の中で、添加される無機充填物としては、タルクが好ましい。
さらに、タルクに加えて、無機系の造核剤を添加すると、形状保持性の性能が向上する。ここで、無機系の造核剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン用の造核剤を用いることが好ましい。
【0021】
このような無機充填物を、高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対して0.1〜40重量部を添加することにより、従来の形状保持テープの製造工程のように延伸工程を介在させることなく、高密度ポリエチレン樹脂に剛性を付与しつつ弾性を喪失させ、形状保持を維持し易くすることができる。
これにより、形状保持テープ1は、外力を受けて変形可能、かつ、その変形した形状を保持可能な形状保持部材としての機能を発揮することができ、これを樹脂フィルム等に取り付けることにより、樹脂フィルムを所定の形状で保持することができる。
【0022】
なお、形状保持テープ1は、その形状保持性を効果的に発揮するために、断面積を1.4mm
2以上、好ましくは2.4mm
2以上とすることが望ましい。
また、その断面形状は、矩形状に限らず、円形、ひし形、長方形、台形、正方形、半円等形など、用途及び使用状況に応じて適宜選択できる。
【0023】
また、樹脂フィルムの形状を保持させるために、本実施形態に係る形状保持テープ1を使用するような場合には、樹脂フィルムに形状保持テープ1を融着させることにより、両者を接合させることになる。この場合、融着面におけるこれらの接着力を向上させる必要がある。
このようなときには、樹脂フィルムと良好な相溶性を有する樹脂層(例えば、樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂ならば、同質のポリオレフィン系樹脂)を、形状保持テープ1の少なくも一方の面に積層させることもできる。
【0024】
また、このような機能を発揮する形状保持テープ1は、上記の重量比率を有する樹脂組成物を押出ダイを介して帯状に押し出す、押出成形工程によって製造することができる。
このように、高密度ポリエチレン樹脂に無機充填物を添加するだけで、形状保持テープ1に剛性及び形状保持性を付与することができることから、その製造工程において、従来の形状保持テープの製造工程のように延伸工程を介在させることなく、形状保持テープ1を製造することができる。
これにより、従来の方法で製造する場合と比べて、製造効率の向上と製造コストの低減が図られる。
【0025】
なお、押出成形は、公知の単層または多層の異形押し出し成形法の他、融点の高い樹脂層に融点の低い樹脂層を押し出しコートして積層する方法、押し出しラミネート法またはドライラミネート法で積層する方法などを採用することができる。
【0026】
[ジッパーテープ]
本発明の一実施形態に係るジッパーテープ2(2A,2B,2C)は、
図2〜
図4に示すように、雄側テープ10と雌側テープ20とからなる一対のジッパーテープ長さL方向に沿って、上述した形状保持テープ1と同一の樹脂組成物からなる形状保持部(11b,21b)が一体に設けられている。
【0027】
具体的には、ジッパーテープ2は、例えば、それぞれ低密度ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂からなり、雄部12が雄側帯状基部11aに一体に延設された雄側テープ10と、雌部22が雌側帯状基部21aに一体に延設された雌側テープ20で構成されている。
雄部12は、略スペード型の断面形状を有し、一方の雌部22は、凹状の断面形状を有しており、雌部22と雄部12とが相互に咬合する咬合部として構成されている。
【0028】
また、雄側帯状基部及び雌側帯状基部11a,21aには、その幅方向端部に、それぞれ形状保持部11b,21bが融着されている。
【0029】
このような構成により、本実施形態に係るジッパーテープ2は、凸条及び凹条に延設された雄部12と雌部22を備えることから、テープ自体を屈曲させても元の直線状態に戻り易いという性質を有しているものの、形状保持部11b,21bが元の直線状態への復元を阻害するように作用する。
【0030】
すなわち、形状保持部11b,21bは、上記の形状保持テープ1と同様、剛性が付与されつつ弾性が喪失され、形状保持性を維持し易く構成されていることから、ジッパーテープ2自体に外力を加えて変形(屈曲)させると、雄側帯状基部及び雌側帯状基部11a,21aは復元しようとするものの、形状保持部11b,21bが、その復元を妨げるように作用し、変形した形状を保持することができるのである。
このような形状保持性を発揮するジッパーテープ2を包装袋の口部に沿って取り付けることで、口部を開閉自在に封止するという、ジッパーテープ本来の機能を発揮しつつ、口部を開口状態で保持することができる。
【0031】
また、形状保持部11b,21bは、
図2、
図3の各図に示すように、テープ長さL方向に沿って、片側又は両側の任意の位置に設けることができる。
この場合、雄側帯状基部及び雌側帯状基部11a,21aと形状保持部11b,21bのテープ幅W及びテープ厚さTが同じであれば、形状保持部11b,21bを両側に設けたジッパーテープ2Cの方が、形状保持部11b,21bを片側に設けたジッパーテープ2A,2Bよりも、変形した形状を安定して保持することができる。すなわち、形状保持部11b,21bを複数列設させた方が形状保持性を向上させることができる。
また、形状保持部11b,21bは、雄側帯状基部及び雌側帯状基部11a,21aの片側又は両側に設けるのみならず、雌側帯状基部及び雌側帯状基部11a,21aに積層又は内蔵(埋設)させてもよい。
さらに、形状保持部11b,21bは、雄側帯状基部及び雌側帯状基部11a,21aの両方に設けるのみならず、いずれか一方に設けるようにしてもよい。
【0032】
また、
図2(b)に示すジッパーテープ2Bのように、所定のプレス型等により、雄部12と雌部22の一部を打ち抜いた打ち抜き孔13,23や、形状保持部11b,21bの一部を打ち抜いた打ち抜き孔14,24を形成することもできる。
このような打ち抜き孔13,23,14,24を形成することにより、ジッパーテープ2Bを包装袋100に取り付ける際に、この打ち抜き孔13,23,14,24を包装袋100のサイドシール部100aに対応させて取り付けることで(
図4参照)、以下のような作用効果を発揮する。
【0033】
打ち抜き孔13,23,14,24を有しない通常のジッパーテープの場合、サイドシール部100aにおいて、雄部12と雌部22に対応する部分から内容物が漏出しないようにこれらを圧着するために、この部分を過剰な量の接着樹脂を用いて圧着しなければならず、さらに、過剰な接着樹脂が袋内へ流入するという弊害が生じていた。
そこで、本実施形態のように、打ち抜き孔13,23,14,24を包装袋100のサイドシール部100aに対応させて取り付けることで、接着樹脂量の減量化が図られ、しかも、接着樹脂の袋内への流入を防止することができる。
【0034】
また、形状保持テープ1に採用される前述の好ましい実施形態は、形状保持部11b,21bにもそのまま適用できる。
すなわち、添加される好ましい無機充填物(例えばタルクと造核剤)とその配合重量比率、好ましい断面積、相溶性を有する樹脂層の積層などは、すべて形状保持部11b,21bにも適用される。
【0035】
一方の雄側帯状基部及び雌側帯状基部11a,21aは、熱可塑性を有するポリオレフィン系の樹脂組成物が好ましく、特に、形状保持部11b,21bとの一体性と、口部の内周面との接着力を高めるために、これらと良好な相溶性を有する、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、又は高密度ポリエチレンが好ましい。
【0036】
また、このような構成からなるジッパーテープ2は、雄側テープ10(雄側帯状基部11aと雄部12からなる雄側咬合部の部分)及び雌側テープ20(雌側帯状基部21aと雌部22からなる雌側咬合部の部分)を構成する樹脂組成物と、形状保持部11b,21bを構成する樹脂組成物を同時に押し出して成形する、いわゆる共押出により成形することができる。
【0037】
このように、形状保持部11b,21bを形成するために、高密度ポリエチレン樹脂に無機充填物を添加した樹脂組成物を、雄側テープ10と雌側テープ20を形成する樹脂組成物とともに共押出するだけで、ジッパーテープ2に剛性及び形状保持性を付与することができることから、製造工程において、従来のように押出工程後に延伸工程を介在させることなく、形状保持性を有するジッパーテープ2を製造することができる。
これにより、従来の形状保持部材付ジッパーテープを製造する場合と比べて、製造効率の向上と製造コストの低減が図られる。
【0038】
なお、共押出には、公知の単層または多層の異形押し出し成形法の他、融点の高い樹脂層に融点の低い樹脂層を押し出しコートして積層する方法、押し出しラミネート法またはドライラミネート法で積層する方法などを適宜組合せることもできる。
【0039】
[包装袋]
以上のような形状保持性を有する、形状保持テープ1、ジッパーテープ2(2A,2B,2C)を、樹脂フィルム等からなる包装袋の口部に取り付けられた場合の実施例について、以下に説明する。
本実施形態では、樹脂フィルム等として、ポリオレフィン系樹脂で製袋された包装袋に、形状保持テープ1、ジッパーテープ2(2A,2B,2C)のうちのジッパーテープ2Bを取り付けた例を示している。
【0040】
図4は、本実施形態に係るジッパーテープ付き包装袋100を模式的に示した正面図である。
この包装袋100は、ポリオレフィン系樹脂で形成されたフィルム101,101´の周縁(ハッチング部分)をヒートシールした、平パウチ形式の袋体として形成されている。
包装袋100には、内容物を取り出し可能に開口される口部110と、内容物が収納される収納部120とが形成され、本発明に係るジッパーテープ2Bが、口部110の内周面に熱プレス機等により熱接着(融着)されている。
【0041】
フィルム101,101´の少なくとも内層は、形状保持テープ1及びジッパーテープ2と相溶性(熱接着性)を有する、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンのほか、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンまたはその共重合体などで形成されている。
【0042】
口部110には、開封を容易にするための、切欠部112と、その内面に貼り付けられたカットテープ11(一点鎖線の部分)が設けられている。
ジッパーテープ2Bは、カットテープ111より下方側であって、両端のサイドシール部100aに渡って配置され、フィルム101とフィルム101´に、それぞれ雄側テープ10と雌側テープ20が取り付けられるとともに、雄部12と雌部22が咬合可能に対向配置されている。
【0043】
本実施形態では、ジッパーテープ2Bは、形状保持部11b,21bが収納部120側に位置するように取り付けられているが、口部110側に位置するように取り付けることもできる。
このようにジッパーテープ2Bを取り付けることにより、雄部12と雌部22の咬合又は咬合解除に伴い、口部110を開閉自在とすることができる。
【0044】
さらに、ジッパーテープ2Bは、前述したような形状保持性を有していることから、包装袋100の口部110を開口させた状態で保持することができる。
具体的には、切欠部112からカットテープ111に沿ってフィルム101,101´を切り裂くことにより、口部110を開口可能な状態にさせるととともに、口部110を摘んでフィルム101とフィルム101´同士を離間させる外力を加えることにより、雄部12と雌部22の咬合を解除させ、口部110を開口状態にすることができる。
このとき、形状保持部11b,21bが閉口状態への復元を妨げるように作用することから、口部110を開口させたままの状態で保持させることができ、内容物を円滑に取り出すことができる。
【0045】
[形状保持性の検証]
このような形状保持性、すなわち、包装袋100における口部110の形状保持性を確認すべく、以下のような検証を行った。
具体的には、
図5の各図に示すように、包装袋100を、圧縮試験機S(Sa,Sb)により、そのサイドシール部100a方向から、所定の外力(例えば、40Nを1分間)を加えて圧縮し(
図5(a)参照)、その除荷後、1分間そのまま放置した後の開口寸法Xを計測することにより(
図5(b)参照)、形状保持性の検証を行った。
また、押出成形時における成形性の検証を行った。
【0046】
なお、これらの検証は、高密度ポリエチレン100重量部に対して添加する無機充填物(タルク、造核剤)の重量比率と、形状保持部11b,21bそれぞれの断面積と、抜き打ち孔13,23,14,24の有無と、を変数パラメータとし、これらを複数パターン組合せた、ジッパーテープ2A(形状保持部に抜き打ち孔無し)と、ジッパーテープ2B(形状保持部に抜き打ち孔有り)とを作製するとともに、これらを取り付けた包装袋100を用いて検証を行った。
【0047】
形状保持性の評価方法は、開口寸法Xが、35mm以上を「A」、25mm以上を「B」、15mm以上を「C」、15mm未満を「D」として評価した。なお、開口寸法Xが大きいほど、形状保持性が良好であることを示す。
また、成形性の評価方法は、押出成形による成形が容易に行えた場合を「A」、押出成形による成形が困難だった場合を「B」、押出成形による成形が出来なかった場合を「C」として評価した。
そして、形状保持性及び成形性の評価の両方の検証結果に基づいて、製品価値が最良なものを「A」、製品価値が良好なものを「B」、製品価値が普通のものを「C」、製品価値が不可のものを「D」として評価した。
【0048】
なお、ジッパーテープ(雄側及び雌側咬合部の部分)を構成する樹脂組成物としては、東ソー社製低密度ポリエチレン[製品名TZ420A 密度913kg/m
3]を、形状保持部を構成する樹脂組成物のうちの高密度ポリエチレンとしては、日本ポリエチレン社製[製品名HJ362N 密度953kg/m
3]を、形状保持部を構成する樹脂組成物のうちの無機充填物(タルク)としては、出光ライオンコンポジット社製[製品名HMP460−1 比重1.55]を、形状保持部を構成する樹脂組成物のうちの無機充填物(造核剤)としては、理研ビタミン社製[製品名リケマスターCN−002]を用いて検証を行い、ジッパーテープ及び形状保持部のテープ幅(W1=7mm,W2=3mm:
図2(a)参照)、包装袋(原料PET)、口部110の幅(160mm)に関しては、全て同一条件で行った。
【0049】
このような検証方法による結果を
図6に示す。
実施例1〜20と比較例1は、形状保持部11b,21bの断面積が1.2mm
2以上であって、添加されるタルクの量が異なる例を示したもので、これらを比較すると、タルクが本発明の範囲(高密度ポリエチレン100重量部に対してタルク0.1重量部)の下限値以上添加された実施例1〜20では、15mm以上の開口寸法Xが確保されるものの、タルクが全く添加されない比較例1では、断面積が2.4mm
2以上であったとしても、十分な開口寸法Xが得られないことが分かる。
【0050】
また、実施例1〜11、15、17〜20は、形状保持部11b,21bの断面積が同じであって(2.4mm
2)、添加されるタルクの量が異なる実施例を示したもので、これらを比較すると、添加されるタルクの量が増加するに伴い、開口寸法Xも増大することが分かる。
特に、高密度ポリエチレン100重量部に対してタルク3重量部以上を添加した実施例7〜11では、実施例1〜6と比べて、開口寸法X(例えば、26〜34mm)がより大きいことが分かる。
【0051】
また、実施例10と実施例16は、添加されるタルクの量が同じであって(10重量部)、形状保持部11b,21bの断面積が1.4mm
2以上とそれ未満となる実施例を示したもので、これらを比較すると、断面積が1.4mm
2以上とした方が(実施例10)、開口寸法Xが大きいことが分かる。
さらに、実施例12〜16は、添加されるタルクの量が同じであって(10重量部)、形状保持部11b,21bの断面積が異なる実施例を示したもので、これらを比較すると、形状保持部11b,21bの断面積が増加するに伴って開口寸法Xも増大することが分かる。
【0052】
さらに、実施例10と実施例15は、添加されるタルクの量が同じ(10重量部)、かつ、形状保持部11b,21bの断面積も同じであって(2.4mm
2)、形状保持部11b,21bに抜き打ち孔の有無が異なる実施例を示したもので、これらを比較すると、抜き打ち孔がないよりも抜き打ち孔がある方が(実施例10)、開口寸法Xが大きいことが分かる。
【0053】
また、実施例1〜18と、実施例19、20は、添加される造核剤の有無が異なる実施例を示したもので、これらを比較すると、造核剤を添加しないよりも添加した方が(実施例19,20)、開口寸法Xが大きいことが分かる。
【0054】
さらに、実施例19と実施例20は、ともに造核剤が添加されるものの、添加される造核剤の量が異なる実施例を示したもので、これらを比較すると、造核剤の量が増加するに伴い、開口寸法Xも増大することが分かる。
【0055】
なお、比較例2では、熱融解させたときの流動性が悪化し粘度が低下することにより脆くなったため、通常の押出圧では成形不能となり、ジッパーテープの製造に至らなかった例を示したものである。これより、高密度ポリエチレン100重量部に対してタルク40重量部を超える添加は製造効率をかえって低下させ、好ましくないことが分かる。
【0056】
以上のような検証結果から、形状保持部11b,21bそれぞれの断面積が1.4mm
2以上であり、かつ、タルクが本発明範囲以上(0.1重量部以上)添加されると、ジッパーテープ2が口部110を開口状態で保持可能な形状保持性を発揮すること、添加されるタルクの増加に伴い形状保持性が向上すること、形状保持部の断面積の増大に伴い形状保持性が向上すること、形状保持部に抜き打ち孔がないよりもある方が形状保持性が向上すること、造核剤を添加しないよりも添加した方が形状保持性が向上すること、添加される造核剤の増加に伴い形状保持性が向上すること、タルクと造核剤を2種類添加すると形状保持性が向上することが分かった。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の形状保持テープ1、ジッパーテープ2(2A,2B,2C)は、延伸工程を介在させることなく、押出成形のみで製造可能であることから、従来の方法で製造する場合と比べて、製造効率の向上とコストの低減が図られる。
また、樹脂フィルムに、これらのテープ1,2を取り付けることにより、フィルムを所定の形状に保持することができ、特に、包装袋の口部に取り付けることにより、口部を開口させた状態で保持することができるので、包装袋内の内容物を円滑に取り出すことができる。
【0058】
以上、本発明について、実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0059】
例えば、上記実施形態の包装袋100では、平パウチ形式の袋体としたが、スタンディングパウチ形式の袋体を採用することもできる。
【0060】
また、上記実施形態の包装袋100では、内周面に取り付けたテープをジッパーテープ2Bとしたが、ジッパーテープ2A、2Cのいずれかを取り付けることもできる。
さらに、上記実施形態の包装袋100では、内周面に取り付けたテープをジッパーテープ2Bとしたが、形状保持テープ1を、ジッパーテープ2Bと同様な手段で(熱プレス機等により熱接着)、包装袋100の口部110内周面に取り付けることもできる。この場合、形状保持テープ1のみを取り付けてもよいし、形状保持テープ1の長さ方向に沿って通常のジッパーテープ(形状保持部無し)を併せて取り付けてもよい。
【0061】
また、ジッパーテープ2では、雄側テープ10と雌側テープ20の双方に形状保持部を形成したが、どちらか一方のみに形成してもよい。
【0062】
また、ジッパーテープ2では、雄部12、雌部22、雄側帯状基部11a、及び雌側帯状基部21aを、形状保持部11b,21bを構成する樹脂組成物と異なる樹脂組成物で構成したが、同じ樹脂組成物とすることもできる。
すなわち、ジッパーテープ2を、雄部12、雌部22、雄側帯状基部11a、及び雌側帯状基部21aのうちの少なくともいずれか一つが高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対して無機充填物0.1〜40重量部を添加した樹脂組成物からなる構成とすることもできる。
このような構成により、雄部12、雌部22、雄側帯状基部11a、及び雌側帯状基部21aのうちのいずれか一つが、形状保持部11b,21bそのものとして機能し、剛性が付与されつつ弾性が喪失され、形状保持性を維持し易く構成されることから、ジッパーテープ2自体に外力を加えて変形(屈曲)させると、その復元を妨げるように作用し、変形した形状を保持することができる。
なお、この場合には、形状保持部11b,21bを設けることもできるし、設けなくともよいが、形状保持部11b,21bに適用された、添加される好ましい無機充填物(例えばタルクと造核剤)とその配合重量比率、好ましい断面積、相溶性を有する樹脂層の積層などは、雄部12、雌部22、雄側帯状基部11a、及び雌側帯状基部21aにも適用可能である。
【0063】
また、上記のジッパーテープ2を製造するときに、咬合部(雄部12、雌部22)と、帯状基部(雄側帯状基部11a、雌側帯状基部21a)とが異なる樹脂組成物からなる場合、すなわち、咬合部又は帯状基部のいずれか一方の樹脂組成物のみが高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対して無機充填物0.1〜40重量部を添加した樹脂組成物からなる場合には、異なる二つの樹脂組成物を共押出成形し、延伸工程を介在させることなく、咬合部とともに帯状基部を製造することができる。
一方、咬合部(雄部12,雌部22)と、帯状基部(雄側帯状基部11a,雌側帯状基部21a)とが同じ樹脂組成物からなる場合、すなわち、咬合部及び帯状基部が高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対して無機充填物0.1〜40重量部を添加した樹脂組成物からなる場合には、一つの樹脂組成物を単に押出成形し、延伸工程を介在させることなく、咬合部とともに帯状基部を製造することができる。
このように、いずれの場合においても、延伸工程を介在させることのない押出成形のみにより、咬合部とともに帯状基部を製造することができる。