特許第6203652号(P6203652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6203652冷却装置の制御装置、冷却装置、ガスタービン、冷却装置の制御方法、及びガスタービンの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203652
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】冷却装置の制御装置、冷却装置、ガスタービン、冷却装置の制御方法、及びガスタービンの制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/18 20060101AFI20170914BHJP
   F02C 7/32 20060101ALI20170914BHJP
   F02C 9/18 20060101ALI20170914BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20170914BHJP
   F04D 27/00 20060101ALI20170914BHJP
   F04D 27/02 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   F02C7/18 D
   F02C7/32
   F02C9/18
   F01D25/12 E
   F04D27/00 P
   F04D27/00 101Y
   F04D27/02 G
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-17198(P2014-17198)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-143503(P2015-143503A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】園田 隆
(72)【発明者】
【氏名】矢部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 智子
(72)【発明者】
【氏名】東 一也
【審査官】 松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−140659(JP,A)
【文献】 特開2001−234756(JP,A)
【文献】 特開平10−196316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/18、7/32、9/18
F01D 25/12
F04D 27/00、27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して冷却空気とする圧縮機を並列に複数台備えた冷却装置の制御装置であって、
前記圧縮機の運転台数を負荷に応じて決定する運転台数決定手段を備える冷却装置の制御装置。
【請求項2】
燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して冷却空気とする圧縮機を並列に複数台備えた冷却装置の制御装置であって、
記圧縮機の運転台数を燃焼器の燃焼に関係する1つ以上のパラメータに応じて決定する運転台数決定手段を備える冷却装置の制御装置。
【請求項3】
燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して冷却空気とする圧縮機を並列に複数台備えた冷却装置の制御装置であって、
荷を急減又は急増させる信号が発せられると、前記負荷の急減又は急増後の負荷設定に応じて前記圧縮機の運転台数を決定する運転台数決定手段を備える冷却装置の制御装置。
【請求項4】
前記運転台数決定手段は、前記負荷を急減又は急増させる信号が発せられると、前記圧縮機の運転台数を減少又は増加させ、前記負荷の急減又は急増から所定時間経過した場合に、前記負荷設定に応じて前記圧縮機の運転台数を決定する請求項3記載の冷却装置の制御装置。
【請求項5】
燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して冷却空気とする圧縮機を並列に複数台備えた冷却装置の制御装置であって、
負荷を急減させる信号が発せられると、冷却のために必要とする冷却空気の量である必要冷却空気量に応じて前記圧縮機の運転台数を決定し、前記圧縮機の吐出する前記冷却空気の量である冷却空気量が前記必要冷却空気量を超える場合は、前記負荷の急減又は急増から所定時間経過した場合に、負荷設定に応じて前記圧縮機の運転台数を決定する運転台数決定手段を備える冷却装置の制御装置。
【請求項6】
前記燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して冷却空気とする、並列に接続された複数の前記圧縮機と、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の前記制御装置と、
を備える冷却装置。
【請求項7】
燃料を燃焼させ、燃焼ガスを生成する前記燃焼器と、
前記燃焼器によって生成された燃焼ガスにより駆動するタービンと、
前記燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して高温部品の冷却空気とする、並列に接続された複数の前記圧縮機と、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の前記制御装置と、
を備えるガスタービン。
【請求項8】
燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して冷却空気とする圧縮機を並列に複数台備えた冷却装置の制御方法であって、
前記圧縮機の運転台数を負荷に応じて決定する冷却装置の制御方法。
【請求項9】
燃料を燃焼させ、燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼器によって生成された燃焼ガスにより駆動するタービンと、前記燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して高温部品の冷却空気とする、並列に接続された複数の圧縮機と、を備えるガスタービンの制御方法であって、
前記圧縮機の運転台数を負荷に応じて決定するガスタービンの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置の制御装置、冷却装置、ガスタービン、冷却装置の制御方法、及びガスタービンの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンが備える機器のうち、高温に曝される部品(以下「高温部品」という。)として燃焼器やタービンブレード(静翼や動翼等)等がある。ガスタービンの高温部品は、熱による損耗を防ぐために、冷却する必要がある。
高温部品の冷却媒体として、特許文献1には、圧縮機出口の車室空気を一部抽気し、クーラで冷却した後、ブーストコンプレッサ(以下「ブーコン」という。)で昇圧した空気を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3975748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブーコンは、容量の増加、一台が故障した場合の予備、及び運転効率の向上等の理由で複数台が備えられることが好ましい。具体的には、設備が複数台のブーコンを備えることで、ブーコン一機当たりの容量を低減できる、一機のブーコンが故障してもガスタービンの運転を継続できる、各ブーコンを最高効率点付近で運用できる、という利点がある。
複数のブーコンを備えた設備では、ガスタービンの運転状態に応じてブーコンの運転台数を適正に決定する台数制御を適用する必要がある。
【0005】
また、ブーコンは常にサージを回避する必要があるが、ガスタービンの運転状態が外乱となり、サージに突入する可能性がある。例えば、ガスタービンの負荷急減によりガスタービンの車室圧が急減した場合、ブーコン入口の圧力低下により圧力比が増大し、サージに突入しやすくなる。特に複数台のブーコンを運転している場合、負荷急減後の余剰な昇圧を早急に停止する必要がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、高温部品を冷却するための冷却空気を吐出する圧縮機運転台数を適正に決定できる、冷却装置の制御装置、冷却装置、ガスタービン、冷却装置の制御方法、及びガスタービンの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の冷却装置の制御装置、冷却装置、ガスタービン、冷却装置の制御方法、及びガスタービンの制御方法は以下の手段を採用する。
【0008】
本発明の第一態様に係る冷却装置の制御装置は、燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して冷却空気とする圧縮機を並列に複数台備えた冷却装置の制御装置であって、前記圧縮機の運転台数を負荷に応じて決定する運転台数決定手段を備える。
【0009】
本構成によれば、燃焼器へ供給される圧縮空気の一部が抽気され、再び圧縮されて冷却空気とされる。冷却対象は、高温に曝される高温部品であり、例えば燃焼器やタービンブレード(静翼や動翼等)である。抽気した圧縮空気を再び圧縮する圧縮機(ブーストコンプレッサ)は、並列に複数台備えられている。
【0010】
そして、圧縮機の運転台数は負荷に応じて、運転台数決定手段によって決定される。すなわち、負荷が大きい場合は、圧縮機の運転台数は多くされる。一方、負荷が小さい場合は、圧縮機の運転台数は少なくされる。
従って、本構成は、高温部品を冷却するための冷却空気を吐出する圧縮機運転台数を適正に決定できる。
【0011】
本発明の第二態様に係る冷却装置の制御装置は、燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して冷却空気とする圧縮機を並列に複数台備えた冷却装置の制御装置であって、前記圧縮機の運転台数を燃焼器の燃焼に関係する1つ以上のパラメータに応じて決定する運転台数決定手段を備える。
【0012】
本構成によれば、冷却の対象を燃焼器とした場合に、より圧縮機の運転台数を調整しやすくなる。
【0013】
本発明の第三態様に係る冷却装置の制御装置は、燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して冷却空気とする圧縮機を並列に複数台備えた冷却装置の制御装置であって、負荷を急減又は急増させる信号が発せられると、前記負荷の急減又は急増後の負荷設定に応じて前記圧縮機の運転台数を決定する運転台数決定手段を備える。
【0014】
本構成によれば、負荷を急減させる場合には、圧縮機のサージを防止でき、負荷を急増させる場合には、冷却空気量の不足を防止できる。
【0015】
上記第態様では、前記運転台数決定手段が、前記負荷を急減又は急増させる信号が発せられると、前記圧縮機の運転台数を減少又は増加させ、前記負荷の急減又は急増から所定時間経過した場合に、前記負荷設定に応じて前記圧縮機の運転台数を決定することが好ましい。
【0016】
本構成によれば、負荷を急減させる場合には、圧縮機のサージをより確実に防止でき、負荷を急増させる場合には、冷却空気量の不足をより確実に防止できる。
【0017】
本発明の第四態様に係る冷却装置の制御装置は、燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して冷却空気とする圧縮機を並列に複数台備えた冷却装置の制御装置であって、負荷を急減させる信号が発せられると、冷却のために必要とする冷却空気の量である必要冷却空気量に応じて前記圧縮機の運転台数を決定し、前記圧縮機の吐出する前記冷却空気の量である冷却空気量が前記必要冷却空気量を超える場合は、前記負荷の急減又は急増から所定時間経過した場合に、負荷設定に応じて前記圧縮機の運転台数を決定する運転台数決定手段を備える。
【0018】
本構成によれば、冷却空気量の不足が防止されるので、高温部品の損傷をより確実に防止することができる。
【0019】
本発明の第態様に係る冷却装置は、燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して冷却空気とする、並列に接続された複数の圧縮機と、上記記載の制御装置と、を備える。
【0020】
本発明の第態様に係るガスタービンは、燃料を燃焼させ、燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼器によって生成された燃焼ガスにより駆動するタービンと、前記燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して高温部品の冷却空気とする、並列に接続された複数の圧縮機と、上記記載の制御装置と、を備える。
【0021】
本発明の第態様に係る冷却装置の制御方法は、燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮して冷却空気とする圧縮機を並列に複数台備えた冷却装置の制御方法であって、前記圧縮機の運転台数を負荷に応じて決定する。
【0022】
本発明の第態様に係るガスタービンの制御方法は、燃焼器へ供給される圧縮空気の一部を再び圧縮してガスタービンの高温部品の冷却空気とする圧縮機を並列に複数台備えたガスタービンの制御方法であって、前記圧縮機の運転台数を前記ガスタービンの負荷に応じて決定する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、高温部品を冷却するための冷却空気を吐出する圧縮機運転台数を適正に決定できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係るガスタービンの構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る冷却空気供給部の構成図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るブーコン台数制御に係る機能ブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るブーコン台数制御処理の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の第1実施形態に係る台数決定閾値とブーコンの運転台数との関係を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るブーコン台数制御処理の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係るGT負荷の時間変化とブーコンの運転台数との関係を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る負荷急減前後のブーコンの運転点の変化を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る負荷急減信号が発せられたのち、応答遅れ後にブーコンを停止させた場合及び応答遅れが無くブーコンを停止させた場合の圧力比と流量の時間変化を示した図である。
図10】本発明の第3実施形態に係るブーコン台数制御処理の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の第3実施形態に係るGT負荷の時間変化とブーコンの運転台数との関係を示す図である。
図12】本発明の第4実施形態に係るブーコン台数制御処理の流れを示すフローチャートである。
図13】本発明の第5実施形態に係るブーコン台数制御処理の流れを示すフローチャートである。
図14】本発明の第5実施形態に係るGT負荷の時間変化とブーコンの運転台数との関係を示す図である。
図15】本発明の第5実施形態に係る必要冷却空気量の時間変化と冷却空気量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る冷却装置の制御装置、冷却装置、ガスタービン、冷却装置の制御方法、及びガスタービンの制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係るガスタービン10の全体構成図である。
【0027】
ガスタービン10は、圧縮機12、燃焼器14、及びタービン16を備える。
圧縮機12は、回転軸18により駆動されることで、空気取込口から取り込まれた空気を圧縮して圧縮空気を生成する。燃焼器14は、圧縮機12から車室20へ導入された圧縮空気に燃料を噴射して高温・高圧の燃焼ガスを発生させる。タービン16は、燃焼器14で発生した燃焼ガスによって回転駆動する。
【0028】
なお、回転軸18には、発電機22が連結されている。これにより、タービン16に生じる回転駆動力は、回転軸18によって圧縮機12及び発電機22に伝達される。そして、発電機22は、タービン16の回転駆動力によって発電し、発電した電力を商用電力系統へ供給したり、ガスタービン10が設置されている工場等の負荷へ供給する。
【0029】
また、本第1実施形態に係るガスタービン10は、車室20と燃焼器14との間に、冷却装置24を備える。
冷却装置24は、燃焼器14へ供給される圧縮空気の一部を抽気し、再び圧縮してガスタービン10の冷却対象の冷却空気とする。なお、冷却対象は、高温に曝される部品(以下「高温部品」という。)であり、例えば燃焼器14やタービンブレード(静翼や動翼等)である。本第1実施形態では、高温部品を燃焼器14として説明する。
冷却装置24は、抽気した圧縮空気を再び圧縮する圧縮機(ブーストコンプレッサ。以下「ブーコン」という。)を、並列に複数台備えている。
【0030】
なお、燃焼器14には圧縮機12によって圧縮空気が吐出されているため、冷却空気の圧力を圧縮機12から送気される圧縮空気の圧力以上としなければ、冷却空気を燃焼器14に送り込めない。このため、ブーコンは、圧縮機12から抽気した圧縮空気を再び圧縮して燃焼器14の冷却空気としている。
【0031】
図2は、冷却装置24の構成図である。
本第1実施形態に係る冷却装置24は、2つのブーコン30A,30Bを備えている。
【0032】
ブーコン30A,30Bは、並列に接続されており、車室20から圧縮空気の一部を抽気する抽気管32を介して、圧縮空気が供給される。抽気された圧縮空気は、クーラ34によって冷却され、ミストセパレータ36によって水分が除去された後に、ブーコン30A,30Bに供給される。
ブーコン30A,30Bから送出された圧縮空気は、送出管40A,40B及びマニホールド42を介して、燃焼器14へ送られ、燃焼器14を冷却する。
【0033】
本第1実施形態に係るブーコン30A,30Bは、一例として容量が各々同じである。
また、ブーコン30A,30Bが吐出する圧縮空気の流量(以下「冷却空気量」という。)は不図示の流量計によって計測される。
【0034】
送出管40Aには、抽気管32に接続される分岐管44Aが設けられ、送出管40Bには、抽気管32に接続される分岐管44Bが設けられている。分岐管44Aにはブーコン30Aのサージを防止するためのアンチサージ弁46Aが備えられ、分岐管44Bにはブーコン30Bのサージを防止するためのアンチサージ弁46Bが備えられている。
【0035】
なお、以下の説明において、各ブーコン30A,30Bを区別する場合は、符号の末尾にA〜Bの何れかを付し、各ブーコン30A,30Bを区別しない場合は、A〜Bを省略する。また、各アンチサージ弁46A,46Bを区別する場合は、符号の末尾にA〜Bの何れかを付し、各アンチサージ弁46A,46Bを区別しない場合は、A〜Bを省略する。
【0036】
次に、ガスタービン10の制御を司る制御装置50におけるブーコン30の運転台数を決定する機能(以下「運転台数決定機能」という。)について説明する。
【0037】
制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0038】
図3は、本第1実施形態に係る制御装置50が備えるブーコン台数制御に係る機能ブロック図である。
【0039】
本第1実施形態に係る制御装置50は、負荷設定値入力部52、運転台数決定部54、ブーコン制御部56、及びアンチサージ弁制御部58を備える。
負荷設定値入力部52は、ガスタービン10の負荷(以下「GT負荷」という。)の設定値(以下「負荷設定」という。)が入力される。
運転台数決定部54は、ブーコン30の運転台数をGT負荷に応じて決定する。
ブーコン制御部56は、ブーコン30の運転開始及び運転停止を制御する。
アンチサージ弁制御部58は、ブーコン30がサージしないように、アンチサージ弁46の開閉を制御する。
【0040】
図4は、本第1実施形態に係る制御装置50によって行われるブーコン台数制御処理の流れを示すフローチャートである。本第1実施形態に係るブーコン台数制御処理は、負荷設定値入力部52に新たな負荷設定が入力された場合に開始される。
【0041】
まず、ステップ100では、ブーコン30が2台運転しているか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ102へ移行し、否定判定、すなわち1台運転の場合はブーコン台数制御処理を終了する。
【0042】
ステップ102では、GT負荷が予め定められた閾値(以下「台数決定閾値」という。)未満まで低下したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ104へ移行し、否定判定の場合はブーコン30の2台運転を継続する。
【0043】
ここで、台数決定閾値について図5を参照して説明する。
台数決定閾値は、図5に示されるように、ブーコン30の運転台数を1台から2台、又は2台から1台に切り替える場合のGT負荷である。なお、GT負荷の増加に伴い、高温部品を冷却のために必要な空気量(以下「必要冷却空気量」という。)も増加する。このGT負荷に応じた必要冷却空気量を確保するためにブーコン30の運転台数は1台から2台とされる。
このように、台数決定閾値は、ブーコン30が吐出する冷却空気量に応じて予め設定されている。すなわち、ブーコン30が吐出する冷却空気量が少なければ、台数決定閾値はGT負荷の低い側となり、冷却空気の量が多ければ、台数決定閾値はGT負荷の高い側となる。
【0044】
ステップ104では、GT負荷が台数決定閾値未満となったため、ブーコン30Bを停止させ、ブーコン30Aのみの1台運転とし、ブーコン台数制御処理を終了する。
【0045】
なお、本第1実施形態では、GT負荷に応じてブーコン30の運転台数を決定したが、これに限らず、ブーコン30の運転台数を燃焼器14の燃焼に関係するパラメータ(以下「燃焼パラメータ」という。)に応じて決定してもよい。燃焼パラメータとは、例えば、必要冷却空気量、抽気元の車室20の圧力、タービン16の入り口温度等である。
燃焼パラメータは、外乱の影響がより小さいので、様々な外乱により変化する可能性のあるGT負荷よりも、燃焼パラメータを用いることでブーコン台数制御に係る設計及び調整し易さが向上する。
【0046】
以上説明したように、本第1実施形態に係るガスタービン10は、燃料を燃焼させ、燃焼ガスを生成する燃焼器14と、燃焼器14によって生成された燃焼ガスにより駆動するタービン16と、燃焼器14へ供給される圧縮空気の一部を抽気し、再び圧縮して高温部品の冷却空気とする並列に接続された複数のブーコン30A,30Bとを備える。
そして、ガスタービン10の制御装置50は、ブーコン30の運転台数をガスタービン10の負荷に応じて決定するので、高温部品を冷却するための冷却空気を吐出するブーコン30の運転台数が適正に決定される。
【0047】
なお、ブーコン30Aのみを運転し、ガスタービン10の負荷を増加させる場合、制御装置50は、負荷が台数決定閾値を超えると、ブーコン30Bの運転を開始し、ブーコン30A,30Bの2台運転とする。
【0048】
また、制御装置50は、ブーコン30がサージに突入しそうになった場合、アンチサージ弁46を開き、ブーコン30の入口と出口の圧力比を下げ、サージを防止する。
【0049】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0050】
なお、本第2実施形態に係るガスタービン10の構成は、図1に示す第1実施形態に係るガスタービン10の構成と同様であるので説明を省略する。
【0051】
第2実施形態に係る制御装置50は、ガスタービン10の負荷を急減させることを示す負荷急減信号の入力を受け付ける。負荷急減信号には、負荷急減後の負荷設定も示されている。負荷急減とは、負荷設定が時間と共に徐々に減少させるのではなく、階段状に減少する場合(図7の負荷設定の変化を参照)、若しくは、階段状に減少するとみなせるほど急峻に負荷を減少させる場合をいう。
負荷急減は、例えば、ガスタービン10から負荷を遮断する負荷遮断(系統解列)、商用電力系統への電力供給を停止して工場で必要な電力のみを賄う所内単独運転、商用電力系統の周波数の急増時等に生じる。
【0052】
そして、本第2実施形態に係る制御装置50は、負荷急減信号が発せられると、負荷急減後の負荷設定に応じてブーコン30の運転台数を決定する。
【0053】
図6は、本第2実施形態に係る制御装置50によって行われるブーコン台数制御処理の流れを示すフローチャートである。本第2実施形態に係るブーコン台数制御処理は、負荷設定値入力部52に負荷急減信号が入力された場合に開始される。
【0054】
まず、ステップ200では、ブーコン30が2台運転しているか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ202へ移行し、否定判定、すなわち1台運転の場合はブーコン台数制御処理を終了する。
【0055】
ステップ202では、負荷急減後の負荷設定が予め定められた台数決定閾値未満であるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ204へ移行し、否定判定の場合はブーコン30の2台運転を継続した状態で本ブーコン台数制御処理を終了する。
【0056】
ステップ204では、負荷急減後の負荷設定が台数決定閾値未満であるため、ブーコン30Bを停止させ、ブーコン30Aのみの1台運転とし、本ブーコン台数制御処理を終了する。
【0057】
図7は、GT負荷の時間変化とブーコン30の運転台数との関係を示す図である。
図7に示されるように、時間Tにおいて負荷急減信号が発せられても、GT負荷が負荷設定で示される設定値まで低下するには遅れが生じる。このため、GT負荷が台数決定閾値に低下する時間Tまで待ってブーコン30の運転台数を減らすと、負荷急減信号が発せられてからΔT時間だけ遅れて運転台数を減らすこととなる。このため、負荷急減信号と共にブーコン30の運転台数を減らすと、応答遅れ無くブーコン30の運転台数を減らすことができる。
【0058】
図8は、負荷急減前後のブーコン30の運転点の変化を示す図である。
図8の横軸はブーコン30が吐出する圧縮空気の流量(冷却空気量)であり、縦軸はブーコン30の入口圧力と出口圧力の圧力比である。
図8の破線は、ブーコン30のIGVの開度に応じた作動線であり、GVが開くほど流量は大きくなる。実線はサージラインである。また、点Aはガスタービン10の負荷急減前におけるブーコン30の運転点であり、点Bはガスタービン10の負荷急減後におけるブーコン30の運転点である。点Aと点Bを結ぶ一点鎖線aは応答遅れΔTが生じた場合の運転点の軌跡であり、一点鎖線bは本第2実施形態に係る運転点の軌跡、すなわち応答遅れΔTのない場合の運転点の軌跡である。
【0059】
ここで、負荷急減信号が発せられて応答遅れΔT後に1台のブーコン30を停止させた場合について説明する。
負荷急減信号が発せられると、ガスタービン10の負荷を低下させるために圧縮機12の吐出圧力は低下する。このため、ブーコン30の入口圧力が低下するものの、一時的にブーコン30の出口圧力は高いままとなり、圧力比は高くなる。従って、運転点はサージラインに近づく一点鎖線aのような軌跡を描き、ブーコン30がサージする可能性が高くなる。
一方、応答遅れΔTが無くブーコン30の運転台数を減らすと、ブーコン30の入口圧力の低下と共に、運転台数が減ることによりブーコン30の出口圧力も低下するため、運転点はサージラインから離れた一点鎖線bのような軌跡を描く。この結果、本第2実施形態に係る制御装置50は、ガスタービン10の負荷が急減する場合でも、ブーコン30のサージを防止できる。
【0060】
図9は、負荷急減信号が発せられたのち、応答遅れΔT後にブーコン30を停止させた場合及び応答遅れΔTが無くブーコン30を停止させた場合の、1台当たりの圧力比と流量の時間変化を示した図である。なお、応答遅れΔTが無い場合は、時間Tでブーコン30を1台停止させ、応答遅れΔTがある場合は、時間Tでブーコン30を1台停止させる。
図9に示されるように、負荷急減信号が発せられるタイミング(時間T)でGT負荷は減少し、圧力比は一時的に増加し、流量は一時的に低下するものの、応答遅れΔTが無くブーコン30を停止させた場合の方が、ブーコン30の停止に応答遅れがある場合に比べ変動が少ない。
【0061】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
【0062】
なお、本第3実施形態に係るガスタービン10の構成は、図1に示す第1実施形態に係るガスタービン10の構成と同様であるので説明を省略する。
本第3実施形態に係る制御装置50は、負荷急減信号が発せられると、ブーコン30の運転台数を減少させ、負荷急減から所定時間経過した場合に、ガスタービン10の負荷に応じてブーコン30の運転台数を決定する。なお、上記所定時間は、ブーコン30が送出する冷却空気量が整定し、ブーコン30がサージするおそれが無い時間であり、以下「判定時間」という。
【0063】
図10は、本第3実施形態に係る制御装置50によって行われるブーコン台数制御処理の流れを示すフローチャートである。本第3実施形態に係るブーコン台数制御処理は、負荷設定値入力部52に負荷急減信号が入力された場合に開始される。
【0064】
まず、ステップ300では、ブーコン30が2台運転しているか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ302へ移行し、否定判定、すなわち1台運転の場合はブーコン台数制御処理を終了する。
【0065】
ステップ302では、ブーコン30Bを停止する。
ここで、図11は、GT負荷の時間変化とブーコン30の運転台数との関係を示す図である。
図11に示されるように、本第3実施形態に係るブーコン台数制御処理は、負荷急減信号が発せられると、台数決定閾値を超える負荷設定であっても、ステップ302においてブーコン30Bを停止させ、1台運転とする。
【0066】
次のステップ304では、負荷急減信号が発られた時間Tからの時間が、判定時間Tを超えたか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ306へ移行し、否定判定の場合は判定時間Tを超えるまで待ち状態となる。
【0067】
ステップ306では、負荷急減後の負荷設定が台数決定閾値を超えるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ308へ移行し、否定判定の場合はブーコン30の1台運転を継続した状態で本ブーコン台数制御処理を終了する。
【0068】
ステップ308では、停止させたブーコン30Bを再起動させ、ブーコン30の2台運転を行い、本ブーコン台数制御処理を終了する。
【0069】
なお、判定時間Tは、運転しているブーコン30Aの出口圧力が十分に低下し、ブーコン30Aがサージする危険性が無くなる時間であり、予め定められている。
【0070】
このように、本第3実施形態に係る制御装置50は、負荷急減信号が発せられると、ブーコン30の運転台数を減少させる。従って、GT負荷に応じてブーコン30の運転台数を決定する場合に比べ、早急にブーコン30を停止でき、ブーコン30の圧力比を確実に低下させ、ブーコン30のサージをより確実に防止できる。
【0071】
〔第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
【0072】
なお、本第4実施形態に係るガスタービン10の構成は、図1に示す第1実施形態に係るガスタービン10の構成と同様であるので説明を省略する。
本第4実施形態に係る制御装置50は、負荷急減信号が発せられ、ブーコン30の運転台数を減少させた後、判定時間Tが経過する前でも、高温部品を冷却のために必要とする冷却空気量(以下「必要冷却空気量」という。)に応じてブーコン30の運転台数を決定する。なお、必要冷却空気量は、例えばガスタービン10の負荷に応じて予め決定されている。
【0073】
図12は、本第4実施形態に係る運転台数決定処理の流れを示すフローチャートである。なお、図12における図10と同一のステップについては図10と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0074】
本第4実施形態に係る運転台数決定処理は、ステップ300において肯定判定となった場合、ステップ301へ移行する。
ステップ301では、ブーコン30を1台停止した場合に、必要冷却空気量を確保可能か否かを判定し、肯定判定の場合はステップ302へ移行し、否定判定の場合はブーコン30の2台運転を継続した状態で本ブーコン台数制御処理を終了する。
【0075】
ステップ302では、ブーコン30Bを停止する。
【0076】
次のステップ303では、ブーコン30Bを停止させた状態で、ブーコン30Aが吐出する冷却空気量が必要冷却空気量を超えるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ304へ移行する。一方、否定判定の場合はステップ308へ移行し、ブーコン30Bを再起動させる。
【0077】
このように、本第3実施形態に係る制御装置50は、ブーコン30の停止の有無を冷却空気量も加味して判定するので、冷却空気量の不足が防止され、燃焼器14の損傷をより確実に防止することができる。
【0078】
〔第5実施形態〕
以下、本発明の第5実施形態について説明する。
【0079】
本第5実施形態に係るガスタービン10の構成は、図1に示す第1実施形態に係るガスタービン10の構成と同様であるので説明を省略する。
【0080】
本第5実施形態に係る制御装置50は、ガスタービン10の負荷を急増させることを示す負荷急増信号の入力を受け付ける。なお、負荷急増信号には、負荷急増後の負荷設定も示されている。なお、負荷急増とは、負荷設定が時間と共に徐々に増加させるのではなく、階段状に増加する場合(図14の負荷設定の変化を参照)、若しくは、階段状に増加するとみなせるほど急峻に負荷を増加させる場合をいう。
そして、本第5実施形態に係る制御装置50は、負荷急増信号が発せられると、負荷急増後の負荷設定に応じてブーコン30の運転台数を決定する。
【0081】
図13は、本第5実施形態に係る制御装置50によって行われるブーコン台数制御処理の流れを示すフローチャートである。本第5実施形態に係るブーコン台数制御処理は、負荷設定値入力部52にガスタービン10の負荷急増信号が入力された場合に開始される。
【0082】
まず、ステップ400では、ブーコン30が1台運転しているか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ402へ移行し、否定判定、すなわち2台運転の場合はブーコン台数制御処理を終了する。
【0083】
ステップ402では、負荷急増後の負荷設定が予め定められた台数決定閾値を超えるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ404へ移行し、否定判定の場合はブーコン30の1台運転を継続した状態で本ブーコン台数制御処理を終了する。
【0084】
ステップ404では、負荷急増後の負荷設定が台数決定閾値を超えるため、ブーコン30Bを起動させ、ブーコン30A,30Bの2台運転とし、本ブーコン台数制御処理を終了する。
【0085】
図14は、本第5実施形態に係るGT負荷の時間変化とブーコン30の運転台数との関係を示す図である。
図14に示されるように、時間T’において負荷急増信号が発せられても、GT負荷が負荷設定で示される設定値まで増加するには遅れが生じる。このため、GT負荷が台数決定閾値に増加する時間T’まで待ってブーコン30の運転台数を増すと、負荷急増信号が発せられてからΔT’だけ遅れて運転台数を増すこととなる。このため、負荷急増信号と共にブーコン30の運転台数を増すと、応答遅れ無くブーコン30の運転台数を増すことができる。
【0086】
図15は、本第5実施形態に係る必要冷却空気量の時間変化と冷却空気量との関係を示す図である。
応答遅れΔT’が生じる場合、1台運転されているブーコン30の冷却空気量がガスタービン10の負荷の増加と共に増加する。しかし、時間T’において2台目のブーコン30Bを起動させると、ブーコン30A,30Bから吐出される冷却空気量が必要冷却空気量を満たさない時間帯(図15の領域α)が生じる可能性がある。一方、応答遅れ無くブーコン30の運転台数を増すと、冷却空気量は必要冷却空気量を満たし、冷却空気量の不足をより確実に防止できる。
【0087】
また、本第5実施形態に係る制御装置50は、負荷急増信号が発せられると、負荷設定にかかわらずブーコン30の運転台数を増加させ、負荷急増から判定時間Tが経過した場合に、ガスタービン10の負荷に応じてブーコン30の運転台数を決定してもよい。
【0088】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0089】
例えば、上記各実施形態では、ブーコン30A,30Bの容量を各々同じとする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ブーコン30A,30Bの容量が各々異なっていてもよい。
【0090】
また、上記各実施形態では、ガスタービン10の高温部品を燃焼器14する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ガスタービン10の高温部品を例えばタービンブレード(静翼や動翼等)等、他の高温部品としてもよい。
【0091】
また、上記各実施形態では、ガスタービン10が2台のブーコン30を備える形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ガスタービン10が3台以上のブーコン30を備える形態としてもよい。この形態の場合、運転させるブーコン30の台数を決定するタイミングである台数決定閾値は、ブーコン30が吐出する冷却空気量に応じて予め複数設定されている。
【0092】
また、上記各実施形態では、冷却装置24をガスタービン10に備える形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、圧縮機と高温部品とを有する装置であれば、ガスタービン10以外の装置に冷却装置24を備える形態としてもよい。
【0093】
また、上記各実施形態で説明した運転台数決定処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 ガスタービン
14 燃焼器
24 冷却装置
30 ブーストコンプレッサ(ブーコン)
50 制御装置
54 運転台数決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15