特許第6203655号(P6203655)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203655
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】電動アシスト自転車のバッテリーボックス
(51)【国際特許分類】
   B62J 9/00 20060101AFI20170914BHJP
   B62M 6/40 20100101ALI20170914BHJP
   B62M 23/02 20100101ALI20170914BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B62J9/00 H
   B62M6/40
   B62M23/02
   H01M2/10 A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-24355(P2014-24355)
(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公開番号】特開2015-150930(P2015-150930A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112978
【氏名又は名称】ブリヂストンサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102565
【弁理士】
【氏名又は名称】永嶋 和夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寛
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−145148(JP,A)
【文献】 特開平11−105759(JP,A)
【文献】 特開2008−62814(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3166805(JP,U)
【文献】 特開2002−104266(JP,A)
【文献】 特開2006−196277(JP,A)
【文献】 特開2013−84603(JP,A)
【文献】 特開2012−212597(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0017542(US,A1)
【文献】 特開平8−230490(JP,A)
【文献】 特開2001−219887(JP,A)
【文献】 特開平11−129960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/00
B62J 11/00
B62M 6/40
B62M 23/02
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にバッテリーを収納し、台座に装着支持されるバッテリーボックスにおいて、前記台座に形成された支持体受部に装着支持されるバッテリーボックスにおける装着支持体に水抜き孔を穿設したことを特徴とする電動アシスト自転車のバッテリーボックス。
【請求項2】
前記バッテリーボックスにおける装着支持体を、前記台座に対するバッテリーボックスを脱着する際の揺動方向に対して側面下部に突出形成することを特徴とする請求項1に記載の電動アシスト自転車のバッテリーボックス。
【請求項3】
前記装着支持体における水抜き孔の側方は台座の側壁にて閉塞された状態にあることを特徴とする請求項1または2に記載の電動アシスト自転車のバッテリーボックス。
【請求項4】
前記バッテリーボックスにおける装着支持体には補強リブが形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電動アシスト自転車のバッテリーボックス。
【請求項5】
前記バッテリーボックスにおける装着支持体をバッテリーボックス下面からオフセットして突出形成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電動アシスト自転車のバッテリーボックス。
【請求項6】
前記水抜き孔下端部をバッテリーボックスの内部底面とほぼ面一に構成したことを特徴とする請求項5に記載の電動アシスト自転車のバッテリーボックス。
【請求項7】
前記水抜き孔を装着支持体の突出方向に成型したことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電動アシスト自転車のバッテリーボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にバッテリーを収納し、台座に装着支持されるバッテリーボックスに係り、特に、電動アシスト自転車に搭載されるバッテリーボックスの排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動アシスト自転車等においては、自転車の車体の適宜部位に取り付けられた台
座にバッテリーボックスが装着支持され、内部に収納したバッテリーが使用に供されてバ
ッテリー残量が尽きた際には、バッテリーボックスごと車体から取り外されてバッテリー
に充電がなされる。一般にバッテリーボックスは風雨や塵埃に晒されるために、バッテリ
ーボックスの組付け合せ面である接合縁等から風雨や塵埃が侵入することは避けられない
ものであった。また、バッテリーおよび電装品が通電中に帯びる熱気によって、内部に結
露を生じることも避けられないものであった。このようなことから、バッテリーを内部に
収納するバッテリーボックスに水抜き孔を穿設して、バッテリーボックス内部の水分等の
湿気を取り除いてバッテリーの適切な動作環境を常に確保することが必要であった。
【0003】
内部にバッテリーを収納するバッテリーボックスにおいて水抜き孔を穿設する排水構造
として様々な技術が提案され使用に供されている。例えば、下記特許文献1に記載された
ような第1従来例としてのパック電池が提案された。そのような従来のバッテリーボック
ス(ケース)における排水構造を図6を用いて説明すると、複数の二次電池51の両端を
一対のホルダー52に連結して電池組53として上下のケース54A、54B内に収納さ
れる。ケース54には、底面に排水換気孔71、・・が開口され、ケース54内に侵入する水を該排水換気孔71から外部に排気するように構成されている。このような構成により、ケース54の内部に収納した電池51を有効に冷却しながら、ケース54内に侵入する水による弊害を阻止することが可能となった。
【0004】
また同様に、内部にバッテリーを収納するバッテリーボックスにおいて水抜き孔を穿設
する排水構造として、下記特許文献2に記載されたような第2従来例としての電池組立体
が提案された。そのような従来のバッテリーボックス(ハウジング)における排水構造を
図7を用いて説明すると、電池組立体110は、内表面と外表面とを有するハウジング1
14を含み、外表面は、底部表面部分142と側部表面部分146とこれらの表面部分と
の間の接合部分150とを有する。内表面は内部キャビティを定め、排出孔154が接合
部分で外表面から内部キャビティまで壁を通じて延びる。排出通路158が各排出孔15
4に亘って底部表面部分142から側部表面部分146まで、接合部分を横断して延びて
いる。各排出通路158および154は、水抜き孔162を共に定めている。このような
構成により、ハウジング114内に侵入した水または蒸気は水抜き孔162から排出され
て水分の蓄積が防止され、腐食や短絡のような様々な問題を解消し得る。
【0005】
さらに、内部にバッテリーを収納するバッテリーボックスにおいて水抜き孔を穿設する
排水構造として、下記特許文献3に記載されたような第3従来例としての電池パックおよ
び電動自転車が提案された。そのような従来のバッテリーボックス(ケース体)における
排水構造を図8を用いて説明すると、複数個の偏平状電池を載置した2個の電池構造体を
収容するケース体における区画601、602と電池の充放電時の保護をする保護回路基
板を収容する区画603とをそれぞれ有し、電池パックの底部に水抜き孔682を設ける
とともに、保護回路基板を装着する上部区画部680にも水抜き孔681を設けることに
よって、ケース体の区画内に侵入した水分は水抜き孔681、682によって外部に放出
されて、水分による悪影響を回避することが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−196277号公報(要約書等参照)
【特許文献2】特開2013−84603号公報(図4、5等参照)
【特許文献3】特開2012−212597号公報(要約書等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記第1従来例のパック電池におけるバッテリーボックス(ケース)に
おける排水構造では、排水換気孔71、・・が単に下部のバッテリーケース54Bの底面に設けられており、このような構造では、孔の周囲にクラックが生じ易い上に、ケース自体の強度の低下が避けられず、外観上も見栄えがよろしくなかった。また、前記第2従来例の電池組立体における排水構造では、水抜き孔162を定める各排出通路158および154は、底部表面部分142から側部表面部分146まで、接合部分を横断して延びて設けられてはいるものの、水抜き孔162を定める各排出通路158および154が底面から側面まで多数形成されていることによって、強度の低下や外観の見栄えの低下をもたらしている。さらに、前記第3従来例の電池パックおよび電動自転車における排水構造では、電池パックとしての組立体におけるケース体の接合縁である各区画601、602における合せ面に水抜き孔681、682がそれぞれ設けられているので、これらの水抜き孔681、682が、ケース体自体の強度低下を招く上に、ケース体の分解時や悪戯によってドライバー等によるこじあけに利用されて破損や変形の虞れがあって好ましくはなかった。
【0008】
そこで本発明では、前記従来のバッテリーボックスにおける諸課題を解決して、強度低
下の虞れもなく、クラック等も生じず、外観に優れて、妄りに工具等が差し込まれる虞れ
もない、しかも効果的な排水と塵埃の侵入も有効に抑制できる電動アシスト自転車のバッ
テリーボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため本発明は、内部にバッテリーを収納し、台座に装着支持されるバッテリーボッ
クスにおいて、前記台座に形成された支持体受部に装着支持されるバッテリーボックスに
おける装着支持体に水抜き孔を穿設したことを特徴とする。また本発明は、前記バッテリ
ーボックスにおける装着支持体を、前記台座に対するバッテリーボックスを脱着する際の
揺動方向に対して側面下部に突出形成することを特徴とする。また本発明は、前記装着支
持体における水抜き孔の側方は台座の側壁にて閉塞された状態にあることを特徴とする。
また本発明は、前記バッテリーボックスにおける装着支持体には補強リブが形成されてい
ることを特徴とする。また本発明は、前記バッテリーボックスにおける装着支持体をバッ
テリーボックス下面からオフセットして突出形成することを特徴とする。また本発明は、
前記水抜き孔下端部をバッテリーボックスの内部底面とほぼ面一に構成したことを特徴と
する。また本発明は、前記水抜き孔を装着支持体の突出方向に成型したことを特徴とする
もので、これらを課題解決のための手段とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、請求項1に記載の構成要件である、内部にバッテリーを収納し、台座
に装着支持されるバッテリーボックスにおいて、前記台座に形成された支持体受部に装着
支持されるバッテリーボックスにおける装着支持体に水抜き孔を穿設したことにより、バ
ッテリーボックスを台座の支持体受部に装着するためにバッテリーボックスに形成される
装着支持体に水抜き孔を穿設するので、該水抜き孔が装着支持体により効果的に補強され
て、クラック等も生じず、外観にも優れた排水構造が提供される。しかも、バッテリーボ
ックス下部側面には装着支持体のみを形成すれば足りるので、従来のもののような水抜き
孔近傍に補強壁を設けたもののように該壁により視界を妨げられるような不都合はなく、
バッテリーボックスを台座の支持体受部に装着する際には、バッテリーボックスにおける
装着支持体のみを見通しのよい状態で目視すればよいので、バッテリーボックスの台座へ
の装着がきわめて容易かつ簡便となる。
【0011】
また、請求項2に記載の構成要件である、前記バッテリーボックスにおける装着支持体
を、前記台座に対するバッテリーボックスを脱着する際の揺動方向に対して側面下部に突
出形成する場合は、台座に対するバッテリーボックスを脱着する際の揺動方向に対して揺
動支軸となる装着支持体をバッテリーボックスの側面下部に側方に向けて形成する際に、
スライド金型による左右方向である側方での成型および側方への離型に伴って、同じ方向
にて水抜き孔の成型が可能となり、成型が容易となる。さらに、請求項3に記載の構成要
件である、前記装着支持体における水抜き孔の側方は台座の側壁にて閉塞された状態にあ
る場合は、水抜き孔の側方が装着支持体の台座への装着時には、台座の側壁にて閉塞され
た状態にあるので、外部からの風雨や塵埃の侵入がほぼ確実に防止される。さらにまた、
請求項4に記載の構成要件である、前記バッテリーボックスにおける装着支持体には補強
リブが形成されている場合は、装着支持体自体の強度が向上してバッテリーボックスの台
座上での揺動装着が安定して安全かつ確実に行われることはもとより、水抜き孔を穿設し
たことによる強度低下を補って余りあるものとなる。
【0012】
また、請求項5に記載の構成要件である、前記バッテリーボックスにおける装着支持体
をバッテリーボックス下面からオフセットして突出形成する場合は、装着支持体をバッテ
リーボックス下面からオフセットすることで、可及的に水抜き孔をバッテリーボックスの
内部底面に近接させることを可能にする。さらにまた、請求項6に記載の構成要件である、前記水抜き孔下端部をバッテリーボックスの内部底面とほぼ面一に構成した場合は、円滑な水分の排出が促進される。
【0013】
さらにまた、請求項7に記載の構成要件である、前記水抜き孔を装着支持体の突出方向
に成型した場合は、装着支持体を成型する際に側方に移動して装着および離型が行われる
スライド金型等の成型方向と一致させて水抜き孔を同時に効率的に成型することができて
、成型性に優れるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の電動アシスト自転車のバッテリーボックスが採用されたバッテリーボックスを台座に装着支持する直前の状態を示す全体斜視図である。
図2】同、バッテリーボックスの全体斜視図である。
図3】同、装着支持体のオフセット状態を示す要部拡大側面図である。
図4】同、装着支持体近傍の要部拡大斜視図である。
図5】同、水抜き孔近傍のバッテリーボックスの内部側の要部斜視図である。
図6】第1従来例としてのパック電池の説明図である。
図7】第2従来例としての電池組立体の説明図である。
図8】第3従来例としての電池パックおよび電動自転車の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の電動アシスト自転車のバッテリーボックスを図面に基づいて説明する。
本発明の電動アシスト自転車のバッテリーボックスは、図1に示すように、内部にバッテ
リーを収納し、台座7に装着支持されるバッテリーボックス1の排水構造において、前記
台座7に形成された支持体受部9、9に装着支持されるバッテリーボックス1における装
着支持体6、6に水抜き孔10を穿設したことを特徴とする。
【実施例1】
【0016】
図1から図5は本発明の電動アシスト自転車のバッテリーボックスの第1実施例を示す
図2に示すように、図示省略のバッテリーを内部に収納するバッテリーボックス1は、
深皿状の前後一対の前部2および後部3とを、合せ面23に形成された適宜の複数の係止
部同士を係合させたり、ビス止め等により合体させて一体化して構成される。バッテリー
ボックス1の前部2における前面4の上部には傾斜面14が形成され、該傾斜面14の左
右を跨いで把手13が設けられる。バッテリーボックス1の前面4と把手13とはほぼ面
一に構成されるとよい。把手13に関しては、前記前面4から前方へ突出していたほうが
摘み易いものであるが、搭乗に際して把手13に搭乗者の足等が邪魔される虞れをなくす
には、前面4と把手13とをほぼ面一に抑えておく方が、把手13の摘み易さと搭乗のし
易さとを両立させる上で最適である。また、前記把手13の下面に形成される傾斜面14
は、把手13を摘む際の広さの確保と円滑なガイド機能として作用する。
【0017】
バッテリーボックス1の前部2における前面4の一方側(図示の例では右側)には、電
池残量表示部11が設けられる。該電池残量表示部11は、図示省略の表示部(電池残量
に応じて複数個が表示される上下に並ぶ複数の表示灯や、残量に応じて長さで表示される
上下方向に配置される連続表示灯等)と、最上部の確認ボタン12とから構成される。前
記バッテリーボックス1の前部2における側面5の下部には、側方に向けて後述する自転
車の車体適宜部位に取り付けられた台座7の支持体受部9、9に装着支持されることにな
る装着支持体6、6が突出形成される。本実施例では、後述する図1に示すように、台座
7の両側壁8、8にそれぞれ設けられた支持体受部9、9内に収容して装着するためと、
同様に後述するように、装着および離型方向がバッテリーボックス1の側方である装着支
持体6の形成方向と一致するスライド金型による成型を容易とするために、装着支持体6
、6はバッテリーボックス1における前部2の側面5の下部に形成されるを好適とするが
、設計上許容されるなら、後部3の側面下部や、前部2の前面両側下部あるいは後部3の
後面両側下部等に下方に突設して一体成型されることも排除しない。装着支持体6が台座
7上で適切に揺動装着されることが可能であればよい。
【0018】
図1に示すように、本実施例ではバッテリーボックス1は台座7に対して揺動装着させ
る形式が採用される。図示の例では、自転車車体との関連が明確ではないが、様々な形態
にて揺動装着が可能である。本実施例では、シートパイプに沿ってその後方に車体側方か
らバッテリーボックス1を揺動装着するように構成している。つまり、台座7における両
側壁8、8の前部側(車体に関しては最左側)に形成された支持体受部9、9に、バッテ
リーボックス1の側面5の下部に突出形成された例えば長楕円形の装着支持体6、6を上
方から挿入係止させた後、支持体受部9、9内にて前後に(車体に関しては左右に)揺動
させることで、バッテリーボックス1の例えば左側面等に設置したロック機構24をシー
トパイプ等に設置したロック部等に装着ロックさせることで、その装着が完了する。本実
施例では、車体側方から台座7に対してバッテリーボックス1を揺動装着するように構成
されるが、装着支持体6を台座7の例えば上方からのみ受け入れる形状の支持体受部9に
上方からスライドさせて装着するような構成にも適用できる。あるいは、装着支持体6を
台座7の支持体受部9に車体側方から水平方向にスライド装着するような構成のものに適
用することも可能である。
【0019】
本発明の最も重要な点は、前記バッテリーボックス1の台座7への装着を可能にするた
めにバッテリーボックス1の側面下部に突出形成された装着支持体6にその突出方向に水
抜き孔10を穿設したことにある。図3に示すように、バッテリーボックス1の前部2に
おける側面5の下部に側方(図3の紙面手前)に向けて前部2の下面21より下方にオフ
セットSだけ突出させて、装着支持体6が側方に移動するスライド金型等によりバッテリ
ーボックス1の前部2と一体成型される。その際、同時に水抜き孔10も穿設される。こ
のように、装着支持体6をバッテリーボックス1の側面下部に(側方に向けて)突出形成
した場合は、スライド金型等の装着および離型方向がバッテリーボックス1の側方方向と
一致するので成型が容易かつ簡便となる。また、図1に示すように、バッテリーボックス
1が台座7に装着支持された状態では、前記装着支持体6における水抜き孔10の側方は
台座7の側壁8にて閉塞された状態にあり、水抜き孔10を通じて外部からの風雨や塵埃
の侵入がほぼ確実に防止される。
【0020】
図1に示すように、バッテリーボックス1の側面下部に突出形成される装着支持体6、
6は、台座7における支持体受部9、9内での揺動支持を円滑にするために、例えば、長
楕円形に形成される。図4に示すように、装着支持体6は長楕円形の周リブ15とそれら
の長軸および短軸上を連結する縦リブ16および横リブ17からなる補強リブがそれぞれ
形成される。これらの縦横リブ16、17により装着支持体6自体の強度が向上してバッ
テリーボックス1の台座7上での揺動装着が安定して安全かつ確実に行われることはもと
より、水抜き孔10が穿設されたことによる強度低下を補うものとなる。前記水抜き孔1
0は、図示の例では装着支持体6の下部側で、前記縦リブ16の下側のものを切除する形
態にて穿設される。このように、装着支持体6の下部側に水抜き孔10を穿設することで
、前記図3に示したように、装着支持体6の下端部をバッテリーボックス1の下面21か
らオフセットSさせたことと相俟って、後述するように、可及的に水抜き孔10をバッテ
リーボックス1の内部底面に近接させることを可能にする。
【0021】
図5は水抜き孔近傍のバッテリーボックスの内部側の要部斜視図である。図3にて前述
したように、装着支持体6の下端部をバッテリーボックス1の下面21から適宜量にオフ
セットSさせたことと、装着支持体6の下部側の適宜位置に水抜き孔10を穿設すること
とを選択することで、図5に明示されるように、水抜き孔10の下端部をバッテリーボッ
クス1の内部底面22に近接させることができ、好適にはほぼ面一に構成することができ
る。これにより、円滑な水分の排出が促進される。言うまでもないが、水抜き孔10の下
端部の位置がバッテリーボックス1の内部底面22より低位にあってもよい。なお、図5
において符号19や20はバッテリーや電装品の支持部材等を示している。
【0022】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、内部に収納
するバッテリーの形状、形式およびそのバッテリーボックスへの収納形態、台座への装着
支持部の装着形態、また、バッテリーボックスの台座への装着時の電気的接続形態(装着
時に、バッテリーからのアシスト動力や制御信号に関する電気的な端子同士が接続される
ように構成されるとよい)、台座における支持体受部の形状(実施例の、装着支持体を揺
動支持できるような扇形の他、側方あるいは上方からのみ装着支持体を受け入れるストレ
ート溝形状等も採用可能である)、形式およびその車体への取付形態(車体におけるハン
ガー部やチェーンステー上、あるいはハンガー部とチェーンステーとの間に台座取付部材
を介設することも考えられるし、それらの車体への取付けについても、溶接、ビス止め等
適宜採用できる)、装着支持体の形状(好適には、実施例の、揺動装着を可能にする側面
視で縦長の長楕円形とされるが、縦長あるいは横長の長方形、円形、柱状体、ドーム型等
も採用され得る)、形式およびバッテリーボックスにおける形成形態(側方に向いた側面
下部を好適とするが、後部の側面下部や、前部の前面両側下部あるいは後部の後面両側下
部等に下方に突設して一体成型されることも排除しない)、装着支持体における補強リブ
の形成形態(実施例の、十字形の縦リブおよび横リブの下部側の縦リブに水抜き孔を穿設
してもよいし、十字形のリブを残した状態のリブ間に水抜き孔を穿設したり、リブの形状
も十字形に限ることはない)、水抜き孔の形状(方形の他、円形等適宜採用される)、形式および成型方向(装着支持体の突出方向を好適とする)、装着支持体のバッテリーボックス下面からのオフセット量、水抜き孔下端部とバッテリーボックスの内部底面との面一形態(面一の他、バッテリーボックスの内部底面より水抜き孔下端部を低位としてもよい)等については適宜採用できる。また、実施例に記載の諸元はあらゆる点で単なる例示に過ぎず限定的に解釈してはならない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のバッテリーボックスは、電動アシスト自転車の搭載バッテリーボックスに適用
するのを好適とするが、自動二輪車等の交換可能な充電式バッテリーボックスあるいは介
護用車両さらには乳母車等における交換可能な充電式バッテリーボックスにも適用が可能
である。また、通常の一般的な交換式バッテリーボックスにも適用が可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 バッテリーボックス
2 前部
3 後部
4 前面
5 側面
6 装着支持体
7 台座
8 側壁
9 支持体受部
10 水抜き孔
11 電池残量表示部
12 確認ボタン
13 把手
14 傾斜面
23 合せ面
24 ロック機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8